むかえ、こないね。 …。 どうしたんだろう。 …。 うーん。 …。 そうだ。 …。 もしこなかったら、うちにとまればいいよ。 …。 ね、そうしよ? …。 いっしょにねようよ。 …。 ふふ、ともだちといっしょなんてはじめて。 …ともだち。 うん、ともだち。 …ちがう。 え。 ちがうよ。 …。 ちがうよ、キジャ。 …ともだちじゃないの? ううん。 でも、ちがう。 …。 …。 …なまえ、まだおしえてくれないね。 …。 おしえてくれないの? ……。 え、なに…? あなたは。 …? イマン、スティイキ? …え。 …。 あなたもむかしのことば、わかるの? …しってるよ。 だって…。 …。 …あなたが、おしえてくれたから。 あたしが? …。 そうだっけ…。 …。 …んーと。 キジャ。 …。 イマン、スティイキ? あたしはキジャだよ。 …。 ほかにないよ。 …そうだね。 どうしたの? なんか、へんだよ。 …うん。 あたしはキジャ。 あなたは… …わたしがしってるのはそれじゃない。 え…。 わたしがしっている、あなたは…。 な、なに…。 わたしがしっているのは…。 ど、どうしたの? ……わたしに、おしえて。 なに、を…。 あなたを。 ……。 あなたを、もっと。 え、え…。 ……もっと、わたしにあなたを。 あ…。 ……ィ。 ち、が…う。 …。 ちがう、こんな、の…。 ……。 あたし、は…。 …。 ……あたし、は。 …。 …ディ。 …。 ナディ。 …。 ナディ。 …。 … …いっ? 貴女のこの耳は、ただの、飾りかしら? …あにすんのよ。 あら、飾りじゃないのね? 痛い、離せ。 ふぅん? いたたたたたたたッ それが行き倒れになりそうだった貴女達をを拾ってあげた私に対する態度? ……。 どうなのかしら? …こんの、機械女。 そう、それが貴女の答えなのね。 いだだだだ…ッ いっそ、無くしてみる? …あーッ。 あら。 いいかげんにしてくんない、ブルーアイズ。 貴女の怠惰は棚に上げて? …。 寝不足? …別に。 仕事、ちゃんと出来ないようなら。 減らすだけだから良いけれど。 …あんた、さぁ。 何かしら? …やっぱりいい。 そう。 じゃ、ちゃんとやりなさい。 資金、必要なんでしょう? …言われなくてもやるわよ。 なら、良いけれど。 …。 そうそう、エリスなんだけれど。 …何。 以前から思っていたのだけれど。 あの子、貴女と一緒に旅させておくのは勿体無い人材だわ。 …どういう意味で? 飲み込みが良い。 …。 体力勝負の貴女と違って、あの子はちゃんと“ここ”が使える。 あたしだって 壊すわね、確実に。 ……。 適材適所。 ただ、それだけの事よ。 …あーはいはい、そうね。 どうせ、あたしは体力ばかですよ。 そうね、全くだわ。 …後で三回、殺す。 今日の業務は? …西地区でのチラシ配りが終わったら、そのあとはデリバリーやら接客やら。 宜しい。 …。 それと。 …まだ何かあんの。 そう、うんざりした顔、しないで欲しいわね。 …。 あの子の顔、以前とはまた変わった。 …どういう意味。 そのままの意味。 良い意味で、良い顔になった。 以前よりも、ずっと。 …。 心当たりは? ……別に。 指輪はどうするの? …は? 指輪。 てか、なんであんたがそんな事知ってんのよ。 あら、本当なのね? …。 まぁ、貴女にそんな甲斐性は無いでしょうけど。 …誰から。 誰にも。 …。 それなのに。 貴女の顔は酷いわね。 …うるさい。 仕事するから、さっさと戻ってくれない? ナディ。 …だから、何よ。 あの子は今、とても仕合わせそうな顔をしているわ。 …あ、そう。 …。 …。 部屋、用意しておいたから。 …部屋ぁ? 私がここにいる間だけ。 その契約は? 覚えてるわよ。 流石に昨日の事なら忘れないわね。 