第5章   そして・・・戦乱


あれから数日、シーフラは何かが吹っ切れたように元気だった。
けれど、のんびりもしていられない。
そろそろ、敵が襲ってくるはずだった。
―逃げる準備はした・・・。ランディやじいやにも、きちんと言っておいた。
また、イーアやメアンも自室で荷物を整え、いつでも逃げられるようになっていた。
―絶対に・・・この城は落とされる。それなら、なんとしてでもシーフラ女王だけは守りきる。
そう言う決意が体中をかけめぐっていた。

そんなある日、恐れていたことが本当になった。
競技場にある4つの大鐘が、緊急事態を告げるために狂ったように鳴り響いた。
かつて、決戦の開始を高らかに告げた笛も、緊急事態だと鳴り響いた。
「うわあぁぁ!!」
「逃げろ!!」
街じゅうの・・・国中の国民たちが、安全地帯へ逃げようとしていた。
山奥に逃げる者、洞窟に逃げる者。
とにかく、一番ねらわれやすい街から逃げようと、人々は必死だった。
そして、城でも、たくさんの近衛兵たちがすでにどこかへ消えてしまっていた。
―やはり・・・裏切り者はこんなにいた。
わずかしか残らなかった衛兵たち見て、フェースは真っ先にそう感じた。
シーフラは、不安がだんだんとつのってきていた。
―何百年も栄えたデッソレイト王国がなくなる・・・。
そんなシーフラの心中を察したのか、フェースがシーフラに寄り添って、こう言った。
「土地がなくなったからといって、国がなくなるわけじゃありません。王となる人物と、王に忠誠を誓う者が1人でもいれば、そこが国なのです。」
「そう・・・?」
シーフラが見上げると、こんな非常事態でも涼しげな顔をして笑っているフェースがいた。
その後、フェースはどこからか親兵と近衛兵たちの制服を引っ張り出すと、シーフラたちに渡した。
「こうすれば、少しは目立たないでしょう。」
着替えが終わると、シーフラたち3人はランディ、じいや、フェースが待っている1階へとおりていった。
そして、目立たないように逃げ出すのは深夜を選んだ。
「よし、逃げっぞ?」
ランディが全員そろったのを確認して、そう言った。
ランディの後ろには、メアンとイーアがいた。
じいやは、ランディと一緒に逃げるようだった。
裏口から、逃げようとして、ランディがふと足を止めた。
「どうしたのです?早く、外へ・・・。」
その時、ランディは信じられない行動に出た。
「・・・裏切り者と一緒に行動するなんてもってのほかだろう?」
「はい・・・?」
じいやがはて、とランディを見つめ返す。
ランディが起こした行動は、速かった。
ドスッ、という鈍い音の後、ドサリとくずれるじいやがいた。
「ラン・・・ディ・・・さん?」
シーフラがおずおずとたずねる。
「裏切り者は・・・こいつさ。」
「いつ?いつ、じいやが裏切ったのよ!?」
イーアが、ランディにつかみかかる。
今まで、自分たちを育ててきてくれたじいやが、裏切り者だなんて、信じたくなかった。
「じいやが前に出かけたことがあったろ?俺はクーラ王が即位してからずっと、この城にいるがな、じいやが出かけたことなんてねえんだよ。気になって、後をついていってみたら、ミニアスの軍を引き連れてよ、道案内してるじゃねえか。だから、裏切り者だって分かったんだよ。」
「そうか・・・それでミニアス軍の前進が速いわけだ。」
フェースが納得したように呟いた。
「けどよ、1つ言っとくと、あいつ、結構お前らに情ができちまってんだ。ミニアスも、いつか見捨ててたろうよ。」
ランディが最後に付け足した。
「けど、早いとこ、この城を出ねえと、本当にミニアス軍に鉢合わせしたら、最悪だぜ?」
「そうですね。」
いまだにショックを受けて固まっている3人に声をかけるとランディとフェースは再び、歩き始めた。

