じゃおやすみ、二人とも。
   良い夢を見るんだよ。










   おやすみなさい、蓮…。


   …。


   …おやすみなさい、くまさん。


   …。


   ……え。


   …。


   あ。


   …。


   くまさん…っ


   …。


   くまさん…。


   …。


   蓮、いきなりなにをするの。


   …。


   くまさん、ごめんね…。
   ちゃんとべっどのなか、いれてあげるからね…。


   …。


   …!


   …。


   蓮。


   …。


   蓮、やめて…。


   …。


   やめて…!


   …。


   なんで、そんなことするの…。


   …。


   やめて、やめてよぅ…。


   …。


   あ…。


   …。


   くまさん…くまさん…。


   …。


   ごめんね、ごめんね…。


   …。


   …蓮。


   …。


   くまさんもいっしょにねんねするの…。


   …。


   …!
   だめ…!


   …。


   蓮、やめて…おねがい、やめて…。


   …。


   …やめて、やめて。


   …。


   くまさん、なげないで…なげないでぇ。


   …。


   はなして、蓮…。


   …。


   やだ、やだ…。


   …。


   …あぁ。


   …。


   くまさん…。


   …あっちにいけ。


   どうして…どうして、そんなことするの…。


   …。


   …。


   …あお。


   …。


   葵。


   …蓮なんて。


   …。


   蓮なんて、きらい…。


   …ぅ。


   きらい…だいっきらい…。


   …うぅ。


   きらい、きらい、だいっきらい…っ


   …うーッ


   あ…ッ


   …いらない、おまえなんて、いらない。


   れ、蓮、だめ、はなして…っ


   …。


   はなして、はなしてぇ…っ


   …。


   はなし、あっ


   …ぁ。


   あ、あ、あ…。


   …。


   …。


   …。


   ……あぁぁ。


   …。


   くまさんの、くまさん…の…。


   …。


   おてて、が…。


   …。


   おててが、おててが……あ、ぁぁ。


   …。


   …う、ぁ、


   …。


   あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん…!!!!





   蓮、葵!


   どうした、何があった?!








   おかーさん…おかぁさん…。


   …蓮。
   貴女は…。


   …。


   蓮、どうしてこんな事をしたの。


   …。


   このくまのぬいぐるみは葵がとても大事にしているの、蓮だって知っているでしょう?


   …。


   蓮。


   …。


   どうしてこんな事をしたの。
   このままだと何も分からないわ。


   …。


   蓮!


   …。


   黙っていては


   蓉子。


   …聖。


   どれどれ…あー、これは思い切りやったねぇ。
   完全に手が取れちゃってる。


   !
   聖!


   …う。


   でも大丈夫だよ、葵。
   蓉子が屹度、治してくれる。


   …おかぁさん、が?


   そうだよ。
   ねぇ、蓉子。


   …。


   蓉子なら出来るさ。


   …簡単に言ってくれるわね。


   出来ないの?


   出来るわよ。


   ほら、聞いた?
   蓉子の手にかかればくまさんは…まぁ、令じゃないから完全とは言わなくても、元通りさ。


   …一言多い。


   おかーさん、ほんと?


   …。


   ほんとう…?


   ええ。
   大丈夫、くまさんはちゃんと治すわ。
   絶対に。


   うん…!


   …。


   …さて。


   …。


   蓮君。


   …。


   君が何をやったのか、蓮君は分かっているよね?


   …。


   そこまで莫迦じゃないと、私達は分かっているけど。
   ねぇ、蓮君。


   …。


   蓮。


   …。


   人ってのは面倒だから、ちゃんと言葉にしないと分からないんだよ。


   …。


   想いなんてものは、勝手に相手に伝わるもんじゃない。
   仮令、蓮の事をよく知っている人だとしても。


   …。


   お前の口は何の為にあるのか。
   蓉子の卵焼きを食べる為だけじゃあ、無い。


   …。


   お前の手は。
   葵の大切なものを壊す為に、蓉子が作ったわけじゃない。


   …。


   蓮。
   うまく言葉に出来ないとしても、それでも葵に伝えたいのなら。
   無理矢理な力じゃなく、蓮なりの言葉でないと駄目なんだ。


   …。


   蓮。


   …。


   …蓉子。


   え…?


   ごめん。


   …あ。





   バシ…ッ





   …!
   聖…っ!


   ぁ…。


   …。


   聖、貴女…!


   …。


   れ


   蓉子。


   けれど!


