−ほしにねがいを。(佐藤家)





   せー。


   お、蓮君。
   お願い事、書けたかな。


   う。


   そっかー。
   んじゃ、どれどれ。


   や。


   良いじゃん、減るもんじゃ無いんだからー。


   や。


   あらら。


   せー、や。


   うーん。
   じゃ、蓮のは後回しにして葵は?
   葵は見せてくれるよねー?


   うん。


   おー、どれどれー。


   ……。


   ……んー。


   ……。


   え、と。
   流石、蓉子の子、てトコ?


   ……。


   みんな、げんきでいられますように、て。


   …あ、あの。


   ん?


   へん…?


   いいや、良いと思うよ。
   と言うか素晴らしい。


   …。


   でも、もうちみっと自分の事を書いても良かったかな。
   ほら、あれが欲しいとかこれが欲しいとか。


   聖。


   んー?


   七夕はそもそも、芸事の上達を願うものなのよ。
   そういう願望を書く事は相応しくないわ。


   でも、ちびの時ぐらいは自分の思う事を書いても良いじゃない。
   芸事に限らないでさ。
   その方がよっぽど子供らしいよ。


   確かにそうだけど。


   でしょ?
   葵、他に何か無い?


   えーと…。


   最近、やりたい事とか。
   そうだ、例えば私に何かして欲しいとか!


   …。


   一寸、聖。


   ん?


   何よ、それ。


   いや、だから、例え?


   どんな例えよ。


   ちなみに私は蓉子さんに


   やかましい。


   …ぶー。


   よーこ。


   あら、蓮。
   見せてくれるの?


   う!


   お、どれどれ。


   せー、め。


   ふっふー、それぐらいで屈する聖さんでは無いんだな。


   にゃー!


   ……ええ、と。


   …ふむ。
   蓮君、これは私への挑戦状かな?


   …。


   だけど、残念だなぁ。
   その挑戦を受けても良いけど、最初から勝敗は決まってるのだよ。


   …聖。


   蓉子は私の。
   だから蓮君にはあげらんない。


   ……。


   聖、子供相手に大人気ない。


   いやいや、子供と言えどけじめは肝心ですから。


   …。


   蓮、ありがとう。
   嬉しいわ。


   …にゃ。


   あ。


   えへへ。


   蓮ばかりずるい。
   よーこ、私も撫でて撫でて。


   おばか。


   あいた。


   貴女にはそれで十分。


   ぶーぶー。


   あ、あの。
   聖ちゃん、おかーさん。


   んお?


   なに、葵?


   これ…。


   お、二枚目は何て書いたのかなー?


   ……。


   …て?


   あのね、こんど、聖ちゃんとおかーさんと、蓮とわたしの4人でね、


   うんうん。


   ……ゆーえんち、いきたい…の。


   皆で手を繋いで?


   …うん。


   葵ー!


   きゃ…っ


   あーもう、葵は可愛いなぁ!


   せ、聖ちゃ…。


   遊園地でも動物園でもケーキ食い放題でも!
   何処でも連れて行ってあげよう!
   約束!


   …ほんと?


   本当!
   ねぇ、蓉子、今度の休みなんてどうかな!?


   そんな事いきなり言われても。


   良いじゃん。
   はい、決まり!


   …もう、仕方が無いわね。


   おかーさん。


   ん?


   あの、いそがしくない?
   だいじょうぶ?


   ん、大丈夫よ。
   折角だから楽しんできましょうね。


   …!
   うん!


   ……よーこ。


   蓮?


   …だっこ。


   よし来た!


   にゃ…っ


   蓮、今度の休みはみんなで遊園地に行くぞー。
   風邪、ひかないようになー!


   う、にゃー…っ


   聖、そんなに回ると蓮が目を回しちゃうわ。


   ははは。








  −ぷらー。(佐藤家)





   れーん、あおいー。


   う。


   なぁに。


   時間だけど。
   見る?


