…。
…え、と。
…。
改めて、お帰りなさいませ。
当主様。
ただいま。
ぶ、無事で何よりで御座います、ね。
然うでもないわ。
お、お風呂は如何だったでしょうか…。
気持ち良かったわ。
有難う。
そ、其れは何より…。
……。
…あ、あの。
菊乃。
は、はい。
無駄遣いについて、説明して頂戴。
い、いえ、決してかような事は、私如き、全然しておりませぬ、と言うか記憶にはある様で無い様な気もするような
意味が分からない。
…う。
イツ花に、家に帰った早々、聞かされたわ。
…イツ花ってば、余計なコトをー。
出立前に言い置いておいた。
何かあったら伝えるように、と。
そ、然うで御座いましたかー。
貴女、ほぼ毎日団子代を無心していたそうね。
や、やだなぁ。
二日にいっぺん、ぐらいですよー?
其れを、ほぼ毎日、と言うのよ。
…は、はい。
菊乃、説明なさい。
ひ、暇で、これと言ってやる事が無かったから、つい…
…つい?
と言うか江利ちゃんと散歩がてら下鴨の方まで行ったついでにー…と思って
初めから。
団子が目当てだったと。
い、いえ、あくまでも江利ちゃんに体力をつける為に
まぁ、確かに。
美味しいわよねぇ、あそこの御手洗。
そ、然うなんだよー!
だからさ、ついつい食べたくなっちゃってー!
……。
あ゛…。
ま、私は御手洗より餡子、だけど。
ふ、藤は団子の
で?
………ごめんなさい。
無駄遣いしました、団子二十本近く食べました、すみません。
と言うか、二人で二十本も食べたの?
其れは良く食べたもんね、団子代もそれなりだわ。
……。
菊、正直に言いなさい。
…お、怒らない?
あら、其れは約束出来ないんじゃないかしら。
ねぇ、椿?
……。
……。
だって。
今現在が既に、お説教時間、なのだし。
ええ、その通りだわ。
……うぅ。
菊。
本当の事を言って叱られるのと、言わないで怒られる、貴女の選択はどちらかしら。
……ど、どっちにしろ、怒られるには変わんな
どちら、かしら。
……すみません、私一人で二十本程食べました、すみません。
はい、記録更新。
まさに底無し、ね。
……江利子は?
江利ちゃんは、一本、です。
毎回?
は、はい。
なので合計すると三本くらい、です。
然う。
………。
江利子。
…はい。
美味しかった?
……。
お、美味しかったよねぇ、江利ちゃん?
菊。
私は江利子に聞いているのだけど。
…はい。
で、どうだった?
江利子ちゃん。
…はい、それなりに美味しかったです。
それなり、ね。
菊、貴女の見立て、落ちたんじゃない?
え、えー。
菊乃。
は、はいー!
とりあえず…
ご、ご飯抜きは勘弁して…。
厠の掃除。
一週間。
え、厠の掃除で良いの?
わーい。
それから一ヶ月団子抜き。
え、えーーーーッ
まぁ、妥当ね。
や、や、待ってよー!
私、と言うか私ら、ただでさえ寿命が短いってーのに、一ヶ月もお団子が食べられないなんてひどいよぉーー!
自業自得。
因果応報。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…!
もうしません、本当にしません、ごめんなさい、椿ー!!
さて。
椿ぃー!!
討伐の結果についてなのだけれど。
うわーーん…!
江利子。
はい、当主様。
貴女はもう、席を外しても良いわよ。
私にはお咎めは無いのでしょうか。
うん?
私もお姉さまとお団子を食べたので。
貴女が言い出した事?
いえ。
だったら、姉である菊乃の責任。
理解したかしら?
はい、分かりました。
けれど然うね、貴女は菊乃の手伝いをしなさい。
掃除、ですか?
然うよ。
はい。
それでは。
待った、江利子ちゃん。
…何でしょうか、藤花さま。
蓉子ちゃんの様子、見に行って貰っても良いかしら。
……。
一応、聖が付いている…筈、なんだけど。
…はい、分かりました。
くれぐれも。
騒がしくしないように、ね?
………はい。
…。
…其処で。
…。
何をしているのかしら。
……。
無視?
まぁ、其れは良いけれど。
…。
曰く、蓉子の傍に居る筈ではなかったのかしら。
……うるさいな。
うるさい?
私、そんなにうるさく感じるように言ったかしらね?
……。
待ちなさいよ。
…。
もう一度問うわ。
蓉子の傍に居る筈ではなくて?
…どうして。
…。
居なければならないのよ。
然うね。
所詮、あんたなんか傍に居たって何も役に立たないわ。
然う、何も。
…。
蓉子はどうせ、あんたを、あんたなんかを庇ったのでしょう?
……だから?
蓉子は貴女の保護者気取りなのね。
……。
何よ。
お前、うるさい。
は。
私よりも蓉子の方がうるさいと思うわ。
あんたに関してはそれこそ、何倍も。
…。
世話を焼かれて。
鬱陶しいと思っているのでしょう?
