-夢見る頃は過ぎても(現世1) うーん……。 ジュピター。 ……え。 こんなところで、何をしているの。 やぁ、マーキュリー! 丁度、 ……。 良いとこ それじゃ。 え、なんで? 特段、用事があるわけではないから。 声を掛けて呉れたのに? 見掛けたから声を掛けた、ただそれだけ。 折角、声を掛けて呉れたんだからさ。 ちょっとくらい、此処に居て呉れても良いと思うんだ。 だって、本当に声を掛けてみただけなんだもの。 用事、本当にないの? ええ、ないわ。 欠片も? 全く、ないわ。 そっか。 然ういうことだから、 あたしにはあるんだ。 だから、少しだけ時間を貰っても良いかな。 ……。 お願いだ、マーキュリー。 ……はぁ。 本当に良いタイミングだったんだ、だから、 ごめんなさい、今は少しの時間でも惜しいの。 へ。 それじゃあ、また。 待って待って、行かないで。 いやよ。 少し、少しで良いから、聞いて。 じゃあ手短に、50文字以外で。 会いたかった、愛してる、今夜 ……。 行かないで、未だ50文字になってないよ。 はぁ……私、忙しいのだけれど。 マーキュリーが忙しくないことって、あんまりないよね。 だからこそ、あたしの話を聞いて欲しいんだ。 ……。 ね? ……そんなに言いたいことがあるのなら、こんなところでぼんやりしてないで来れば良かったじゃない。 や、門前払いになりそうで。 その可能性は高いわね。 あと、ぼんやりはしてない。 あたしは、マーキュリーのことを考えて あぁ、然う。 だから、行かないでよぅ。 あなたも、忙しそうだから。 へ。 妄想、することに。 ……。 せいぜい、楽しい時間を。 待って、本当に待って。 ……。 確かにさっきまでは忙しかった……耽っていたと言っても、間違いじゃない。 けど、今は違うんだ。 ……。 目の前に居るマーキュリーの方が大事、ずっと大事だから。 目が、眠たそうだった。 え。 半分、寝ていた。 違う? ……完全には、寝てなかったけど。 半分は、寝てたと。 ……考えていたら、なんだか眠くなってきて。 あ、そ。 行かないで、マーキュリー。 どうぞ、妄想の続きを。 今は、妄想なんてしてる場合じゃないんだ。 眠たそうだし。 眠気なんかどっか行ったよ、今はマーキュリーを引き留めるのに必死なんだ。 ……。 ね、分かるだろう? いいえ、ちっとも。 マーーキュリーーーー。 やめて。 痛い。 はぁ。 溜息。 で、なに。 話す前に、耳から手を離して呉れたら嬉しいな。 ……。 いや、引っ張るんじゃなくて。 ……で、なに。 え、と……離しては、呉れない? ……。 ん、ありがと。 ……で? 雨、止まないね。 は? 雨が、止まないなぁって。 ああ、然う。 それは大変ね。 待って、話には続きがあるんだ。 ところで、仕事は。 今、休憩時間。 私は仕事中なの。 さっきも、言ったけれど。 忙しいのだろう? 然うよ。 少しの時間ですら惜しいと、思ってしまうくらいに。 分かっているのなら、 だから未だ、休憩時間を取ってない。 ……。 ね、然うだろ? ……だとしたら、なんだと言うの。 一緒に取ろう、ごはんを一緒に食べよう。 ……。 ごはん、未だだろう? ……後で、食べるわ。 然う言っておきながら忘れる、或いは意図的に抜く。 それが、マーキュリー。 いつもではないし、それに今日は忘れないわ。 今日は? ……。 それは、どうして? ……別に。 なんで? ……。 何故? まこちゃん。 お。 分かっているくせに、聞かないで。 分かっていても聞きたくなるんだよ、亜美ちゃん。 言わないわよ。 どうしても? しつこい。 だって、聞きたいんだもん。 もう良いでしょう。 ううん、良くない。 離して。 やだよ。 ……ジュピター。 戻った。 雨が止まないと、不都合なことでもあるの。 不都合と言うか、もう三日くらい降り続いているだろ? ええ、然うね。 けれど、大したこ 明日も雨だったら休みたい、亜美ちゃんと一緒に。 ……は? 学生の頃、雨の日は一日いちゃい……ごろごろしてたことを、思い出した。 もう、学生じゃない。 それから、雨の日だからって一日い……ごろごろしてる日ばっかりじゃなかった。 今、いちゃいちゃって言おうとした? してない。 したような。 言おうとしたのはあなたでしょう。私は、してない。 いや、亜美ちゃんも まこちゃん。 はい。 ……。 然ういうわけだからさ、一日くらい、休めないかなって。 ……そんな理由で休めると、本当に思っているの。 そこら辺は、適当に……いや、二人で休むのなら正直に言った方が良いな。 分かるだろ、いちゃつくのが得意な主なら。 時と場合を弁えよ、と。 猫には未だに、然う怒られているみたいだけれど。 猫に怒られるくらいで済んでしまうのだから、安いもんだよ。 ヴィーナスは兎も角、マーズが納得しないわ。 あのふたりの許可なんて要るかな。要らないと思うけど。 そもそもこの仕事に休みらしい休みなんてないじゃないか。 ブラックもいいところだよ。 一応はあるでしょう。 こんなことを、何百年。これからも、何百年。 それなのに愛するひととふたりで過ごす時間も満足に取れないだなんて。 ジュピター。 あたし達はただの人間だよ、マーキュリー。 そんなの、 当たり前、と言うのなら。 一日くらい、使命やらなんやらから離れたって良いじゃないか。 学生の頃は、それが出来ていたろう。 学生の頃とは、状況が それに、主があれだ。 一日くらい休んだって、何も言わないだろ。 寧ろ、言えないだろう。 ……別々にならまだしも、一度に二人は ふたりで休まなきゃ、意味がない。 それは無理だと、 休暇を取るのは労働者の権利だよ、マーキュリー。 特別な理由だって要らない、然うだろ? ……私達にそんな権利なんて、 とりあえず、クイーンに言ってみようかな。 ちょっと、 マーキュリーも一緒に行こう。 待って、ジュピター。 あたし達にだって、息抜きは必要だよ。 然うだとしても、 亜美ちゃん。 ……ん。 あたし達は……結婚、してるんだ。 たまには一日、ずっと、いちゃいちゃしてたい時だってある。 ……。 それとも……亜美ちゃんにはもう、ないの? ……それ。 それ? ……結婚する前も、言っていたわ。 そりゃ言うさ……結婚する前は、恋人同士だったんだから。 まぁ、今もそのつもりだけど……。 ……倦怠期は、ないのかしら。 そんなの、あたしの中にはないよ。 ……私の中には、 ない、だろ? ……。 ん? ……自信家。 はは! ……雨。 うん? 明日には止むわよ。 然うしたらどうするつもりなの? その時は、何処かに出掛ければ良いさ。 久しぶりだろ、ふたりで出掛けるの。 あくまでも、休むつもりなのね。 休みは、大事だからね。 ……。 雨だったら、いちゃいちゃしよう。 何だったら、今夜から しない。 時間を気にしないで良いって、とても素敵なことだと思うんだ。 学生の頃はそれがどれだけ素敵なことなのか、ちっとも分かっていなかった。 だから、亜美ちゃん。 しないと言ったら、しない。 他に何か、したいことでもあるの? ええ……あるわ。 お休みが、貰えるのなら お勉強? ……そ 休みに仕事絡みの勉強はだめ、かな。 ……趣味の、よ。 趣味? 然う、趣味。 んー、そっか。 ええ、然うなの。 だめです。 だめと言われても 晴れたら、ふたりでお出掛け。 ……。 雨だったら……部屋、で。 ……まこちゃん。 ね……。 ……そんなに。 然う……そんなに、なんだ。 もうね、たまっているんだよ……色々と。 ……何処かで、発散して。 何処かでと言われてもなぁ……あたしは、一途だし。 然ういう意味ではなくて。 