曰く、尻に敷かれてる。 …やかましいわ。 …? 食べないの? …食べるけど。 じゃあ、どうぞ。 …ありがと。 どういたしまして。 …はぁぁぁ。 …? どうしたの? べっつにぃ。 なんでもなーい。 …本当に? ほんとほんと。 さ、食べよ食べよ。 …卵焼きじゃない方が良かった? え、なんで? 本当は他のものが食べたかったのかなぁ…って。 卵焼きが食べたいって、言ったと思うけど。 言われたけど…。 だから、いーの! …そう? そうそう! あぁもう、お腹ぺっこぺこだよ。 早く食べよ、一緒に食べよ。 …うん。 いっただきまーす! いただきます。 ……んんん、やっぱりおいしい! ふふ…よかった。 ぶっちゃけ、うちのお母さんが作るのよりもおいしいんだよね。 いくらでも食べられちゃう! だからって、私の分取らないでね…? えー、どうしよっかなぁ。 その為に多めに作ってきたんだから。 でも、食べ足りなかったら貰っちゃうかも。 だーめ。 えぇ〜。 そんなこと言っても、だめ。 ちぇ。 …また、作ってあげるから。 それまで待ってらんないな〜〜? …。 ねぇねぇ。 …どうしてもなの? うん、どうしても。 ……。 んん、ほんとおいし。 …じゃあ自分の分が食べ終わって、それでも足りなかったらあげる。 ほんと? …ほんと。 やった。 …もぅ。 h e r e a n d t h e r e ごちそうさまでした! ごちそうさまでした。 卵焼きも、ごちそうさまでした。 とってもおいしかった。 …うん、お粗末さまでした。 結局、食べられちゃった。 だっておいしいんだもん。 …もぅ、なぎさったら。 あーぁ、お腹いっぱい。 このままごろごろしたいな〜。 テスト勉強するんじゃなかったの。 その為にうちに来たんでしょ? そうだけど、食べてすぐ勉強したらお腹に悪いし。 もぅ、そんなこと言って。 確かに横になった方が消化にはいいけど…でも、食べたものが逆流する恐れがあるからだめ。 なんだか眠くなってきちゃった…。 だめだってば。 ……。 もぅ…どんな結果になったって、知らないわよ。 ……。 ねぇ、本当に寝ちゃうの? …ね、泊まってもいいでしょ? え…? ……最初から、そのつもりだったし。 …。 …というわけで、おやすみなさーい。 …! もぅ…! …わ。 だめ。 …いいじゃん、少しくらい。 いつも少しじゃないでしょ。 それに寝るなら、ちゃんと着替えないと…。 …。 ねぇ、起きて。 ……いいこと考えた。 え? 膝、貸して。 な…。 ……。 ちょっと、まだいいって言ってない。 …もう、借りちゃった。 ……もぅ。 …。 ……ん。 …ねぇ。 なに…。 ……わたし、尻に敷かれてるかなぁ。 …え? そう、言われたんだけど。 …どういうこと? どうもこうも、そういうことなんだけど。 ……。 …敷いてる? し、敷いてない…! わ…たっ。 急にどうしてそんなこと言うの。 誰かに言われたの。 …痛かったんだけど。 あ。 …。 …もう一度、乗せてもいいから。 落とさない? …変なこと、言うから。 だって、言われたんだもん。 …誰に言われたの。 ……。 …ねぇ。 そんな風に見えるのかなぁ。 …私、敷いてないよ。 お尻になんて…敷いてない。 そういうのって、無意識らしいけど。 ……。 …あれ、やってよ。 …? 人の頭、落としたお礼に。 そしたら許してあげる。 …それを言うのなら、お詫び。 やってくれるの? くれないの? …何をすればいいの。 分かってるくせに。 …。 …わたしが膝の上に頭を乗せた時、いつもしてくれるやつ。 ……。 …。 ………よしよし。 …。 …頭、落としちゃってごめんね。 ……勝手に乗せたのはわたしだけどね。 …痛かった? そんなには。 少し、びっくりしただけ。 …ごめんね。 ……。 …。 ……勉強、しないとだめかなぁ。 …した方がいいと思う。 …。 ……しよう? …。 …。 …好きなひと、教えてくれたらする。 ……え。 教えてよ、好きなひと。 …すきなひと? そう。 えと…わたしの? 他に誰がいるの? ……。 …教えてよ。 ……すきなひとなんて。 いるでしょ。 …。 …。 ……どうしても言わなきゃだめ? …わたしのテスト結果がかかってる。 …。 …。 ………わたしのすきなひとは。 言うんだ。 …ッ。 …わたしのテスト結果なんて だって…ッ。 …。 …だって、大事だもの。 わたしのテスト結果が? ……。 …ほんっと、優しいなぁ。 ……ねぇ。 なに。 …どうして名前を呼んでくれないの。 わたしも呼ばれてないんだけど。 …それは呼んでくれないから。 呼べば呼ぶの? …。 ……で、好きなひとは? …。 ……ん。 ………わたしのすきなひと、は。 …。 ………………あなたよ。 ……。 ……あなたなの。 …知ってる。 …。 …名前で言ってくれないんだ。 ………。 …まぁ、いいや。 ……名前、呼んで。 ん…。 ……呼んで。 …そっちから呼んでよ。 …。 …。 ………さ。 …聞こえない。 ……ぎさ。 …。 …………なぎさ。 ……ほのか。 …な、 ……。 ……。 ……やっぱり、敷かれてるかも。 ……敷いてない。 …ねぇ、ほのかさ。 ……なぁに。 今でも、思ってる? …? 今でも…? …そ。 ………今でも、好きよ。 知ってる…だから、そうじゃなくて。 …なぎさ。 ほら、わたしってばいっつも女子からラブレターもらってたじゃん? …なぎさはとてももてるから。 で、わたしは言ったわけ。 女子にもてても仕方ないって。 …。 それで…ほのか、なんて言ってくれたっけ? ……あぁ。 …。 …同性にもてるのは、素敵な女性の証拠。 そうなのかなぁ。 …なぎさは素敵よ。 いつだって、素敵だわ…。 ……。 …ん。 ……ほのかだけだよ、そんなこと言うの。 …わたしだけじゃ、だめ? …。 ……。 …いいかな、ほのかだけで。 そう、ほのかさえ……。 …。 …あのさ、ほのか。 ……なぁに。 パートナーが異性でも…たとえ、同性だとしても。 ……。 …しあわせに、毎日を過ごせるのなら。 それが、大事……そう、思わない? ……思う。 でしょ…? …うん、なぎさ。 ……。 …。 …よし、じゃあテスト勉強しようかな。 するの…? するわよ、そりゃあ。 その為にほのかんちに来たんだから。 …。 何よ、その顔。 わたしだってやる時はやるんだからね。 …ふふ、知ってる。 ごめんね。 どうしよっかな。 …おいしいお菓子、持ってくるから。 お菓子じゃ誤魔化されないんだけどー? …。 ほの… ……。 …ほのか。 ……ごめんね。 …。 なぎ…ん。 …。 …。 ……おでこより、こっちがいい。 ……もぅ、なぎさは。 あー、おいしい。 やっぱりほのかんちのお菓子はおいしいなぁ。 …。 …なに? …なぎさはやっぱり、甘いものが好きなんだなぁって。 好きよ、悪い? …ううん、悪くない。 ほのかも食べなよ。 わたしは… はい、あーーん。 ……。 ほーのか? ……、 よしよし。 ………もぅ。 でも、おいしいでしょ? …おいしい、けど。 なに。 ……わたしは、なぎさと違うから。 なに?聞こえないんだけど。 …なぎさは太らないから。 でも、わたしは… ……。 …。 …そうなの? ………そうよ、なぎさのばか。 ば、ばかぁ…? …。 と言うかほのか、気にしてたの? き、気にするわよ…。 へぇ、意外。 わ、わたしのこと、なんだと思ってるの…。 うんちく女王とか? …。 そもそもそんなこと言ってるの、聞いたことなかったし…。 …ばか、もう知らない。 あ。 ……。 ちょっと、ちょっとほのか。 …。 ここ、丁度分からないんだけど… …知らない。 えぇ…。 ……。 ほのか、ほのかさん? …。 雪城さーん? …どうして名字なの、美墨さん。 返事してくれないから…って、そっちもじゃない。 …。 あぁ……うん、分かった。 ごめん、ごめんって、ほのか。 …本当に思ってる? 思ってる、思ってるから。 はい、このとーり! …。 …ね、ほのか? ……ふふ、なぎさったら。 ここ、教えてくれる…? …いいわよ。 どこが分からないの…? …。 …。 …もう、寝た? …まだ。 じゃあ、少しだけ話さない…? うん…わたしもそうしたいと思ってた。 言っておくけど、テストの話じゃないからね。 ふふ…分かってる。 なぎさが寝る前にそんな話、するわけないもの。 そんなの、分からないじゃない。 だってそんな話をしたら…なぎさはきっと、寝ちゃうもの。 …。 …なぎさ。 …色々、あるけど。 うん…。 …手を繋ぐことって、本当は、とっても難しかった。 ……。 どうやったらいいのか…考えれば考えるほど、分からなくなって。 どうしてたんだっけ…て、思えば思うほど、わけが分からなくなってさ。 …うん。 当たり前のこと…だったはず、なのに。 本当は当たり前じゃなくて…ううん、最初は当たり前でもなんでもなかった。 同じクラスだったのに話したこともなかったし…。 …。 ……わたし、ほのかと手を繋ぎたかった。 おかしいよね、あんなに繋いでいたのに…。 …。 とにかく、繋ぎたいと思った。 それから…離したくないって、思った。 ずっと、ずっと…ほのかと手を繋いでいたいって。 ほのかがいいって…。 …。 …ほのかといると安心する。 どきどきもするけど…いっぱいいっぱいになったりもするけど……だけど。 わたしね、なぎさ。 …うん? ごめんね、話しているのに。 …いいよ、なに? ……わたしね、なぎさの傍にいたいって思ってた。 それがわたしの願いだった…。 …。 どんな形であれ…なぎさの傍にいられたらって。 学校を卒業して…なぎさが恋を叶えて……それでも、友達としてなぎさの傍にいられたらそれでいいって。 …いられるかなんて、分からないのにね。 …。 いつか、離れる……ずっとなんて、ないもの。 …わたしとほのかは、離れないよ。 こんなカタチになってなくても…必ず、繋がってたと思う。 今のように会えなくなっても…。 ……。 …ほのか。 ……お願い、なぎさ。 なに…。 ……手、ずっと繋いでいて。 わたしの手、離さないで…。 …うん、離さない。 だから…ほのかも繋いでてよ。 ……うん。 …わたしの手、ずっとずっとよろしくね、ほのか。 うん…こちらこそ、なぎさ。 ほのかの手ってさ、すべすべしてて柔らかいよね。 夏でもひんやりしてて…繋いでると、気持ちよくてさ。 冬は冷たくて心配になるけど…。 …なぎさの手は、冬でも温かくて。 それから…わたしのよりも少しだけ大きくて。 ずっと繋いでいたいと思うの。 夏は暑くない? …平気よ? いやいや、暑いでしょ? …少し。 ほら、やっぱり。 …でも、繋いでたいの。 汗、いやじゃない…? …。 あ、考えてるし。 …ふふ。 言っとくけど、夏でも繋ぐからね。 …うん、繋いで? 繋いだら、離さないんだから。 …うん、離さないで。 …。 …なぎさ? ……指が細くて、長くて、きれいで。 …。 わたしのは…なんか、ごつごつしてて。 ごつごつなんてしてないよ。 怪我をしていたり、少し荒れていたりで…心配になることはあるけど。 …。 …なぎさの手、好きよ。 うん…わたしもほのかの手、好き。 だから、ね…? …うん? ……。 …ほのか? ………さわってほしいって、思うの。 さわって…? …手だけじゃなくて。 …。 ……わたしの、ぜんぶ。 ぜんぶ……ほのかの、ぜんぶ…。 …。 …ッ! いつか……ぜんぶ、さわってね。 あ、いや、え、…えぇ? …。 ほ、ほの、ほのか……? ……ふふ。 え。 …なぎさ、動揺しすぎ。 どう、よう…? …歌じゃないよ。 そ、それくらい、わ、わかってるわよ…。 …そう? そう…! ……。 …む。 ……しぃ? …。 大きな声を出したら…おばあちゃまが、起きちゃうかもしれないから。 …。 …。 ……ほのか。 …なぁに? …。 ……なぁに、なぎさ。 …はぁ。 よし。 …? …今から、抱き締めるから。 いやだって言っても、するから。 …。 いいよね。 …どうして確認するの? …。 …いやだと言っても、抱き締めてくれるって言ったじゃない。 …。 …しないの? するよ、するわよ。 ……じゃあ、して。 …ッ あぁぁ、もう…ッ。 …しぃ。 ……。 ……。 ……ほのか。 …はい。 ほ、ほんとにするからね…。 …うん、なぎさ。 …。 ………なぎさ。 ……。 …ん。 ……………いやだと言っても、もう、離さないからね。 …言わないよ、そんなこと。 …。 ……なぎさ、ふるえてる。 ふるえてない。 …でも。 ふ、ふるえてるのは、ほのかでしょ。 …そうなのかな。 …。 ………わたしも、いい? …聞かないでよ、そんなこと。 …。 ………。 …ねぇ、なぎさ。 ……なに、ほのか。 いつの間にか…身長、抜かれちゃったね。 …。 中等部の頃は…わたしの方が高かったのに。 …ほのかが縮んだんじゃないの。 ううん、なぎさが大きくなったの…。 ……。 …私はもう、止まっちゃったから。 これからは…きっと、差が開いてくばかりだね。 …そんなに大きくなるつもり、ないんだけど。 ん…。 ……これくらいで、いいわよ。 これくらいで……。 ……そうだと、いいな。 …。 こうしていると、心臓の音がよく聞こえる気がする…。 なぎさの…?