蓉子、何してんの?
   調べ物?


   ん、一寸…ね。


   えーなになにー?


   聖、問題。


   ほ?


   明日は何の日でしょう?


   明日?
   んー…。


   直ぐ、思いつかない?


   初めてちゅーした日。


   違うわよ。


   なんて、冗談。
   こどもの日でしょ。


   正解。


   あ、そっか。


   明日は何を作ろうかな、と思って。


   わぁい、楽しみ。


   貴女を喜ばせる為に作るんじゃないのだけど?


   良いの、勝手に喜んでるだけから。


   聖も手伝うのよ?


   ええ、勿論。
   とりあえず柏餅は私が買いに行きましょうかね。
   あの和菓子屋さんで良いよね?


   ええ、お願い。


   で、今年は何を作るの?
   やっぱり蓉子特製のちらし寿司は外せないよね?


   だけど去年も一昨年も作ったでしょう?
   この間のおひなまつりでも作ったし。
   だから今年は違うものにしてみようかな、て。


   えー。


   えー、て?


   私、蓉子のちらし寿司好きなのにー。


   だから聖を喜ばせてどうするの。


   蓮も大好きだよ。
   勿論、葵もね。


   この手まり寿司なんか可愛いかな、と思ったのだけど。


   どれどれ。
   んー…。


   不満?


   やっぱちらし寿司の方が良いなぁ。
   手作り感溢れていて。


   …あとはこいのぼり寿司なんてのもあるのだけれど。


   うちの可愛いちび達は女の子、だから。


   炊き込みご飯は?
   今だと筍が旬だけれど。


   それも好きだけど、なんかパッとしない。


   パっとねぇ。
   じゃあたまには洋食、とか。


   蓉子のご飯は何でも好きだけれど、中でも和食が一番好き。


   と言うか。
   貴女の好みを聞いているのでは無いのよ。
   子供達の目線になって考えて。


   だからちらし寿司だって。


   拘るわね。


   絶対、喜ぶって。
   蓮の満面の笑みとかさぁ、直ぐ思い浮かぶよ?


   うーん…。


   で、私がハンバーグなんかを作ってしんぜよう。
   このお花のハンバーグなんて如何かな?
   葵が喜びそう。


   葵は…ね。


   問題はパプリカ、か。
   所詮、赤いピーマン、だからね。


   蓮は形が見えると食べないのよね…。


   じゃあ、一緒に捏ねちゃおうかな。


   それじゃお花にならないじゃない。


   そう、そこなんだよ。


   ねぇ。


   うん?


   ミートボールにトマトソースをかけたのは?


   ああ、あれ?
   なになに、蓉子さん食べたいの?


   そういうわけじゃない、けど。


   じゃ、蓉子さんのリクエストに応えちゃおっかなー。


   別にハンバーグでも良いわよ。


   スペアリブとか?


   …何で?


   ここに書いてあったから。


   …なんかピンと来ない。


   ま、あれだね。
   要するにちび達が好きなのを作れば良いと思うんだよね。
   明日はこどもの日なんだから。


   …。


   ん、なに?


   最もだな、て。


   でしょ?
   だからね、ちらし寿司が良いと思うよ。


   そこに戻るのね。


   私はミートボール作るから、さ。


   …そうね。
   じゃあ、そうしましょうか。


   へへ、やった。




















  ち る ど れ ん ず で ぃ 




















   んじゃ、行ってくる。
   柏餅以外に買ってくるのは…


   海老と瓶入りの鮭ほぐし、それから、さやえんどうと干瓢。
   あとは聖が必要だと思うもの。
   但し、無駄遣いは駄目よ。


   ほい。
   海老は芝えびで良いかな?


   ええ。
   だけれど今は旬じゃないハズだから、無ければブラックタイガーでも良いわ。
   海老以外は出来れば、国産で。
   あ、あと大葉も買ってきて。


   了解。


   聖ちゃん、おかいものにいくの?


   うん、そうだよ。
   葵も行く?


   いいの?


   勿論。
   さぁ、おいでおいで。


   うん!


   よしよし、じゃあおいで。


   …。


   蓮君、蓮君はどうする?