亜美ちゃんと、ふたりきりで過ごしたいんだ。 家に帰れば、 帰ったところで、時間が合わなければ。 ……。 一緒に過ごすどころか、一緒に眠ることさえも出来ない。 そんな夜ばかりが、続いたら……いいかげん、うんざりもする。 ……。 ……足りないんだ、亜美ちゃんが。 こんなところで、触れ合っていても……全く、補えないんだ。 ……。 全然、足りないんだ……足りないんだよ、亜美ちゃん。 ……。 マーキュリーとジュピターではなく、水野……と、今は木野か。 木野亜美と、木野まこと……ふたりきり、で。 ……。 ねぇ、どうしてもだめか 行きましょう。 ……。 クイーンのところに、行くのでしょう。 ……うん、行こう。 手は、 良いだろう、休憩中なんだから。 休憩中と言っても、 離したくない。 ……。 ね……明日、どうしようか。 ……気が、早い。 ……。 ……そと。 ……。 はれて、いるわ……。 ……そう、みたいだね。 はれたら……ん、……でかけるのでは、なかったの。 でかけるのは……ひるからでも、いいさ……。 ……そんなこと、いって。 どこに、いこうか……。 ……どう、せ。 ん……? ……かんがえて、いなかったのでしょう? そんなこと、ないけど……。 ……どう、だか。 ほんとう、なんだけどな……。 ……どうせなら、あめが、よかった。 あみちゃんは、むかしから、あめがすきだったね……。 ……。 おもえば、あめのひのほうが……ん。 いったら、ゆるさない。 ……わかった、いわない。 あなたは……どちらでも、よかったんでしょうね。 そんなに、でかけたかった……? ……。 あみちゃん……? ……もう、なんでもいい。 ……。 ……まだ、するのでしょう。 そのつもり……いや、そうしたいけど。 ……けど? 亜美ちゃんがいやなら……もう、しないよ。 ……うそ。 嘘じゃない。 ……。 ね、何処へ行こうか……何処へ、行きたい? あたしは、然うだな……食器が、見たいな。 新しいのが欲しいって、思ってたんだ……ふたりで使う、ね。 ……そんなこと、ひとことも言っていなかった。 思い出したんだよ……たった、今。 ……そんなわかりやすい、うそを。 亜美ちゃんは、本屋さん……は、もうないんだっけ。 ……ばか。 と……。 ……。 亜美ちゃん……? ……いろいろと、たまっているのでしょう? ……。 それとも……もう、満足してしまったの? ……まさか。 足りない……? ……まだまだ、ね。 どれくらい、たまっているのかしら。 少なくとも……一晩では全然足りないくらい、かな。 それ、なのに。 ……ん。 お出掛けなんて、出来るの。 ……亜美ちゃんが、然うしたいのなら。 ……。 亜美ちゃんは、どうしたい? ……本当に、あなたというひとは。 あたしと、いうひとは……? ……ばかなひと、ね。 うん……そうなんだ。 ……。 ね……どうしようか。 ……ずるいひと。 うん……? ……したいように、して。 したい、ように……? ……それが。 ……。 ……わたしのしたいことでも、あるだろうから。 ……。 ……なに。 ううん……なにも。 ……顔が、だらしない。 嬉しいと……どうしても、ね。 こればかりは、もう……。 ん……。 ……どうしようも、ない。 ……。 ないんだ……。 ……それで、どうするの。 んー……。 ……。 ……つづき、しようか。 ……。 ……ね。 ……。 倦怠期なんて言葉……この先もずっと、ないよ。 ……そうだと、いいけれど。 自信、あるんだ。 ……ふぅん。 亜美ちゃんも……然うだったら、良いな。 それは……あなた次第。 あたし次第? 然う……あなた次第。 そっか……じゃ、心配ないな。 ……こんなことを、何百年。 ん? これから、も……何百年。 ……。 ……本当に、続けられるのかしら。 続けられるよ。 ……。 あたし次第、なんだろう? だったら、大丈夫さ。 ……その自信は、何処から来るの? あたしは、一途なんだ。 遠い遠い昔から、ね。 ……。 ん……? ……しまりのない、顔。 おかしいな、決まったと思ったのに。 ……ほんとう、そういうところ。 すき、かい……? ……。 はは。 ……ねぇ。 なんだい……? なにを、かんがえていたの……。 ……。 きのう……わたしに、こえをかけられるまで。 ……あぁ。 なにを……だれのことを、かんがえていたの。 ……もちろん、あみちゃんのことだよ。 ……。 言ったろう……? ……。 あみちゃんのことを、かんがえていたら……あみちゃんに、こえをかけられた。 ほんとうに、うれしかった……。 ……ぼんやりしてたくせに。 それ、なんだけどさ。 なに。 言葉には出来ないようなことを考えていると、ぼんやりしてきちゃうんだ。 学生の頃は、然うではなかったと思うんだけど……ねぇ、なんでだと思う? ……。 う……。 ……まこちゃんのばか。 え、なんで……。 ……しらない、ばか。 ……。 はぁ……。 ……ためいき? ……。 それとも……ん。 ……。 ……あたしのしたいように、してもいい? ……。 あみちゃん……。 ……さっき。 うん……。 ……そう、いったわ。 -おなじ星(現世2) まこちゃん……? ……。 まこちゃん、なの……? ……や。 どう、したの……? ……どうしたんだと、思う? いつから……いつから、ここに居るの。 ……いつから、だっけ。 連絡を、呉れれば……。 ……連絡を、したところで。 然うして、呉れたら……。 ……確認してる暇なんて、ないだろ。 そんな、こと……。 ……よいしょ、と。 直ぐには、確認出来なくても んーーー、からだが、痛い。 同じ格好で長く居るのは、やっぱり、だめだな。 ……。 改めて。 やぁ、亜美ちゃん。 ……まこちゃん。 元気? ……。 ごはん、ちゃんと食べてる? ……。 睡眠は? 夜更かしばかり、していない? ……まこちゃん、私。 亜美ちゃん。 まこちゃ……ん。 ……。 ……だめよ、こんなところで。 会いに、来た。 ……。 会いに、来たんだ。 ……鍵、渡してあるのに。 持ってくるの、忘れた。 ……なら、一度戻って。 面倒。 ここで、待っているよりずっと、ん。 ……。 だか、ら……だめ、だと。 ちっとも、連絡を呉れないから。 ちっとも、会いに来て呉れないから。 ……。 もう、待っているのも飽きた。 だから、動いた。ただ、それだけのことだよ。 ……。 迷惑だったら、帰る。 帰りたくないけど。 ……、て。 分かった。 あ……。 驚かせてしまって、ごめんね。 ま、待って。 ……どうして? ち、ちがうの。 何が、違うのさ。 はいって。 ……。 中に……入って。 良いの。 ……会いに、来て呉れたのでしょう。 だったら……。 今のあたしを、部屋の中に入れたら。 ……。 ……分かっていないわけでは、ないのだろう? ……。 それでも……良いと、言える? ……。 帰れという言葉に……その言葉に、あたしが素直に従うことが出来るのは。 今……この時だけ、だよ。 ……帰って。 分かっ なんて、言えるわけがない。 ……後悔、するかも知れないよ。 しないわ。 後悔先に立たず……とは、よく言ったものだけれど。 今、あなたを帰してしまうことの方が。 ……。 ……今は、中に。 帰してしまうことの方が……? ……。 ねぇ、その続きは……? ……兎に角、中に入って。 聞かせてよ……亜美ちゃん。 ……お願い、入って。 ……。 早く……。 ……ふぅん。 あ……。 ……明日は? ……。 明日は……休み? ……それ、聞くの。 一応、聞いておこうと思って。 ……休みじゃ、ないわ。 然う……あたしもだよ。 ……。 本当に、入るよ。 ……。 一歩でも その為に、来たのでしょう。 ……。 ……然うなのでしょう。 あぁ、然うだよ。 ……ぅ。 亜美ちゃん、先に入って呉れるかな。 ……鍵、 あたしがちゃんと、閉めるよ。 ……ドア、乱暴に閉めないで。 時間、遅いから……。 もちろん……丁寧に、閉めるさ。 ……。 さぁ。 ……う、ん。 ……。 ……あっ。 ……。 ……か、ぎ。 ……今、閉めるよ。 一か所だけじゃ、ん……ない、から。 ……知ってる。 はぁ……。 ……ちゃんと、閉めたよ。 音、聞こえたろ……。 ……せめ、て。 だから言ったろう、後悔するって。 ……後悔なんて、しないわ。 は……。 後悔なんて、しない。 ……へぇ? 後悔なんて……するわけ、ない。 ……そんなこと、いつまで思っていられるかな。 あ、ん……。 ……ねぇ、亜美ちゃん。 こんな、ところで……。 ……後悔、しないんだろ。 せめ、て……。 ……せめて? くつ、を……ぬがせて。 ……それだけで、いいの? よごれて、しまうから……。 ……はは。 ……。 いいよ……ぬぎなよ。 ん……。 ……にげようなんて、おもわないでね。 おもわない、わ……。 ……そ、ならいいけど。 ……。 ……まだ? ……。 そ……じゃあ、もういいね。 ひ、ぁ……。 ……あせの、あじ。 シャワー……は……。 ……おわって、からね。 そ、う……。 ……しないの? なに、を……。 ……抵抗。 した、ところで……。 ……つまり、あたしのなすがままに任せると? ……それで、あなたのきがすむのなら。 は……なんだよ、それ。 わたしの、せいだもの……。 ……。 だか、ら……。 やめた。 ……ぁ。 帰る。 ……どう、して。 ……。 ……ま、って。 待たない。 まって、まこちゃん……。 ……。 まって……。 ……いやだ。 まこ 勝手な女だと、思えば良い。 ……。 然う、思って……あたしのことなんか、もう要らないと思えば良い。 ……なに、を。 ……。 なにを、いっているの……? ……もう、こない。 ……! ……。 まって、いかないで。 ……最低なことを、しようとしたんだ。 まこちゃん……。 こんな身勝手なこと、許してはいけない。 ……まこちゃん、きいて。 亜美ちゃんは、優しいから。 ……。 きっと、許して呉れるだろう。 そんな汚くて醜い期待が、あたしの中にはあるんだ。 今も、あるんだよ。 きいて、まこちゃん。 聞きたくない。 お願い、 さよなら、亜美ちゃん。 ……っ。 ……さよなら。 いや。 ……。 帰らないで。 ……離して。 さよならなんて、言わないで……。 ……。 かえらないで、まこちゃん……。 ……。 おねがい、かえらないで……ここに、いて。 ……どうして。 まこちゃん、わたし、わたしね……。 ……そんな声で、すがるような声で。 あなたに、あいにいこうと……あいにいきたいと、ずっと、おもっていたの。 ……。 おもうだけでは、だめなのに……。 亜美ちゃんは。 ……。 ずっと、思って……思って、呉れているのに。 ……。 ……気持ちを、抑えることが出来るんだね。 わたし、は……。 ……あたしは、だめだったよ。 ……。 逢いたくて、堪らなくなって……気付いたら、躰が勝手に動いてた。 頭なんか、全然、働いて呉れなかった。 ……。 ごめん……もう二度と、来ないから。 ……いやよ。 ……。 いや……いやよ、まこちゃん……。 ……あたしだって、いやだよ。 でも……どうしようも、ないんだよ。 いかないで。 ……。 おねがい……わたしを、ひとりにしないで。 ……なにを。 ごめんなさい、まこちゃん……ごめんなさい……。 ……やめてよ。 あなたの……あなたの、すきに やめてくれよ……! ……。 ……頭が、おかしくなっちゃうよ。 わた、し……。 ……好きなんだ、亜美ちゃんのこと。 好きで、好きで、大切に、したくて……これからも、ずっと……そう、思っていたのに。 ……。 ……苦しいよ。 ……。 思考も、感情も、理性も、何もかもが、ぐちゃぐちゃで……漠然とした、不安と……獣じみた、欲が……そんなの、ばかりが……大きく、膨らんでいって……。 ……こっちを、見て。 ……。 私を、見て……まこちゃん。 ……いやだ。 見て、欲しいの。 ……。 ……。 ……な。 見て。 あみ、ちゃん……。 ……あなたに甘えてばかりの、ばかな私を。 ……。 自分の欲を隠したまま、あなたに抱かれようとした……浅ましくて、ずるい私を。 ……。 ……汚くて醜い期待を抱いている、私を。 ……。 ……ねぇ、まこちゃん。 ……。 あなたが、好き……好きだから、怖いの。 子どもの頃に、振り払った……ううん、あなたが振り払って呉れたのに……それ、なのに。 ……。 ……甘えてばかりで、ごめんなさい。 ごめんなさい……まこちゃん……。 ……あたし、は。 おねがい、まこちゃん……わたしを……わたし、を。 ……あたしも、こわいよ。 ……。 こわいよ……あみちゃん。 まこ、……ん。 ……。 ……だい、て。 ……。 つよく、だいて……あなたが、ほしいの……。 ……。 まこ、ちゃん……。 ……いこう、ベッドに。 ……。 いいよね……。 ……つれて、 ……。 ……。 ……? あみちゃん……? ……て、を。 ……。 あなたの、手を……私の、手に。 あぁ……うん。 ……。 あと、さ……。 ……。 ……次は、あたしの部屋で言って。 ……。 あたしの部屋に、来て……あたしがほしいって、もう一度。 ……やくそく、するわ。 ……。 ……。 ……亜美ちゃん。 まこちゃん……。 ……亜美ちゃんが、欲しい。 わたし、も……。 一度じゃ……いちどだけじゃ、たりない。 ……わたしも、たりないわ。 ……。 なんども……なんど、でも。 ……ごめん。 どうして……? ……かげん、できないとおもう。 そんなの……。 さっきみたいな、ことも しなくて、いい。 ……。 ……ただ、わたしだけを、もとめて。 いまは、それだけで……。 ……。 いい、の……。 ……あみちゃん、は。 あなたを、もとめるわ……。 ……。 ……ただ、ただ、あなただけを。 もとめる、から……。 ……うん。 ……はじめて。 うん……? ……服が邪魔だと、思ったわ。 そっか……。 ……あなたは思ったこと、ある? ……。 まこちゃん……? ……あるよ。 今……? ううん……もう、大分前だよ。 ……いつ? え。 いつ、思ったの……? え、と……いつ、だったかな。 まこちゃん。 あー……。 憶えて、いるんでしょう……? ……忘れては、いないけど。 教えて。 ……はっきりとは、憶えてないんだよ。 はっきりとじゃなくても良いわ。 いつ頃、然う思ったの? ……。 まこちゃん? ……十代の、頃に。 高校生の頃? それとも、専門学校生になってから? ……こ、 こ? ……高校生の、頃に。 ……。 もっと、言えば……受験生の、頃。 ……そう。 それ以上は 寒い日、だったかしら。 ……。 制服を脱がすと言うより、剥がされて。 亜美ちゃん、 起きたら、制服も下着も散らかっていて……そうそう、制服にしわがついてしまったから、アイロンを掛けなきゃって話になったのよね。 思い出さなくて、 まこちゃん、私の制服を先に掛けて呉れて。 背中を丸めてアイロンを掛けている、その後姿が、どこかしょんぼりしているように見えてね。 無性に、可愛く思えたの。 ……あれは、反省してたんだよ。 反省? ……襲うようにして、抱いてしまったから。 然うだった、かしら。 ……あの時、初めて服が邪魔だと思ったんだ。 ……。 ……もう、いいかな。 あの日、だったの? ……。 邪魔だと、思っ……ん。 ……。 ……そう、なのね。 ……そう、だよ。 ふふ……やっぱり、憶えてた。 ……。 ねぇ、今は……? ……え。 