   う!


   うん!


   よし、んじゃつけるよ。


   ぷらー!


   ぷてらー!


   あはは、二人とも好きだよねぇ。


   …。


   これで30分は静かになるなー。


   …ねぇ。


   うん?


   いつも見てるの、これ?


   毎週、楽しみにしてるみたいだよ。


   …ふぅん。


   私、こういうの見てなかったから分かんないけど。
   蓉子は見てた?


   …どうだったかしら。


   あ、そのカオは見てた。


   どんな判断よ、それ。
   聖こそ、本当は見てたんじゃないの?


   うちはテレビは日本放送協会って決まってましたから。


   ああ、そう。
   今度、お義母さまに聞いてみるわ。


   いやでも本当に見た覚えないんだよ。


   覚えてないだけでしょ、どうせ。


   じゃあ蓉子は覚えてるんだ?


   ……。


   別に良いじゃん。
   ちびの頃はこーいうの、好きなもんじゃないの?


   …あまり覚えてないわ。


   ふぅん?


   本当だもの。


   じゃ、そーいうことにしておこうか。


   本当だって言ってるじゃない。


   はいはい。
   …お。


   もう。


   ほら、蓉子。
   見てみ。


   何を。


   蓮。


   にゃー♪


   ぷてらー♪


   …蓮?


   うん、今週も始まった。


   ぷらー、ぷらー。


   …おどって、る?


   あはは、面白いでしょ?
   この曲が流れると踊るんだよ。


   …。


   葵は歌うだけで踊らないんだけどね。
   踊ればかわいいのに…


   …。


   蓉子?
   おーい、蓉子ー?


   …かわいい。


   ん?


   かわいい。


   あら。


   聖、カメラどこに片付けたかしら?


   マジですか。


   ねぇ、聖。


   あー、どこにしまったっけなぁ。


   もう、だからあれほどちゃんとしておいてって言ったのに。


   ま、まぁ、携帯ので良いじゃん?
   はい、これ。


   聖、撮って。


   は、私?


   聖の方が撮るの、私より上手だから。


   え、えー…。


   聖、早く。


   …へいへい。


   ぷらー♪









  −Rendez vous(高等部双子)





   …。


   蓮、次はあの店に行きたい。


   …。


   蓮、ねぇ、聞いてる?


   …聞いてるよ。


   じゃあちゃんと返事をして。


   …。


   蓮。


   …あの店に行くって言うのだろう。
   早くしなよ。


   …!
   もう…!








   …。


   ねぇ、蓮。


   …なに。


   これ…どう?


   …。


   ……変?


   …別に。


   別にって何よ。


   別には別にだね。


   それじゃ分からないわ。


   変とは言ってない。


   でも似合わないんでしょ。


   だから、別に。


   もう、それじゃ分からない。


   …。


   蓮。


   ……良いんじゃないの。


   どうしてそんなに投げやりなのよ。


   …面倒なヤツ。


   ……っ


   …。


   蓮はどうして、そんなに鈍いのよ!


   …鈍い?


   そうよ!
   もう、蓮の莫迦!


   ……葵。


   知らない。


   ……買わないの?


   だって蓮が別に、て言ったのよ。
   挙句に面倒だって。


   ……。


   もうどうでも良いわ。


   ………葵。


   何よ。


   どちらかと言うと、似合ってたんじゃないの。
   …知らないけど。


   ………。


   ………。


   ………も、う。








   …。


   蓮。


   …今度は、何。


   私、あれ飲みたい。


   …あれ?


   うん、あれ。
   一度で良いから飲んでみたかったの。


   ……あれを?


   うん。


   ……抹茶フラペじゃ?


   今日はあれが良い。
   おごってくれる約束、ね?


   …それは抹茶フラペの話。


   今日はあれが良いの。
   ね、蓮。


   …。


   蓮とのお出掛け、本当は今日じゃなくて、この前のお休みの日だったのに。


   …。


   ね、本当はそうだったでしょ?
   蓮?