   よーこといっしょがいい。


   蓮、貴女も一緒に行っておいで。


   よーこがいくならいく。


   私は支度があるから、手が離せないのよ。


   じゃ、いかない。
   よーこといる。


   あ、蓮。


   こらこら、蓮君。
   幾ら一緒に居たいからって足元に引っ付いていたら蓉子の邪魔になっちゃうでしょや。


   ……。


   蓮、行っておいで。
   お団子、買ってもらえるわよ。


   …おだんご?


   て、蓉子さん。
   お団子もですか。


   三色団子が良いな。


   好きですね、和菓子。


   ええ、好きよ。
   悪いかしら?


   いいえ、ちっとも。


   …。


   さて、蓮。
   君はどうするのかな?


   蓮、いこうよ。


   ……。


   蓮、どうしてもと言うのなら行かなくても良いけれど、足元に居たら危ないわ。


   そうそう、踏んづけられちゃうぞ。


   失礼ね。


   はは。
   さぁ蓮、聖さん達と一緒に行こうか。


   や。


   蓮はお団子、好きだよねー。


   …。


   蓉子も好きなお団子、蓮に持ってもらいたいなー。
   蓮が持って帰ってきたら、蓉子、屹度喜ぶと思うんだけどなー?


   ……。


   聖ちゃん、わたしは?
   わたしもおてつだいしたい。


   おお、葵も何か持ってくれるのかな?


   うん。


   葵には何を持ってもらおうかな。
   葵には葵も好きな柏餅を持ってもらおうかな?


   うん、わかった。


   よしよし、良い子だなぁ。
   じゃ蓉子、もう一回確認するけど。
   他に何か必要なもの、無い?


   一寸、待って。
   …うん、大丈夫。


   若し何かあったら、携帯持って行くから。


   ん、了解。


   じゃ、行ってくる。


   行ってらっしゃい。
   二人をお願いね。


   いってきます、おかーさん。


   はい、行ってらっしゃい。
   道路を歩く時は気をつけてね。


   はい。


   ……。


   蓮君、行くぞー。


   …よーこ。


   蓮、蓮が持って帰ってきてくれるお団子、楽しみに待っているわ。


   ……ん。


   んじゃ、蓮君。
   蓉子に行ってきますしよっか。


   …ちゃーます。


   行ってらっしゃい、蓮。
   聖の言う事を聞いて、危ないことはしては駄目よ。
   葵もお願いね。


   はい、おかーさん。















   さて。
   柏餅と三色団子は、と……おお、これだこれだ。
   すみません、柏餅四つと三色団子を四本…じゃ、あれなので五つずつ下さい。


   …。


   ん?


   …。


   あらあら。


   …。


   蓮、葵。


   …。


   面白い?


   …。


   和菓子って、見た目も良いからねぇ。
   食べるのが勿体無い位。


   …。


   でも、残念だけど、二人の要望には応えられそうには無いんだよなぁ。


   …。


   …まぁ、でも。


   …。


   今回だけ、聖さんのポケットなマネー出しちゃおうかな。
   こどもの日、だし。


   …!


   でも今回だけ、ね?


   にゃ!


   わたし、これがいい!


   おー、どれどれ。


   これ!


   蓮は葉っぱので…葵はお花か。
   なかなか良いなぁ、キレイな和菓子だ。
   じゃ、これとこれを一つずつ……ん?
   おおーー!


   にゃッ?


   こんなのもあるんだ。
   しかも紅白で…え、新作なんですか、そーですか!
   よし、これも買っていこう!


   聖ちゃん?


   蓉子さん、驚くかな、喜ぶかな。
   へへ、楽しみー。















   まー!


   こらこら蓮君、靴ちゃんと脱げてないから。


   おかえりなさい。


   やぁ、蓉子。
   ただいま。


   意外と早かったわね。


   わたくしも支度をしないといけませんので。
   お、何やら良い塩梅で酢の匂いが。


   丁度、冷まし始めたところなの。


   ほぉ、それは良かった。
   て事で、ほい。


   ありがとう。


   ただいま、おかーさん。


   よーこ!


