見えない糸が、繋がってるから。 久しぶりね。 なかなか、暇が取れないようで。 ええ、そうなの。 視察だっけ。 名目は。 然うよ。 だからこれは仕事の一環。 そ。 で。 で? うちに来る名目は? 然うねぇ、何が良いかしらね。 いい加減な支部長さまだ。 私の名義になっている家の住人の様子を見に行くってのはどうかしら。 あ、そ。 たまには息抜きも必要なのよ。 正直な話ね。 息抜き、ねぇ。 あんたのことだから、からからと回り続けるのが好きだと思ってたけど。 どういう意味。 機械女。 機械にもメンテナンスが必要なの。 知らない? 生憎、機械じゃないので。 何とでも言ってなさい。 あの子は元気? おかげさまで。 思っていないでしょう、そんな事。 これっぽっちも。 まぁ、貴女の顔を見れば分かるけれど。 何が。 あの子の状況。 一時期は躰の調子が優れないと聞いていたけれど、落ち着いたみたいね。 …。 …? 違うの。 微熱が、ね。 微熱ですって? 元々の体温が低いから。 少しでも上がると辛そうでさ。 無理はさせられない。 …大丈夫なの。 駄目だったら、来てない。 …。 それに今は…と。 何? いや、良い。 何よ、気になるじゃない。 旅は当分、しない。 は? もう少し、あの子の体調が良くなったらにしようと思ってる。 …ああ、然う。 まぁ、良いわ。 こちらとしては大事な働き手だから。 どうだか。 代わりは幾らでもいるんじゃないの。 と言うのは聞くけれど。 そんな考えの元じゃ優秀な従業員は育たないと思うわ。 ふぅん。 実際は否定出来ないけれどね。 それがまた辛いところよ。 で、こっちにはいつまで? 然うね、視察もしないといけないから。 そんな長くはお暇出来ないわね。 そういや、あいつは? 今回は一緒じゃないの? うん? あの野郎に似た、あんたの部下。 ああ。 今回は別行動、よ。 彼は隣町の視察。 隣町ねぇ。 大分、遠いけど。 それでも隣、でしょう? ま、そうだけど。 でもあの町、支店、あったっけ? 無いからこその視察、よ。 そんなもんかね。 そんなものよ。 それとも一緒の方が良かったかしら? 冗談。 でしょう? ……。 …でも本当に久しぶりね。 何年ぶりかしら。 …。 結婚するって、聞いた以来かしらね。 …かもね。 少しは大人になったかしら? さぁね。 見た目はあまり変わってないようだけど。 あんたは貫禄が出てきたようだけど。 それは、つまり? 威厳ってことにしておいて。 …。 ……。 …式は、したの? してない。 それどころじゃなかった。 じゃあ、ドレス姿は? 残念だけど。 思うに、あの子の体調が優れないのは。 あ? 貴女が無理をさせているからじゃないの。 どういう意味だ。 駄目よ、少しは休ませてあげないと。 毎日じゃ身が持たないわ。 は。 ……。 …。 …あんたが、こっちに来るって話。 …? 聞いた時、嬉しそうな顔したよ。 …然う。 楽しみだね、だってさ。 それは私も嬉しいわね。 ちょっと、面白くなかったけど。 ふ。 むかつく。 少しは良いと思うわ。 あの子の休暇にもなるでしょうし。 休暇ぁ? そのままの意味。 言っておくけど、そんなにしてない。 何をかしら。 セックス。 本音を言えばしたいけど、無理強いはしたくない。 ……。 自分で言ったくせに。 …然うね、貴女はそういう人間だったわね。 どんな人間だ。 この先、あの子の体調が復調する日は来るのかしら。 来るよ。 …。 来て、また旅をする。 行ってないところが、連れて行ってないところがまだ、たくさんあるから。 二人で? …。 違うのかしら? さて、どうかな。 はじめまして。 ……。 ロント、です。 …ロン、ト? はい。 ブルーアイズ、さん。 ………。 ロント、さん付けはしなくても良い。 そうなの? そうそう。 ……。 ロント、エリスは? ねてる。 熱は? たかくないよ。 そっか。 …わ。 ちょっと見てくる。 あと、よろしく。 いえっさ。 お茶はその後にでも。 うん。 じゃあ、ブルーアイズ。 適当に …ナ、ディ。 あ? ……。 て、何。 …これ、は。 これ? これは、どういう事なの…!!!!!! だから、ロントだって。 だから、じゃない。 ちゃんと説明しなさい。 説明も何も。 エリスんとこに行きたいんだけど。 眠っているんでしょう? だったら説明が先よ。 あーもう、うるさいなぁ。 ロント。 なに? 説明、してやって。 わたし? そ。 あたしはエリスのところ、ぐぇ。 待、ち、な、さ、い。 …殺す気か。 説明しないのならば、あとで三回。 それはあたしの台詞だ。 それで、どういう事なの。 この子は貴女達の何。 見たまんまだけど。 説明しろって言っているの。 …面倒。 ナ、デ、ィ。 あー。 こども、です。 …え。 わたしは、ナディとエリスのこどもです。 ……。 分かった? ……ナディ。 何。 この子はどこで? どこでって。 だって、然うでしょう。 それに何も聞いていないわ。 子供を育てているのなら、一言、言ってくれたって あー、うるさい。 ナディ。 その話、は。 …。 後で、する。 今はそれで。 …後で? エリスと一緒に。 エリスと…。 ロントはあたしとエリスの子供だから。 貴女とエリスの……。 そう、あたしとエリスの。 ……まさか。 ロント、適当で良いから。 てきとう? 持て成しておいて。 ともだちなのに、てきとうでいいの? 友達? こいつが? ……似て、いるわ。 