それとも、わたしの…? ……どっちかのなんて、分からないわよ。 だって…。 …だって? 混ざってるから。 …。 …だから、分からないの。 ………うん。 …。 ……。 ……そろそろ、寝なきゃね。 …寝ちゃうの? …。 ……。 ……あぁもう、ほのかはぁぁ。 …なぎさ、苦しい。 ほのかが悪いの。 …わたしが悪いの? そう、ほのかが悪いの…。 ……ごめんね。 だからって、謝らなくてもいいの…。 …うん、じゃあ謝らない。 …。 …………なぎさのカラダ、熱い。 …ほのかだって、熱いよ。 ……混ざってる? …? …体温も混ざるのかなって。 ……かもね。 ふふ…不思議ね。 …そんなもんなんじゃないの、多分。 ……そうなの? そういうことにしておこうよ…。 今は難しいこと、考えないで…。 …うん。 ……。 …。 ………うー。 …。 …いいにおいが、する。 ……おはよう、なぎさ。 …。 …起きられる? …あさ? うん…朝。 おはよう…なぎさ。 …おはよ、ほのか。 着替えるでしょう? …あーぁ。 ごはん、出来ているから…用意が出来たら、一緒に食べましょう? ねぇ…いつ、寝ちゃったんだろう。 …気が付いたら、じゃない? そうだけど、そうじゃなくてさ…。 …。 …寝られないと、思ってたのに。 なぎさ、よく寝てたよ…? …むぅ。 ふふ…。 …ほのかは、眠れたの? わたし…? 眠れた? …うん、寝ちゃった。 えぇ…。 …なんて、嘘。 え。 …。 ほ、ほのか? …先に寝ちゃうんだもの、なぎさ。 う…。 ……。 あ、あの、ほ、ほのか…ごめん、ね? ……。 え、えと…えと。 ……なぎさ。 え、なに…。 ……。 ………。 …おはよう、なぎさ。 お、おはよ…ほのか。 ……先、行ってるね。 あ、う、うん…。 …。 …て、ちょっと待ったぁ! …。 ほ、ほのか。 …なぁに? お、おでこより。 …。 …おでこより、こっちがいいって言わなかった? ……。 だから…ほのか。 …なぎさから、してくれるなら。 …。 …なぎさから、して。 …。 …。 ………夏休みなんだけどさ。 …うん。 お祭、花火……あと海に行きたいなぁって。 …部活の予定は大丈夫なの? まぁ、合宿はあるけど、ね…。 …どれくらい? 合宿は一週間かな。 練習は毎日あるけど、休みもあるから。 そっちは? …ラクロス部ほどじゃないけど、あるよ。 だよねぇ…。 …。 …。 …だけど、なぎさ。 夏休みの予定の前に…。 …テスト、だよねぇ。 そう…テスト。 はぁ…。 …なぎさ、分からないところはない? ここ、分かんない…。 …これはね。 …。 ……なぎさ? …高校、卒業して。 …。 大学、別々になっちゃったら。 そしたら、今みたいには逢えなくなっちゃうんだよね。 …どうしたの、なぎさ。 卒業の話なんて…。 なんとなく…ね。 …。 …らしくないかなぁ。 …何か考えてることでもあるの? …。 ……。 …ほのかにはなんでも分かっちゃうのかな。 なんでもなんて…そんなこと、ない。 …。 …なぎさ、ペン回し上手よね。 うん…無意識なんだけどねぇ。 …わたし、未だになぎさのようには出来ない。 せっかく、教えて貰ったのに…。 もう一回、教えてあげようか? …じゃあ、休憩時間になったら教えてね。 ちぇ、だめかぁ…。 …。 ……今年も暑くなるかなぁ。 …きっと。 ……。 ……。 ……ねぇ、ほのか。 …なぁに、なぎさ。 一回しか、言わないから。 ちゃんと、聞いててね。 …。 ほんと、一家に一台、だから。 ……一世一代? …。 …。 …ほのか。 …はい。 高校卒業したら、一緒に暮らそうよ。 …。 出来るなら…ずっと、一緒に。 おばあちゃんになるまで…ふたりで、一緒に。 …。 ほのかにずっと、隣にいて欲しいの。 ……。 ……。 ……。 …一回しか、言わないから。 ……返事は今の方がいい? それは…ほのかに任せる。 じゃあ…今言うね。 …今じゃなくてもいいんだけど。 いいの…? …知りたいけど、ちゃんと考えてくれてからでいい。 …。 …ほのか、お茶貰ってもいいかな。 喉、乾いちゃった。 ……なぎさ。 …。 色々…色々、考えなければいけないことはあるけど。 沢山、あるけど…。 …。 わたしは…あなたから、離れたくない。 叶うなら、あなたの隣にいたい。 それだけは…確かに言えるの。 …。 …高校を卒業したら、それまで当たり前だったことがそうでなくなってしまう。 生活のリズムも…人も、環境も、変わってしまう。 なぎさ、あなたとの距離も…今までとは違うものになってしまうかもしれない。 …。 …ううん、離れていたってわたしの心はいつだってあなたの傍にあるわ。 きっと、あなたの心もわたしの傍に……。 …。 だけど…だけど、それでも。 どうしようもなく…寂しいと、思ってしまうの。 あなたと逢えないのは…あなたが隣にいないのは、とても、とても、寂しいの。 ……ほのか、手ぇ出して。 手…? …うん、なぎさ。 ……。 ……。 ……なぎさの手、やっぱり熱いね。 …でしょ。 ほのかのは…やっぱり、ひんやりしてる。 ……。 …今はまだ、難しいけど。 いつか…いつか、あげるから。 ……。 …左手の薬指に、あげるから。 ……もらうばかりで、いいの。 いいよ…わたしがそうしたいんだから。 だから…ほのか。 ……ありがとう、なぎさ。 まだ、あげてないんだけど…。 …。 ……。 …なぎさ、返事をしてもいい? ………ほのかが、いいなら。 じゃあ…一回しか言わないから、ちゃんと聞いててね。 ん…わかった。 ……わたしは、あなたと。 …。 …。 ……色々、考えなくちゃね。 …うん、考えないと。 ふたりで…ね。 …うん、ふたりで。 だけど…わたし、考えるの苦手なんだよなぁ。 でも、考えないと…だめ。 ふたりのことなんだから…。 はぁい、がんばりまぁす…。 …なぎさったら。 はは…。 …ふふ。 ほのか…。 …ん。 …ほのか。 なぁに、なぎさ…。 …うれしい。 ……うん、わたしもうれしい。 …。 …。 …キス、してもいい? …だめ。 えぇ、なんでぇ…。 …勉強、しないと。 したら、するから…と言うかしないと、勉強出来そうにないよぅ…。 …。 ねぇ、ほのか…いいよね、いいよね? …ちゃんとする? うん、する、約束する。 ……。 …ほのか。 ……約束、守ってね。 うん、まっかせて…。 ……ん。 あぁ、つかれたぁぁ…。 …お疲れさま、なぎさ。 何か食べる? 甘いものでお願いしまぁす…。 ふふ、そういうと思った。 そろそろお昼の時間だけど、お昼ごはんはどうする? うーん…お昼までご馳走になるわけにはいかない、かなぁ。 別にいいわよ。 だってなぎさだもの。 