ねぇ、あんたさ。 うちで暮らさない? …は? うちさ、両親いないんだ。 脱サラして畑やるんだって、さっさと田舎に古民家買っちゃってさ。 あたしもって言われたんだけど、あたしはどうしてもこっちに残りたかったから。 …。 だから、ね? あんた、何言ってんだ。 大丈夫か? 生憎、頭なら大丈夫だよ。 お金の事も心配いらない。 無駄使いしなければ、二人でやっていけるから。 高校生になったらバイトもやるつもりだし。 …。 警戒、しないでよ。 別に取って食おうってわけじゃないんだから。 自分で何言ってんのか、分かってんの。 分かってるよ。 からかって るわけでも、ない。 …。 ね。 うちにおいでよ。 一緒に暮らそう? なんでだよ。 そう、したいから。 意味が分からねぇ。 必要? …。 風見野から通うの、大変でしょう? だから? そんなの、余計なお世話だ。 …。 あたしが施設に入ってるからか。 孤児だからか。 …違うよ。 必ずあの場所を出て、あたしは一人でやっていくんだ。 下手な同情なんかいらない。 …知ってるよ。 は、何がだよ。 何も知らねぇだろ。 …でもね、杏子。 なんだよ。 独りぼっちは…寂しいんだ。 …。 家に帰っても、誰もいない。 ただいまって言っても、誰もおかえりって応えてくれない。 …だったら一緒に行けば良かったんだよ。 一緒に来いって言われたんだろう? …。 今からでも あたしは。 …。 …あたしは、どうしてもここにいたかったの。 なんでだよ。 あんたは独りじゃない、家族がいるんだ。 あたしとは違う。 ……。 さやか。 …ねぇ、独りぼっちは寂しいよ。 ……。 …うちに、来て。 来てよ…杏子。 ……。 ……。 …ずっとは、いないからな。 …。 それで、いいなら…いいよ、行ってやるよ。 …。 あと飯、うまい飯食わせ… …。 …え。 ……ありがとう、杏子。 お、おい…。 ……。 さ、さやか、離れろ…離れろって。 …やだ、もう少し。 な、なんなんだよ、あんた…。 ……杏子の躰、あったかいんだもん。 は、はぁ…? ……。 さ、さやか、いいかげんに… 杏子。 な、なに…。 これから、よろしくね。 …。 …ね。 ずっとはいないって、言っただろ…。 …それでも、いいよ。 ……変なヤツだな。 ……。 …お人好しなんだか、莫迦なんだか。 どっちかと言うと…莫迦の方。 は…。 ……。 …もういいだろ、離れてくれよ。 これじゃ、動けない。 …ん。 ……。 それじゃ、杏子。 一緒に帰ろっか。 …しょーがねぇな。 …。 帰ってやるよ、さやか。 Samia dostia Ari aditida Tori adito arora.... ……。 Estia oria Nari amitia Sori arito asora... ……。 Semari aisi isola matola...Soribia doche irora amito...Samaria dose ifia mio lora fia sia adora... …不思議な歌だな。 ……。 …。 …起こしちゃった? ん……。 …ごめんね。 明日も仕事なのに。 …いいよ、別に。 それより、眠れないのか…? ……。 …さやか。 うれしく、て…。 …。 …なんて、ね。 ……。 ずっとはいないって、言ってたのにね…。 …言ったな、そんなこと。 でも、いてくれたね…。 …そうだな。 ……。 …独りぼっちは、寂しいからな。 うん…。 …これでもな、お前にいいヤツが出来たら出てこうって決めてたんだよ。 そうなの…? …そうだよ。 それなのに、お前ときたら…。 …あたしと、きたら。 ……あたしが好きって、言い出しやがって。 だって…しょうがないじゃない。 好きなんだもん…。 …ばか。 よりにもよってあたしだぞ…? …杏子だからだよ。 それに杏子だって。 …。 …応えてくれたじゃない。 忘れちゃったの…? …忘れられるわけ、ないだろ。 嬉しかったんだからね…? …だから、忘れてないって。 ね…あたしのこと、好き? …さやか。 ねぇ…杏子。 …好きだよ。 あたしが告白したから…? ……。 …同情? 違う。 …。 …違うよ、さやか。 だったら…。 …好き、だったよ。 そうだよ、好きだったんだよ…。 ……。 …でも、お前はばかだ。 あたしなんか、好きになって。 …初めての夜。 …。 杏子、必死だったね…? …うるせぇ。 下着、外せないし…。 …難しいんだよ。 ……。 ……。 …ねぇ、杏子。 なんだ…。 …あたしで、いい? うん? …あたしが嫁で、いい? なんだよ、それ。 …。 …嬉しいんじゃ、なかったのかよ。 嬉しい…嬉しいよ。 でも、杏子はそれでいいのかなって。 …今更何言ってんだ。 だって…。 …お前じゃなきゃ、いやだ。 …。 …さやかがいいんだ。 きょう…ん。 ……。 …きょうこ。 ずっと、そばにいてやる…いてやるからな。 …うん。 うん…。 ……さやか。 杏子は、あたしの嫁…? …。 …兼、旦那さん。 なんでもいいよ…お前の好きにすればいい。 …うん。 ……。 …寝ないとね。 さやか。 …ん、杏子。 おやすみ…さやか。 …おやすみ、杏子。 ……。 ……。 …私は。 ……。 …したい事も、欲しいものも、あったのに。 確かにあった筈なのに。 ……。 全部、どこかに抜け落ちて、どこかで失くしてしまって。 それらがあったその場所は、空白になってしまった。 …それで? だから私は、あの子で埋めた。 隙間無く、あの子で。 …埋められてしまった、じゃなくて? じゃない。 …。 …自分で、埋めたのよ。 然う、己自身で。 ……。 …だって、然うでしょう? 何が、かしら? …抗えるわけ、無いじゃない。 ……。 莫迦だなって、思ったよ。 どうして私なんかの為にって。 でも、思えば思うほど…虚ろな心の中に、想いが溢れてきた。 それは涙となって、何も無い真っ白な場所を濡らした。 然うして、貴女は。 …。 あの子の“鞄持ち”と称して、私の庭に紛れ込む振りをした。 …。 全ては、あの子に逢う為。 全ては、あの子に愛される為。 …全ては否定しない。 その通りだから。 素直ね? …ひねてくれてるよ、私は。 ふふ…。 …記憶や力を失くしても。 あの子は、あの子への想いだけは、失くならなかった。 …。 …私が欲しいもの、私がしたい事。 全部、全部…。 おめでとう。 …。 晴れてあの子のお嫁さんになれたのでしょう? だから、おめでとう。 …悪魔に祝われると、変な気分。 素直に受け取ってくれれば良いのよ。 其れ以上の意味なんて、無いのだから。 寧ろ、それ以上の意味って何よ。 さぁ? …相変わらずよね、あんたは。 貴女も、でしょう? ……。 ……。 …やっぱり、あんたが法学部なんて。 これ以上の最悪の組み合わせって、無いんじゃないの。 私は秩序を乱す存在。 ならば、その秩序を知っておかなければならないでしょう? その時は潰すから。 出来るものなら、ね。 ……。 ……。 …ところで、まどかは? あたしはまどかと話したかったんだけど。 まどかなら直に来るわ。 と言うか、あんたは呼んでない。 まどかが呼んだのよ。 一緒にお祝いしようって。 あの子らしいでしょう? …あ、そ。 佐倉杏子は仕事? …そうだよ。 あまり尽くし過ぎて、重荷にならないようにね? …宇宙をぶっ壊したあんたに言われたくない。 壊してはいないわ。 私はあくまでも一片を抜き取っただけ。 言ったでしょう? …それが大問題だったのよ。 けれどそれで貴女はあの子の良人になれたのだけれど、ね? ……やっぱり。 …。 あたしはあんたの事、好きになれそうにない。 と言うか、嫌い。 有難う。 私もよ。 ピンポーン。 『はーい。』 見滝原郵便局の佐倉と申します。 郵便を持って参りました。 『あ、はい、分かりました。すぐに行きますね。』 はい、お願いします。 わぁぁ、やっぱり杏子ちゃんだ。 まどか? 声と名前を聞いてもしかしてって思ったけど、やっぱりそうだった。 ここ、まどかんちだったのか。 ひどいよ、杏子ちゃん。 何度かさやかちゃんと遊びに来てくれたじゃない。 はは、冗談だよ。 もう。 久しぶりだな、まどか。 今日は学校じゃないのか? 休講になっちゃって。 大学生って案外、暇なのか? そんなことないよ。 今日はたまたまだもん。 そんなもんか。 でもま、元気そうで何よりだ。 杏子ちゃんも。 これ、書留。 印鑑かフルネームでサイン、貰えるか。 うん。 と、その前に。 鹿目詢子様への書留です。 お間違いないですか? はい、間違いないです。 じゃ、頼む。 えへへ。 うん? 杏子ちゃん、本当に郵便屋さんなんだね。 まぁな。 ここでいい? おう。 …ん、と。 ありがとな。 ううん。 配達してくれてありがとう、杏子ちゃん。 どういたしまして。 それじゃあな、まどか。 あ、待って。 ん? おめでとう。 …まどか? さやかちゃんと。 