ナディがちがうっていっても、エリスはそうだっていうよ。 こいつ。 わ。 …赤い髪、褐色の肌。 でも……。 ま、良いや。 じゃ、ロント。 うん。 ……あぁ、瞳の色。 ブルーアイズ。 …。 どうぞ、こっちに。 …え。 ナディはエリスのとこにいっちゃったから。 すこし、じかんかかるとおもいます。 ……。 ごめんなさい。 …え? ナディ、エリスがいちばんだから。 あ、ああ。 それは昔からだから。 貴女が謝らなくても良いのよ。 …。 うん? ブルーアイズはわたしがうまれるまえの、ふたりのこと、しってるんですよね。 ええ、然うね。 きいても、いいですか。 と言っても、そんなに詳しくは無いわよ。 二人は、いつだって、二人だったから。 私達が入り込む余地なんて、トルティーヤ一枚分だって、無かったもの。 ふふ。 …。 なかよしふうふ、だったんですね。 ええ、本当にね。 ふふ、ふふ。 ロント。 はい。 二人の事、好き? だいすきです。 …。 エリスはおいしいおかし、つくってくれるし、あたま、やさしくなでてくれて。 おはなしもしてくれるし、いいにおいだし、だいすきです。 じゃあ、ナディは? …。 うん? わたしは、ナディのように、はやくなりたい。 ナディのように? だいすきなひと、ずっとそばで、まもれるように。 …好きな人、いるの? …。 ……。 …はい、います。 でも、ふたりにはないしょです。 どうして? …。 ロント? …もうすこし、おおきくなったら。 …。 だからないしょ、ですよ。 …ええ、分かったわ。 ふふ、よかった。 ……ん。 …。 おかえりなさい……。 …。 …? ナディ…? …おはよう、眠り姫。 ……。 …。 …へん。 あんたがロントに読んで聞かせてたなぁ、って。 …わたしは、おひめさまじゃないよ。 そうかな。 …ブルーアイズは? …。 ん…。 …あたしより、あいつの事? ばか…。 …来てるよ。 そう…。 …エリス。 ひさしぶりだね…。 直接会うのは…ね。 …あいたいな。 まぁ、会えるけど。 今直ぐにでも。 ん…。 …でも、その前に。 …ばか。 なに、かんがえてるの…。 …寝起きのあんたは、見せたくない。 ……ひどい? そうじゃない…むしろ、かわいい。 ……。 …大丈夫。 ロントが相手してくれてるから。 …もう。 ロントにおしつけて。 違うって…。 …そうだよ。 けどあいつ、話したそうだったから。 …だったら、みんなででもいいのに。 だーめ。 …。 …もう少し。 あいつに任せておこうよ。 ……ばか。 うん……。 …だいじょうぶだよ。 うん…。 …。 ……ロント、と言えば。 なに…。 …詳しく話せってさ。 ……。 だから二人でって、言っておいた。 …そっか。 ……。 …わたしは、だいじょうぶ。 だから、はなそう…。 …。 ブルーアイズ、だから…。 …それ、なんか面白くない。 ……。 ブルーアイズだから、ってあたりが。 もう……ナディの、ばか。 先ずは、然うね。 二人の出逢いから話そうかしらね。 はい。 貴女はどんな風に聞いてる? えと、ナディはしょうきんかせぎで、エリスがしょうきんくびで、だからナディはエリスをさがしだしたって。 さがしてくれたって。 それはエリスが? はい。 じゃあ、ナディは? 何を貴女に話してくれてる? …。 うん? ナディは、あまりおはなししてくれないから。 何も? 話してくれないの? じぶんは、しょうきんかせぎだったって。 だから、しょうきんくびをおうのが…えと、ひびのかてだったって。 …然う。 でも、おさけをすこしのんだときにね。 お酒? まもろうって。 エリスのこと、ずっとまもろうっておもったこと、はなしてくれました。 …それは、いつの事? え、と…。 ああ、分かり辛かったわね。 ナディはいつ頃そう思ったか、話してくれた? ううん。 然う。 それからずっと、ふたりでいるんだって。 あかいかおで、いってました。 赤い顔? よってたんだとおもいます。 でも、エリスも。 エリスもそこに? いつもいっしょですから。 …然うね。 それでエリスは? おさけのんでないのに、かお、あかくなってて。 ねつがたかくなったんじゃないかって、わたし、おもったんですけど。 違うって? ナディが。 …。 それからナディ、おさけのむのやめて。 エリスのこと、だっこしてへやにいっちゃいました。 て、貴女は? 貴女もいたんでしょう? ねなさいって、あたまをなでながらいわれました。 ナディのてって、おっきいんです。 …全く、本当に何を考えているのかしら。 ブルーアイズ。 うん? ふたりは、どんなふうだったんですか? 二人は…然うね。 賞金稼ぎと、賞金首だったわ。 それは貴女も聞いている通り。 …。 どんなものかは、知ってる? …。 然う。 でも、なんとなくは、しってます。 …賞金稼ぎは。 …。 字の通り、賞金を稼ぐ人の事。 賞金首は… …。 その命に、お金を掛けられた人の事。 賞金稼ぎと賞金首、追う者と追われる者、二つは一対なの。 いっつい? 賞金稼ぎは賞金首の「首」を取って、お金を稼ぐ。 エリスは…あんな小さな躰にとても大きなお金が掛けられていたの。 じゃあ、ナディは…。 …。 ナディは、エリスの…。 …然う、なるわね。 そうなんだ…。 …ショック? ううん。 …? どうして? だって。 …。 ナディは、エリスをまもったから。 おかねにしなかったから。 …。 もしもナディじゃなかったら。 