-We Form in Crystals(前世・少年期・R-18) ……メル。 きゃっ。 へへ。 もぅ……ユゥったら。 だって、背中がきれいだったから。 ……何度も、見てるじゃない。 何度見ても、きれいなんだ。 ……そんなこと、言って。 ……。 あ……。 ……きれいだ、メル。 ユゥ……だめ。 すこしだけ……。 ほんとうに、だめ。 ……。 ……。 ……だめ? だめ。 ……どうして? ずっと、こんなことをしてるわけにはいかないから。 ふぅん。 ……あっ。 からだは……欲しい、みたいだけど。 ユゥ……! ……はぁい。 もう……! ……ずっとこんなことしてる日が、一日だけでもいいから、欲しいな。 何度も。 ……。 ……ゆうべ、何度もしたじゃない。 した、けど……まだ、足りないんだ。 ん、ユゥ……だか、ら。 ……ねぇ、もう一度だけ。 そんなこと、いって。 どうしても、だめ? ……だめ。 そっか……わかった。 ……ユゥも起きて、着替えて。 ……。 ユゥ。 うん……メルが、着替えてから、ね。 ……。 ねぇ、メル。 ……なに。 胸に下着、やっぱりするの? ……する、けど。 勿体ないな……。 ……だって、しょうがないじゃない。 なんで、しょうがないの? ……ユゥだって、さらし、してるでしょう? あたしの場合は、動くのに邪魔だから。 わ、私だって、邪魔なの。 そっか。 けどやっぱり、勿体ないな。 ……。 メル? ……形が、悪くなっちゃうから。 形? 悪く? 何が? ……。 メル……? ……ユゥは、きれいなものが好きでしょう? メルが一番、好きだよ。 だって、とってもきれいだから。 ……。 ん? ……しない、と。 うん? ……むねのかたちが、わるくなっちゃうの。 えと……どういうこと? と、とにかく、これからはずっとするって決めたから。 ふぅん……。 ……ひゃんっ。 かわいい。 ユ、ユゥ……っ。 ……ねぇ、メル? や、だめ……。 ……下着をつけようとしているメル、すごくきれいなんだ。 ユ、ゥ……。 後姿がね、たまらないんだ……少し、俯いて、背を反って、手を、後ろに回して……その、流れが……本当、に。 ……あ、ん……。 こういうの、なんて言うんだっけ……えと、なまめか、しい? ユゥ……おねがい、だから。 ねぇ……胸が大きくなったから、それをつけることにしたの? ……、……。 ね……どうして、声を抑えようとするの。 聞かせてよ、メル……ゆうべ、みたいに。 ……っあ! かたく、なってる……。 やめ、て……。 ……舐めたいな。 だ、め……。 ……じゃあ、このまま後ろから。 やめて、ユゥ……も、ぅ。 ねぇ、メル……メルは、本当にきれいだね。 背中、以外も……。 は、ぁ……。 首から始まって、肩、背中、腰……。 ……ユ、ゥ。 お尻……太腿……そして。 ……ほんとう、に。 然う……いつだって、最後はここに辿り着くんだ……。 ……あぁ。 ね……はんのう、してるよ……。 ……ば、か。 ね、いいよね……なかに、はいっても。 だ、め……。 ……。 ……あぁぁぁ。 ん……あつい、ね。 ユゥ……ユゥ……。 からみ、ついて……くるよ……。 ……うごかない、で。 あぁ……かわいい……かわいいなぁ……。 おねが、い……うごかない、で。 このままが、いい……? ……ぬい、て。 おわらないほうが、いい……? つながったままが、いいの……? ……もぅ、だめ。 ねぇ、メル……え。 …………。 ……メル? ……、か。 あ。 ……ユゥの、ばかぁ。 で、でも、いれただけなのに……。 ……ぬいて。 え……? おねがい、ぬいて……。 あ、うん……。 ……ぁ。 う、わ……。 ……。 えと、メル……? ……ばか。 ご、ごめん……。 ……。 お、おこってる、よね……。 ……ユゥは、なにがすきなの。 え? ……わたしのこと? それとも……はだをかさねる、こと? え……え? したい、だけなの? ち、違うよ。 ……わからないわ。 メル、あたしはメルが好きだから、メルが欲しくなるんだ。 知ってる。 でも、時々、不安になるの。 な、なんで……。 ……そんなに。 う、うん。 がまんできなくなるくらい、わたしのことが、すきなの? す、好き それとも、こういうことをさせてくれるから、わたしのことが、すきなの? ……え。 ユゥは、こういうことが、したいだけなんじゃないの? メ、メルのことが好きだから、こういうことがしたいんだよ。 本当は、誰だって良いんじゃないの? そんなわけ、 例えば、 メルだから、したいんだよ。 ……先生のこと、きれいって言ってたわよね。 それは、言った、けど。 だったら、先生と ない、それは、ない。絶対に、ない。 ……。 メ、ル……? ……先生の方が、なまめかしいと思うわ。 は……? ……わたしなんて、こどもだし。 あの、メル……? 何を、言っているの……? ……。 あ、ええと……ご、ごめんね? ……ねぇ、ユゥ。 な、なんだい……? ……わたしのこと、すき? 好きだよ。 ……こういうことが、できるから? 違うよ。 ……。 好きだから……こういうことが、したくなるんだよ。 させてくれるからじゃ、ない、よ……。 ……。 わ……。 ……すこし、は。 う、ん……。 がまんすることを、おぼえて。 が、がまん……。 わたしのことが、すきなら。 ……がんば、る。 ……。 あ、ぅ……。 ……ユゥ。 メ、ル……。 ……がまん、して。 いや、でも……ぅ。 ……がんばって? そう、いわれて、も……。 ……。 ……ッ! ……だめよ、ユゥ。 み、み……。 ……。 なん、で……ぅ、……ぁ。 ……。 ……むり、だ……むり、だ……よ……メル……。 なにが、むりなの……? がまん、できない……よ……。 ……してくれなきゃ、いや。 ぅ……。 してくれなきゃ……いやよ、ユゥ。 あ、あぁ……うぅぅ……。 ……いいこ。 メ、メル……ね、ねぇ……いつ、まで……。 ……わたしがいいって、いうまで。 い、いつ、いって……あっ。 ……。 あ、や……や、だ……。 ……ここが、いや? う、うん……。 ……そう。 メ……ひゃっ。 ……ここが、よわいのね。 メ、ル、だめ、そこ、だめ……くすぐった、い……。 くすぐったい……? くすぐったい、だけ……? な、に……。 ……わたしも、おなじなの。 な、なに、が……。 私だって、ユゥが欲しいわ。 ……ぇ。 ねぇ、良いでしょう? い、いい、けど、こ、これじゃ……。 ううん、これで、いいの。 ……ぁ。 これで、いいのよ……ユゥ。 や、メ……ん。 ……。 …………あ、ぅ。 かわいいわ……。 ……メ、ル。 ねぇ、いいでしょう……? ……。 ……そんなに、こわがらないで。 は……ぁ……。 ……ユゥが、わたしに、してくれること。 メ……ル……。 ……ユゥに、して、あげる。 ……。 ……あの、ユゥ? ……。 だいじょうぶ……? ……あまり。 そう……そう、よね。 ……。 その……痛かった? ……ううん。 気持ち、悪かった……? ……へいき。 もう、されたくない……? ……わかんない。 いやだったら……もう、しないわ。 ……いやじゃ、ない。 ……。 ねぇ、メル……。 ……しない、から。 メルは、したいと、おもっていたの……? あたしが、メルに、していたことを、メルも、あたしに……。 ……うん。 え、えと、いつから……もしかして、ずっと、まえから? ……初めて、然う、思ったのは。 うん……。 ……ここ最近、なの。 え。 ……私は、ユゥに抱かれるのが、好きだから。 抱かれて、いると……とても、気持ちが、良いから。 そんなこと、考えたことも、なかったの……。 う、うん……。 ……だけどユゥも、私と同じ形をしているって。 おなじ、かたち……? ……然う、同じ形。 ……。 然う、気が付いたら……して、みたくなって。 ……そう、なんだ。 もしも、私が抱いたら……ユゥは、どんな反応をして呉れるのか、気になって。 私は、抱かれている時……自分が、どんな顔をしているか……。 ……すごく、かわいいよ。 ……。 すごく、かわいいんだ……。 ……ユゥも、かわいかったわ。 あ、あたしは……。 本当に、かわいかった……いつもは、とてもかっこいいのに……ううん、ユゥはかわいいわ……だけど、それとは違った、かわいさで……。 メル、 怒っているような、泣き出してしまいそうな……それから、ひどく切なそうで……最後には涙を、こぼして……あんなユゥ、見たこと、ない……。 ……メル、もう、その辺で。 大きなユゥが、小さく、見えて……ああ、このひとも、私と同じなのかも知れないって……然う、思ったら。 守って、あげたいって……。 ……。 守りたいと言う気持ちが、なかったわけじゃない……なかったわけじゃないのに、然う、思ってしまったの。 強く……強く……。 ……。 ね……ユゥが、私を求めて呉れる気持ち、少しだけ分かったような気がするの。 だから……だからね、出来れば、またしたいって。 然う、思って、いるの……。 メル……。 ねぇ、だめかしら……? ……。 ユゥ……。 ……だめ、 ……。 じゃ、ない、よ……。 ……ほんとう? メルが、そう、のぞむのなら……だめなんて、いわないし……いえない、よ。 あたしが、メルを抱きたいって思う気持ちを、止められないように……メルだって、きっと。 ……ありがとう、ユゥ。 ぁ。 ……好きよ、ユゥ。 大好きよ……。 ……う、ん。 ……。 メ、ル……。 ……きれい。 あ、あたしは、きれいなんかじゃ……。 ……ここの、筋肉の形が好き。 き、きんにく……。 僧帽筋……胸鎖乳突筋……三角筋……上腕三頭筋……ちぶさの下にある、大胸筋……前鋸筋……腹直筋……外腹斜筋……広背筋……大臀筋も……。 ど、どこの、きんにくなの……。 躰の、線も……浮いた、筋も……。 メ、メル……? 鎖骨……肩甲骨……胸骨……上腕骨……橈骨……大腿骨……膝蓋骨……足根骨……骨の形も……あぁ、どれも、すてきだわ……。 ほ、ほねの、かたち……? ユゥを、かたちづけているもの、みんな好き……しなやかで、とても、美しくて……どれも、私には、ないもの……。 え、えと、く、くすぐったい、よ……。 けれど……こんなに、鍛えられているのに。 う、ぁ……。 それでも……柔らかいところは、あるのね。 ……ま、た。 はぁ……。 ……ね、ぇ。 なに……。 ……したい、の。 いい……? ……あ、……ま、まっ、て。 待てないと、言ったら……。 まって、メル……まって。 ねぇ、ユゥ……。 ……や。 いいでしょう……? ……。 ユゥ……。 ねぇ……おきなくて、いいの。 まだ、たりないの……。 ……ずっと、こうしているわけにはいかないって。 だから……あと、一度だけ。 ……。 ねぇ、だめ……? ……あぁ。 ユゥ……。 ……あたしも、メルに、してるんだ。 ……? なぁに……? いま、メルに……されている、こと。 あたし、いつも、メルに……。 ……ふふ。 ……。 そんなかお、しないで……。 ……あた、し。 いや……? ……。 ね……いや? ……いや ……。 ……じゃ、ない。 よかった……。 ……は、ぁ。 ふふ……ふふ……。 ……。 ん……ユゥ……? ……きれい、だね。 え……? ……メルの、ひとみの、いろ。 ひとみの、いろ……? いつも、きれいだけど……そのいろは、はじめてみたよ。 色……。 