佐藤、蓮。
以上。
蓮さんは部活どうするの?
クラブは?
やっぱり、山百合会の人間になりたいと思ってる?
別に。
面倒なのはやらない。
でも見学には行くのでしょう?
山百合会には興味がありませんの?
ねぇ、蓮さんのご両親ってリリアンの卒業生でしかも薔薇さまだったのでしょう?
…。
あ、蓮さん。
時間だから、帰る。
じゃあ一緒に…
葵。
蓮、終わった?
見ての通り。
そう。
じゃあ帰りましょう。
…。
挨拶、しなくても良いの?
…ごきげんよう。
え、ああ、ごきげんよう。
ごきげんよう、蓮さん、葵さん。
ごきげんよう。
…葵。
ん、今行くわ。
…世話焼き。
だって挨拶は大事なのよ。
それに今日から高等部での生活が…
…。
ねぇ、蓮。
蓮の事だから、自己紹介の時、名前しか言わなかったんでしょうね。
名前が分かれば十分だね。
とか言いながら自分はなかなか覚えないくせに。
3日でよく覚えられるものだ。
せめて中等部からの持ち上がり、くらい言えば良いじゃない。
そんなの、内部の人間には当たり前に知られてる。
面倒。
もう少し、愛想良くすれば良いのに。
かったるい。
蓮ったら。
いつもそればっかり。
葵は余計なお世話ばっかり。
だって蓮が。
葵。
ん?
山百合会、だってさ。
…ああ。
私達には関係無いんだけど。
蓮は興味無い?
どうでも良いね。
そう?
私は少し、興味があるんだけどな。
葵には良いかもね。
人受けする、優等生。
止めてよ。
本当の事だから。
もう、皮肉ばっかり。
何にせよ。
私達は、私達だから。
親は関係ない。
うん。
…。
桜、綺麗ね。
去年と一緒だよ。
もう、蓮は。
…。
そういえば、蓮。
…。
ねぇ、今度のお休みの約束。
…約束?
映画行くって。
了承してくれたじゃない。
…。
もう、蓮ってば。
…面倒。
…蓮。
分かってるよ。
本当に?
ああ。
絶対、なんだからね。
そ し て も の が た り は う ご き は じ め る
蓮。
…ん。
起きて、蓮。
…。
時間になったら起こせ、と言ったのは。
蓮でしょう?
……。
蓮、蓮ってば。
……うるさい、な。
おきてるよ…。
何よ、その言い方。
いま、なんじ…。
起こせと言った時間の20分前。
どうせ直ぐには起きられないんだから。
…それは、きがきくことで。
そのまま寝ないでよね。
んー…。
駄目よ、寝ちゃ。
……。
蓮、聞いているの?
…あー。
もう。
……。
あ、こら、蓮。
…ねてない、て。
なら、良いけど。
私、起こしたからね。
…あお、い?
そのまま寝たら、もう、起こさないから。
……。
本当に起こさないんだから。
…あおい。
本当に本当に知らないんだから。
あおい。
…何よ。
こっち。
?
どっち?
ここ。
どこ?
ここ、だって…。
だからどこ…あ。
……。
ちょ、一寸、何なの?
…さぁ。
ふざけているの?
…さぁ?
蓮。
…やっぱ、やめた。
何を、何を止めるのよ。
おきるの。
は?
…ねる。
何を言っているの、蓮。
映画は?
約束は?
…また、こんど。
終わっちゃうじゃない!
…れんたる。
私はスクリーンで見たいの!
……もったい、ない。
何が!?
…どうせ、ねむ…な、る。
……。
……。
あ、蓮!
蓮ってば!
……。
…もう!
蓮の莫迦!
寝るならせめて、離してから寝てよ!!
んー……。
何をしているの?
いや、さ。
確か今日、映画に行くとか言ってなかったけな、と。
ああ、言っていたわね。
うん。
やっぱ、私の聞き間違えじゃない。
で、部屋の前?
いや、戸が開いててね。
なんか寝息らしきものが微かに聞こえたもんだから。
あら。
春、だねぇ。
然うね。
だけどあまり見ているとまた、言われるわよ。
はーい。
さて、買ってきたものを冷蔵庫に仕舞わないと。
聖、運ぶの手伝って。
了解。
では、蓉子さんが仕舞っている間にお茶の支度でもしましょうかね。
お願いしても良いかしら?
…。
聖?
ねぇ、蓉子。
うん?
