う…ぅ…あぁぁぁぁぁん! ……。 あぁぁ、あぁぁ! ……。 うぁぁぁぁ!うあぁぁぁ! ……。 おっかしいなぁ、さっきまでご機嫌だったのに。 マミまでは、笑ってたよな? あぁぁぁぁ!あぁぁ! ……。 ほ、ほむらちゃん、兎に角笑いかけてあげて? ね、マミさん。 そ、そうね。 暁美さん、笑って? もっと顔を柔らかく… ……。 ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…! ……。 …あぁ。 う、うーん……。 ほむら、笑った方が怖いとかどうなのよ。 と言うか、無理してるのがなぁ。 ……まどか。 あ、う、うん、代わるね。 ……。 大丈夫、大丈夫…ほむらちゃんは怖い人じゃないから。 だから、泣かないで…ね。 …ふぇ、……、……。 よしよし…いいこ、いいこ…。 ……。 うーん、流石はまどかってとこ? まどかは弟がいるんだもんな。 良く見てたのか? うん。 じゃあ、慣れているのも頷けるわね。 抱っこの仕方なんて、本当に手慣れているもの。 そんなこと…。 ……。 あ、ほむらちゃん。 …私がいるとまた、泣いてしまうかも知れないから。 そ、そんなことないよ。 ほむらちゃんはまだ、慣れてないだけだから。 ……。 だからさぁ、ほむら。 その気難しそうな顔が駄目なんだって。 とりあえず、眉間の皺をなんとかする。 ……。 まぁ、なぁ。 急に変われって言われても難しいだろうからなぁ。 ……。 え、と…暁美さん、大丈夫よ。 屹度、ね? ……。 ほむらちゃん…。 まどか、まどか。 え、なに、さやかちゃん? あたしに。 うん。 じゃあ…ママのところに行こうね。 良かったねぇ、まどかに抱っこしてもらって。 ちょっと眠たそうだな。 ほむら、ほむら。 ……。 ほい。 …ちょっと、さや ふぇぇぇ……。 ……。 だーかーら、硬いんだって。 …美樹さやか、貴女、分かってやってるでしょう。 うん、勿論。 それからあたしはもう、美樹じゃないよ。 …杏子。 自分の子供を泣かせてる嫁をなんとも思わないの。 いや、泣かせてるのはほむらだろ? ……。 ほ、ほむらちゃん…。 …良いのよ、まどか。 私は別段、気にしていないから…。 いや、かなり気にしてるよね。 してるよな。 も、もう。 止めてあげて、さやかちゃん杏子ちゃん。 ……。 そ、そうだ。 暁美さん、良かったらお茶を淹れるのを手伝ってくれないかしら。 ね? ……分かったわ、マミ。 ねぇ、ほむら。 …何、さやか。 あんたはさ、根っこは多分優しいんだろうから。 ただ無駄に不器用なだけで。 …だから何。 下手な慰めは不要よ。 慰めなんか、してないし。 ……。 ほむら。 …何、杏子。 ちょっと待っててくれよ。 …待つ? 何を待てと言うの? そのうち、分かるさ。 今 日 さやかちゃん、躰の調子はどう? うん、大分ね。 そっか、良かった。 でも、あまり無理しないでね。 ありがとう、まどか。 えへへ。 さやか。 うん、なぁーに? 顔色が、あまり良くない。 え、そうかな。 少し疲れたんじゃないか。 久しぶりに皆と会うのに、昨日から、はしゃいでたからな。 自分ではそんなに感じてないんだけどなぁ…。 それが一番、怖いんだよ。 さやかちゃん、疲れたなら横になって。 大丈夫、なんだけどなぁ。 さやか。 さやかちゃん。 …まぁ、杏子とまどかが言うなら。 杏子、ちびの事は わたしに任せて、さやかちゃん。 …おお。 なんだかまどかが凄く頼もしく見える…流石はあたしの嫁…。 もう、さやかちゃんのお嫁さんは杏子ちゃんでしょ? …えへへ、そうでした。 さやか、枕持ってくるか? うーん…そうだなぁ。 …と。 杏子がなって…? ……。 ちびは、まどかが見てくれるって言うし…。 …しょうがねぇな。 まどか、悪いけど頼まれてくれるか? うん、任せて。 ありがとな、まどか。 ううん、いい あ、でも。 …うん? なに、さやかちゃん? マミさんのお茶は飲みたい。 飲んでから、休みたい。 …さやか。 だってぇ、久しぶりなんだもん…楽しみだったんだもん…。 