みたことがない、いろ……ひとみのおくで、なにかが、もえているような……そんな、いろ……。 ……。 ね……あたしにも、そんなとき、ある? そんないろの、ひとみをしているとき、ある……? ……ねぇ、ユゥ。 なにかが、もえている、ような……。 ……同じかどうかは、分からないけれど。 う、ん……。 あなたがわたしをもとめているときの、ひとみの、いろ……。 とても、やさしくて、たのしそうで、たまに、いじわるで……そのときのいろは、きらきらしているの。 ……。 けれど、たまに……ひどく、どうもうないろを、していて。 どう、もう……。 ……まるで、獲物を見ているような、そんな色。 そう、なんだ……。 ……そう、瞳の奥で、なにかが燃えているような、そんな色。 あぁ……おなじ、だ……。 でもね、その時のユゥは……熱に、酷く、浮かされていて、余裕が、なくて。 溺れているようにも、藻掻いているようにも、見えて……。 ……。 ……いとおしく、おもえるの。 なに、が……。 ……。 もえ、て……ん、……いるの、かな……。 ……かつて、もっていたもの。 あ……っあ。 ……いまの、わたしたちが、なくして、しまったもの。 なく、して……。 ……それでも、のこったもの。 な、に……。 それは……こころのおくそこから、わきあがってくる、もの……。 わからない、よ……っ。 なくすことが、できなかったもの……。 ……あ、あぁぁぁ……っ……ぁ……。 ユゥの、なか……あつい……。 ……いわない、で。 かわいい……。 ……ん……んぅ……。 もっと……なか、に。 メル……メ、ル……。 ……すきよ、ユゥ……だいすき、なの……。 あ、あたし、も……あ、……す、き……、………だい、すき……。 ……このまま、ひとつに。 ね、ぇ……ねぇ……。 ……なれ、たら。 いつ、か……いつか、ね……。 なっ、て……あなた、の……、を…………みた、い……。 いしを、おくる、よ……。 ……ぇ? メルのひとみ、と、おなじ、いろの……おくり、たい。 なに、を……いって、いるの……。 あ、あたしにも、わからな、い……わから、ない、けど……そう、したいって……こころの、おく、で……。 ……いし。 いしなんて、いらない、よね……ききたくも、ない、よね……けど、なんで、かな……そう、したい、ん……。 ……ほしい。 い、いら、ない……? ううん……ほしい……ほしいわ、ユゥ……。 ん、わかっ、た……やく、そく。 ……う、ん。 はぁ……は、ぁ……ん……ん……。 ……きもち、いい? わ、わから、ない……け、ど……。 ……。 ……こわく、は、ない……よ。 よかっ、た……。 ……メル。 ユゥ……。 ……メル……メル……。 ユゥ……ユゥ……。 ……あい、して……る、よ……。 ずっ、と……あなた、だけを……。 ……あ。 あいして、いる、わ……ユゥ……。 -祝愿(パラレル・R-18) あ。 ……あ? ……。 まことさん? どうかしましたか? あ、いや、なんでもないよ。 何か気になるものでも、ありましたか? や、気になるって程でもない、かな……。 ……。 あ、亜美さん? ……向こうには、花街がありますね。 は……。 気になる男性でも居ましたか? それとも、女性? 何を言ってるんだ、亜美さん。 居るわけ、ないだろう? ですが、花街には美しい方が多いと聞いたことがありますし、目を奪われることはさして珍しいことではないとも…… ……亜美さんだけだ。 え? あたしが見ているのは、いつだって、亜美さんだけだ。 他の、誰かなんて。 ……あ。 行こう、本当に何でもないんだ。 ま、待って下さい、まことさ ……。 ……つ。 一気に抜ける。 手、離さないで。 は、はい……。 ……。 ……あ、あの。 ……。 まことさん……。 ……何。 気を悪くさせてしまったのなら、 二度と言わないで欲しい。 ……。 亜美さん以外のひとに目を奪われることなんか、一生、ない。 ……ごめん、なさい。 ……。 ……あっ。 ……! ……。 ……大丈夫かい、亜美さん。 は、い……。 ……ごめん、何も考えずに歩いてしまった。 いえ、私がついていけなかったから、 違う、あたしが悪い。 感情のままに、歩いてしまったから。 ……。 兎に角、早く此処を抜けよう。 ……はい。 ……。 ……。 ……亜美さん。 ……ごめんなさい、まことさん。 もう、良いよ。 分かって呉れたなら、それで良い。 ……。 それより……何か、食べようか。 折角、此処まで来たのだから……ね。 ……。 あー……ええ、と。 ……私、市にはひとりで行ってきます。 は? ですので、まことさんは食事を ひとりで行かせるわけ、ないだろう。 ひとりでも、大丈夫ですから。 あたしも行く。 いえ、まことさんは 行くと言っているだろう! ……っ。 兎に角、行こう。 こんなことで言い合っていたって、時間を無駄にするだけだ。 ……。 亜美さん。 ……ごめんなさい。 いや、だから……。 ……。 ……はぁ。 ……。 亜美さん、先ずはごはんを食べよう。 草市に行くのは、それからでも遅くはないだろう? ……それでは、希少な薬草がなくなってしまうかも知れません。 分かった。 じゃあ、先に市に行こう。 ……。 ……そんなにひとりで行きたいのかい。 ……。 あたしは、必要ないんだね。 ち、違います、然ういうわけでは、 分かった、じゃああたしは行かないよ。 ぁ……。 行っておいで……あたしは、此処で待ってるから。 ……まこと、さん。 ほら、早く……あたしの気が変わってしまう、前に。 ……、きて。 なに……。 ……ついて、きて。 ……。 ごめんなさい、まことさん……あ。 あぁ、良かった。 え、あ……。 やっぱり、ひとりで行かせるなんてこと、出来ない。 