   謝った。


   …そう言う問題じゃないわ。
   貴女は今、


   だけど蓮は泣かない。


   …。


   痛い筈だよ。


   当たり前よ、屹度腫れているわ。


   だけど泣いてない。


   でも手を上げるなんて


   これが痛みなんだよ。


   …。


   くまさんの痛み。
   蓮は知らないといけないと思う。
   知らなくては駄目なんだ。
   そうでしょう、蓉子。


   ……。


   …蓮、分かる?
   蓮がくまさんにした事。


   …。


   叩かれたら、痛いだろう?


   …。


   引っ張られて手が取れてしまった…千切れてしまったくまさんは。
   もっと痛かったと思う。


   …。


   葵は。
   叩かれたわけでも手が千切れたわけでもない。
   でも大事にしていたものが痛くされて、葵も痛かった。
   とてもとても心が痛かった。


   …。


   蓮。


   …。


   葵に言うべき事があるよね?


   …。


   葵。


   ……聖ちゃん。


   蓮をどうか、許してあげて。


   …。


   さぁ、蓮。


   …。


   …蓮。


   ……ぃ。


   …。


   ……ごめ、んな…ぃ。


   …。


   あお…。


   れん…。


   ……なさ、ぃ。


   …れん。


   ごめ…な…さ…ぃ。








   あーあ、加減はしたけどやっぱ少し腫れちゃったな…。


   …。


   少し冷やしてやらないと…。


   …。


   てか、泣いたまま寝ちゃったから明日大変かな。


   …。


   ねぇ、蓉子。


   …え?


   ちび達。


   子供達なら良く寝てるわ。


   …。


   ……ちがった?


   いや、違わない。


   …。


   くまさん、直せそう?


   直すわよ。


   無理そうだったら令に


   私が直すわ。


   ふふ、そっか。


   …貴女が言ったんじゃない。


   だってこういう時はお母さんが直してくれるもんなんじゃないかな、て。


   貴女もそうでしょうに。


   裁縫、苦手ー。


   とか言いながら、案外上手なくせに。


   並縫いなら、ね。
   あれは簡単で良いよね。


   はいはい、そうね。


   ふふ。


   …何よ。


   しがみついてるなぁ、て。


   …。


   やっぱ蓉子には敵わない。


   …そんな事、無いわよ。
   ちび達は蓉子が大好きだもんなぁ。


   そんな事、無い。


   …。


   ……つくづく、思ったわ。
   思い知ったと言っても良い。


   何を?


   …私は聖に頼り過ぎている。


   …。


   今回の事も。


   私、そんなに頼られているかなぁ?


   ……。


   と言うか私が甘えたなのは分かってるんだけど。
   だから蓉子も甘えてくれたら良いのに、て思ってるんだけど。


   ……子供達、は。


   うん。


   私ではなく、貴女に…。


   …。


   ……だめね、私。
   仕事を言い訳にしようとしてる…。


   ねぇ、蓉子さ。


   …。


   蓉子がいなかったら。
   私は此処にはいないんだよ。


   …。


   ちび達の親なんて。
   出来ない。


   ……けど。


   ちび達は蓉子が大好きで。
   蓮は分かり易いけど、葵だって本当は蓉子に抱っこして貰いたがってる。


   …。


   二人が蓉子に甘えてる時の顔は。
   多分、私のそれと同じようなもんだと思うんだよね。


   …。


   別に良いじゃない。
   蓉子は蓉子だよ、そんな蓉子がいるだけで良いんだよ。


   …聖。


   ほら、いつまでもそんな顔してると。
   ちゅー、しちゃうぞ?


   …あ。


   ね…?


   …。


   しし。


   …もう。


   蓉子。


   …。


   愛してるよ。


   …。


   さてさて、今夜は私らも寝ようか。
   疲れたしね…。


   ……うん。





   ・





   『ごきげんよー。ぼく、ぺんこ』


   …。


   『葵ちゃん、ごきげんよー』


   ごきげんよう、ぺんこちゃん。


   『蓮くん、蓮くん。
   ごきげんよー』


   …。


   『ぼくは君のぬいぐるみなんだよ』


   …。


   『でもぜんっぜん、遊んでくれないからつまんないんだー。
   ベッドにも入れてくれないしー』


   …。


   『だからね、ぼく、葵ちゃんの子になろっかなぁ』


   …。


   『葵ちゃん、だっこだっこ』


   わ。


   『ふふー』


   ぺんこちゃん、ふかふか。


   『そう、ぼくってばふかふかなんだよー。
   ぷ


   …。


   あ。


   …ぺんこ。


   …蓮くん、蓮くん。
   おもいきりたたいたらいたいよ、ゆがむよ、ぷぅ』


   …。


   『ふあぁ、びっくりしたー』


   蓮、ぺんこちゃんたたいたらだめ。


   …。


   『全く、蓮くんは素直じゃないなぁ』


   …。


   『ぼくのふかふか、ほんとはすきなくせにー…いた』


   …。


   蓮、だめ。


   …。


   …全く、蓮君は仕方ないなぁ。


   …。


   ほれほれ、ぺんこの感触、本当は好きなんでしょー?