だったらとりあえず、お茶が来るまで横になってればいい。 それならいいだろう? うん…それなら、いい。 …ん、ちょっと熱いか。 休んでれば、へーき…。 …無理はするなよ。 うん…分かってます。 ……。 えへへ。 …ん? まどか、どうした? さやかちゃんと杏子ちゃん、らぶらぶだなぁって。 …そりゃあ、勿論ですとも。 ……そう、見えるか。 うん、凄くね。 …見えるも何も、見えない方がどうかしているわ。 まぁまぁ、暁美さん。 二人は新婚さんなのだから。 ……。 出来ちゃった婚なんて、なんとなく二人らしいと思わない? …計画性が無いだけだと思うわ。 ふふ。 それにしても佐倉さんの体調、まだあまり良くないのかしらね。 …そうかも知れないわね。 まぁ、佐倉さんが傍にいるから… 呼び方、改めた方が良いと思うわ。 …そうなのだけど。 今更下の名前で呼ぶのも…て。 変な所で気を遣うのね、貴女。 …そういうわけでは無いのだけれど。 ……。 ……。 ……。 …子供。 ……。 …やっぱり、二人の佐倉さんの魔力が混じっているのね。 …二人の魔力が交わった結果だから。 …。 …。 …でも、安心したのよ。 安心…? 暁美さん、言ってたでしょう? 普通の子供じゃないかも知れないって。 …。 でも…普通の赤ちゃんだった。 …まだ、分からないわ。 …。 …未だ、普通かどうかは。 もう、暁美さんは…。 …。 そんな難しい顔ばかりしているから、泣かれちゃうのよ? 赤ちゃんは敏感なんだから。 ……。 やっぱり、気にしていた? …マミ、そろそろ良いんじゃないかしら。 うん? …蒸らす時間、これ以上だと渋くなってしまうわ。 ああ、そうね。 はぁぁ…やっぱりマミさんが淹れてくれる紅茶は最高っすわぁ。 ふふ…ありがとう、佐倉さん。 杏子もなぁ、もうちょっとなぁ…? だったらもう、淹れてやらない。 えー、それはやだー。 あたしが淹れたのじゃ不服なんだろ? だったら寧ろ、さやかがあたしに淹れてくれればいい。 淹れてあげてるじゃない。 マミのようにはいかないけどな。 と言うか、マミさんの紅茶はマミさんにしか淹れられないし。 だろ。 だから、これからも淹れてね? さやかもな。 うん。 はいはい、仲が良いのは分かったから。 お代わりはいる? はーい、お願いしまーす。 さやか、あまり調子に乗って飲み過ぎるなよ。 分かってますって。 そう言えば、佐倉さん。 はい、なんでしょう? なんだ? …え、と。 美樹さんだった方の佐倉さん。 マミさん、紛らわしいから下の名前で呼んでくれてもいいんですけど。 そうは思ってはいるのだけどね…なんと言うのかしら、ずっとそれで来ちゃったから。 今更、変え辛くて。 マミは考え過ぎなんだよ。 そうは言うけれど…慣れって恐いものなのよ? じゃあいっそ、美樹でいいですよ。 マミさんだけ特別です。 うーん…なんかそれも、ね。 折角、籍を入れたのだし…。 マミは面倒くせぇなぁ。 面倒で悪かったわね、佐倉さん。 さやかも佐倉だけどなー。 全く、ああ言えばこう言って。 ねぇねぇ杏子、あたしとどっちが面倒くさい? あん? そりゃ、さやかだろ。 そうなの? そうだよ。 あたしはさやかだけで手一杯なんだ。 それってあたしだけでいいってこと? さぁ、どうかねぇ。 あ、そうなんだ。 そうは言ってない。 へへ、杏子ー。 こぼすぞ、さやか。 新婚さん、ね…。 ……ばか夫婦。 ほむらちゃん、見て見て。 …なに? 寝ちゃった。 …本当ね。 ほっぺた、柔らかい…。 手も、こんなに小さい…。 …。 タツヤもこんなだったなぁ…。 ……。 赤ちゃんってやっぱり、可愛いね。 …然うね、まどか。 ほむらちゃんはさ。 な、なに。 小さな子供って、苦手? …え。 緊張、してるから。 触れる時、いつも。 …。 だから、そうなのかなぁって。 …苦手と言うより、どうして良いのか分からないの。 分からない? …私、一人っこだったし。 親戚も…小さい子、居なかったから。 …。 …それに“昔の私”は、入退院の繰り返しだったから。 そっか…。 ……。 …ね、ほむらちゃん。 なに…まどか。 