……。
良かったじゃない。
今だったら、お世話を焼かれないわよ。
あんた自身のせいで。
…うるさい。
蓉子の事だからあんたを優先して、自分の治癒を後回しにしたのね。
自分の体の管理も出来ないような莫迦な餓鬼の為に己を蔑ろにして。
うるさい。
結果。
怪我は大した事は無かったけれど、其れが祟って高熱。
莫迦だわ、本当に。
うるさい!
己の身を守るのは己自身。
其れを破った結果が此れよ。
然う、莫迦な餓鬼一人の為に、ね。
江利子…!
…。
いい加減、だまれ。
…良いわ。
その代わり、
…っ!
締め殺して、あげるわ。
ぐ…。
あんたが居るから。
あんたなんかが、居るせいで。
蓉子は。
か、は……。
蓉子は、莫迦になる。
……は…
あんたが居なくなれば。
蓉子は。
…な……
然う、あんたさえ居なければ…
せぇ…っ
……。
……はぁ、はぁ。
ふむ。
流石、腐っても槍者だけあるわね。
……。
…若しも。
…はぁ。
蓉子に何かあったら。
……。
私は、あんたを。
江利子ぉぉぉ…ッ!
……。
で、並々ならぬ物騒な気配を感じたから来てみれば。
…。
…。
高熱で寝ている人間が居ると言うのに。
…。
…。
聖。
私は蓉子ちゃんの傍に付いていてあげなさいって言ったわよね、確か。
…。
江利子ちゃん。
聖は屹度、本当に付いているだけだろうから貴女に頼んだのだけれど。
…。
と言うか。
やるなら外で、出来れば近くに何も無い、野っ原でやんなさいな。
…。
…。
幾ら未だちびとは言え貴女達が本気で喧嘩したら、こんなぼろ家、軽く吹っ飛んじゃうから。
…。
…。
もっと言うと、椿に見つかったら事よ?
説教で済めば良いけど、まぁ、済まないわね。
…。
…。
いや、気付いていないわけは無いわね。
あんだけ物騒な気配を出しまくっていたら。
ただ今は蓉子ちゃんの事があるから。
…。
…。
と、言うか。
そろそろ口を利いてくれないものかしら。
…。
…。
ふむ。
…。
…。
菊。
……私?
一人はあんたの妹。
まぁ、然うなんだけど。
…。
江利ちゃん。
…。
ほら、やっぱ口利かないよ。
然うね。
だから?
…それより聖は?
聖は藤の妹じゃん。
ええ、然うよ。
…。
聖だって口利いてないじゃんか。
ま、此の子の場合はほぼいつも通りだから。
何其れー。
どうせ何を聞いたって答えないわよ。
てか、人には言っておいて。
江利子ちゃん。
…。
喧嘩になると言う事はそれなりの理由があっての事よね?
…。
聖。
…。
原因を、今更、言えとは言わない。
分かったところで今の時点ではどうにかなるもんじゃないし。
…。
…。
つか、どーいう意味?
藤は原因知ってんの?何で?
さぁ、何ででしょうねー。
えー。
所詮、菊だものねぇ。
仕方無いわ。
かっちーん。
江利子ちゃん、聖。
…。
…。
蓉子ちゃんは今、高熱を出して寝ている。
つまり、貴女達の仲裁者は不在。
其れは分かってるわね。
…。
…。
だけどね、若しも貴女達が喧嘩をしているなんて事、蓉子ちゃんが気付いたら。
這ってでも止めてくれそうなのも、分かるわよね。
…。
…。
蓉子ちゃんの事を少しでも思うなら、今はとりあえず、休戦なさい。
じゃなければ
わ、藤が珍しく真面
でこぴんを喰らわすわよ。
…。
…。
…め?
何よ、菊。
一層、間抜け面になってるわよ。
…いや、所詮は藤だったー。
てか間抜け面って何よー!
あら、そんなあんたには特別に今、喰らわしてあげるわ。
え、あ…ちょっとま
はーい。
………ぎゃあっ!
とまぁ、威力はこんな感じ。
喰らいたいかしら?
…。
…。
うん。
じゃあ菊、後はお願いね。
…は?
私、抜けるから。
え、ちょ、てかなんででこぴん喰らわされたの、私ー…!
…はぁ。
…。
……。
……蓉子。
…とう…しゅ、さま。
……。
…も、うし…わけ…ありま、せん。
己の身は己で守りなさい。
私は然う、貴女に教えた筈よ。
……。
其れが出来ない者から、喰われてゆくの。
…は、い。
……。
とうしゅ…さ、ま。
……。
…ごめ…んな、さ…い。
謝ったところで。
貴女が熱を出している今の現状が変わるわけでは無いわ。
……。
…手拭、温くなってしまったわね。
……はぁ。
……。
…あ、りが…とう…ござい、ま…す。
保護者として、当然の事をしたまで。
……。
……。
……あ、の。
…何。
せいと…えり、こは…。
……。
さっ…き…。
先ずは己の事を優先しなさい。
…。
そんな調子で仲裁者になど、なれる筈が無いわ。
…け、ど。
貴女は何の為に私達〈カゾク〉が居ると思っているの。
……。
今は。
何も考えず、寝ていなさい。
其れが今、貴女のすべき事。
……。
分かるわね。
………はい。
……。
……。
……蓉子。
……。
若しも。
……。
誰かを、強く守りたい、と思うのならば。
……。
強くおなりなさい。
……。
力無き者が誰かを守るなんて。
そんなの、ただの弱者の戯言よ。
……。
蓉子。
……は…い。
弱さや痛みを知って、且つ、覚えたまま貴女は強くなるの。
じゃなければ何も…何一つ、守る事など出来ない。
……。
誰かを……聖を、守りたいのならば。
……。
……。
……おね…え…さ、ま。
誰よりも、守りたいと願うのならば。
……。
……。
はぁ…。
……全く。
……?
