−El quechua(放浪記)
アマンカイ、ヒーナ、スマック、カンキ。
…は?
ん?
今、なんて言ったの?
なんか言った?
言ったじゃない。
言ったかな。
…。
まぁ、言ったかも。
…何と言ったの。
忘れた。
惚けて。
じゃあ、花。
…花?
まるで。
…。
美しい。
…。
あなたは。
……。
きょとんとしてる。
…え、と。
もう良い?
……。
よし、今日はあっちに行こう。
…。
蓉子、行くよ。
あ、うん…。
さっき食べたの、美味しかったね。
…うん。
文字、無かったんだってさ。
…うん。
空、高いなぁ。
…うん。
蒼穹って、こんな空の事を言うのかな。
…うん。
薔薇。
……ばら?
言い方、知らないんだ。
ごめんね。
…。
…蓉子は今でも。
な、なに…。
まるで紅い薔薇のように、美しい。
…あ。
ははは。
……。
直ぐ赤くなるところなんて特に、ね?
……きざ。
−No tengo, no tenemos la caza.
…。
…ん。
…。
…せ、ぃ?
…。
せい。
…。
どこに、いくの…。
…。
せい、まって。
…。
せい…聖。
……追いかけておいで。
…。
そう、言ったじゃない。
……。
…じゃないと、また私は。
……もう、いやよ。
ああ、とうとういやになったんだ?
…。
ま、そうだよね。
…。
…そりゃ、そうだ。
こんな根無し草のような生活。
日本にいれば
聖。
…なんだ、やっぱり来るんだ。
…。
蓉子はなかなか、しぶとい。
…私が嫌なのは。
…。
貴女と離れること。
ただ、それだけよ。
……。
…だから、勝手に行かないで。
行ってしまわないで。
それでも追いかけてくるくせに。
…。
…蓉子。
ん…。
……キス、慣れてるよね。
……。
誰に教わったの?
…。
私以外の誰に
慣れてなんかない。
…。
…いつだって、私は。
……。
……貴女が教えてくれたのよ。
……ふ。
…。
じゃあ、そういうことにしておこうか。
……。
…ベッドに戻ろう。
風邪、ひく前に。
…。
…なに?
手でも引いて欲しいの?
欲しくない。
じゃ、引いて貰おうかな。
…。
…ねぇ、蓉子?
……ばか。
−M1911
うん?
行きません。
…あらら。
だから、
…。
私は人を待っていて、だから
蓉子。
…聖!
お待たせ。
若しかしてお取り込み中だった?
…お願いだからこんな時にふざけないで。
いや、だってねぇ。
聖。
うん、了解。
…行きましょう、聖。
ん、行こう。
あ…。
ごめんね。
彼女、私の恋人なんだ。
…!
だから、あんたらのナンパには応えらんないの。
じゃね、アディオス。
…。
行こ、蓉子。
う、うん……あ。
…て、しつこいね。
せ、聖…。
蓉子、一寸だけ黙ってて。
とりあえず、離してくれないかな。
…。
分かんない?
離せって言ってるんだよ。
…。
汚い手で、蓉子に触るな。
…。
蓉子は行かせないし、勿論、私も行かない。
お前らなんかに、用は無い。
…。
…大丈夫だ、蓉子。
…うん。
離せ。
……。
離さないのなら…仕方ない、かな。
…せ、聖、それ
蓉子、今は何も言わないで。
カラダ、少しばかり軽くしてあげようか。
…。
無くなれば、ちっとはマシになるかもよ?
……。
さ、どうする?
このまま、去勢、されておく?
……。
あはは、本当に撃つわけないじゃんねぇ。
…。
怖かった?
……。
顔、青白い。
……聖。
嘘吐いてごめん?
…?
恋人。
違うのにね。
…そ、んなこと!
ん?
……。
私が怖かった?
…。
別に良いけどね。
…私、は。
良いって、無理しないの。
…。
んじゃ、行こっか。
……。
…え、と。
このままで良い?
…?
腰。
…あ。
役得、かな?
……。
あれ、本当に良いの?
……。
…ま、それならこっちとしては良いんだけどね。
…。
蓉子。
…。
お腹、空かない?
…。
蓉子。
…え。
お腹。
…おなかが、なに?
空かない?
…。
朝ごはんから結構、経ったけど。
大丈夫ですか?