エリスは……わたしも、うまれなかった。 …貴女は利発な子ね。 それにとても良い子だわ。 わ…。 …思わず頭、撫でたくなるわね。 ……えへへ。 ……。 …? ロント。 うん? ナディを雇ったのは、私よ。 …え? ナディをエリスに近づけさせたのは、私。 ……。 あの時は、まさか、こうなるとは思ってなかった。 …ブルーアイズが。 もっと言えば、エリスの保護と監視…つまり、傍で守るように言ったの。 それが出来ればお金をあげるって。 じゃあ、ナディは…。 …最初は。 ……。 でも、途中からあの子は自分の意志でエリスを守る事を決めた。 …。 旅の途中、ナディは自分から契約を破棄するって言ってきたのよ。 雇われている身でありながらね。 …。 ナディはこれからは、いえこれからも、自分の意志でエリスと一緒に居るって。 あの時のナディの口調は今でも覚えているわ。 忘れらない、と言った方が正しいかも知れない。 ……。 金を稼ぐだけの、ただの賞金稼ぎだったくせに。 ……。 …あの時はもう、惹かれていたのね。 エリスも、あの子も…然う。 …。 最初、エリスは感情の豊かな子では無かったの。 そうなんですか? 貴女が知っているエリスと比べたら、別人かも知れないわね。 表情もほとんど変わらなくて、口数も少なくて。 …。 でも、ナディが。 ナディがあの子を変えた。 ……。 …元々、優しい子ではあったみたいで。 それは 両方、と、言っておこうかしら。 …。 ナディは情が移ったなんて、言ってたけど。 言ったその時にはもう…ナディの心の深い場所に、エリスは居たんだわ。 …エリスも。 然う、エリスも。 ……。 始まりはただの賞金稼ぎとただの賞金首だった。 それが二人の出逢い。 …ブルーアイズがいなかったら。 わたしは、うまれなかったんですね。 それは、分からないわ。 …? なんだかんだで、出逢ってそうだもの。 今の二人を見てると、運命、なんて言葉でも足らないくらい。 ……。 まぁ、私は運命なんて信じないけど。 …ふふ。 私は二人が旅を、ウィニャイマルカを目指している間、ずっと二人を見ていた。 ナディをやとったからですか? いいえ、違うわ。 私の本当にやるべき事はとあるプロジェクトの… …。 …兎に角。 私はあの子達をずっと追いかけた。 それが私に課せられた仕事だったから。 …。 貴女はリカルドとリリオは知ってる? はい。 リリオのはなしはよく、エリスがしてくれます。 会った事はある? まだ、ありません。 あの二人ならまた違った話を聞かせてくれると思うわ。 特にリリオはあの二人良く懐いていたから。 はい。 それにしても。 本当に遅いわね。 ねぇ、ブルーアイズ。 うん? …。 ロント? ブルーアイズはアリスのこと、しってますか。 アリス…? …。 …さぁ、知らないわ。 おしえてください。 …。 アリスはまじょなんですよね。 それから、エリスも。 …! …ふたりはまだ、おしえてくれません。 だから、わたしもいいません。 貴女…。 …ほんとうはわたし、うまれるはずがないって。 ……あぁ。 ……。 …貴女は、愛されているわ。 …。 あの子達が愛し合って。 心から、愛し合ったから。 いまも、ですよ。 …。 ……アリス、かなしいかおをするんです。 なきそうなかおで、みてるんです…。 …。 だから、わたしは…。 …好きなのね。 …! 二人には言わないわ。 誓っても良い。 …ありがとうございます。 …。 …わ。 こんな幼い子に。 …。 全く、ナディは。 ……ねぇ、ブルーアイズ。 ん…? あ、あの…。 …なに? ふたりが、あいしあってるの…は、わかってるんです。 だから、アリスがかなしそうなかお、するのも…。 …うん。 ……。 ロント…? …こえ、きこえてきて。 声…? しっては、いたんです…ずっと、だったから。 で、でも…。 …えと。 く、くるしそうだったから、ねつがまた、でたんだって、そのときはおもってしまって…だ、だから…。 ……。 その、ナディが……エリスと、あいしあってる… …ッ! みるつもり、なかったのに…その、いちどだけ…。 ……あぁぁぁ。 こ、こえは、どうしようもないんですけど、で、でも…でも……。 …あの莫迦。 い、いつもだったら、いつもどおりだって、おもうんですけど…。 たぶん、そのときはねぼけてて…。 …後で説教してやるわ。 ……。 貴女も、大変ね…。 …ううん。 …。 ナディが、エリスと…その、そういうことをするから、わたしが、できたんだし。 ………。 …いつか、いもうとが、できるかもしれませんから。 それは、うれしいこと…です。 …本当にあのナディの子供なのかしら。 でもそうなったら…アリスは、また。 ……。 …はやく、おおきくなりたい。 なったら、貴女は…。 ……。 …その顔。 わたしは、アリスをまもりたい…。 …貴女はやっぱり、ナディの子なのね。 アリス。 …。 アリス。 …。 そっちはだめだよ。 …うるさい。 アリス。 お前に、何が分かる。 私の何が。 …。 何も分からない。 誰も、分からない。 私の事なんか、誰も。 わからないよ。 …! はなしてくれなきゃ、わからない。 黙れ!! …。 話せ、だと。 この私に! きかせて。 アリスのこと。 ふざけるな。 ふざけてないよ。 話して、何が分かる。 どうせ、何も分からない。 分かって、くれない。 そんなこと、ない。 あるわよ…! ないよ、アリス。 …ッ! 