   はい、二人ともおかえりなさい。


   ほら、かしわも


   だんごー!


   あらあら。


   わたしがさきにいおうとおもってたのに。


   わたしがさき。


   いっつも、蓮ばかり。


   いい。


   ずるい。


   ずるくない。


   ずるいよ!


   ずるない!


   はいはい、二人とも。
   お菓子を持ったままいがみ合うのは止そうね。


   だって蓮が


   ……ふん。


   あら、ま。


   蓮、葵。
   重たくなかった?


   だいじょうぶだよ、おかーさん。


   …じょぶ。


   そう。
   じゃあ、二人同時に見せて?


   …。


   …。


   お、良いねぇ。
   じゃ、さん、はい、で見せようか。


   さん、はい、て。
   せめて、いっせーのーせ、じゃない?


   いやいや、さん、はい、でしょ。


   そうかしら?


   ま、何でも良いや。
   ほい、二人とも。


   …はい。


   …。


   あら、納得いかない顔。


   蓮、葵。
   私はどっちが先とかよりも、二人がちゃんと持って帰ってきてくれた事が嬉しいのよ。


   …。


   …。


   だから、ね?


   ……はい。


   ……ん。


   ん、良い子。


   …ふふ。


   …へへ。


   …。


   さて。


   ねぇ、蓉子。


   うん?


   そんなに似てるかなぁ。


   似てる?
   何に?


   いや、蓮のこの顔にさ。


   …唐突ね?


   うん。


   そっくり、よ。


   …さいですか。


   何ならその時の顔を鏡に映して見せてあげましょうか。


   いいえ、ご好意だけ受け取っておきます。


   ねぇおかーさん、かしわもち、すき?


   ええ、好きよ。
   葵は?


   うん、すき。


   おだんごー。


   ええ、好きよ。
   蓮も?


   ん。
   …えへへ。


   ……似てるかなぁ。


   あ、そうだ、聖。


   うん?


   菖蒲、ありがとう。
   うっかりしちゃったわ。


   ああ。
   良し悪しなんか分からないから適当に選んだんだけど、それで良かった?


   ええ、十分よ。
   ありがとう、聖。


   へへ。


   ほら、そっくり。


   はへ?


   うふふ。


   …。


   顔だけじゃなく、仕草も。
   ね?


   …ま、親子だし。
   別に良いんだけどさ。


   でしょ?


   うん。
   寧ろ似てなかったら似てなかったっで……それはそれで、何となく…だし。


   似てるのは顔だけじゃない。
   目立つところだけが全てじゃないのよ。


   …指の形とか?


   ええ。


   …蓉子さん、大好き。


   はい。


   だけど、蓉子でもうっかりする事ってあるんだね。
   携帯持って行くとは言っておいたけど、まさか本当にかかってくるとは思わなんだよ。


   そりゃ、あるわよ。
   私だって人だもの。


   天使じゃない?


   そう。


   だけど私の女神さま、だよね。


   はいはい、ありがとう。
   聖も支度、するんでしょ?


   ああ、そうでした。


   ねぇ、聖。


   ん?


   そっちの袋は?
   他にも何か買ってきたの?


   内緒。


   は?


   あとでのお楽しみ。


   …。


   おかーさん、聖ちゃん、わたしもてつだう。


   おー、葵はやる気満々だ。


   うん。


   よーこ。


   おお、蓮君も?


   …。


   あら。


   よーこ。


   じゃあ二人とも、まずは手を洗いましょうか。


   う!


   はい!















   そんでは、いただきます。


   はい、いただきます。


   ます!


   お、元気だねぇ、蓮君。


   よーこ、ちゃまごちゃまご!


   蓮は卵が好きだものね。


   蓉子の作る錦糸卵は美味しいもんなぁ。
   ふわふわで。


   いっぱいいっぱい!


   分かったから身を乗りださないの、蓮。


   おぎょうぎがわるいよ、蓮。


   ちゃまごー!


   はい、聞いてない。
   ところで葵、葵は何が沢山欲しい?


   え、と…。


   遠慮せずに言ってごらん。


   ……しいたけ。


   うん?


