−ちなみに花言葉は健康美。(聖蓉) 聖。 …んー。 せーい、聞こえてるー? なにー? お風呂、沸いたから。 先に入って。 蓉子も一緒に入ろー。 私は夕食の片付けをしてから入るから。 そんなの、後で良いじゃん。 入ろ入ろ。 …聖。 たまには良いじゃん。 以前から聞きたかったのだけど。 貴女の「たまに」はどれ位の頻度で言うの? んー、希望は三日にいっぺん。 其れは一般的にたまにとは言いません。 聖さん的には言うんだよ。 然うね、然うなんでしょうね。 と言うかさ、最近はとんとご無沙汰じゃん。 然う? 然うだよ。 ね、だから一緒に入ろ? 入りません。 はい、着替え。 あや、用意が良いねぇ。 じゃ、私が蓉子の着替えの支度…を。 どうぞ、ごゆっくりと。 ちぇー。 ふぅ。 あ、蓉子。 出てきた? 聖、またそんな格好で。 湯冷めしてしまうっていつも言っ…て。 …ふぅむ。 一寸、聖。 嗅がないでよ。 うふふ、同じ匂いがするー。 …当たり前でしょう。 同じお湯を使ったのだから。 良い匂いだね。 聖もね。 柚子の匂い。 今日は冬至だから。 南瓜の煮物も美味しかった。 蓉子の作る煮物は何でも美味い。 其れは有難う。 で? うん? この手は、何。 聖さんの手、だね。 然うじゃなくて。 蓉子ってさ、行事、好きだよね。 話を逸らさない。 それから本当に湯冷めをしても知らないわよ。 じゃ、続きはベッドで話そうか。 …もう、寝るの? 寝ないよ、お話するから。 知ってる?お話をするのってすっごい大事なんだよ。 …と言うか。 其れはいつも私が貴女に言って さ、行こう行こう。 あ、ちょ… …と。 でさ、子供の日には葉っぱなんか入れるし。 菖蒲、ね。 あれには吃驚した。 そんなの、別に普通じゃないの。 うちは普通じゃ無かったから。 …。 で、今夜の柚子湯。 とても気持ちが良かった。 其れは良かっ… 肌、すべすべ。 ……頬ずりなんてしないで。 だってすべすべなんだもーん。 …。 へへー。 …話をするのは。 大事、なのでしょう? うん。 で、この手は? 聖さんの手、だ 其れはもう良い。 お話は。 唇で紡ぐ言葉だけでするもんじゃあ、無いよ? そんな理屈、知らないし、認めない。 ほら、此処のところずっと忙しかったしさ? お話、あまり出来てなかったじゃない? 私は… …いつだって。 欲しいと思っているのよ…。 …。 ねぇ、聖。 …んん。 私は貴女と話がしたいの。 ……。 いつか、貴女はセックスは嫌い?と言ったけど。 よ、ぅ…。 嫌いじゃ…無いけど。 だけどね、聖…。 …。 私は貴女ともっと、話がしたい。 お互いの事、これからの事、それから… …蓉子。 ……起きていたの。 うんにゃ、今起きた。 …嘘。 其れは何故? 寝起きの言とは思えない。 蓉子。 …。 セックスは、嫌い? ……。 私は好きだよ。 蓉子とするのはとても… …私だって、嫌いじゃないわ。 嫌いじゃない、て? ……。 曖昧にしないで。 ……好き、よ。 誰とするのが? ……言わなきゃいけないの。 だって、他の誰かとだったら。 …そんなわけ、無いじゃない。 じゃ、言って。 ……聖、と。 私、と? …するの、が。 でも、ん。 …。 まっ…て。 …好きだよ、蓉子。 あ… −なんでも洋風にするのは納得いかん。(聖蓉) なんか、さー。 …うん。 この時期って至る所でクリスマスソング垂れ流しだよねぇ。 然うね。 クリスマスだしね。 でさ、そんな中でも今頃になると正月のものもボチボチ並ぶ始めるんだよねぇ。 おせちの予約も然うだし。 然うね。 然うだ、聞いてよ。 この間なんてさぁ。 うん。 