   …。


   葵、ぺんこはふかふかだねぇ。


   うん。


   くまさんは今、入院中だし。
   どうかな、いっそ葵のにしちゃう?


   え…。


   …。


   葵の方が大事にしてくれそうだし。
   一緒に寝てくれそうだし。


   …え、と。


   …。


   なーんて。


   …。


   ぺんこは君に贈ったんだよ、蓮。


   …。


   だからさ。
   葵ばっかじゃなくて、さ?


   …。


   お。


   ……ぺん。


   …もちっと笑えば絵になるんだけど。
   ま、私の子だから仕方無いか。


   …。


   …あのね、蓮。


   …。


   ぺんこちゃんとあそんでいい?


   …。


   ほら、蓮君。
   葵が遊ぼうって言ってるぞー。


   ……う。


   だってさ、葵。


   うん…!








   と、言うわけで。
   本日はぺんぎんと遊んでました。


   …そう。


   だから今夜のちび二人はぺんぎんと、仲良く、ご就寝です。
   ぶっちゃけ、くまさんよりぺんぎんの方がふかふかなんだよね。


   …そうね。


   葵はくまさんがいなくて少し淋しそうだったけれど。
   蓮はある意味、満足げでした。


   …うん。


   蓮のアレは誰に似たんだろうねぇ。


   …貴女でしょ。


   あれ、ちゃんと聞いてたの?


   …。


   でも不器用なトコは蓉子さんに似てますよ。


   …貴女も不器用だからお互い様。


   ありゃ。


   …。


   ま、いっか。


   …そんなところも好きよ。


   ……。


   …えと、ここをこうして。


   …蓉子。


   うん…?


   くまさん、どう…?


   …直すわよ。


   うん。
   で、進み具合は?


   ……ぼちぼち。


   …。


   …綿は詰めなおして。


   …よーこ。


   んー?


   …まだ、ねないの?


   出来れば直してしまいたいから。


   …えぇ。


   …葵が淋しがってるのでしょう?


   でも明日も仕事だよね。


   …そうよ。


   じゃあ、もう寝ないと。


   …まだ、はやいわよ。


   けどさぁ…。


   あなたに抱かれると…もっと遅くなるもの。


   ……。


   …でしょう?


   ……だって。


   …聖は先に休んでて良いから。


   …。


   おやすみなさい。


   …やだ。


   …?


   蓉子と寝る。


   ……。


   一緒じゃなきゃ、やだ。


   ……聖。


   抱っこしないと眠れない。


   ……私は貴女のぬいぐるみなの?


   蓉子は私のお嫁さんです。


   …。


   だから、待ってます。


   ……じゃあ、好きになさい。


   うん。


   ……やれやれ。
   うちは小さな子供二人に加えて大きな子供までいるんだから…。








   …。


   聖。


   …。


   聖。


   …んぁー?


   これ、葵に渡しておいて。


   …。


   くまさん。


   …直しちゃったの?


   ええ。


   ……ちゃんと寝た?


   勿論。


   ……。


   貴女、意識無かったの?


   いや……うーん。


   本当に起きてるのかと思って、少し呆れたのに。


   …いや、起きてたよ、うん。


   うーそ。


   …。


   でもまぁ、ベッドに入ったら直ぐに抱き竦められたから。
   嘘とは言いきれないのかしら?


   …と言うかご飯は?


   作ってあるわ。


   食べた?


   ええ。


   ……一緒に食べたかったのに。


   だって起きないんだもの。


   …起こしてくれなかったでしょ。


   いいえ、起こしたわよ?
   一応。


   ……。


   …本当は。
   直接、渡したかったのだけれど…未だ、早いから。


   …良いじゃない、起こせば。
   その方が喜ぶよ。


   …。


   何だったらブーブ、出すよ。


   …けれど。
   二人が起きるには未だ、早いわ。


   良いから。
   …んんーーーー。


   …。


   おはよう、蓉子。


   おはよう、聖。


   ちゅー。


   …。


   今朝は蓉子の番、だよね?


   …そうね。


   日課。
   でしょ?