   しいたけがほしい。


   うん。
   そんな葵には、椎茸と海老、ついでに鮭もいっぱいあげようね。


   え。


   ほいほい、とな。


   あ、えびー!


   こら、蓮。
   ちゃんと蓮の分もあるから。


   しゃけー!


   はいはい。


   どれ、そんな蓮君には人参もあげよう。


   にゃ…ッ


   好き嫌いは駄目だからねー。


   せー!


   何、蓮だけに蓮根も欲しいって。
   仕方が無いなぁ。


   にゃーーッ


   蓮、いすのうえにたっちゃだめだよ。


   ばかせー!!


   ほぉら、蓮。
   美味しいそうだねー。


   にゅぅぅ…ッ


   葵、葵には更にさやえんどうもあげちゃおう。
   と言うか満遍なく、ね。


   ありがとう、聖ちゃん。


   てなわけで。
   召し上がれ、可愛い子供たち。
   そうそう、聖さんのミートボールも忘れないように!


   ……にゅぅぅ。


   ほら蓮、卵いっぱいで良かったわね。


   …にんじん、や。


   大丈夫、苦くないわ。
   ね、葵?


   …うん、あまくておいしい。


   どれどれー。
   おー、本当だー。


   …。


   蓉子、また腕を上げたね。
   私は嬉しいよ。


   はいはい、ありがとう。
   聖のミートボールも美味しいわよ。


   蓮、おいしいよ。
   だからたべてみよ?


   …あおいにあげ


   だめよ、蓮。


   ……。


   蓮、がんばって。


   食べたら大好きな蓉子さんが頭をなでなでしてくれるぞー。


   …。


   ね、蓮。


   ………。


   お。


   ……ん。


   どう、蓮?


   ……あま。


   これなら、食べられる?


   ん!


   おーやったねぇ。


   よーこ、にんじん。


   はい。


   お、調子に乗ってきた?


   …。


   …。


   ……たべた。


   おー。


   よーこ、よーこ。


   うん、良い子良い子。


   えへへ。


   蓮君の人参問題も解決したところで。
   葵、ミートボールをとってあげよう。


   ありがとう、聖ちゃん。


   サラダも忘れずに食べてね。


   うん、おかーさん。


   ちゅなー。


   あはは、蓮はツナも好きだなぁ。
   トマトは苦手だけど。















   ちびたち、寝ちゃった。


   はしゃいでいたから。


   良く寝る子たちで聖さんは嬉しいよ。


   …それはどういう意味で?


   勿論、寝る子は育つ的な意味だけど?
   他になんかある?


   無いわね。


   ふふ。


   …。


   ほい、蓉子。
   お皿、貸して。


   ええ。


   見事に無くなったね。
   完売御礼、てトコかな。


   本当に。
   蓮も人参食べられたし。


   やっぱり蓉子のちらし寿司は天下一品ってことだね。


   天下一品って。
   今時使わないわよ、そんな言葉。


   良いじゃん良いじゃん、由乃ちゃんあたりなら使ってそうじゃん。


   令に?


   いや、言わなそう。
   あの子は屹度、そういう言葉はあまり口にしないと思うんだ。
   するのは…


   令ちゃんのばか?


   そう、それ。


   …ふふ。
   否定、出来ないわね。


   だけどあれでうまくいってるんだから、面白い。


   血がなせる業、かしら。


   と言うより、それだけ一緒に居たって事でしょ。
   そう考えると私達なんてまだまだだね。


   蓮と葵の場合はどうかしら。


   まぁ、双子の姉妹だし、また違うでしょ。
   てか、もっと近いと思うよ。


   何にせよ。
   大人になっても今のように仲が良くて、助け合えるように育って欲しいわね。


   ん、然うだね。
   …ねぇ蓉子、知ってる?


   ん?


   こどもの日ってね。
   お母さんに感謝する日でもあるんだよ。


   へぇ?
   それはどこで?


   蓉子さん愛用の辞書。


   よく見つけたわね?


   何となく索引を眺めてたらたまたま、さ。
   祝日法、だっけ?


