-year end んー。 まこちゃん。 んー? はい。 ん、ありがと。 今年もあともう少しで終わりね。 然うだねぇ。 一年、早かったねぇ。 ええ、本当に。 ……いいにおい。 熱いから、気を付けてね。 はぁい……あつ。 もぅ、言ってるそばから。 へへ。 ふぅふぅ、してあげましょうか? してもらおうかな。 冗談よ。 えぇ。 ……。 ちぇ…………ん、おいし。 ん。 ふぅ。 ……それにしても。 ん? 顔の見分けが、つかないわ。 みんな、同じように見える? ……やぁね。 ま、良いんじゃない。 ……。 学生の頃は。 ……もう少し、見分けられたのに。 まぁ、興味がないとねぇ。 まこちゃんは、つく? いや、あまり。 ……ないのね、興味。 あはは。 ……。 学生の頃はさ、もう少しゆっくりだったよね。 ……時間の流れ? そ。 歳を取ると、一年が早くなるって本当なんだなぁって。 ……然うね、本当に早く感じるようになったわ。 確か、なんとかの法則って言うんだよね。 ジャネーの法則。 そうそう、マネーの法則。 もぅ、それだとお金の法則になっちゃうわ。 お金の法則ってなんだろ? 貯まらない、とか? 最近は物価も高いし。 然ういう本が、ありそうね。 然ういう本って? お金の貯め方とか増やし方とか。 それが法則に当たるのかは分からないけれど。 あぁ、あるよ。然ういう本。 昔から、さ。 然うなの? 亜美ちゃんは興味ないからなぁ、然ういうの。 然ういうまこちゃんは興味があるのかしら? あたしは……まぁ、亜美ちゃんと生活が出来れば。 あとは、亜美ちゃんと楽しく過ごすことが出来れば。 欲がないのよね、まこちゃんは。 いいや、あるよ。 ……。 よぉく、知ってるだろ? ……ええ、知ってるわ。 なら、今夜も。 直ぐ然ういう話に持っていこうとする。 いや、今は亜美ちゃんが然ういう流れにしたんだと思うけどな。 してません。 えぇ、したよぉ。 してない。 いやいや、したって。 ほら、次はまこちゃんが好きな ねぇ、亜美ちゃん。 ……だから、 今年も、ありがとう。 ……。 来年も、宜しくね。 ……もぅ。 今年もそろそろ、終わっちゃうしね? まこちゃん。 はい。 私こそ、ありがとう。 どうしたしまして。 来年も、宜しくね。 うん、こちらこそ。 そして、来年は少し控えてね。 うん……え、何を? ……この、手。 あ。 もう。 ちぇ、あともう少しだったのに。 まこちゃん? はい、ごめんなさい。 もぉ、最後の最後まで。 だってしょうがないじゃないか、亜美ちゃんのことが大好きなんだから。 然う言えば良いと思って。 好きなら好きって、ちゃんと、伝えなきゃ。 下心が、丸見え。 えー? ……。 ん? ……来年も、こんな感じで過ぎていくのかしら。 分からないけど、然うかも。 ……。 いや、かい? ……いやでは、ないわ。 ん、良かった。 ……みんなは、どうしているかしら。 みんな? 今ではもう、連絡を取り合うことも減ってしまって。 寂しい? ……ううん、寂しいわけではないの。 うん。 ただ……どうしてるかなって、時々ね。 あぁ。 元気かしら。 きっと、元気さ。 うさぎちゃんも、レイちゃんも、美奈子ちゃん……は、無駄に元気そうだな。 ……ふふ、然うかも。 て、あ。 え? なんて話してたら、終わっちゃった。 ……ごめんなさい。 ん、良いよ。 亜美ちゃんの方が、大事だし。 ……うん。 みかん、食べる? ううん……良いわ。 そっか。 あたしはひとつ、食べようかな。 ……。 ね、初詣はどうしようか。 ……初詣? 来年も、行くだろ? 一緒に、さ。 ……ねぇ、まこちゃん。 元日は混むよなぁ。 初日の出が、見たいわ。 初日の出? あなたと、一緒に。 ……若しかして。 大分、急だけれど。 本当だよ、そんなこと、一言も言ってなかったのに。 だって、急に思い立ったんだもの。 うーん、初日の出かぁ。 然う、なると。 然う、なると? ……ん、まぁ良いや。 良いの? うん、良い。 ……そ。 明日の、夜でも。 ……。 うん、痛い。 本当に、この手は。 は、はは。 ……ね、だめかしら。 今からじゃ、遠くまでは行けないけど。 それでも、良い? ええ、良いわ。 近くの海になってしまうけど。 良いの、あなたとふたりで見られるなら。 分かった、それじゃあ行こう。 ん。 然うと決まったら、少し眠ろうか。 然うね、然うしましょう。 とは言え、起きられるかなぁ。 大丈夫、起こしてあげるわ。 ……なんて言いながら、亜美ちゃんも なに? はい、宜しくお願いします。 はい。 ……。 ……。 ……ね、亜美ちゃん。 なぁに……まこちゃん。 みかん、ひとふさだけ。 ……。 ね……ひとふさ、だけ。 ……ひとふさ、だけよ。 うん……。 ……。 ……どう? ……あまいわ。 だろ……? ……とても、あまい。 ……。 ん……。 ……。 ……。 ……ん、やっぱりあまいや。 ……これが、したかっただけでしょう。 うん、亜美ちゃんと今年最後のキスがしたかった。 ……。 よし、それじゃあ歯磨きをして……。 ……。 ……亜美ちゃん。 まこちゃんばかり、ずるいから。 ……。 ……。 え、と……来年も、宜しくね? もぅ……何よ、それ。 -The Fate and Free Will(現世1) 今年も、亜美ちゃんと仲良く暮らせますように。 ……。 うん、此れで良し。 ……。 あぁ、寒い寒い。 亜美ちゃん、どっかであったかいの買って食べよ。 ……。 えと、今年はまたえらく丁寧だね? ……。 はい、大人しく待ってます。 ……。 はぁ……うん、息が真っ白。 夜から雨だっけ。 ……。 あったかいの、何が良いかな。 定番は肉まん、だけど、あんまんでも良いな。 ……。 んー。 ……まこちゃん。 あ、終わった? ……ええ、誰かさんが隣でうるさいから。 あはは、其れはごめんねぇ。 別に良いけど、毎年のことだし。 だけどさ、今年はえらく丁寧にお願いしてたよね? まぁ、ね。 ね、何を願ったんだい? 口にしたら、叶わないと言うでしょう? 然うだったっけ。 ええ、然うよ。 あたしは口にしちゃったなぁ。 あなたは其れで良いんじゃないかしら。 でも、叶わなかったらどうしよう。 去年も同じこと、言ってた。 うん? 然うだっけ? 然うよ。 そっか、じゃあ良いか。 ねぇ、まこちゃん。 御神籤、引かない? 良いけど、珍しいね。 今年は然ういう気分なの。 そっか、然ういう気分なのか。 ほら、早く。 はーい。 ふふ。 うん、ご機嫌だ。 あなたもね。 亜美ちゃんと一緒なら、あたしはいつだってごきげんさ。 然うだと、良いけれど。 然うなんだって。 ね、どれを引く? んー、然うだなぁ。 動物御籤なんて可愛いと思うけど……残念、残ってなさそうだ。 