やっぱり兄上の子なのね。
……。
子供ってどうして親の悪いところまで似るのかしら。
似る必要など、皆目無いのに。
……に、て。
莫迦になってしまうところ。
そっくりだわ。
………。
聖も…また。
……せ、い。
…今は眠りなさい。
眠れないのならば、目を瞑っていなさい。
……。
貴女には話すべき事が未だあるの。
だから。
……い。
……。
……。
……喉、やられてるわね。
……。
水分を…。
ごきげんよう。
…藤花。
はい、替えの水。
……そっちは。
一応は。
…然う。
ごめんなさいね、うちの妹が。
…其れは何に対しての謝罪?
さぁ。
椿が思う方で良いわ。
…。
塩梅は?
…悪くは無い。
てコトは、命には障らないのね。
絶対、では無いわ。
分かってる。
簡単な事で人は死ぬ。
ええ。
……。
けど、大丈夫。
…。
睨まないで。
別に楽観的に言ってるわけじゃないわ。
…。
蓉子ちゃんには未だ、死ぬ理由が見当たらない。
生きる理由はあっても。
…けれどその理由があの子を殺す要因になるわ。
其れは…痛いわね。
でもお願いだから、断定はしないで。
……。
ねぇ、藤花。
……。
私は誰も恨んでなんか、いない。
……。
ただ、ね。
…。
仕合わせになって欲しいだけ、よ。
…其れは姉として?
家族として、よ。
椿なら意味、分かるでしょう?
……。
…さて。
私も蓉子ちゃんの様子、見に行こうかしら。
…ちび達は?
江利子ちゃんには多分、菊が。
聖は…さて、何をしているのかしらね。
……。
…。
…はぁ。
…。
…う。
…。
はぁ…はぁ…。
…。
……。
……。
せ……ぃ…。
……。
……はぁ。
…?
とりあえずは寝てる、みたいね。
…藤花。
うん?
誰かが、居たわ。
…ふむ?
水が替えられている。
あら。
……。
…ま。
どっかの子鬼の仕業、かも知れないわね。
・
蓉子。
…ん。
調子は如何かしら?
ああ、江利子。
熱は下がったの?
ええ、もう大分。
心配をかけてしまってごめんなさいね。
全くだわ。
……。
困った笑顔、ね。
だって、返す言葉が見つからなかったんだもの。
傷は?
未だ残っているの?
…いいえ。
とても小さな傷だったから。
…。
けれど小さな傷でも侮ってはいけないわね。
蓉子には似つかわしくない言葉だわ。
え…?
侮る。
…そう、かしら。
石橋は叩いて渡るような人だもの。
……。
また困った顔。
私、江利子が思ってる程慎重では無いわよ。
ええ、然うなのかもね。
とある事となると、自分の事が見えなくなるぐらいだから。
…ねぇ、江利子。
私、もう行くわ。
あ…。
もう少し寝ていた方が良いわよ。
待って、江利子。
…。
江利子、ねぇ。
…何。
あの…聖、と
聖が、何なの。
……。
私は知らないわ。
でも…。
おやすみなさい、蓉子。
少し良いからと言って、あまり調子に乗っているとまたぶり返すわよ。
……。
ああ。
調子に乗る、なんて。
蓉子には似つかわしくない言葉だったわね、ごめんなさい。
…江利子、怒っているの。
は、どうして。
……。
怒らなければいけない必要性など、何処にも無いわ。
…そう、ね。
それではごきげんよう。
……ええ、ごきげんよう。
…。
ねぇ、聖。
…なんでしょうか。
そろそろ小腹が空く時間、なのだけど。
どう?
……。
何か少し、つまみたい気分。
…そうですか。
そこで、聖。
…。
おにぎりの一つでも、作ってきてくれないかしら。
……私が、ですか。
ええ、貴女が、よ。
……。
イツ花に言えば、ついでに、作ってくれるだろうけど。
貴女が作ったのが良いのよ、今は。
…ですが。
私は作った事が
尚更、丁度良いじゃない。
何事も実践が肝心。
……。
と言うコトで。
はい、行ってらっしゃい。
…お姉さま。
ん?
…。
何か不満でもあるのかしら?
……夕餉は如何なされるのですか。
今、お召し上がりなってしまうと中途半端に
勿論、私は食べるわよ。
これでもまだまだ成長中だから。
……。
はい。
じゃ、ちゃっちゃっと行っちゃって。
……。
二つ、ね。
……。
ん、何?