   ……分かった。


   やったぁ。
   じゃあね…。








   …。


   おいしい。


   ……高い。


   ありがとう、蓮。


   ……どういたしまして。


   蓮も飲んでみる?
   ホワイトチョコに抹茶、凄く美味しいわよ。


   …。


   要らない?


   要る。


   じゃあ…あ。


   ……高いだけの事はあるのか、これ。


   ……。


   で、次は?


   ……。


   葵。


   …え。
   あ、ああ…。


   …?


   う、ううん、何でもない…。


   …。


   …。


   …関節キスくらいで。


   …っ!
   も、もう…っ


   何。


   いきなり手を取ったと思ったら…っ


   だってくれるって言った。


   言ったけど…っ


   ……関節キ


   だ、だから…っ


   なに。


   ……もうっ








   …ああ、疲れた。


   これぐらいで疲れるなんて。
   蓮、体力無さすぎ。


   …人が多いところは嫌いだ。


   外に出ないと、あっと言う間に老けちゃうよ。


   余計なお世話だ。


   あ…。


   …。


   蓮、怒った?


   ……。


   ねぇ、蓮ってば。


   …今日は散々、葵に付き合った。
   もう十分だろう。


   ……。


   …少し寝る。
   夕ご飯の時間になったら起こして。


   …蓮。


   ……。


   蓮。


   …何。


   あの…ね?


   何、眠いんだけ…


   …。


   ……。


   ……ありがと。


   ……。


   か、買ってきた服、改めて合わせてみようかな。
   蓮にも見て欲しいけど、蓮は寝ちゃうって言うし…。


   葵。


   な、なぁに?


   間接キス、どうして慣れないのか分からない。


   ……。


   …ふぁぁ。
   さ、寝よ…。


   ……蓮の、ばか。








  −虹色ランドセル。(佐藤家)





   …。


   せいちゃん、おかーさん。


   うん?


   あれ、なぁに?


   どれどれ…おー。
   最近は色んな色があるもんなんだねぇ。
   黄色に、オレンジ、空色に、これなんてスミレ色だってさ。


   本当。
   私の時は赤か黒、あってピンクくらいだったのに。


   私んとこは指定だったから、そもそも関係ないし。
   初等部の鞄は確か校章入り、だったかな。


   そうなの?


   見せなかったっけ?


   アルバム?


   見えなかったっけ?


   ええ、小さくて。


   じゃ、今度見られるよ。
   多分、変わってないだろうから。


   楽しみにしてるわ。


   せいちゃん、おかーさん?


   ああ、ごめんなさいね。
   あれはランドセル。
   小学生になったら持つ鞄なのよ。


   らんどせる?


   …。


   私が蓮と葵くらいの頃はこんなに豊富では無かったのだけれどね。


   見てみて、蓉子。
   ブラックとスーパーブラックだって、大して変わらないじゃんねぇ。


   こら、聖。
   勝手に触らないの。


   でもこれ、ディスプレイ用でしょ?
   触られてなんぼじゃないの?


   だからって


   …。


   お?


   やんどせる。


   ランドセル、ね。
   蓮君。


   ……。


   ねぇ、せいちゃん。


   何かな、葵ちゃん。


   らんどせるって、しょうがくせいになったらもつんでしょ?


   そうだよ
   残念ながら聖さんは持った事が無いのだけどね。
   ねぇ、蓉子。


   なに。


   蓉子は持ってたんでしょ?
   何色?


   赤、よ。
   あの頃は男子が黒いランドセル、女子は赤いランドセルとi言うのが定番だったから。


   だってさ、葵。


   じゃあ、わたしたちは?


   …。


   蓮と葵は幼稚舎に引き続きリリアンだから。
   聖さんと一緒のを使う事になるんだよ。


   らんどせるじゃないの?


   残念?