此方も、残ってないわ。 と、なると。 普通の御神籤しか、ないわね。 あぁ、やっぱり。 だけど、残ってる? 少しだけ。 凶しかなかったらどうしよう。 其れは其れで。 悪いことでは、ないわよ。 此れ以上は落ちることがないから? そ。 ま、其れもそっか。 単純。 亜美ちゃんが悪くないと言うのなら、悪くないのさ。 さ、凶でもなんでも来い。 そもそも、凶だけが残ってるなんてありえないと思うけど。 えーと……百円で、良いんだよね。 掠れちゃってて、良く見えないや。 百円で良いと思うわ。 ん、其れじゃあ……二百円、と。 さぁ、亜美ちゃん。好きなのを引いて、引いて。 先に良いのかしら? あたしはいつでも、亜美ちゃんファーストですから。 御神籤まで、然うなのね。 うん、然うなんだ。 ね……こんなあたしのこと、好きだろ? はいはい、好きよ。 適当だなぁ。 其れじゃあ、引くわね。 うん、どうぞ。 ……うん、此れで良いわ。 早い。 はい、まこちゃん。次はあなたの番。 よし、其れじゃあ気合いを入れて引きますか。 御神籤箱、壊さないでね。 やだなぁ、流石にそんな罰当たりなこと、しないって。 御賽銭箱に元気良く御賽銭を入れて、まんまと穴を空けてしまったことがあるのは、だぁれ? あたしです、普通に引こうと思います。 ええ、其の方が良いと思うわ。 と言っても、流石に御神籤箱は壊さないと思うけど。 分からないでしょう、あなたの場合。 うん、真顔は止めて? ……。 目が笑ってないのも、止めて? 引かないの? 今、引くところだよ。 ……ん、此れだ。 ……。 引けました。 然うみたいね。 其れじゃ、一緒に。 ええ。 …………。 …………。 ……凶。 凶、だわ。 え。 興味深いわ。 嘘だろ。こんなこと、ある? あったわね。 いや、だって、見てよ。 此れだけしか、残ってないのに。 どんな確率だよ。 二人とも凶を引くだなんて、面白いわ。 ね、こんなこと、初めてよね。 亜美ちゃんが初めてだと言うのなら、初めてだと思うよ。 憶えてないの? 憶えていないと言うことは、引いてないんだと思う。 だって二人で凶を引いたら、憶えていそうだもの。 あまりにも面白過ぎて。 何よ、あなたも初めてだと思っているんじゃない。 ははは。 もぅ。 あたし達、今以上に落ちることはなくなったね。 だと、良いけれど。 えぇ、それはないよぅ。 ふふ、冗談よ。 お。 ね、なんて書いてあるの? ん、ちょっと待って……て、薄くて良く読めないや。 だけど……大体だめって書いてあるような気がする。 亜美ちゃんは? 私は……私のも薄くて、読み辛いけど。 大体だめって書いてありそうだわ。 ……。 ……。 あはははは、なんだ此れ。 ふふふ、本当にね。 こんなにだめなことって、ある? ちょっともないの、良いところ。 しかも、二人でね。 本当だよ、笑うしかないって此のことだよ。 ふふ、ふふ。 ね、此れ、どうしようか。 折角だから、持って帰る? ううん、結んでいくわ。 然う? ええ。 ん、其れじゃ然うしよう。 其れに、しても。 ……あ。 え、なに? ……。 亜美ちゃん? ……ひとつだけ、良いと書いてあるように見えるわ。 え、なになに? ……其れはね。 其れは……? 縁談。 ……は? どうやら、上手くいくみたい。 あたしと? 然うだと良いわね? いやいや、あたししか居ないだろ? そもそも、結婚しているけれど? 縁談って、結婚相手にも言うことかな? 言わないわね。 亜美ちゃん、結婚しよう。 もう、してる。 亜美ちゃんの縁談相手はあたしだよ。 だから、もうしてる。 えぇ、なんかやだ。 まぁ、御神籤だし? それはやだ、笑えない。 ところで、まこちゃん。 ……なに。 まこちゃんの、良く見せて。 ……良いけど。 ありがとう。 ……むぅ。 やっぱり。 ……縁談が、良い? いいえ、とても悪そうだわ。 やだ、亜美ちゃんの相手はあたしだ。 学問。 ……はい? 良かったわね、まこちゃん。 安心して勉学せよ、ですって。 ……えぇ。 と言うことだから、帰ってお勉強しましょうね。 しょ、正月から? お勉強にお正月なんて関係無いわ。 365日、うるう年なら366日、いつだってしても良いのよ。 と言うかさ、本当に書いてあるの? 書いてあるわよ? あたしには、 書いて、あるの。 ……。 私のことが、信じられないの? ……滅相も御座いません。 ならば? します、お勉強。 うん、宜しい。 ……うえぇぇ。 ふふ、楽しみね。 ……やっぱり、凶なんだぁぁぁ。 ね? ……。 ね、まこちゃん? ……そーだねー。 其れじゃ、結びましょうか。 ……はい。 あの木が良いかしら。 ……一緒に結ぼうか。 ううん、自分で結ぶわ。 ありがとう。 然う……。 ……。 ……今夜は、思い切りいちゃいちゃしたかったのに。 なぁに、まこちゃん。 ……なんでもないですぅ。 そ? ……今夜はいちゃいちゃしたいって、言いました。 だと、思った。 ……うぅ。 良いわよ。 え、良いの? お勉強、ちゃんとするならね。 はい、します。 気合い、 は、入れてなくて良いから。 ……はい、分かりました。 ……。 よし、頑張ろう。 ……単純。 ねぇ、亜美ちゃん。 ……なぁに、まこちゃん。 あたしさ、シマエナガ御籤って引いてみたいんだ。 ……はい? シマエナガって、可愛いだろ? 白くて、丸くて、ふわふわでさ。 シマエナガと言うと……北海道ね。 来年、行こうよ。 ……行けたら、ね。 其れじゃあ、来年は北海道で。 ……残っていれば、良いけれど。 もぅ、亜美ちゃん? ふふ……ごめんなさい。 ほんとだよ、もぅ。 ……。 ん、亜美ちゃん? ……やっぱり、結んでもらっても良い? あぁ、任せて。 ……。 ……ん? 来年は、北海道……ね。 うん……来年は、北海道だ。 ……。 ……よし、結べた。 ありがとう、まこちゃん。 どういたしまして、亜美ちゃん。 帰りましょうか。 うん、帰ろう。 温かいのを買って、さ。 うん。 肉まんにしようか、あんまんにしようか。 然うねぇ……あんまんにしようかしら。 じゃ、あたしは肉まんにしよう。 ……はんぶんこ? する? ……する。 うん。 ……ふふ。 はは。 ……。 ……お。 なに? 雪だ。 え。 小さい粒だけど。 ……あぁ、本当。 道理で、寒いわけだ。 ……。 ……亜美ちゃん。 だめ? まさか、良いに決まってる。 と言うより、今、しようと思ってた。 ふふ……。 よし。 帰ったら、亜美ちゃんといちゃいちゃ 其れはお勉強の後で、ね。 ……はぁ。 お疲れ様。 ……うん、本当に疲れた。 おかわりは、如何? もうお腹いっぱいです、ありがとうございました。 然う? 其れは、残念。 