待ってるだけなんて、無理だよ。 ……。 あたしは……心配性、なんだ。 ……知って、ます。 こんなにひとが多いところで。 若しも、変な男にでも声を掛けられて、勾引かされてしまったら、 それは、考え過ぎだと 亜美さんは、自分の良さを、まるっきり、分かっていない。 で、ですが、 ですが、も、へちまも、ない。 へ、へちま? これまでは大丈夫だったかも知れない、だけど、これからは然うじゃないかも知れない。 一寸先は闇とも言うだろう? 先のことなんか、誰にも分からないんだ。 でも私、もう若くもないで 然ういう問題じゃ、ない。 は、はぁ……。 勾引かされて売られた女を、実際、この目で見てきた。 その中には亜美さんのよう、な……。 ……。 ……。 ……? まことさ、きゃっ。 ……し。 ん。 ……。 ……あ、の。 矢張り、柄が悪い連中が彷徨いているな。 女衒、或いは人攫いかも知れない。 ……こんな人通りの多い、場所で。 だからこそ、だよ。 女ひとり、居なくなったところで騒ぐ奴なんか居ない。 ……でも、然うは 心配、なんだ。 ……。 此処は花街がある……と言うことは当然、然う言った輩の出入りもある。 何が起こっても、おかしくはない。 ……それで、いつまで、こうしていれば。 あいつらが、行くまで。 ……。 ……よし、行ったな。 はぁ……。 亜美さん。 は、はい。 あたしの手を離してはいけないよ。 決して。 分かり、ました。 なんだったら、躰を寄せて そ、それは、流石にやりすぎだと、思います。 ……用心するに、越したことはないよ。 い、いざとなったら、動きづらいですし。 ね? ……。 離れないように、しますから。 ……分かった。 ……。 では行こうか、亜美さん。 はい……まことさん。 草市へは、この路を…… ……えと、まことさん。 なんだい。 其方では……ない、です。 ……。 此方、です……。 ……うん、然うだった。 ……。 よし、改めて、行こうか。 ……はい、行きましょう。 うん。 ……。 手、強いかい? ……いいえ、大丈夫です。 さっきは、その、痛かったろう……ごめんよ。 ……もう、大丈夫ですから。 もう、しない。 しない、から。 ……ん。 ……。 ……安心します。 うん? まことさんと……手を、繋いでいると。 ……然う、か。 変、ですよね……。 どうして? ……もう、こどもではないのに。 だったら、あたしも変だよ。 ……? 亜美さんと手を繋いでいると、安心するんだ。 ね、変だろう? ……。 ……良いじゃないか、安心したって。 そう、ですね……。 ……それに、今は。 ……。 ところで……薬草は、どれくらい買うつもりなんだい? 必要としている分だけならば、それほど多くはないのですが……最終的にどれくらいになるかは、見てみないと分かりません。 まぁ、どれだけ買うにしても、持つのはあたしに任せて呉れれば良いよ。 ……ありがとうございます、まことさん。 ん。 ……。 ……ん? あの……強い、ですか? いいや……全然。 ……良かった。 亜美さん。 ……はい、なんでしょう。 離さないで。 ……。 ずっと。 ……はい。 ……。 ……ねぇ、まことさん。 話すよ、ちゃんと。 後で。 ……。 どう考えても、さっきはあたしの態度が悪過ぎた。 ……それは、私が軽はずみな発言をしてしまったから。 ……。 まことさんが……その、花街のひとたちに見惚れること、なんて……。 ねぇ、亜美さんさ。 ……。 若しもあの時、あたしが……芸妓や娼妓に、目を奪われていたとしたら。 亜美さんは、どう…… ……。 ……えぇ、と。 …………。 か、買い終わったら、ごはん、食べよう。 何が、良いかな……。 ……。 あー、良い湯だった。 あたし達以外、誰も居なかったからゆっくり出来たし。 ……然うですね。 部屋も、布団も悪くない。 うん、良い宿が取れて良かった。 ……。 必要な薬草も買えて良かったね。 希少なのも、あったんだろ? ……ええ、まぁ。 明日は早朝に発とうか。 それとも、少しゆっくり目にしようか。 ……私は、どちらでも。 今日はもう、休もうか。 疲れたろう? ……。 亜美さん。 ……はい。 顔が少し赤いようだけれど……若しかして、逆上せちゃったかい? あ、ん……。 ……え。 ……。 え、えと……。 ……寄せても、良いですか。 え、なに……? ……躰を、寄せても。 あ、あぁ……うん、勿論。 ……。 亜美、さん……? ……あ、の。 どう、した……? ……て、言って。 ごめん、よく聞こえない。 ……おいでって、言って。 ……。 ……だめ、ですか。 おいで……亜美さん。 ……ん。 と……。 ……。 ……どうしたんだい? どう、して……? ……外で、こんなに甘えて呉れるなんて。 いけませんか……。 ……いや、そんなことはないよ。 私、だって……こんな日ぐらい、あります……。 ……然う、だね。 ぁ……。 ……からだ、あついね。 湯浴みを、したから……。 ……それだけ、かい? ん……、あ……。 ね……本当に、それだけ? それ、だけ……っあ。 ……じゃ、ないだろう? あ、と……。 ……たくさん、つけてあげるよ。 ん、……ん……。 ね……欲しい、だろう? ……て。 どこに、つけよか……見える所に、咲かしてしまおか……首……肩……胸……お腹に、背中……太腿……いっそのこと、至る所に、散らしてしまおか……。 ……まっ、て。 と、言われて……待てると、でも……? 誘われて……あっと言う間に、酔わされて……今直ぐ、溺れてしまいたい、のに……。 まこと、さ……ん。 ……ふさいで、しまおうか。 ……ん、……ふ、……ん、ぅ。 ……あぁ……ひどく、あまいな。 