ああ。 さやかから聞いたのか? うん。 さやかちゃん、すごく嬉しそうだった。 …そうか。 さやかちゃんの事、宜しくね。 はは、なんだか保護者みたいだな。 そんなんじゃないよぅ。 分かってるよ。 あんたはさやかの大切な友達だからな。 杏子ちゃんもだよ。 あたしも? 杏子ちゃんもわたしの大切な友達だから。 二人にはしあわせになって欲しいの。 今よりも、ずっと。 …ありがとな、まどか。 ふふ、どういたしまして。 そうだ、まどか。 なに? あたし、しばらくこの辺配達するから。 また会うかもな。 ほんと? ああ。 やったぁ。 じゃあまた、会えるね。 手渡しの郵便があって、あんたが家にいれば、だけどな。 もう、杏子ちゃん。 意地悪なこと、言わないで。 はは。 杏子ちゃん。 なんだい、まどか。 配達、気をつけてね。 おう、ありがとな。 いいなぁ、さやかちゃん。 …ん? カッコイイ旦那さんで。 …おいおい。 ふふ。 それより、出掛けるんだろ? いいのか? え? さやかから聞いてる。 一緒に遊ぶんだろ? 杏子ちゃんも一緒だったら良かったのに。 また今度な。 絶対だよ。 日曜なら、休みだから。 うん、聞いてる。 さやかから、か? そう、杏子ちゃんのお嫁さんから。 …まどか。 ふふ、引き止めちゃってごめんね。 お仕事中なのに。 全くだ。 じゃあ…また、ね? おう、またな。 今日、まどかんちに配達に行ったんだって? んお? まどかから聞いた。 「杏子ちゃんが書留持ってきてくれたー」って。 あー…。 久しぶりに会えたって。 喜んでたよ。 そうか。 今度、一緒に遊ぼうって。 いっぱい、お喋りしたいってさ。 …。 あの子ね、昔から杏子の事が好きなんだよ。 …あたしが? そ。 …ふぅん。 あ、今、嬉しいとか思ったでしょ。 いや、別に。 う、そ。 絶対、思った。 さやか。 まどかは可愛いもんねぇ。 分かる、分かるよ、その気持ちは。 さやか。 分かる、けど! 仕事だから、行った。 それだけの事だろ。 それだけ? あーそうよねー、それだけよねー。 …。 ごめんね、可愛くない嫁で。 誰もそんな事言ってない。 言ってない、けど。 けど、さ。 言ってくれない、し。 …。 あーあー、あたしも おかわり。 …。 カレー。 …自分でよそれば。 …。 …。 …仕方ねぇな。 …。 さやかのカレー、うまいよな。 あたし、好きだ。 …好きなのはカレーなの。 …。 …。 …どうしたんだよ、さやか。 今日はまどかと遊んできたんだろ? 楽しかったんじゃないのか? …。 …。 …おめでとうって、言われた。 ああ。 あたしも言われたな、それ。 …今度お祝いのパーティーしようって。 パーティーか。 懐かしいな、それ。 …。 …ほむらか? ……違うよ。 いたんだろ、ほむらの事だから。 あいつはまどかのいるとこには大抵、いるからな。 違うの。 じゃあ、なんなんだよ。 …。 しかめっ面してて。 飯が まずくなる? ごめんね、こんな顔で。 …。 …。 …はぁ。 話したくないなら、無理には聞かねぇけど。 言いたいなら、はっきり言え。 じゃないと、分からない。 ……。 …さやかが不機嫌なのは、あたしは嫌だ。 飯だって、お前と楽しく食べたい。 お前がそんなんだと、あたしは楽しくない。 うまい飯だって、味が良く分からなくなる。 …。 あたしが原因なら、尚の事、話してくれないと分からない。 あたし、何かしたか? …。 さやかの飯はうまいんだ。 何よりも、うまいんだ。 だから、さやか。 …嫉妬、した。 は? …だから、嫉妬。 ……え、と。 …まどかに。 ……なんでだよ。 …なんでもよ。 ほむらの事じゃないのか…。 …それも少しある。 あー……。 ……まどかね。 うん…。 …楽しそうに、嬉しそうに、あんたの事を話したの。 …。 …ああ、本当に好きなんだなぁって。 思ったら…ちょっと。 まどかは。 …。 お前の嫁、だからな。 …は? でも、それは 杏子、何言ってるの? 何って。 お前、良く言ってたろ? まどかはあたしの嫁だって。 …。 だから、 あたしは、まどかに、嫉妬、したの。 …。 …杏子はまどかのじゃないのに。 あたしの…旦那さん兼嫁なのに。 あのな、さやか。 …。 まどかの好き、は。 お前のそれとは、多分、違うと思うぞ。 …そんなの。 その、なんだ。 まどかが好きなのは …それも気に入らない。 ……。 うー…。 …しょうがねぇなぁ。 ……。 カレー、もう一杯食うからな。 …うん。 なぁ、さやか。 …なに。 さやかの飯がうまいのは。 …。 さやかの腕によるところもあると思う。 けど、な。 …。 あたしが…さやかの事、好きだって。 それも、あると思うんだよ。 …。 …あと、さやかが嫁になってくれたから、余計。 ……。 それから、さやかと食ってるから。 一人で食べるとな、それはもう味気ないもんなんだ。 …前、聞いた。 だから、さやか。 …。 …お前は可愛いよ。 まどかよりも…その、あたしはさやかが可愛いと思ってるよ。 ……。 …さやかのカレーはいつもうまいな。 明日も食おう。 …杏子。 ん…? …今度は牛すじカレー、作る。 マジか。 楽しみだな。 …鶏肉たっぷりのシチューも。 おう! ……杏子。 なんだい、さやか。 …好き。 …。 …杏子はあたしの嫁だからね。 そんなの、当たり前だろ。 他の誰かのになんて、なるつもりはねぇよ。 …。 …お前も、あたしの嫁だからな。 ……じゃあ、言って。 言う…? …あたしの事、好き? …。 …。 …好きだよ。 もっと。 好きだ。 もっと、心を込めて。 好きだ、好きだよ、さやか。 ……まどかより? …。 …。 …そうだよ。 …! あたしはまどかよりも、さやかの事が好きだ。 ……。 …さぁ、食べようぜ? ……ごめん、杏子。 今度はなんだい…? …あたし、酷い事言わせた。 ……。 …酷いなぁ、あたし。 言っとくけどな、さやか。 あたしだって、面白くなかったんだからな。 …。 お前がまどかは可愛いなぁ、とか、あたしの嫁だ、だとか! 言うたび、面白くなかったんだからな! …そうなの? そうだよ、ばか。 …初めて、聞いた。 言えるか、そんな事…! ……。 …だから、しょうがねぇだろ。 好き、なんだから。 ……。 …ほら、カレー食えって。 …。 ……。 …ねぇ、杏子。 ん…。 …カレー、おいしい? うん、うまい。 …へへ。 やっと笑ったな。 …。 お前の笑った顔…好き、だからな。 …うん。 あたしもあんたの笑った顔、好き。 あと、ごはん食べてる時の顔も好き。 …。 かわいい。 …そんなもんか。 うん、そんなもん…。 ふぅ…。 ……。 …んー。 …。 来いよ、さやか。 …いい? と言うか、来い。 …うん。 ……。 …明日は、非番だね。 ああ…。 …明日はゆっくり、寝てる? そのつもりだけど…。 …あたしも、そうしたいな。 学校、あるだろ…? …ある、けど。 だったら、行かないとだめだろ。 …何よぅ、いつからそんな真面目ちゃんになっちゃったのよぅ。 さやかに出逢ってから。 …悪態ばかり、吐いてたくせに。 さやかを養おうと決めた時から。 …それ、初耳なんだけど。 そんなつもりだったの…? …。 …ああ、だから。 …。 高校行かないなんて、言ったんだ…。 …さぁ、な。 ばか。 …結局、行っただろ。 定時制、だけど。 本当は一緒に行きたかったんだからね…。 …。 …修学旅行とか。 杏子と一緒に行きたかったんだから…。 …どこ行ったんだっけか。 ……。 …今度、一緒に行こうか。 本当? …休み、取るよ。 年休、残ってるし…。 嬉しい…! …さやか。 絶対、だからね。 …おう、絶対だ。 ……ふふ、新婚旅行だ。 ……。 …杏子、あの頃より随分と丸くなったよね。 丸く…? …喧嘩、あまりしなくなったし。 と言うか、一方的にあたしばかり怒ってるような気がする…。 あたし、そんなに太ったか? …いや、そうじゃなくて。 ん…さやか。 …ちょっと、物足りないかも。 ……。 …でも今の杏子も好きだから、いいとする。 ……。 …ね、明日お休みなんだよね。 ああ、そうだよ…。 ……じゃあ。 …。 …これ以上、言わせないで? 分かってるよ…。 …良かった。 ……。 …ん、きょうこ。 さやか…。 …もしかして、ここで? だめかい…? …でも。 ちょっと、我慢出来そうにない…。 ……あ。 さやか……。 …きょうこ…きょうこ……。 ……。 …ね。 ん……。 ……でんき、けして。 はずかしい…。 ……さやかのかお、みたい。 ばか…。 ……さやかは、かわいい。 かわいいな…。 ……ばか。 ……。 あ……は…、…ぁ。 〜〜〜♪ ……。 ……。 ……。 …きょうこ。 ……。 …けいたい。 ……そのうち、なりやむ。 そうだけ…あん。 …あしたでいい。 でも…。 …そんなもんより、あたしにしゅうちゅうしろ。 …。 …して。 う、ん…。 