−ANNIVERSARY(Música)





   ん〜…♪


   …。


   …ん〜♪


   蓉子さん。


   わ、吃驚した。


   驚かせてすみません。


   ううん。
   葵、どうしたの?


   …。


   ん?


   あの、今の歌は…。


   歌?


   口遊んでいた…。


   ああ。
   葵は知らない?


   聴いた事はあるんですが、思い出せなくて。


   そうね。
   もう、昔の歌だものね。


   綺麗な曲ですね。


   でしょう?
   好きなのよ。


   でも初めて聞きました。


   うん?


   蓉子さんがその歌を口遊んでいるの。


   そうだったかしら。


   若しかしたら私が聞いていないだけかも知れませんね。


   …いえ、葵の言うとおりかも知れないわ。


   …。


   好きな歌なのにね。
   どうしてかしら…不思議ね?


   …そうですね。


   今日は…お洗濯ものが良く乾きそうね。


   …温かいですから。


   ええ、本当に。


   …。


   …。


   …この歌、ね。


   はい。


   私達の結婚式の日に。
   歌ってくれたの。


   …誰がですか?


   貴女も、蓮も智も良く知っている人達よ。


   …。


   そしてこの歌を歌うと決めたのは…貴女達の先生になった人。


   …。


   私ね…もう、ぼろぼろと泣いてしまって。


   …。


   とても…とても嬉しかったのを今でも思い出せる。


   思い出の曲なんですね。


   ええ…。


   …。


   …本当に懐かしいわ。


   蓉子さん。


   ん…?


   今日は特別な日ですね。


   …。


   結婚記念日…ですから。


   ありがとう、葵。
   でもね。


   …?


   私にしてみれば何でもない日でも記念日なの。


   …何でもない?


   然う。
   あの人と歩み始めた日から…ずっと。


   …。


   ああ、でも。
   毎日が記念日なんて言ったら、記念でも何でも無いわね。


   …いいえ。


   …。


   聖さんと歩く一日一日が屹度、大事な日々なんでしょう。
   だからどんなにありふれた日でも蓉子さんにとっては…


   …ありがとう、葵。


   …。


   でも、葵。
   良く知ってるわね。


   …え?


   ありふれた日、じゃなくて、ありふれた朝なのだけれど。


   …?


   明日を信じてる。


   …。


   あなたがそばにいる。


   …。


   …ありふれた朝でも


   …あ。


   私には記念日。


   ……。


   ね?


   …はい。


   ふふ。


   …ふふ。


   そうそう。
   本当はこの歌、私が子供の頃の歌なのよ。


   …蓉子さんが?


   ええ、そうなの。
   なかなかませた子供だったと思わない?


   ふふ、かも知れないですね。


   お、二人して何してんの?
   なんか楽しそうだね。


   あら、聖。


   聖さん。


   なになに?
   聖さんも仲間に入れて入れて。


   どうしようかしら。
   ね、葵。


   …ふふふ。


   ええ、聖さんも入れてよぅ。


   じゃあ、聖。


   お。


   今日は何の日でしょう、聖さん。


   今日?
   なーんだ、そんなの簡単だよ。


   じゃあ何?


   結婚記念日!
   蓉子さんとの大事な日でっす!


   あら、ちゃんと覚えてたの。


   もっちろん。
   外せないでしょや?


   だって何も言わないから。


   いつだってサプライズを目指してるんです。


   普通で良いのに。


   だっていきなりの方が蓉子さん、すっごく嬉しそうな顔、してくれるもん。


   そうかしら。


   そうだよ。
   ね、葵。


   どうだったでしょうか。


   いやいや、そうなんだって。


   と、聖は言っているけれど?
   どう?葵。


   そうですね…蓉子さんはどんな時でも嬉しそうな顔、してると思いますよ。


   えぇ。


   ほら見なさい。


   むぅ。


   だって聖さんですから。


   …私だから?


   はい。
   ね、蓉子さん。


   …それはノーコメント。


   て、蓉子ぉ!


   だって調子に乗るでしょ。
   はい、だなんて言ったら。


   そりゃ、乗るけどさ!


   ふふ。


   …みんなで何してるんだ。


   何してるのーー?!