杏子ちゃんとさやかちゃんの赤ちゃん…可愛いね。 ……。 ほむらちゃん…? …然うね。 可愛いわね…。 ふっふっふぅ。 聞いた、聞いちゃったぞぅ、ほむらぁ。 ……馬鹿が来たわ。 ほ、ほむらちゃん…。 おうよ。 バカとはあたしの事だ、暁美ほむら。 …さやかちゃん。 ……。 で。 あたし達の子が可愛いって? …杏子、貴女の嫁が無駄に絡んできて鬱陶しいわ。 あぁ、適当に流してやってくれ。 ちょっとはしゃいでるだけだから。 ……。 可愛いでしょう? …寧ろ、将来が心配だわ。 んん、それはどういう意味かなぁ? 貴女の馬鹿が遺伝しているか否か。 杏子にも似てるんだけどなー。 ほら、目元なんかそっくり。 …面倒ね、相変わらず。 ねぇ、ほむらさ。 …何。 可愛いもんだよ、子供って。 …。 杏子と自分の子だからってのもあるんだけど…見てて、本当に飽きないの。 ま、大変だけどねぇ。 ……。 あんたはさ、もうちょっと他のものと関わった方がいいと思うのよ。 世の中、まどか以外のもので溢れてるんだから。 ……貴女だけには言われたくないわ。 と、言うわけでぇ。 まどか、あんたんとこも一人どう? え、わたし? そうそう。 え、えと…。 杏子、貴女の嫁がいい加減鬱陶しいわ。 あーはいはい、今行くよ。 マミ、さやかにお代わり淹れてやってくれ。 ええ、分かったわ。 佐倉さんは? ああ、貰うよ。 あぁ、マミさんのごはんもやっぱりおいしぃぃ。 ありがとう。 佐倉さん、お代わりならあるからいっぱい食べてね。 はい、喜んで! いや、今のはあたしに言ったんじゃないのか? いやいやぁ、あたしでしょう。 ねぇ、マミさん? ふふ、私はどちらの佐倉さんにも言ったのよ。 でもそうね、どちらかと言うと赤髪の佐倉さんの方かしら。 ほらな? えぇ。 調子に乗って食べてると、また、気持ち悪くなるぞ? だってぇ、美味しいんだもん…。 良かったら作り置き、しておくから。 温めて食べてね? わぁい、ありがとうございます! やれやれ、食い意地張ってるなぁ。 それ、杏子だけには言われたくないんだけどー? …要はさやかが杏子に似てきたのね。 夫婦は似るって良く言うもんね。 そう、それ! たまにはほむらも良い事言うねー? ふむ、褒めて遣わすぞ。 …杏子、このテンションはいい加減、疲れるわ。 言ったろ? はしゃいでるだけだから適当に流してくれって。 でも、マミさん。 なぁに、鹿目さん。 なぎさちゃん、今日も忙しいんですね。 ああ、そうなのよ。 委員会やら部活やらで、最近は特にね。 今日も本当に残念そうだったわ。 ところで、マミ。 何かしら? さっき何か言いかけただろう? さやかの事で。 …ああ。 あたしの事? あたしの事って何ですか、マミさん。 …ええ、と。 佐倉さん、甘いのは食べられるようになったかなって。 ほら、妊娠してる時はほとんど食べられなかったでしょう? 子供が生まれてからも、暫くは体調、崩していたみたいだし…。 ああ、それなら、 ………うー。 まぁ、最近もこんな感じだよ。 …そう。 もしかして、何か作ってきたのか? …いいえ。 でも、食べられるようなら…何か簡単なものでも作ろうと思って。 材料、持ってきたのだけど…。 じゃあ、作ってくれよ。 さやかの分はあたしが食うから。 杏子、ずるーい。 だって仕方ないじゃないか。 さやか、食えないんだから。 だからって、あたしの前で食べるつもりなの? 鬼、人でなし。 じゃあ、見てないところで… うーーー。 …はいはい、冗談だよ。 さやかが食えないのに、あたしだけ食うなんて出来ないよ。 本当に? ああ、本当に。 ちょっと待って。 その物言いだと、あれから本当に食べていないの? あの貴女が? ああ食ってないよ、ほむら。 さやかが気持ち悪かったりしてる時に、自分だけ食えないだろう? ああもう、杏子大好き。 さやか、食い物こぼれてるぞ。 粗末にしちゃ駄目だろ? ……あの目は本気だわ。 凄いね、杏子ちゃん。 うん、大した事じゃないさ。 さやかが頑張ってる事に比べればなんて事無い。 杏子ぉ。 ま、林檎は食ってるけどな。 