…小腹、なのですか。
ええ、然うよ。
だから小さいの二つ。
……。
だって。
一人で食べたって味気無いもの、ね。
…其れは
何だったら、中くらい、でも良いわよ。
付け合せは貴女に任せるわ。
……。
じゃあ、行ってらっしゃい。
………お姉さま。
出来るだけ、心を込めて、作るのよ。
料理は愛情、と言うらしいから。
あ。
…。
本当に来た…。
……。
あ、あの、聖さま…?
…ご飯、どこ。
あ、ああ、こちらです…けどぉ。
……。
今は未だ、蒸らしている状態なンですよ。
…だから?
ご飯はちゃんと蒸してあげないと美味しくならないんです。
……。
と言ってもあとほんのもう少し、なので。
ちみっと待っててもらっても宜しいでしょうか?
…。
その間に支度をしてしまいますね。
…。
お漬物、夕餉のはお大根なんですよ。
……朝も昼も其れだった。
まぁ、覚えていて下さったのですか!
イツ花、嬉しいです!
…。
聖さまはおかずに、と言うか食事自体、あまり興味無さそうな顔でお召し上がりになっているので!
…。
それはそうと。
蓉子さま、熱が下がって良かったですよねぇ。
…。
あとはお食事さえちゃんと摂ってくだされば、もぉっと、元気になるの請け合い!
…。
と言ってもいきなり沢山食べるのは無理でしょうから、少しずつ、なンですけどネ!
…。
元気はやっぱり、お食事から、なんですよ!
聖さま!
……イツ花。
はい?
そろそろ、良いんじゃないの。
へ。
ご飯。
あ、ああ!然う言えば!!
…。
んー、どれどれ………よいしょ、と。
…。
聖さま、こうやってかきまぜて空気を入れてあげるのも重要な点なんですよ!
…あ、そう。
はい!良い具合に炊けました!!
…。
んではどうぞ、聖さま。
…。
あ、でも熱いからお気をつけ下さいネ!
…。
じゃあイツ花は皆様のお夕飯の支度を進めますね!
…。
今夜は良いお魚が入ったンです!
その名も鰯!!
…。
焼いて食べると美味しいンですよね〜。
骨も食べられて栄養満点ですし、お値段もお手頃ですし、まさに皆様と家計の味方!
…。
だからつい、鰯ばかりになっちゃうンですけど!
へへ。
…。
聖さま、聖さまはお魚があまりお好きでは無いみたいですけど。
お魚は良いんですよ、背だってもっとグングン伸びちゃうんだから!
…。
そんな聖さまの為に!
蓉子さまがです、ね…?
…。
……あのぉ、聖さま?
何をなさっているのですか?
…おにぎり。
そうそう、おにぎり…ですよね。
……。
と、とりあえず、手を洗いましょうか?
……。
良く洗わないと駄目ですよ、おにぎりは素手で作るんですからね?
…。
それからおにぎりを作る時は手を湿らせておかないと。
じゃないと、お米が手についてベトベトになっちゃいますからネ?
…。
あとは食べてくれる人の事を思いながら、と言うのも重要なんですよ。
もう味が全っ然、違うンですから!
…。
あ、お塩も忘れずに。
付けすぎると塩辛くなってしまいますから注意が必要です。
…。
あとは…うーん。
まぁあとはバァーンとぉ!作ってみましょう!
形なんて気にしない!!
…。
それではイツ花も蓉子さまのお食事を、ぱぱっと、用意してしまいますから。
と言っても手抜きじゃないですからね!?
…蓉子?
消化の良いものが宜しいですよね。
となると、お雑炊が良いかなァ。
いや、でも案外…。
…。
聖さま!
おにぎり、出来ましたね!
…。
ま、まぁ、ちみぃっと、歪んでますけどぉ。
味は屹度、大丈夫ですって!
大体、お腹の中に入ってしまえばみんな一緒ですし!!
……。
な、何と言いますか…そ、然うだ。
料理は愛情!ですヨ!
…。
聖さまが心を込めて作ったンです。
ちみっと見てくれが悪くたって、問題はありまセン!!
……。
え、えと…。
…イツ花。
ああ、然うでした!
ではではこれもお願いしますね!
……?
これは…
蓉子さまへの、イツ花、特製雑炊です!
ま、食べてもらえるかどうかは分からないですけどぉ…ま、一応というコトで!
そうだ、良かったら聖さまがお召し上がりになっても良いですヨ。
………。
…あれ?
…。
あ、あのぉ…。
…。
聖さまがお持ちになってくれるんですよ、ね…?
なんで私が。
…へ?
なんで私が、と言っているのよ。
や、や、だって…。
……。
あ、聖さま。
…。
おにぎり、お忘れですよ。
……。
あ、それとこれもどうぞ。
……?
汁の物、です。
塩おにぎりだけだと、足りないでしょうから。
……。
中身は食べてみてからのお楽しみです!
……。
と、言うわけでぇ。
蓉子さまへ、何卒、届けて下さいませ。
……私はお姉さまに、
ええ、然うですよね。
存じてます。
確かに藤花さまが仰ったんですよネ。
…。
聖さまが、蓉子さまの為に、おにぎりを作りに来るから指南して欲しいって。
あとどんなものが出来上がるか分からないから一応其れ以外のものも作っておいて、とか。
…!