   蓮、智。


   葵、出掛けるんだろう?


   うん。


   おかーさん、聖ちゃん、私達もどっかに行こ!


   よし。
   蓉子さん、デートしよう。


   デート?


   智も一緒に。
   ね、智。


   うん!
   デートデート!


   …智。


   なぁに?


   お前はこっちに来い。


   えー。


   智、私達と行きましょう。
   何が食べたい?
   蓮が、なんでも、ご馳走してくれるって。


   ほんと!?


   …おい、葵。


   だめ?


   …あのなぁ。


   じゃ、蓮ちゃん達と行く!
   聖ちゃん、おかーさん、水入らずで行ってらっさい!


   おー。
   智、難しい言葉知ってるなぁ。


   えっへん。


   でも良いの?
   智。


   うん!良いの!


   うんうん、いい子だ。


   聖。


   久しぶりだね、蓉子。
   どこ行こっか。


   …もう。








   蓉子。


   なぁに?


   懐かしい歌を歌っていたね。


   …聞いてたのね?


   いやいや、聞こえてたの。


   全く。


   …思い出したよ。


   …。


   あの日の蓉子、とても綺麗だった。


   …あの日だけみたいね。


   勿論、いつだって綺麗。
   例えば、どんなにありふれた朝でも、蓉子は綺麗だよ。


   …。


   しし。


   …ばかねぇ。


   本当の事を言っただけだもんね。


   …聖。


   ん。


   …あなたを、信じてる。
   ずっと。


   …うん。


   ……あなたを愛してる、聖。


   …愛してるよ、蓉子。
   ずっと。


   …。


   …。


   …ふふ。


   …へへ。


   どこに行きましょうか。


   そうだなぁ。
   蓉子と一緒なら何処へでも行けるよ。


   なんて言って。
   本当は何も考えていないだけなんだから。








  −When I cry.(三姉妹)





   ねぇ、蓮。
   お花、買って帰らない?


   …薔薇、か?


   うん。
   赤いのと白いの。


   …まんまだな。


   あら、良いじゃない。
   蓉子さんと聖さんに贈るんだもの。
   それとも…カーネーションの方が良い?


   …一輪ずつで良いな。


   うん。


   ねぇねぇ。
   蓮ちゃんと葵ちゃんもケッコン、するの?


   …は?


   …え。


   だって蓮ちゃんと葵ちゃん、仲良しさんだもん。
   仲良しさんはね、ケッコンするんだよ。


   …ひー。


   なぁにー?


   いきなり何を言ってるんだ。


   だって思ったんだもん。


   …と言うかそんな話、誰から聞いた?


   ?


   …仲良しは結婚するだとか。


   ああ!
   え、とね、聖ちゃん!


   ……やっぱり。


   ねぇねぇ、ケッコンするの?
   いつ?


   …あのね、智。


   んー?


   私達は姉妹だから結婚は出来ないのよ。


   ?
   なんで?


   姉妹だから、だ。


   …?
   良く分かんない。


   姉妹は結婚出来ないの。


   どうして?


   出来ないものは出来ないんだ。


   仲良しさんなのに?


   …どんなに仲が良くても。
   出来ないの。


   ……。


   たく、聖が変な事を吹き込むから。


   ねぇ、蓮ちゃん。


   なんだ。


   蓮ちゃんは葵ちゃんのコト、好き?


   ……は?


   葵ちゃん。


   …なぁに?


   葵ちゃんは蓮ちゃんのコト、好き?


   …好きよ。
   ひーも蓉子さんも聖さんも、みんな好きよ。


   蓮ちゃんは?


   …。


   蓮ちゃんは葵ちゃんが、好き。


   …おい。


   でもって葵ちゃんは蓮ちゃんが好き。


   …。


   んー…。


   …ひー、それよりも何か飲まない?
   蓮が買ってくれ


   うん!
   蓮ちゃんと葵ちゃん、やっぱり結婚出来るよ。


   …。


   …。


   だって好きなんだもん。
   出来なくなんて、ない。


   …だからだな。


   好きなら一緒が良いって、聖ちゃん、言ってたもん。


   私達は出来ないんだ。


   なんで?


   …姉妹は出来ないの。
   どうあっても。


   どうして?