林檎ならあたしでも食べられるもん。 ああ、そうだな。 さやか。 ……。 …え、と。 改めて、凄いね…。 ねぇ、佐倉さん。 はい。 うん。 アップルパイは、どうかしら? 林檎なら食べられるのでしょう? ああ、マミさんのアップルパイ! 食べたい! どうだろう。 実際は食えそうか、さやか。 うーん…実際のところは分からない。 食べたいけど…もしかしたら、受けつかないかもしれないし。 だ、そうだ。 …今度、作ってきてみても良い? 一応、甘さは控え目にするつもりだから…。 それは、喜んで。 でも… 良いのよ、その時はその時で。 でも、折角マミさんが作ってきてくれるのに…。 …やっぱり、迷惑かしらね。 迷惑だなんて。 ただ…。 皆で、食えば良いさ。 …佐倉さん? なぁ、まどか、ほむら。 うん。 ……。 なぁ、さやか。 …杏子。 マミ、あんたなら林檎の甘さだけで作れるだろ? ええ、出来るけど…。 それを頼むよ。 …分かったわ。 じゃあ、今度ね。 さやか、楽しみだな。 …うん、杏子。 そうと決まったら。 ごはんのお代わり、まだまだあるから! 佐倉さん、鹿目さん、暁美さん、いっぱい食べてね! ……。 杏子ちゃん、さやかちゃんは…。 疲れただけだ、大丈夫。 何しろ、昨日からはしゃいでいたから。 …どうしても、離れないのね。 まぁ、なぁ…ありがとな、ほむら。 毛布、持ってきてくれて。 …佐倉さん、本当に大丈夫なの? 産後の肥立ち、あまり良くなかったのでしょう…? これでも大分、落ち着いたんだよ。 魔力も安定してきたんだ。 …さやかちゃん、良く眠ってるね。 子供みたいだろう? …矢っ張り、似てるのね。 子供に。 当たり前だろ、親子なんだから。 …佐倉さん、貴女は大丈夫なの。 うん? 休む…眠る暇、ちゃんとあるの? あるよ。 長くは摂れないけど、それでもなんとかなってる。 …。 そんな顔、してくれるなよ。まどか。 …ソウルジェムは。 酷くは濁っていないよ、ほむら。 ……。 だからさマミ、たまにはこうやって遊びに来てくれよ。 さやかが喜ぶし、ちびも喜ぶ。 …佐倉さんは。 あたしも…まぁ、嬉しいからさ。 ん……きょぅ…。 あたしは、ここにいるよ。 さやか。 ……ん。 杏子。 …うん? これ。 …ああ。 予備、そんなには無いでしょうから。 …ありがとな。 私だけじゃ無いわ。 分かってるよ。 まどか、マミ、ありがとう。 わたし、決めたから。 わたしに出来ること、するって。 私達が出来る事なら、幾らでも協力するわ。 それでもあまり無茶はしないで。 …しないよ。 もう、あたし達だけじゃないんだ。 ……。 ちびが、いる。 さやかとあたし、二人で望んだ命があるんだ。 もう、無茶なんか出来ないし…しない。 …杏子ちゃん。 家族を失くすのは…辛いからな。 …佐倉さん。 はは、なんかしみったれちゃったなぁ。 折角久しぶりに皆…まぁ、なぎさはいないけど、揃ったって言う ふぇぇぇ…。 ん、起きたか。 わたしに任せて、杏子ちゃん。 まどか。 だから杏子ちゃんはさやかちゃんの傍に。 あー…。 もしかしたら、お腹が空いたのかもしれないわ。 私はとりあえず、ミルクの準備をしておくわね。 マミ。 貴女は佐倉さんと休んでいて? ……。 …私はおしめの用意を。 え、ほむらがおしめ…。 何。 …いや、助かるよ。うん。 どうして笑いを堪えているような顔をしているの。 いや、さやかに見せたかったなって。 …精々、貴女はさやかを甘やかしている事ね。 うん、分かった。 ありがとな、みんな。 ……。 ……。 …ねぇ、杏子。 ん…。 …幸せだね、あたし達。 そうだな…。 …。 …狸寝入りか? ううん…さっきまでは本当に寝てた。 …疲れたか? ん…少し。 …まぁ、しょうがないな。 でも、辛かったら我慢はしないでくれよ。 皆も分かってくれてるんだから。 うん…分かってます。 ……。 …ねぇ。 うん…? …しあわせ、だねぇ。 そうだなぁ…。 …みんなに、可愛がってもらえて。 うん…。 ……。 …だけどさ、どうしてほむらの顔を見ると泣くんだろうな。 