   ……。


   ……。


   あら、本当に残念そうね。


   えー、聖さんとお揃いは嫌なのかにゃー?


   …いかにゃい。


   へ?


   りりあん、いかにゃい。


   え?


   やんどせる、ほしいの。


   いやいや、蓮君。
   そんな事言われても、だね?


   ほしいの!


   蓮。


   よーこ、やんどちぇる、ほしい。


   ……。


   言えてない、益々言えてないよ、蓮君。


   よーこ。


   …あのね、蓮。
   蓮と葵は


   りりあん、や。


   …蓮。


   あおい、なにいろ?


   で、でも


   あおい。


   ……わたしは、おかーさんとおなじいろがいい。
   蓮は?


   ん。


   ……モスグリーンかよ。
   これまた渋いなぁ。


   て、そうじゃないでしょ、聖。







   はい、今日のお昼はフードコートでぶっかけうどーん。
   てなわけで、蓮君。
   トッピングは蓮君の好きなちゃまご、温泉仕様、だよー。


   …。


   今回はなんと、ちくわの天ぷらつき!


   …。


   生姜は要らんよね。
   まだまだお子様だから。


   …。


   蓉子さま。


   うん?


   蓮君はいたくご機嫌ななめの模様です。


   駄目なものは駄目、だから。


   ま、そうなんだけどね。


   欲しいものを欲しいだけ与えるなんて、絶対に、駄目。
   ましてやランドセルなんて…


   高いもんなぁ。


   …金額だけの問題では無いわ。


   でも実際、高いよね。
   葵、おくら食べる?


   うん。


   …相変わらず、渋いなぁ。
   蓮と葵の渋いもの好きは絶対、蓉子似だよねぇ。


   …美味しいわよ、おくら。
   聖もいかが?


   へい、いただきます。


   聖、げそ天は食べる?


   食べるーw


   好きよね、げそ。


   うん、好きー。


   ま、確かに美味しいけれど。


   うんうん。


   蓮。


   …。


   れんげ、要る?
   卵、食べづらいでしょう?


   …


   蓮君、箸じゃ上手に掴めないでしょや?


   …。


   うん、だめだ。
   完全にへそを曲げてる。


   蓮、おうどん、食べないの?


   ……どちぇ、る。


   ……。


   …そんなに欲しいもんなのかね、あれ。


   …あのね、蓮。


   ……。


   蓮は確かにランドセルは背負わないけれど。
   けど貴女はここには売ってない鞄、昔の聖が持っていた鞄と同じものを持つことが出来るのよ。


   …や。


   どうして?


   ……。


   葵もリリアンの鞄、嫌?


   …いやじゃない、けど。


   けど?


   ………おかーさんとおんなじの、ほしい。


   聖と同じのではだめ?


   ……ううん。


   …ああ、もう。
   葵はホント、可愛いなぁ…!


   …。


   そういやさ。
   蓮は蓉子と同じ色のじゃないのが良いって言ったよね?


   …。


   リリアンの鞄だったら…まぁ、色はモスグリーンじゃないけど、しっぶーい黒だよ?
   それじゃ駄目かい?


   ……。


   …ふむ。
   とりあえずこのままじゃ埒が明かないから、うどん、食べよっか。
   先ずは腹ごしらえ腹ごしらえ。


   ……そうね。


   葵、聖さんのいかげそを半分、あげよう。
   良く噛んで食べるんだよー?


   はーい。


   蓮、お芋の天ぷら食べる?


   …。


   甘くて、美味しいわよ。
   好きでしょう?


   ……。


   切ってあげるから、ね?








   蓮、蓮。


   …。


   ねぇ、蓮。


   …。


   どうしておはなししないの?


   …。


   ねぇ、蓮、蓮ってば。


   …。


   ふむ。
   ねぇ、蓉子。


   うん?