や……だめ……。 ……さそって、おいて? あ、ぁ、……ぁぁ……。 ん、いいこえ……。 ……せ、て。 なみだ、も……どんな、かんみ、よりも……。 ……、せて。 ん……? もう、ほしいの……? ち、が…… ……いいよ。 よるは、これからだしね……。 あ……、や、ぁ……あ、ぁぁ。 ……かわいい、な。 まこ、と……さ、……。 ……ゆさぶって、ほしい? ……、……。 こし、ゆれてるね……。 や、だ……いわない、で。 ……ほんとうのこと、だよ。 い、や……ぁ……。 まだ、はじめたばかりだと、いうのに……ずいぶんと、かんじてくれているんだね……。 ちが……っ、ぁ、あぁ……っ。 そんなに、ほしかったのかい……? や……だ、め……つよ、……で、……あ、……あぁ。 ね……あしたのしゅったつは、ゆっくりめにしようか……ううん、しよう……ねぇ、いいだろ……。 ……まこ、と……さ……。 ん……なんだい? もっと、かい……? ……す、き。 ……。 すき……すき……。 ……あたしも、すきだよ。 だいすきだ、あみさん……。 わたし、だけ……を、みて……。 ……あみさんしか、みえない。 は、……あっ、……も、ぅ。 ……いきそう? ……、 いいよ……。 ……っぁ。 あぁ……。 ……ぁ、……ぁぁ。 きもち、いいな……ほんと、たまらない……。 ……まこと……さん……。 このまま……つづけるよ……。 だから……ぬかないで、いいだろ……? あ……だ、め……。 これだけで、おわりなんて……いわない、で。 ま、だ……ん。 ……あみさんだって……たりない、だろ……? は、ぁ……。 つぎは、もっと……。 ……おねが、い。 ん……なに? ……おねがい、まことさん。 おねがい……? ……きい、て。 いいけど……もうおしまい、は、なしだよ……。 ……きか、せて。 ん、なにを……? ……はなし、を。 はなし……? ……ひるま、の。 ……。 きか、せて……。 ……いまは、ないとおもうな。 あぁ、ん……。 ……おわったら、に、してよ。 ねむって、しまう、から……。 ……そしたら、あしたにすればいい。 まこ、んん。 …………すきだよ、……だいすきだ。 ……あ、……あぁ。 ……亜美さん。 ……。 亜美さん……朝、だよ。 ……ん。 未だ少し、早いけれど……湯浴み、したいかなって。 ……い。 うん? ……いい。 良いのかい……? おきる、まで……こうして、たい。 ん……分かった。 けど、気が変わったらいつでも言って……ね? ……。 ふぁ……。 ……はな、し。 ……うん? はなし……やっぱり、できなかった。 あ、あぁ……えと、ごめんね。 ……。 今から、しようか……? 決して、面白い話ではないけれど……。 ……きかせて。 ん……分かった。 ……。 昔……夜を共にした、女の子の話なんだけど。 ……。 と、言っても……眠る前に少し話をしただけで、寝る時は別々だった。 一緒に寝るつもりなんか、最初からなかったから。 ……防人だった頃の話、ですよね。 うん……。 ……。 たまに、だけどね……然ういう夜が、あったんだよ。 最後の夜になるかも知れないからって、順番に宛てがわれる。 と言っても、あたしには必要ないと予め言っておいたから、回ってくることなんてなかったんだけど。 ……そのひと、とは。 少し、話しただけ。 本当に話すだけで良いのかって、何度も聞かれたよ……仮令あたしが女だとしても、相手をするって。 男に来られても迷惑だけれど、女でも面倒だなってその時は思ったよ。 ……男性が、来ることも? あったよ。男が良いって奴も、中には居たからね。 ま、男の慰み者はあまり居なかったけれど。男はほぼ、戦場行きだから。 ……まことさんには。 一度もない。 言ったろう? あたしには必要ないと予め言っておいたと。 ……然う、でしたね。 でさ、その子をあたしに回したのは隊長だったんだ。 隊長さんが……? なんでって、思ったよ。 要らないって言っておいたのに、なんで回すんだってさ。 ……何故、隊長さんはまことさんに。 あたし、だから。 ……。 あたしだから、回したのだと。 あたしなら、手を出さない……然う、思ったからだと。 ……何か、特別な理由があったのでしょうか。 然うしなければならない、理由が……。 その女の子は……有体に言えば、人気があったらしくてね。 毎夜、誰かの相手をして……させられて、疲れ切っていたらしい。 だから、休ませる為に……。 いや、そんな生半可な理由で休ませて呉れる程、彼処は甘い場所ではないよ。 ましてや、売られてきた女なんかに……ね。 売ら、れて……。 ……特別な理由と言えば、然うなるのだろうか。 ……。 先がもう、長くなかった。 ……え。 子を、何度も流して……それでもう、躰が限界だった。 それなのに、どうして……ちゃんと休ませてあげない、と。 言ったろう……そういうところ、だからだよ。 医生は……。 ……そんな女達を診て呉れるのは、藪しか居ない。 亜美さんのような、卵も、居なかったしね……。 ……。 ほとんどの女は、治ることのない病に侵されて死んだ。 病になれば、務めを果たさなくても良いとされていたけれど……然うでも、なかったな。 どうせ明日には死ぬ、ならば、ほんの少しでも良い思いをして何が悪い。 そんなことを言うような奴らの相手をさせられて……さ。 あぁ、心中した奴も居たかな。女にその意思があったのか、終ぞ、知ることはなかったが。 ……。 その子は病でなかった分、酷使されたのだろう……躰は、ぼろぼろだった。 未だ十五、六だと言うのに……目は、窪んで……肌も、とても十五、六には……。 ……隊長さん、は。 最後ぐらい、休ませてあげたかった、らしい。 