殺す、殺す、殺してやる…ッ! そうやって。 黙れ、黙れ…ッ!! 楽になれるのなら、それで良い。 …! アリス。 ナ、ディ…。 …全てを、閉じ込めて。 あんたが楽になれるなら。 うるさい、お前が…お前が!! あんたの世界は、閉ざされたまま。 深い深い闇の中のまま、果ても若しかしたら無いのかも知れない。 黙れぇぇ…ッ!! …それでも、あたしは。 エリスを愛している。 あぁぁぁ…ッ!!! あたしでは、あんたを救えない。 自分の心を偽る事なんか出来ない。 うるさい、うるさい、うるさい…。 …アリス。 私は、ただ…ただ…。 ……それでも、あたしは。 ……。 あんたに、幸せになって欲しいと願う。 今も、これからも。 …莫迦じゃないの。 分かってる。 ……いらない。 …。 光、なんて…いらない。 …。 太陽なんて、いらない…。 ……。 だけど、私は……。 …出逢う時を、知る為に。 ……。 その為に、あんたは。 …て。 …誰かのせいにしていては、何も出来ない。 為せない。 助けて…助けてよ……。 …あんたを救うのは、あたしじゃない。 此処から……。 救えるのは……。 あぁ、あぁぁあ……ぁぁ…。 アリス。 ……。 …ナディは、エリスをあいしてる。 それはかわらない、それがげんじつだから。 ……。 てを、のばして。 …。 わたしに。 わたしはまだ、ちいさいけれど。 わたしには、ナディのようにはできないけど。 …。 のばすのは、アリスにしかできない。 できないんだよ、アリス。 ……わか、らない。 ……。 やり方が、分からない…。 …アリスのほしいものは、なに? そんな、もの…。 かたちが、わからなくてもいい。 なにか、でもいい。 ほしいものが、あるなら。 …。 てを、のばして。 アリス。 ……。 アリス。 ……ぅ。 アリス…。 …エリ、ス。 …ごめんなさい。 あんた、か…ッ。 …。 あんたが、こんな夢を私に…ッ!! 違う…。 違うもんか! そうやってあんたは笑ってるんだ…! 笑ってなんか、ない。 嘘吐きぃ!! …ぅ。 一人で、一人ばっかり、辛そうな顔、しやがって…!! ……。 ナディも…ロントの事も!! 自分が犯した、重ねた罪だなんて、思ってやがって!! …。 あいつらは、そんな事、一つも思ってない!! あんたはいつだって、守られてる! そう、いつだって…!! …アリス。 出来損ないのくせに!! …そうだよ。 私は、出来損ないだから。 …。 だから、ナディがいないとなにもできない。 いきることだって、できない。 ……。 アリス…。 …出来損ないなのは。 …。 本当に出来損ないなのは、この私だって!! あんたの目はいつも、そう私に言ってるんだ!! そんなこと… 思ってるんでしょ、どうせ!! だから、そんな綺麗事をほざけるんだ…!! そんなこと、言ってない…! 思ってない…! 黙れ、あんたに何が分かる…ッ!!! アリス、お願い、お願い…分かって、あげて。 分からないわよ、何も! 分かりたくもない…!!! あの子はまだ、小さいから。 だから、もう少し、もう少しだけ…お願い。 だったらナディの手を、離せ!!! …! 私に、寄越しなさいよ! 私に、私に、私に…!! …い、や。 代わりなんて、要らない!! 私が欲しいのは…!! だめ…ッ!! …。 …ナディ、は。 ナディは…。 …ほら、ほらぁ!! ……。 適当なのをあてがって、救われた気になってるんでしょ! あんな餓鬼一匹、私にあてがって!! 適当なんかじゃない!! ぅ…。 あの子は…あの子は、私の大切なもの。 ナディが何も無かった私にくれた、大切なもの。 誰にもあげたくなんか、ない! ……。 でも、あの子は…あの子はナディに似ているから。 あの子は、貴女を選んだから…。 ………。 …必ず。 必ず、あの子なら貴女を…そこから、出してくれるから。 ……。 私が、そうだったように…。 ………。 アリス。 ……。 …かならず、いくから。 …。 かならず、むかえにいくから。 …。 このせかいはやみばかりじゃ、ないから。 …。 ふたりで、いこう。 どこだって、いい。 ……。 かなしみがなくなることなんて、きっと、ない。 きずつけてしまうかもしれない、きずついてしまうかもしれない。 それでも、いっしょにいこう。 …。 かならず、むかえにいく。 いくよ、アリス。 ……、く。 …。 …はや、く。 ……。 き……、よ。 あ……。 も、う………。 アリス、そっちはだめだよ、アリス…!! ……。 アリスーーー…ッ!! ………ッ!! ロント、ロント。 …う、ぅ。 ロント。 ……。 ロント。 ……。 もう、大丈夫…。 …。 待たせちゃって、ごめんね。 …ううん。 …。 ……あれ。 ここ、わたしのへや…? うん。 …ナディ? 行ったらロント、寝ちゃってたから。 ……。 …大丈夫。 ……。 大丈夫だよ、ロント…。 …。 ……大丈夫、だから。 でも。 …。 …でも。 ……。 …ごめんなさい。 なんでもない…。 …怖い夢は、続かない。 ちゃんと、終わるから…。 …。 …終わるもの、だから。 ……。 エリス、ロント起きた? …ナディ。 んー、起きた? うん、おきた。 そっか。 わ。 待ちくたびれちゃったか? ううん、ブルーアイズとおはなししてからへいき。 あいつと、ねぇ。 何話して 私、言ったのに。 ん? 大丈夫って、言ったのに。 まぁ、聞いたけど。 なのにナディが。 あたしも、言ったけど。 それはナディのただのわがまま。 