私、兄弟いないから分かんないんだけどさ。
うん。
普通、幾つごろまで一緒に寝るもんなのかな。
…。
流石に夜は一緒じゃないようだけど。
…うーん。
蓮の嘘吐き。
…。
楽しみにしていたのに。
…。
先週が駄目だったから。
今週行こうね、って約束、したのに。
…麦茶は、と。
聞いているの!?
と言うか聞こえてる。
抹茶フラペ、おごってくれるって約束したじゃない。
したね。
…楽しみに、してたのに。
だから。
また今度、って言った。
全然、悪いと思ってないでしょう?
自分だって結局は寝てた。
だってそれは蓮が
そんなの、振り解けば良かった。
寝惚けてやった事なんだから。
……。
と言うか。
そんなに見たいのなら、他の人と行けば良いんじゃないの。
…ッ
……ああ、言っちゃった。
……言っちゃったわね。
何も私じゃ無くても良いだろう。
大体、映画って暗くて眠くなる。
…か。
例えばで
蓮の莫迦…ッ
いたッ
莫迦莫迦莫迦…ッ
ちょ、あお
蓮なんて、大っ嫌い…!!!
……。
……あーあ。
……はぁ。
・
・
やっと起きてきたか、ねぼすけ。
…。
ほい、朝飯。
ゆっくりしている時間は無いと思うから、食パンだんごのスープをとりあえず一杯。
…。
本当は寝かしておいても良かったんだけどね。
高等部が始まったばかりで、って蓉子に念を押されたから。
…。
いただきます、は?
…いただきます。
宜しい。
…。
ああ、そうそう。
葵なら今日も、とっくに行ったよ。
…。
ぶーぶ、出してやろうか。
…要らない。
それからその言い方、いい加減、止めた方が良いと思う。
あ、そ。
んじゃ、頑張りな。
…。
最短で行けば間に合う時間だから。
…。
蓮。
…何。
一つだけ良い事を教えてやる。
耳の穴、かっぽじってよぉく聞け。
要らない。
かっぽじりすぎて、血、出さないように。
…。
一旦、意固地になると。
どうにもならなくて、思っている事と逆の事をし始めた挙句、自己嫌悪。
…だから?
要は、つまらない、て事さ。
……。
ま、何だね。
素直になるというコトほど、難しいことは無いね。
世の中。
…ごちそうさま。
歯磨き、しないと女の子に嫌われちゃうぞー。
…いちいちうるさいな。
仕方が無いね。
夫婦ってのは長年一緒に居ると似てくるもんだから。
……。
蓮さん、ごきげんよう。
……ごきげんよう。
今日はぎりぎり遅刻だったわね。
その様子を見るに今朝も?
…。
昔からいつも葵さんと登下校しているのに。
やっぱり喧嘩でもしたのね?
…。
いつも思うのだけど、どんな理由で葵さんと喧嘩をするの?
葵さんが怒っているところなんて、私、見た事が無いわ。
…。
それとも仲が良いと言う証拠なのかしら。
となると益々、気になるわね。
…。
ねぇ、蓮さん。
蓮さんはスールについて、どう思ってるの?
やはり、山百合会の方とかが理想なのかしら。
それとも要らない派?
……さい。
若しも蓮さんや葵さんが山百合会の人間になって、将来、薔薇さまになったら、
親子二代、て事になるのよね。
それってすご
少し、うるさいんだけど。
……あ。
……。
…ごめんなさい、気を悪くした?
ごめんなさいね。
……。
だけど若しも本当に葵さんと喧嘩をしているのならば、早く仲直りした方が良いわよ。
お節介だとは、分かっているけれど。
高等部に上がったばかりの4月、これと言った理由は無いのに三日間連続遅刻は…ね。
……・。
葵さん、帰り?
ええ。
…。
何?
今日の帰りも蓮さんとご一緒では無いの?
朝も一緒じゃないし。
…。
いつもご一緒なのに。
やっぱり喧嘩でもなさったのね。
さぁ、どうかしらね。
藤組の方から聞いたのですけど、蓮さん、今朝も遅刻してきたそうよ。
そう。
早く仲直りした方が良いと思うわ。
お言葉ですけど。
私は蓮の目覚ましでは無いわ。
そういうつもりで言ったのでは無いのですけど…お気を悪くしたのなら謝るわ。
ごめんなさいね。
…いいえ、私こそ。
だけれど、珍しいと思ってしまうのよ。
…。
いつも穏やかで落ち着いている、と言うのが葵さんのイメージなのに。
あんなに近寄りがたい雰囲気を
ごめんなさい、少し急いでいるの。
ああ。
ごめんなさい、引き止めてしまったわね。
ごきげんよう。
また、明日。
ええ、ごきげんよ…あ。
…?