なぁ、マーキュリー。 質問? そんな大層なものではないけど、良いかな。 どうぞ。 情勢、あんまり良くないんだな。 ……ええ、然うなの。 はぁ、どうしたもんかね。 話し合いで解決出来れば、一番、良いのだけれどね。 そうそう、其れが一番なんだけどなぁ。 話せば分かるってさ。 言葉は、意思疎通の為でなく。 うん? 我欲心を叶える為に。 流石に其れは言い過ぎだと思うけれど。 当たらずとも遠からず、でしょ。 いい加減、嫌になるわ。 ……よっぽどだな、其れは。 代わって呉れる? 出来れば代わってあげたいけれど……無理だ、ごめん。 あたしじゃ、余計に悪化させるだけだ。 ……元々、思想を統一するのは無理なのよ。 ……。 人間が、人間である限り。 ……あたし達だって、然うなんだ。 ……。 其れこそ、頭の中を弄らない限り、さ。 其れだけは、出来ないわ。 あぁ、やってはいけない。 けど、此の侭だとずっと堂々巡り……ひとつ間違えれば、最悪な結果にだってなりうる。 ある意味、なりかけているわ。 ……其れは、講義に含まれてなかったな。 彼らを、追放。 しかも、生きることが極めて困難な場所に。 ……まさかとは、思うけど。 ええ、其のまさかよ。 ……其れは、誰が。 分かるでしょう……言わなくても。 ……あぁ、マーキュリーの顔を見て分かったよ。 私達は……民の為に、在るわけじゃない。 ……けれど、国は民が居なければ成り立たない。 いいえ、成り立つのよ……女王さえ、居れば。 ……はっ。 ずっと、変わらないの……昔から、ずっと。 ……そんな考えのままじゃ、いずれまた滅びるな。 ええ……然うでしょうね。 冗談じゃない、あたしはずっとマーキュリーといちゃいちゃしながら暮らしたいんだ。 ……私もずっと、あなたといちゃいちゃしながら暮らしたいわ。 ……。 ……。 疲れ過ぎてない……? ……ええ、然うみたいなの。 はぁ……こうなることは、初めから、分かっていただろう。 国を再興する、其のずっと前から。 ……分かっていても、いいえ、分かっていたからこそ。 矢張り、此の星に再興するべきではなかったんだ。 「今」を生きる者達、其の全てが……古代王国による統治、或いは支配なんぞ、受け入れられるわけがない。 ましてや、生の時間を勝手に変えるなど……一部の者達にとっては、命の冒涜に等しいだろう。 然う……だからこそ、今が在るの。 交わることは、神の掟とやらで禁じられていたのではなかったのか。 ……今の私達は、青い星の民よ。 だと、しても。 していることは、 其れでも歴史の流れは、変えられない。 然うだとしたって……繰り返さなくても、良いだろう。 未来を変えない為には、 未来は、変わるものだ。 あたし達が其の道を進む必要なんて何処にもない、何処にもなかった。 青い星の民として、短き生を全うする道を選ぶことだって出来た筈だ。 ……決めるのは私達ではないわ、私達は決められた道を行くしかないの。 ……。 ……人間って、愚かね。 あたし達を含めて、ね。 ……ええ。 繰り返さない為に、歴史を学ぶんだけどな。 ……前世からもね。 前世の記憶付き、挙句の果てには、未来のことまで強制的に知らされる。 夢も希望もありゃしない、ってさ。 ふふ、懐かしい響きね。 ……夢と希望? ……。 マーキュリー。 ……何を言っても、聞かない。 ……。 聞く耳を、全く、持って呉れない……。 ……。 幾ら考えても、答えが出ない……捻り出した答えは、無下にされて。 ……然うか。 若しも、最初から、答えが決まっているのだとしたら。 私は、何の為に居るのか……。 ……。 ……私は、 あたしには必要だよ。 ……。 誰よりも……女王、よりも。 ……。 もう、言わないよ……少なくとも、今日は。 ……助けて、ジュピター。 ……。 ……私ひとりでは、もう、厳しいの。 ひとり……然う、か。 ……。 ……もっと、マーキュリーの傍に居ることが出来れば。 其れが、あなたの役割だから。 ……いや、其れでもだよ。 ……。 出来るだけのことは、する……必ず、だ。 ……ありがとう。 其れにしても……報連相がなってないな、本当に。 ……ごめんなさい。 マーキュリーのことじゃないよ。 どうせ、そんな時間も……自由も、与えて呉れないんだろう。 ……。 幾ら、「外回り」が多いからって……あたしを除け者にするなんて、な。 長い時間をかけて、然う変わっていったのか……それとも、長い時間が然う変えさせたのか、知らないけど。 なんにせよ、随分な扱いだ。 ……変わっていないのかも、知れない。 うん……? 遥か、昔から……。 ……なんだか、な。 ……。 然し……対人間、か。 初めてじゃないけど……やっぱり妖魔の方が、まだ、ましだな。 ……然うね、ずっとましだわ。 なぁ……例えば、だけどさ。 ……なに。 言い分をある程度聞く、と言うのはどうなんだろうか。 其れは、構わないのだけれど。 ひとつ譲歩すればもうひとつと、更に要求してくるのよ。 此方が全てを飲み込むまで、ね。 飲み込まなければ、武力行使。 ……然う。 其のせいで、今や、穴だらけ。 ……ああなってしまったら、暫くの間、ひとが住むことは不可能。 暫くで、済めば良いけど。 ……本当に、何にもならない。 復興するのだって簡単じゃないってのに……原始の頃のような暮らしがしたいのかな。 ……然うなのかも知れないわね。 ん……? ……少し、頭を休めたいわ。 ……。 なに……。 いや……確かに、休むことは大事だもんな。 でしょう……? ……勉強、明日にすれば良かったのに。 ひとりで抱え込むなと言ったのは、誰? む……。 ……ね、だぁれ? あたし、だな……。 ……然う、あなた。 ……。 明日に、したくなかったの……。 ……ま、嫌なものはさっさと終わらせた方が良いもんな。 ん……ジュピター。 ……今から、は。 ……。 ……折角のお正月だ、現実から少し離れようか。 少し、だけ……? ……と。 だけど、まだよ……。 ……あたし、頑張ったと思うけどな。 ええ、然うね……とても、真剣に聞いて呉れたわ。 ん……だったら。 ……でも、まぁだ。 今直ぐ、欲しいのだけれど……もう、待ちくたびれたよ。 ……。 シャワーなら、浴びたけど……。 ……然う、ね。 なら、ば……。 ……。 ……良いだろう、亜美。 やぁよ。 ……なんで? 目が、ぎらついているから。 ……其れは、仕方ないんじゃないかな。 がっつかれるのは、いやなの。 現実から離れるんだ、其れくらいは許して欲しい。 いや、よ。 ……理性を保ちながら君を抱くなんて、そんな器用なこと、あたしには出来ない。 ええ、よぉく知ってるわ……。 ……ん。 けれど……明日、立てなくなるのはいやなの。 