…言われたら。
じゃ、ごはんだ。
お昼にしてはちと遅いけど。
…。
蓉子、行こ
…ッ
ん?
…何でも無い。
そっか?
…ええ。
…。
…なに?
そんなに怖がらないでよ。
…怖がってなんか
簡単には引かないさ。
…引いたこと、あるの。
…。
…あるのね。
さぁ、どうかな。
…。
人に向けて、は。
未だ、無いよ。
…。
今後も無ければ良いと思ってるよ。
…。
蓉子。
…。
…もう、触れない?
…。
別に、気にしないけどね。
…聖。
ん。
…あなたは、あなただもの。
…。
だから…どんな貴女でも私は大丈夫。
……決意、に近い告白だね。
…。
…ごはん、行こっか。
…うん。
−道なき道は、続く。
…。
…聖。
…。
聖。
…んー?
起きて。
起きてるよー。
じゃあ仕事して。
…仕事?
仕事。
…なんの?
…起きてないわね。
いや、起きてるよ。
…てかここ、どこだっけ?
……そう、起きてないのね。
んー…。
…。
ねぇ、蓉子。
…なに。
…。
何よ。
…いや、良いや。
はぁ?
…。
て、仕事してよ。
…うん。
聖、どこに行くの?
どこか。
ちょっと。
…来る?
どこに?
それより仕事を
来てよ。
…。
…。
…。
…ま、トイレに行くだけだけど。
…行ってらっしゃい。
真っ直ぐ戻ってくるのよ。
戻ってこなかったら?
…。
来て、くれる?
そんな暇、ありません。
…そっか。
残念だな。
…。
じゃ、ちょっくら行ってくる。
…。
…。
…聖。
うん?
…離れないから。
…。
…。
…なんだ、蓉子も起きてないじゃない。
…起きてるわよ、私は。
さて、どうかな…。
…。
蓉子…。
…トイレに行くんじゃなかったの。
口実。
…。
……夢、覚めなくても良いかも知れない。
…良く無いわよ、ばか。
−想いの回廊。(聖蓉)
…。
よーうこ。
…きゃッ
うん、かわいい。
な、何よ、いきなり。
一応、呼んだけど。
ほぼ同時じゃ意味を成さない。
てか、何見てんの?
…別に。
どれどれ。
あ、こら…。
お、これは。
返して。
…。
白薔薇さま。
好きなの?
どうでも良いでしょ。
返して。
いや、どうでも良くない。
は?
そっか、好きなんだ。
そんな事、言って無いでしょう。
早く返してよ。
紅薔薇さま。
にやにやして。
宜しかったら今度、一緒に行きませんか?
…は?
宜しかったら。
…貴女と?
そう、私と。
……。
思えば二人で出掛ける事って無かったから。
…なんで、今更。
今更、でもないさ。
…。
紅薔薇さま…いや、蓉子さん。
…。
見られると良いね。
…まだ行くって言ってない。
やっぱり朝からが良いのかな。
だから。
…。
白薔……聖。
…お弁当、蓉子の手作りだったら嬉しいなぁ。
…。
蓉子の卵焼き、好きなんだ。
…すっかり行くつもりだけど。
行かないの?
…。
いつが良い?
…。
今度の日曜は…ちと急かな。
聖。
ん?
…。
蓉子?
…とりあえず、返して。
ん?
ああ、ごめんごめん。
…。
まぁ、お弁当じゃなくても良いけど。
蓉子と一緒なら何を食べたって屹度、美味しいし。
…!
なんてね。
…ばかな事ばかり。
でもま、満更冗談でも無いんだけど…。
……。
楽しみだね。
……お弁当なんて、作らないわよ。
うん。
…本当に作らないから。
うん。
…。
楽しみだね?
……ああ、もぅ。
……あーあ。
…。
人ばっかりで、何見てきたんだか分からない。
…。
ねぇ、蓉子。
…。
蓉子?
…え。
どうした?
人ごみのせいで気分でも悪くなった?
あ、ううん、大丈夫よ。
本当に?
…ええ。
…。
本当に大丈夫だから。
あっちのベンチで少し、休もうか。
大丈夫よ。
と言うか、私が休みたい。
…。
行こう、蓉子。
…うん。
…。
…。
…蓉子。
…なに。
来て、良かった?