   …だから


   したくないの?


   …。


   …。


   蓮ちゃんと葵ちゃんは一緒が良いよ。


   …出来ないものは出来ないんだ。


   然う、決まっているのよ。


   誰が決めたの?


   誰が、とかじゃない。
   法律でそう決まってるんだ。


   ほーりつ?
   あ、おかーさんのお仕事と同じだ。


   そもそも、どうして私と葵が結婚するって話になるんだ。
   どっから出てきたんだ。


   …。


   だってー。
   聖ちゃんとおかーさん、蓮ちゃんと葵ちゃんだもん。


   いや、意味が分からない。


   …あのね、智。
   ちゃんと聞いて。


   うん、聞いてるよ。


   兄弟姉妹で結婚するのは…倫理上、赦されないの。


   …リンリ?


   人として守らないといけない事よ。


   ……。


   兄弟姉妹の間で生まれてきた子供は…どこか問題を持って生まれてくるかも知れない。
   …いえ、ある可能性の方が高いから。


   モンダイって何?


   それは…。


   赤ちゃんは赤ちゃんだよ。
   何がいけないの?


   …。


   …葵。


   好きなのになんでだめなの?


   …。


   …。


   好きなのに、どうして?


   …。


   …。


   …やっぱり、分かんない。


   今は分からなくても良い。


   …蓮。


   いずれ、分かる。
   智にも。


   むー…。


   …。








   葵。


   …。


   葵。


   …放っておいて。


   …。


   …。


   …未だ、気にしてるのか。


   …。


   葵。


   …だから放っておいてよ。


   本当に。


   …。


   良いのか。


   …ッ


   …。


   ……。


   …天邪鬼。


   蓮に言われたくない。


   …。


   …。


   …今更、だろう。


   …分かってるわよ。


   …だったら何故泣くんだ。


   …蓮には分からないわよ。


   …。


   …蓮は、分かってくれない。


   …。


   …だから、私はいつも


   辛いのなら。


   …。


   止めるしか、無い。


   …!


   …若しかしたら楽になれるかも知れない。


   ……。


   葵。


   …どうしてそんな事を言うの。


   …お前が泣くからだ。


   …。


   一人で泣くからだ。


   …だって!


   …。


   だって…。


   …。


   ……好きなの。


   …。


   蓮が…好きなの。


   …。


   ……ねぇ。


   …。


   どうして私達は


   だから此処に居るんだ。


   …。


   …私達は聖と蓉子とは違う。


   …いっそ、別々に生まれてくれば良かったのに。


   ……。


   ……そうしたら。


   言ったところで現状は変わらない。
   私達は血の繋がった双子のままだ。


   ……。


   だけど…それで良い。


   …。


   …そうだろう、葵。


   蓮はそうやって、いつも…いつも…ぉ。


   …。


   …う、く。


   …。


   …ばか。
   蓮の、ばか…ぁ。


   …。


   あ…。


   …。


   ……。


   …聖と蓉子は未だ、帰って来ない。
   智は…疲れて寝ている。


   …。


   …だめなら、だめって言えば良い。


   ……。


   ……葵。


   …て。


   …。


   …強く、抱いて。


   …。


   …蓮。


   ……途中で、止められない。


   ……それで良い。
   それで…。


   ……。


   ……れ、ん。








  −佐藤家納めin2010(佐藤家)





   はい、お待ち!
   毎年恒例、聖さん特製年越しそばでっす!


   ありがとう。


   …。


   聖ちゃん、今年はざるそばなの?


   うん。
   でもおつゆはあったかくて、中に椎茸と長葱が入ってまっす。


   美味しそうね。


   蓉子さん。
   そうね、じゃなくて美味しいんだって。


   はいはい、失礼しました。


   ……ねぎ。


   薬味用の葱もあるよ。
   でもって山葵か七味、お好み方でどうぞ。


   じゃあ、私は七味で。


   あ、私も七味にする。


   あったかいのにはやっぱり七味かにゃ?


   ……ねぎ。


   蓮?


   ……。


   蓮君、つゆの中に入ってる葱はそんなに歯応えは無い筈だよ。


   ……。


   とりあえず、蓮君は七味の方が良いかにゃ?