大丈夫さ……明日も未だ、お正月だから。 三が日は、過ぎているけれど? ……七草粥を食べるまでは、お正月だよ。 おせちも、食べていないのに? 食べたかった? 此処久しく、食べていないわ。 じゃあ……帰ったら、ね。 帰る頃には一月も、ん……終わり、だわ。 其れでも、良いじゃないか……何が、食べたい? 然う、ね……。 そもそも、そんなに好きだったっけ……? 季節を思い出すのに、丁度、良いのよ……。 あぁ……なるほど、ね。 こぉら……未だ、だめよ。 ……においがさ、早く早くって誘ってくるんだよ。 ん……まこと。 ……もう、我慢出来ない。 ……。 あんまり焦らされると、ベッドに行く余裕もなくなっちゃうんだけどな……。 ……ねぇ。 未だ……ん。 ……黒豆の甘煮が、食べたいわ。 は……。 ……おせち。 あぁ……。 ……だめ、かしら。 いいや……ついでに、甘い伊達巻もどうかな。 ……ふふ、良いわね。 じゃ、それも……。 ……それから。 亜美、そろそろ……。 ……ベッドが、良いわ。 ……。 それとも……もう、ない? いや……ぎりぎり、残ってる。 然う……なら。 ……あぁ。 ねぇ……まこと。 ……なんだい。 現実……今だけで、良いから。 ……うん、任せて。 ね……あなた、も。 ……はは。 ん……なに……。 ……あたしはいつだって、君に夢中になってしまうからさ。 ……。 現実なんてものを、構ってる余裕はどこにもないんだよ……。 ……そう、だった。 -Time Enough for Love(現世2) よし、焼けた。 ……。 亜美ちゃん。 ……うん。 亜美ちゃーん。 ……。 やれやれ、仕方ないなぁ。 ……あ。 お帰り、亜美ちゃん。 ……返して。 やだよ。 返して。 やだ。 もう少し だーめ。 ……。 はいはい、口をとがらせない。 ……まこちゃんの意地悪。 食べ終わったら、幾らでも読んで良いから。 ……食べ終わったら? お腹、空いてるだろ? ……お昼ならさっき、食べたわ。 うん、三時間前にね。 ……だから、空いてない。 然うかも知れないけど。 然うなの、だから おやつの時間だよ、亜美ちゃん。 ……。 伊達巻、焼いたんだ。 食べて呉れると、嬉しいな。 ……それ、今でないと駄目なの。 うん? お夕飯だって、良いじゃない。 おやつに作ったんだ。 だけど、お夕飯でも うさぎちゃんと美奈子ちゃんに、食べられちゃっただろ? ……? 三が日に食べるように作った伊達巻、全部、たった一日で。 元日の午前中に押しかけてきて、さ。 ……然うだったわね。 レイちゃんが来て呉れるまで、食べて、騒いで、食べ尽くして。 だけどそれが、何。 だから、改めて作ったんだ。 亜美ちゃんに食べて欲しくて。 ……どうして今なの? 今、食べて欲しくて。 思い立っただけ? いや、元々作ろうと思ってたんだ。 三が日は、過ぎているわ。 別に三が日じゃなくても良いじゃないか。 ……。 伊達巻を食べるのは三が日に限る……なんて、さ。 そんな決まり、どこにもないだろ? ……然うだけど。 本音を言えば、三が日中に作りたかったんだ。 だけど、材料がなくてさ。ほら、どこのスーパーも閉まってただろ? まさか、全部食べられちゃうとは思ってなかったからさ。 ……昨日、買ってきたの? うん、やっと買えたんだ。 ……でも、だからって今じゃなくても良いじゃない。 焼き立てを、食べてみて欲しい。 ……お夕飯に合わせたって。 お願いだ、亜美ちゃん。 一緒に食べて欲しいんだ。 ……。 本は、返すよ。 取って、ごめんね。 ……はぁ。 どうしても駄目かな。 ……分かった。 いい……? ……良いわ。 ありがとう! ……そんなに? うん! ……。 じゃ、こっち、こっちに座って。 ……ん。 へへ、嬉しいなぁ。 ……いいにおい、ね。 だろう? 甘い、におい……。 少しでも、お腹への刺激になったら良いな。 ……。 はい、どうぞ。 ……ありがとう。 で、これがあたしの分。 ……美味しそうね。 さぁさ、食べてみて。 ん……いただきます。 はい、召し上がれ。 ……。 ……。 ……美味しいわ。 ん、良かった。 ……。 まだあるから、おかわりしてね。 ……焼き立てだと、また、違うのね。 うん? こんな食感の伊達巻、初めて食べたわ……。 ほんと? ふっくらとしていて、それでいて、しっとりともしていて……とても、柔らかくて。 温かいから、かしら……とても、優しいような味わいで……すごく、美味しい。 よし。 ……よし? 亜美ちゃんに、焼き立ての伊達巻を知って貰えて。 ……ふぅん。 ね、おやつに丁度良いだろう? 読書で疲れた頭にも、さ。 確かに、おやつには丁度良いけれど……頭は未だ、疲れていないわ。 それにこんな時間に食べてしまったら、お夕飯が食べられない。 夕飯は、軽いものにするから。 心配しないで。 ……。 何か食べたいものがあるなら、別だけど。 ……ううん、特にないわ。 そう? ……うん。 ……。 ……なに? 美味しい? ……さっき、言ったわ。 うん、聞いた。 ……食べないの? 食べるよ。 ……。 ……。 ……ねぇ、まこちゃん。 なんだい? ……伊達巻って、作れるのね。 え、今更? ……だって。 毎年、作ってたじゃないか。 焼き立ては、初めてだけどさ。 ……そう、だけど。 はは、まぁ良いや。 実は作れるんだよ、伊達巻って。 作り方、良かったら教えてあげるよ。 何で作るの? やっぱり、卵? 卵とはんぺん。 ……はんぺん? 本格的に作りたい時は白身魚や海老のすり身を使うんだけど。 今回は、手軽にはんぺん。 ……然ういえば、はんぺんの主原料って白身魚だわ。 そうそう。 ……はんぺんって、便利なのね。 あはは、然うだねぇ。 ……。 それから砂糖と塩とサラダ油。 あとは、本みりん……なんだけど。 ……? あたしは未だ買えないから、その代用品でみりん風調味料。 だから、砂糖は控え目に。 ……未成年だから? 然う、然うなんだ。 お酒になっちゃうんだよね、本みりん。 あぁ。 料理清酒も未だ、買えないんだよね。 日本酒とか、使ってみたいんだけど。 でも、料理酒は使っているわよね? 料理酒はお酒の扱いじゃないから、あたしでも買えるんだ。 食品扱いということね。 うん。 料理酒はお酒として飲めないからお酒じゃないんだって。 だからかな、お酒よりも安いんだよ。 ……つまり、酒税法の対象ではないのね。 大人になったらさ、本みりんと料理清酒を買うんだ。 で、それを使って、料理を作って……。 ……。 その時は、亜美ちゃん。 ……え、なに? 一番に、食べて欲しい。 ……一番に? 然う、一番に。 一番に、食べて欲しい。 良いけど……私で、良いの? 亜美ちゃんが良い、亜美ちゃん以外は考えられないんだ。 ……え、と。 だめ、かな。 ……私で、良いのなら。 やった! ……まこちゃん。 ん、なに? ……その時はまこちゃんも一緒、なのよね? ……! 一緒に、食べるんでしょう……? それは……もちろん、だよ。 然う……なら、良いの。 楽しみね。 う、うん……。 ……。 ……ええ、と。 ……。 あの、亜美ちゃん。 ……なに。 すごく、かわいい。 ……はい? 伊達巻を食べてる、亜美ちゃん。 なんか、小動物みたい。 ……何を、言っているの? 伊達巻を食べてる亜美ちゃんは、すごく、かわいい。 ……ごめんなさい、ちょっと意味が分からないわ。 意味は、 まこちゃんも、食べて。 え……? 全然、食べてないわ。 あ。 冷めてしまうから。 まぁ、あたしはいつでも食べら 私から本を取り上げて、一緒に食べて欲しいと言ったのは、誰。 ……。 だれ? ……あたし、です。 だから、食べて。 一緒に。 ……でも、もっと見てたいな。 まこちゃん? はぁい。 ……もぅ。 へへ。 ……。 ん……美味しく、出来た。 ……まこちゃんと、出逢っていなければ。 ん、なに? 手作りの……ましてや、焼き立ての伊達巻を食べる機会なんて、きっと、なかった。 ……。 ……本当に、美味しいわ。 亜美ちゃん……。 ……。 そんなの、分からないよ……だってさ、世の中、あたしなんかよりもずっと いないわ。 ……。 まこちゃんより素敵な人なんて……どこにも、いないわ。 あ……。 ……いない、の。 う、うん……そうだと、いいな。 そうなの。 ……はい。 ……。 ね……もうひときれ、食べるかい? ……もうひときれ、だけなら。 ん……それじゃあ、どうぞ。 ……ありがとう。 どう、いたしまして……。 ……ん、美味しい。 ……。 ふふ……。 ……なんだい? まこちゃんも、かわいいわ。 ……へ? 伊達巻を食べてる、まこちゃん。 ……あたしは、かわいくないと思うな。 ううん、そんなことない。 とっても、かわいい。 え、えぇ……。 ね、まこちゃん。 な、なに。 伊達巻の作り方、今度、教えて貰っても良いかしら。 そ、それはもちろん、良いけど……若しかして、作って呉れるとか? さぁ、どうかしら。 ただの好奇心かも。 ……そっか。 私が若しも伊達巻を作ったとしたら、あなたはどんな顔で食べて呉れるのかしら。 ……。 ねぇ……ただの好奇心でしょう? ……ほんとだ、ただの好奇心だ。 ふふ。 ……機嫌、直って良かった。 え、なぁに? ううん、楽しみだなって。 ねぇ、まこちゃん。 なに? 食べ終わったら私、お夕飯の支度まで本を読むつもりだけれど。 今度は止めないで、ね? ……。 ね? ……はい、分かりました。 ん……。 ……。 伊達巻……美味しくて、食べ過ぎちゃうわ。 また、作っても良い……? ……どうして、聞くの? ……。 作って呉れたら……嬉しいわ。 亜美ちゃん……うん、また作るね。 ……うん。 あれ? ……。 亜美ちゃん。 なに? 本、もう読まないのかい? ええ、今日はもう読まない。 読み終わったの? いいえ、未だよ。 ……読まなくても、良いの? ええ、良いの。 続きはまた、明日。 ……。 おかしい、かしら。 え、いや、全然……。 ねぇ、まこちゃん。 な、なに? 伊達巻、どうしてあの時間に作ったの? ……え。 あの後、ずっと考えていたの。 え、然うなの? だからかしら、本の内容が半分しか入ってこなくて。 それでも半分は入るんだ……流石、亜美ちゃん……。 ね、どうして? そ、それは、 あの時、おやつの時間である3時は過ぎていたわ。 過ぎてたけど……おやつに、しようかなって。 それだけ? それだけ……だけど。 本当に、それだけ? ……。 いつもの、あなただったら。 私が満足するまで、放って置いて呉れるわ。 ……うん。 だけど、今回は違った。 あんな風に、本を取り上げてまで……おやつに、誘った。 そんなこと、今まで一度もしたことなかったのに……それなのに、どうして? ……。 まこちゃん。 ……焼き立ての伊達巻を食べてみて欲しいと言う気持ちは、本当だったよ。 うん。 ……。 言えない、こと? ……そんなことは、ないよ。 言いづらい、こと? ……。 然う、分かったわ……。 ……え。 ねぇ、まこちゃん……。 あ、亜美ちゃん……? 今夜は……その。 う、うん……。 ……。 あ、う……。 ……まこ、ちゃん。 な、に……。 ……私、ね。 う、ん……。 ……考えていることが、あって。 かんがえて、る……こと? ……私達、お付き合い、してるでしょう? し、してる、けど……。 だから、だからね……。 ……まさ、か。 時間の ご、ごめん。 ……はい? 亜美ちゃんが本を読んでいる時は、邪魔をしないって、決めていたのに。 それなのに、あんな風に、邪魔をしてしまって……。 ……。 も、もう、しないから……だから。 えと、まこちゃん……? 何を、言っているの……? ……。 まこちゃん? ……いやに、なってしまったのかなって。 そ、それで……付き合ってるのを、やめ まこちゃん。 ……。 そんなわけ、ないでしょう? ……亜美ちゃん。 もう……どうして、然うなるの? ……。 それくらいで……付き合っているのをやめたいだなんて、思うわけないじゃない。 ……うっとうしいって、言われたことがあって。 え……? ……だから、出来るだけ、うっとうしくないようにって。 ……。 ……ごめん、もうしないよ。 ね、まこちゃん。 ……。 あなたが今まで、どんなひととお付き合いしてきたのか、 ……亜美ちゃんが、初めてだよ。 ……。 初めてなんだ……亜美ちゃんが。 ……あなたが、今まで。 ……。 どんなひとに恋をしたのか、一目惚れをしたのか……詳しくは、知らない。 それは、先輩に…… 先輩がどんなひとなのかも、知らない。 ……。 知ろうと、しなかったから……ううん、知りたいと思わなかったから。 ……亜美ちゃん。 けれど……だけど、あの……出来れば、同じにしないで欲しいの。 ……あ。 わ、私は、同じじゃない……と、思うから。 思って、いるから……。 ……! 私ね、ずっと表に出さないように努めてきたの。 う、うん。 ……。 な、何を表に出さないようにしてたの……? ……本当はすごく、怒っていること。 お、怒って……?! 然う……だって、許せないじゃない。 え、ご、ごめ あなたに、じゃないわ。 あなたを無下にしてきたひとたちに、よ。 ……へ。 だって、然うじゃない……何よ、鬱陶しいって。 他にも、でかい女は嫌いって。失礼にも程があるわ。 え、えと……うっとうしいのも、でかいのも、その、間違っては 間違ってるの。 は、はい、すみません。 どうしてまこちゃんが謝るの。 え、あ……つい。 