蓉子、見て。
雪だ、雪が降ってきたよ。


…降るかも知れないとは言っていたけれど。
まさかこの季節に本当に降るなんて…。



四月の雪…屹度、積もる事は無いのだろうけれど…。



…寒いね。
(手、繋いでも良いかな…)


…ええ、本当に。
(……)


そういや私、傘持ってないや。
(…だめ、かな)


…私は持っているけど。
(…確かに、空気は冷たいのだけれど)


あ、流石蓉子だね。
(…でも、今は)


…貴女はあまり天気予報を見ないから。
(吐く息も白いし…)


…。


…聖?


ねぇ、蓉子さ…。
(…若しかしたら、若しかしたら)


…なに?
(…でも屹度、聖の手はあったかい)


こ、今夜、うちに来ない…?


え……。


あ、だ、だめだったら、その…良いけど…。
(…言わないで)


………。


よ、良かったらの話、なんだけど…。
(…お願い、言わないで)


……。
(……ああ)


よ、蓉子…?


……いきなり、だから。


…そ、そうだよね。


……。
(……無性に)


…さ、帰ろうか。
風邪、ひいちゃうまえ、に…。


……。


よ、よう、こ…?


……だめ、だった?


う、ううん…。


……聖。


な、なに…?


…行っても、良い?


え…。


そ、その…。


……うちに、くる?
(…来て)


……聖が、良かったら。
(……こんなにも、貴女に)


良いに決まってる…。


……そう。


…。


…。


…寒いね。


……ええ、そうね。





(……でも)




(寒く感じないのは、何故なのだろう…)