   今日は蓉子がお休みだったから、たまには家族みんなでお出掛けー、と思ってみたわけなんだけど。


   うん。


   蓮君が言葉を…まぁ、元々言葉数の少ないちびだけど。


   …。


   うちに帰ってきても盛大にへそを曲げたまま。
   そんなに欲しかったんかね、ランドセル。


   …みたいね。


   なんで、かなぁ。
   子供の欲しがるのって良く分かんないや。


   …聖は。


   んんー?


   小さい頃、両親に欲しい物をねだった事は無い?


   さあ、どうだったろう。
   覚えてない。
   蓉子は?


   私も、あまり。


   私、これくらいの頃の記憶ってあんまり無いなぁ。


   私は無いと言うより、無意識のうちに忘れていってしまってるように思えるわ。


   うん、そうかも。


   でもね、覚えてる事もあるのよ。
   と言うより、蓮の姿を見ていて思い出したの。


   ほう?


   ランドセルの記憶。


   ランドセルの?


   買ってもらった時の、ね。


   と言うと、小学校に上がる前?


   ええ。


   ……。


   ん、なに?


   …いや、ちっこい蓉子はさぞかし可愛かったろうなぁ、と。
   園児服の蓉子とか、一目で良いから実際に見てみたかった…。


   …話、進めても良いかしら。


   ああ、失礼。
   どうぞどうぞ。


   亡くなった祖母に入学のお祝いにと、買ってもらったのだけれど。


   うん。


   私、嬉しくて。
   小学校に行くのが益々、楽しみになっちゃって。


   まさか、はしゃいで背負ったりしてたとか?


   まさか、て。
   私にだって人並に幼い頃はあったのよ。


   いや、その頃からしっかりしてそうなイメージがありまして。


   …。


   なんかね、ちっこくても蓉子が凄いテンションで、それこそ大声出してはしゃいでる姿って想像出来ないんだよねぇ。


   …まぁ、否定はしないわ。


   でしょでしょ?


   兎に角。


   お。


   嬉しかったのよ、新品のランドセルが。


   そーいうもんかね?


   聖は嬉しくなかった?
   初等部の鞄。


   さて、どうだったかなぁ。


   全然、覚えてないの?


   私は今を生きる人間なので。


   …。


   あら、しらけた?


   …そのわりには人の過去は気にして。


   だって、かーわいーんだもーん。


   ……。


   ま、あれだよ。
   小さい頃の記憶と言えば、でこと喧嘩した事が一番強いかな。


   アメリカ人、と、でこちん?


   そうそう。
   でこのヤローは忘れていやがったけどね。


   …。


   …蓉子?


   今度、実家に行ってくるわ。


   うん?


   確か未だ、あった筈だから。


   じゃ、送ろうか。


   ありがとう。
   お願いしても良い?


   勿論ですよ、蓉子さん。
   どうせだからちび達も連れて行こうか。
   お義母さん、喜ぶよ。


   いいえ、子供達は連れて行かないわ。


   へ。


   どうせだから吃驚させたいもの。


   でもどうすんの?


   令に預かってもらう。


   でも稽古の日は蓉子、休みじゃ。


   だから夕方に行くのよ。


   ……へぇ。


   どうせ取りに行くだけだから。
   そんなに時間は掛からないし。


   なるほど、ね。


   改めて。
   お迎えもお願いしても良いかしら?


   仕事は大丈夫?


   定時に終わらせる。


   分かった。
   任せて。








   令。


   ああ、蓉子さま。


   遅くなってごめんなさいね。


   いいえ。
   話は聖さまから伺っていたので。


   で、うちのちび達は?


   待ちくたびれて寝ちゃってます。


   そっか。
   ありがとね、令。


   それでどうだったんですか?


   ん?


   ありましたか?


   ええ。


   そうですか。
   良かったです。


   そういえば令も持ってないんだっけね?