身長が大きいのは、まこちゃんのせいじゃない。自分ではどうにも出来ないことを言葉にしてぶつけるなんて、ひととして、間違ってる。 鬱陶しいのは……中には、然う思ってしまうひともいるでしょう。けれど、私は然うは思わない。まこちゃんは鬱陶しいひとなんかじゃない。 気遣いが出来て、気持ちを察して呉れて、寄り添って呉れて、時には、背中を優しく押して呉れる……そんなまこちゃんを、鬱陶しいなんて思うわけがないの。 ……今回のは鬱陶しかったと思ってるよ。 今回は、然うかも知れない。 ……やっぱり、然うだったんだ。 だけど、いつもではないでしょう? それと、今回も別に鬱陶しいなんて思っていないわ。 どうして邪魔をするのかしらとは、思ったけど。 ……ひとは、それを鬱陶しいと言う。 まこちゃん。 あ、は、はい。 兎に角、私はまこちゃんとのお付き合いをやめたいなんて、思ってない。 一度も、思ったことない。そしてこれからも、思うことはないの。 ……。 分かった? ……けど、 ……。 は、はい、分かりました。 これからもどうぞ、宜しくお願いします。 ……もぅ。 は、はは……。 ……やっと、叶ったんだもの。 へ……。 ……中学生の頃から、ずっと、好きだった。 ……っ。 やっと、叶ったのに……離せるわけ、ないじゃない。 あ、亜美ちゃん……ッ。 ……んっ。 す、好きだ、大好きだ。 ……くるしい、わ。 あ。 ……だけど、離さないで。 あ、あぁ……。 ……。 ……好きだよ、亜美ちゃん。 うん……私も、好き。大好き。 亜美ちゃん……。 ……。 ……キス、してもいい? ……。 だ、だめ……? ……だめ。 え。 ……今は。 ……。 今は、話の続きを聞いて……。 ……わかっ、た。 ……。 そ、それで、つ、続きって……? ……私、あなたとお付き合いをするようになってから、考えていることがあるの。 そ、それは、なんだい……? ……時間の、使い方。 じかんの……つかい、かた? そう……。 ……それは、どういう? さっきも、言ったと思うけれど……私が本を読んでいる間、まこちゃんはずっと待っていて呉れるでしょう? 勉強をしている時も、だけれど……。 ……亜美ちゃんの邪魔にならないようにって、決めてるから。 ずっと、待っていて呉れる……放って置いて、呉れる。 ごはんを抜きそうな時は、止めて呉れるけれど……それ以外は、基本的に私の好きなようにさせて呉れる。 あ、亜美ちゃんも然うだろ……? あたしが何かをしている時は、 それでも、反応はして呉れるの。 ……え。 私、私は……集中してしまうと、何も聞こえなくなってしまうから。 だから、あなたの言葉に返事をしないことも……多々、あったと思うの。 そ、それは…… 然うでしょう? ……たまには、あったけど。 だけど……これからは、それではいけないと思うの。 ……。 反応出来ないことは……これからも、あると思うわ。 それについては、謝ることしか出来ないけれど……。 それは、別に構わないよ。 それだけ、集中しているということだし……あたしとしても、亜美ちゃんの邪魔はしたくない。 まこちゃん……。 だけど、ごはんを抜きそうな時は、迷わず止める。 ……良いよね。 うん……。 ……。 でね……私、決めたことがあるの。 なにを、だい……? あなたは、私に時間を使って呉れるわ。 だから……私も、然うしたいの。あなたに、私の時間をあげたいの。 いや、でも、亜美ちゃんは、 私はずっと、勝手だった。我侭だった。 自分の好きなことに自分の時間を使って、あなたを蔑ろに そんなことはないよ。 ……ぁ。 そんなこと、ないから。 ……だ、め。 うん……? ……然うやって、甘やかされたら、甘えてしまうから。 嬉しいよ。 ……。 甘えて呉れるのは……とても、嬉しいんだ。 ……まこ、ちゃん。 だから、これからも……ん。 ……。 亜美ちゃん……? ……だから私、決めたの。 ……。 例えば、本を読む時間。 それにあてる時間を、予め決めておくの。 ……だけど。 然うすれば…… それで、足りるのかい? ……。 足りないのだったら……無理は、しないで欲しい。 ……。 ね、良いんだ……今までどおり、で。 ……間違っていたら、ごめんなさい。 うん……? ……あなたが今日、あんな風にまでして、私をおやつに誘ったのは。 ……。 寂しかったからでは、ないの……? ……。 構って欲しかったからでは、ないの……? ……。 ……ごめんなさい、見当違いよね。 まいった、な……。 ……。 ……そのとおり、だよ。 あぁ……。 ……いつもだったら、待てるんだけど。 今日は……ん。 ……。 ……あみ、ちゃん。 ね、まこちゃん……。 ……なん、だい。 今から……今から、ね……。 ……。 あの……キスしても、いい? もちろん、だよ……というより……してくれたら、うれしい。 ……。 ……。 ……好き、なの。 あたしも……。 ……あなたのことが、だいすき。 あたしも、大好きだ……。 ……だから、いまから。 ……。 あなた、に……あなた、と……。 ……いい? う、ん……。 ……。 ……ん。 ねぇ、亜美ちゃん……。 ……な、に。 作り立ての、伊達巻……一緒に食べて呉れて、ありがとう。 こちらこそ、ありがとう……ほんとうに、おいしかったわ。 ……じゃまして、ごめんね。 ううん……いいの。 ……また、作ったら。 いっしょ……に。 ……。 ……まこちゃん。 -More than Words(現世3・名字呼び) 水野さん。 ……。 水野さーん。 ……。 水野さ な、 ……。 ……。 ……んっ?! ……。 ……たぁっ。 木野さん。 痛い、痛いです、水野さん。 誰のせい? あ、あたしのせいです、ごめんな……たたたたたたっ。 ……。 あの、引っ張らないで……もう、しないから。 ……これ、いいわね。 離して、くれませんか……。 ……どうしようかしら。 不意打ちをして、ごめんなさい。 もう、しません。 しても、いいけど。 いいの?! 今は、だめなタイミングだった。 ……因みに、いつだったらいいですか。 教えない。 ですよね。 ……。 あ、あの、水野さん? 引っ張られると、結構、と言うより大分痛いんだよ? でしょうね。 あ、あー……。 他に、言いたいことは? もうしないから、離してくれないかな……。 ……。 もう、しないから……ね? ……この髪の毛、いいわね。 えと……何が、いいの? 引っ張るのに。 ……。 例えば、 あ、分かった、分かっ……たたたたっ。 ふふ。 ……そんなに引っ張られたら、抜けちゃうよぅ。 あら、大丈夫よ? ちゃんと、手加減してるもの。 ね、ねぇ、もういいんじゃないかな。 反省、した? した、すごくした。 