…。
と言うより、私と来る事になるなんて思ってもみなかったかな。
…そうね。
…。
…。
…あんまり見られなかったけど。
…そんなこと、無いわよ。
そう?
ええ。
…そっか。
…聖。
うん?
…ありがとう。
…。
…。
…蓉子。
…うん?
次、何が見たい?
何でも。
順番で行く?
ええ、それで。
…。
…。
…はは。
…なに?
いや、なんでもない。
何よ、気になるじゃない。
いいよ、気にしなくても。
気になる。
ちょっと面白かっただけだし。
何よ、それ。
…思えば学校以外で会うのって、あんまり無かったなって。
…。
一寸、思っただけ。
……そう。
…。
…。
…たまには、良いかもね。
……うん。
そうだ。
うん?
蓉子。
何?
これ、あげる。
え。
さ、行こうか。
待って、聖。
やだ、待たない。
私はペンギンが見たいので。
ペンギン?
そう、ペンギン。
…良いわ。
じゃあ、行きましょう。
うん、行こう。
歩きながらでも話せるから。
やだ、聞かない。
聖。
ノーコメント。
…これ、返す。
聞こえない。
それか、ちゃんと払う。
知らない。
聖。
あ、カバも良いかな。
…。
蓉子は何が見たい?
…どうして、くれるの。
…。
欲しいものは、自分で買うわ。
そうだね。
…。
あ、見えてきた。
…聖。
ん?
蓉子?
…理由も無いのに、貰えないわ。
…。
だから、
あげたかったから。
…。
理由なんて、単純なもんだよ。
…だから、なんで。
好きだから。
…え。
蓉子がそれ、好きだから。
…。
…それから。
…。
紅薔薇さまじゃない蓉子が、素直に可愛いと思ったから。
……。
あ、蓉子、ペンギンいるよ。
あれ、何ペンギンなんだろうね。
…。
さ、早く早く。
…こっち見て言ってよ。
おーよちよち歩いてる。
面白い。
……ばか。
−その桜色の唇を。(聖蓉)
キス、した事ある?
…は?
キス。
した事、ある?
……。
ん?
…いきなり何を言い出すの。
蓉子の唇、見てたら思った。
思わなくて良い。
と言うかどこ見てんのよ。
いや、だから蓉子の唇。
きれいだなぁ、て。
…。
あ、隠した。
…何を言っているのよ。
だから
もう良いから。
じゃ、キスは?
…。
ある?
ない?
…どうでも良いでしょう、そんな事は。
あ、あるんだ。
だから、
そっか、あるんだ。
無いわよ…!
え、無いの?
…ッ。
そっか、無いんだ。
…ああ、もうッ
蓉子さんは未だ、なんだね。
うるさい。
本当、うるさい。
耳、赤い。
黙れ。
したわけじゃないのにね。
…黙って、お願いだから。
でも、話だけでそんなんなるんなら、実際したらどうなるんだろうね。
…。
好きな人、いる?
…。
いる?
…さっきから、何なのよ。
ちょっと年頃っぽくない?
迷惑なだけだから。
蓉子さんはこういう話、好きじゃない?
…。
でも、ない?
…聖。
うん?
さっきから私ばかりだけど。
貴女こそ、どうなの。
何が?
だから、その…キスは。
あるよ。
…そう。
え。
だから、あるよ。
……。
…ごめんね、初めてをあげられなくて。
…!
ん?
ば、ばかなコトを…ッ
…。
な、なんで私が、せ、聖と…ッ
ははは、本気にしてやんの。
……は。
ちょっとした冗談。
…。
でも、ま。
蓉子だったらキスぐらい、簡単に出来るよ。
屹度。
…何よ、それ。
リリアン、卒業したら。
…。
…さて。
あまり遊んでると本気で怒られそうだから。
…どこ、行くの。
帰る。
…。
蓉子は未だ、残ってるんでしょ?
…。
じゃ、ね。
ごきげんよう。
…聖。
んー?
…ごきげんよう。
うん、ごきげんよう。
……。
−惑い、惑わされ。(聖蓉)
…。
…。
…。
…白薔薇さま。
…。
…聖。
……いや?
と言うより…。
…と言うより?
くすぐったいから。
…感じる?
…莫迦でしょう。
きれいだな、て。
…。
きれい。
…ありがとう。
真っ直ぐだよね。
蓉子みたい。
…。
……私のとは、違う。
聖の髪だって…あ。
…ごめん、触っちゃった。
……。
感じちゃった?
