かわいい





   かわいい








































   あ。





   せい…。





   …や、だ。





   あ、あぁ…。





   …せい。





   おね…が、ぃ。





   ぃ…やぁッ





   も……う。

































   せ…い……。











































   いとしい









































雷 音 と 兎 
































   強ち。
   作り話じゃ、無いかもなぁ。



   …んん、聖。



   落ち着いた?



   …。



   じゃあ。
   早速だけれどもう一回、いっとこうか。



   …もう少し、待って。



   待たない。



   聖…。



   待てない。
   だから、待たない。



   少しで、良いから…。



   やーだ。



   …あ。



   ほぉら。
   蓉子だって、もっと、欲しいでしょ…?



   …。



   躰は口よりも物を言う、てね。



   そんな言葉、無いわよ…。



   そりゃ、然うだ。
   私が今、作ったばかりだもの。



   …。



   と言うわけですから。
   無駄な抵抗は止めなさ…



   其の前に。



   …む。



   何が作り話じゃ無いの…?



   あり?聞こえてた?



   …耳元で言われたら。



   なるほど。
   いつかのでこの話、覚えてる?



   …江利子の?



   ほら、薔薇の館でさ。



   …と、言われても。
   いつか特定してくれないと、若しくはどんな話か教えてくれないと分からないわ。



   私が鼻血を出した日。



   …。



   思い出せないかな?



   …。



   ヒントはうさぎとライオン。



   うさぎと、ライオン……あぁ。



   思い出した?



   江利子が、仕事はあるのに、暇だからと言って一人で話していた…



   はい、良く思い出せました。
   ご褒美をあげようね。



   あ、ちょ…



   うん、綺麗に咲いた。



   …見えるところは止めてって、いつも、言ってるでしょう。



   へーきへーき。
   ぎりぎり見えないから。



   とか言って。
   この間は首の後ろにつけて。



   へへー。
   蓉子には見えなかったでしょ?
   鏡からでも見えないような死角を狙ってみたんだよねー。



   …私が見える、じゃ無くて。



   他者が、だよね。
   分かってますよ。
   でもさ。



   …まだ、懲りてないのね?



   いえいえ、それはもう懲りてますよ。
   一週間、キスすら禁止令はそれはもう、きつい罰で御座いましたから。
   けど、ね。



   「でも」とか「けど」とか。
   然う言う接続詞が出てくると言う事は、矢っ張り、反省してない証拠じゃない。



   だって。
   証が欲しいんだもん。



   証?



   然う、蓉子は私の恋人なんだって言う証。



   貴女にとっての証が痕
〈コレ〉だと言うの?



   だってさ、共学でしょう?



   キョウガク…?



   大学。



   あぁ、共学ね。



   男も、てか、男の方が多いくらいじゃない。
   蓉子の学部。



   其れは然うだけど。
   でも女子も居るのよ。
   学部によっては女子の方が多いところもあるし。



   …。



   聖…?



   いつ蓉子に男が近づいてくるか、分からない。



   だから。
   わざと見える場所に?



   蓉子はとても魅力的だから。
   屹度、てか絶対、放っておかない。



   だけれどね。
   聖が思うほど、私に声を掛けてくる人ってあまりいないわよ。



   でも居るんでしょ。



   其れはまぁ、同じゼミの先輩とか。
   けど其れは



   …。



   聖?
   聞いてる?



   話が逸れた。



   え、あぁ、然うね。



   分かるな、て思ったのよ。



   主語は?



   ライオンの気持ち、が。



   …。



   かわいいかわいい、て思いながら。



   …聖。



   けど、喰ってしまう、てね。



   未だ話が終わってないわ。



   話しながらでも良いじゃない。



   でも。



   「でも」も「けど」も無し。
   今から、は。



   ふ…。



   …。



   …!
   ぁ…ッ



   …かわいい。



   …はぁ。
   せ、い…。



   少し、舐めただけなのに。
   やっぱ、感度が高まっているのかな。



   あ、ぅ…あ…。



   ま、蓉子は元々感度が良いけれどね。
   例えば此処、とか。



   く、ぁ…ッ



   …本当、かわいい。



   あそば…ない、で。



   遊んでないよ。
   愛しているの。



   はな、し…は…。



   あぁ。
   うん、後にしよう。
   集中、したいでしょ?



   なによ、そ……れ。









































   いっそ、食ってしまおう



   其のしろいのどを噛み千切って



   他の者の名など、呼ばないように






















   然う、呼べないように











































   うさぎはね、性欲が強いのよ。



   …。



   子供をいっぱい作って残すために。
   たくさん、セックスをするんだ。



   …交尾、でしょう。



   一緒だよ。



   …。



   でさ。
   妊娠してても、また妊娠出来るんだって。



   …ふぅん。



   知らなかった?



   …其れが。
   私が行く前に、江利子と話していたこと?



   と言うか江利子が勝手に喋ってた。



   …うさぎは人間と同じで。
   一年中、発情出来る動物だと、聞いた事があるわ。



   人間にも発情するんだってさ。



   …人間にも?



   淋しいと足元に寄ってきてね。
   淋しい、淋しい、て躰をすり寄せるんだって。
   喋れない代わりに。



   …まるで。



   蓉子、みたい。



   寧ろ、貴女でしょう。



   私?



   然うよ。



   でも私は言葉にするよ。



   本当に淋しい時は言葉にしないわ。
   不貞腐れたようにしてる。



   其れは…かまってくれないからだよ。



   傍に行くと、そっぽを向いて。
   でも一定の距離からは離れようとしないのよ。



   其れは蓉子も同じだよ。



   私は…



   蓉子は素直じゃない。
   もっと言葉にしてくれても良いのに。



   …だからって兎とは違うわ。



   私もだよ。



   淋しがりのくせに。



   蓉子は強がりな兎。
   だからもっと甘えて。



   日本語がおかしいわ。



   私はライオンなんだよ。



   は…?