今も、思った……? ……思ったよ。 然う……。 ……亜美ちゃんは、思ったこと、なかったんだね。 うん……。 ……初めて然う思って、今、どんな気持ち? ……。 ん? ……どうしてそんなことを聞くの。 気になったから、だけど。 ……気にならないで。 ……。 ……。 亜美ちゃん、今、どんな気持ち? ……いじわる。 だって、気になるんだ。 ……ばか。 あ、然う来る? ……。 ……真っ赤。 ……。 まぁ、いっか……なんとなく、伝わってきたし。 ……まこちゃんのばか。 うん、ごめんね。 ……。 はぁ……今日、休みたいな。 ……私も、休みたい。 ……。 ……なに。 いや、珍しいなって。 ……。 亜美ちゃん……? ……朝なんて、来なければ良いのに。 ……。 然う、すれば……ん。 ……亜美ちゃん。 ……。 次、いつ逢える……? ……ね、まこちゃん。 なに……? ……夜でも、逢いに 勿論だよ。 ……ん。 あたしも、良い? ……うん、来て。 うん。 だけど。 うん? 鍵、今度は忘れないでね? ……うん、今度は忘れない。 ……。 若しも亜美ちゃんが帰ってなかったら、あったかいごはんを作って、待ってるよ。 ん……。 ……何が、良いかな。 ふふ、気が早いわ……。 ……然うかな。 然うよ……。 そんなこと、ないと思うけどな……。 ……まこちゃん。 うん……? ……次は、私があなたの部屋に。 ……。 ……必ず、行くから。 うん……待ってる。 ……。 ……明日でも、良いよ。 それは……無理。 ……だよね。 でも、一週間は空けないから。 え……。 ……空けない、から。 あの、あまり無理はしないでね……? ……。 無理をすると、苦しくなっちゃうと思うんだ……。 ……。 一ヶ月くらいなら、待てるから……あ、いや、こういうことを言うのも負担になっちゃうから駄目だな……。 ……好き。 え、なに? そんなことを言っていたら、今回のようなことがまた起きてしまうかも知れないわ。 それだけは、避けたいの。 ……う。 今度こそ、決めたの。 甘えてばかりいるのは、やめようって。 ……。 それに……一ヶ月なんて、私が待てない。 亜美ちゃん……。 ……心配しないで、無理はしないから。 うん……分かった。 ん……まこちゃん。 ……ごめん、苦しい? ううん、平気……。 ……何度、抱き締めても。 ……。 直ぐにまた、抱き締めたくなってしまう……。 ……逢えない日の分まで、とは言うけれど。 言うけど……無理だなぁ、あたしには。 ……私も、然う。 亜美ちゃんが、落ち着いてからと思っていたけど……。 ……。 ……ん、いや、なんでもない。 そう……。 ……もう少し、こうしていようか。 うん……していたい。 じゃあ、していよう……。 ……。 ……からだ、大丈夫? ん……だいじょうぶ。 ……ふたりそろって、今日は寝不足かな。 ふふ……そうかも。 ……でもまぁ、一日くらいなら。 ん……。 ……明日、来ても良いからね。 それは、無理……。 ……だよなぁ。 ふふ。 はは。 ……ねぇ、まこちゃん。 なんだい……あみちゃん。 あなたに逢いたいと、強く思った夜はね……空を見上げて、木星を探すの。 木星を……? ……然う、木星を。 でも、いつも見られるわけじゃ……いや。 ……。 木星よりも……あたしに、逢いに来て欲しかったな。 ……今度からは、然うする。 うん……然う、して。 ん……。 ……でも、木星か。 ……? 亜美ちゃんに逢えなくて、寂しい夜は……あたしも星を見てたよ。 ……まこちゃんも? 水星は、見えなかったけどね。 ……水星は、探すのが難しいから。 木星も、見てたような気がする。 ……木星も? 亜美ちゃんが見てて呉れたら嬉しいなって、思いながら。 ……それ、今、考えたことじゃなくて? はは、ばれたか。 もぅ、まこちゃん? だけど、木星も見てたと思うんだ。 だからさ、若しかしたらふたりで同じ星を、しかも同じ時間に見ていたかも知れないよ。 それは、流石に……。 ロマンがあって良いじゃないか。 ……。 ね。 ……そうね。 じゃ、そういうことにしておこう。 ……ん。 ……。 ……。 ……ごめんね、亜美ちゃん。 ……? どうして……? ……押しかけて、しまって。 嬉しかったから。 ……。 ……だけど、無理矢理はもうだめ。 はい……。 ……ふふ。 はは……。 ……まこちゃん。 好きだよ。 ……。 大好きだよ……亜美ちゃん。 ……私も、あなたが好き。大好き。 今だけは、離さない……。 ……離さないで。 今、この時だけは……亜美ちゃんは、あたしだけものだ。 ……そんなこと、言わないで。 ……。 ずっと……私は、あなただけのものよ。 ……もう、亜美ちゃんは。 ん……まこちゃん。 そんなこと言われたら、離せなくなっちゃうじゃないか……。 -小さな革命(現世・名字呼び・R-18) ……ん、……ん、……あ。 ……。 ……はぁ、……っん、……ん。 ……。 う……、ん……。 ……イけない? ……! もしかしたら、だけど。 ……どう、して。 なんとなく、そうかなぁって。 ……そんなこと、ない。 なら、いいけど……。 ……。 ……このまま、続ける? ……どうして。 イけそうで、イけない。 ……。 そんなもどかしさを、感じる。 ……きのせい、よ。 そっか……それなら、いいんだ。 ……。 続ける……? あたしは、構わないよ……。 ……どうして、そうおもったの。 うん……? ……。 さっきも、言ったけど……なんとなく、だよ。 ……なんとなくって、なによ。 んー……そうだな。 ……。 息遣い……あとは、声かな。 いつもとちょっと違うような気がして。 ……いき、づかい。 苦しそうに、聞こえる。 イきたいのに、イけないって。 ……。 水野さん……? ……ばか。 あー……。 ……。 ……あたしが、しようか? さいごまで。 ……。 ……したかった、のに。 うん、ごめんね……でも、苦しそうだったから。 ……。 水野さんがこのまま、最後まで自分でしたいと言うのなら……それで、いいよ。 ……きのさん、は。 これは、これで悪くないし……顔が見られないのは、残念だけど。 ……。 ……どうする? ……。 どう、したい……? ……て。 うん、なに……? ……し、て。 ……。 ……さいご、まで。 分かった。 ……あ。 目の、外しても良い? ……だめ。 顔が、見たい。 ぜったい、だめ……。 見せて、欲しい。 いや。 どうしても……? ……いや、よ。 顔以外はなるべく、見ないようにするから。 ……。 ……当たり? ……もう、いい。 うん? ……もう、やめる。 え、ちょっと待って。 待たない。 だめだって。 だめじゃない、離して。 だめだよ。 いや、離し……んっ。 ……だめだって、言ってるだろ。 や、だ……。 ……離さないし、抜かないよ。 うごかさない、で……。 ……ほんの少し、折り曲げただけなのに。 あ……、ぁ……。 ……声、変わった。 かわって、あ、……なん、か。 ……想像、してたんだ。 きの、さん……。 ……みずのさんが、ひとりでよがっているところ。 ぁ……。 あたしにまたがって、こしをふっているだなんてさ……たかぶらないわけが、ない。 あ……あぁ……。 ……あれはあれで、悪くはないけど。 動かせないのは……生殺しに近いと思うんだ。 ……ゆび、いがいは。 うん、そうだね……だけど、それだけじゃやっぱり物足りないよ。 ……。 それに……水野さんだって物足りないから、イけなかったんだろ? ……ぅ。 当たり……。 ……ちがう、わ。 そうだね……違うね……。 ……。 ね……このままの姿勢で、良いかな。 良いよね……だって、水野さんが望んだのだから。 ……みない、で。 と、言われても………見えないよ。 ……おねがい、みないで。 何も、見えない……今、水野さんがどんな表情(かお)をしているのかさえ。 ……なにも、みないで。 ……。 ……は、ぁ。 それ、さ……。 ……。 本音、かい……? ……どう、いう、 本当は、見られたいんじゃないの……? ……ちが、う。 違う……? 本当に……? ……ちがう、と。 ん……これも、当たりかな。 あなたが、ん……みたいだけ、でしょう。 うん、そうなんだ。 ……、……ん。 ……もどかしい? ……。 こんなんじゃ、足りない……? もっと、して欲しい……? ……。 ねぇ……これ、外してくれないかな。 両手が塞がっててさ、あたしじゃ外せないんだ。 いや、よ……。 ……外してよ、水野さん。 いや、だと……。 ……イきたく、ないの? ……。 ごめんね……こんなこと、言うのはずるいよね。 だけど……もどかしいままじゃ、終われないだろ? ……。 終わりたく、ないだろう……? ……。 お願いだ……水野さん。 ……そんな、いいかた。 ずるくて、ごめんね……。 ……。 みずのさん……。 ……あまり、みないで。 ん、わかった……なるべく、見ない。 ……。 ……ん。 …………きの、さん。 あぁ。 ……。 ……たまらない。 はや、く。 ……。 ……はやく、して。 うん、わかった……。 ……あ。 ……。 あ、……あっ、……あぁ。 ……かわいい、な。 や、だ……みない、で。 ……わかってるよ。 あっ、あぁ……っ。 ……こし、うごいてる。 や……みな、ん……い、で……。 ……みえちゃうんだ。 うそ、つき……。 みないようには、してるんだけど……しかいに、はいってきちゃうんだ。 あ、……んんっ。 あぁ、たまらない……ほんとうに。 ……きの、……きのさん……。 したのなまえ、で。 ……ん、あぁぁっ。 よんで、ほしいな。 ……。 だめだよ、みずのさん……そんなかおを、したら……あおるだけ、だよ。 ……、と。 ごめん、よくきこえない……。 ……まこ、と。 もう、いちど……。 ……ば、か。 うん、ごめんね……。 ……まこと。 ……。 まこと……まこと……。 ……きもち、いいかい? ……。 ……ねぇ、あみ。 …………、い。 ん……なに? ……もどかし、い。 あぁ……。 ……ね、ぇ。 もっと……? ……。 ……あ。 ……、して。 ……。 ……、せて。 もちろん……。 ……っ、あ。 ……して、あげるよ。 あ、あ、あっ……。 ……あみ。 まこと……まこと……。 ねぇ……おもうんだけど、さ。 ……は、……あっ、ぁぁ……。 すきなところを……よく、しってるのは。 あ……やっ……だめ……あっ、……あぁっ。 あたしなんじゃ、ないかな……。 ……、ないの。 うん……? ……聞かないの。 聞いて、欲しいのかい……? ……。 ならば、聞かないよ。 ……気にならないの。 気には、なっているよ。 ……それなのに、聞かないのね。 話したくないものを、無理に聞き出すことはしたくないだけだよ。 ……。 それとも……無理矢理、聞き出して欲しいの? ……ばか。 うん、ごめん。 ……。 生きていれば、そういう時だってあるさ。 ……木野さんは。 あるよ、あたしにだって。 ……そうは、見えない。 うん、格好つけてるからね。 ばか。 はは。 ……格好悪いところなんて、もう、何度も。 そう、なんだけど。 最後の意地って、やつかな。 そんなもの、捨ててしまえばいい。 そう遠くないと思うよ。 ……。 それを、捨てるの。 ……今すぐ、捨てて。 正直、半分くらいはもう捨ててると思う。 ……。 必死なんだ、あたし。 ……もう半分も、捨てて。 時間の 今すぐ、全部捨てて。 水野さ 私以外のもの、全部。 ……。 ……なにも、のこさないで。 ねぇ、水野さん。 ……。 お腹は、空いてない? ……。 空いてる……? ……すいてない。 喉は、乾いてない? ……かわいてない。 サンドイッチをね、作ってみたんだ。 ……。 ふたりで一緒に、食べない? ……いつ。 水野さんが、寝てる間。 タマゴサンドなんだけどさ、食べてくれると嬉しいな。 ……。 具はね、 ……たまご、なんでしょう。 そうなんだけど、種類があるだろ? ……。 まずは定番、潰したゆでたまごにマヨネーズと塩胡椒を混ぜ合わせたもの。 次に、スライスしたゆでたまごをマヨネーズと塩胡椒で味付けしたもの。 それからほんのりと甘い厚焼きたまごに、スクランブルエッグ、目玉焼き。 ……具は、たまごだけ? うん、本当にたまごだけ。 他にも何か挟もうと思ったんだけど、思い切って、たまごだけにしてみたんだ。 ……。 目玉焼きはちょっと苦手だから潰れちゃってるけど、まぁ、食べられるから。 ……苦手なの? 何度やっても、上手く焼けないんだ。 ……木野さんでも苦手な料理って、あるのね。 そりゃ、あるさ。 人間だもの。 ……。 ね……食べたいの、ある? ……ない。 そっか。 ……。 じゃ、ひとりで食べようかな。 ……木野さん。 ん? ……ひとりじゃ、かわいそうだから。 一緒に、食べてくれるかい? ……起こして。 ん、分かった。 ……。 いい? ……ん。 よ……と。 ……。 わ。 ……木野さんのにおいがする。 安心する? ……。 あたしは水野さんのにおいに包まれると、酷く安心するよ。 ……何か、飲みたい。 ん、分かった。 ミルクティーでも、淹れようか。 ……甘くないのがいい。 任せて。 ……。 からだ、大丈夫? ……だいじょうぶじゃない。 そっか……ごめんね。 ……別にいい。 それでも、ごめん。 ……それを望んだのは、私だもの。 ……。 ……もしも、明日、死んでしまうのなら。 ……。 してみたいと、思ったことは……するべき、だと。 ……そっか。 ……。 あたしは、嬉しかったよ。 ……でももう、あれはしないわ。 それは、残念……。 ……恥ずかしいだけ、なんだもの。 まぁ、そうだねぇ。 ……。 昔は、たまにしてたみたいだけど……今のあたし達には、合わないのかも知れない。 ……。 うん? ……やっぱり、おぼえているのね。 憶えていると、言うか。 ……。 夢で……たまに、見せつけられるんだ。 ただの記憶なんだけど……それでも、すごい腹が立つんだよね。 ……そう。 そっちも? ……。 はぁ、なんだかなぁ。 消えてくれないかな、この記憶。 ……私、昔の自分が嫌い。 うん……分かるよ、それ。 だから……もう、絶対にしない。 ……。 ……。 ……まぁ、ふたりでした方が気持ちいいしね。 ……。 あ。 ……言わないで、ばか。 耳が、一瞬で……。 だから言わないでって、言ってるでしょう。 水野さんって、耳に 木野さん。 はい、ごめんなさい。 ……。 しかし、厄介でしかないよなぁ……前世の記憶、なんて。 ……。 自分のなんだけど、自分のじゃないし。 すごい、腹立つし。 ……ねぇ、木野さん。 ん? ……。 水野さん……? ……。 どうした……? ……もう。 うん。 あの家には、もう……帰りたくない。 ……え? ……。 ……。 ……聞いて、くれないの。 聞くよ……いくらでも。 ……いい加減、いやになるかも知れないわ。 まさか。 ……。 あたしに限って、そんなことあるわけないよ。 ……口では、なんとでも言えるわ。 そんな軽い想いじゃないんだ。 水野さんに抱いている想いは。 ……。 水野さんがいつ、あたしに嫌気が差すか。 それを考えると、眠れなくなる。だから、出来るだけ考えないようにしてるんだ。 ……ばかね。 多分、死んでも治らないよ。 そんなこと、言わないで。 ……。 ……死んでも、なんて。 うん……ごめん。 ……。 