ほら、しめ飾りってあるじゃない? あるわね。 其れがどうかした? リースになってたんだよ。 リース? て、あの? 然う、あのクリスマスぐらいにしか見ないアレ。 とうとうしめ飾りにまでなってやがったのよ。 おまけに可愛らしくデフォルメされた干支つき。 へぇ。 しめ飾りでリースだよ? 挙句に商品名はしめ飾リースだよ? どうよ、それ。 まんま、ね。 そうそう。 て、然うじゃなくてだね。 何。 しめ飾りをわざわざリースにする必要性はあるのか、と。 私は思うわけなのよ。 んー…まぁ、良いんじゃない? ある意味、日本人らしいと思うわよ。 だからってなんでまたしめ飾りを! 折角クリスマスにグッバイして正月になったてのに、どうして連想させるようなものをわざわざ…! 大方。 可愛いから、とかじゃないの。 可愛いとかで日本の正月を飾るしめ飾りをリースにする必要性は無いのだよ! と言うか何でそんなに必死なの。 だって、だって…。 ん、何? ようこぉ…。 何よ、いきなり。 だってろくすっぽ返事してくれない。 してるじゃないの。 こっち見てよぅ。 これが終わったらね。 イブなのに、折角二人きりなのに。 イヴだとか。 あまり興味無いでしょう、貴女。 興味ないけど、蓉子には興味ありまくりなのよ。 あ、一寸。 蓉子、こっち見て。 邪魔しないで。 これが終わったら相手してあげるから。 私より、大学の課題の方が大事なのね…。 ベクトルが違う。 比べられない。 あーん、蓉子ぉー。 はいはい。 大体、イヴだっつーのに新犯罪学なんて本開いて課題をやってるだなんて。 淋しいよ、淋しすぎるよ! 然うかしら。 別に然うは思わないけど。 えーッ だって。 貴女が居るじゃない。 う…。 貴女と二人で居るのよ? 淋しいなんて、思うわけ無い。 ……。 だから。 一寸だけ待っていて。 ね? …ない。 ん? 待てないよ…!! ……。 私は淋しいもん。 蓉子が課題ばっかりやってちゃ。 …あともう少し、なのだけど。 もう少し、なら。 何も今やらなくても良いじゃん…。 …明日。 …。 明日、貴女と過ごしたいの。 …む。 今日の夜から。 ……。 だから、ね? ……本当に。 うん? あともう少し、なの。 ええ、本当にあともう少し。 本当の本当に? ええ。 だから…ね? ……分かった。 待ってる。 良い子ね。 ……だけど、さ。 なぁに? 子ども扱いするの、止めて欲しいんだけど。 頭撫でられるの、いやだったっけ? …いやじゃ、ないけど。 なら、良いじゃない。 然うじゃなくて…ああ、もう。 うふふ、良い子。 −あれから、一年。(俺屍版聖蓉) 蓉子、蓉子、どこー? 蓉子さま? 此処には来ていませんよ。 お姉さまならいらっしゃいません。 ご覧になって分かりませんか。 先程、この本をお借りしたのですが…その後の事は分かりません。 申し訳ございません、お姉さま。 は?知らないわよ。 蓉子の事だから忙しくしてるか、部屋に篭って本でも読んでるか、或いはあんたといちゃいちゃしてるんじゃないの。 先刻<サッキ>まで此方に居られましたけどぉ…あ、然うだ。 多分、蔵の方に居られるんじゃないですかね? ほら、年の瀬です…へ、居ない? うーん、そしたら分かんないですねぇ…。 …見つけた。 ん? あぁ、聖。 どうかした? どうかした、じゃない。 探した。 何か用でもあった? …蓉子こそ、こんなところで何をしているの。 一年が終わるなぁ、と思って。 部屋にも蔵にも居ない。 本当に探した。 聖…? …。 おかしな人。 いつも一緒に居るのに。 …。 家に戻りましょうか。 此処は…寒いわ。 どうしてこんな所に居たの。 