城から数百メートルほど離れたところで、メアンとイーアとランディのグループと、シーフラとフェースのグループは、別れて行動することになった。
「固まって行動すると、あぶねえからな・・・。」
3人の姉妹は、久しぶりに泣いた。
「永遠の別れってわけじゃ・・・ねえんだが。」
ランディがあわててそう付け足しても、説得力はない。
数十分ほど泣くと、イーアとメアンは、シーフラの手を握りしめ、やがて・・・離した。
「んじゃな。」
ランディは、イーアとメアンを連れて、フェースたちとは違う道を歩いていった。
「私たちも、早く。」
名残惜しそうにイーアたちが消えていった道をずっと見つめているシーフラに、フェースは手を差し出した。
「必ず、イーア王女もメアン王女も生きてまた、会えます。ランディさんは、信用していい。さ、逃げましょう。私は、ずっと傍にいますから。」
シーフラがフェースを見上げる。
―フェースが・・・いつもよりも大きく見える・・・。
シーフラはそっとフェースの手を取った。
2人は、暗い道を寄り添うようにして歩いていった。

その日、2人は大きな木の下で野宿をすることにした。
「火を熾すと、敵に見つかってしまうかもしれません。」
フェースの判断で、真っ暗な中で2人は休んだ。
「寒くないですか?」
「大丈夫・・・。」
フェースの問いに、シーフラはそう答えた。
だが、デッソレイトの冬はきびしい。
日本とは違って、デッソレイトでは冬と夏がはっきりとわかれていた。
一番きつい寒気が2・3日つづくと、翌日には朝から猛暑がつづいた。
けれど、一番きつい寒気でなくとも、平均気温は夜になると−5・6度に下がった。
常人なら、衛兵の制服だけでは耐えられないほどの寒さだった。
間もなく、シーフラの手がかじかんで動かなくなった。
それと同時に、ガタガタという震えが始まる。
シーフラの隣にいたフェースは、それを敏感に感じた。
―震えてるな・・・。
日が沈んでから何時間か経った。
フェースは平気だったが、シーフラの体は感じたことのない寒さに混乱していた。
無視することもできず、フェースはマントをはずすと、震えているシーフラの体にかけてやった。
「・・・フェース!?」
「大丈夫ですってば。」
シーフラの言いたいことは、大体分かっていた。
「でも・・・。」
「無理をしないでください。私なら、大丈夫ですよ。野宿とかには慣れてますし。」
フェースはそう言って、木の幹に体重を預けた。
「今は、眠ることが大事です。明日は、結構歩きますから。」
フェースが目指しているのは、ミニアス国とは反対のところに位置するエンディ国だった。
海に面しているエンディ国は、漁業でにぎわう国で、港もたくさんあった。
何より、人種差別がエンディ国にはなかった。
だが、フェースがエンディ国を目指しているのには、もう1つの理由があった。
海の向こうにあるという、幻の島「シャラベイン」にたどり着けば、反乱軍も追ってはこないだろう、と考えていた。
「フェース・・・?」
シーフラが考え事をしていたフェースに声をかけた。
「はい?どうしました?」
フェースは、すぐに頭を切り替え、シーフラに返事をした。
「なぜ・・・皆、争うのかしら?犠牲を払ってまで国を乗っ取ろうとしたり、反乱を起こしたり・・・するのかしら?」
「あぁ・・・なぜ、争うのか・・・ですか?」
いきなりの質問に、フェースは少し考えた後、こう答えた。
「私の考えでは・・・人は、自分が基準だからということですかね・・・。だから、自分の信じたことが全て、正義なんですよ。だから、逆のことを言う者や、否定する者があらわれれば、それを認めずにただ、争うだけになってしまうのです。なぜ、反乱を起こすのか・・・ということは、難しいですが・・・やはり、より多くの富をもち、より高い地位を手に入れたいということなんでしょうね。そして、もっと力をもって、もっと財産などを増やしたいということを願うからでしょう。」
フェースの答えは、今までずっと、欲にとりつかれた人々を見てきた結果だった。
「そうね・・・でも、命を落としてしまっては・・・何もならないのに・・・。」
「争う人々が、全員それに気づいたのなら、きっと争いだってなくなると思うのですがね。」
フェースが呟いたその言葉は、シーフラに向けられたものではなかった。
―生まれてくる場所が違うことや、自分と何かが違うというだけで・・・人はなんと粗末に命を扱うようになるのだろう?
フェースの脳裏に浮かんだのは、細い路地の裏に、誰にも気づかれずに亡くなっていく人々や、母親を求めてさまよう子供たちだった。
―私は・・・この女王を見たときに、『この人しかいない』と思った。この世界を変えるほどの大きな権力をもち、なおかつ1人1人の命を重んじる方・・・シーフラ女王しかいないと。
そして、フェースが次に考えたのは、シーフラが先ほど、言った言葉だった。
『命を落としてしまっては・・・何もならないのに・・・。』
―そう・・・。だけど、たくさんの人々中には、命をかけてでも、手に入れたいものがあるという人も、いるのでしょうね・・・。力や、地位、富をどうしても、と言う人さえ。
けれど、とフェースは思う。
―私は・・・富も、地位も、力も・・・いらない。ただ・・・貴女がいれば・・・。
そこまで考えて、ふと、フェースの意識が現実に戻ってきた。
ガサリ、という葉ずれの音。
フェースが気配を探ると、ダダダダダッという地を駆けていく音が聞こえた。
―なんだ・・・あの足音だと・・・狼か野犬だな。
フェースが緊張を解くと、肩にずし、と重量を感じた。
―へ・・・?
フェースがそっと顔を横に向けると、安心しきってフェースの肩に体重を預け、夢の世界に行ってしまったシーフラがいた。
「寝てしまったのですか・・・。」
肩に感じるシーフラのほのかな体温に、フェースの肌はやけに敏感に反応した。
―ホント・・・子供みたいなんだよな・・・こんなところ。
そう感じながら、フェースは寝ずの番をした。