   …貴女が決めた、ね。








   蓮、れーん。


   …。


   葵、あおーい。


   ……ふ。


   やぁ。
   おは蓉子、葵。


   …おはよう、こ。


   うん、良く出来ました。


   …聖。


   今朝は特別です。


   …ふぅん。


   さて、あとは蓮君ですね。


   …。


   相変わらず、気持ち良さそうにすぅすぅ寝てますね。


   おかぁさん…?


   おはよう、葵。


   ……おかーさん。
   おかーさん!


   うん。


   おはよう、おかーさん!


   おはよう。


   ほれ、蓮君。
   今朝は蓉子が居るぞ、さっさと起きないと仕事に行っちゃうぞ。


   …にゃ。


   ふむ。
   蓉子、もう一押しは蓉子に任せよう。


   ……蓮。


   …。


   蓮、起きて。


   ………よー、こ?


   おはよう、蓮。


   ……!
   よーこ…!


   ええ、そうよ。
   おはよう、蓮。


   はよーこ!


   ……聖。


   いや、今日は特別です。
   はい。


   ……へぇぇ。


   えー。
   おはよう、蓮君。


   ……。


   うわ、微妙な顔。


   おかーさん、おしごとは…?


   今日は特別なのよ。


   …おやすみなの?


   いいえ、お休みでは無いの。


   ……そう、なんだ。


   ……。


   ところで、蓮君。
   おはよう。


   ……よー。


   よしよし。
   んじゃ、二人にはおはようのちゅーを。


   …。


   …ふふ、くすぐったい。


   うん、コレでよし。


   ……それ、毎日やってるのよね。


   勿論。


   ……まぁ、良いけど。


   じゃ、蓉子もする?
   たまには。


   ……。


   蓮、葵。
   蓉子がおはようのちゅーしてくれるって。


   にゃ?


   …ほんとう?


   本当本当。
   ね、蓉子さん。


   …もう。
   仕方ないわね…。


   …にゃぁ。


   ……えへへ。


   あ、やっぱ妬ける。


   …莫迦でしょう?








   さて、子供達。
   今朝はどうして蓉子が居るのかと言うと…。


   よーこ、よーこ。


   おかーさん。


   あらあら。


   ……こほん。
   蓮、葵。


   …。


   なに、聖ちゃん。


   ふふふ。


   …?


   聖、また勿体ぶって。
   今回はそんな暇無いのだけど。


   や、ごめんごめん。
   つい。


   …全く。


   葵。


   はい…?


   と、言うわけだから。
   蓉子、ささ、例のものを。


   はいはい。


   ……。


   葵、これな〜んだ?


   あ。


   『ごきげんよう、葵ちゃん』


   くまさん…!!


   『心配、しちゃった?』


   おてて、だいじょうぶなの?


   『うん、蓉子さんが治してくれたよ。ほら』


   あ…。


   『…ね?』


   おかーさん…ッ


   うん?


   ありがとう、おかーさん。
   ありがとう。


   …うん。


   くまさん、よかったね。
   よかったね。


   『うん。これも葵ちゃんと蓉子さんのおかげだよ』


   ううん、わたしはなにもしてないの…。


   『うん?』


   ごめんなさい…。


   『あれれ?』


   わたしがひっぱらなければ…くまさんのおてて、とれなかったのに。


   ……。


   『…まぁ、そうだけど。でも良いんだ、僕はまた葵ちゃんに抱っこして貰えるのなら』


   …くまさん。


   『ただいま、葵ちゃん』


   …。


   『抱っこ、して欲しいな?』


   うん…。


   『…ふふ、ただいま』


   …おかえりなさい、くまさん。


   『あ、そうだ。蓮君』


   …。


   『これからは引っ張らないでおくれよ?』


   ……。


   『でもって、これからはぼくとも遊んでくれると嬉しいな』


   ……。


   …蓮。


   ……くま。


   『うん。宜しく、蓮君』


   ……ん。


   くまさん…くまさん…。


   葵。


   なぁに、おかーさん。


   くまさんの事、好き?


   うん、だいすき!!


   …うん。


   おかーさん?


   …さて、そろそろ行かないと。
   聖。


   おう。


   よーこ?


   蓮、葵。
   行ってきます。


   よーこ、よーこ。


   蓮君、行ってらっしゃい、だろ?


   ……しゃい。


   いってらっしゃい、おかーさん。


   うん、行ってきます。





   ・





   まぁ、要するに。


   …。


   蓮君はやきもちをやいてたわけだ。


   …ええ。


   あれ、気付いてたの?


   莫迦にしてるの?


   莫迦にはしてない。
   けど、


   何よ。


   蓉子さんはそーいうの、結構鈍いから。


   言わせて貰うけど。
   貴女もそうでしょうが。


   いやいや、蓉子さんほどじゃないよ。


   自分の事となると全然、じゃない。


   いや、それこそ蓉子さんの方だって。


   聖だって、全然気付かなかったくせに。


   蓉子の気持ちに?