聞いた時はちょぉっと、半信半疑、ってやつだったんですけど。
でも本当にいらっしゃって、やっぱり少し吃驚したンですけど。
ああ、でもやっぱり聖さまも蓉子さまの事を…
イツ花!
わ…ッ
…。
あ、聖さま…。
…冗談じゃ、無いわ。
お待ち下さいませ、聖さ
どうして私が!
……。
……。
…聖さま、お待ち下さい。
…何よ。
藤花さまは、聖さまが然う仰る事も見越した上で、こうも仰られたのです。
……。
命令。
出来れば、然うは言いたくは無いのだけれど…と。
…ッ
聖さま、お願いします。
どうぞ、蓉子さまに持って行ってあげて下さいませ。
……。
一人でのお食事は何かと心細いですし、何より…。
…。
どんなに美味しいものでも、美味しいと感じられませんから。
当主様が、蓉子にはお姉さまが居るでしょう!?
当主様、だからです。
然う、この家の。
……。
ただの姉ならば…或いは。
…。
兎も角、あの方は然う言う方なのです。
…藤花さまと菊乃さま曰く、ですけど。
…。
聖さま。
……どうして。
屹度、聖さまが蓉子さまにとって
一人が嫌なら、イツ花でも良いでしょう?!
いいえ、いけません。
どうして…!?
今の私は皆さまのお食事のお世話をしなければなりませんから。
…!
其れに、私は聖さまではありません。
は、何よそれ…!
…聖さま。
兎に角、私は知らないわ。
私には関係ない事だもの。
…然う、ですか。
……ええ、然うよ。
………藤花さま。
うん、仕方のない子ねぇ。
…!
お姉さま…!!
あらあら、怖い顔をして。
射抜かれてしまいそうね。
どういう事ですか…!
ん?
大体、お姉さまがおにぎりを
私が食べる、とは言ってないわよ。
一言も。
…っ。
ねぇ、聖。
…兎に角、私は嫌です。
聖は蓉子ちゃんの事、嫌い?
……。
あらあら、今度は間抜けな顔ね。
…仰っている意味が分かりません。
そのままよ。
と言うか、わざわざ難しく考える必要は無いわね。
…。
聖。
……何ですか。
低い声。
唸り声のよう。
…。
面倒だから、ぶっちゃけて言うわね。
…。
蓉子ちゃんは腹を空かした貴女のせいで軽いとは言え傷を負った。
そして蓉子ちゃんはやってはならぬ事を犯した。
己の傷よりも、貴女の傷を優先した事。
その結果が、このザマ。
…。
年少者を庇う事は責めない。
けれど一歩間違えれば己を殺す事になる。
然う、たった一人の莫迦の為に。
…。
蓉子ちゃんはそんな事が分からない子じゃない。
じゃあ、何故?
…。
聖。
…あくまでも蓉子が勝手にやった事です。
私が頼んだわけじゃない。
ええ、然うね。
その通りだわ。
蓉子ちゃんは莫迦よ。
椿の妹のくせに、兄上に似て、甘い。
…。
けれど。
私は
何と吠えようが、貴女が守られた事は紛れも無い事実。
然う…変えようのない、ね。
…。
ま、ご飯は美味しく食べたいじゃない。
仮令、寝込んでいようが。
…。
丁度、夕餉前の小腹が空く時間だし。
都合が良いと思うわけよ。
…。
ねぇ?
聖。
……。
…?
…。
…だれ?
…。
…江利子?
…。
…イツ花?
…。
………お姉さま。
…。
…。
…。
……………聖。
…。
…。
…。
……待って。
…。
…行かないで。
…。
聖…。
…。
……お願い。
…。
…。
…。
……聖。
……。
来て、くれたの…?
……好きで来たんじゃない。
…うん、分かってる。
…。
…。
…。
…あの、
…熱は
あ…。
……。
…もう、大丈夫。
ありがとう、聖。
……別に。
…うん。
…。
…?
…。
聖…?
…言われたから。
持ってきてくれたの…?
…。
待って。
…。
ここに、居て。
…。
聖、ここで一緒に…
…。
……お願い、だから。
…私じゃなくても、
聖。
……。
…せぃ。
……莫迦じゃないの。
…。
冗談じゃないわ。
…。
…。
…聖、私
……はぁ。
…。
どうして、私が。
…。
…。
……ありがとう、聖。
ごはん、持ってきてくれて…。
…。
…それから。
引き止めてしまって…ごめんなさい。
……。
ありがとう…聖。
…はぁ。
……あ。
…。
せい…。
あれ。
ふむ。
今日のおかずも鰯、ね。
あっれー。
藤花、文句があるのなら
ねぇ、白ちびは?
いや、食べるわよ。
貴重なおかずだもの。
ねぇ、白ちびはー?
然う。
ねぇってばー!
うるさいわねぇ、菊。
うるさいわよ、菊乃。
だって白ちびが居ないんだもんよー。
ごはんはみんなで、じゃん。
時には例外があっても良いと思うのよね。
例外?
んー…?
藤花、貴女…。
ええ、然う。
一人は淋しいでしょう?
…。
堅物も程ほどにしないと、うちの妹が奪(ト〉っちゃうわよ?
…ふふ。
ん?