…振り払うわよ。
ごめんなさい。
…。
…もう少し、触ってても良い?
…。
だめ?
…好きになさい。
本当に?
…。
本当に好きにしても良い?
…どういう
…。
あ…。
…貴女の髪に、キスを。
…ッ。
なんて。
こういうのって、気障だよね。
……。
…ごめんね?
……。
怒った?
…もう、良いでしょう。
…。
離して。
…うん。
…。
…。
…。
…蓉子。
…うんって言ったくせに。
−らしく。(聖蓉)
…。
…。
…。
…ちょっと、聖。
蓉子さん。
な、何…。
正直、羨ましいんです。
は、何が…。
分かってる、分かってるんだ。
いや、だから何が…。
確かに。
目の前でいきなり服を脱ぐとか、ちゅーをねだってくるとか、そんなんらしくない事ぐらいは。
…。
けど、けど…ちょっとくらいは、って思わないでもないんです。
…はぁ。
蓉子。
しないわよ、ばか。
…。
…あからさまにがっかりしないで頂戴。
…良いの、分かってたから。
…。
良いんだ、良いんだ…私の好きな蓉子はそういう人なんだから。
…良いように聞こえないんだけど。
……でもたまには、って思うんだ。
…。
…いつも、いつも、私からばかりだから。
…。
……ねぇ、蓉子。
…なに。
…私の事、好き?
はぁ…?
……。
て、待って。
なんでそんなに深刻な事になってるの。
…自信、無くしそうなんだもの。
ちょっと…。
……。
あのねぇ…。
…だって。
…。
…。
…ああ、もう。
…。
聖。
…なに。
私がこういう人間だって事は、分かってるのよね。
…一応。
じゃあ、直ぐには変わらない事も分かってる?
……蓉子さんはわりと不器用。
…。
…。
…聖。
…んー。
いや、じゃないから。
…?
でも、言えるわけないじゃないの。
…。
…そんなこと、言えないわよ。
…。
……。
蓉子…。
……。
…やっぱり、蓉子はこのままで良いかも。
…うるさい。
かわいいな…。
うるさいって言ってるの。
…へへ。
……。
ぎゅうってしても良い?
…もう、してるじゃない。
−光無し。(聖蓉)
…。
…なに?
ん、いや…
なによ、へんなひとね…?
…ひどいなぁ。
だって、そうじゃない。
…そんなコトいう子は。
だめ。
…。
…もう、だめ。
……ちぇ。
…ふふ。
もっと、したいのに。
…こわれちゃうわ。
いっそ、壊したい。
…いやよ、そんなの。
どうして。
…こわれてしまったら。
だれがあなたのめんどうをみるの?
む…。
…ね?
むしろ、私が貴女の面倒を見てあげるよ。
…あなたが?
然う、私が。
…。
ごはん、食べさせて。
水は…口移しで、飲ませてあげる。
…そんなわたしでもいいの?
…。
ほんとうに…いいの?
…いいよ。
そうすれば貴女は完全に私だけのものになるから。
…。
もう、私無しでは生きていけなくなるんだ。
…。
だから…壊れてしまってよ。
…。
わたしの、ために。
……ほんとうに、それでみたされるの?
…。
ほんと…ん。
……その目が。
…。
わたしをくるわせるの…あなたは、分からないんだ。
…。
…つぶれてしまえば、いいのに。
……いやよ。
…。
そうしたら…あなたがみえなくなる。
そんなの、いや…。
…。
…。
…じゃあ、さ。
ん…。
…わたしだけを、とらえていてよ。
…。
わたしを、あなたのものに。
…。
……そのひとみのなかに、とじこめて。
…あぁ。
−マリアさまのこころ(音楽山百合会)
愛してる。
…は?
君を。
…突然、何?
あはは。
……何か悪いものでも食べた?
恋してる。
…。
君に。
…熱でもあるの?
お…。
…無い、みたいね。
ごきげんなだけだよ。
ごきげんすぎて、心配になるのよ。
あら、おかしいなぁ。
今日はどうしたの。
何か良い事でもあった?
うん、あった。
だからなのね。
うん、そうなのよ。
何があったの?
貴女に会えた。
……。
蓉子。
え、なに
踊ろうか。
は、なんで?