いちいちうるさい。 で、部屋って何。 毎日野宿じゃ、貴女は良くても、あの子が不憫で。 ……。 賃貸料は取らないわ。 会社の倉庫だから。 それって職権濫用って言うんじゃないの。 と言うか倉庫って。 一応、部屋はあるもの。 それもシャワー付きの、ね。 それから住み込みでの仕事と言う事にしてあるから、職権濫用には当たらない。 …そもそもなんであんたがここにいるのよ。 あんたの管轄って 会社には異動と言うものがあるの。 分かる? ……。 分かりやすく言うと あーいい、いいから。 そう。 …。 それじゃしっかりと働いてね。 …言われなくても分かってるっつの。 そうそう。 まだ何かあんの。 エリス、私にくれないかしら。 は? あの子の能力を見ていると、本当に勿体無いから。 冗談。 あら、冗談じゃないわよ。 いっそ、食べさせて貰ったら? …止めてよ。 あら、もっと噛み付いてくると思ったのに。 あんたにはやらない。 絶対に。 ああ、そう。 …。 隣、涼しい? …? いつも、いたでしょうから。 …別に。 後で会えるし。 程ほどにしなさいね。 何を。 さぁ? …。 じゃ、また後で。 …さっさと行きやがれ、機械 ん? それではまた後ほど。 ごきげんよう、支部長さま。 気色悪い。 ……後で四回、殺す。 ここよ。 …ここ? そう。 勿体無いくらいでしょ。 …あーそうね、はいはい。 それだけ? …ありがとうございます。 宜しい。 それじゃ。 待って。 うん? その…エリスは? もう少しで終わるから。 …。 仕事、だから? 分かってるわよ。 いちいちうるさい。 まぁ、ゆっくりと癒して欲しいのは分かるつもりだけれど。 だからうるさいわよ、あんた。 …と。 思ってたより、早かったみたいね。 は、何が ナディ。 え? ナディ! わ、ちょ、ちょっと…。 あらあら、見せ付けてくれるわね。 支部長。 ありがとう、戻って良いわよ。 はい。 …ナディ。 あ、あー…。 おつかれさま、ナディ。 えと、あんたも。 がんばった。 えらいえらい。 …えへへ。 …。 ナディもがんばった? そりゃあ、もう。 じゃあ、ナディもえらいえらい。 はいはい、ありがと。 それで、良いかしら? …? …と言うか、まだいたの。 ごめんなさいね。 折角の逢瀬が始まると言うのに。 …おうせ? るさい。 で、何。 寝坊は厳禁。 …ねぼう? 分かってるわよ。 なら、良いけれど。 …。 ブルーアイズ。 じゃあ、エリス。 明日も宜しくね。 うん。 …あたしにはなしかい。 ナディ。 あー? 居眠りしてたら、給料カット。 しないっつぅの! …ナディ、してたの? してないから! エリス。 うん? あまり夜更かししては駄目よ。 明日の業務に差支えるから。 うん。 …たく、何なのよ。 …。 …。 …あー。 …。 エリス、ごはんにしない? …。 ほら、エリス。 おなか、すいたって。 …いろけより、くいけ? だからどこで覚えてくるんだっつの。 …だってずっとはなれてた。 仕事だから、仕方がない。 …ナディがとなりにいないの、なれない。 逢う前はいなかったでしょ? …。 さ、ごはんごはん。 …ナディはへいきなの? …。 わたしがいなくても エリス。 ……いえっさ。 仕事が終わればまた、一緒にいる。 ずっと離れてるわけじゃないでしょ? …。 …。 …。 …まぁ、確かに。 …。 隣がすーすーしてたのは、否定しないけどね。 …どうして? 誰かさんがいないから、かな。 だれかさんって? さぁ、誰だと思う? おしえて。 どうしよっかな。 おしえて、ナディ。 …こらこら、折角離れたのに。 ナディ。 んー…。 …。 仕方ない、たまには教えてあげよっかな。 …やった。 調子の良いやつだ。 えへへ。 たく。 …だれ? 