ん、どうしてかしらね。 …。 春が来たら。 屹度また、綺麗な花が咲くわ。 今は冬だよ。 ええ、然うね。 …此処、好きじゃない。 ……。 帰ろう、蓉子。 …。 蓉子。 ねぇ、聖。 …? なに。 わざわざ、探しに来てくれたの? …。 …帰りましょうか。 …。 聖、そんなにくっ付かないで。 歩きづらいわ。 蓉子の躰、冷たくなってる。 …聖は。 鼻の頭が赤くなっているわ。 蓉子は耳が赤い。 聖は吐く息が白い。 其れは蓉子もだよ。 聖は…頬が、冷たい。 …だから。 早く帰ろう、蓉子。 ん…。 …。 帰りましょうか、私達の家に。 うん。 ……聖。 なに。 聖がうちに来て。 もう、一年になるのね。 …うん。 本来は元日が来て、なのだけれど。 こういうのもありかな、とふと思ったの。 ? 何の事? 聖がうちに来て…いえ、生まれて一年。 だから…おめでとう。 …。 なんて。 やっぱり、変かしらね。 …分からない。 でも… …うん。 ありがとう。 …。 …帰ろ。 ん。 ……蓉子。 …ん? 蓉子が居てくれて。 良かった。 ……うん。 …。 聖。 …。 聖が居てくれて…。 −勝負ははじめから決してる。(俺屍版聖蓉+α) 大掃除も無事、終わったし。 門松としめ飾り、鏡餅の準備も出来てる。 あと、は。 …はい、蓉子さん。 質問です。 何かしら、聖。 私は一体、何処へ行かされようとしているのでしょうか。 当家の氏神が祀られているお社。 と言うか、このくそさっむいのに!? 然うね、寒いわね。 それから言葉が汚い。 しかも一人で?! 然うよ。 何でよ! 当主、だからよ。 は? 即ち、一家の家長。 家長は一年のけじめに大晦日〈オオツゴモリ〉の夜から神社に…うちの場合はお社だけど、 出掛けて寝ないで新年を迎えるのが習わしなの。 そんなの、私知らないよ。 じゃあ知っておいて。 しきたり、だから。 と言うか去年はどうだったのさ。 勿論、出掛けていたわよ。 …うっそ。 嘘なんて言ってどうするのよ。 だって確かあの頃の当主って。 父上、だけど? …行きそうに無いんだけど。 お姉さまに引きずられて連れていかれたわ。 問答無用、で。 ……おお、目に浮かぶ。 と言うわけだから。 今年は貴女。 やだ、行きたくない。 駄目。 寒いよー、暗いよー、一人は嫌だよー。 大丈夫。 夜が明けたら皆で参るから。 てかそれでまで一人で過ごさなきゃ駄目って事じゃん! 然うだけど? 何か問題でもある? そんなの、やだよぅ。 しきたり、だから。 ぐずぐず言わないで。 しきたりなんて知らない、どうでも良い。 私は蓉子と居たい。 いつも居るでしょ。 今日は特別なの、大晦日なの。 やだ、行かない。 蓉子と居る。 聖。 どうしても、と言うのなら。 蓉子も一緒に連れて行く。 はぁ? 蓉子も一緒に行くの。 当主命令。 あのねぇ。 人の話、ちゃんと聞いていた? 聞いててもヤなもんはヤダ。 これは当主である貴女の仕事なの。 やだ。 大体、貴女は大掃除もろくすっぽしなかったし、飾りつけもしないし、お供え物の支度もしないし。 元来はね、家長がやるものなのよ。 …。 聞いているの、聖。 …くしゅん。 …。 うー…寒い。 ……。 寒いよぅ、蓉子。 そんな演技をしたって、騙されないわよ。 演技じゃ…くしょい! …一寸、大丈夫。 うぅ。 ……もう。 鼻水ー。 はいはい。 …ひょーこ。 何。 行かなきゃ、駄目? ……。 風邪、ひいちゃうよ。 ………。 蓉子ぉ。 ……だって、一年のけじめなのに。 氏神に、なんでしょ? へーきへーき、うちのお姉さまはそんなの気にしない。 貴女のお姉さまだけじゃないでしょう。 