ワルツ、習ったでしょ?
高等部で。
いや、習ったけど。
じゃあ、踊ろう。
ちょ、待って、待ってって。
私が男役で良いよ。
だから
三拍子、三拍子、なんか良い曲無いかな。
せ、聖!
そういやマリアさまのこころでいけるって誰かが言ってったっけ。
人の話を
蓉子、歌って。
歌えるわけないでしょ!
なんで?
こんなところで
大丈夫さ、ここはマリアさまの庭だもの。
そういうもんだいじゃ、
おまけに放課後。
残ってるのはそうそう、いない。
いるわよ、部活動の子達が。
良いじゃない。
良くない。
卒業生二人の頭がおかしいと
いっそ、おかしくなれば良いのさ。
…。
なんて、言ったら怒られるから言わないんだ。
言ってるじゃないの。
ははは。
気持ち悪いわよ。
ごきげんなんだ、しょうがない。
それは分かったから、少し落ち着いて。
じゃあ、落ち着かせて。
え…。
キス、してくれたら。
屹度、落ち着く。
…。
よ?
寧ろ、いっそうだめになりそうよ!
…あ。
え、なに?
…。
どうしたの?
…いえ、何でも無いのだけれど。
ねぇ、乃梨子。
なに、志摩子さん。
向こうにいる…
んー……あれ?
誰だと思う?
…多分、だけど。
うん。
先代。
やっぱり、そう見える?
うん。
と言うか何やってんの、こんなところで。
踊って…いらっしゃるのかしら。
いや、踊るって。
なんでこんなところで。
…三拍子。
ワルツ、ね。
いや、だからなんで。
つか、なんであの人たちがここにいんの?
さぁ、どうしてかしら。
ああでも、お姉さまはリリアンだから。
そうだとしても。
蓉子さまは違うよね?
ええ。
…ん?
なぁに?
歌、聞こえない?
……あら。
これは…
…マリアさまのこころ、ね。
……まさか。
この声、お姉さまだわ。
…だけじゃないよね?
ええ、そうね。
……つか、ほんとに何してんの。
ごきげんなのね。
いや、ごきげんって。
私達も踊ってみる?
へ。
ワルツ。
曲は…お姉さま方の歌で。
い、いやいや、待って待って。
ワルツ、未だ習っていない?
ワルツと言うか、ダンスならやったけど。
じゃあ、大丈夫。
ま、待ってって。
女役が良い?
ど、どっちでも…て、えぇ。
大丈夫、落ち着いて。
や、でも、わ…。
…私に合わせて。
う、うん…。
…。
…。
…。
……し、志摩子さん。
面白い。
え、えぇぇ。
どうせだから、本当に踊ってみる?
…勘弁してください。
あ。
何。
踊ってる。
…はい?
お姉さま、踊っていますよ。
だから、何が。
あそこ。
…あ?
あれは…。
…てか、本当に踊ってるし。
何でしょう?
…何でしょうって?
テレビでは見たことがあるのですが、名前が。
時代物?
現代物でもあるんでしょうか?
さぁ、どうだかね。
歌、聞こえてきませんか?
聞こえてる。
あれは、
多分、マリアさまのこころ。
多分じゃないですよ。
…そうねぇ。
楽しそうですね。
この寒空の下で良くやるとは思うけど。
お姉さま。
んー?
あれは
ワルツ、でしょ。
ただの。
ああ、ワルツ。
そのうち、習うわよ。
貴女も。
…いち、に、さん。
…て、菜々?
面白そうですね。
…そうかな。
少なくともこんなところ、で。
踊りましょう。
…は?
リード、してください。
適当に合わせてみますので。
適当って。
やったこと、無いんでしょ?
無いですよ。
でも多分、なんとかなります。
なんとかって。
はい。
一寸待った。
まさかあれに仲間入りするとか?
ええ、悪いですか?
悪いわよ。
どうしてですか?
どうして、って。
面白そうですから。
…あのねぇ。
さぁ、お姉さま。
あ、こら…!
さぁ。
本当にやるつもりなの?
勿論。
…。
とりあえず、適当に動いてみても良いですか?