〜〜〜〜♪ …。 …。 ……さやか。 ん…。 ……。 ……。 〜♪〜………。 …ほら、な。 ね…やっぱり、でんき…。 …。 ……いじわ 『〜〜〜〜〜〜♪』 …。 …。 ……うぜぇ。 …きょうこのも、なってる。 くうき、よめよ…ばかやろう。 …けいたい、だし。 かるくこわしてやりたくなった…。 …だめでしょ、それは。 あー……。 …たぶん、だけど。 …。 …でたほうが、よさそう。 ……たいしたようじじゃなかったら、ぶっとばしてやる。 …。 ん、さやか…? …つづき、あとでね? …。 …なえちゃった? んなわけ、ねーだろ…。 …じゃあ、あとで。 ね…。 『Ciao!』 チャ、チャオ…。 「Quanto tempo, come stai?」 あー…はい、杏子もあたしも元気です。 「Anch'io sto bene, Grazie。A proposito, 」 あー……。 あのな、こっちは今何時だか分かってるか。 あーもういい、とりあえず日本語で話せ。 「io lo sentii un piccolo, voi vi siete sposate vero?」 え、えと…。 「Perché non mi dicesti?」 ……はい、すみませんでした。 さやか、代わってくれ…。 「…もしもし?久しぶりね、元気だった?」 はい、あたしも杏子も元気です。 「“お取り込み中”だったかしら?そうしたら、ごめんなさいね?」 …いえ、お構いなく。 マミさんも元気そうで何よりです。 「ありがとう。…なぎさ、もう良いわよ?」 ……杏子、お疲れ。 「ところで、美樹さん?」 あ、はい。 「あの話は本当なのかしら?」 あの話、と言いますと…? 「そう、惚けるつもりなのね?」 そ、そういうつもりでは。 えと、ちゃんと報告するつもりだったんですけど 「それで?」 …先日、あたしは杏子のお嫁さんになりました。 「うん、おめでとう。」 …ありがとうございます。 すみません、事後報告になっちゃって。 「本当だわ。しかも又聞きだなんて。」 まどかから、ですか? 「他に誰かいるかしら?そもそも暁美さんはあまり連絡をくれないし。 貴女達は貴女達で自分達の事でいっぱいのようだし?」 …本当にすみません。 「でも、そう。ようやく叶ったのね。」 …はい。 「本当におめで…あ、なぎさ。」 「おめでとう、なのです!!」 あ、うん、ありがとう。 「でもちゃんと知らせてくれないと、マミがご機嫌ななめになって困るのです。仲間はずれになったって。」 うん、ごめんなさい。 「分かればいいのです。」 …はい。 「もう、なぎさは。ごめんなさいね、美樹さん。」 …こちらこそ。 「結婚式はするの?まさかしちゃったなんて事、無いわよね?」 まだ、です。 と言うか式をするかは 「しないの?そんなの、駄目よ!」 だめ、ですか…? 「そうよ。ウェディングドレスなんて女の子の憧れじゃない。」 …いや、あたしは、そうでも。 お金もかかりますし…。 「お金の問題じゃないわ。」 …いや、かなりの問題ですって。 それにあたしは杏子とずっと一緒にいられるなら、それだけでいいし…。 「兎に角、だめ。」 …杏子、代わって、お願い。 「ああ、丁度良いわ。佐倉さんに代わって。」 杏子、代われって…多分、拒否は許してくれないと思うよ。 「……。」 ……。 「佐倉さん、久しぶりね。」 …おう。 「もう少し、連絡をくれても良いと思うのだけど。貴女の性格上、小まめにとは言わないから。 特に今回の事は誰かの口からじゃなくて、貴女の口から聞きたかったわ。」 …黙ってるつもりじゃなかったよ。 「でも結果的に、連絡してくれなかった。貴女は昔からそう、大事な事をあまり話してくれない。 教育、どこで間違ったのかしら。」 …と言うかさ、マミ。 「何かしら?」 時差ってのがあるのだろ。 「だから?私が日本にいた頃から、貴女の連絡くれないクセはあったけど?」 ……。 「しあわせに、出来るの?」 …は? 「美樹さんの事。責任、持てるの?」 …。 「貴女達がお互いをとても大切にして想い合ってるのは、私も知っているつもりよ。 殊更、美樹さんの貴女への想いはとても深いものがあるわ。そう、まるで運命の相手とでも言うように。」 …何が言いたい。 「中途半端な」 そんなんじゃねぇ。 「…言いたくはないけれど。美樹さんにお願いされて、仕方なく」 マミ。 「女の時間は男のそれとは違うわ。