奪れるものなら、奪ってみなさい。
けれど…容赦はしないわ。
あらあら、怖い事。
ずるいよ、藤!
んー、何が?
自分の妹ばかりー!
良いじゃない、自分の妹なのだから。
むー!
そもそも此度の原因は私の妹が作ったから。
自分の尻を拭く努力をさせるのは、姉として、当たり前の事でしょ?
とか言ってさー、あわよくばってヤツに決まってるんだー!
打算的、な方が人間らしいじゃない。
ねぇ、椿。
否定はしないわ。
ほぉら。
椿、うっかりしてたら蓉ちゃん、藤花の毒牙にかかっちゃうかも知れないってのにー!
あら、人聞きが悪いわねぇ。
大体、かけるのは私じゃないわよ。
この腹黒めー!
ええ、然うよ?
私、お腹の中真っ黒なの。
菊は良いわねぇ、真っ白で。
嫌味かーー!!
江利子ちゃん。
…。
ごめんなさいねぇ。
…どうして、謝るのですか。
何となく、ね。
…好きではありません。
ん?
何となく、で謝られるのは。
あら、然う?
其れは失礼。
江利子。
…。
上の者に然う言う態度をするのは感心しないわね。
…申し訳ありません、当主様。
けれど。
藤花。
はいはい。
下の者に然う言う言葉を吐かせる発言はもっと、感心しない。
其れはごめんなさい。
以後、気をつけるわ。
…よし。
こうなったら江利ちゃんも
菊乃。
…だってー。
一人より二人、二人より、三人だと思うわけでー。
貴女は家が壊れても良いと?
……うぅぅ。
残念ねぇ、菊。
…あのぉ。
イツ花、配膳は終わったかしら。
はい、当主様。
じゃあ、夕餉にしましょう。
皆、手を合わせて。
…。
…ふふ。
…。
美味しい…。
……。
ね、聖。
…。
聖は食べないの?
…。
ねぇ。
人の勝手。
うん、そうね。
ごめんなさい。
…気持ち悪い。
そう?
……。
ねぇ、聖。
…何。
そのおにぎりは…
…。
聖のごはんなんでしょう?
……だから?
美味しそうね。
……。
あ、今、食い意地が張ってると思った?
……別に。
…ね、聖。
…。
おにぎり、若しかして聖が作ったの?
……。
初めてなのに上手ね。
…は、どこが。
どうして?
…。
だって、崩れてないもの。
…。
…あの、聖。
…。
あのね…良かったら、なのだけれど…。
雑炊があるでしょう。
……ある、けど。
早く食べたら?
さっさと解放されたいんだけど。
……。
…ふん。
……聖。
…。
…。
…。
…この丸いの、鰯なんだよ。
…は?
聖、鰯苦手でしょう?
…突然、何言ってんの。
多分、小骨が嫌なんだろうと思って。
だから、何。
だからすり身にしてみようと思って。
……。
イツ花にね、
余計なお世話よ。
……。
誰が、いつ、そんな事頼んだのよ。
いい迷惑だわ。
……うん。
…。
…けど。
…。
これなら、て思ったの。
…。
余計なお世話だという事は分かっているの。
けど…どうやったら、て考えてしまうの。
私の事なんて、放っておけば良いのよ。
…どうしても、出来ないんだもの。
…。
…放っておくなんて、こと。
……。
……。
…お節介。
……分かってる。
……。
……。
…はぁ。
…?
あげるわ、それ。
え。
おにぎり。
……くれるの?
要らないなら、
ううん。
ありがとう、聖。
…病み上がりだとは思えないわね。
……嬉しい。
……。
あ、でも、
…何よ、未だ何かあるというの。
聖のごはん…。
……。
…ふふ、変な顔。
貴女に言われたくないわ。
私、変な顔してる?
気持ちが悪い。
…。
何がそんなに嬉しいんだか、理解が出来ない。
…だって嬉しいんだもの。
…。
ねぇ、聖。
…。
それだけでは足りないでしょう?
…。
だからね、はい…。
…。
半分こ。
要らないわ。
けど
くどい。
……。
……。
……。
…さっさと食べたらどうなの。
…うん、いただきます。
…。
……おいしい。
お世辞、ありがとう。
お世辞じゃないわ。
本当においしいもの。
は。
…聖の、おにぎり。
…。
……。
……気持ち悪い。
…ごめんなさい。
……。
…あ。
…。
…。
……何。
あ、あの…どう?
……。
食べられそう?
……食べられるけど、何。
…!
良かった…。
……。
塩辛くない?
……別に蓉子が作ったわけじゃない。
そうだけど…。
…いつもの味よ。
でも、汁の物と言えばいつもお味噌汁でしょう?
鰯のそれ…えと、つみれ?
お味噌よりはお塩の方が良いかなと思ったのだけど…
…どこまでいっても世話焼きなのね。
……合わない?
……。
……。
……。
………あ。
ご馳走様でした。
……。
…何よ、残さず食べたのだから文句は無い筈でしょう。
うん。
……。
うん?
…本当に気持ち悪い。
だって、本当に嬉しいんだもの。
・
蓉子。
あ、江利子。
…。
…?
何?
…いいえ。
はい、薬湯。
ありがとう。
…。
江利子はもう、ごはん食べたの?