蓉子のお姉さまだって然うだよ。 有りえない。 けじめとか、そんな事よりもさ。 …一寸、何よこの手は。 仲良くしてる様を見せた方が絶対、良いと思うよ。 ……。 ね、蓉…くしょんッ …。 やばい、本気でひきそう。 ………冷たい手ね。 だって寒いんだもん。 …。 ね、あっためてよ。 …。 でさ、二人で越そうよ。 お布団の中で一緒に、さ。 ……。 へへ、あったかい。 …来年は。 絶対に甘やかさないんだから。 うん。 絶対、よ。 うん。 絶対、なんだから。 うん、分かった。 絶対の、絶対、なんだから。 蓉子。 大体、聖は 好き。 ………。 大好き。 ……ああ、もう。 はい、私の勝ちー。 ……蓉子。 ね、言ったとおりだったでしょう? 昔からうちの妹には甘いのよね、蓉子ちゃんは。 新年が思いやられるわ。 あら、良いじゃない。 仲良きことは良き事かな、よ。 仲が良い事とただ甘やかす事は、違う。 全く違う。 まぁまぁ、良いじゃないの。 …ん? ……。 あらあら。 ………蓉子。 本当可愛いわね、聖のお嫁さんは。 あんなに顔を真っ赤にして。 …止めて頂戴。 仏頂面の椿に似なくて。 ほんとに良かったわよね…て、あら? ……。 痛い、痛いってば。 そもそもこの莫迦のせいで。 いや、本当に痛いから、椿。 この莫迦が。 この莫迦がぁ…! −二回目の、最後の、お正月。(俺屍版聖蓉) …すぅ。 んん…。 …ん。 …。 …すぅ、すぅ。 …んー。 …ぃ。 なーに? ……。 …うーん。 ……。 …ふふ、やーらかい。 ……ふ。 よーこ。 …。 よぉこ。 んん…。 起きた? ……せ…ぃ? そ。 …も、すこ…し。 うん、其れは私としては大歓迎。 昨日はお互い頑張ったし、ね…? …ば、か。 えへへ。 ん…せい。 くる、し… あけたよ。 …? あけ…? うん。 …おめでと? ………。 歳、取っちゃったね。 ……あ! お。 ……。 いきなりどうしたの? あけた、て。 うん。 あけましておめでとう、てやつかな。 何処がおめでたいのかは知らんけど。 ………。 蓉子、起き上がってると寒いよ。 …の、で。 うん、なに? はつひので…。 ハツヒノデ? 見に行こうと、一緒に見ようと思っていたのに…。 え、あ、ちょ… …行こうと、思っていたのに。 ど、どうしたの蓉子。 お腹でも痛い?冷やした? せいの、ばか。 ばか…! え、そんなに痛いの? …見に行こうと思っていたのに。 なのに…。 見るって何を…。 ばか…、せいの…ばか…。 と、とりあえず、蓉子。 筋道を立てて話してみようか? ね、ね? …初日の出を見よう思って あ、でも其の前に横になって。 空気が冷たくて寒い。 ……。 あ、もっと頭は寄せて? …。 ふぅ、これであったかあったか。 聖。 うん、其れで? …去年、お姉さまと見たの。 何を? 初日の出…。 ああ、初日の出ね。 …空が、辺りの景色も全て、橙に染まって。 とても、綺麗だったの。 うん。 だから…。 …蓉子? …一緒に、見たいと思っていたのに。 う、わ。 なのに、だめって言ったのに…貴女は、しつこくて…何度も、何度も… 其れは蓉子が可愛いからだよ。 …直ぐ、然う言うことを言って。 だって本当のコトだもん。 …一緒に見たかったのよ。 初日の出? あの、橙に染まった世界を。 貴女と一緒に…見たかったの。 そっか。 …。 でも私は初日の出より蓉子とこうしてお布団の中でぬくぬくしてた方が良いなぁ。 …! なんなら、昨日の続きも… ばか…! え、え、よ、蓉子…? …ばか…ばかぁ。 あ、いや…。 …貴女なんて、貴女なんて大っ嫌い。 え、えぇ…。 