もしも生半可な気持ちで美樹さんと一緒になるつもり…いいえ。 もうなってしまっているのよね。だったら」 どういう意味だ。 事と次第によっては 「やり直すにはお互い、早い方が良いと言う事。ただ、それだけ。」 あたしは離すつもりはねぇよ。 「……。」 …生半可な気持ちでさやかを嫁に貰うなんて言えるか、ふざけんな。 「ちゃんと考えたのね。勢いではなかったのね?」 ……それ以上言ったらマミ、あんたでも許さねぇぞ。 「そう。だったら、良いわ。おめで」 「おめでとう、なのです!!!」 …うぉ。 「しあわせにならないと、だめですよ。じゃないと、怒っちゃいますからね?」 …もう、なってるよ。 「もっと、なのです!さやかはずっと、ずぅっと待ってたんですよ。」 …分かってるつもりだよ。 「つもりじゃ、だめなのです。大体、杏子はにぶちんだから始末が悪いのです。」 ……。 「おまけにやるコトはやってるのに、肝心なことはだめだめで。そういうのをカイショーなしと言うのです!」 ……おい、教育者。 「…佐倉さんとは違って、素直に育ち過ぎてしまって。」 …。 「佐倉さん。」 …うん。 「おめでとう。」 ……するよ、しあわせに。 「貴女もなるのよ。貴女もならないと、意味がないでしょう?」 …。 「美樹さんは貴女と一緒にしあわせになりたいのだから、ね?」 …うん、マミさん。 「あら。」 …あ。 「うふふ、久しぶりねぇ。昔の今よりかはまだ素直だった貴女を思い出すわ。」 う、うるせぇ。 「何にせよ、もう少し連絡は頂戴ね。こちらにいると、どうしても疎遠になってしまいがちで。」 なぎさがいるから、寂しくはないだろ。 「ええ。でもね、やっぱり皆とも会ってお茶を飲みながらお話したいのよ。」 …遠いから、仕方ねーな。 大体、終われば帰ってくるんだろ。 「そうだわ。貴女達、新婚旅行にはこちらに来なさいな。歓迎するわよ。」 …新婚、旅行? 「そうよ、それが良いわ。鹿目さんと暁美さんも誘って、こちらに遊びに来れば良いのよ。案内してあげるわ。」 て、それじゃ新婚旅行にならないだろ。 「大丈夫。二人の時間は尊重してあげるから。」 …あのなぁ。 そんな時間も、金もねーよ。 「そう言えば、指輪は?」 …は、指輪? 「大事でしょう?」 ……。 「贈ってないのね。」 …ちゃんとするつもりだよ。 「本当に勢いだけじゃなかったのよね?」 当たり前だろ! 「…ふふ。」 何だよ。 「いいえ。良いわ、美樹さんに代わってくれる?」 ……さやか、代わってくれって。 …。 …。 …さやか、今なんて言った。 …。 さやか。 …あなたが、好き。 ……。 だから、あたしを…あんたの、恋人にして欲しいの。 …なに、言ってんだ。 …。 …大丈夫か? 駄目だったのかもしれない。 …。 …あんたと出逢った時から。 ううん、この世界で出逢う前から…。 …出会う前って。 そりゃ、いくらなんでも…。 …あたしにはこの人しか、いない。 あんたを初めて見た時、そう思った。 強く、思ってしまった。 さやか…。 …あたしは、この人に必要とされたい。 あたしは、この人に愛されたい。 あたしには、杏子、あんたしかいない…。 …。 あたしは、あんたが、好き。 好きなの…。 ……。 ……。 …悪い、さやか。 ……。 あたしには…あんたが正気で言ってるのか、判断出来ない。 だって、そうだろう? あたしは 女。 あたしも。 …。 …分かってる、痛いくらい、分かってるの。 でも、好きなの。愛してるの…。 …それは。 誰かの代わりなんかじゃない…。 だってあたしは…この世界に生まれ変わるずっと前から、あなただけを見ていたと思うから…。 …さやか。 ごめんね…杏子。 気持ち悪い、よね…。 ……。 …でも、どうしようもないの。 想いが溢れてくるのを、止められないの…。 ……。 …あんたが、あたしを好きにならなくて。 そもそもあたしが告白する事で、友達でさえ、なくなってしまって。 …。 あんたが、あたし以外の誰かを好きになって…あたしの手の届かない、遠いどこかに、行ってしまったら。 あたし、耐えられそうにない…絶対に、耐えられない……。 さやか…。 杏子があたしじゃない誰かと、眠る夜なんて…。 そんなの、いや…いやぁぁ。 …。 …だから、その時は。 お願い、あたしを殺して…。 な…。 …だって、生きていたくないの。 あなたがいない世界でなんて…生きられない。 …ばかな事、言うな! …。 …言うな、さやか。 ……。 …ねぇ、杏子。 …。 …あたしらしい、って何だと思う? あたしでも、持て余してるのに。 どうしようも、ないのに。 ……。 …ずっと、我慢してたんだよ。 う…。 …ずっと、触りたかった。 ずっと、触って欲しかった…。 ……。 …ねぇ。 眠ってるあんたを、あたしがどんな目で見てたか…分かる? …さやか。 この手が、この指が…あんたのものだったら、って考えては。 あたしが、何をしてたか…分かる? …もう、いい。 うちで暮らせばいいなんて、言って。 本当はあたしがあんたの傍にいたかっただけ。 あたしの手の届かない場所にいて欲しくなかっただけ。 もう、いい。 …好きなの。 愛してるの…。 ……。 …抱き締めて。 キス、して…。 ……。 …出来ないなら、殺して。 苦しいのは、もう…耐えられそうに、ない。 …一つ、教えてくれ。 …? どうして、あたしなんかを好きになった…。 ……。 あんただったらあんな甲斐性なしの坊やじゃなくても、他に、いいヤツが出来る筈だ。 なのに。 ……。 …どうして、だ。 どうしてあたしなんか…。 あなたが佐倉杏子だから。 …。 …だから。 なんだよ、それ。 …。 …それって、まるで。 運命みたい…? …そんなもの。 ……。 運命なんて! そんなもの…!! …ない。 だったら…。 …杏子が、好き。 …ッ。 他でもない、あなたが…好き。 ……。 …答え、教えて。 どんな答えでも、構わないから…。 …もしも。 …。 あたしが、あんたを好きじゃないって言ったら。 …そう。 それじゃあ、仕方ないね…。 …。 …殺してなんて、言ったけど。 本気にしなくても、いいから…。 …! 聞かなかったことに 出来るかよ…! …ぁ。 ……。 きょう、こ…。 ……ばかやろう。 きょうこ…きょうこ…。 …。 すき……だいすき…だから、おねがい…もうすこし、このままで…。 …あたしは。 …。 ……あんたと、いたかった。 いつからか、そう、思うようになった…。 ……。 だけど…。 ……あたしの、せい。 …。 …あたしが好きなんて、言ったから。 ああ、そうだよ。 全部、あんたのせいだ。 …。 …あんたが、ばかなことを言い出さなければ。 あたしは、自分の気持ちに気付かずに済んだんだ。 …じぶんの、きもち。 いつか来るであろう別れだって、多分、普通にこなせたんだ。 だって、離れるつもりだったんだ…。 …しってる。 ……。 …? きょうこ、ないてるの…? どうして…? …あんたの、せいだ。 なかないで…あやまる、から。 だから…。 …本当に、好きなのか。 …。 本当に、あたしの事…あたしなんかが、好きなのか。 …うん、好き。 大好き…。 …。 …キス、して欲しい。 抱き締めて、欲しい。 それ以上の事も…あなたと、したい。 ……ばか。 …。 …恥ずかしいこと、言うな。 かわいい…。 …おい。 ……きょうこ。 …。 あいして、る…。 …あたしで、いいのか。 きょうこじゃなきゃ、いや…ほかのだれかなんて、いらない…。 ……。 …。 ……分かった。 答えを、やる…。 ……。 …もしも、あたしがあんたを殺す時が来るとしたら。 それは、あたしが死ぬ時だ。 …え。 一緒に、死んでやる。 …。 …独りぼっちは、寂しいからな。 あ、あぁぁ…。 …だけど、そんな時は来ない。 来させない。 …ぁぁ。 ……あんたは、今から。 …。 あたしの…恋人、だからな。 …きょうこ、…きょうこ、…きょうこぉ。 ……好きだ、さやか。 あぁぁ、ぁぁぁぁぁ……。 ……。 ……。 …さやか、大丈夫か。 え…。 …ぼんやりしてる。 うん、ちょっと…。 …ちょっと、なんだよ? あんたに告白した時の事、思い出して…。 …。 …我ながら、重たい女だなーって。 若気の至りどころじゃないよねぇ…。 ばーか。 …いた。 重たくなんか、ねーよ。 むしろ、心地いいくらいだ。 …ほんと? 二度は言わね。 …けち。 なんか、疲れたな。 …でも、出て良かったと思う。 遅くなればなるほど、マミさん、寂しがったと思うし…。 …言わないつもりじゃ、なかった。 けど、あっちは 距離も時間も、言い訳にしてはいけない。 て、なぎさあたりに言われちゃうかも。 …あのちび、口ばかり達者になりやがる。 …。 …ん、さやか。 結婚式、だって…。 …ああ。 結婚式、かぁ…。 …したいか? あたし、ね…杏子のお嫁さんになれて、それで願いは叶っちゃったの。 …。 …恋人に、なれて。 