初めてじゃないんだからもう少し、慣れてもいいと思うんだけど。 …そんなの、簡単だよ。 …。 ほむらが無駄に意識し過ぎてる…それがあの子に伝わってる。 ただ、それだけのこと…。 …じゃあ、意識し過ぎなければ? どうかなぁ…相性ってのがあるし。 相性か…。 …でもやっぱり、ほむら次第かな。 だな…。 …一人っ子にもさ、色々なタイプがいるわけよ。 十把一絡げじゃないの。 さやかとほむら、それから、マミ。 まぁ、同じじゃないよな。 …でしょ。 だけど…自分の考えを曲げないトコは似てるよな。 えー…。 ……。 ん、杏子…。 …もう少しだけ、皆に甘えてよう。 ……。 …もう少しだけ。 うん…。 ……。 …でも、どうしよう。 うん…? …なんとなく、言い辛いような。 ……。 …どうしよう、杏子。 ああ…うん。 どうするか…。 …でも、言いたいな。 …。 …言いたい。 じゃあ……言おう。 …。 …一緒にね、さやか。 うん…杏子。 …じゃもう少し、寝たふりしとけ。 うん…もう少し、杏子に甘えてる。 ……。 さち。 ……。 またお祈り、してるのかい? …あん姉ちゃん。 声、聞こえた? …さき姉ちゃん。 あたし達は先に行くから、戸締り、頼んだよ。 うん、分かった。 ごはんは出来てるから。 言われなくても分かってるだろうけど、粗末にはしては駄目だからね? うん、分かってます。 じゃあ、行ってくる。 行ってきます。 うん、行ってらっしゃい。 ぐずぐずするなよ、ウスノロ。 そっちこそ、ボンクラ。 ……。 …さち。 あ。 …。 …躰の調子は? えと、最近は大丈夫です。 …そう。 ……。 …お祈りの時間だったかしら? いえ…ちょっと見ていただけなので。 ……。 ……。 …矢張り、良く似ているわね。 …姉ちゃん達の方が似てますけどね。 そんな事は無いわ。 ん…。 …嫌になるくらい、バランス良く混ざっているもの。 ……へへ。 ほら、その笑い方。 …? 青い方にそっくり。 ……。 そして、その呆けた顔も。 …え、と。 苦手、だったんでしたっけ? いいえ? …はぁ。 ……。 …バランス良くって言いましたよね。 だったら ……。 …。 そろそろ、行くわよ。 …おう。 ……。 あ、いや…はい。 やっぱり、似てるわね。 …。 本当、腹が立つくらいに。 さっちゃんへ。 お元気ですか?私は最近、漸く…なんとか慣れてきました。 言葉もそうだけど、やっぱり食べ物が…ね。 最初はとても美味しかったのだけど、暫くしたらやっぱり、そちらの味が恋しくなってしまって。 特にお姉ちゃん達のごはんが食べたくて食べたくて。ああもう、お醤油って最高の文化だなぁ…なんてね。 私はどこまで行っても、日本人みたいです。 ああ、お母さんが作ってくれたあのお味噌汁が食べたいな…もう一度だけで良いから、食べたい。 えと、そちらは変わりはない?お姉ちゃん達は喧嘩してない? あの人達、痴話げんかのようなのばかり、繰り返すから。 ああ、皆の声が聞きたいな。パソコンを繋げば良いだけなんだろうけど、でも、会ってお話したいな。 そもそも私、パソコンとか苦手だし…。教えてくれるって言うんだけど、私が触るとなんでか知らないけど、固まっちゃうし…。 さっちゃんのお話も、何より声が聞きたいです。皆の声が聞きたい。 なんて、こんな事じゃだめだね。自分で決めてこっちに来たのだから、頑張らないと。 次のお正月は帰れそうにないです。だから、こんな手紙になっちゃったのかも…ごめんね。 私は、元気です。皆と一緒じゃなくて…ちょっと淋しいけど、でも、一人じゃないから、頑張れます。 さっちゃんもどうか躰には気を付けてね。風邪、ひかないように。 お姉ちゃん達にも宜しくお伝え下さい。 それじゃあ、またね。 あなたのお姉ちゃん、かなでより。 ……。 さっちゃん。 …あ。 お手紙? …うん、かなでちゃんからです。 そっか。 …元気にしてるって。 でも、こっちのごはんが食べたいって。 うん…分かるような気がする。 確かにあの人が作ってくれるごはんはとても美味しいと思うけれど、 やっぱりこっちの味が懐かしくなっちゃうよね。 ……。 …寂しい? うん…少し。 ……。 …わ。 似てるね。 …お母さん達にですか? うん…良く、似てる。 …ねぇ。 うん? バランス良く似てるって言われるけど…赤い方のお母さんに、あたしは本当に似てますか? うん、似てるよ。 どこら辺が…。 そうだなぁ。 …。 ふとした瞬間にね。 ああ、やっぱりあの人の子供なんだなぁ…て。 ふとした瞬間…。 雰囲気と言うか…纏っている空気と言うか。 そこら辺が良く似ているの。 ……。 うまく言えないで、ごめんね。 …ううん。 ……。 お姉ちゃん、頑張ってるみたい。 うん。 あたしも、頑張らないと。 …あまり無理しては駄目だよ。 ん…。 躰の調子が悪かったら、休む事も大切だから。 貴女達にはわたし達がいるって事、どうか忘れないでね。 …うん。 ああ。 …? その顔、赤い方に似てた。 本当に… …そっくり、だった。 …うん? ……。 さやか、起きたか? ……。 さやか? ……きょうこぉぉぉ。 お…。 …うーーー。 なんだ、どした? 怖い夢でも見たのか? ううん、その逆…すごい、しあわせな夢を見た。 …どんな? ……。 ……。 …おぼえてない。 あー……。 …でも、しあわせな夢だったの。 そうか…良かったな。 ……きょうこぉぉぉぉぉぉぉ。 なんだ、どうした…。 分かんない、分かんないけど…こうしたい…。 ……。 杏子ぉ…。 …やれやれ、しょうがないなぁ。 ねぇ、杏子…。 …なんだい? やっぱり、あたし…もっと、欲しい…。 …何を? 杏子とあたしの… 帰っても、良いかしら。 …。 …と。 暁美さん。 せめてもう少しだけ待っていてあげて…ね? 待っていたら、いつまで経っても終わらないわ。 それは貴女も分かってる筈よ、マミ。 それは…そうなんだけど。 でも、ねぇ…? 甘いわ。 さやかちゃん、起きた? …まどか。 佐倉さん、お早う? …マミさん。 ……。 …ほむらぁぁぁぁぁぁ。 杏子、貴女の嫁が寝惚けているわ。 なんだか夢を見てたみたいで まどかぁ、マミさぁん、ほむらぁぁぁぁぁ。 さ、さやかちゃん? 佐倉さん? ……。 ありがとぉ、ありがとぉぉぉぉ。 …杏子。 あー、うん。 とりあえず、そんな夢だったみたいで。 あたし、あたし、皆がいてくれて良かったよぉ…本当に、良かったよぉぉぉ…。 …さやかちゃん。 …佐倉さん。 …どんな夢を見たと言うの。 とりあえず、さやかも起きた事だし。 帰るならもう一杯、お茶飲んでからしなよ。 なぁ、マミ? 良いけれど、貴女が飲みたいだけじゃなくて? さやかも飲みたいだろう、マミの紅茶。 マミさぁぁぁぁん…。 な? …もう、仕方ないわね。 まどか、ほむらも良いだろう? うん。 …まどかが良いなら。 と言うわけだ、マミ。 分かったわ、ちょっと待っててね。 …二人目が、 …お腹の中に、 何を考えているの、貴女達。 いやぁ、出来ちゃいましたぁ。 ……。 いや、無言で胸元掴むような雰囲気を醸し出すのは止めよう? …杏子、どういう事。 どういう事も何もそういう事だよ、ほむら。 そういう事って、一人目の子がまだ さやかちゃん、本当なの? 二人目がお腹の中にいるの? うん、そうなんだ。 だからね、甘いものがまた駄目になっちゃって。 ああ、だからだったのね…。 はい、だからなんです。マミさん。 ……杏子。 二人目はあたしが産むって言ったんだけどさ、さやかがどうしてもって聞かなかったんだ。 なんでも一人産んでる方が、二人目以降そんなに大変じゃねぇとかなんとかでさ。 そういう問題じゃないでしょう。 一人目の子がまだ、一歳にもなってないのに。 これってさ、もしかしたら年子になるのかなぁ? ねぇ、ほむら。 ええ、その可能性は高いわね…て、そうじゃなくて。 あたしとモモは年子じゃなかったからなぁ。 年子ってどんな感じなのかな。 わたしもタツヤと歳、離れてるから。 学年年子と言うのも聞いた事があるけれど。 そうそう、同じ学年になる年子もいると言う話も聞いた事があるわ。 四月生まれと、次の年の三月生まれみたいなね。 