   正しくは国民の祝日に関する法律、だったかしら。
   仕事で使うのなら貸してあげるわよ?


   ん、良いや。
   今のところ、使う予定は全然無いから。


   でしょうね。


   お母さんに。
   感謝、しないとね。


   ええ、そうね。
   …久しぶりに貴女の実家にでも行ってみる?


   違う違う。
   私が言っているのはここにいるお母さん。
   でもって私の実家に行くなら、蓉子の実家にも行かないと駄目でしょや。


   …それを言うのなら、聖も、でしょう?


   私は産んでないから。


   親には代わりないでしょう?


   ま、然うだね。


   ありがとう、聖。


   あ、私が先に言うんだったのに。


   早い者勝ち、よ。


   ちぇ。


   あら、舌打ち?
   感謝の言葉じゃないの?


   もう、意地悪だなぁ。


   あら、貴女には到底及ばないけど?


   む、言ったなー。


   あ、聖、泡が飛ぶじゃ…


   …そんな事を言う口は。
   塞いじゃうぞ?


   …泡、つけるわよ?


   泡風呂でだったら、大歓迎だな。


   そんなの、うちには無いわよ。


   じゃ、体を洗ってる時でも可。


   子供達と、ね。


   たまには夫婦水入らずもありじゃないですか?
   色々と手間も省けるし。


   …。


   ニオイも気にしなくていいしー。
   ほら、蓉子ってば結構気にするじゃない?


   ばか。


   わ、泡が目に…!


   全く。


   あ、危なかったー。


   少しは禁欲と言う言葉を覚えなさい。


   無理、死んじゃう。


   …。


   蓉子に触れないなんて、無理。
   絶対、無理。


   ……もう。


   想像しただけで…うん、死んじゃいそう。


   蓮もこうなるのかしら…。


   なるかもね。
   と言うか葵がなったりして。
   案外、甘えただから。


   …。


   あ、渋い顔。


   …本当に、止めて。


   うん、私もやだから大丈夫。


   …。


   葵は誰にもやんないんだ。


   ……それもどうかと思うけど。


   変なヤツ連れてきたら追い返す自信はあります。


   変じゃなくても追い返した挙句、塩まで撒きそうよね、貴女の場合。


   うん、撒くね。
   大いに撒くね。


   ご近所に迷惑がかかるから一撮みぐらいにして欲しいわね。


   撒くのは良いんだ?


   それで気が済むのなら。
   どうせ止めたって聞かないだろうし。


   …。


   …?
   何?


   …そんな日、来るかな。


   いつか、は。
   来るかもしれないわね。


   …。


   もう、しんみりしないでよ。


   …ありがとう、蓉子。


   え?


   これからも、その時は来なくても良いけど、一緒に頑張ろうね。


   …ええ。


   じゃ、今夜は夫婦で水入らず、と。


   …そうそう。


   ん?


   人参、甘く煮なくても食べられるようになって欲しいのだけど。
   大体、甘いものも苦手なんだから。


   いやいや、細かくしてくれたら平気なんだよ?


   ふぅん?


   そもそも根菜は人間の食べるものじゃないよ。


   主に牛蒡とか?


   本気で美味しくないよね、あれ。


   そんな真面目な顔で。


   特に牛蒡の出汁とか最悪だと思います。


   そんなだから蓮も食べないのよ。
















   さて。
   一息ついたところで…と。


   お茶、淹れましょうか。


   いや、私が淹れます。


   そう?
   ありがとう。


   それとこれを。


   …?
   なぁに、これ?


   和菓子。


   …私が頼んだのは柏餅と三色団子だったわよね。


   ポケットなマネーで買ったものだから、ね?


   …要するに無駄使いをした、と。


   無駄じゃないよ。


   まさかとは思うけど、蓮と葵にも?


   へばりついて見ていたからさ。
   でも確かにキレイだよね、和菓子は。
   芸術って感じがするよ。


   そんな事言って。
   甘やかしたら駄目じゃない。


   まぁまぁ、今日はこどもの日、じゃないですか。


   だからって甘やかして良い日ではないわ。


   ま、たまには、だから。
   許して?