当たり前になりすぎてた。 …。 隣にあんたがいるのが、ね。 だから…。 …ん。 ……了解、相棒? …いえっさ。 エリス…。 …ナディ。 …。 …あ。 …? …おなか、すいた。 ……色気より、食い気? にたものふうふだから。 似たもの? なかよしはにたもの、なんだよ。 そーかぁ? ながねんつれそうとそうなるんだって。 まだその域には達してないと思うけど。 ナディとエリスはじゅくねん? いや、まだまだ違うから。 と言うか熟年って。 そっか、ちがうのか。 でもまぁ、いつか、そうなるかもしれないけど。 なろうね。 …。 なろうね? …はいはい。 えへ。 で、今日のごはんはタコス。 きのうもタコス。 お腹すいてりゃ、なんでも美味しい。 ナディのこげたソーセージも? 取り除けば食べられる。 たまにだいさんじ。 それはあんたが人の気を散らすから。 エリスのせい? そう。 でもはんぶんはナディのせい。 こいつ。 なしくずし。 ちょっと違うから。 ちょっと? やっぱり大分。 じゃあ、ふたりのせいでいいよ。 …こらこら。 ナディ…。 …まったく。 しょーがないヤツだ。 ナディも。 人を巻き込むなって。 だってほんとうのことだよ? …。 ナディ? ……まぁ、いいや。 …。 わ…。 …おつかれさまの、キス。 ……。 さっき、できなかったから。 ……癒し、ね。 ? なぁに? なーんでもなーい。 …。 さ、ごはん、ごはん。 …きょうはなんのタコス? カルニータと玉葱、それからシラントロ。 結構、贅沢。 からい? からくない。 そっか。 よかったね、ナディ。 と言うか自分で作ったんだけどね。 残った具、好きに使って良いって言われたから。 ナディが? そう、あたしが。 あじ、だいじょうぶ? そういうコトを言う子は食べなくても良し。 たべる。 ええ、どうしようかなぁ。 ナディがつくったの、すきだから。 のわりには味の心配をして。 じょうだんだよ? ほぉ? ナディとたべればなんでもおいしいから。 あたしと? ナディがいないとなにをたべても、おいしくない。 あじがしないの。 …。 だから、だいすき。 …そっか。 …。 …。 …じゃ、二人でごはんにしよっか。 エリス。 いえっさ! …。 …。 …エリス。 …なぁに? 仕事、どうだった? しごと、だった。 …何したの? じむ。 じむ? きかいのそうさ。 いっぱいすうじをならべるの。 …へぇ。 確かにあたしには無縁そうだ。 …ナディは? あたしはいつもどーり。 チラシ配って、接客して、デリバリーもして…あとは掃除とか。 …おつかれさま。 ……エリスも。 …。 ……こら。 …。 …重いって。 ……おもい? うん、重い。 …だめ? …だめ。 …そっか、だめか。 …。 …。 …でも。 …でも? 気分は、悪くない…。 ……。 …。 ……いい? …少し、だけなら。 ……いえっさ。 …。 …。 …。 …ナディ。 ……今夜はしない。 疲れたから。 …。 …。 …そっか。 …エリスも疲れたでしょうに。 ……さびしかった。 …。 ナディがいないから…。 …それ、さっきも聞いた。 …また、いうの。 ナディはどんかんだから。 …そこまでかい。 ナディのとなりが…いちばん、いいの。 …。 …ん。 まったく…。 …きもちいい。 …。 もっと、して。 …調子に乗らない。 …。 …けど、本当に柔らかい髪よね。 そうなの? …そうよ。 …そっか。 …。 …もっと、なでて。 もう、おしまい。 …。 …明日。 寝坊、しちゃ駄目なんだって。 …ナディはねぼすけ? エリスほどじゃ、ないけど? …。 …。 …。 …エリス。 …もうすこし。 …。 …。 …二人、なのに。 ベッド、ひとつしかないんだもんなぁ…。 …ひとつで、いいから。 …。 …。 ……エリス。 ………いえっさ。 …。 …。 …おい。 ……だめ? …腕、痺れると思うんだけど。 …。 こらこら…。 …きもちいい、から。 …。 ………だめ? だーめ。 …どうしても? どうしても。 …。 …て、おーい。 …やだ。 やだ…て、ねぇ。 …。 ……まぁ、いっか。 …えへへ。 寝てる間に外れるかもしれないし。 …はずれないよ? …あんたが言うと本当になりそうで。 ほんとうだから。 …。 …。 ……甘いなぁ、あたし。 …だいすき。 …。 …。 …エリス。 …ん。 おやすみ…。 …。 …。 ……おやすみ、ナディ。 また、明日…。 …うん、またあした。 …はぁ、はぁ、はぁ。 ッ、あ…っ、ナ…ディッ ……ぅッ。 や、だめ…ッ、あ、あッ……ぁあッ! …ス…ッ、エリス…ッ。 あッ、あぁぁぁ…ッ、や.…く、ぁあッ! エリス…ッ、エリス…ッ、エリス…ッ!! ナ……ィ…ッ! …も、と。 …ナディッ、ナディ…ッ! ナ、デ…ィ……ァッ!!! もっと、もっと、もっと…ッ! …ッ! だめ…だめぇ…ッ、ぁ…ふ、んんッ! ……。 ふ、あ…ん、ん…ッ。 ……もっと、もっと、呼んで。 ……ナ、ディ…。 もっと…もっと。 ナディ…ナディ…ッ!! もっと、あたしを…ッ。 ナディ、なでィ…っ、ナでィ…ッ、な、デぃィ…っ! あたしだけを呼んで、エリス…ッ!! ナ、ぁっ、…ッ、……な…あぁ゛ッ、あ、あ、あ……っ…、ッ……。 ……あたしだけ、を。 …っ……。 エリス……。 ……ナ……デ……ィ…。 ……。 ……。 …はぁ。 …。 ……エリス。 …。 …? …。 エリス? …。 …あ。 …。 うそ…。 …。 エリス、エリス…! …。 起きて、目を覚まして! ……。 エリス…っ!! …。 そ、んな…。 …。 ……あぁ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! …。 あぁぁぁ…。 …。 ……あ。 ……デ、ィ。 エリス…ッ。 ……くる、しい。 良かった、良かった…。 ……どうし、たの? ごめん…ごめん…。 …ないてる、の? ……いき、とまってて。 しんぞうのおと、だって…。 …よしよし。 …。 ……ごめんね。 …謝るのは、あたし。 エリスにひどい事を…。 …。 もっと…もっと、優しくしたいのに…止まらなくなる。 …いいよ。 良くない。 …。 …あたしを甘やかさないで、エリス。 ……。 …。 …ナディ。 …。 わたしはあなたが、すきだから。 …でも。 …。 …。 ナディ…。 …。 ……キジャ。 …え。 …。 え、え…。 …。 ……だ、れ。 …わたしは、わたしだよ。 違う、エリスじゃない。 …。 エリスは、どこ…? …わたしは、ここにいるよ。 違う、あんたは…。 …。 …あんた、は。 …わたしは、だれ? ……。 あなたのしってるわたしって、だれ? …エリスを、返して。 …。 エリス、を。 ……いつも、あなたのとなりにいるよ。 いないじゃない! 返して、返してよ! …。 …返してよ。 ……わたしは、わたしだから。 …。 キジャ…。 …そんなの、知らない。 …。 だって、あたしは貴女の名前、知らない。 …。 だから、エリスじゃない。 エリスじゃないのよ。 …そっか。 …。 …ねぇ。 …。 ……だいてくれて、ありがとう。 …っ。 エリスじゃない、わたしを…。 …違う、ちがう、違う。 …。 あたしが抱いていたのは、この腕の中にいたのは…。 …。 あたしの名前を呼んでくれたの…は。 ………ナディ。 …! ……。 …止めて。 …。 あの子のふりなんて、しないで。 …。 あたしにとって、あの子は…エリスはたった一人だけ。 …。 …だから。 …。 …ス。 … エリス。 …。 エリス。 …なに? 大丈夫? なにが? 簡単に言えば…起きてる? …おきてるよ? なら、良いけれど。 …ブルーアイズ。 うん? もう、おわったよ。 え、本当に? うん。 …見せて。 うん。 …。 …。 …本当だわ。 きょうはもう、おしまい? いえ、もう少しお願いするわ。 うん、わかった。 …。 ……。 ねぇ、エリス。 …? ナディに、会いたい? うん。 でも。 でも? しごとちゅう、だから。 …。 ナディ、きっと、がんばってるから。 だからわたしもがんばるの。 …そうね。 …。 …。 …これでいいの? え? これ。 あ、ああ、そうよ。 わかった。 …。 …。 ……エリス。 なに? ナディのこと、好き? だいすき。 …。 …。 …そう。 どうして? ううん、深い意味は無いのよ。 ふぅん。 …。 …。 …じゃあ、お願いね。 うん。 …。 …。 …いえっさ、とは。 …。 言わないのね。 うん、いわない。 ナディ限定? …ないしょ。 …。 …。 …ふ。 おもしろいの? ええ、少し。 …。 エリス。 …うん。 多分、大丈夫だろうけど。 …なにが? …。 ブルーアイズ? 少し、出てくるわ。 うん、いってらっしゃい。 そうそう。 お昼、どうする? なんでもいい。 タコスでも? …。 エリス? …べつにたべなくてもいい。 …ナディがいないから? ……。 用意はさせておくから。 うん、ありがとう。 じゃ、お願いね。 うん。 しっかりやってる? …。 相変わらず、酷い顔のようだけれど。 …案外、暇なのね。 支部長さまって。 いいえ? …じゃなきゃ、バイトんとこなんて来ないでしょ。 普通。 確かに、貴女の言うとおりね。 けれど上に立つ者、下に心を配るのもまた仕事の一つなの。 責任、とも言えるわね。 …。 そんな顔じゃ、接客は出来ないわね。 …クビにでもする? いいえ。 貴女の体力は他の者に比べたら格段と上だから。 その能力を生かさない手は無い。 …あーそうかい。 ちゃんと寝なさいと言ったでしょう。 …そんなひどい顔、してるかな。 してるわね。 鏡で見てみる? …いい。 そう。 ……エリスは? どんな時でも相棒が気になるのね? …。 あの子は淡々とこなしているわ。 効率も良い。 …そ。 なら、良いや。 ナディ。 …んー? まるで対照的。 …。 どうしてそうなっているのか、私には分からないけれど。 …分かってもらおうなんて思ってない。 でしょうね。 けれどね、ナディ。 …。 それでも、私は貴女が心配なのよ。 …。 それに。 …それに、何。 貴女、自分で言ったのよ。 私に、偉そうに。 …なんか言ったっけ? 自由は素敵なものじゃない。 …。 誰にも頼らないんじゃない、誰にも頼れない。 道を間違えても教えてくれる人もいない。 自由の方が苦しい、辛い。 だから。 ……。 ずっと支えてくれる人が欲しかった、と。 …あぁ。 そんな事、言ったっけ。 …。 でも良く覚えてるわね、そんな事。 ええ、覚えてるわよ。 まさか貴女に説教されるとは思ってもいなかったから。 …。 ナディ。 …。 仕合わせって何かしらね。 …は? 仕合わせ。 …さぁね。 あたしには無縁な だった。 ……。 ナディ。 …何よ。 今の貴女、まるであれなのよ。 あれって? マリッジブルー。 ………ぱーどぅん? 結婚を前にしての憂鬱な精神状態。 そんな事ぐらいは、 知ってたの? …ばかにして。 私にはそう見えるの。 …節穴なんじゃないの。 ええ、そうかもね。 と言うかさ、どうしてあたしたちが 女同士だから? ……。 そんな事を、貴女がいちいち気にするとは思わなかったわね。 …あのねぇ。 あたしだって それとも他に要因でもあるのかしら? ……。 聞こうとは思わないけれど。 …あんた、さ。 仕事は良いの? ここに来るまでに一通りの事はしてきた。 そして、今はお昼休み。 …何をぅ。 