   …。


   ん?ん?


   …唐突に真面目な顔するの、止めてくれないかしら。


   へへ。


   …まぁ。
   何にせよ、力尽くは良くないわ。


   まぁ、


   そうよね、聖。


   …何で念押し?


   自分の胸に手を当てて考えてみなさい。


   どうせ当てるなら蓉子の胸の方が良いな。


   …ぐーと、ぱー。
   どっちが良い?


   ちょき、で目潰しは痛そうだなぁ。


   お望みとあらば?


   のーせんきゅー、です。


   あら、それは残念。


   …蓮はぶきっちょだから。
   おっきくなったら、どうなるかね。


   …そうね。


   ま、どうであれ。
   双子、仲が良いコトは親として喜ぶべき事かな。


   仲が良いのは良い事だけど。


   だからこその、やきもち、でしょや?


   …でも。
   葵にはかわいそうなコトをしたわ。


   ま、蓮君はあんな事、もうしないでしょ。
   多分。


   …だと良いけど。


   寧ろ、葵がやきもちを焼いたらどうなるかね?


   …。


   蓉子みたいに口利いてくれなくなるかな?


   …さぁ、どうかしらね。


   そしたら無言でのやり取りだよ。
   五歳児にして修羅場?
   ああでも、蓮は何も気付かないんだろうなぁ。


   …面白がってるでしょ。


   うん。


   迷惑な親ね。


   かわいがってる証拠って言って欲しいな。


   どこがよ。


   でもかわいがってるでしょ?


   …ま、そうだけど。


   ふふ。
   蓉子、さ。


   …何。


   結構、負けず嫌いだよね。
   知ってるけど。


   …。


   そんなに令に頼むの、嫌だった?


   嫌じゃないわよ。
   令ならずっと綺麗に直してくれると思うし。


   で?


   …ただ。


   うん。


   葵は私の子だもの。
   葵の大事なものは私が直すのよ。


   うん、道理にあってる。


   …まぁ、令のようにはいかないけれど。


   少し、歪んじゃったから?


   …ちゃんと確認しながら縫っていたんだけどな。


   …。


   ……何よ。


   今の蓉子さん、とてもかわいかった。


   ありがとう。
   いつもは可愛くないって教えてくれて。


   またそーいうコト言うー。


   …ふん。


   ごきげん、直して?


   …。


   抱っこ、してあげるから。


   …私はそんなに簡単じゃ無いわよ。


   もーう、またそんな事言ってー。


   …。


   葵、喜んでたじゃない。
   おかーさん、ありがとうって。
   腕が少々歪んでくっついていたって、全然、気にしてなかったよ。


   …ええ、そうね。


   ね、葵の笑顔が一番でしょや?


   …そうだけど。


   だから蓉子も笑顔笑顔。
   ね?


   …。


   それに、さ。
   蓮も表情が柔らかくなってたしさ?


   …。


   安心、したんだろうね。
   葵がいつもの笑顔に戻って。


   …そうね。


   よーこ…。


   …でもそれとコレとは話が違います。


   違いません。
   子供達が笑顔でいる為に、親はもっと笑顔でいないと。
   …昨日は堪能出来なかったし。


   無意識のうちにしてたでしょ。


   子供の笑顔の種は屹度、親にもあり、ですよ?


   …たまに良い事を言うのよね、貴女。


   でしょでしょ。
   褒めて褒めて?


   あーはいはい。
   偉い偉い。


   あー、てきとー。


   付け上がらせると。
   後が大変、だもの。








   くまさん、またいっしょにねようね。


   …。


   …蓮。


   …。


   くまさん、いっしょにねてもいい?


   …。


   …だめ?


   …。


   蓮。


   ……う。


   いいの?


   う。


   …!
   よかったね、くまさん。


   …。


   ねぇ、蓮。


   …。


   蓮はどうして、ぺんことねんねしないの?


   …。


   ねぇ、どうして?
   あんなにふかふかなのに。


   …。


   あ。


   …。


   ……え、と。
   おやすみなさい、蓮。


   …。


   くまさん…。


   …あお。


   ん、なぁ…


   ……。


   …蓮?


   …。


   れん、くるしいよ。


   …。


   れんってば。


   …。


   どうしたの?


   …。


   ……。


   …。


   …あ、そうだ。
   蓮。


   …。


   おてて、つなご?


   …。


   ふふ。


   …。


   おやすみなさい、れん。


   ……み。