…あまり。
はい。
…得意じゃ、無いのよ。
知ってますよ。
…。
何となく、でしたけど
…このやろ。
でも、面白ければそれで良いじゃないですか。
…。
さ、お姉さま。
……ええい、もう。
…え、と。
何をしているのでしょうか、あれは。
踊ってるんだと思うけど。
菜々、乃梨子まで。
いや、それ以前に志摩子さんと由乃さんだけどね。
それから。
…。
蓉子さまと聖さま、楽しそうなのは良いんだけど。
なんでいるんだろ…。
お姉さま、嬉しそうですね。
え、然うかな。
はい、とても。
蓉子さまと会えるだなんて、思ってなかったからかな。
聖さまは?
同じリリアンだし。
会おうと思えば会えますものね。
別に会わなくても良いけどね。
お姉さまはいないのかな。
残念ながら、いらっしゃいませんね。
まぁ、当然だと思いますが。
蓉子さま、高等部に何か用事でもあったのかな。
さぁ、どうでしょう。
ねぇ、瞳子。
嫌です。
未だ呼んだだけなんだけど。
何でしょうか。
この歌、
マリアさまのこころ、ですね。
だよね。
蓉子さまの声、きれいだな。
分かるんですか?
勿論。
…祥子さまが言っていたとおりですね。
お姉さまが何か言ってたの?
それより。
うん?
放課後で人があまり居ないとは言え、あれはどうかと思います。
楽しそうだから良いじゃない。
お姉さま。
ねぇ、瞳子。
だから、嫌です。
だから未だ言ってないって。
何ですか。
私ね、マリアさまのこころで踊ったこと、あるんだ。
…。
お姉さまと。
少し懐かしいな。
…そうですか。
瞳子。
い、や、で、す。
言ってないけど、言わない。
あ、ちょ…
ほら、瞳子。
だ、だから嫌だと
男役、やるから。
そういう問題では
それとも出来ない?
…は?
ワルツ、出来ない?
出来ますよ!
なら、良いじゃない。
なんで私達まで、
楽しそうだから。
お姉さまと踊った時も楽しかったから。
私でなくても
瞳子は私のなに?
…え。
うん?
……。
とーうこ。
…妹、ですけど。
ああ、良かった。
…。
じゃ、決まりね。
だから…!!
…。
あれに加わる?
…貴女は?
私は良いけど。
…。
場所、取られちゃったような気がする?
いいえ。
場所は違えど、あの子は私の妹よ。
そっか。
貴女はどうなの?
私は…まぁ、同じ意見かな。
あら、妹離れ出来たのね?
それ、祥子には言われたくないなぁ。
どうしてよ。
リリアンに残ってるじゃない。
残っていては悪いみたいな言いようね。
いや、別に。
そういや、お姉さまは居ないのかな。
数が合わないんじゃないかしら。
数?
そう、数。
…それはあんまりだよ、祥子。
私が、何かしら?
あ。
お、お姉さま。
はぁい、ごきげんよう。
祥子は卒業式以来かしらね。
はい。
お元気そうですね。
まぁ、ね。
で、なんなの、あれは?
見ての通り、ですわ。
聖は兎も角、どうして蓉子がいるのかしら。
お姉さまもどうしたのですか?
あら、貴女こそ。
私は祥子と約束していたので。
でもここは高等部でしょう?
まぁ、そうなんですけど…。
江利子さまこそ、どうしてここに?
懐かしき母校を見に。
…。
…。
ま、嘘だけど。
…でしょうね。
マリアさまのこころ、ね。
はい。
楽しそうね。
ですね。
貴女達は入らないの?
私達は…
入ってきなさいな。
面白そうじゃない。
お姉さまはどうするんですか?
私?
そうねぇ、数、合わないものねぇ。
…令。
あ。
合わないなら、合わせれば良いだけよ。
…はい?
合わせるって…。
行くわよ、令、祥子。
なんでお前がいるんだよ、でこちん。
貴女達こそ、どうして居るのかしら。
私はリリア
聖は兎も角、蓉子はどうして?
私は
私と約束してたからに決まってるだろ。
それで?
リリアンで二人でワルツ?
蓉子の声、良く聞こえてたわよ。
……。
ま、良いわ。
歌って、蓉子。
え?
私とワルツを。
て、蓉子は私と踊るんだけど。
もう、良いでしょう?
良くない。
蓉子とは私と踊るんだ。
と言うかもう、止めましょうよ。
止められるのかしら?