タマゴサンド、どれがいい? ……定番の。 うん、分かった。 ……。 ねぇ、水野さん。 ……あの女に、男が出来たの。 ……。 だから、もう……帰らない、帰りたくない。 ……そっか。 ……。 今から、この部屋で一緒に暮らそうか。 ……そうしたい。 じゃあ、そうしよう。 ……いいの。 いいよ、あたしは。 ずっと、この時を待ってたんだ。 ……中学生、なのに。 そんなの、関係ないよ。 ……。 問題は、まぁ、そこそこあるけれど。 けどま、なんとかなるさ。 ……ならないと、思うわ。 やってみないと、分からない。 ……。 はい、どうぞ。 ……ありがとう。 ミルクティーは、こちらに。 ……うん。 よいしょ、と。 これ、全部食べるの? 食べるよ、折角作ったんだもの。 ……ひとりで? うん、ひとりで。 ……食べ切れるの。 わかんない。 ……。 ちょっとだけでも、手伝ってくれたら嬉しいな。 ……そんなに食べられないわ。 そっか、そうだよね。 ……でも、努力はするから。 無理はしないでね。 ……。 ……。 ……おいしい。 そっか……良かった。 ……。 ……水野さん。 かえった、ら。 ……。 ……しらないおとこが、いたの。 ……。 一瞬、目が合って……すぐに、逸らしたのだけれど。 見られているのが、分かって……それが、気持ち悪くて……。 ……何か、されたの。 ……。 されたの、ならば……あたしは、そいつを。 ……マーキュリーの力を、使ったの。 マーキュリーの……? ……手を、伸ばしてきたから、咄嗟に。 ……。 触れられる前、に……。 ……殺す、ところだった。 ……。 水野さんに、何かしていたら……あたしは、そいつを、殺しに行くところだった。 ……。 お母さ……いや、母親はいなかったんだね。 ……多分、いたんだと思う。 は……? ……だけど、その時はいなかった。 たまたま、出ていたのか……。 ……家の中が、いやなにおいで満ちていたの。 ……。 私は木野さんの部屋に入り浸っていると、あの女は思っているから……だから……帰ってこないもの、だと……。 ! 水野さん! ……私を、どこまでも、縛り付けようと、する、くせに。 もう、いいよ。 ……。 もう、帰らなくていい。 ここで一緒に暮らそう、水野さん。 ……そう、したい。 すればいい。 ……。 一緒に暮らそう、水野さん。 ……きの、さん。 落ち着いたら、ふたりで考えよう。 あたしも、振り絞って、考えるから。 ……あの女は、私を。 いざと、なったら。 ……あ。 ……。 きのさん……。 ……あたしが、守るよ。 ……。 必ず、守るから。 ……かならず、よ。 うん、必ずだ。 ……。 ……。 ……す、き。 あぁ……。 ……だい、すき。 あたしも、大好きだ……。 ……。 ……前世からの想い、だけでは。 ……。 いや、なんでもないよ……。 -雲の中の散歩(前世) ……はぁ……はぁ。 Iοu ραηςε με uπ....... はぁ……。 Η αμ ςτρονγ wηεν Η αμ ον iοuρ ςηοuλδερς....... ……ジュピター。 ......Iοu ραηςε με uπ, ……はぁ。 το μορε θαν Η cαν bε....... ……。 Iοu ραηςε με uπ....... ジュピター……。 ……ん。 ジュピター。 マーキュリー。 遅くなって、ごめんなさい。 いや、然うでもないよ。 けれど、待たせてしまったわ。 ううん、そんなに待っていないよ。 それでも、待たせてしまったことには変わりないから。 大丈夫、マーキュリーを待っている時間はいつだって楽しいから。 ……あなたはいつだって、然う言って呉れる。 だって、本当に楽しいんだもの。 私が、来なかったら、 マーキュリーは、来て呉れる。 いつだって、然うだった。 ……。 だから、あたしは待てるんだ……楽しい気持ちで、さ。 ……あなたが、真っ直ぐに私を信じて呉れたから。 うん? 呆れるくらいに、真っ直ぐなひと。 マーキュリーにだけだよ、真っ直ぐなのは。 あとは、どうでも良いんだ。 ……知ってる。 ね、隣に座って呉れるかな。 ……うん。 あ、ちょっと待って。 ……なに。 やっぱり、此処が良い。 ……。 おいで、マーキュリー。 後ろから、 隣で。 えぇ。 そこに座って後ろから抱き抱えられたら、あなたの顔が見えない。 でも、寄り掛かることが出来るよ。 隣が、良いわ。 じゃあ、横向きに座れば良いんじゃないかな。 それなら、 今は、隣が良いの。 ……。 今は、あなたの隣で。 ……今は? 然う……今は。 そっか……ん、分かった。 じゃあ、また後でね。 ……。 もっと、近くに。 ……十分、近いわ。 もっと……肩に、寄り掛かれるくらい。 ……あなたが、来て。 うん、分かった。 ……。 マーキュリー。 ……ん。 ねぇ、マーキュリー。 ……なぁに、ジュピター。 寄り掛かっても、良いからね。 ……うん。 へへ。 ……。 ん? ……今は、これだけで。 んー……。 ……ジュピター? まぁ、いっか。 ……ん。 でも、やっぱり。 ……あ。 重ねられたら、繋ぎたい。 ……もぅ。 だめ、かな。 ……仕方ないわね。 やった。 ……。 マーキュリー。 ……なに。 髪の毛、少し跳ねてる……可愛いな。 ……これでも、整えたのだけれど。 ぴょこんとしてる、可愛い。 ……。 ……ね、マーキュリー。 なに……。 此処まで……駆けて来て、呉れたんだね。 ……うん。 ありがとう……マーキュリー。 ううん……私が、然うしたかっただけ。 それでも、嬉しいよ。 ……。 へへ、嬉しいな……。 ……いつも。 うん? あなたはいつも、駆けて来て呉れたから。 だから、今度は私の番……然う、思っただけ。 あたし、いつも駆けていたっけ。 宮殿内でも、然うだった……何度も、注意したけれど。 そっか。 ……犬みたいだと、言われていたのよ。 いぬ? 青い星の? ……然う。 因みに、誰が? ……あなたのことをそんな風に言えるのは、ひとりしか居ないわね。 ……。 ……曰く、尻尾も見えたそうよ。 あいつか……。 ……。 ん、なに? ……曰く、犬は頭を撫でてあげると喜ぶ。 ……。 こうされるの、好きよね……あなたも。 うん、好き……。 ……。 でも、マーキュリー以外の奴にやられるのは嫌だ。 ……うん、知ってる。 へへ……きもちいいな。 ……ね。 なぁに? ……私が来るまで、何をしていたの? マーキュリーのことを考えながら、ぼんやりしてた。 ……歌が、聞こえたわ。 マーキュリーのことを想いながら、歌ってた。 マーキュリーに届くと良いなぁって。 ……。 本当は、迎えに行きたかったんだけど……出来ない、から。 ……だから、此処で待っていて呉れたのね。 うん……此処なら、大丈夫そうだったから。 ……。 ん、終わり……? ジュピター。 わ。 ……待っていて呉れて、ありがとう。 マーキュリー……。 ……先に、ゆかないで呉れて。 置いてゆくなんて、出来ない……。 ジュピター……。 ゆく時は、ふたりで……然う、約束したから。 ……。 ひとりは、いやなんだ……だから、約束をしていなくても。 ……私も、同じよ。 ……。 同じ、なの……。 うん……。 ……あのね、ジュピター。 なぁに……マーキュリー。 此の場所に、立って……目を、開いて。 最初に、見えたのは……あなただったの。 あたし……? 座ってるジュピターの姿が、薄くだったけれど、見えた。 だから真っ直ぐ、此処に来ることが出来たの。 そっか、良かった。 此処に居れば、分かるかなって。 ね……遠くからでも、見えたのよ。 私の目でも、矯正なしのこの目でも、ちゃんと見えたの……。 