嫌い、嫌い…。 ご、ごめん、蓉子。 しない、もうしないから…ね? ……。 うー…。 ……あなた、なんか。 ごめん。 …。 え、と。 そんなに見たかった? ……もう、いい。 知らない、あなたなんか…ん。 …そんな事、言わないで。 …。 蓉子がそんな事を考えていたなんて、全然分からなかった。 だから、ごめん。 ……。 だけど。 言っててくれれば良かったとも、思う。 ……だっ、て。 まぁ言われても、途中で止められたかどうかは…自信無いんだけど。 …。 …分かった。 …? 何が… 行こう。 え…。 夜が明けて未だそんなに経ってない。 朝日を見るには十分に間に合う。 で、でも。 初日の出には、間に合わなかったけれど。 あ。 起きて、蓉子。 ま、待って、このまま行くと言うの? 大丈夫。 上着は羽織るから。 そ、然う言う問題じゃ… え、と、蓉子の着物は…あ、あんなところに丸まってら。 よいせ、と。 せ、聖。 はい、蓉子。 え、あ、あぁ、ありがとう。 あ、然うだ。 たまには着せてあげようか? いつも脱がせてばかりだから。 な… む、顔が一瞬にして真っ赤。 そんな顔されたら聖さん、また、其の気になっちゃうなぁ。 じ、自分で着るわよ…ッ はは、ざんねーん。 も、もう…。 ね、蓉子。 …何よ。 今年も、宜しくね? …。 あれ、宜しくしてくれない? …ばか。 今年もよろし… ……ん、宜しく。 −ヴァレンティヌスの贈り物。(聖と蓉子) …。 蓉子。 聖。 良い眺め? ええ、とても。 ねぇ。 …なに。 蓉子だったら。 どこに隠した? うん? 私達には無かったイベントだからさ。 イベント好きな蓉子さんだったら、もしも、って考えてそうじゃない。 受験生なのに? どんな生真面目な人でも勉強の合間に息抜きぐらいする、でしょう? なるほど。 で、どこに隠す? それを聞いてどうするの? 気になるから、じゃ、だめなもの? どうして? 理由なんて、必要? だって気になる、じゃない? 聖がそう言ったのよ。 ふむ、そーきたか。 ふふ。 で、結局どこに隠すのかな? 蓉子さんは。 さて、どこでしょうね。 まさか、本当に考えてなかった? まさか、て、何よ。 だって、ねぇ。 全く。 人の事を何だと思ってるのかしら、元白薔薇さまは。 お堅い表情〈カオ〉をしながらも、実は意外と行事やらイベントやらが好きなお茶目な人。 然う思っているんですけど、間違いだったですか? 元紅薔薇さま。 お茶目、ね。 蓉子はぞんがい、かわいい人だよね。 ぞんがい、て何よ。 さっきから失礼な人ね。 あはは。 で、どうなの? 聖だったら? うん? 勿論、聖の答えも聞かせてくれるんでしょう? 私? 私はさっき、蓉子にあげちゃったから。 は? いやぁ、あの時はドキドキな声、まことにありがとう。 ……。 剥いて食べさせてあげた、でしょ? …あれは参加賞のチョコであって元々は聖のでは無いし、ましてやカードでも無いでしょ。 気持ちはたっぷり、てね。 で。 あれ? 聖だったらどこに隠すの? 全然、考えてなかった。 だって私がやるんじゃないもん。 じゃ、今考えなさい。 今、ですか。 そう、今。 私は蓉子の答えが分かれば満足なんだけどなー。 聖の答えを教えてくれないと、いや。 あら。 なぁに。 今、とてもかわいかった。 お世辞、ありがとう。 お世辞じゃないよ。 本音。 そ。 それは、ありがとう。 全然、信じてないな? 元白薔薇さまは口がお上手なようなので。 親友に信じてもらえないだなんて。 淋しいなぁ、元紅薔薇さま。 …。 …。 …ふふ。 …はは。 今日は楽しかったわ。 受験だったのに? ええ。 …蓉子、さ。 うん、なに? 体調、悪いでしょ? あら、どうして? 顔、青い。 それは多分、血が足りてないんだわ。 貧血? でも大分、良いのよ。 やっと薬も効いてき…て。 熱もあるわけね。 …これでも下がったのよ。 はいはい、とりあえず保健室に行こっか。 でもまだ… 蓉子の体調の方が大事。 …。 私達は隠居の身なんだから。 する事は何も無いわ。 ……。 さぁ。 …だけどまだ、人が残ってるから。 自分の体より、大事? …だって、夢だったのよ。 …。 夢が叶ったんだもの。 私はずっと… …やれやれ。 強情な紅薔薇さまだ。 元、よ。 分かった。 んじゃ、こうしよう。 …聖? 少しなら寄りかかっても良いよ。 辛かったら直ぐに言うコト。 でも辛そうだと私が判断した場合は強制連行。 …。 じゃ、教えて。 …? 紅薔薇さま〈ヨウコ〉のカードの隠し場所。 …その話に戻るのね? 蓉子だったらどこに隠す? ……内緒。 教えてくれないの? …だって。 だって? 教えてしまったら、詰まらないでしょう? …。 違う? それは、そうだ。 でしょう? つまり、蓉子とデートがしたかったら自力で探せ、と。 けれど別に白薔薇さま〈セイ〉は私とデートがしたいわけではないでしょう? そうかな? だって探してくれるとは思えないもの。 探して欲しい? いいえ? まぁ、つれないお返事ですこと。 聖。 うん? 私、探してもみたいわ。 ほぉ。 それは誰の? 内緒。 言っちゃったら、詰まらない? ええ、その通り。 じゃあ、こそっと隠さないと。 考えていなかったのではなくて? 蓉子さまの願いを叶えて差し上げましょう。 はいはい、ありがとう。 だけど聖のカードじゃ、ね。 私のでは不服ですか、蓉子さま? 聖さまこそ、私とデートはお望みではないのでしょう? さて、それはどうかしら。 その時はその時で覚悟を決めますわよ? まぁ、どこまでも失礼な人ね。 …。 …。 …蓉子。 …ん。 おめかし、しないとね。 もう、見つけ出したつもり? ええ、すっかり。 あらあら、気が早いですこと。 蓉子もおめかし、してきてよ。 ええ、そのつもりよ、聖。 ま、相手は蓉子だとは限らないけれど。 私の相手も聖とは限らないわ。 素直じゃないんだから。 言ってなさい。 …。 …。 蓉子。 みんな、帰っていくわね。 うん。 今日は楽しかったわね。 それは良かった。 ところでさ、蓉子からチョコ、貰ってないんだけど。 あげてないもの。 持ってない? ええ、持ってない。 ええー。 今日は受験だったのよ? ま、それもそうですね。 残念? うん、残念。 …。 欲しかったなぁ。 …本当に? 冗談にして欲しくは、無いなぁ。 散々、他の人から貰っておいて? うん。 欲張りな人ね。 うん、私は欲張りなのよ。 だから、ちょうだい。 仕方ないわね。 なんだ、やっぱり持ってるんじゃん。 いいえ、今は本当に持ってないわ。 んー? そうね…家に来てくれたなら、あげるわ。 あらら。 急に言われたって来られないでしょう? だから、 7時、で良いかな。 …。 ちょっくら、お邪魔させて頂きますよ。 …本気? おー、本気も本気。 手作りなんて、期待しないでね。 大事なのは蓉子のチョコってコトだね。 ただの板チョコでも? おうよ。 分かった。 じゃあ、待ってるわ。 宜しく。 ついでにお泊りもしようかな、明日は日曜だし。 こら。 良いじゃない。 勉強の邪魔はしないでよね。 しないけど、今日ぐらいゆっくり寝た方が良いと思うな。 何だったら、抱っこしてあげるよ。 結構、よ。 あ、そ。 それは残念。 ……聖蓉祭でした。 |