早めの、ね。 …自由なものね、支部長さまは。 貴女も早めのお昼になさい。 もう少しまともな顔で無いと、店には立たせられない。 …チラシ、配ってくる。 忙しくなってきたら、食べられなくなるわよ。 …別に良い。 食欲、あまり無いし。 別に食べなくても良いんですって。 …? モチベーションを下げさせないのも、私の努めよ。 …たた単に甘いだけじゃない。 機械女〈あんた〉らしくない。 飴と鞭という言葉は知っているかしら? …。 知らないなら、 何となく分かるからいい。 あ、そう。 言っておくけれど、無知、では無いわよ。 …莫迦にされてることだけはよぉく、分かった。 それじゃ。 …ブルーアイズ。 うん? 実は結構、暇なんでしょ? そう思う? すごい、思う。 なら、貴女にもやってもらおうかしら。 …は? 本社から送られてくる書類整理。 他、現地で起きた問題の処理、及び、起こりそうな問題の事前対策と回避。 …。 言っておくけれど、それはごく一部よ。 …ごはんにする。 そう。 じゃ、オフィスに行きなさい。 は、なんで。 言ったでしょう? それとももう、忘れてしまったのかしら? ……くそぅ。 ナディ。 あによ。 エリスの事、好き? …。 それとも どうしてあんたに言わなきゃいけないのよ。 エリスにも聞いたから。 はぁ?! 答えは…言わなくても分かってると思うけれど。 …。 まぁ、貴女から聞けるとは思って 好きよ。 …。 …大事な相棒なのよ。 そう、大事な…。 ……そう。 だから、なのね。 …。 …とりあえず。 お腹すいてるとロクな事、考えないから。 特に貴女のようなタイプは。 …どこまでもばかにして。 いいえ、褒めているのよ。 単純な方が、ある意味、生きやすいから。 羨ましいわ。 ……いつか、殺す。 …。 エリスさん。 …。 エリスさん。 …なに? お昼、こちらに置いておきます。 …。 スティーブ・ベックマンです。 …べつに、いらないよ? そうはいきません。 支部長の指示ですから。 …。 では。 ……うん。 こら、エリス。 …え。 ありがとう、は? ナディ? あ・り・が・と・う。 ……。 え、と、あんたは… スティーブ・ベックマンです。 だって、エリス。 …ありがとう。 いいえ、どういたしまして。 ナディさん、ナディさんの分もここに。 ありがと。 あんたも大変ね。 いいえ。 あくまでも、支部長の指示ですから。 あ、そう。 あんな女のどこが良いんだか。 支部長はとても素晴らしい人ですよ。 ふぅん。 現に。 こうして貴女達を気にかけています。 …。 …ナディ? …ただのお節介なだけじゃないの。 ええ。 けれどそれもまた、支部長の良さです。 ふーん、そんなもんかね。 はい、そんなものです。 では仕事がありますので、失礼します。 はいはい、ごくろーさま。 ごくろーさま。 …。 ん、何よ。 …いえ。 顔、笑ってるけど。 すみません。 ただ…。 ただ、何よ。 顔が全然、違うものですから。 …。 支部長の言っているとおりでしたね。 …どこまでも計算どおりってことかい。 …けいさん? では僕はこれで。 …はいはい。 ばいばい。 はい、失礼します。 …。 …。 あ、エリスさん。 なに? 少しの間、部屋を空けますので留守番を頼んでも宜しいでしょうか。 うん、いいよ。 ナディさんも宜しくお願いします。 了解。 でもさ、あんた。 はい、何でしょう。 そんなに畏まらなくても良いのに。 一応、雇い主の部下なんだから。 はぁ、それはそうなんですけどね。 ま、いいけど。 では。 …。 …。 …たく。 ナディ。 …エリス。 しごとちゅう? …だったんだけど。 どっかの機械女がね。 そっか。 エリスは? しごとちゅうだった。 でもいまはやすみじかん。 …。 えへへ。 なに。 