…。
ほら、後輩が待ってるわよ。
…なんでこんな事に。
さぁ、蓉子。
ちょ、一寸江利…きゃ。
蓉子は渡さない。
たまには良いじゃない。
恋人の席まで譲れとは言わないわ。
だ、め、だ。
せ、聖…。
うん?
…その、離して。
だめ、離せない。
…。
じゃ、良いわ。
三人で踊りましょう。
は?
三人でって。
はい、聖。
いや、無理だろ。
はい、蓉子。
江利子、ワルツは
やってみなきゃ、分かんないじゃない。
−標の名。(俺屍版擬似親子+由乃と志摩子)
…。
聖?
祐巳を見なかった?
見たよ。
何処で?
此処で。
…。
此処。
…なんで?
えへへ。
…まさか。
違う違う。
…。
遊んでただけだよ。
…遊んで、ね。
面白いよね、この子。
玩具じゃないわよ。
はは、分かってますよ。
祥子が探しているのよ。
然うなの?
ええ。
じゃあ、帰さないと。
怖いから。
…一言、余計。
だって本当の事なんだもん。
呼んでくるわ。
一寸、待って。
…なんで?
蓉子。
…?
ここ。
…どうして。
良いから。
…。
おいで。
…何をするつもり?
別に何もしないよ。
…。
さぁ。
……座れば、良いのね?
うん。
……。
…良く、寝てるでしょ?
…然うね。
結構、重たいもんだよね。
ちびのくせにさ。
ええ、日に日に大きくなっていくから。
早いもんだよね、子供が大きくなるのは。
本当に。
よそんちも然うなのかな。
…どうかしらね。
ま、うちは特別だから。
…貴女も。
…。
早かったわね。
…かな。
あっと言う間だった。
…お母さんみたいだよ、それじゃ。
……少し、ね。
…。
…。
…なんだかなぁ。
…ふふ。
ま、仕方が無いんだけどさ。
…可愛いわね。
うん。
…。
…あ、また回想してたな。
ふふ、分かった?
うー。
…はいはい、もうしないから。
…。
…ん?
この子は、さ。
うん。
私達の先を歩いていくんだね。
…どうしたの?
ふと、思っただけ。
…ええ、然うよ。
そっか。
…。
そうやって、繋がっていくのかな。
…標。
うん?
私達は標。
この子たちの。
…。
先代様が話してくれた事。
…標、ね。
そしてその先の標はこの子たちが作っていくの。
その先は子の子が?
然う。
…花。
…?
蓉子は花。
…突然、何。
思えばお姉さまたちも花だった。
…ええ。
だから、花標。
……。
うん?
…聖にしては、と思って。
たまには、ね。
…けれど。
うん?
貴女も花。
…。
私達だけじゃない、江利子も祥子も令も志摩子も由乃も、そして祐巳も。
だってうちは“山百合”だから。
…みんなって言った方が早くない?
良いの。
…然うですか。
…。
ま、良いや。
…聖。
んー?
…。
なに?
…ううん。
…なに?
…。
…。
……貴女に逢えて良かったって思っただけ。
……そっか。
…。
私もだよ、蓉子。
…そう。
…本当に、良かった。
……うん。
…。
…。
…私、さ。
…ん。
もう一つ、良かったと思ってる事があるんだ。
…なぁに?
蓉子と同じ時に生まれた事。
…。
早過ぎても、遅過ぎても。
こんな風には過ごせなかった。
…私の方が早いわ。
でも三ヶ月。
けれど…三ヶ月。
…それでも。
…。
蓉子は今も、こうして私の隣に居てくれる。
…。
…子供の頃から、何も変わらない。
…然うでも無いわよ。
…。
だって、然うでしょう…?
…ああ。
……あの頃は、ただの家族だった。
家族なのは今でも変わらない。
けど。
…。
…。
……聖、私ね。
ん…。
一つだけ、残念だと思っている事があるの。
…と、言うと?
大きくなった祐巳たちの姿が見られない事。
…。
…見て、みたかった。
……どんなになるだろうね。
ええ…。
当主になっちゃったりして。
かも、知れないわね。
有り得ない事じゃないもの。
…祐巳ちゃんが当主か。
それは面白そうだなぁ。
若しかしたら由乃かも知れないわよ?
おお、それは凄い事になりそうな。
ね、見てみたいと思うでしょう…?
うん…けど。
…けど?