…ええ。
そう。
…あつ。
言わなくても分かっていると思うけど。
熱いわよ、それ。
…ええ、そうだったわね。
…。
…ふー。
…。
……にがい。
でしょうね。
だけど仕方がないわね。
…ん、そうね。
ま、明日からは飲まなくても良いそうよ。
熱も下がって食欲も戻ったみたいだから。
それは当主様が?
貴女のお姉さまが。
…そう。
…。
…ふぅ。
…。
…ね、江利子。
…。
ありがとう、江利子。
…別に何もして無いわよ、私は。
いいえ、そんな事無いわ。
付いていたわけではないし、ましてや、一緒にご飯を食べたわけでもないもの。
…。
…・
…江利子。
…何。
……いいえ、何でもない。
何よ。
何でもない。
そう、私には言えない事なのね。
ううん、そうじゃないの。
じゃあ、何よ。
……。
……やっぱり言えないんじゃ
江利子、あのね。
…。
聖と…いいえ。
…
いずれ、聖と江利子、それから私で討伐に来る日が来るわね。
…そうでしょうね。
だから?
その時はこんな事が無いようにするから。
…。
するから。
出来れば、そうして欲しいものね。
ええ。
薬湯、飲み終わったようね。
片付けるわ。
ん、ありがとう。
じゃあね。
ええ、また。
…。
…ん?
どうかした?
…いいえ。
なぁに?
別に何でもないわ。
じゃあ、おやすみなさい。
…それ、なんだけど。
…?
ずっと寝ていたから、あまり眠たくならないのよね…。
…。
なんて。
ただの我侭よね。
…蓉子。
ん…?
そこまで面倒見る気はないわよ。
ええ、分かってるわ。
じゃあ。
ええ、ありがとう。
……。
………明日、は。
みんなと…。
聖。
…。
せーい。
……何でしょうか、お姉さま。
今夜は此処で寝るのかしら?
…そうですが。
悪いですか。
全然、悪く無いわよ。
一応、貴女の部屋でもあるから。
…。
ん、なぁに?
……いいえ。
然う言えば、ご飯は美味しかったかしら?
……お姉さまは、
ん?
どうしてそんなに
ところでお腹は空いてない?
……また、ですか。
あら、それくらいの頃は兎角、腹が空くものなのよ。
私も然うだったわ。
…今も、じゃないですか。
体があっと言う間に大きくなる時期だから。
貴女も江利子ちゃんも、それから蓉子ちゃんも。
…。
ま、食えるうちに食っておきなさいな。
食い扶持を気にしなくても良いうちに。
…。
それから心配してくれる人がいるうちに、ね。
…。
じゃ、おやすみなさい。
……は?
…。
お姉さま?
…。
……。
…。
……はぁ。
……聖。
……何ですか。
良いわよ。
…何が、ですか。
私はわりと、一人でも平気なの。
……。
どうせだからご飯だけじゃなくて
お姉さま。
……ふふ。
……私はもう、寝ます。
おやすみなさいませ、お姉さま。
あらあら。
……。
…ま。
こんなものかしら…ね。
……。
白の血筋、絶えてしまったらごめんなさいね。
…あー?
…藪から棒に何。
ふと、言っておこうと思って。
何々、藤は子供作んないのー?
さぁ、どうかしら。
…其れは確固たる考えがあっての事なの。
確固たるものは無い、わねぇ。
んじゃ、ホントに分かんないンじゃん。
適当?
適当と言うより、別に欲しいと思わないのよね。
藤花。
うーん?
別に貴女が残さなくとも、聖が居るでしょう。
ああ。
あの子はもっと、子供なんて欲しがらないわよ。
…あー、それは何となく分かるかもなぁ。
そもそもあの子が親になるなんて。
臍で茶を沸かせちゃうわね。
そこまで言う?
…はぁ。
藤。
んー?
仮にも貴女の妹でしょう。
ええ、然うよ。
当たり前じゃないの。
だったら。
あの子は私以上に、望まない。
……。
……。
だから。
その時は、ごめんなさいね。
…全然、ごめんなさいって顔してないんだけどー。
あら、然う?
藤花は子供が嫌いなの。
蓉子ちゃんは本当に可愛いわよね。
おい、こらー。
一人足んないぞーー。
江利子ちゃんはねぇ、可愛いと言うより面白い。
ん、なら良し。
は、何が良いのよ。
面白いって言われた方が面白いもんね。
詰まらないより面白い方がずっと良いよー。
莫迦にされてるのよ。
え、然うなの?
いいえ、褒めてるのよ。
此度は、ね。
うむ、なら良し。
……だから遊ばれるのよ。
む?
藤花、今後もその考えは変わらないと?
さぁ。
どうかしらね。
…。
少なくとも今は。
親になるつもりは無いわ。
…然う。
あら、説教しないの?
何故?
お堅い当主様、ですもの。
…決めるのは藤よ。
そ。
其れは有難う。
ま、白ンとこは色々あったからなぁー。
でも、過ぎた事よ。
今は関係無いわ。
…。
其れ、藤が言うのかー。
今更、どうにかなるもんじゃ、無し。
……。
ところで、椿。
…何。
子供は要らないけれど、妹に嫁は欲しいわ。
……は?