最後……。 ……最期は、茣蓙の上に転がされていたらしい。 その姿は、まるで、ぼろ雑巾のようだったと。 ……。 あたしが、最後の筈だったんだ……それなのに、半ば浚われていくような形で。 ……。 その子は……人攫いに勾引かされて、売られたんだ。 それなりに良い家の娘で、顔立ちも気立ても良く、良い縁談も進んでいたらしい。 勾引かされていなければ、売られてさえ、いなければ……しあわせな道を、歩めていたかも知れない。 ……。 ……あの時、足を止めたのはさ。 その方を、思い出したからなのですね……それなのに、私。 ……。 まことさん……? 似ている女が、目に入った。 ……。 目を奪われたわけでは、ないよ。 だけど、その一瞬で、思い出してしまったんだ。 ……そう。 けれどね、花街の女ではなかったんだよ。 ……え。 小奇麗な格好をして、身なりの良い若旦那と、一緒に歩いていた。赤子を、抱いてさ。 表情は離れていたからはっきりとは見えなかったけど、それでもなんとなく、しあわせそうだったと思う。 ……。 それで……違うのに、それなのに、妙にほっとしてしまった。 あの女の子は、あの時、死んでしまったと言うのに……。 ……生まれ変わり、でしょうか。 いや、それだと数が合わない……けど、それなら、良いな。 ん……まことさん。 ……兎に角、花街の女や男に目を奪われたわけではない。 それは、信じて貰えた……? ……ごめんなさい、まことさん。 ん、もう良いよ……もう、言わないだろ? ……はい、もう二度と。 うん……。 ……。 ……面白く、なかっただろう? ううん……聞かせて呉れて、ありがとうございます。 いや……こちらこそ、聞いて呉れてありがとう。 ……。 ……。 ……ところで、亜美さん。 はい……。 ……こんな話をした後に、とは、思うのだけれど。 ……? ……これ、亜美さんに。 え……。 ……受け取って、貰えたら。 これは……。 玉、簪……なん、だけど。 たま、かんざし……。 き、きれいな、蒼玉だろう……? ……ええ、とても。 う、受け取って ……ずっと、一緒に居たのに。 え、な、なに……。 いつ、こんなものを……。 ……。 まことさん……? ……草市、で。 はい。 亜美さん、話し込んでいた時があったろう……? 傍に居て呉れたのでは、なかったのですか。 いや……居たよ、ちゃんと。 ……。 ぎょ、行商人が、丁度、通り掛かったんだ。 それも花街に行くと言う奴がさ。 そんなことって。 たまたまって、すごいよね? ……本当、なのですか。 いや、これが、本当なんだ。 ……。 本当なんです。 ……それで、その方から買ったのですか。 う、うん……きれいなのが、見えたから、声を、掛けて。 怪しまれたけど、金を見せたら、すんなり話に乗って呉れて。 ……。 それで、これを……。 ……つまり、私から目を離していたのですね。 う……。 ……あんなに、心配していたくせに。 ご、ごめんなさい……。 ……ふふ。 う、うん? ……綺麗な蒼玉ですね。 だ、だろう? 亜美さんに似合うと思って、直ぐに決めたんだ。 だから、そんなに時間は掛かってないと思う。 けれど、私が頂いてしまっても良いのですか……? 勿論だよ、亜美さんに贈る為に買ったのだから。 ……。 あ、亜美さん……? ……ね。 な、なんだい? ……当てて、みて下さい。 あ、あぁ……。 ……。 こう……かな。 ……どう、ですか。 うん……すごく、似合っているよ。 ……。 う、受け取って、貰えるかな……。 ……ありがとうございます、まことさん。 あ、あぁぁ、良かったぁ……。 ……だけど。 え……? ……私から一瞬でも目を離したことは、許しません。 あ、あー……。 ……なんて、冗談ですよ。 は、はは……良かった。 ……。 ……本当に、良かった。 ……。 ……。 ……。 ……ねぇ、亜美さん。 はい、なんでしょう……。 あたしも……聞いても、良いかな。 ……。 ゆ、ゆうべのこと、なんだけど……。 ……。 甘えて、呉れたのは、すごく嬉しかったんだけど……ちょっと、吃驚も、して。 ……。 亜美さんに、然うさせたのって……む。 教えません。 ……へ。 お、し、え、ま、せ、ん。 ……。 ……。 ……分かりました、聞きません。 はぁ……。 ……ええ、と、そろそろ、起きて発つ支度をしようか。 今から、発てば……まぁ、昼過ぎには村、に……。 ……。 あみ、さん……。 ……まことさんの、ばか。 -星の魂(原初) 次は、衛星を幾つか回ってこなければならない。 然う。 戻れるのは、大分先になってしまうかも知れない。 出発は、いつ? ……明後日の、早朝。 然う、分かったわ。 支度をしないといけないわね。 ……済まない。 どうして? 此処の所ずっと、公務に追われていて……君と、ふたりだけの時間を持つことが出来ない。 そんなことはないわ。 今だって、ふたりきりじゃない。 然うだが……ふたりきりになれるのは夜、其れも僅かな時間だけだ。 明日の朝になればまた、離れなければならない。 私は一晩だけだとしても、貴女と過ごす時間を持つことが出来るのなら……其れだけで、十分なの。 本当に、然う思っているのか? 本当に、然う思っているわ。 ……寂しくは、ないか。 寂しい、なんて。 此の星の生活には未だ、慣れてはいないだろう? 辰星に居た頃とは勝手がかなり違うだろうし、思う様に行かぬことだって多々あるだろう? いいえ、寧ろ此の星の方が時間の流れが緩やかだから……辰星に居た頃よりもずっと、穏やかに過ごせていると思うわ。 此処に居ると、何かに急かされると言うことがなくて。だからね、焦りを感じることもなくなったのよ。