あ、そう…? 遠慮なんてしないで? ええと…じゃあ、お言葉に甘えていただきます。 何か食べたいもの、ある? わたしが作れるものだったら…いいのだけれど。 うん?ほのかが作ってくれるの? うん。 おばあちゃま、今日はお出掛けしているから。 え、そうなの? 言ってなかった? 朝食の後に出掛けたの。 き、聞いてない…。 …何か問題でもあった? い、いや、ないけど…うん、ないけど。 ね、なぎさ。 何が食べたい? ええと…そうだなぁ。 ほのかが作ってくれるのなら、 玉葱が入っているのでもいいの? う…それはやだ。 ふふ…でしょ? ええと、ええと…どうしようかな。 そんなに悩むの? だ、だって、折角ほのかが作ってくれるんだもん…かなり、悩むって。 …そんな大したものは作れないのに。 そんなことない! 言ったでしょ?ほのかが作る卵焼きはうちのお母さんのよりおいしいって! …あ。 …? あ? 卵焼き、卵焼きがまた食べたい!! 卵焼きでいいの? うん、卵焼きがいい!! …ん、分かった。 他に食べたいのはある? ご馳走さまでした! お粗末さまでした。 あぁ、おいしかったー。 やっぱりほのかの卵焼きはおいしい。 …足りた? うん、ばっちり。 お腹いっぱい。 ふふ、よかった。 あ、片付けはわたしがやる! ありがとう。 でも、なぎさは休んでていいよ。 ううん、ほのかが休んで。 ね? …でも。 やりたいの。 だから、やらせて。 …。 お願い、ほのか! ね! …お願いしてもいい? 寧ろ、お願いして! うん…じゃあ、お願いします。 うん、お願いされた! ありがとう、なぎさ。 いいのいいの。 昨日の夜からお世話になってるんだから、これくらい、当然だって! …。 と言うかさ、体、動かしたいってのもあるんだよね。動かさないとなんか、鈍っちゃいそうでさ。 あと、お腹いっぱいだから休んでると寝ちゃいそうで。 …もぅ、なぎさったら。 あはは。 と言うことで、休んでてね。 …うん。 よっし、やるかー! …気を付けてね? うちでもやってるから、だいじょ……うわぁ。 なぎさ、大丈夫? へへ…セーフ。 …怪我だけはしないでね。 食器の心配じゃないの? 食器は割れても代わりがあるもの。 だけど、なぎさの代わりはいないわ。 …怪我は治るけど。 なぎさ。 …はい、気を付けます。 ……。 …ところでさ、ほのか。 …なに? おばあちゃん、いつ頃帰ってくるの? 夜になってしまうって言っていたけど…どうして? いや…。 …? なぎさ? ……ふたりきりだなぁって。 …。 えと…それだけ、です。 ……ふたりきりだと、なに? え。 …。 あ、いや……そのぅ…。 …。 ……深い意味は、ないんだけど。 …ないの? …。 …。 …ないんだけど、あると言うか。 ……あるの? あー………うー……あぁ…。 …。 …とりあえず、こっち終わらせちゃってからでいいですか。 ちゃっちゃとやっちゃうから…。 ……くれぐれも気を付けてね。 …。 …。 ……ほのか、あのさ。 …なに、なぎさ。 …。 …こっちに来ないの? え…。 …来ないの? あ、いや…その、行ってもいい? …来ないなら、わたしから行くわ。 え、ええ…。 …なんて、ね。 ほ、ほのかぁ…。 …勉強、しないと。 …ッ。 ……。 ……ほの、か。 …だめよ、なぎさ? で、でも…。 …勉強しないと、ね? だ、だけど…!! …だけど、なに? ふ、深い意味があるかないか、気にならない、の…? もう、気になって、ないの…? ……なってるよ。 じゃ、じゃあ…。 …。 ………ほのか? ……なぎさ、先に寝ちゃったし。 え、え? …わたしのこと、抱き締めておいて。 わたしは…眠れなかったのに。 あ、あぁぁぁ……。 …。 ご、ごめん、ほのか。 ほんと、ごめん、ごめんね。 ごめんなさい。 …。 このとーり、です…!! …ふふ、なぎさったら。 ほのか…! …ッ。 は、はい。 ……。 ………なぎさ。 …わたしね、相変わらず、妄想癖があってね。 う、うん…。 その……いろいろ、いろいろ、妄想、しちゃって。 そりゃあもう、しちゃうのよ…。 …どんな妄想をするの? どんなって……ほのかのこと、だよ。 …わたしのこと? ど、どうやってするんだろう、とか……わからなくても、さわりたい、とか。 も、もっと、その……ふかいなかに、なりたい、とか……。 ……。 い、いっしょにくらそうなんて、いっておきながらさ…? そんなことは、まだ、ぜんぜん、で…。 き、キスするのが、せいいっぱいで…ぜんぜん、なれなくて。 …。 ……ふたりきり、で。 ふたりきり、だから……だから、…だから。 なぎさ。 ……ごめん。 …謝っては、いや。 あ…。 ……。 ほの、か…。 …好きよ。 あ、ぅ…。 …あなたのことが、好き。 わ、わたしも……。 ……。 ……ほのかのことが、好き。 好き、すぎて……。 …。 ……ほのかが、欲しい、です。 …。 ほのか………。 ……あかるい、のに。 あ…。 …。 く、くらくする…! …どうやって? えと…ええと……。 ……。 …そうだ、ふとん、ふとんをかぶれば。 ……ふふ。 ほのか…? …あなたの、真っ赤な顔がよく見えてしまうけど。 いい……? …! ……おたがいさま、ね? ほのか…ッ。 …ん、なぎさ。 ……。 ……。 ……ちょっと穴掘ってきていいかなぁ。 …何の為に? …。 …。 ……もう、埋まってしまいたい。 …。 うぅぅぅぅ…。 …ねぇ、なぎさ? ……ごめん、ほのか。 ほんとうに、ごめん…。 …わたし、思うのだけど。 …。 最初からね…上手に出来るひとなんて、きっと、いないと思うの。 なんでも、そうだけれど……。 …。 …だからね、なぎさ。 埋まってしまいたいなんて、言わないで…? でも…。 …それに、よく、わからないけど。 わたしは…わたしはね、いやじゃなかったよ。 ほのか…。 …なぎさにさわってもらって、とても、しあわせだと思ったの。 さわってもらえるだけで……ひどく、ひどく、しあわせだと、思えたの。 それは…そう、想像していた以上に。 …。 …ね、なぎさ。 なぎさは、ちがう…? …。 その…わたしと、はだをかさねて。 すはだで、ふれあって…。 ………わたしは。 …。 わたしは…いっぱい、いっぱい、で。 あたまのなか、ほのかで、いっぱいで……。 …うん。 よく、わかんなくて、だけど、ただ、ただ、あつくて……。 ほのかのことで、いっぱいなのに…ほのかのこと、かんがえなくて。 じぶんが、とめられなくて…。 ……。 …いたく、なかった? いま、どこかいたくない…? ……。 ほのか…わたし、わたし。 …なぎさは、優しいね。 