ばか。 だってなぁ。 だってじゃないの。 でも、エリスだって ばか。 …はいはい、ごめんなさい。 ねぇねぇ。 ん? なぁに、ロント。 ブルーアイズは? かえっちゃったの? ここにいるわよ。 あ。 もう、良いかしら? …ごめんなさい。 おはなし、とちゅうだったのに…。 良いのよ。 また今度、話しましょう? はい。 ロントも起きた事だし、ごはんに ところで、ナディ。 あ? さっきも言ったけれど、貴女には話があるわ。 だから、それはエリスと それとは別件、よ。 別件? 何それ。 …エリス、ちょっとナディを借りても良いかしら。 うん、良いよ。 て、エリス。 ごはんの準備、私がするから。 あんたは ナディはブルーアイズとお話。 熱、まだ少し 大丈夫って、言ったよ。 けど、 わたしがてつだうよ。 ロント。 ありがとう、ロント。 じゃあ、行こう? いえっさ。 エリス、ロント。 ナディはブルーアイズとお話。 然う、私とお話。 ふふ、だって。 えー…。 少しは、控えなさい。 …。 子供にあんなに気を使わせるなんて。 貴女がエリス莫迦なのは十分に知っていたけれど、度が過ぎるわ。 ……。 子供が寝た後、かも知れないけれど。 起きるかも知れない、という事も考慮しないと駄目よ。 ……。 まさか、とは思うけど。 ああでも、全く無いとは言えないわね。 ……。 ある程度まで、なら、構わないと思うわ。まるっきり無しなのはきついと思うし、そもそも無理だと思うし。 けれどナディ、やっぱり少しは慎みを持つべきだと思うの。 悪影響とまでは言わなくても、教育上、どう影響するか分からないし、エリスの体調の事もあるし、 …あのさぁ、ブルーアイズ。 何。 で? …で? 何を、控えろって? ……だから。 だから? …私も散々、見せ付けられてきたけど。 あの子は私以上に だから、何の話か分からないんだけど。 …だから。 だから? ……貴女ね。 何。 本当に、分からないの。 だから、何が。 …。 …。 …貴女は見られてないと思ってるのね。 あ? ロントに。 ロントが何を見たって? ……。 ブルーア …ああ、もう! 本当に分からないわね! だから、な 夫婦生活を、もう少し考え直せと言ってるのよ! …ふーふせいかつ? 夜の、よ。 …夜の? どれだけ狼になれば気が済むの、貴女は。 ……。 …兎に角。 子供の事も考えなさい。 あんなに小さいのに、親に気を遣ってるだなんて。 …。 ナディ、聞いてるの。 聞いてるけど。 だったら、 ……。 …はぁ。 ナディ。 ん? 貴女がエリスの事を本当に愛していて、心から求めているのは知っているわ。 そして、それはエリスも同じだと言う事も。 …。 それでもね、ナディ。 あの子は 悪い事だとは思ってない。 …。 思えない。 …ナディ。 セックスは。 …勿論、それ自体は悪い事では無いわ。 決して、悪くない。 …。 貴女達が愛し合ったからこそ、自分が生まれた。 あの子はそれも分かっている。 …つか。 あいつとそんな事、話してたんかい。 …多分、あの子は。 貴女達の…特に貴女達が愛し合う時の邪魔をしてはいけないと。 そう、子供ながらに感じているのかも知れない。 邪魔、ねぇ。 貴女達は思っていないでしょうけど。 思ってない。 …でも、思わせているのよ。 ……。 どれくらいの頻度か、知らないし、知りたくも無いけど。 エリスの体調の事もあるのだから。 …。 貴女がエリスの体調を無視して事に及ぶなんて思ってないけど、でもね、ナディ。 いつか。 …? あいつにも、出来る。 …。 そしたら、あたし達がしている事、本当の意味で分かる。 …ナディ、貴女ね。 私が言っているのは まぁ、見られたのはあたしの失敗だったけど。 普段なら気配で分かるけど、あの時はそれどころじゃないから。 ……。 エリスに知られたら、怒られるかなぁ。 …案外。 あん? 気付いているんじゃないの。 貴女と違って、鈍感ではないから。 あぁ。 思うところは? ある、ような。 それはどういう? 少しの間、触らせてくれなかった。 し、機嫌も少し悪かった。 それね。 言ってくれれば良いのに。 少しは察しなさい。 はいはい、そうねぇ。 ナディ、貴女がそうだからエリスは たのしそう? どこをどう見ればそう見えるかな、ロント。 ふふ。 はい、ブルーアイズ。 有難う。 これはジャガイモ…アルーガ、だったかしら? 上に掛かっているのはチーズね? はい。 おきゃくさんだからまずさいしょにって、エリスが。 然う。 ロント。 なに? 出来た? うん。 あとはみんなのぶん、はこぶだけだよ。 そ。 じゃ、行こうかな。 おはなし、おわったの? 終わった終わった。 だから交代。 いいの? 良いの。 ナディ。 分かったって。 なら、 けど、それだけ。 …貴女ね。 エリス、エリス。 あたしが運ぶよ。 …ああ、もう。 ごめんなさい、ブルーアイズ。 良いのよ、あの子は昔からああだから。 本当、エリスの事ばかり。 …。 今はそこに、貴女が加わったようだけど。 …はい。 ごちそうさまでした。 エリス、きょうもおいしかった。 うん、良かった。 ありがとう。 ロントも手伝ってくれて、ありがとう。 ふふ。 じゃあ、かたづけてくるね。 うん。 かたづけたら、ほん、よんでいい? 部屋で? それとも へやでよむ。 おはなし、ブルーアイズとするんでしょ? でも、 いいの。 じゃあ、またあとでね。 ロント…。 ……ナディ。 