今日に拘ることだって、大分減ったと思うわ。 そのおかげ、かしら。心にゆとりが出来て、作業がとても捗るようになったの。 然うだ、私が居ないことで何か不愉快な目には遭っていないか。 遭っているのならば、直ぐに言って欲しい。 早急に、手を打つ。 もう、心配し過ぎよ? だが。 私なら、大丈夫だから。 気にせずに 無理だ。 ……。 ……私が、寂しいんだ。 ユゥ。 君は、寂しくないと言う……けれど、私は寂しくて、堪らなくなる。 君ともっと、ふたりだけの時間を持ちたい……君の傍で、君とゆっくり話をして、君の為に作った料理をふたりで食べて、君と此の星を回って。 もっと君に触れたい、君を抱き締めて眠りたい、起きる時間を気にせずに、君と戯れていたい、君を愛したい、君と、君とふたりで。 ……もう、仕方がないひとね。 メル……私は、寂しいんだ。 君と、離れるのが……堪らなく、寂しい。 ……。 君は、本当に……少しも、寂しくはないのか。 私が、居ないのに……寂しいと、思っては呉れないのか。 ……少しも、寂しくない、 然う、か……。 なんて、言えない。 だって、嘘になるもの。 ……。 ……言葉にしてしまうと、其の思いが溢れてきてしまうから。 貴女への想いが募って……抑え切れなく、なってしまうから。 メル……。 ……ん。 君を……連れて行けたら、良いのに。 ……ねぇ、ユゥ。 君も、見てみたいだろう……? 此の星の衛星を……。 歳星は、多くの衛星を抱えているのよね……。 あぁ、然うだ……が、ひとつも無駄な星はない。 羨ましいわ……辰星には、ひとつもないから。 と言っても、多ければ良いと言うものではないんだ。 なんせ、ひとつひとつ回るとなると時間と労力が兎に角掛かるからね。 其れは、然うでしょうね。 然うなると君と長い間、離れ離れになってしまう。 必然的に、君と触れ合う時間も取れなくなってしまう。 然う、僅かな時間でさえも。 ……。 君を娶る前は、面倒ぐらいにしか思っていなかったのに……。 ……もぅ。 君と、離れたくない……君を、連れて行きたい。 ……私も、気になってはいるのよ。 ……。 歳星の、衛星達のこと……。 ……然うだろう、気になるだろう? いつかは、行ってみたいと思っていたけれど……。 ならば……。 ……見てみたいわ、あなたと時間を掛けて。 よし……其れでは、共に行こう。 決まりだ。 ……だけど。 考えてみれば、辰星の姫に見て貰う良い機会だ。 何故、あの場で思いつかなかったのか。 今回は、ごめんなさい。 ……メル? 私は、行けないわ。 どうして。 若しかして、行ける筈がないと思っているのか。 心配しなくて良い、私が君を連れて行くと言えば……いや、必ず、通す。 だから、共に もう少し早く、此の話が出ていれば……然うすれば、あなたに付いて行けたかも知れない。 今でも、別に遅くはないだろう? ……ううん、遅いの。 今日に拘ることが減って、焦りを感じることもなくなった。 ならば、遅いとか早いとか、然う言うのも ……ユゥ。 どうしてだ、メル……私と、共に行きたくないのか。 ……行きたいわ、ユゥ。 貴女と共に、行きたい……。 だったら。 けれど……今の私の躰では、貴女に付いていくことは出来ない。 な……。 ……。 まさか……何処か悪いのか。 ……。 メル……然う、なのか。 ……後で、ゆっくりと話すつもりだったのだけれど。 メル、 ユゥ。 ……。 新しい命が、宿ったの。 ……え。 此処に……私の、お腹の中に。 ……。 分からない……? ……新しい命が、メルのお腹の、中に。 ええ、然うよ……ねぇ、分かるでしょう? ……。 本当に、分からないの……? ……其の、命は、メルと。 貴女、の。 ……。 ユゥ……私のお腹の中で、ふたりの命が、重なって。 新しい命となって……此処に、宿って呉れたの。 ……そん、な。 信じられない……? それとも、私を疑っている……? ……。 ねぇ、ユゥ……何か、言って。 お願い……ユゥ。 ……メル。 なぁに……? ……私は、親になるのか。 いや……? ……そんな、わけ。 ユゥ……。 ……そんなわけ、ない。 なら……。 触ってみても、良いだろうか……。 ……え? お腹に……触ってみても、良い? あぁ……勿論。 ……。 ……未だ、小さな命だけれど。 此処に……此の中に、居て呉れているのだな。 ……ん。 あ。 ……くすぐったいわ、ユゥ。 あ、あぁ、ごめん……。 ……ふふ。 此処に……此処に、メルと私の子が……。 ……喜んで、呉れる? ……。 ユゥ? ……い、 い……? やったぁぁぁぁ……!! きゃあ……っ。 相変わらず、羽根の様に軽いけど!! ユ、ユゥ、ちょ、 其れでも、ふたり分の重さなんだな!! ユゥ、おろして、あぶない、から。 大丈夫だ、絶対に落とさない! 然う言う、問題では、 ありがとう、メル! ありがとう!! ま、待って、未だ産んではいないわ。 お礼を言うのは、 産んでは、いないが! これから胎内で、大切に子を育んで呉れるのはメル、君だ! いや、もう既に育んでいるのだな! 此れで感謝の言葉を言わないだなんて、あり得ないだろう!? 然う言うもの、なの? 子を宿す者には、敬愛を。子を宿した者には、敬愛と共に深く感謝を。 此の星では、当たり前のことだよ。 然う、なのね……。 辰星でも、然うだろう? ……彼の星では。 メル? ……機械的なもの、だったから。 機械的な、もの? ……然う、子を産むことは、ただの生産行動に過ぎない。 生産行動……。 ……そんなものに対して、特別に感謝など。 メル。 ……ん。 命とは、何よりも尊く、掛け替えのないものだ。 故に、命を産む者は、何よりも、大切にしなければない。 ……。 