…葵さん、後。
……。
……。
……。
……蓮。
え、と。
それじゃ私も行くわね。
ごきげんよう、葵さん、蓮さん。
また明日。
…。
…離して。
…。
離してよ。
…。
離して!
…。
…いい加減にして。
…。
知らない、って言ったでしょう。
…。
来ないで。
触らないで。
…。
…平気で約束を破る蓮なんて。
嫌い。
…。
また今度、また今度って。
守ってくれたことなんて、ほとんど無いじゃない。
……。
何か言い返したらどうなの。
言い返してみなさいよ。
…。
そうやって黙りこくって。
蓮は謝る事も出来ないのよ。
最低だわ。
…葵。
蓮なんて嫌い。
…、
大嫌い。
もう二度と蓮となんか
葵。
…ッ
や…ッ
…ッ。
あ…。
…つぅ。
…蓮が悪いのよ。
触らないでって言ったでしょう。
…。
…私は帰るわ。
だけど、
…。
蓮は暫く、そこに居て。
一緒になんか、帰りたくないから。
いつも一緒に居るだなんて、もう、思われたくもないから。
…。
…ごきげんよう、蓮さん。
…何か、さ。
聖。
食事中に頬杖をつくなんて?
行儀が悪い、ですね。
あい、すんまそん。
で、何。
いや、ここにきて昔の己の行いを思い出してね。
うん。
良く、喧嘩したっけなぁ、とか。
大体は私のお節介から始まったわね。
まぁ、それもあるんだけど。
付き合い始めた後、のとか。
でこちん曰く
…痴話喧嘩?
うん、それ。
…けれど、ね。
うん?
高等部の時も、そう見られてたらしいわよ。
らしいね。
いたって本気だっただけに。
青かったねぇ、お互い。
…そうね。
だけど今の私はもう、尻は青くないわけですよ。
たまに勢い任せの時もあるけれど?
でも反省する事も覚えました。
反省、ね。
ね、見たい?
…と言うか、貴女に蒙古斑なんてあったの?
あったんじゃない?
なんだったら今一度、確認してみてくれないかな。
今夜あたり。
聖。
と言う会話はまた後でにして。
…全く。
まぁ、思い出すんだよね。
と言うより、今になって思い知ったと言うべきかな。
思い知る?
あの頃、私達の周りにいた人たちは皆一様に、さ。
…江利子なんて特に?
いや、あいつにとっては詰まる詰まらないかが問題なだけだから。
今も尚、ね。
…確かに。
しかし。
今、食事中なわけなんだけれども。
ええ。
家族揃っての夕食だから、それなりに会話なんかもしようと思うわけなのよ、私は。
それには私も異存は無いわね。
……。
……。
…んが、この状況なわけさ。
……ええ。
例えば、相変わらず蓮はピーマンを口にしない。
いつもだと…。
……。
…ねぇ、蓉子。
…うん?
こんな、だったんかね。
屹度。
ええ、そうかも知れないわね。
若い、ね
…ご馳走様でした。
葵、もう良いの?
はい。
美味しかったです。
じゃ、食後のお茶なんてどー?
有難う、聖さん。
だけれどこれから宿題と明日の予習をしようと思うので、その後に頂こうと思います。
そっか、分かった。
…。
蓮もお仕舞い?
…ん。
蓮、ご馳走様はー?
…ご馳走様。
蓮も宿題?
……。
ああ、そうだ。
蓮、今日学校から連絡があったんだけど。
…。
学校から?
どういう事、聖。
三日間連続、遅刻してきたそうだよ。
私も、頑張って、起こしたんだけどね。
…。
蓮。
…。
待ちなさい、蓮。
英語の予習、やるから。
じゃあ終わってからで良いわ。
……。
そういや、蓮。
手のここ、どーした?
…ッ
…葵?
どうかして?
あ、いえ、何でもな
赤くなってるけど。
ん、若しかしたら女の子に嫌われちゃった?
そんなんじゃない。
…。
…葵。
蓉子さん、食器、ここに置いておきます。
え、ああ。
じゃ、猫にでも引っ掻かれたのかな?