   はい。
   由乃も。


   二人ともリリアンだものね。


   蓮と葵は家の方に居ます。
   連れてきますね。


   うんにゃ、私も行くよ。
   上がっても良ければ、だけど。


   ええ、どうぞ。








   蓮、葵。


   …。


   …。


   おねむ、だねぇ。
   こりゃ今日は無理かな。


   見せたいものがあるの。


   …。


   …。


   新しいものではないけれど…。


   …。


   …。


   よーこ、把握出来てないよ。


   …やっぱり明日の方が良いのかしら。


   ……る。


   うん?


   らんどせる…。


   …あかいの、だ。


   お。


   これはね、私が使っていたものなのよ。


   よーこ…。


   …おかーさん。


   そうだよ、二人とも。
   このランドセルを二人にあげるってさ。


   …!


   …ほんとう?


   ええ。


   まぁ、蓮君希望の色では無い…


   らんどせる…!


   わぁ…!


   …けど、良さそうだね。


   よーこ、よ−こ!


   ええ、そうよ。


   ありがとう、おかーさん!


   どういたしまして。


   どれ、早速背負ってみるかい?


   うん!


   じゃ、ジャンケン。
   どっちが先か決めよう。


   にゃ!








   あれから。
   暇があればランドセルで遊んでるよ。


   本当、取っておいて良かったわ。
   まさか役に立つなんて思ってもみなかったけれど。


   綺麗に取っておけるなんて。
   流石蓉子、流石水野家。


   ありがとう。


   私も背負ってみようかな。


   サイズが合わないわよ、流石に。


   だよねぇ。


   もう、小学生なのね。


   うん。
   と言うかリリアンにちゃんと行ってくれそうでやれやれだ。


   …リリアンの初等部の制服、着るのね。


   あと鞄もね。


   楽しみね、入学式。


   休み、取れた?


   勿論。
   写真、お願いね。


   ラジャー。








  −お願い、かまって。〈大学生双子)





   蓮。


   …。


   コーヒー、飲む?


   ……もらう。


   じゃあ…はい。


   …葵は?


   うん、私も同じの。


   …苦手なくせに。


   だって蓮は好きでしょう?


   ……。


   ねぇ、蓮…。


   ……なに。


   隣に座っても…良い?


   …なんで。


   ……だめ?


   …。


   …だめだったら


   それ、わざわざ聞く事?


   ……だって。


   …。


   ……いい?


   どっちでも。


   ……ん。


   ……。


   ……ね、蓮。


   …なに。


   あの…ね、もっと…


   …。


   ……近くに行ってもいい?


   ……。


   …だめ?


   …はぁ。
   葵。


   ……。


   さっきから何?
   分かりきった事に答えを返すのって、面倒なんだけど。


   ………だって。


   なに。


   ……蓮は一人で居たい時があるから。


   …。


   だから…。


   …。


   …。


   …砂糖。


   …え。


   入れなかったろう。


   けど蓮は…


   葵のだよ。


   ……。


   飲めないくせに。


   ……だって蓮のと一緒にしたかったんだもの。


   莫迦だね。


   ……。


   葵。


   …?
   あ……。


   …。


   …ん……は、……ん、…ん。


   …。


   …はぁ。


   …こんな苦いの、駄目なくせに。


   ……。


   莫迦だ。


   ……だけど。


   …。


   蓮が…その、キス…してくれたから。


   …。


   平気…。


   ……本当。
   莫迦な、葵。








   …あ、あ、あ。


   …。


   れ…ん…。


   ……つらい?


   ……。


   言わないと分からない。


   ……いじ、わる。


   …そうだよ。
   そんなの、誰よりも良く知ってると思ってたんだけど?


   ……れ、ん。


   …。


   ……し、い。


   …もう、あげてるよ。


   ……たり、ない。


   …。


   れん、おねがい…。


   …。


   もっ…と。


   ……葵、は。


   ひ…あんっ


   ……本当に甘えた、だ。


   あ、あ、あ…!


   ………。