   …一味。


   お、そうくるか。
   んじゃ…ほい。


   ……。


   蓮、ちゃんとお礼言うの。


   ……ありがとう。


   なんのなんの、どういたしまして。


   …。


   蓉子、これは智用の。
   うどん、柔らかくしてあるから。


   うん。


   本当はそばにしたかったんだけどな〜。


   アレルギーが怖いから、ね。


   アレルギー、かぁ。


   ……。


   蓮って本当に葱が苦手だよね。


   ……玉葱よりはましだ。


   て言うけど、食べないし。


   ……。


   蓮君の葱嫌いにも困ったもんだなぁ。


   あとピーマンね。


   …アレルギー。


   そんなの、聞いたこと無いよ。


   …人それぞれだから。


   そうなの、お母さん。


   まぁ、そうね。
   でも蓮の場合はただの好き嫌いね。


   ……。


   椎茸は生だから平気でしょや、蓮君?


   ……。


   干し椎茸も苦手だものね。


   …それ、私も。


   栄養は干し椎茸の方があるのだけど…。


   ま、要は慣れだよね、慣れ。


   貴女にも早く、慣れて欲しいものがあるけれど?
   干し椎茸、とか。


   あははは。


   …全く。


   え、と。
   ま、あれだね。
   今年も家族みんなで年越しそばが食べられて良かった良かった。


   …一人、違う。


   蓮、水差しちゃだめ。


   智はまぁ、来年にでも。
   ねぇ、蓉子。


   アレルギーが無ければ、だけど。


   無いよ、多分。


   分かんないわよ。


   だって私も蓉子も蓮も葵も無いもん。


   でも分かりません。


   むぅ。


   ……。


   蓮って葱を避けるの、上手だよね。


   …ふん。


   蓉子、蓮、葵。


   うん?


   …。


   なぁに?


   今年もこれでお仕舞い。
   来年もみんなでごはんを食べよう。


   …ん、そうね。


   …ねぎはいらない。


   うん。


   智も、ね。


   あー。


   ふふ、ふくふくほっぺー。


   …親ばか。


   …こら、蓮。


   んじゃ、改めまして来年も宜しくってコトで!!
   ね、蓉子。


   はいはい、宜しくね。








  −MOTHER(親と子)





   私達は初めから“親”になれたわけじゃないんだよ、蓮。


   …。


   君らが生まれてきてくれて初めて、なれたんだ。


   …。


   と言っても。
   最初は実感とか、あまり無かったんだけどね。


   …。


   特に蓉子は…私よりも先に“お母さん”になったんだろうなぁ。


   …。


   ほら、君らは蓉子のお腹の中に居たろう?


   …。


   日に日に、蓉子のお腹が大きくなって。
   蓉子の顔が変わっていくのが分かった。


   …。


   時には…私の知ってる蓉子がこのまま居なくなってしまうんじゃないかと思った事もあったよ。
   莫迦だよねぇ。


   …。


   私は…ただでさえ、蓉子に手を繋いでもらってないと駄目だったから。
   その蓉子が先に行ってしまったようでさ。


   …。


   でも、蓉子は蓉子だった。
   私の知ってる…ね。


   …。


   先を歩いていたとしても。
   待っていてくれる。


   …。


   そして、手を繋いでくれる。
   いつも。


   …。


   さっきは君らが生まれて、と言ったけど。
   私の場合、蓉子が居たからも付け足さないといけない。


   …。


   …蓮。


   …。


   葵は君の先を行くかも知れない。
   と言うより、もう歩いているように感じるだろう。


   …。


   いつも一緒だった、その葵が先を行く。


   …。


   けれど。
   焦る必要なんて、無い。


   …。


   蓉子は言ってくれた。
   私が居たから、て。


   …。


   蓮。


   …。


   手を離さなければ大丈夫。
   そして“一緒”になれば良いんだ。


   …。


   一人で足りなくても、二人居れば足りるかも知れない。
   足りないかも知れない。


   …足りない場合は。


   結構なんとかなる。


   ……。


   子が教えてくれる事もあるしね。


   …。


   蓮。


   …。


   思うように、仕合わせにおなり。


   …。


   なんて。
   らしくない言い回しかな、やっぱり。


   …頭。


   久しぶりだろう?
   撫でられるの。


   ……。


   私達は君達の“いのち”。
   新しき道を行
〈ユ〉く君達に灯りを。


   …。


   そして君達は。


   ……葵。


   …。


   …。


   …“双子”、か。


   …行く。


   ん、そうか。


   …。


   蓮。


   …。


   思いやりのある子に。
   蓉子の願いだよ。


   …。


   さ、行こうか。


   ……うん。








  −える・かざど。





   ま、友達以上恋人未満ってトコかな。


   …何、見てんの。


   お、蓉子さん。
   出たの?