   …。


   ちなみに、これが蓮ので「青楓」。
   でもってこっちが葵の「水牡丹」。
   ね、なかなか風流でしょ?


   …まぁ、確かに。


   あの年で風流が分かるなんてなかなか粋だよね。


   …で、これは?


   はい、よくぞ聞いてくれました。
   これこそが私達のです。


   …。


   見て分からない?


   …花の形をしているわね。


   花と言ったら?


   …。


   ね、私達を冠する花と言ったら?


   …卒業して何年経ってると思っているの。


   10年は軽く。


   大体、祥子や祐巳ちゃん、志摩子や乃梨子ちゃんだって


   まぁ、そうだけど。
   それはそれ、というコトで。


   ……。


   よっこ?


   ……薔薇、ね。


   はい、正解。


   …。


   それも紅白であったんだよ。


   …あるものなのね。


   へへへ。


   でもこの白薔薇、少し黄色がかって


   でも白薔薇なんです。
   ええ、ええ。


   ……。


   どっちが良い?


   どっち、て。
   私が紅薔薇じゃないの?


   いや、敢えて逆でも良いじゃん?


   敢えて、て。


   私が紅薔薇を食べ


   やっぱり私が紅薔薇を頂くわ。


   えぇー。


   貴女は白薔薇で。
   ね、元白薔薇さま。


   …せめて、半分ずつに。


   …どうしようかしら。


   よーこぉ。


   全く、仕方が無いわね。


   じゃあじゃあ?


   半分ずつ、ね。


   わぁい。


   但し、変なコトは言わないでね。


   変なコト?


   黙って食べなさいってコト。


   えぇぇ。


   不服なら、あげない。


   貰う、貰います。


   じゃあ?


   …せめて美味しいぐらいは言わせてよぅ。


   良いわよ。
   だけど。


   …流石紅薔薇、甘くて美味しい、などとは言いません。


   …。


   でも私は言って欲しいんだけどな…。


   ……全く。
   貴女って人は…。






























   もちー!


   あ?


   おかーさんおかーさん。
   おだんご、たべてもいい?


   あらあら。


   目が覚めたら早速、それかい。


   もち!


   だめ…?


   はいはい、良いわよ。


   仕方ない、そんな二人の為に美味しいお茶でも淹れてあげるかな。


   にゃ、にゃ。


   ふふふ。


   はい、どうぞ。


   にゃー!


   ありがとう、おかーさん!


   ゆっくり食べるのよ。


   そうそう、うっかり喉に詰まらせちゃったりしたら大変だからねー。


   にゃぁ。


   おいしい…。


   ところで、聖。


   ん?


   数、多くない?


   だって四つだと嫌じゃない?
   数が。


   …そんなの、いつから気にするようになったのかしら?


   んー蓉子さんの影響?


   私はそこまで拘ってはいないわよ。


   だからさ。
   五つでも良いようにしちゃおうよ、近い将来。


   …は?


   ねぇ、蓮君、葵。


   …う?


   …なぁに?


   妹、欲しい?


   …いもーと?


   ……?


   …聖。


   ここで二人が欲しいって言ったら…頑張ろ?


   ばか。


   あいた。


   全く、莫迦な事ばかり。


   いやいや、いつだって私は真面目に


   ばかせー。


   て、蓮君。


   にゃ。


   やーらかいほっぺた、伸ばしちゃうぞー。


   にゃあぁぁ。


   おー伸びる伸びるー。


   聖、止め


   聖ちゃん。


   んー?


   いもうと、うちにくるの?


   …。


   そうだよ、そうだよ。
   葵が欲しいって強く思ったら来るんだよ!


   うん、じゃあおもう。


   ……聖。


   よし、蓉子。
   頑張ろうか。


   …。


   今夜から頑張ろう!
   ね?


   …。


   …おかーさん?


   一回、じゃ、駄目だよね。
   やっぱり!!


   もう、ばか…ッ






























































   いもうと、たのしみだね。


   …。


   蓮?


   …いらにゃい。


   ?
   なんで?


   いらにゃい。


   ねぇ、なんで?


   …。


   …へんな蓮。


   …。