聖には関係ない。
あ、そう。
何にせよ、薬ぐらい塗っときなよ。
…。
あーあ。
そっけ、ないなぁ。
…聖。
んー?
本当、思い出すわね。
でしょ?
だけど少し違うと思うのよ。
でも痴話喧嘩にも近いと思うんだよね、これ。
…姉妹、なのに?
ま、仲が悪いよりは良いでしょ。
……そういう問題なの。
…。
葵。
あ…。
喉渇いた?
お茶、飲む?
はい。
私でも良いかしら?
聖はお風呂に入ってるから。
あ、自分で淹れます。
私が淹れたのじゃ、嫌?
そういうわけじゃ…
そう?
じゃ、座って。
…。
とは言え。
聖のようにはうまく、淹れられないかも知れないけど。
ううん、蓉子さんの淹れてくれたお茶も美味しいです。
蓉子さん、ね…。
…。
ねぇ、葵。
…はい。
基本的に甘えたなのよ。
…。
それからとても拙いの。
そう、気持ちをうまく言葉にする事が出来ない。
…分かってます。
たった一言。
口にするのはとても簡単な事だけれど、その実、簡単じゃない。
…けれど。
私は許せないんです。
それは何に対して?
…。
約束を破られた事?
謝ってくれない事?
…約束しても、いつも、いつも、平気で破るんです。
全然、悪びれない。
だから、
それとも…自分を蔑ろにされているようだから?
……。
葵。
…そうじゃ、ない。
甘えた、なのよ。
…。
直ぐに許してあげて、とは言えない。
現に私にも許せない時があったから。
…聖さん、ですか。
今は昔、だけれどね。
…昔の一言で片付けられるのですね。
あら、片付かない時もあるわよ。
だけどそれも大分、減ったかな。
…。
はい、葵。
…え?
お茶。
お待たせ。
あ、はい、ありがとうございます。
…。
…何ですか?
久しいなぁ、と思って。
久しい?
貴女が私を母と呼んでいた頃。
少し、淋しい。
それは、だって…。
まぁ、確かにそうなのよね。
実際は聖も、だから。
…。
未だ、頑張るの?
いえ、今日はもう終わりましたから。
そう?
じゃお風呂、聖の後にでも入ってしまいなさい。
はい…あつ。
あらあら、気をつけて。
…蓉子さん。
ん?
私…。
うん。
…。
若しかして。
ミルク、の方が良かった?
あ、いえ…。
大丈夫よ。
…。
あの子も分かっているの。
貴女の気持ちを。
だから、待ってあげて。
…でも私、今日、蓮にひどい事を。
葵は蓮の事、本当に嫌い?
…。
…少し、心を休ませて。
そうしたら屹度、大丈夫。
……さ、ん。
ん…。
…お母さん。
……大丈夫。
大丈夫よ…。
…はぁ。
…。
きゃ…ッ
…。
…私の部屋で何をしているの。
勝手に入らないで。
…。
…何よ。
…お風呂。
…入った、けど。
…。
言いたい事があるのならはっきり言ったらどうなの。
蓮の悪い癖よ。
…。
そう。
やっぱり何も言わないのね。
…今度、
聞きたくない。
…。
どうせ、破られるだけだもの。
…葵。
…。
葵。
…おかしいでしょう。
…何が。
何か言えと言っておきながら、聞きたく無くと拒む。
我ながら、勝手だわ。
……。
…もう、良いわ。
……。
もう、良いの。
だからごめんなさい、蓮。
…何で葵が謝るんだ。
蓮には蓮の都合があるのに。
それでも約束して、叶わなかったからと言って落ち込んで。
…莫迦みたいだわ。
…。
いつか。
笑いながら、疲れる、って言われた事もあったのに。
…。
…だけど。
あれはショックだった…悲しかった。
…。
私は蓮にとってそういう存在なんだって。
突きつけられたみたいで。
…。
それなのに懲りないで。
姉妹だから、て。
…だけど。
…。
…だから、もう。
私は蓮と約束しない。
…。
今まで私の我侭につき合わせてしまってごめんなさい。
違う。
葵は我侭なんて言ってない。
言わない。
違わないわ。
いつだって蓮は乗り気じゃなかった。
買い物に行く時だって、今回の映画の約束だって。
本当は面倒だったのでしょう?
面倒でたまらなかったのでしょう?