え…。 …ほんとうに、やさしいひと。 そんな、こと…そんなこと、ない。 だいじょうぶだよ、なぎさ。 う…。 だいじょうぶ…だいじょうぶ。 …ほのか。 よしよし…。 …ほのかぁ。 ……。 ほのか、ほのか、ほのか…。 …すこしずつ。 すこしずつ…ね。 …。 …ふたりで、しっていこう? ほの、か…。 …お互い、初めてだったのだから。 だから…ね、ふたりで。 ほのかぁぁぁぁ……。 ……うん、よしよし。 う、うぅぅぅ…。 …でもね、なぎさ。 …? うん…。 …他のひとで練習とか、しちゃだめだからね? ほかの、ひと…? …ぜったい、だめだからね。 し、しない、しない、しないよ…ッ。 ぜったい、ない…!ぶっちゃけ、ありえない…ッ!! …やくそく、ね? ほんと、ありえないからぁ…ッ!! ……うん。 ……ほのか、眠い? ん…すこし。 昨日、眠れなかったんだよね…? …だれかさんのせいで、ね。 はい、ごめんなさい…。 ふふ…。 …少し、寝る? でも、勉強しないと…。 ね、眠い時はね? …? うん。 無理しないで、寝た方がいいんだって。 その方が効率がいいんだって。 …。 だ、だから…少しだけ、一緒に寝よ? …。 だ、だめ…? …。 わ…。 …こうやって、寝てもいい? …ッ。 …だめ? ほ、ほのかが、いいなら…! …でも、眠れないかも。 え、えぇ。 ふふ、ふふ…。 えと、ほ、ほのかさん…? ……少しだけ、ね。 少しだけ、だから…。 ……。 …許してね、なぎさ。 ゆ、許すなんて…! ほのかがそうしたいなら、わたしはいくらだって…!! …。 …あ。 ……起きたら、ちゃんと、勉強しないとね? はい…分かってます。 …。 ………ほのか。 ……なぎさ。 …なぁに? ……なぎさは? わたしは…。 …。 ……好き、ほのか。 わたしも…なぎさが好き。 ん…。 ……。 ……おやすみ、ほのか。 …おやすみなさい、なぎさ。 ……。 …なぎさ。 …。 なぎさ。 …ぅ。 なぎさ、起きて。 ……。 なぎさ。 …もうすこし。 ごはん、冷めちゃっていいのなら寝ててもいいけど。 …。 いいの? …いやです。 じゃあ、起きて? …はぁい。 起きたら、着替えてしまってね。 洗濯するから。 ん…わかった。 ごはん食べたら、出掛けるのよね? うん…うん? ね、今日はどんな映画を観るの? 恋愛映画?それとも時代劇かしら? …えいが? ね、映画を観たら本屋さんに寄りたいのだけど。 いい? …いい、けど。 えいがって……えいが? なぎさ? ええ、と……。 …若しかして、寝惚けてる? ……ねぇ、ほのか。 なぁに? …私達、勉強してたんじゃなかったっけ。 勉強…? そう…テスト勉強。 ………やっぱり、寝惚けてる? いや、起きてるつもりなんだけど……うーん? それとも夢と現実の区別がついてない? 夢……夢? ねぇ、なぎさ。 私達は今、どこに居ると思う? どこって…ほのかんち? ううん、違うわ。 部屋の中、よく見てみて…? へや………。 ……分かる? …え、ええと。 ここは…。 …。 ……私とほのかが一緒に暮らしてるアパートの、部屋? そう…正解。 ん……。 …夢じゃないよ。 ………あぁ、そっか。 そっか…。 …醒めた? うん…さめた。 私達はもう、学生じゃない…。 …うん。 あぁ、そっか……夢、かぁ。 どんな夢を見てたの? テスト勉強と言うくらいだから…中等部の頃? それとも高等部の頃? うーん…多分、高等部の頃、かな。 高等部…。 …ほのかと付き合いだして、暫く経った頃かなぁ。 夏が来る前で…テストは中間、かも。 そう…。 …懐かしい? 少し…ね。 あの頃は…本当に。 …本当に、なに? …。 ほのか…? …あの頃はいつも、どきどきしてたの。 私、なぎさと付き合ってるんだって…恋人同士なんだって。 今も…してるけど。 …。 …なぎさ? あ、いや…そっか。 うん、私もしてた。 今の間はなぁに? 深い意味は、ないんだけど…。 …でも、あるのよね? あるような、ないような…。 …もぅ、なぎさったら。 …。 …。 ……ね、ほのか。 …ねぇ、なぎさ。 なに…? …先に言ってもいい? うん、いいよ。 ……。 …。 …あのね、なぎさ。 なぎさは憶えてるかなぁって…。 …何を? …。 …。 ……はじめて、の、こと。 …はじめてのこと? …。 …。 ……おぼえて、ない? ええと…はじめてした時のこと? …。 …ちがった? ……憶えてる? …。 …。 ……そりゃあ、憶えてるわよ。 あまりにも酷すぎて情けなすぎて忘れようがないと、言うか……あぁ、そうだ。 …え? 夢ってさ、確か記憶の整理だかなんだかだったりもするんだよね? …そうね。 夢は記憶の再生と再処理過程で現れる脳内イメージ現象とも呼ばれているから。 これまでに体験した出来事、蓄積してきた記憶や情報がアトランダムに抽出されて、映像イメージに反映されたものが夢になるの。 あぁ、うん…。 …。 なんかさ、本当に高校生の頃に戻ったような…そんな感じだった。 …懐かしい? うん…少しね。 …。 ん…ほのか。 …私、今はあなたと一緒に暮らしてる。 ……うん。 …色々、考えて。 ふたりで、考えて。頑張って。 それで…今があるの。 うん…ほのか。 ……ずっと続いて欲しいって、願ってるの。 うん…私も、願ってる。 なぎさ…。 ……ほのか。 …。 ……ずっと、一緒。 ふたりは、これからも…ずぅっと、一緒。 …うん、なぎさ。 …そうだ。 ほのか。 なぁに? 映画、やめてもいいかなぁ。 …やめるの? うん。 私はいいけれど…なぎさはいいの? 観たかったんじゃないの? 映画は…うん、また今度でいいや。 それよりもね、思い出したの。 何を思い出したの? カップケーキのおいしいお店のこと! カップケーキの? うん! なんでも行列が出来ちゃうくらい、おいしいらしいよ! そうなんだ。 じゃあ屹度、とてもおいしいのね。 でさ、日によってはピアノ演奏もあるんだって。 演奏するのはちゃんとしたピアニストだとか。 それがまた、すっごいいいらしいの。 ピアノが置いてあるなんて…大きなお店なのかしら? でもなぎさ、大丈夫? うん、何が? ピアノ演奏なんて聞いて、眠くなってしまわない? …ほのかさん、それってば流石に失礼じゃありませんこと? 私だってね、音楽に心を寄せることだってあるんですけど? ふふ…ごめんなさい、なぎさ。 うむ、宜しい。 じゃあ、今日はそのお店に行くのね。 いい? うん、いいわよ。 やった。 なぎさは相変わらず、甘いものが好きね? うん、好き。 ほのかが作ってくれるクッキーも好き。 クッキー…。 好きなんだ、今も昔も。 …最近、作ってないね。 今度、作ろうかな…。 作ってくれると嬉しい。 けど、無理はしないでいいからね。 なぎさに好きって言われちゃったら…作ってあげたくなっちゃうわ。 へへ…その気持ちがすっごく嬉しい。 それに…私、甘いものを食べている時のなぎさの顔が好きなの。 今も昔も、とってもしあわせそうで…。 そう…? …そうよ? だけど、だけどね、ほのか。 …なぁに? 一番好きなのは…ほのか、だからね。 …。 …ほのかだから。 ……もぅ、私は甘いものじゃないわよ? ううん、とっても甘いよ…。 …ん、なぎさ。 …。 …だめよ、食事中なんだから。 ……。 なぎ、…。 ……。 ………。 ……味噌汁の味? …だから、食事中って言ったじゃない。 はい、ごめんなさい。 …もぅ、本当にそう思ってる? 思ってます、ごめんなさい。 …。 ほのか。 …知らない。 あー…。 …。 …口を尖らせてるほのかもかわいい。 …! もぅ、なぎさ…! あはは。 あはは、じゃないわよ、もぅ! だって拗ねててもかわいいんだもん、ほのかは。 …ほんとに知らない。 ほのか。 …。 ほーのか? …早くごはん食べないと、出掛けるの遅くなっちゃうんだから。 それはだめかも。 …お店、並ぶんでしょ? 多分、並ぶと思う。 …だったら、早めに出た方がいいんじゃないの? うん、その方がいいと思う。 …だったら、ふざけてないの。 ふざけてはいないんだけど…。 …真面目だったとしても、食事中はだめ。 じゃあ、食事中でなければいい…? 今はそういうことを言ってるんじゃありません。 …はぁい、ごめんなさい。 もぅ、本当に反省してるの…? はい、してます。 それはもう、ちゃんと反省してます。 …本当かしら。 なぎさは調子がいいから…。 本当、本当。 だからどうか、ご機嫌を直してください。 このとーり! …んもぅ、本当に調子がいいんだから。 直った…? 直りません。 えぇ。 …。 どうしたら直る? …ちゃんと反省したら、直ります。 してるんだけどなぁ。 ……。 うーん。 …なぎさ、早く食べないと。 折角ほのかが作ってくれたんだから、味わって食べたい。 …そんなこと言っても、だめです。 別にご機嫌を取ろうと思って言ったんじゃないよ。 私はただ、本当のことを言っただけだから。 …。 うーん、やっぱりほのかが作った卵焼きは今も昔も最高! ……もぅ。 うん、なに? 何でもありません。 そう? …そうです。 そっか。 ……。 うん、なに? やっぱり、何でもなくない? …。 ほのか? …何でもないの。 よし、洗いものお仕舞い! それじゃあ、そろそろ行こうか。 うん。 あれ、機嫌直った? 直ってません。 未だ直らないの? なぎさ。 …ごめん? …。 ほのか。 …何、その手は。 手、繋ごうと思って。 繋ぎません。 嫌? 今は嫌。 そんなに嫌だった? キス、したこと。 …。 ねぇ、ほのか。 …なぎさはずるいのよ。 ずるい? キスが嫌なわけではないの。 でも、少しは考えて。 うーん…。 …。 …今、キスしたらもっと怒る? どうしてそういう考えになるの。 意味が分からない。 ……。 …。 …どうしてもしたかった。だけど、強引だった。 ごめんね、ほのか。 …。 もうしない…とは、約束出来ないのもごめん。 …なぎさ。 こんな私、嫌になる? ……。 ほのか。 …なぎさ、大人になったよね。 え。 …学生の頃と、比べて。 まぁ、同じだったら…全く成長してないことになっちゃうし。 それにそんなこと言うのなら、ほのかだってそうじゃない。 …。 …ほのか、キスしてもいい? ……だめ。 むぅ、これは手ごわ キスするのだって、ぐずぐずしてたくせに。 …。 …。 …ほのかだって、ずるい。 私はずるくないわ。 ずるいよ、ほのかは。 ずるくない。 なぎさの方がずっと、ずるい。 私の方がずるいかもしれないけど、ほのかだってずるい。 …。 なに、ほのか? …やっぱり、ずるい。 まだ言うか…。 …。 …わ。 なぎさばかりで、ずるいから。 …え、と。 …。 これはこれで、嬉しいけど…。 …。 ……ほのか。 …。 …機嫌、直してください。 ……。 ほのか。 …なぎさの手は誰のものか教えてくれたら、考えてもいいわ。 それは勿論、ほのかのだよ。 今も昔も、ほのかだけのものだよ。 …。 答えになった? …仕方がないから、直してあげます。 よっし! ありがとう、ほのか! …。 それじゃあ、右手出して。 …うん、なぎさ。 …。 …。 …へへ。 …なぁに? 相変わらず、ほのかの手はひんやりしててすべすべだなぁって。 …なぎさの手も相変わらず、あったかいわね? 私の手があったかいのは、ほのかの手をあっためる為だから。 …じゃあ私の手がひんやりとしているのは? それは、こうやって繋ぐと私が気持ちいいと感じる為。 冬も? 冬でも。 ものすっごく!冷たいわけじゃないから、ね。 …ふふ。 なぁに、ほのか? これからもずっとこうやってなぎさと手を繋いでいくんだなぁって。 思っただけ。 嫌ですか、ほのかさん。 いいえ、ちっとも嫌じゃないわ。 寧ろその逆よ、なぎさ。 それは良かった。 ふふ。 …。 …。 …女の子を好きになって、その子とずっと手を繋いで生きていきたいなんて。 ほのかと逢うまで…ううん、逢ってからもそんな風に願うようになるなんて、思いもしなかった。 人生ってどこでどうなるか、分からないもんだね。 …。 と言うか、ほのかだから好きになって傍にいて欲しいと思うようになったんだけど? 他の女の子には興味なかったし、今もないし。 …今でも、男の人には興味あるの? まぁ、かっこいい人がいれば見ちゃうくらいには。 …。 だけど、そういう意味で好きなのはほのかだけ。 興味があるのは、ほのかだけ。 …だったら、いいな。 そうなんだって。 ほのかもそうでしょ? 私の初恋、誰だか知ってて言ってる? …。 …いじわる。 これ、いじわるになる…? ……なる。 むぅ、なっちゃうのかぁ…。 …。 …私のこと、大人になったとほのかは言うけれど。 ほのかは…ほんの少しだけ、わがままになったね。 ……誰のせい? 私…? …なぎさが、私を甘やかすから。 甘えてもいいって、言ってくれたから…。 それでもまだまだだけどね。 …これ以上、わがままになったら。 嫌いになんて、ならないよ。 大体、ほのかはめちゃくちゃなわがままは言わないし。 …。 …ね、ほのか。 ほのかがわがままを言うのは…私だけ、でしょ? …お父さんにも、お母さんにも。 おばあちゃまにも…。 …。 言わなかった、言えなかった…言ってはいけなかった。 わがままを言ってもいいと、言われた時でさえも。 …うん。 だけど…。 …だけど? ……なぎさに、そう、言われて。 すごく、すごく、嬉しくて…でも、嫌われてしまうのが怖くて。 …。 ……それでも、なぎさは。 …だって、好きだからさ。 甘えて欲しいなぁ…て、思っちゃったんだよ。 …両親にも、祖母にも出来なかったこと。 だけどなぎさ、あなたにだけは…。 ……ほのか。 …。 …キス、しても? ……もぅ、なぎさは。 まだ、話しているのに…。 …。 ………なぎさ。 曰く、尻に敷かれている、らしい。 誰に言われたんだっけ。 …? なぎさ…? ねぇ、ほのか。 なに? 私、ほのかのお尻にだったら敷かれてもいいかなぁ、なんて。 …はい? やっぱり、なんでもなーい。 聞こえてるわよ、なぎさのばか。 ばかでごめんねー。 本当よ、ばか。 二回も言う?言っちゃう? なぎさが悪いんでしょ、ばか。 あ、三回目。 もう、知らない。 …。 …。 うん、こういうとこかも! …は? 私、ほのかには一生、頭が上がらない気がする。 ……。 それでもいいかなー、なんてさ? …ばか。 うん、ばかなの…ほのかのこと、好きすぎてばかになっちゃったの。 ……。 …好き、ほのか。 ………もぅ。 へへ。 …今日のなぎさ、なんか変。 どこら辺が…変? …大人だと思ったら、学生の頃みたいだったり。 なんだか、落ち着きがないわ…。 夢、見たからかも。 …高等部の頃の? うん…高等部の頃のほのかは、今よりもほんの少し幼くて、かわいかった。 ……。 …今は、とっても、きれい。 可愛いけど…やっぱり、きれい。 …なぎさ。 ん…。 ……いつだって、あなたは素敵なひと。 …ありがと。 しょうがない人でもあると気付いたのは…もう少し後のことだったけれど。 はは…すみません。 …でもそんなあなたが、私は好き。 うん…。 それと…私、お尻になんて敷いてない。 て、夢の中でも言われました…。 …。 …もう、誰に言われたのか思い出せないけど。 だけど…それも悪くないって、思っちゃってるの。 ……。 私…どんだけ、ほのかのこと好きなんだろね? …私には、分からないわ。 分からないけど…。 …けど? ………愛されてるって、思うの。 …。 …思い込みじゃ、ないよね? 愛してるよ、ほのか。 …。 …世界の誰よりも、ほのかのこと、愛してる。 ……私も、愛してる。 誰よりも、誰よりも…なぎさ、あなたのことを。 ……。 ……。 ……そろそろ、行かないとね。 カップケーキ、売り切れちゃう…。 …食べられるといいね。 うん…ほのかと一緒に、ね。 うん…なぎさ。 …。 ……さ。 …。 …ぎさ。 ……ん、ぅう。 なぎさ。 ……。 起きて、なぎさ。 ……もう、すこし。 いい加減、勉強しないと。 お泊りまでしたのに…これじゃあ、意味がなくなっちゃうわ。 ………。 なぎさ、なぎさったら。 …。 もう、なぎさ…ッ! …ッ。 起きて、なぎさ! …ほの、か。 なぎ ほのか。 …え。 あいしてる…ほのか。 …! あいしてるよ……ほのか。 …ッ!! ……あいしてる。 な、なぎさ…。 ……。 ……。 …………うん? あれ…? ……わたし、も。 …わたし、いまなんていった? ……え。 えと……えーと………。 …。 ……あい、して、る? …。 あ、あいして、る………て、いっ、た…? …なぎさの、ばか! え……いたいッ。 ばか、ばかぁ…ッ。 ちょっ、じ、じしょはだめ、だめだって、ほのか…ッ。 …て、ぺんけーすもだめッ!じみにいたい、いたいから…ッ。 寝ぼけてる、なぎさが悪いんでしょ…ッ。 寝ぼけてそんなこと、言うなんて…ッ。 ご、ごめん、ごめ、ってほのかぁ…ッ それから、早く服を着て…ッ。 いたっ、ふ、ふく…ッ? そうよ…ッ。 えと、えと……て、あぁぁッ。 そ、そうだった…ッ!! なぎさ…っ。 き、きる、きるから…ッ。 …て、いったぁッ。 ばか…ッ。 …。 …。 ……あの、ほのか。 …。 ……ごめん、ね? …どうして謝ってるの。 理由、ちゃんと分かっているの…? …。 …。 ……起きてる時に、ちゃんと、言ってないから。 言えて、ないから…。 …。 ほの わたしこそ、ごめんなさい。 …へ。 あんなに怒ってしまって…。 …うん、ちょっとびっくりした。 痛かった…よね。 辞書で、叩いてしまって…。 う、うん…少し、痛かったかな。 …ごめんなさい、なぎさ。 い、いや、こちらこそ…ごめん。 …。 …。 …寝ぼけながらじゃ、なくて。 …うん。 ちゃんと…起きている、時に。 ほのか…。 ……勉強、しないと。 ほのか。 …数学、もう少しちゃんとやっておかないと。 なぎさ、夕方には帰っちゃうんでしょ…? うん…明日は、学校だし。 流石に二晩お世話になるわけには…。 …別に、いいのに。 …。 なぎささえ、よければ……うちは、おばあちゃまとふたりだから。 嬉しい…けど、帰らなきゃ。 …そう、だよね。 …。 …。 …卒業したら、一緒に暮らそう。 帰るとこ、一緒にして……その、毎日、一緒に…。 ……その為に、頑張らないと。 今、出来る事を…ちゃんと、やらないと。 …。 ……。 …あ。 …。 ほ、ほのか…あの。 …? なぎさ…? 首んとこ…。 …首? ……あかく、なってる。 あかく…? ……あ。 あ、あと、が…ね? …ッ。 あ、あ…ッ。 ……ついちゃった、みたい。 …ッ! ご、ごめん、みえるとこに、わ、わたし、そんなつもりじゃ、いや、そんなつもりだったのかも、む、むちゅうだったから、その、あの なぎさぁ…ッ!! は、はいぃぃッ。 お、おねがいだから、それ以上、言わないで…! え、え? 言わないで…ッ。 ほ、ほのか…? ……。 ほ、ほのか、かおが真っ赤だけど、その、だいじょうぶ…? …言わないでって、言ってるのに! で、でも、 なぎさ…ッ。 は、はい、ごめんなさい…ッ。 ……。 ……。 ……。 ………あの、ね。 …あまり、いじめないで。 え……。 ………はずかしい、の。 は、はずかし…。 ……。 …っ! ご、ごめん、そ、そうだよね…うん、そうだ…うん。 ……、だったの。 ほ、ほの…。 …はじめて、だったの。 …!! わ、わたしも…ッ。 …もぅ、そうじゃなくてッ。 え、えぇ…。 ………いっぱい、きんちょうしたの。 う、うん……うん…。 …しんぞうが、はれつしちゃうんじゃないかって、おもったの。 さわられているあいだは、ずっと…このまま、しんじゃうんじゃないかって…。 ほ、ほのかが…? ほのか、でも…? …わたしだって。 わたし、だって……。 あ、ああ。 ……。 …わたし、がんばるから。 …え。 つ、つぎは、もっと、じょうずに、できるように…! ……なぎさ。 