   ええ。
   で?


   アニメ?


   どうしたの。


   どうしたって。
   どういう意味で?


   珍しいと言う意味で。


   ちびがね、見たいって持ってきたの。


   …どっちの?


   蓮。


   蓮が?


   そう。
   好きなの持ってきなって言ったらね。
   まだまだお子ちゃまだからねぇ。


   そりゃ、小学校にも上がっていないから。
   でも蓮が?本当なの?


   それがさぁ、本当なんだよ。
   蓮君はあまり、興味を示さないかと思っていたんだけどね。


   …あまり子供向けのようにも見えないけど。


   たまにどんぱちしてるしねぇ。


   …そんなの、子供に見せないで。


   いやでもね、見てみないと分からんかったし?


   …で、見たの?
   蓮は。


   ああ、見てたかな。


   葵は?


   蓮の隣で。
   基本、葵は蓮の隣に居るもんだからね。


   ……。


   でさ、蓉子。
   戻すから、ちと見てみてよ。


   …別に良いわよ。


   良いから良いから。
   …よし、ここから。


   良いって。


   まぁ、良いから。


   …。


   ちなみに、この二人が主人公らしいよ。


   …ああそう。


   かわいいでしょ?


   …まぁ、アニメだし。


   で、どう見た?


   何が。


   仲良し夫婦、だって。
   かわいいよねぇ。


   ……。


   でも聖さんが見るに、この二人はまだまだだと思うんだよねぇ。


   …どうでも良いのだけど。


   やさぁ?
   仲良し夫婦ってのは、こーいう感じのコトを言うじゃん?


   ……。


   ね?


   …酔っ払ってる?


   ノンノン。


   ……肩、離して欲しいのだけど。


   私達は正真正銘、夫婦だもんね。
   仲良しな、さ。


   …。


   ね、蓉子…ふぎゃ。


   ばか。


   ……よーこぉ。


   離して。


   いや、その前に肩に寄り掛かって欲しいなぁ、と。


   …また、抓られたい?


   少しだけ、少しだけで良いから。
   ね、ね?


   …。


   ほら、あの金髪の子みたいに。
   ね、蓉子?


   ……良い歳して。


   幾つになってもしたいんだよぅ。


   …。


   蓉子、ね?


   ……ばかなんだから。


   …。


   ……これで、満足?


   …えへへ。


   …はい、お仕舞


   蓉子…。


   …少しだけって言ったでしょうに。


   うん、だから少しだけ…。


   ……もぅ。


   …。


   …。


   ……へへ、仲良し夫婦。


   ……まったく。


   続きはベッドで…ぎゃ。


   ……調子に乗らないの。








  −願い。(双子)





   …。


   …。


   …。


   …ねぇ。


   …。


   ……見える、かな。


   …見えない。


   …。


   …。


   …どうして?


   双子だから。


   …でも、あまり似てないよ。


   …外見、は。


   …。


   …。


   …お母さん達に似てるのに。


   …似てるだけだ。


   …。


   …。


   …私達はなれないの。


   …。


   ……ねぇ、なれないの。


   ……なれると思うのか。


   …。


   …。


   ……嘘でも良いのに。


   嘘は、嫌いだ。


   …。


   …。


   …たまには優しくして欲しいのに。


   偽りの優しさなんて、好きじゃない。


   …。


   …そんなの、結局傷付くだけだ。


   ……誰が。


   お前がだ。


   ……。


   ……。


   ……ありがとう。


   …何が。


   不器用なだけなんだよね。


   だから何が…。


   ……好きよ。


   …。


   私は…貴女が、好き。


   …知ってる。


   …なれなくても、良いの。


   …。


   ずっと一緒に居られれば…私は仕合わせなの。


   …嘘は嫌いだと言った。


   あ…。


   ……。


   ……ふ。


   ……。


   ふ…ぁ……ん。


   …。


   ……す、き。


   …。


   好き…好きよ…。


   ……。


   ……貴女と、なりたい。


   …。


   なりたいの…。


   ……知ってる。


   …。


   …。


   ……蓮。








  −バレンタイン2011(佐藤家)





   聖ちゃん。


   何かな、葵。


   えと、これ…。


   ん?