メル、君に贈りたいものがある。 ……贈りたい、もの? あぁ、然うだ。 けれどもう、幾つも貰ったわ。 此れは、此の時が来たら贈ろうと思っていたんだ。 此の時……。 然う……ふたりの子が宿った時に贈ろうと、ずっと。 ……。 メル、一度下ろすよ。 ……ええ。 大丈夫かい……? ……うん、大丈夫よ。 少し、待っていて呉れるかい? ……ん。 ……。 ……。 ……よし。 ユゥ……。 ……メルクリウス。 ……。 此れを、君に。 此れは……石? 然う……守り石、だ。 守り石……。 此の星では、母と子の無事を願って、守り石を贈る慣わしがあるんだ。 ……。 君と子を、守って呉れる。 ……石が、私達を。 そんなわけないと、君は思うだろうが……。 ……然うね、辰星出身の私から見ればただの石だわ。 其の石には、私の願いと祈りと想いが其れはもう、目いっっっぱい、込めてある。いや、詰め込んである。 所詮は、石だが……其れでも、ただの石ではないんだ。 ……込められてそう。 だから……だからメル、どうか、どうか受け取って欲しい。 ……。 だ、だめか……。 ……本当、面白いわ。 へ……。 有難う、ユゥ……大事に、するわ。 メル……! 綺麗な、石ね。 そ、然うだろう? ユピテル……貴女の瞳と、同じ色。 わ、私の瞳は綺麗ではないが! ううん、綺麗よ……とても、綺麗な色。 そ、然うか……。 ……照れているの? メルに、言われると……其の、照れてしまう。 ふふ……かわいいひと。 むぅ……。 ……貴女が、帰ってくる頃には。 いや、生まれる前に私は帰ってくる。 ……。 必ず、帰ってくる。 そして、出産に立ち会う。 え。 誰にも文句など、言わせぬ。 ちょっと待って。 出産に立ち会う、の? あぁ、然うだ。 此の星では、然う言うもの? 大切なひとが命を懸けて、子を産まんとしている時に。 傍で支える、其れこそが、己が子を産んで貰う者の務めだ。 故に、傍に居ないなんてあり得ないだろう? ……。 若しかして、辰星ではしないのか……? ……しない、わね。 なんてことだ……考えられない……己の子が、生まれると言う時に……傍に、居ないなど……。 ねぇ、ユゥ……立ち合いは、その メル。 ……。 必ず、帰ってくる。 帰ってくるから。 いや、だから ひとりには、決して、しない。 私なら、大丈夫だから。 私が、傍に居たいんだ。 ……。 ……いっそ、延期するか。 したところで……此の子が生まれたら、また、離れ難くなると思うわ。 う。 だから……今回は、行ってらっしゃい? ……やだ。 ……。 やだ、いやだ。 ……はぁ。 メル……。 ……困ったひと、ね。 む。 ……ほら、お腹の子も然う言っているわ。 ……。 ……ね。 言われてるような気が、する……。 ふふ……でしょう? ……親として、これではいけないな。 然うよ。 だけど……はぁぁぁぁぁ。 ……。 此の子にどう言われようが、どう思われようが、私は矢張り、メルの傍に居たい。 メルの傍で、メルと過ごして……毎日、お腹を、撫でたい。 毎日って……もう。 ……ん、メル。 ふたりで、待っているわ。 ……。 貴女が、帰ってくるのを。 ……うん。 貴女の無事を、祈って……待って、いるから。 メル……。 ……ユゥ。 離れていても……いつでも、私の心は君達の傍に。 ……。 此の石に、私の心を、預けていくよ……。 ……あぁ。 メル……? ……此れでもう、寂しくはないわ。 ……。 此の子と……貴女の心が、傍に居て呉れるから。 ……然う、か。 ユゥ……? ……私は、寂しい。 ……。 やっぱり、離れたくない……。 ……本当に、しょうがないひとね。 ……。 ユゥ、此れを貴女に。 ……此れは。 私の魂石。 な……っ。 私の代わりに、持って行って。 こ、こんな大事なもの ずっと、身に付けていて。 其の身から、決して、離さないで。 ほ、本当に良いのか……。 ええ、良いの。 私には貴女に貰った守り石が、あるから。 だが、此れは……。 ユゥ? ……分かった。 ん。 ……其の、代わり。 うん? 此れを。 ……。 此れを、置いていく。 ……待って。 どうか、此れを君の傍に。 待って、ユゥ。 私には守り石が、 肌身離さず、持っていて呉れ。 ……。 湯浴みをする時も、眠る時も。 ……もぅ。 メル。 ……分かった、肌身離さず持っているわ。 あぁ……私も、此の身から決して離すことなく、大切に……。 ……。 メル……好きだ、大好きだ。 ……私も、好きよ。 心から、君だけを愛している……。 ……私も、貴女だけを愛しているわ。 ……。 ……。 ……メル、今宵は。 ……。 あぁ……此れ以上は、暫く、控えた方が良いのか。 ……。 メル……? ……避妊具を、着けて。 ひにん、ぐ……? ……其れから強くしないで、浅めにして。 あ、あぁ……分かった。 あと、私がだめだと言ったら……必ず、聞いて。 ……。 ……指も、だめ。 指は、駄目で……此方は、良いのか。 ……避妊具を、必ず着けて。 其れは、分かったが……着ければ、良いものなのか? ……。 でも、どうして避妊具を? ……、から。 ……? ……兎に角、着けて。 詰まり、中で ユゥ。 わ、分かった……必ず、着けるよ。 ……。 えと……今宵は……。 ……だめ。 はい……。 ……だけど。 だ、だけど……? ……素肌で抱き合う、くらいなら。 そ、其れでも良い……! ……。 許して、呉れるかい……? ……ええ、良いわ。 や、やった……! ……。 良し、然うと決まれば。 ねぇ、ユゥ。 なんだい? ……ちゃんと、温めてね。 ……。 今は特に、冷え易いの……だから。 あぁ、勿論だよ……メル。 ……。 私の熱を、君に……。 ……うん。 |