だ、だから…ッ! …ばか。 そんなこと、いってるわけじゃないのに…。 ……あー、もう頭がいっぱーーい。 もう、入んなーーーい…。 お疲れさま、なぎさ。 うん、疲れたぁ。 頭ん中、数字ばっかだよ〜〜。 ふふ、本当にお疲れさま。 ありがと、ほのか。 今回もなんとかなりそう、かも。 かも、じゃだめでしょ? ですよね…。 家に帰ってからでも、分からないところがあったらいつでも聞いてね。 じゃあ、その時は電話してもいい? もちろん。 じゃ、甘えちゃお。 な〜〜んて、いつも甘えてるけど。 ふふ、なぎさったら。 …。 …? なぎさ…? …。 …あ。 ……また、さわりたい。 …! …また、いつか。 いつか…で、いいの? …。 ……いいの? …よく、ない。 ……。 ……。 ……テストが、終わったら。 …おわった、ら? ………。 ……さわっても、いい、ですか。 …どうして敬語なの。 だっ、て…。 ……なぎさ。 う、うん…。 ………約束。 やくそく…。 ……わかって。 …。 …。 …うん、約束。 ……。 …? ほのか…? …そろそろ、帰る時間だね。 あぁ……そうだねぇ。 そろそろ、帰らなきゃ…。 …。 ……さびしい? …明日になればまた、逢えるから。 それに、約束もしたから…。 …。 ……なぎさ。 …わたしは、さびしいな。 …。 …ねぇ、ほのか。 さびしいよ…。 …。 ……さびしい時はさ、さびしいって。 言っても、いいんだよ……ううん、わたしには言って欲しいよ。 ……言ったら。 言って、しまったら…。 …。 …止まらなくなってしまうから。 溢れて、溢れ出して……際限がなくなってしまうから。 …それの、どこが悪いの? …。 ……どこも悪いとこなんて、ないよ。 なぎさ…。 …わたし、決めたの。 わたしはほのかに甘えてる、いっぱい、いっぱい、甘えてる…。 …。 …だから、わたしもほのかを甘やかそうって。 いっぱい、いっぱい、甘えてもらえるようになろうって…決めたの。 ……もう、甘えてるのに。 もっと、もっとだよ…ほのか。 ……。 …ね、さびしい? ………。 …。 ……さびしい。 あなたに、そばにいてほしい…ずっと、ずっと、いてほしい…。 …ずっと、いよう。 なぎさ…。 …今は、帰らないといけないけど。 ……。 ね、ほのか…わたし、夢を見たんだ。 …ゆめ? おとなになった夢…。 おとな…。 …おとなのわたしね、ほのかと暮らしてた。 アパートで…一緒に。 …っ。 ほのかは今よりもおとなになって…すっごい、きれいになってた。 もちろん、今もきれいだけど…。 …なぎさは? わたしは…どうだろ。 あんまり、変わってないかも…。 きっと、もっと素敵になってる…。 …。 …今だって、こんなに素敵なんだもの。 ほのか……。 …。 …わたし、絶対に叶えたい。 ほのかと…ほのかと一生、一緒にいたいから。 …わたしも、叶えたい。 なぎさ、あなたとずっと一緒に…ん。 ……。 なぎ、さ…。 ………あい、してる。 …。 …あいしてる、ほのか。 なぎさ………わたし、も。 …どこにも、いかないで。 ずっと、ずっと、わたしの隣にいてね…。 ……どこにも、いかない。 どこにも、いけない…あなたが隣にいてくれなければ、わたしはどこにも…。 じゃあ、ほのか。 また、明日ね。 うん…また明日、なぎさ。 おばあちゃんにもよろしくね。 うん、伝えとく。 それから、それから…ごはん、おいしかった。 ご馳走さまでした。 うん、お粗末さまでした。 …。 …。 …え、と。 …うん。 本当に、ありがとう。 それから…。 …ふふ。 …? えと、なに…? なんか、可笑しかった…? ううん…同じなんだなぁって。 おなじ…? …えい。 え。 ……。 ほ、ほのか…? …わたしね、なぎさの体温が好き。 た、たいおん…? …うん、体温。 ……。 それから…なぎさの、においも。 大好き…。 …ほのか。 ……もうすこしだけ、このままでいてもいい? うん…いいよ。 …ありがとう、なぎさ。 どういたしまして…ほのか。 …。 ……わたしは、ほのかの体温が好き。 においも…好き。 …なぎさ。 ……。 ………なぎ、 …。 ……。 …ほのか。 ……。 ………また、明日。 うん……また、明日。 だけど、もうすこしだけ…。 …このまま、で。 おはよ、ほのか!! おはよう、なぎさ。 へへ。 …なに? 一晩ぶりだなーって! ふふ…なぎさったら。 でもそーじゃない? そうだけど。 でもってね、早く朝にならないかなぁって思ってたの。 ほのかに早く逢いたくて! ちゃんとテスト勉強はした? もち、したわよ。 その証拠に電話もしたでしょ? それって、証拠と言えるのかしら。 言えるって。 そりゃ、ほのかの声が聞きたいってのもあったけど! …もぅ、なぎさは。 おやすみって言えて、嬉しかった。 …。 ほのか。 …あのね、なぎさ。 うん、なに。 …私もなぎさに早く逢いたかった。 だから…早く、朝になって欲しかった。 …。 …目を瞑って、あなたのことを考えて。 あなたの顔を思い浮かべながら…早く、朝になりますようにって。 …わたしもほのかのこと考えてた。 そしたら、いつの間にか寝ちゃった。 …。 ほのかの夢が見られたら最高!だったんだけど! おとなになった夢の続きとか!けど、そんなうまくはいかないよねー。 なーんも、見なかったよ。 …夢でも逢えたら、きっと、とてもしあわせな気持ちになれるのかもね。 なれるって! おとなになった夢、とってもしあわせな感じだったし! …わたしもそんな夢なら見たいな。 おとなになったなぎさ、見てみたい…。 だけどさ、そのうち見られるわよ。 …そのうち? だって、一緒にいるんだから。 …。 で、しょ? …うん、そうだね。 わたしたちはずっと一緒、だものね。 そう! だってふたりはプリキュア、だから! おとなになっても、おばあちゃんになってもずっと、一緒! …。 …じゃない? …もぅ、なぎさったら。 …。 …。 へへ。 ふふ。 ほのか…。 …ん。 ……じゃ、行こっか。 もぅ…外なのに。 …ほんとはおでこじゃなくて、ここにしたかったんだけど。 …。 ほの… ……。 ……外、なんだけど。 …責任はなぎさに取ってもらうから。 …。 …。 …いくらでも、取っちゃう。 だからって、もうだめよ? …えぇ。 そろそろ、行かないとね? ありえない…。 …ふふ。 むー。 …なぎさ? なに。 …行きましょ? …。 …。 …ほのかの手、今日もひんやりしてて気持ちいい。 なぎさの手は今日もあったかいね。 …。 …。 よし、今日もなるべく頑張りますかー! うん、なぎさ。 |