今は、杏子のお嫁さん…に、なれて。 …。 …杏子が、してくれて。 だから。 …したいから、したんだ。 ん…。 …したくないヤツだったら、してない。 欲しいなんて、思わない…。 …うん。 ……。 …なんとなく、生きて。 なんとなく、結婚して。 なんとなく、子供を産んで。 なんとなく、年をとって…。 …。 …でも、好きな人とだったら。 心から、愛してる人と…生きて、いけるなら。 …子供は、やれない。 ……。 …後悔、しないか。 しない…するわけ、ない。 …さやか。 杏子こそ、いい…? 子供…。 …お前の子じゃなきゃ、いらないよ。 ……。 …なぁ、さやか。 なに…。 …あたしは、お前が好きだから。 …。 勢いとかじゃない。 流されてなんかもいない。 …。 …お前が、好きだから。 ありがとう…杏子。 そういう真面目なとこも、好き…。 …。 あ……。 …さっきの、つづき。 やっぱり、ここで…? …いったろ。 ほんとだったらがまんなんて、できなかったんだ…。 ……きょうこ。 ちゃんと、つれてってやるから…。 …ぜったい、ね。 おう…。 …ね、あたしもしたいな。 …。 だめ…? …いいよ、してよ。 ふふ、やった…ぁ。 ……さやか。 も、う…。 …まって、まだ……んん。 …いたい? だいじょう、ぶ…だけ、ど。 …ん。 もぅ…せっかち。 ……さやか、…さやか。 …や、つよ…。 ……。 …ぁ、…ぁッ、…っ。 ……はぁ。 ね、ぇ……。 …。 ……うれし、かった。 …。 おめでと、う…て、いって、もらえ…んんっ。 ……。 ……きょ、う…こ。 …。 ……あした。 …。 やっぱり、やすんじゃおうかな…。 きょうこといっしょに、ごろごろしてたい…。 …。 …ねぇ、いいでしょ。 おくっていくよ。 …。 …むかえにも、いく。 そんなに、いやなの…? …そんなこと、いってない。 だったら、いいじゃない…。 …。 …ねぇ、いっしょにごろごろしよう? あした、いきたいところがある…。 …どこ? あたしもいっしょにいく…。 …。 …デート、ね? がっこ…。 …。 …いくのが、おまえのしごとだろ? む…。 …だから、いけ。 やぁだぁ、きょうこといっしょにいたい…ごろごろ、したい。 …だだ、こねるなよ。 だってぇ…。 …て、なくほどのことか。 ……。 …しょうがねぇなぁ。 だったら、いい? …すきに、しろ。 ん、すきにする…。 …ちゅうがくのころはひとにあれだけ、さぼるなっていってたヤツがなぁ。 だってあのときは、きょうことおなじがっこうにいってたからだもん…。 …。 …いっしょに、いたかったの。 おべんと、いっしょにたべたかったの。 …ああ、きいたよ。 ふふ…。 …くすぐったいよ、さやか。 ねこみたいだ…。 …にゃぁ? ……。 ……。 …でもあとでさわいだって、しらないからな。 だいじょうぶ…あした、は。 …。 ……。 …? さやか…? …いかないと、だめだった。 ……。 あしたのひっしゅう、さぼれない…。 …そうか。 なんで、あした……。 …むかえに、いくよ。 ぜったいだからね。 ぜったい、きてね。 ああ、ぜったいだ。 じゃあ、やくそくのあかしにキスして。 …。 …して。 さっきまで、してただろ…。 …さっきまでのとは、ちがうの。 さっきまでのは…あいしあうための、キス。 …。 …いましてほしいのは、やくそくのキス。 ぜんぜん、ちがうの。 …。 …。 …やくそく、な。 ん…やくそく。 …。 ね、きょうこ。 …うん? きょうこがいきたいとこって、どこなの? ああ。 みせだよ。 なんの? たべもの? いや、ちがう。 へぇ、めずらしい。 まぁな。 がっこう、おわったら。 いく? ……。 きょうこ? …そうだな、そうするか。 もしかして…ひとりで、いきたかった? ん…いや、さやかといっしょのほうがいいな。 あたしはそういうの、よくわからないから。 そういうのって…どんなの? …。 ねぇねぇ。 …。 え、なぁに…? …あしたになれば、わかる。 えー…。 …とにかく、あしたな。 ……。 さやか。 …ほんとに、わかる? わかるよ。 …わかった。 じゃあ、がまんする…したくないけど、がんばってする。 …。 …だから、たいやきひとつ。 ねこ、だけに。 …ねこはたいやき、くわねーぞ? さやかにゃんこはたべるのだ…。 …。 …にゃぁん? ……。 …おかわり? ……。 …あした、おきられなかったら。 きょうこの、せい…だから、ね。 後編 |