あ? あの子、本当に貴女の子なの。 そうだけど。 …思えない。 全く、思えない。 そっくりだと思うけど。 …外見が、貴女に似てなければ エリス。 …なに? 今日も美味しい。 ありがと。 もう、良いの? んー。 まだ、あるよ。 じゃあ、食べる。 うん。 ブルーアイズも食べる? 私はこれで十分。 誰かと違って。 ほっとけ。 有難う、エリス。 本当に美味しいわ。 …ん。 ナディは幸せね、本当に。 だって、しあわせだし。 …はぁ。 エリス。 なに? これからも色々と大変だと思うけど、厳しくすべき時はしないと駄目よ。 厳しく? 甘やかしては駄目って事。 …うん。 ナディ、はい。 ありがと。 …うーん、やっぱり美味しい。 ふふ。 エリス。 ? なぁに? …。 …ナディ? 愛してる。 …! ずっと。 …ブルーアイズが、いるのに。 ああはいはい、こっちの事は気にしないで。 悲しい事に慣れてるから。 …もう。 ナディのばか。 ところで、ナディ、エリス。 あの子は幾つになるの? とてもしっかり…しっかりし過ぎていると思うけど。 んー…。 …いつつ。 いつつ…五歳? あの子、五歳なの? エリスがそう言ってる。 …。 ちょっと待って。 あの子がいつつと言うなら…私の記憶違いで無ければ、あの子が生まれたのは貴女達が…。 …。 ……。 …十代、と言う事になるわよね。 歳なんて、気にしてなかったし。 数えてもいなかったし。 …でも、私に歳なんて。 エリス? …うん。 あの旅が終わって…それから、僅かの間で。 結婚するとは、聞いてたけど…まさか、子供まで。 欲しかったから。 ねぇ、エリス。 ……う、ん。 それは…分かるけど、いえ、分かるのかしら…あーもう、良いわ。 欲しいなら、もう少し計画と言うものを立てるべきであって、そんな一時の感情で 一時じゃない。 けれどナディ、 ブルーアイズ。 …そうね。 貴女はそうだったわね。 一度決めたら、何があっても、曲げない。 契約なんて、壁にすらならない。 …。 エリス、貴女も。 ナディの子供が欲しかったのね。 ……嬉しかったの。 うん? 私との子供が欲しいって…言って、くれて。 だから、私… 貴女は? …。 貴女も、欲しかったの? まさか求められたのが嬉しかったと言うだけで、応えたの? けどそれでは貴女の 私も…! …。 …私も、欲しかった。 ナディの子供を、産みたかった…。 …。 だから、嬉しかった…嬉しかったの。 それで。 …。 …。 …あの子は、貴女達の本当の子供なのね。 本当? 言い方を変えるわ。 血の繋がった、遺伝子を分け合った、子供なのね。 いちいち、小難しいんだけど。 エリス…つまり貴女は、その力を使ったのね。 ……。 …然う。 後悔は、してない。 貴女は然うでしょうね。 それで、エリスも? …。 エリス、貴女はどうなの? ……して、ない。 してない、けど… けど、何。 ……。 ナディ、ちゃんと話し合ったんでしょうね。 無理矢理じゃなかったのでしょうね。 …。 ナ 違う…。 …エリス。 …ナディは、優しかった。 あの時も…。 ……。 それなのに、ナディは…。 エリス。 …。 あんなの、何でもなかった。 オーケイ? …ナ、ディ。 ブルーアイズ。 …。 その話、出来ればあいつが寝た後にしたいんだけど。 今はまだ、話してないから。 ……。 聞いてる? …然うね。 その方が良いでしょうね。 なら、するなって。 …ごめんなさいね、エリス。 う、うん…。 ロント、ロント、おいでー。 ブルーアイズがあんたとも話したいってさー。 あ、あ、あ、あ、あぁぁ…ッ!! エリス、エリす…ッ。 …ィ…っ、ナデ…ィ…ッ、 はぁ、はぁ、…ぅ、…は、ぁっ。 …は、ぁっ、あ、ぁ…あ、あ゛、あ゛ッ。 ……えリ……ス、ッ。 あああ…!!! …うぅ、……ぅぅ゛ぅ゛ぅ゛…ッ。 ……っ、……。 …エリ、ス…、はぁ……えり、す…ぅ。 ……、…ィ…。 ……う、ぅぅぅ。 …………ぅ……。 エリス。 …! ロント、寝るってさ。 あ、ああ。 じゃあ… もう、行っちゃったけど。 …え。 一人で大丈夫だってさ。 …。 本当、しっかりしているわね。 流石にし過ぎているわ。 …見て、くる。 エリス。 …ナディ。 一緒に行こうか。 …うん。 と、いう事だから。 ブルーアイズ。 ええ、待ってるわ。 …エリス? ロント…。 わたし、ひとりで……あ。 …ロント。 ロント…。 ど、どうしたの…? ……。 ナディ…。 …させて、あげてよ。 ロント。 う、うん。 ……。 エリス、わたしはだいじょうぶだよ。 だから… ……。 …なかないで。 ……ごめんね。 …。 ないちゃってごめんね、ロント…。 ううん。 ナディ、エリスをなかしちゃだめだよ。 なんだとぅ? えへへ。 …おやすみ、ロント。 どうか、良い夢を。 うん、おやすみなさい。 エリス。 おやすみ、ロント。 また明日。 そうだ。 ブルーアイズ、あしたもいる? と、思うけど。 そっか、よかった。 じゃあ、おやすみなさい。 …然う、大体は分かったわ。 ……。 エリス。 …ごめんなさい。 何故? …。 私はね、エリス。 …。 保護者にも似た感情を、貴女達に持っているのよ。 保護者ぁ? ええ、ナディ。 冗談。 冗談で、言える事では無いわ。 なんでまた。 本来ならば、貴女がエリスの保護者的役割だった筈なのだけれど。 手はつけるわ、結婚するわ、子供まで作っちゃうわで。 逸脱も良い所よ。 