ナディとごはん。 まさか、ね。 うれしい。 …。 ふふ。 …モチベーション、ね。 もち? うんにゃ、何でもない。 さ、食べよ。 いえっさ。 …て、アミーゴセットかい。 そうだね。 ま、良いけど。 うん、いいよ。 …。 ナディといっしょだから。 単純なヤツめ。 ナディも。 おいおい、一緒にするな。 なかよしふうだから、いっしょ。 …。 …? ナディ? エリスは、さ。 うん。 その…あたしのこと、 …。 …好き、なんだよね。 …うん、だいすき。 そっか…。 …ナディ? いや、変な事聞いてごめん。 …。 さ、腹ごしらえ腹ごしらえ。 …ナディ。 うん、なに? …きかせて。 …。 ナディは…わたしのこと、 …。 …すき? …。 …。 …好きよ。 …ほんとう? 本当。 …。 …ここで嘘を吐いたら悪い嘘になっちゃうから。 …。 …こらこら。 …だめ? あいつがいつ、戻ってくるか分からないでしょ? …いまはいないよ? でも、だめ。 …。 エリス。 …だめ、か。 休み時間、なくなっちゃう。 さっさと食べないと。 うん。 支部長。 ありがとう。 いいえ。 …。 …どうかされましたか? あの二人、貴方にはどう映った? …。 思ったままで良いわ。 …仲がとても良いようですね。 それだけ? 明らかに表情が変わりました。 それはエリス? それとも。 ナディさんもです。 そう。 特にエリスさんは…あんなにも表情が豊かになるとは思いませんでした。 素直、かつ、無垢なのよ。 今でも、あの子は。 …。 素直じゃない、と言う評価も一部にはあるようだけれど。 ナディさん、ですか? さぁ? …。 他には? 他に、ですか? 何か気付いた事があれば。 …そうですね。 けれど僕が気付いたところは支部長もお気付きになっているのでは無いでしょうか。 …。 すみません、支部長。 良いのよ。 多分、その通りだから。 …。 どうしても感情が介入してしまうから、と思ったのだけど。 すみません。 ねぇ、ベックマン。 はい。 結婚って。 そんなに憂鬱になるものなのかしらね。 …はい? 私には分からないけれど。 貴方には分かる? さ、さぁ、僕にも分かりません。 そう、そうよね。 …。 ま、私には関係ない事だけれど。 あの、支部長。 うん? よ、宜しかったら そろそろ時間だわ。 貴方も戻って。 …。 何? い、いえ…。 ぐずぐずしない。 は、はい。 …。 では、失礼します…。 ええ。 …。 …結婚、ね。 それとも…。 ごちそーさま。 ごちそーさま。 よし、それじゃ頑張ろうかな。 もういくの? うん。 でもたべたばかりだよ? 歩けばこなれる。 …。 ほら、エリス。 …。 仕事が終われば会えるでしょ。 …うん。 あたしも頑張るから。 わたしも、がんばるね。 そうそう。 …。 それに、さ。 …なに? ずっとこんな生活じゃ、ないんだから。 …。 資金が出来ればまた空の下。 あんたと一緒に。 …。 でしょ、相棒。 いえっさ、ナディ。 よしよし、良い子だ。 …? じゃ、またね。 ナディ。 うん? ナディのて、あつい。 …そう? あついよ。 ま、あたしは元々体温高いし。 ちがうよ。 お…。 ナディ、あつい。 まぁ、ごはん食べた後だし。 ナディ。 大丈夫だって。 あんたってそんなに心配性だったっけ? …ナディ、ねつが。 暑いのには慣れてるから。 …そうじゃない。 戻らないと。 じゃあ… ……。 ……エリス。 …。 …離して、エリス。 …いや。 離して。 やだ。 離しなさい、エリス。 …。 大丈夫だから。 こんなの、なんて事ない。 …でも。 あたしが信じられない? …。 …ほら、あたしなら大丈夫。 ……ナディ。 じゃあ…ね? ……。 仕事に集中すんのよ。 ちゃんと、ね。 ………いえっさ。 ...seis |