…。
…ほら、否定しない。
…。
…だから。
…。
もう…あ。
……。
…蓮、止めて。
……。
離して…。
……嫌だ。
…止めて、止めてよ。
私はそんなに強くないの。
約束を破られて…違う、自分を蔑ろにされても平気だなんて。
そんな強さ、持ってない。
葵…。
…私、蓮の事、嫌いになんてなれない。
だから…辛いの。苦しいの。
…。
助けて、助けてよ…蓮。
苦しいのは嫌…ぁ。
…。
…な、なに、を
葵。
いま、なに…を。
…蔑ろになんて、してない。
…。
してない。
……。
したつもりは、ない。
…蓮。
……葵。
蓮…。
…。
…待って。
…やだ。
だめ…。
…目、瞑って。
だめ…だめ…ん。
…。
……こんな、の。
何。
だって…ん。
…聖達は良くしてる。
喧嘩した後には必ず。
あ、あの二人は夫婦だもの…。
…だから?
わ、私達はし…
…静かにして。
れ…ん。
…。
……はぁ。
……葵。
ん…。
次の日曜、行こう。
…だけど。
葵が行きたいところに。
…。
だけど、前もって言っとく。
多分、起きられない。
…じゃあ、起こしてあげる。
言っておくけれど、手加減なんてしないから。
…ああ、そうすれば良い。
……ね、蓮。
ん?
あの…
…足りない?
ば、ばか…。
何で赤くなるの?
……蓮、は。
…?
初めてじゃ、無いの…?
初めて?
…私、ファーストキスだったのに。
…。
したこと、あるの?
あるよ。
え……。
なんだ、葵でも忘れる事ってあるんだ。
私が、忘れる…?
少し、吃驚した。
蓮、何を言って
…葵、だったんだけど。
……え?
ま、今度は忘れないようにすれば良い。
ま、待って、蓮。
さっきから何を…ん。
……。
…だ…め。
……。
れ…ん。
……。
蓮、駄目よ。
髪の毛、未だ濡れてるじゃない。
ちゃんと拭かないと。
拭いたよ。
そんなんじゃ駄目よ。
風邪、ひいてしまうわ。
大丈夫だって。
駄目。
タオルは?
洗面所。
もう、何で持ってこないのよ。
必要ないから。
取ってくる。
いいよ。
良くない。
ちゃんと拭いて。
髪だって痛んでしまうのよ。
お節介。
だって私、蓮の髪、好きなんだもの。
じゃ、葵は私の髪にお節介してるってわけだ。
ええ、そうよ。
さぁ、ソファに座って待ってて。
……世話焼き。
いい?
くれぐれも大人しく待っているのよ。
さぁ、それはどうだろね。
…。
…。
…あの様子だと。
仲直り、したのかね。
そのようね。
ふむ。
聖、毛先が痛んでるわ。
え、マジで。
だからちゃんと拭きなさいって言ってるでしょう。
蓉子が拭いてくれないからだよぅ。
貴女ね…。
さて、と。
じっとしていてよね。
…。
こら、蓮。
動かないで。
葵。
あ、もう。
ついでだから薬。
ついで、て。
ここ、だから。
…。
結構、しみた。
…髪の毛、拭いてからね。
うん。
ところで、蓮。
…。
三日間連続で遅刻した理由を聞かせて貰おうかしら。
…。
あの、蓉子さん…
葵、私は蓮に聞いているのよ。
……。
蓮。
…寝坊、した。
寝坊?
……。
…聖。
や、私はそれなりの努力はしたよ。
ただ葵のようにはしてなかったかも知れないけれど。
…。
蓮、貴女。
蓉子さん、私が起こさなかったから
葵。
…はい。
蓮、貴女は一体、いつまで葵に起こして貰わないと駄目なの…!
…蓉子の説教、長い。
でも寝坊して遅刻した事は悪いから。
…。
ねぇ。
…何。
手、大丈夫?
痛くない?
薬、ぬったから。
だけど痛いでしょう?
薬、ぬったから平気。
でも
少しヒリヒリするけど、そのうち治る。
気にしなくても良い。
…ごめんね。
葵はいちいち気にしすぎ。
だって
私が大丈夫って言ってるんだから、良いんだよ。
…うん。
あのね、蓮…
そっちじゃない。
え?
そっちじゃないって言ってる。
え、あ…。
…。
ま、待って、蓮。
小さい頃は一緒だった。
い、今は小さくないわ。
子供には変わりないね。
そ、そうだけ、ど…。
それとも私が葵の部屋に行こうか。
れ、蓮…。
湯冷めする前に決めて欲しいんだけど。
……。
で、どっち?