   百獣の王、なんだぞー。
   がおー。



   …ふざけて。
   どいて。



   やだ。
   目の前に餌があるのに我慢なんて出来ない。



   未だするつもりなの。



   勿論。



   …貴女の場合。



   んー…。



   ライオンと言うより、猫だわ。



   ま、ライオンも猫だし。
   体のでかい猫。



   然うだけど…然うじゃ、なくて。



   なくて?



   …小学生の時の友人の家に居ついていた猫。



   居つく?
   飼っていた、じゃ無くて?



   外猫だったらしいわ…。



   外猫、ね。



   あの子、触れようと思って手を伸ばしてもいつも逃げてしまって。
   だけど、気付けばいつも、私の膝の上で当たり前のように寝てて…。



   む。
   蓉子の膝枕で寝るだなんてなかなかやるな、其のにゃんこ。



   今思えば。
   貴女にそっくりだわ。



   然うかな。
   逃げないよ、私は。



   …嘘吐き。



   んん、こそばゆい。



   そのまま眠らないでね。



   どうしよっかな。
   気持ちいいんだよね、此処。
   柔らかくて、あったかくて。



   こら。



   其れに。
   未だ、寝るつもりもないし。
   言ったでしょ?



   …思うのだけど。



   んー…。



   貴女って。
   これの体力はあるわよね。



   別格。
   別腹とも言う。



   私はデザートか何か?



   そ。
   砂糖や、蜂蜜なんかよりも、あまーいあまーい、私だけのデザート。



   先刻は兎と言っておいて。



   前菜もメインも蓉子。



   私は食べられているのね。
   …あ、そんなところ、



   歯型、つけてみようかな。



   止めて。



   じゃ、蓉子がつけてみる?



   私が?



   爪だけじゃ、足りない。



   …嫌よ。



   どうして?



   綺麗な躰なのに。



   綺麗なのは蓉子だよ。



   …そんな事言って。



   良いよ、噛み付いても。



   嫌よ。



   私に。
   蓉子の痛みを、蓉子の証を、与えてよ。
   何なら、消えない痣を作ってくれても良い。



   …。



   蓉子…?



   ばか。



   あ。



   聖のばか。



   …。



   私に貴女を傷つけろと言うの?
   どうしてそんな事、言うのよ。



   …。



   言うのよ…。



   ごめん、蓉子。
   泣かないで。



   泣いてなんか、いないわ。



   …。



   …ん。



   ……。



   聖…ぁ。



   愛してるよ、蓉子。



   待っ…て。
   話が、ま、だ…









































   かわいい





   かわいい






































   …はぁ、蓉子。



   …。



   蓉子、私だけを見て。



   …。



   私の声だけを、聞いて。



   …。



   私の肌だけに、触れて。



   …。



   私の名だけを、呼んで。



   …。



   私だけを、愛して。



   …。



   私に。
   蓉子をもっと、感じさせて。



   …聖。



   もっと。
   もっと、欲しい。
   痛みでも良い。
   蓉子が欲しい。
   もっと、もっと。



   …。



   蓉子…。



   泣かないで、聖…。



   泣いてなんか…。



   …淋しがりで



   …。



   広い世界に、何かに、怯えてる



   …。



   臆病な、私だけのライオン…。



   …蓉子。



   私を、食べて。
   思うままに。



   …。



   愛してるわ、聖…。



   あぁ…。
















































   いとしい





   いとしいよ




















































   …。



   …い。



   …。



   聖。



   ……ん。



   聖。



   よう…こ?



   気がついた…?



   …うん。
   けど、未だ…



   良いわよ。
   未だ、起きる時間では無いから。



   ん…。



   …でもね、聖。



   ……。



   流石に…



   んん…。



   あ。



   蓉子…よ…こ…。



   ちょ、せ…い。



   …あったか…い。



   …。



   …。



   …本当、に。
   仕方の無い人…。



















































   淋しがりなライオン。





   見捨てられて最期は蒲公英に見届けられないよう。



















































   蓉子…?



   …。



   あの、起きなくても良いのかな…?



   …。



   朝、ですけど…。



   …。



   蓉子さん…?



   起きられないのよ。



   …え、と。
   と言うことは、起きない?



   好きで起きないわけじゃ無いわ、ばか。



   そーですよね。



   腕の感覚が無いのよ。



   コツ、教えておいてあげれば良かったね。
   のせる場所がポイントなんだけど…



   今更遅いわよ、ばか。



   ですよねぇ。



   …なに。



   いや、折角だから私ももう少し寝てようかな、と思って。



   貴女は起きれば良いでしょ。



   コツ、教えてあげる。



   …だから。



   次の時の為に。



   …。



   今日が日曜で良かったね。



   日曜で無ければ許さなかったわよ。



   そういや、昨日の蓉子は優しかった。



   いつも優しくないみたいね。



   うん。



   何ですって。



   なんて、冗談。
   蓉子さんはいつも優しいですよ。



   わがままライオン。



   きまじめうさぎ。



   きまぐれライオン。



   おせっかいうさぎ。



   けいはくライオ…ん。



   …何より。
   私だけのやさしいうさぎ。



   ばか。



   ずっと、一緒に居て。



   …貴女なんか。



   見捨てないで。



   貴女こそ。
   何処かへ行ってしまわないで。



   行かないよ。



   私だって見捨てないわ。



   蓉子が居てくれるなら。



   聖が居てくれるなら。














































   かわいい





   かわいい


























































   あいしてるわ