それでも私は…。
ん…。
……蓉子との時の方を、選ぶ。
……聖。
……呆れる?
…いいえ。
…。
私も…結局は、然うだから。
そっか…良かった。
…。
…。
…。
…良く、寝てるね。
…ええ、本当に。
え。
…は?
……。
どうしたの?祐巳さん。
…いや、なんか。
何よ。
なんか、声が聞こえたような。
声?
うん。
誰の?
…誰かの。
何よ、それ。
…分かんない。
祐巳さん、どこから聞こえたの?
どこからだろ…。
それも分かんないの?
けど、なんか聞こえたような気がする。
気のせいじゃないの。
かなぁ。
こんなところで聞こえるとしたら…鬼の声だけよ。
そうだよねぇ。
…或いは。
あるいは?
あるいは、何?
志摩子さん。
…倒してきた鬼の。
…。
…洒落にならないから。
然う?
然うよ。
…でも。
でも、なに。
鬼の声とは違うような気がする。
はぁ?
…。
なんだろう…知っている人のような。
じゃあ、誰よ。
んー…。
……祐巳さん。
…ん?
お姉さま。
お姉さま?
て、祥子さまのって事?
一寸祐巳さん、それって緊張感無さすぎじゃないの。
待って由乃さん、お姉さまの声でもないような
じゃあ、一体誰だと言うのよ。
違うわ。
へ?
て、志摩子さんまで何を言ってるのよ。
祐巳さん。
なに?
私達の後ろには誰が居た?
後ろ?
え、と…。
鬼しか居ないわよ。
然うじゃないの。
…。
もう、何なのよ。
私達は私達だけで此処まで来られたわけじゃないわ。
…私達だけ、で。
でも来てるじゃない、現に。
けど、此処までの道を作ったのは私達じゃないわ。
……。
……。
花標。
……あ。
…聞いた事あるような。
此処までの道を作ったのは。
紛れもなく、私達の。
……然うだ。
何よ、祐巳さん。
由乃さん。
なに。
江利子さま、だよ。
…でこちん?
志摩子さん。
うん。
聖さまと。
あと。
…あと?
蓉子さま!
…。
それだけじゃない。
…後は?
知らない人、でも知ってる人たち!
意味、分かんないだけど。
ほら、幻灯で見た事があるような、さ?
……つまり、先祖の皆様って事?
うん!
そっか、然うだ、志摩子さんすごい。
そんな事無いわ。
紅い花、白い花、それから黄色い花。
それらの声が聞こえた。
…なんて聞こえてるのよ、ちなみに。
分かんない。
…はぁ?
でも、聞こえるの。
ずっと、背中を支えてくれてる。
背中を、ねぇ。
…然うだ、子供の頃からずっと。
…。
…まぁ、此処まで来たら決着、着けたいけどね。
着けよう。
ううん、着ける。
…。
え、何?
祐巳さんが強気。
然うかな。
然うよ。
少し驚いた。
由乃さんだって然うじゃない。
そりゃあ、まぁ。
志摩子さん、志摩子さんもでしょ?
…然うね。
絶対なんて無いけれど、それでも。
うん。
…まぁ、良いわ。
それじゃ、行きましょうか。
うん、行こう。
ええ、行きましょう。
て、祐巳さん。
へ?
祐巳さんが言うべき事でしょ、これって。
え、然う?
然・う・よ!
自分の立場、分かってる?
…え、と。
隊長!
あ、然うだった。
然うだった、じゃないわよ。
はは。
全く。
よし。
じゃ、みんな行こう。
すべてを終わらせに、そして。
…そして?
…。
すべてを始める為に、に。
…。
…。
だって、終わったって“終わらない”もの。
私達は。
…ああ。
ふふ。
え、何?
私、変なコト言った?
と言うより、なんだか祐巳さんじゃないみたい。
ねぇ、志摩子さん。
確かに、今までの祐巳さんでは無いみたいね。
けれど。
…。
けれど?
それでも祐巳さんだわ。
だから、祐巳さんらしい。
…。
…。
うん?
…もう、何でも良いわ。
あはは。
じゃ、行こうか。
…決戦前になんか疲れちゃったんだけど。
大丈夫、私達には先代様たちがついてる。
…へぇへぇ、然うね。
ふふふ。
エル・カザド祭後半戦と、相変わらずの聖蓉と、珍しく次世代が多め。
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