へぇ、それはそれで良いかも。 ねぇ、杏子。 でも、うちは無理だな。 ちびは4月生まれじゃないし。 でもギリギリ行けたかもよ? それは駄目だ。 さやかの躰がもたない。 もう、杏子ったら心配性なんだから。 当たり前だろ、さやかの事なんだから。 …えへへ。 貴女達には呆れるわ。 そ? そうよ。 せめて一人目がもう少し大きくなってから…とは考えなかったの。 だって、善は急げって言うじゃない? 思い立ったが吉日とかさ。 …杏子、貴女は? 授かりものだからな、子供は。 それ、本気で言っているの? …二人で、望んだんだ。 ……。 そうしたら、思っていたより早くさやかの中に宿った。 ただ、それだけだよ。 …つまりは家族計画なんて初めから無かったと言うわけね。 んーん、あるよ。 あと…最低、二人は欲しいもん。 …さやか、貴女ね。 自分の躰の事も ありがとう、ほむら。 でもね、欲しいのよ。 そんなに急がずとも、 ……。 …三人目以降も、貴女が産むつもりなの。 うん…勿論。 …杏子、貴女は。 さやかはあたしが守る…って言いたいところだけど。 結局、皆に助けてもらってるし…それに。 それに、なぁに? 杏子。 …いざ出産となると。 何にも出来ないって事、思い知らされたからな…。 ううん、そんな事ない。 傍にいてくれたじゃない。 …それしか、 それだけで、十分なの。 十分なくらい、力と勇気が貰えるの。 …さやか。 だから…ね。 また傍にいてね…杏子。 …勿論だ、さやか。 うん…。 …はぁ。 それで?ちゃんと二人で、決めたのね。 うん。 ああ。 ……はぁ。 ほむらはなんだかんだ言って、あたし達の事を心配してくれますなぁ。 ……。 ほむらちゃんは不器用なだけで、本当はとっても優しいんだよ。 暁美さんは表情でも損をしているわよね。 もう少し、柔らかい表情が出来たら良いと思うのだけど。 ……。 お。 ほむって顔、してる? …意味が分からないわ。 さやかちゃん、杏子ちゃん、おめでとう。 おめでとう、佐倉さん。 ありがとう、まどか。 ありがとう、マミ。 ……。 ほむらも、ありがとね? ありがとな? ……せめて三人目はもうちょっと間隔を空けた方が良いと思うわ。 分からなかったろう? …。 さやかがさ、驚かせたいって言うからちょっと細工をな。 …それで魔力遮断と言うわけ? いや、そんな大仰なもんはしてないよ。 あたしの魔法の大元の属性、なんだか忘れたか? 幻惑、ね。 おう。 …それを私達に? まぁ、ちょっとした目眩ましみたいなもんだな。 ちょっとした、ね。 一人目の時は魔力で気付いたって言ってたろう? だから、な。 …そんな事の為に魔力を消費するなんて。 そこまで酷い消費じゃないさ。 それでもね、佐倉さん。 出来れば魔力の消費は抑えた方が良いと思うわ。 佐倉さん…えと、美樹さんと、子供達の為にも。 …分かってるよ、今回だけさ。 と言うか頑なだなぁ、マミは。 下の名前で言ってくれても良いのに。 杏子、貴女は根本的にさやかに甘い、甘すぎる。 そこまで甘いつもりはないんだけどなぁ。 自覚していないから、尚、性質が悪い。 次からはやらないよ。 さやかも一度やれば良いだろうしさ。 ねぇ、佐倉さん。 うん? 美樹さんの躰、本当に大丈夫なの? …。 二人が望んだ結果と言うのは分かっているつもりよ。 でもね、急ぎ過ぎてはいない? …。 おめでとうと言った言葉に、祝福以外の意味は含まれていないわ。 けれどね、あまり無理はして欲しくないのよ。 …年子が良いなぁって、言ったのは。 さやかだった。 …。 だけど…間隔を空けない事は、さやかの躰により多くの負荷をかけるだけだ。 あたしとしてはもう少し、休ませたかった。 だったら、何故。 …さやかの願いは、あたしの望みだからだよ。 ……。 そして、あたしの願いは…さやかの望みだから。 …杏子、貴女。 今のところ、さやかの躰は安定してる。 お腹の子も。 ……魔力は。 皆が助けてくれるから、な…。 佐倉さん。 …うん? わ…。 あまり無理はしない事。 助けて欲しいと素直に言う事。 これだけはちゃんと約束する事。 