手ぇつけたのはあの旅が終わってから、だけど? つけてたようなもんでしょ、あれは。 キスもしてない。 あの旅が終わったら、さっさとしたでしょう。 それからは転がり落ちるような展開だわ、こっちに言わせると。 そりゃ、好きだし。 拒まれなかったし。 好き、の一言で何でも許されると思ったら、大間違いだわ。 拒まなかった、じゃなくて、拒めなかった、かも知れないでしょうが。 んー。 …? ナディ…? そうなの? え。 嫌だった? ……。 エリス? …ばか。 ナディのばか。 ばか、だから、ちゃんと言ってくれないと分からない。 う…。 …エリス。 ……。 あーはいはい、それは後でにして。 あんたが言うから。 本当、貴女の狼はどうにかならないの。 ならない。 …いっそ、清々しいわね。 けど。 あんたこそ、人がしょっちゅう発情してるような言い方、止めて欲しいんだけど。 違うの、エリス。 ……。 ほら、見なさい。 これだと本当に、しかも近いうちに、あの子に妹が出来かねないわ。 …。 …。 …止めないわよ、私は。 あ、そ。 …もう、つくらない。 …。 もう、ほしがらない…。 …それはどうして? あの子がいれば…私はそれで、十分だから。 …。 …ナディが、くれたもの。 自分の躰を犠牲にして、私に… エリス、その話は良い。 犠牲? どういう事? エリ ナディの右腕はもう、治らない。 右腕? エリス、あたしは もう一度、同じ負荷をかけたら。 ナディの躰は…ナディは……そんなの、耐えられない。 そんなの、分からない。 …ナディ。 エリス。 ……う。 それに、あたしの躰はあの時のままだから。 同じ負荷にはもう、ならないよ。 ……。 …あの時のまま。 だから、言わないでよ。 欲しがらないなんて、さ。 …。 あたしとしては、もっと、欲しがってほしい。 …でも。 でも……。 …作る、作らないかはゆっくり考えれば良い。 今、決めなくても良い。 ………。 ナディ。 ん? 右腕は ちょっと鈍っただけ。 動かせないわけじゃない。 …エリス。 ナディの躰は ブルーアイズ。 …貴女の躰だけじゃないわ。 エリスの躰の事もある。 …。 それだけの力は…貴女にも、大きな負荷だった筈。 …私は、良いの。 良くない。 良くないわ。 ……。 ……。 …アリス。 ……。 きょうが、おわるよ。 ……。 …きょうがおわって、あしたになる。 あしたがおわれば、あさってになる。 そのたび、わたしはおおきくなる。 ……。 …でも、アリス。 ……。 きみが、のぞむなら。 …ッ。 いつだって、わたしたちは。 ……。 …おやすみ、アリス。 また、ね…。 エリス、一つだけ教えて。 …。 …貴女が、ナディの子をお腹に宿している時。 どんな気持ちだった…? ……。 言いたくない…? ……ナディ。 …ん。 お願い、私の躰を……。 …いえっさ。 ……ごめんね、ブルーアイズ。 …良いのよ。 慣れているから。 …ありがとう、ブルーアイズ。 私はあなたが好き。 …有難う、エリス。 私も貴女が好きよ。 …それは聞き捨てならないんだけど。 ばか…。 ……。 …ナディの赤ちゃんが、ここに…私のお腹に宿ってる間。 うん…。 私は、しあわせだった…。 みたされていた…。 …。 …ここに、ナディとわたしの命がある。 それを思うだけで、躰がふるえた…。 ……。 …ごめんね、うまく言えない。 十分よ。 教えてくれて有難う、エリス。 …じゃあさ、エリス。 …? 今は、しあわせ…? ……。 ……。 …ねぇ、ナディ。 うん…? …こわく、なるの。 今でも…。 怖く…? …わたし、ばかり。 しあわせで、いいの…。 …エリス。 ……このしあわせは、ほんとうじゃなくて。 ほんとうのわたしは……ここには、いなくて。 くらくてさむいところに、ひとりぼっちで。 ……。 ナディも、ブルーアイズも…リリオも、リカルドも。 ロント、も。 …。 …ほんとう、は。 エリス。 ……ナディ、わたし。 わたし……。 …あたしは。 ……。 あんたとしあわせになる為に、生まれてきた。 …ぅ。 しあわせになる為に、生きてきた。 ……。 …そうは思わない、ブルーアイズ。 貴女らしくないわね。 こっちに振るなんて。 有効活用って、ヤツ。 …ああ然う。 エリス。 ……。 この莫迦は、本気で然う思ってるわよ。 ……。 莫迦、だから。 ……しって、る。 貴女がナディの躰を…気にしているのは、理解出来るわ。 貴女は心から、ナディを愛しているから。 でもね、エリス。 …。 この莫迦は貴女が思っている以上に、貴女が好きで。 ……。 …愛して、いるのよ。 ……ブルー、アイズ。 だから、この莫迦は貴女から離れないし、離さない。 ……。 覚えているかしら? 貴女がナディから離れようとした時の事。 …。 何があっても、離さない。 でしょう、ナディ? 聞いてたんかい。 あら、聞こえたのよ。 あ、そ。 ……おぼえて、る。 あれは、ただのプロポーズよ。 こっちから言わせるとね。 ……。 どれだけ自覚があったか、知らないけど。 ……。 …エリス。 今、ここに居るのは誰でもなく貴女で…。 ……。 …この莫迦の伴侶で、あの子の母親。 それは、紛れも無く、真実。 ……ぅ。 て、ブルーアイズ。 エリスを泣かすな。 だったら、貴女がその涙を拭ってあげれば良いでしょう? 言われなくても。 …ん、ナディ。 ……。 …誰も唇で拭えとは言ってないけれど。 ばか…ばか……。 ……こども。 ん…。 ……また、つくろうよ。 …ッ! 今じゃなくても、良いからさ…? …ナディ。 ナディ……。 …そういう事は、二人だけの時に言って頂戴。 ……ん? …ば、か。 そいうわけだから、エリス。 ……? この莫迦の手綱を握れるのは、貴女だけだから。 これからも宜しくね。 …あたしは馬か。 狼、よ。 ただの。 狼に手綱なんか、 だからこそ、エリスだけが可能なのよ。 …わたし、だけ。 然う、貴女だけ。 失敗したら、屹度、この莫迦は大変な事になるわ。 つか、さっきからばかばか言い過ぎじゃないの。 だからねエリス、この任務はとても重要なの。 何しろ、こなせるのは貴女しか居ないのだから。 ……ふふ。 …。 ふふ、ふふ…。 …エリス。 了解? …ん、りょうかい。 ……。 寝ないの。 …ここは、静かね。 うるさいのは好きじゃないから。 …貴女こそ。 エリスの傍に居なくて良いのかしら。 だから、すぐに戻る。 ……ねぇ、ナディ。 ……。 あの子は今でも。 …分かってるつもり、なんだけど。 ……。 ……。 …右腕は? さっき言ったとおり。 他には? 特には。 本当に? ……。 …言ったでしょう。 保護者にも似た感情なのよ。 ……。 …エリスは、気付いているんでしょうね。 うん。 ……。 …鈍ったのは右腕だけ。 嘘じゃない。 …利き腕でしょう? 左がある。 慣れれば、なんて事ない。 ……。 …一つ、言えば。 …。 生理が無くなった。 …不定期というわけでは? もう、全く無い。 ……然う。 ブルーアイズ。 …うん? 後悔は、ない。 …知ってるわよ。 あたしの子供は。 …。 あたしの家族は。 ……。 エリスが産んでくれた、産んでくれる。 作ってくれた、作ってくれる。 ……。 求めてくれた、求めてくれる…これからも、ずっと。 …。 …犠牲なんて、思ってない。 思った事、ない。 …知ってるわ。 ……あ、そ。 ……。 ……。 …ナディ。 ……。 貴女の想いが…あの子を、追い詰める時があるかも知れない。 いえ、今までもひょっとしたら…。 …何それ。 一つ。 …。 泣かすんじゃ、ないわよ。 …当たり前。 その言葉、忘れない。 どうぞ、ご勝手に。 ……。 …ブルーアイズ。 …。 エリスはあんたに会う事、本当に楽しみにしていた。 ロントの事、聞かれるのが分かっていても。 …然う。 ほんと、腹立つ。 嫉妬はみっともないわよ。 エリスはあたしだけのもの。 誰にもやらない。 …今更。 知ってるわよ、とうの昔に。 …いないと、思ったら。 ……。 良く寝てる? …うん。 ブルーアイズは? もう少し、だってさ。 …そう。 ……。 ……。 …エリス。 うん…。 ……。 …だ、め。 ……。 ブルーアイズが、いるから…。 …だから? いる、のに……。 ……。 あ、あ…ん…。 …さっきの、話。 ん、ナディ…。 ……本気、だから。 …。 こども。 ……ナ、ディ。 孕ませたい。 ……。 …あの時から。 ナディ…。 時々、そんな強い衝動にひどく駆られる…。 それ、は……。 …もしかしたら、無くなった生理の代わりかもしれない。 ……。 ……黙ってて、ごめん。 ……。 …それに心を委ねれば、あんたを踏みにじる事にしかならない。 ……な、さい。 …。 ごめんなさい…ごめんな、んん。 ……謝って欲しくない。 でも、ナディはふつうの…あっ。 ……。 …だめ…だめ……。 ……あたしの、こども。 ん、ん…ぁ……。 ここに…。 ……あ、ぁぁ。 やどして、ほしい。 もう、いちど。 いちだけじゃない、にども、さんども…なんども。 ……。 …今じゃなくても、いい。 エリスが、そう思えるまで…。 ……ナ、ディ。 これ以上は、しない…しないから。 ……。 ……あんたは、あたしだけの。 あぁ……。 それじゃあ、行くわ。 送っていかなくて、 例の部下が近くまで来ているから。 あ、そ。 それは手間が省けた。 言ってなさい。 じゃあ、エリス、ロント。 …ん、またね。 ……。 ロント、ばいばいは? …ブルーアイズ。 うん? またおはなし、してくれますか。 ええ、勿論。 また、会いましょうね。 はい。 じゃあ、ロント。 ばいばい。 …うわ。 何かしら、ナディ。 いいえ、なんでも。 全く。 ……。 ロント。 ばいばい、またね。 …はい、また。 ……。 …? ブルーアイズ? ばいばい? …え? さようなら、じゃなくて。 また、でもない。 ……。 ばいばい、ロント。 また、必ず。 …うん。 ばいばい、ブルーアイズ。 またね。 うん。 じゃあ、ナディ。 ん。 エリス、何かあったらすぐに連絡して。 …何か? 然うねぇ、この狼が浮気したら、とか。 …うわき。 そんな事、しない。 あら、分からないわよ? 勝手に欲求不満になって そんなの、いや! …と。 ナディ。 大丈夫、しないから。 でも、 ブルーアイズ、あんたが変な事言うから。 可能性の話。 自信があるなら、安心させてあげれば良いだけでしょう? 歯車頭に、性悪。 最悪。 で? ……。 …しないから。 するわけ、ないから。 ……。 …そもそも、あたしはあんたにしか欲情しない。 ……そんなの。 聞いてないわよ。 …わたし、も。 例えば、あんた以外の女の裸見たところで… …! ……。 ……。 だから… ナディのうすらタコス…! いたぁ! ……。 エリス、例え、例えだって。 …しらない、ばか。 エリス。 例えが悪い。 …もうすこしほかになかったの、ナディ。 ...four |