これからは、 だから、いいわよ。 しても。 していいタイミングが、ん。 ……。 ……。 ……みずのさん。 ね? ……それって、水野さんにとっていいタイミングってことじゃ。 他にあるの? ……あたしにとっていいタイミングは、 重なるといいわね? ……あたしは、いつだっていいのに。 うん、なに? ……ずるいよなぁ。 誰が、ずるいのかしら? ……。 ね、だぁれ? ……今は、 だめ。 ……。 重なると、いいわね? ……そーですね。 ふふ。 お帰り、あたしの髪の毛……。 それで、なに? え? 私を呼んだ理由。 ……。 まさか不意打ちをする為だけに え、えと……黒豆、黒豆のアイス食べない? アイス? 外は寒いけど、部屋の中はあったかいだろ? ええ、そうね。 ほら、炬燵で食べるアイスは格別って言うじゃないか。 炬燵、ないけど。 み、水野さん、甘いの好きだろ? 好きだけど。 だ、だから、どうかなーって……。 ……。 ……どう、かな。 今はいらないわ。 そ、そう言わず。 黒豆アイス、結構美味しいんだよ? そうなのね。 うん、そうなんだ。 だからさ、食べよう? ありがとう。 じゃあ、 今は、いらないわ。 お勉強で頭、疲れてない? そんな時こそ、甘いも 木野さん? ……はい、すみません。 全く。 ……。 ねぇ。 なになに、やっぱり食べる? 食べない。 ……はい。 後では、だめなの? ……そんなこと、ないよ。 なら、後で食べるわ。 ……うん。 ……。 ……。 ……分かりやすい。 後で一緒に食べられるから、いっか……うん。 本当に、分かりやすい。 ……え、なにか言った? ねぇ、木野さん。 ……なんだい、水野さん。 食べるわ。 ……え? 黒豆アイス。 え、ほんと? しょんぼりしてる木野さんが、可愛かったから。 ……はい? 反省も、しているようだし。 ……いつもしょんぼりしてようかな。 なぁに? なんでもないです。 そう? はい。 そう、ならいいわ。 水野さん、こっちにおいで。 それとも、そっちに持っていこうか。 ううん、そっちに行くわ。 じゃあ。 ……。 迎えに来ました。 ……数歩の距離なんだけれど。 お手をどうぞ。 ……。 えへへ。 ……もぅ。 ね、水野さんは黒豆のアイスって食べたことある? ないわ。 そっか。 ……これが、そう? うん。 アイスは……バニラ、かしら。 うん、そうなんだ。 昨日、買ったものよね? 水野さんと食べようと思って。 寒いのにアイス……とは、思っていたけど。 これを作る為だったのね。 さ、食べよ食べよ。 ……。 さぁ、水野さん。 ……木野さんと一緒にいると、本当に飽きないわ。 うん、なに? なんでもない。 そ? うん。 なら、いっか。 ねぇ。 なんだい? きなこ? あ、分かった? きなこが、かかっているのね。 美味しんだよ、きなこ。 アイスと黒豆、うまく混ぜてあるようだけど……一回、溶かしたの? 混ざる程度に、少しだけ。 完全には溶かしてないよ。 ふぅん……。 でね、黒豆を柔らかくなったアイスと混ぜ合わせるの。 その際、黒豆は潰してしまわないようにそっと、混ぜるんだよ。 ……。 冷凍庫に戻して、アイスを固める。 頃合いを見て良さそうだったら、器に盛って出来上がり。 ……おばあさまに教わったの? ううん、自分で考えた。 本当、よく思いつくわよね。 美味しそうだと、思ったんだ。 和と洋と和、で。 その発想、私にはよく分からないわ。 溶けてしまう前に、食べてみて。 ……いただきます。 はい、召し上がれ。 ……。 ……。 ……なに。 ん? 木野さんって、私のことをじっと見るのが好きよね。 それとも、クセになっているのかしら。 好きだから、クセになっているのかも。 すぐに、なおして。 無理だよ。 ……。 水野さんのことが、好きだから。 ……私がなおしてと言ってるのだから、なおして。 えー……。 好きなんでしょう、私のこと。 だったら、なおして。 ……水野さんだって。 なに。 あたしのこと、じっと見てる時があるじゃないか……。 いやなの? いやじゃない。 私はいやなの。 だから、なおして。 ……。 ……ん、美味しいわ。 だろ? それで、なおしてくれるのかしら。 ごめん、無理です、ごめんなさい。 ……はぁ。 だって、好きなんだ……。 木野さん。 ……なに。 はい。 ……あー、 ……。 ……ん。 美味しい? ……うん、美味しい。 木野さんが煮た黒豆が、程良い甘さで美味しいから。 うん? 市販の黒豆じゃ、この味にはならないわ。 ……水野さんが食べてた、高級な黒豆でも? ええ、無駄に高級な黒豆でも。 いや、でも、やっぱり高級な……んっ。 ……。 ……みずのさぁん。 あなたが作ってくれるものが、一番だから。 ……。 と言うわけで、もう一口どうぞ? それじゃ、水野さんの分が そこにあるじゃない。 ……へ。 そこに。 ……あたしの? あるわよね? ……うん、あるね。 なら、良いじゃない。 それじゃ、水野さん。 いいえ、私が先よ。 もうしてくれたじゃないか、次はあたしの番だ。 だーめ。 もぅ、我侭だなぁ。 いけない? ううん、全然。 なら……はい、あーん。 あー、 ……。 ……ん。 ふふ、面白い。 はは……。 ……。 ……ん、水野さん? 今、だったのに。 え、何が? なんでもないわ。 ……。 ……。 ……わっ。 何をしているの? びっくりしたぁ。 読書? うん。 随分、集中していたようね。 ん、そうみたい。 私に触れられるまで、私に気が付かないくらいだもの。 よっぽど、面白いのね。 うん、面白いよ。 ……。 お風呂、上がったんだね。 じゃ、あたしも 木野さん。 ん、なに? その本、冬休みが始まる頃に借りてきたものよね? そうだよ。 まだ、読み終わってなかったの。 年末年始は、読んでいる時間がなかったから。 色々、忙しくてさ。 ……ふぅん。 冬休み中に読んでしまいたいんだ。 と言うより、冬休みが終わったら返さないといけないからさ。 ま、読み終わらなければまた借りればいいんだけど。 作り方、メモしておきたいし。 ……どんな本だったかしら。 うん? どんな本なの。 あぁ。 ……。 中世ヨーロッパの献立。 現代風にアレンジされた作り方が載っててさ、興味深いんだよ。 そうだなぁ……例えば、これとか。 ……どれ。 これ。 ……エンバーデイ・タルト? レーズンとタマネギとチーズが入ってるんだ。 パイ生地はさ、サクサクとはしてなくて、しっかりと詰まってるんだって。 ……祈りと断食の日の食べ物、なのね。 パイ生地をいったん焼いてから,さらに具を乗せて焼くことになるから時間はかかるみたいなんだけど。 作ってみたいの? うん、作ってみたい。 けど、時間がかかるのでしょう? だから、時間がある時に作りたいんだ。 ……そんな時間、あるかしら。 うん? 今年は受験生だし。 受験生と言っても、息抜きは必要だろ? それにまだ、三年生になってないしさ。 三年生になってないから、何。 お……。 二年生だからこそ、やらなければいけないことがたくさんあるわ。 そうかもしれないけど、 そうなの。 ……え、と。 三学期の間に、今まで学んだことの 分かっているよ。 ……。 分かってる。 だけど。 ……。 作ってみたいんだ。 ……ああ、そう。 いい? ……作ってみたいんでしょう。 うん。 ……そもそも、私の許可なんか。 水野さん? お風呂、ありがとう。 あ、うん。 ……。 水野さんは、お勉強の続き? ……そうだけど。 そっか。 ……お風呂、早く入ってきたら? うん、そうする。 ……。 んー……。 ……木野さん。 ねぇ、水野さん。 ……はなして。 髪の毛、少し濡れてるよ。 ……だから、なに。 濡れてるなって。 ……だから、なんなの。 不意打ち、ではないよね。 ……は? だから、タイミングは考えなくていい……違う? ……不意打ちで、なくても。 さっきの水野さんの行動の方が、不意打ちだったよ。 ……不意打ちのつもりなんて、なかった。 水野さんにそんなつもりがなくても、あたしはびっくりした。 だから、あれは不意打ちだったと言える。 ……木野さんが、私に気が付かないから。 ごめん、聞こえ 木野さんが私に気が付かないくらい、集中していたからでしょう。 私は、悪くないわ。 悪いとは、言ってないよ。 とにかく、離して。 やだ。 あ……。 ……これで、逃げられない。 ちょっ、と……。 ……ねぇ、水野さん。 ん……。 ……ん? はな、して……。 んー……。 ……はなして、と。 ふふ……。 ……いってる、の。 お風呂上り……だから、かな。 きの 感度、良くなってる? ……。 あ、引っ張らないで。 ……早く、お風呂に。 その前にさ……ちょっと聞きたいことが、あって。 ……なに、が。 なんだと思う……? ……ぁ。 ……。 きの、さ……ん。 ……石鹸の、いいにおい。 ん……、……ぅ。 ……耳。 や……だ、め。 真っ赤に、なってる……。 ……なって、ない。 よく、熟れてて……すごく、おいしそうだ。 や、だ……。 ……本当に? っ……。 本当に、いや……? ……おふ、ろ。 もちろん、入るよ……でも、その前に。 あ、ん……。 ……ん、やらかい。 ば、か……。 ……くび、やっぱりほそいなぁ。 はやく……おふろ、に……。 ……。 ……んっ。 ん……ついた。 ……も、ぅ。 ね、みずのさん……。 ……きのさ、 食べて、くれる……? ……? 作ったら、さ。 ……なにを。 エンバーデイ・タルト……。 ……。 それが、聞きたくて……たたたたたたたたっ。 ……。 痛い、痛いです……。 知らない、ばか。 ……。 ……木野さんの、ばか。 あ、あのさ……。 ……はやく、行って。 ……。 早く。 ……このまま、続けてしまおうかって。 ……。 だけどやっぱり、お風呂に入ってからの方がいいかなって……。 ……お風呂に入っても、もう、許さない。 ……。 ……。 ……もう? 木野さん。 ……髪の毛を引っ張られなければ、続けてたかも。 ……。 はい、ごめんなさい……。 ……今夜は、しない。 はい、分かりました……。 ……。 それでは……お風呂に、入ってきます。 ばか。 わ。 ……。 ええ、と……。 ……。 ……どうしたの? なんで、聞くの。 聞かない方がまずいと、判断したから。 ……その判断は、間違ってるわ。 そっか……ごめん。 ……。 ……あの、水野さん。 ……。 離してくれないと、お風呂に入れないんだけど。 ……離して欲しいの。 ……。 離して、欲しいの。 ……今夜は、しないって。 ……。 ……んー。 ……。 ねぇ、水野さん……ひとつ、提案なんだけど。 ……却下。 聞いて欲しいな。 ……。 聞いて、くれる? ……いや。 お風呂、一緒に入らない? 却下って言った。 狭いけど……一緒に、入ろうよ。 私は、も、ぅ……。 ……。 ……まこ、と。 重なった……? ……。 タイミング……重なってたら、嬉しいな。 かさなって、なんか…… 亜美。 ……。 ……後で、一緒に入ろう。 ……。 ね……。 ……これ、だけで。 ん……? ……おわらせるき、なんて。 もう、ないけど……いい? ……。 ……大丈夫、お風呂の中ではしないから。 あたりまえ、よ……ばか。 はは。 ……。 ね……亜美に集中、しても? ……そんな、の。 そんなの……? ……まことの、ばか。 ん、ごめんね……。 ……。 ……。 ……けして。 ん……なに? ……でんき。 でも……。 ……やだ、けして。 ……。 けして……。 ……ん、すぐに。 ……。 んー……。 ……みてないで、はやく。 いや、なんというか……すごく、えっち、で。 ……! つい……てっ。 ばか……! ……水野さん。 ……。 水野さん……。 ……なに。 気持ち、いいかい……? ……せまい。 ん、そうだねぇ……。 ……。 でも、たまにはいいだろ……? ……しらない。 はは……。 ……ひっこすの、なら。 うん……? ……もうすこし、ひろいおふろがいい。 それって……。 ……。 ……うん、それも条件のひとつにしようか。 しようかじゃ、なくて……するの。 ……はい、分かりました。 ……。 眠いかい……? ……ねむく、ない。 今にも、寝てしまいそうだから。 ……もしも、そうなったら。 支えてあげるつもりでは、いるけど……ずっとは、ね。 のぼせてしまっても、大変だし……。 ……こうなったのは。 ん……。 ……まことのせい、なのだから。 そろそろ、あがろうか……? ……いや。 ……。 もうすこし、だけ……このまま、で。 ん、分かった……じゃあ、もう少しだけ。 はぁ……。 ……あぁ、気持ちいいなぁ。 ねぇ……。 ……なんだい? なんでもない……。 ……そっか。 ……。 ……髪の毛、探してる? さがして、ない……。 ……しょうがないなぁ。 ……。 はい、どうぞ。 ……さがしてないって、いった。 じゃあ、いらない? ……。 いる? ……そんなに、ひっぱられたいの。 いや、それはいやかなぁ。 ……。 ……と。 ……。 みずのさん……? ……ばか。 もしかして……だけど。 ……。 ……ねだってる? ……ねだってない。 ……。 ねだって、なんか…… ……。 ……ない、の。 そっか……。 ……だか、ら。 ……。 ん……、……。 ……あみ。 おふろ、では……。 ん……だから、これ以上はあがってからにするよ。 ……ぁ。 調子に乗ったら……また、引っ張られてしまうから。 ……。 だろう……? ……ば、か。 後 |