だろ……? あたしはこの通り、でっかいからね……。 ふふ……ジュピターったら。 あはは。 ……あとね。 ん……。 ……あなたの歌も、届いたわ。 ……。 私の耳に……心に、ちゃんと。 ……うん。 ……。 ……。 ね……他のひととは、会った? ううん……会っていないと思う。 ……此処は、通らないのかしら。 頭の中、マーキュリーのことでいっぱいで……会ったとしても、憶えてない。 ……然うだと、思った。 だって、どうでも良いんだ……マーキュリー以外のことなんか、全部、どうでも良い。 もぅ……ずっと、そんなことを言って。 マーキュリーは? 此処に来るまで、誰かと会った? いいえ、会わなかったわ。 此処に来てから、ジュピター以外のひととは会っていない。 何処に、行ったんだろ……まぁ、別に良いけれど。 此処は……誰も通らない場所、なのかも知れないわね。 あたし達だけってこと? ……多分。 ふぅん。 ……嬉しそうね。 うん、嬉しい。 ……。 マーキュリーと、ふたりっきり……すごく嬉しい。 ……もぅ。 だけどさ。 ……だけど? 会っていたとしても、憶えていないだけかも知れない。 ……。 あたしのことで頭がいっぱい、でさ。 ……然うかも知れないわ。 うん? あなたの姿を見つけて、早くあなたに追い付きたくて……。 ……。 思えば、私……あなたしか、見えていなかった。 ……マーキュリーが。 夢中だったの。 ……。 ……嬉しい? ……すごく。 然う……。 ……マーキュリー。 これからは……あなたのことだけを。 ……。 考えて、いられるのね。 考えていても、良いのね。 ……。 他のことは、何も……ん あたしも……憶えなくても、良い? ……。 マーキュリー以外のこと、全部……。 ……今更? これまで以上に、憶えない。 憶えないんだ、マーキュリー以外のことなんて。 もう……そんなこと、力強く言わないで。 ははは。 だけど、何も覚えないのはだめよ。 うん? これから、ふたりで歩いてゆく為に……必要なことぐらいは、覚えないと。 ええと……。 知識は、大事でしょう? あぁ、そっちの「おぼえる」か。 ジュピターも、覚えてね。 うん、頑張って覚える。 ふふ。 はは。 ……。 マーキュリー。 ……ねぇ、ジュピター。 なんだい……? ……やっと、ね。 ……。 やっと……叶った。 うん……やっと、だ。 ……これからは、あなたとふたりだけで。 これからは、君とふたりだけで……歩いてゆける。 ずっと……? うん……ずっと。 ん……ジュピター……。 ……好きだよ、マーキュリー。 私も……。 大好きだ……。 ……好きよ。 ……。 ん……。 ……。 ……ジュピター。 ずっと、したかったんだ……。 ……あんなに、してきたのに。 此処では、初めてだよ……。 ……。 ……。 ……此処は、静かね。 うん、然うなんだ……。 ……。 兎に角、静かで……今までの騒がしさが、嘘みたいに思えてきてさ。 ええ……本当、嘘みたいね。 おかげで思う存分、マーキュリーのことだけを考えていられたよ……。 ……そんなの、いつもじゃない。 はは……然うだった。 ……ね、ジュピター。 うん……? ……これから、何処へゆくの? 何処へでも……。 ……目的地は、ないの? 今の所は……ないかな。 然う……。 ゆきたい場所、ある……? ……然うね。 ゆきたい場所が、あるのなら……そこへ、ゆこう。 ……今は、未だ。 思いつかない……? ……うん。 そっか……。 ……私は、ただ。 ただ……? ……あなたとふたりで、居られるのならば。 ん……。 あなたの傍に、居られるのならば……それだけで、良い。 ……。 それだけで、良いの……。 あぁ……。 ……そう、それだけで。 ねぇ、マーキュリー……。 ……なぁに、ジュピター。 抱き締めても、良い……? ……改めて? さっきは、マーキュリーからだったよ……。 ……。 だから、今度はあたしから……。 ……そう、そうだったわね。 愛してるよ、マーキュリー……。 ……。 口付けだけじゃ、足りない……。 ……。 足りないよ……マーキュリー。 ……あぁ、もう。 マーキュリー……。 ……しょうがない、ひと。 良い……? だめって、言ったら。 我慢、出来るの? ……その時は、頑張って我慢する。 本当に出来るの……? ……。 抱き締めるだけ、なら。 ……良い? うん……良いわ。 ……やった。 ……。 あぁ、マーキュリーだ……。 ……そんな、初めてみたいに。 此処では、初めてだよ……。 ……さっきも、したのに。 あたしからは、初めてなんだ……。 ……もぅ。 マーキュリーのにおいも、ちゃんとする……。 ……。 気持ちが、良すぎて……このまま、抱いてしまいたい。 ……それは、だめ。 む……。 だぁめ。 ……はぁい。 ふふ……。 ……へへ。 ……。 ……。 ……不思議、ね。 ん、なにが……? ……あなたの体温を、感じるの。 どこが、不思議なの……? なくなってしまう……或いは、感じなくなってしまう。 然う、思っていたから……。 ちゃんと、感じるよ……。 ……然う、みたい。 唇の、熱も……。 ……。 ん……マーキュリー? ……未だ、ね。 ……? ……残っているような、気がするの。 何が……? ……。 ……いいや、言わないで。 うん……。 ……あぁ、あったかいなぁ。 あなたも、温かいわ……。 ……。 つめたく、ない……。 ……ごめんね、マーキュリー。 どうして……? ……先に、来てしまったから。 ……あぁ。 子どもの頃から、約束していたのに。 だけど……ちゃんと、待ってて呉れたじゃない。 然う、だけど……。 ……あなたは、私のことだけはちゃんと憶えてて呉れる。 ……。 子どもの頃にした約束は、破られてはいない……だから、良いの。 ……それだけじゃ、ないんだ。 ……。 ……ごめんよ。 ううん……謝らないで。 でも……。 もう、良いの。 だって。 ……。 今のあなたは……ちゃんと、あったかいもの。 マーキュリー……。 だから……もう、良いの。 ……ありがとう、マーキュリー。 ……。 ……。 ……私、ね。 うん……。 直ぐに、追いかけたの……。 直ぐに……? 然う……直ぐに。 ……ゆっくりでも、良かったのに。 本当に……? ……ううん、本当じゃない。 ……。 追いかけてきて呉れて、すごく、嬉しい……。 ……約束、したもの。 ……。 その時は……その時も、一緒だって。 ……うん。 どうしたの……? ……どうも、しないよ。 でも、からだがふるえているわ……。 ……うれしいから、だよ。 なら、いいけれど……。 ……マーキュリーだって、ふるえているよ。 そう、かしら……。 ……そうだよ。 あ……。 ……マーキュリー。 だめだって、いったのに……。 ……ほんとうにだめなら、しないよ。 ……。 マーキュリー……メル。 ……ユゥ。 だめ、かな……。 ……。 ……。 ……ねぇ、ユゥ。 なぁに……メル。 ……きて。 ……。 きて……ユゥ。 うん……メル。 ……。 ……。 ……ねぇ。 ん……? ……もう、はなさないでね。 うん……もう、はなさないよ。 ……ずっと、よ。 うん、ずっとだよ……。 ……。 もうにどと、はなさない……はなさないよ、メル。 ……ユゥ。 ん……。 ……星が、流れていくわ。 どこ……? ……向こう。 んー……あぁ、本当だ。 ひとつ……ふたつ……みっつ……。 よっつ……いつつ……むっつ……。 ……皆、流れていくのね。 きれいだね。 ……きれい? うん……とても、きれいだ。 ……。 ね……そう、思わない? ……そうね、きれいだわ。 ……。 ん、なに……? ……一番きれいな星は、ここに。 ……。 あたしだけの、星。 ……もぅ。 メル……。 ……まだ、たりないの? うん……ずっと、たりない。 ん……。 ……。 ……ねぇ、ユゥ。 もう、したくない……? ……そうでは、ないのだけれど。 じゃあ、いい……? ……本当に、ずっと。 ……? 私ばかり、だったなぁって。 ……どういうこと? たまには、私以外の ないよ、そんなの。 してみたい、と、 思わないよ、全然。 ……。 だって、あたしはずっと……。 ……ふふ。 む。 ユゥは、子どもの頃から……ずっと、私のことが好きなのね。 然うだよ……子どもの頃からずっと、メルのことが好きだよ。 ……。 メルだって、然うだろ……。 私……? 子どもの頃から、あたしのことが ううん、違うわ。 え。 私が、初めて好きになったひとは。 なったひと、は? ……。 だ、誰なの。 ……ジュピター、なの。 ジュ、ジュピターーーーー? 然う、ジュピター。 て、ま、まさか。 ふふ。 まさか、し……。 ねぇ、ユゥ? そ、そんな……う、うそだ……。 ……。 うそに、きまってる……ね、ねぇ、そうでしょ……。 ……そこまで、なの? だ、だって、よ、よりによって ね、私のジュピターって誰だと思う? ……へ? 私のジュピターって、だぁれ? ……知らない。 知らない? 知らない。 本当に、知らない? ……本当に、知らないよ。 ……。 ……。 ユゥ……拗ねちゃったの? ……拗ねてない。 でも、背中が拗ねてるわ。 拗ねてない。 丸まっているのに? ……それでも、拗ねてなんかない。 拗ねてないのなら、此方を見て? ……。 ユゥ。 ……やだ。 ね……まだ、するんじゃなかったの? ……もう、しない。 しないの? しない。 ずっと? ……。 ずっと、しないの? ……ずっとは、無理。 うん、然うよね。 ユゥがずっと、我慢出来るわけないものね。 ……メルは。 うん。 ……ずっと、あたしのことが好きなのだと思ってた。 好きよ? ……。 子どもの頃から、ずっと。 ……さっき、違うって言った。 言ってみたかったの。 ……は? 言ったら、どんな反応をするかなぁって。 ……。 きゃ。 メルは子どもの頃からずっと、あたしのことが好きだった。 そういうことで、良い? ……うん、良いわ。 言ってみたかった、じゃ、なくて? 今は、違うわ。 じゃあ。 子どもの頃からずっと、あなたが好き。 あなただけが、好きよ。 ……あぁぁ。 だって私のジュピターは、あなただけだもの。 良かったぁぁぁ……。 もぅ、ちゃんと聞いたのに。 ……む。 ね、私のジュピターは誰だと思う? ……。 ね、だれ? ……あたし。 然う……正解。 ……。 ……機嫌、直った? まだ直ってない。 どうすれば、直して呉れる? もう、言わないで。 ……何を? 違うって、言わないで。 ……。 メルが、子どもの頃から好きだったのは……。 ……あなた。 だから……違うって言わないで。 そんな嘘、吐かないで。 ……。 もう二度と、言わないで。 然うじゃなきゃ、直らない。 分かった……もう二度と、言わないわ。 ……約束だよ。 うん……約束。 ……。 ……直った? うん、直った。 ……でもやっぱり、また言うかも。 ……。 ふふ……そんな顔、しないで? ……うー。 ごめんなさい、本当にもう言わないから。 ……メルは、さ。 なぁに? ……あたし以外の、 ないわ。 ……。 あるわけ、ないじゃない。 ……メルゥ。 ん……。 ……メル。 ねぇ……ユゥ。 ……なぁに。 また、するの……? うん……する。 そう……。 ……。 ん、ユゥ……。 ……。 あ……。 ……。 ……まって、ユゥ。 ……またない。 あれを、見て。 ……。 お願い、ユゥ。 ……どれ。 あれ……。 ……あ。 あの、星は……。 ……月、だ。 ……。 どうして……まさか、流れないと言うのか。 見て、ユゥ……向こう、に。 ……。 青い、星……。 ……月に、近付いている。 いや、月が近付いているのか……。 いいえ、互いに……。 ……引っ張り、合っている? ……。 ……。 未だ、続ける……いえ、新しく始める? あぁ……然う、かも知れない。 ……。 ……。 ……古きものを、壊して。 新しきものを、創る……。 ……その為に。 あの、結末を……。 ……。 ……メル。 ……。 行こうか。 ……ユゥ? 行こう、メル。 ……何処に。 此処ではない、何処かに。 ……もう、おしまいなの? ううん……おしまいじゃ、ないよ。 ……。 立てない? ……私達は、もう。 うん……でもだからこそ、行くんだ。 ……此処ではない、何処かに? 然う……散歩でも、しながらさ。 ……。 ね、メル。 ……然うね、ユゥ。 行った先で、さ。 ん。 また、抱くよ。 何度でも。 ……。 良いだろ? ……しょうがないひと。 はは、然うなんだ。 ……でも、良いわ。 うん、ありがとう。 ……。 立てるかい? ……手を。 うん。 ……きゃっ。 はは。 もぅ、ユゥ? してみたかったんだ。 ……。 ん……メル。 ……ねぇ、ユゥ。 なんだい……? ……ゆっくり、行かない? ゆっくり……? ……だめ、かしら。 ううん、だめじゃない……ゆっくり、行こう。 手を、繋いで……なんだったら、遠回りしたって良いさ。 ふふ、然うね……。 ん……それじゃあ、行こうか。 ……あ。 ん……? ……見て、ユゥ。 ……。 ……あなたと、私の。 君と、あたしの……。 ……。 ……。 ……新しく、なるのね。 新しく、なろうとも。 ……。 また、好きになるよ。 ……。 そして、何度でも……君を、抱くんだ。 ……もう、そればかりなんだから。 そればかりでは、ないけど……。 ……。 メル……。 ……何度、でも。 いい……? ……求めるわ、あなたのこと。 ……。 私も……ね。 うん……。 ……。 ……。 ……行こうか、マーキュリー。 ええ……ジュピター。 ……。 ……。 ……然う、言えば。 なに……? あたしも、育ててみたかったんだ。 育てる? マーキュリーと、一緒に。 ……私と? あのふたりみたいに。 ……あぁ。 もう、無理かなぁ。 ……私達の時間では、もう。 然うだよなぁ。 ……心残り? 然うかも知れない。 そんなものはないと、思っていたのだけれど。 ……。 マーキュリー? 叶っていたら……きっと、楽しかったでしょうね。 うん……きっと、楽しかったと思うんだ。 マーキュリーと、あたしと……。 ……けどね、叶わなくて良かったとも思っているの。 ……。 思って、いたのだけれど……茶番が続くのであれば、話は別。 ……然うなんだよ。 ……。 性格……最後まで、悪かったな。 ……本当に。 はぁ。 ねぇ。 ん? 何も出来ないかも知れないけれど……だからと言って、何もしないのは癪だと思うの。 ……。 私達はもう、人形ではないのだから。 ……うん、分かる。 だから。 何か、してやろうか。 些細なことでも、良いから。 然うね……例えば、こんなのはどうかしら。 どんなの? 小さな棘が幾つか刺さっているのだけれど、どれも奥に入り込んでしまって容易に取り去ることが出来ない。 ずっと、ちくちくした感じだ。 若しもそのまま放っておけば、細菌感染を起こして化膿してしまう。 そんな不快さが、ちくちくとずっと続くのはどうかしら。 はは、良いね。なかなか愉快だ。 ふふ、でしょう? よし、それじゃ歩きながら計画を練ろうか。 時間を掛けて、さ。 綿密に、ね。 頼りにしてるよ、マーキュリー。 任せて。 ん、良い顔。 その顔にいつだって、あたしは助けて貰ったんだ。 私も頼りにしているわ、ジュピター。 うん、任せて。 ふふ、精悍な顔つき。 惚れ直して呉れた? そんなの、今更よ。 あはは。 後 |