翌日の早朝、シーフラは目を覚ました。
朝の霧が、あたりに立ちこめ、1メートルほど先も見えないほどだった。
フェースは、シーフラが目を覚まし、少し動いたのを感じ、声をかけた。
「おはようございます。よく眠れました?」
「えぇ・・・とっても。」
ありがちな会話を交わし、2人は立ち上がった。
「じゃ、行きましょうか。」
「どう・・・やって?」
シーフラの疑問も無理はない。
視界はほとんどゼロに近い。
どうやって移動するというのか。
「大丈夫ですよ。」
フェースはそう言っただけだった。
そして、フェースはシーフラの手をつかむと、霧の中を歩き出した。
ドクン、とシーフラの心臓が跳ね上がる。
だが、フェースの背中はシーフラの心臓の変化に気づいた様子もなく、ただ、歩いていくだけだった。
―この霧が晴れれば・・・敵に姿を見られやすくなる。
フェースは、今の間にできるだけ遠くに逃げたかった。

昼・・・太陽がぼんやりと照り始めた頃、だんだんと霧が晴れてきた。
―ここから先は・・・山道に入ったほうがいいかもしれない。
フェースはそう判断して、シーフラを連れて山の中に入っていった。
―反乱軍は・・・今、城のあたりだろうか・・・?