だから。
その時もごめんなさい、ね。
…。
て、一寸待ったーーー!!
嫌よ。
なー!?
ねぇ、椿。
…何を言っているの、貴女は。
割と本気よ、私。
…。
幸い、其れはもう、大事に想われてるみたいだし。
……ふ。
おわ、椿が鼻で笑った。
与太話は仕舞い。
あれ、椿何処に行くのー?
妹のところ、よ。
…。
え、蓉ちゃんのトコ?
何か問題でもあって?
いいえ、無いわね。
……。
菊?
…いや、問題は無いよね。
でも少し、吃驚したー。
貴女達は私を何だと思っているのかしら。
堅物。
それはもう、カッチンコッチン、なー。
…は。
・
・
お早う、聖。
…。
お早う、聖。
朝よ。
…。
聖。
……なんで
起こしに来たの。
……。
藤花さまならとっくに起きていらっしゃるわ。
……。
聖、起きて。
……。
あ。
…ねる。
だめー!
……うるさい。
もう、朝ごはんも出来るわ。
…要らない。
だめ。
……。
聖、聖ってば。
…。
お腹、空いたでしょう?
……。
ご飯、一緒に食べましょう?
……しつこいな。
だって聖が起きてくれないんだもの。
…と言うか何。
朝から鬱陶しいだけど。
だって…。
……。
何にせよ、聖が来ないと皆がご飯食べられないわ。
ね。
……。
聖、起きて。
……。
ね、聖。
………あー。
お早う、聖。
……。
お早う。
……お早う。
うん。
……鬱陶しい。
さ、聖。
着替えて。
…て、何するのよ。
何って、着替えでしょう?
……自分でするから、触らないで。
そう?
……と言うか、何。
本気で鬱陶しいんだけど。
だって、嬉しいんだもの。
……。
また皆でご飯が食べられるのよ。
…いい迷惑なんだけど。
聖が居なきゃ、皆じゃないわ。
……。
ね?
然うでしょう?
……暫く、一人だったからって。
うん、だから。
……。
聖、ありがとう。
……何が。
昨日、一緒にご飯を食べてくれて。
とてもおいしかった。
……。
さぁ、聖。
……起きるし、一人で着替えるから。
とりあえず、出て行って。
?
どうして?
…………。
…ん?
……何なの。
ふふ。
……鬱陶しいの通り越して、気持ち悪い。
それ、昨日も言われたわ。
……。
着替えたら顔を洗って。
……はいはい。
聖。
……。
残しては
残さなきゃ、良いんでしょう。
うん。
……。
聖。
…何よ。
ううん。
……。
……。
……。
ねぇ、聖。
…何。
おかわりは?
…要らないわ。
然う。
…そういう蓉子はどうなのよ。
私はこれでいっぱい。
……あ、そ。
ふふふ。
……だから、何なの。
ううん。
……。
…ふむ。
…うーん。
……藤花、菊乃。
食事中に行儀が悪い。
いや、ねぇ。
いつも通りの朝が戻ってきた、と言うかー。
おおいに結構。
聖。
うるさいわね、ちゃんと食べてるでしょう。
うん。
……本当に何なの、今朝の蓉子。
………うふふ。
わ、凄い良い笑顔…。
…やっぱり決まりだわね。
うちの妹の嫁は。
はい、一寸待ったー!
だから行儀が悪いと言っているのよ。
……。
江利子?
もう、良いの?
…ええ。
食べ終わったから。
そう。
……。
あ、聖。
だから何なのよ…!
…。
…。
…。
…。
…どきなさいよ。
…そっちこそ、どけばいい。
…。
…。
私はそちらに行きたいのよ。
それはこっちの台詞だわ。
…。
…。
……。
……。
聖、江利子!
…。
…。
丁度、良かった。
…何。
……全然、良くない。
おにぎり、作ったの。
三人で食べようと思って。
……。
……。
ね?
……なんで。
……はぁ。
…?
若しかして、お腹、空いてない?
…。
…。
……え、と。
蓉子。
え?
私は食べるわ。
そう?
ええ。
……。
あの、聖は?
……。
放っておけば良いわ。
どうせ要らないって言うのだから。
食べる。
…そう。
…。
……え?
けど、そこのでことは食べたくないわ。
それはこっちの言葉だわ。
聖、江利子、喧嘩は駄目よ。
……。
……。
大体、こんなところで何をしていたの?
……何にもしてないわ。
……別に。
どうして目を合わせないの?
……さぁ、どうしてかしらね。
……ふん。
…うーん。
……。
……。
いつも思うのだけど何が原因で喧嘩してるの?
……。
……。
え、何…?
……別にどうでも良いけど。
……。
…え、と?
ところで蓉子。
なぁに?
おにぎり、食べないのかしら?
あ、そうね。
聖。
……。
聖?
……別に何でもない。
そう?
…。
じゃ、行きましょう。
……。
……。
ん?
…蓉子。
……。
なに?
この手は何?
…。
あ、嫌だった?
…。
…。
…ええ、と。
……ま、別に良いわ。
蓉子となら。
………ふん。
うん!
姉 ノ 心 、 妹 知 ラ ズ 了
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