あーあー。
本日は一族の始まり話をしようかと思います。
はい、拍手。わー。
て、おい、其処のでこ。
なーに勝手な事をほざいちゃってるのかしら。
折角、私と蓉子の馴れ初め話と言うか、愛に時間を的な話が続いているってのに。
なんと言うかアレよ。
どっかの佐藤があまりにもあんまりなので気分転換と言うとか、脇道に逸れたいと言うか。
唐突だけれど、山百合一族の始まりの話でも書いちゃおうかなと思ったわけなのよ。
と言うか何が愛に時間を、よ。
今となっちゃあ、鬱陶しいくらいにいちゃいちゃしているのに。
いっそ、うざいわ。
はい、でこ。
平安の世にうざいなんて言葉無いから。
あら、良いじゃない。
そもそも時代考証なんてもの、どっかにぶん投げているんだから。
そんな事言ったら布団だって無いのよ。どうすんの。
どうすんのって。
私は別に構わないけど。
蓉子を抱くのに布団なんか無くても
…嫌よ、絶対。
あら、蓉子。
またまた、蓉子さんったら。
この間なんて
絶対に、いや。
あーもう、その言い草がいちいち可愛くてたまんない。
触らないで。
だって蓉子さんったら可愛いんだもぶぼ。
はい、惚気はそこまで。
やるなら後でやってねー。
べ、べぼ…ッ(で、でこ…ッ)
そんなわけで。
山百合家の、と言うより俺屍一族の始まりの話をこれより始めます。
はい、拍手。わー。
俺 ノ 屍 、 越 エ テ ユ ク ?
配役。
源太・・・江利子
お輪・・・蓉子
朱点童子(鬼朱点)・・・聖
…て、おい!
なんで私が朱点なのさ!!しかも鬼朱点だし!
ピッタシじゃない。
何処が!
つか、何で江利子が蓉子と夫婦役なのよ!納得出来ない!
ちなみに。
源太とお輪とは初代当主様の両親の名です。
厳密に考えると源太が初代だと思いますけど、そこら辺は気にしないでください。
て、蓉子!
何、冷静に解説しちゃってるのさ!
江利子が旦那だよ?蓉子は其れで良いの?!
別に良いじゃない?
所詮、演じるだけだし。
な…ッ
はい、蓉子もこう言っているようなので話を先に進めます。
ちょい待て、でこ!
私は未だ納得してな
…例の台詞、蓉子の声で聞いてみたくないのかしら?
聖は。
……例の台詞って?
例の台詞は、例の台詞よ。
ほら、ここら辺に…。
……………私、朱点童子!
宜しくね!!
一寸聖、人が変わってるわよ。
まぁまぁ、良いじゃない。
兎に角朱点童子やるから!私!
あ、ああ、然う。
と、聖も納得したところで、始めまーす。
京の都は鬼たちの度重なる 襲撃により衰退の一途を辿っていた。
鬼の頭目の名 朱点童子。
名だたる武士が 討伐に向かうも悉く返り討ちに遭い、ただ 累々と屍を積み上げるのみ。
しかし今、一組の男女がこの困難に挑み、ついに奇跡を起こそうとしていた。
であえー朱点童子ー。
いざ、勝負なさい!
わー蓉子ったら凛々しい!
惚れ直しちゃいそう!
…て、聖。
聖の出番はもう一寸後でしょ。
だって蓉子があまりにも凛々しいからー。
…。
蓉子、先に進めるわよ。
…ええ。
と、朱点の根城である朱点閣に辿り着いたのは良いもの、
源太こと私は朱点の卑劣な罠によって呆気なく命を落としてしまいます。
ぶっちゃけ、朱点が女に化けていて、其れを助けようとした源太は背後から袈裟斬りにされました。
ひどい話ですね。
て、ぶっちゃけ過ぎだろー!
はい、聖の出番よー。
え、ああ、とりあえず笑うんだっけな。
えーと、あっはっはー。
違うわよ、聖。
このとおりやらないと駄目じゃない。
…えー。
つべこべ言わない。
蓉子の台詞、聞きたくないの?
……ぐ。
ぐ?
ああもう!
グヘヘヘヘヘヘヘ!!
若い姉ちゃんの身体に騙されるなんてクソ野郎だなーーー!!
おまけにでこが眩しいっつーの!!
哀れ、一人残されたお輪。
勇敢にも一人で朱点に立ち向かいます。
ちなみに源太は死んでしまったので源太こと江利子こと私は語り役をやります。
私が相手だ!
おーこわッ
…て、んん〜?
へぇ、こりゃまたベッピンさんだ!私の…じゃなくて、俺の好みにピッタリ!
ほざけ!
さぁて、どうしてやろうかな〜。
…然うだ。
女、お前生まれたばかりの餓鬼が居るだろう?
何を…ッ
グヒヒヒ、其の餓鬼はこう泣かなかったか?