ミニアス軍の動きは、フェースが想像していた以上に素早かった。
城に誰もいないと分かるや、開け放されていた裏口に気づき、倒れているじいやを見つけた。
「おい、ジョシュア。おい!」
1人の男が、元じいやだったジョシュアを揺り起こす。
「ん・・・。」
「いつまで寝てる気だ!早く来い!」
ジョシュアは、仕方なく立ち上がり王座の間へと急いだ。
「おぉ、ジョシュア。」
王座の間にある、王だけが座ることが許される王座には、今、反乱軍を率いるルードという男が座っていた。
「心配していたぞ?早く、こちらへ来い。」
「ちょっと待ってくれ。」
ジョシュアはそう答えて、今までじいやの顔だったものをはぎ取る。
その下からは、まだ若々しい青年の顔が現れた。
「やはり、異国の仮面はよくできている。」
そう言って、ジョシュアはあらためてルードの座る王座へと向かった。
「ジョシュア。やつらは、どちらへ逃げる気だろう?」
「うむ・・・デッソレイトでは、朝は濃霧が出るんだ。それにまぎれて逃げちまおうって作戦だろう。霧が晴れたら、すぐに裏口から出て道に沿って行き、二股の道を2手に分かれて追うんだ。」
ジョシュアは、今まで聞いてきたすべてのことを洗いざらいルードに話した。
その時、外の見張りが声をあげた。
「霧が!霧が晴れてきました!」
「よし、行くぞ!」
ルードはそう声をかけると、反乱軍たちを引きつれ、
「お前も、行くのだな?」
ジョシュアの言葉に、そうだ、とルードは答えた。
「俺は、街の方を探索に行くんだ。お前は、来るか?」
「もう・・・帰るところもないしな・・・。」
ジョシュアはそう答え、ルードの後に続いた。

つまり、ルードたちと、フェースたちの間には、約10時間ほどの差が開いたことになる。
だが、フェースは山を歩きなれていないシーフラをつれている。
その点、反乱軍はプロだ。
訓練されていて、どこまででもばてずに歩く術を知っている。
10時間ほどの差は、太陽が西に傾いた頃には、7時間ほどになっていた。
山のうっそうとした木々の中を歩いていると、だんだんシーフラは時間の感覚がなくなっていった。
―どれくらい・・・城から離れたのかしら?
そのシーフラの心の中を見透かしたように、フェースが口を開いた。
「空を・・・見上げてみれば、大体の時間は分かるでしょう。」
シーフラが見上げると、空は朱に染まりつつあった。
だが、一部に青い空がまだ残っている。
朱と青のグラデーションに、思わずシーフラは呟いていた。
「きれ・・・い。」
「えぇ。明日からは、物すごく寒くなるでしょう。」
デッソレイトでは、朱と青の夕刻がすぎると、次の日は一番きつい寒気の訪れを意味していた。
「明日は・・・寒いのね?」
「えぇ。私のマントだけでは・・・足らないぐらいにね。」
フェースの言葉に、シーフラは自分の肩にかかっていたフェースのマントをとると、フェースに手わたした。
「え?いいですよ、はおってて。」
「明日は、もっと寒くなるんでしょう?それなら、その格好じゃ風邪をひいてしまうわ。」
何度言っても聞かないシーフラに、仕方なくフェースはマントを受け取り、はおった。
「いいんですか?本当に。」
「いいのよ。」
それ以上、2人は何も言わなかった。

その日の10時ごろ、2人は、入口が狭く、それでいて中はゆったり2人が入れそうな大きな空洞を見つけた。
入口は東側を向いていた。
「暖かい・・・。」
「えぇ。中の空気は、あの小さな入口からしか出入りしないから、なかなか冷えないのでしょう。」
その空洞は、背の高いフェースが立っても、まだゆとりがあるほど天井が高かった。
「寝ますか?」
「えぇ・・・疲れたわ。」
城の中にいた頃よりも、だいぶシーフラの髪や顔は薄汚れていた。
フェースは、本当は休まずに進みたいと思っていたが、疲れきって歩けなくなったシーフラをつれて山道をずっと行くのは、そちらのほうが時間がかかる。
―仕方ないことか・・・。
フェースはそう考え、ここで休むことを決めた。
ほどなくして、シーフラの体重がフェースの肩にかかってくる。
―昨日よりも寝つきがいい・・・。
空洞の中の暖かさも手伝ってか、シーフラは数十分ほどで寝ついていた。
フェースはまた、退屈になり、考え事をはじめた。
真っ先に思い出したのは、朝のシーフラの手だった。
―熱かったんだよな・・・異常に。
フェースも、シーフラが困惑していることを知らなかったわけではなかった。
―脈も速くなってたし・・・。
ずっとにぎっていると、指先で脈を測ることもできた。
明らかに変だった。
だが、フェースはわざと言わなかった。
立ち止まり、反乱軍に接近されることのほうがフェースにとっては問題だった。
そして、また2人は一緒に夜を過ごした。