……ん、の。
じゃ、入って。
あ…ぅ。
何してるのさ。
風邪、ひいても知らないよ。
……う、ん。
?
何でそんなに緊張しているの?
き、緊張してるわけでは…。
ま、良いけど。
……。
……入んないの?
あ、あの、蓮、やっぱり…
ん。
…あ。
ほら、早く。
………ん。
そういや枕、一つしか無いんだっけ。
…ッ
葵?
あ、あの私、自分の取ってくる…!
良いよ、別に。
け、けど
一つあれば足りる。
た、たたた足りないわよ…!
?
何でそんなにどもってるの?
だ、だって蓮が…
…?
私が?
ば、莫迦…ッ
は、何で?
と、兎に角、取ってくるから…!
あ、そ。
よーうこ。
…駄目よ。
そんなこと言わずにさぁ。
子供達も仲直りしたようだし。
だーめ。
私の尻が青いか、確認しなきゃ。
いい歳して、蒙古斑なんてあるわけないでしょ。
いや、そんなのは分かんない。
確かに大人になっても消えないで残ってる人はいるという話は聞いた事があるけれど。
当て嵌まってるかもよ?
莫迦。
大体、今更な話だわ、そんなの。
そう?
そうよ。
そっか。
…て、聖。
ん、何なに?
駄目だって言ってるでしょう?
と、言われても。
したいんだもん。
……貴女は幾つになっても成長しないのね。
いやてかさ、中てられたんだよね。
…冗談。
美しき姉妹愛に乾杯、てね。
ああ、もう。
駄目だって。
と言う訳で。
夫婦の愛を今一度、確認し合わないと。
貴女は何度確認し合えば気が済むの。
何度確認したって不安は消えないよ。
…夫婦なのに。
夫婦でも、だよ。
…聖。
ん?
今、そういう顔は反則よ。
…ね、良いよね。
…その代わり、加減して。
疲れが残るのよ…。
ん、分かった。
…ふふ。
…本当。
貴女は幾つになっても元気よね…。
…。
葵、何してるの。
早くしなよ。
う、うん…。
さっきから。
変な葵。
……。
もう良い、先に寝る。
おやすみ。
ま、待って。
じゃ、さっさと入りなよ。
…。
ん。
蓮…。
手。
…うん。
…冷たくなってる。
蓮はあったかい…きゃっ
……。
れ、蓮、いきなり何を
莫迦。
もたもたしてるからだ。
……。
風邪をひく、て騒ぐのは自分のくせに。
……ごめんなさい。
早くちゃんと入って。
…ん。
全く。
……あったかい。
それに、良い匂い…。
葵と同じだから。
でもね、蓮の匂いがするの…。
……。
…?
蓮?
…私には、葵の匂いしかしない。
……。
また顔が赤い。
だ、だって蓮が
言い出したのは葵。
……だ、って。
眠い。
寝る。
あ、蓮…。
…。
……蓮。
…なに。
あ、あの、おやすみなさい。
おやすみ。
……。
……。
…れ
忘れてた。
あ…ん。
…。
…。
…おやすみ、葵。
…おやすみなさい、蓮。
・
ごきげんよう、葵さん。
ごきげんよう。
と、蓮さん。
ごきげんよう。
…ごきげんよ。
今朝からは二人一緒なのね?
まぁ、ね。
…。
連続遅刻日の更新をしなくてすみそうね、蓮さん。
……。
蓮、蓮。
…ん、あぁ、起きてる、起きてるって。
半目で言わないで、怖いから。
と言うより目蓋が今にも閉じてしまいそう。
んー……。
ああもう、しっかりして。
…。
蓮さん、今朝はいつにもまして眠たそうじゃない?
春だから、かしらね?
季節はあんまり関係ないのよ、蓮の場合。
じゃあ昨日、特別夜遅くまで起きてたとか?
…。
葵さん?
いいえ、いつもどおりよ。
そう、いつもどおり。
大体、何時に寝てもいつもこうだし…。
…?
葵さん、どこを見て
…あーおーいー。
にゃ…ッ
…にゃ?
うぅ…ん。
蓮!
重い、重いから!
…。
…蓮さん、若しかしないでも寝てる?
……。
ああもう!!
保護者は大変ねぇ。
蓮、ちゃんと立って!歩いて!
四日連続、遅刻する気なの!?
……ん。
もう、蓮ってば!
……。
ともあれ。
仲直り、出来て良かったわね。
|