   …チョコレート。


   わぁ、ありがとう。


   …。


   すっごく嬉しい。


   う、うん。


   葵。


   …あ。


   お礼。


   ………。


   真っ赤。
   かわいいなぁ。


   ……。


   …何やってんだか。


   お、蓮君。


   …。


   蓮君は無いのかな?


   …。


   私に、ね?


   無い。


   あ、やっぱり。


   …。


   蓮はつれないからなぁ。


   …は。


   鼻で笑うし。
   蓮のつれなさは間違いなく蓉子似だな、うん。


   ……子供にねだる方がどうかしてる。


   ねぇ、蓉子。
   蓮君がつれないんだよー。


   はいはい、そうね。


   蓉子ー。


   そうね、大変ね。


   蓉子はくれないのー?


   はい。


   え。


   今年の。


   …。


   満足?


   …ない。


   は?


   愛が。


   …。


   こんなんじゃ駄目だよ、蓉子!


   いや、何が。


   前はもっとこう、可愛らしかったのに!


   と言うか、いつの話をしているの。


   それなのに今は…!


   あのねぇ。
   結婚して何年だと思っているの?


   時間なんて関係ない!


   て、ちょ…。


   蓉子!


   な、なに。


   久しぶりに、さ?
   ね?


   て、待って、待ちなさ…


   …あ、チョコチョコ。


   何をする気なの…!


   決まってるんじゃん。
   今日はバレンタインなんだから。


   決まってないから!


   はい、お待たせ。


   待ってないから。


   あ、蓉子からしてくれる?


   しません!


   じゃあ、やっぱり私からだね。


   いや、だから…!!


   …また、始まった。


   ……。


   葵。


   あ、うん。


   宿題、そっちは?


   うん、あるよ。


   あ、そ。


   …あのね、蓮。


   …。


   これ…蓮の。


   …。


   …いらない?


   もらっとく。


   …うん。








  −ちいさなたいこうしん。(双子と聖)





   せいちゃん。


   うん?


   きょうね、おはなつくったの。


   おー、どれどれ。


   えと…。


   んー?


   …あげる。


   お、サンキュウ。
   朝顔、かな。


   …うん。


   ん、良く出来てる。
   流石、葵。


   わ…。


   葵は手先が器用で、蓉子に良く似てる。
   聖さんは嬉しい。


   …えへへ。


   そうだ、蓮君は?
   君は作んなかったのかにゃ?


   …。


   ん?


   …。


   いや、別に貰おうと思ってるわけじゃないよ?
   私は葵に貰ったしね。


   …。


   と言うか、蓉子が一番?


   …。


   蓮君は蓉子っこだからなぁ。


   …。


   でもさ?
   ちみっとだけ、見せてほしいな?


   や。


   …あー。


   れん、いいじゃない。
   せいちゃんにも


   …。


   あ、れん。


   …。


   蓮君、別に取らないって。
   だからこっちに戻っておいで。


   …。


   つかさ…地味にショックだって。


   …せいちゃん?


   なんだかなぁ…。


   …。


   …れん。


   …。


   ……ま、後で見せて貰うけどさ。


   …。


   葵、これ大事にするね。


   う、うん。


   ……はぁ。


   …。


   れん…。


   ……せー。


   んー…?


   …。


   なにかな、蓮君?


   ……。


   ん?


   ……ん。


   お…。


   ……。


   え、一瞬?


   …。


   …あー。
   蓮君も朝顔?


   …。


   えと。
   一瞬だけだったけど、良く出来てた。


   …。


   流石、私達の子。


   …にゃ。


   蓮も、葵も。
   私は嬉しいよ。


   …。


   …せいちゃん、くるしい。


   おと、これは失礼。


   …。


   …。


   蓉子にも見せなきゃね。
   屹度、笑顔で褒めてくれるよ。


   …。


   …ほんとう?