な…ッ
はい、此処で朱点の手の中に京に残してきた筈の源太とお輪の子が現れます。
この子が後の初代当主となる子です。
卑怯者!子供を離せ…!!
おっとぉ。
そんな口を叩いても良いのかな〜〜。
く…ッ
其れに。
お前の口から聞きたいのは…
朱点、いやらしく笑います。
まさに其の顔、いやらしいのを通り越していて気色悪いです。本気でピッタシです。
……後で覚えてろ、でこ。
あー、という訳で蓉子…じゃなかった、女。
お前の口から聞きたいのは…私を好きにして下さいませ、だよォ。
さもないと餓鬼は…ククク。
やめて!
子供は…子供だけは…!!
ほーら。
早く言わねぇと餓鬼が死ぬぞー。死んじゃうぞー。
此処で効果的に赤子が派手に泣き出します。
演出家ですね。
…違うだろ。
…えーと。
子供だけは助けて。
良いぜー約束してやるよー。
俺は人間と違って嘘付かないからなー。
…さぁ、言いな!
て、聖。
なんか最後の台詞だけやたらに力が篭ってない?
やだなぁ、気のせいだって。
さ、蓉子、次の台詞を出来るだけ感情を込めて言ってごらん?
…好きにしろ。私を好きにしろ。
然うじゃなくて。
こう、もっと色っぽくだねぇ。
赤子、更に泣きます。泣き喚きます。
…どうか、好きにしてください。
違う、違う。
もっとこう、胸を衝くくらいじゃないと。
好きに…してください。
ん、もう一回。
出来ればもうちょっと切なげに。
……好きに、してください。
良いね。
もう一回。
…聖。
だって台本にそう書いてあるじゃない。
……好きに…して、ください。
もう一回!
…私を。
私を?
好きに…して。
はーい、好きにしまっす!!
て、せい………!!
とまぁ、こんな感じでお輪は朱点の手に落ちてしまい、残された子供はとりあえず助かります。
但し、此の子が将来親の仇討ちに来るのを恐れたのか、朱点はおまじないと称して呪いをかけます。
この時の呪いが短命と種絶の呪いという訳です。
そして此処から一族の、初代様から続くお話は始まります。
はい、拍手ー。
ちょ、一寸江利子…!
んー?何ー?
もう話は終わりなんでしょう?!
と言うか終わって良いのでしょう!?
まぁ、然うねぇ。
だ、だったら…!
えー、もう終わりなのー?
然うよ!
これからが良い所、なのにー?
ば、莫迦な事、言わないで!!
いやだって好きにしてって言われたらねー。
其れはただのお芝居の台詞であって…!
でも言ったのは紛れも無く、
…ん!
…此の口だし、ね。
だから…ッ
まぁまぁ、そんなに怒らない。
大体、私はあくまでも続きを演じてるだけだよ。
続、き…?
ねぇ、江利子。
まぁ、然うとも言えなくは無い、わね。
な、何よ、其れ…。
其れは…ね。
…て!
其れは最後の最後で分かる事であって、今語っている、と言うか語った話とは関係無いじゃない!
いやいや、そんな事無いよ。
そんな事、あるわよ!
お、と。
駄目だよ、此処で蓉…じゃない、お輪が朱点に楯突いたら。
お話が変わっちゃうし…何より、餓鬼の命だって終わっちゃうかも知れないぜ。
なぁ、お輪さんよぉ。
ひ、卑怯者…!
うん。
だって私、朱点だもの。
あ、聖…や、やだ…。
だから…ね?
尚、此処から先は物語の、それこそ最終決戦の時に明かされる真実なので此処では語れません。
残念!
ざ、残念って…!
江利…あぁッ
…駄目だよ。
私以外の名を口にしたら。
せ、せ…い…。
然う。
其れで良い。
じゃ、続きは二人だけでごゆるり、と。
結局いちゃこら話になるのよねー、もう。
あ、あ、あ…!
…うん、良い声だ。
俺ノ屍、コエテユク?りょ…
…。
…ごめんなさい。
……。
つい、調子に乗りました。
本気でごめんなさい。
………。
すみません、もうしません。
……暫く、私に触れる事一切禁止。
一切…と、言う事は。
て、手を繋ぐのも…?
駄目。
髪の毛を指で梳くのは…?
勿論、駄目。
そ、そんなー。
…。
よーこー。
お願いだから機嫌、直してよー。
……。
蓉子に、髪の毛一本すら触れないだなんて!
私、死んじゃうよーー!
安心しなさい。
其れ位じゃ、人は死なないから。
いや、私は死ぬから!
蓉子分が足りなくて!枯渇しまくって!
仮令、然うだとしても。
自業自得、でしょう。
よ、ようこ〜。
あ。
…。
待って、待ってよ、蓉子ぉー。
…聖のばか。
俺ノ屍、越エテユク?了
…ふむ。
今度は俺屍の始まりの話でもしようかしらね〜。
配役は…。
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