良い? ……うん。 ……ん。 …くすぐったかった? ううん…平気。 いつも杏子に触ってもらってるから。 ふふ…そっか。 …まどかに触ってもらうのは、久しぶりだね。 うん…。 …上の子の時も何度か、触ってくれたね。 ……杏子ちゃんは。 うん…? …屹度、わたし達には見せない顔でさやかちゃんのお腹、触ってるんだろうね。 もうね、でれっでれですよ? …ふふ。 ……あのね、まどか。 なぁに…? …杏子ね、しあわせそうな顔、してくれるの。 しあわせそうな、じゃなくて、しあわせなんだよ。 …そうかな。 そうだよ。 …へへ。 ……さやかちゃんが、いるからなんだよ。 え…? 二人の子供が生まれた。そしてもう一人、ここに宿ってる。 それはもちろん、とてもしあわせな事だと思う。 でもね。 ……。 さやかちゃんが、いてくれるから。 だから杏子ちゃんはしあわせなんだと思うの。 ……。 …だからね、さやかちゃん。 あまり無理、しないでね。 ……まどか。 生まれてきた子、これから生まれてくる子、そして杏子ちゃんの為に。 …うん、分かってるよ。 そっか…なら、いいんだ。 ……ありがとうね、まどか。 ううん…。 …あたしさ、一人っ子だから。 …。 小さい頃から一人で寂しいでしょとか可哀想だとか、言われる事、結構あってさ。 …うん。 実際はそんな事、なかったんだけどね。 一人は一人で気楽だし…兄弟が欲しいとか、別に思わなかったし。 …。 だけど…まどかがたっくんの事可愛がっているのを見た時、ちょっと羨ましいなって思ったの。 あたしには一生、感じられない事だから。 ……。 そう。 あたしは一生、兄弟がどんなものか、分からない。 ……。 杏子にも妹…モモちゃんがいた。 杏子は…杏子も、可愛がっていたんだと思う。 たまに話してくれる時の杏子の顔、凄く優しい顔をしているから。 …うん、分かる気がする。 杏子ちゃん、なんだかんだ言ってても面倒見良いから。 ……。 …? さやかちゃん? …まどかと杏子、少しだけ似てるって気づいたの。 え、わたしと杏子ちゃんが…? …なんだろう。 一人っ子のあたしには一生、二人の気持ちは分かり得ないんだって…思ったんだ。 そしたら…。 …。 …そしたら無性に、切なくなったの。 切なく…。 …別にね、一人っ子がイヤになったって言うわけじゃないの。 ただ、あたしには分からない感情なんだって…思っただけ。 …だから、なの。 だから、なのかなぁ…。 …。 …一人で可哀想だなんて、思ってはいない。 思わない。 …。 だけど…まぁ、ぶっちゃけ、あたしが欲しかっただけなの。 杏子の子供…また、産みたかったの。ここで育っていくの、感じたかったの。 出来れば、この先も。 …そっか。 ……。 ……。 …けれど、願わくば。 ん…。 …助け合って、生きていって欲しい。 あたし達がいなくなっても…。 さやかちゃん…。 …なーんて、ね。 ……。 まどか…? …さやかちゃんの、ばか。 え、え…。 ……。 ご、ごめん、まどか。 ……。 あー、えと、あぁ…。 …そんな事、言わないで。 …。 いなくなるなんて、言わないで…。 …ごめん、ごめんね。 もう、言わないから…だから、泣かないで。 ……。 ま、まどか…。 美樹、さやか。 あ。 ……。 あ、いや、これは…。 ……。 ほむら、待って。 とりあえず、話を聞いて。 貴女のせいで、いつも、まどかは悲しむ。 う…。 貴女は何度、まどかを泣かせれば気が済むの。 や、だから、話を聞いて 貴女はどこまで、愚かなの。 あたしは ほむらちゃん。 …。 私が勝手にちょっと切なくなっちゃっただけだから。 さやかちゃんは何も、悪い事はしてないから。 分かっているわ。 だからこそ、なのよ。 …。 さやか。 …うん。 なんか、ごめん。 さやかちゃん…。 ごめんね、まどか。 もう、言わないから。 冗談でも、言わないから。 ……。 ……。 さやか。 …杏子。 しんみり、してるな? …うん。 そんな顔、してると。 お腹の子にも伝わっちゃうぞ。 ……杏子ぉ。 たく、しょうがないな…さやかは。 後編 |