けれど、その夜は無事にすぎてはくれなかった。
人の気配に気づいたのは、午前3時ごろ。
ずっと眠らずにシーフラの傍にいたフェースが最初だった。
―反乱軍か・・・!?
思った以上に速いスピードで、自分たちを追ってきていたことに、フェースは内心、舌をまいた。
まだ、この空洞が発見されたわけではない。
だが、明らかに近づいてきていた。
―どうするか・・・。
これだけ差を詰められたら、シーフラをつれて逃げていたら、すぐに追いつかれる。
そうなれば、2人とも命はない。
―仕方ない・・・。
フェースは今までずっと鞘に収めていた剣を抜くと、その切っ先で自分の指を傷つけた。
そして、自分のマントをほどくと、その血がついた指で何かを書き始めた。
―シーフラ女王に知られたら・・・気づかれる。
この行動をシーフラが知れば、すぐにフェースがなにをしようとしているか、シーフラには分かるはずだった。
だから、あえてフェースはシーフラに知られぬように素早くマントの上に赤い線を引いていった。

そして、フェースが終わってあわててマントをつけた頃、シーフラが起きた。
午前5時ごろだった。
「フェース・・・?」
「シーフラ・・・女王。」
フェースの中には、ある決心が固められていた。
「敵が・・・だいぶ近くまで来ています。」
「え・・・!?」
シーフラは、その時、フェースの様子がいつもと明らかに違うことを感じた。
入口を背にしているので、フェースの表情はくわしくは分からなかったが、声のトーンが明らかに低い。
「どう・・・したの?」
―シーフラ女王・・・すみません。
「あの時の誓いは・・・守れない。」
「え?」
シーフラの声も、フェースには届いていないかのようだった。
シーフラは、その時にもう1つのことに気づいた。
フェースが右手に持っていたのは、剣だった。
―まさ・・・か・・・。
フェースがシーフラに1歩、近寄る。
シーフラは、反射的に1歩下がった。
背中が壁にあたる。
ダッとフェースが行動を起こした。
―フェースが・・・本当の裏切り・・・者!?
両手で剣をつかみ、フェースはシーフラのほうに襲いかかってきた。
シーフラは何も言えなかった。
ただ、涙を流すだけで。
切っ先が近づいてきて、シーフラはとっさに目をきつくつむった。
ドスッという鈍い音がシーフラの耳の奥で聞こえた。
シーフラの意識は、消えていった。
フェースはその後、剣を抜きもせず、マントをほどいて床に放り投げた。
そして、敵がいるはずの大きな獣道まで走っていった。
「いたぞ!あそこだ!」
反乱軍の見張りが叫ぶ。
フェースは、空洞とは別の方向へ逃げていった。
「ちくしょう!ちょこまかと!!」
反乱軍の1人がそう叫び、矢を放った。
フェースが軽くかわすと、また怒ってほかの者も矢を放ち始めた。
―くそっ!逃げ切れないか・・・。
フェースは、自分の右足が痛みを訴えるのを感じた。
意識が遠のいて、フェースは獣道の端のほうへ転げ落ちた。
「よし!引き上げだ!」
反乱軍たちはそう言うと、また城の方へ戻っていった。
―シーフラ・・・女王・・・。
フェースは最後にそう考え、気を失った。


 

第6章