   勿論!
   喜ばないわけ、無い!


   …にゃぁ。


   えへへ。


   うんうん。








  −少年の丘





   燃え上がる夕日の彼方、まだ出逢えない人や町がきっと待ってる。


   …ワン!!


   わ!


   ワンワン!


   なんだ、ラッシーか。
   もー、吃驚したじゃんかー。


   ヒー。


   ジョン、ラッシーを連れてくるなら先に言ってよ。


   ぼくたちはいつでも一緒だもん。
   ね、ラッシー?


   ワン!!


   そーだけどさー。
   学校は?


   終わった。


   コリンやサンディは?


   後から来るよ。


   そっかー。


   ねぇヒー。


   んー。


   グリノールブリッジにはいつまでいるの?


   いつまでいようかな。


   決めてないの?


   でもそろそろ行くよ。


   今度はどこに行くの?


   決めてない。


   いいなぁ、ぼくも旅したいなぁ。
   なぁ、ラッシー。


   ワン!


   出来るよー。
   しようと思えば。


   ほんと?


   でもサムとメリッサにちゃんと行ってきますって言わないとだめだけどねー。


   …お母さんにも?


   もちろん。


   ……。


   んー、この村はいい村だねー。
   ゆっくり時間が流れてる。
   こーいうの、好きだなー。


   …。


   ジョン、この村好き?


   …え?


   好き?


   うん、好きだよ。


   ラッシーも?


   ワン!


   はは、ラッシーはやっぱ人の言葉が分かるんだなー。


   クゥゥン。


   ジョ〜ン!ラッシー!


   お、サンディとコリンだ。
   おーい!


   …。


   ジョン、さ。


   …うん。


   この村は大好きだけど、でも、私は自分が育ったところが一番好きなんだー。


   そうなの?


   そうそう。


   …。


   手始めに、近いところから始めてみるといいかもよー。
   冒険、なんて言ってねー。


   もう、やってるよ。
   ヒーも一緒にやったじゃない。


   どんどん、広げて行くのさ。
   それを続けて、ふと気付いたら、それが旅になってるかもしんないからねー。


   ヒーもそうだったの?


   私はずっと箱庭で育ったから。


   箱庭?
   うわ、なんか退屈そう。


   だから、飽きちゃってこうなったのさー。


   あはは、ヒーらしい。


   でしょや?


   ヒーの育ったとこってどんなトコ?
   ぼく、行ってみたいな。


   サクラがきれいで、ごはんが美味しい。
   おかーさんのごはんは世界一。


   へぇ。


   いつか、みんなで来ればいいよー。
   歓迎するから。


   ラッシーも行ってもいい?


   Sure!


   わぁ!
   やったね、ラッシー!


   ワン、ワン!!


   なになに、何がよかったの?


   はぁ、はぁ、ま、まってよ、サンディ…。


   サンディ、コリン。
   ごきげんよう。


   ゴキゲンヨウ。
   ねぇねぇ、二人で何話してたの?


   二人じゃないよ、三人だよ。
   な、ラッシー。


   ワオォォン!


   あははは。








   また、お友達が増えたんですね。


   うん。


   このままだと、世界中に出来ちゃいますね。


   羨ましー?


   いいえ、別に。


   あ、そ。


   …きれいなところですね。


   きれいだった、し。
   穏やかなところだったよ。
   あーいうとこ、好きだなー。


   好きですよね、こういうところ。


   こっちは相変わらず?


   何がでしょう?


   時間の流れ?


   私にとってはそれが普通ですから。


   はは、そーだった。


   それで、この子たちは幾つぐらいなんですか?
   この犬の名前は


   急がないでも時間はあるよ。
   落ち着いて、落ち着いて。


   …ありませんよ。
   だって、また…。


   うん?


   いえ。


   そ。
   じゃ、ごはんでも食べながら。


   …はいはい、そうですね。
   今度は何が宜しいですか、お姉さま。


   んー、そーだなぁ…。








   智と世界名作劇場。
   続けると思います。多分。