−エディアカラ。(聖蓉)
ガタン…ゴトン…。
きれいだったねぇ。
うん…。
晴れて、良かったねぇ。
…うん。
また、行く?
…貴女は?
貴女と一緒なら。
…じゃあ、それで。
えぇ、ちゃんと言って欲しいなぁ。
…貴女と一緒に。
ん…。
……。
…ねむたい?
……ううん。
そうかなぁ。
…ねむくないの。
膝、貸してあげようか?
…いらない。
どうして?
…ねむくないから。
…。
…。
…ねぇ。
だから…。
…甘えて、欲しいのよ。
…。
たまには。
…ばか。
私達以外、誰も乗ってない。
…そういうもんだいじゃない。
駅に着いたら起こしてあげる。
だから、ねむたくないの。
…はいはい。
…せい。
蓉子は眠くない。
でしょ?
…そうよ。
じゃ、そういうことにしておこうかな。
とてもとても残念だけど…。
……。
…。
……。
…将来、二人でこういうとこに暮らすのも良いな。
……ひとがいないらくえん?
気ままに、自給自足して暮らすの。
二人で。
…できるのかしら。
ん?
めんどくさがり。
…やる時はやるって。
…。
…寄り掛かっても良いよ。
……。
この肩は蓉子の為にあるから。
……ばか。
本気だよ?
……。
……あったかいね。
…ん。
ふぁぁ…。
…。
私も眠たくなってきた…。
…わたしはねむくないわ。
…。
…。
…強情っぱり。
……いまさら、だから。
…。
…。
…手、繋ごうか。
……どうして?
繋ぎたくなったから。
…ずっとつないでいたじゃない。
……だから、いまも。
……。
…。
…。
……蓉子。
ん…。
おこしてね…ちゃんと。
……ええ、かならず。
……ガタン…ゴトン…。
−Canta per me.(音楽聖蓉)
canta per me addio...
…。
quel dolce suono...
…。
de' pasatti giorni...
…それ、イタリア語だっけ。
…え。
違った?
…ええ、そうよ。
そっか。
…うるさかった?
平気。
続けて。
.........mi sempre rammeta......
…。
....o felice, tu anima mia,
…。
canta addagio...
…。
…。
…やさしく歌って。
…。
…。
…分かるの?
…たまたまだよ。
…。
別れの歌なんだね。
…。
アディオ、て。
…そうね。
…優しい声で、歌って。
え…。
もし、その時が来たら…今みたいに。
…。
…ああ、でも。
…。
寧ろ…優しく、その手にかけて。
…。
眠るように堕ちて、消えてゆくのよ。
…聖。
けれど貴女の記憶には残るの。
それだけで、良いわ…。
…。
……続きは?
…ある、わ。
じゃあ、歌って。
…。
…蓉子の声、好きだよ。
…知ってる。
私だけのものに出来たら良いんだけど…。
…。
愛しい人…どうか、優しい声で。
…。
……甘く、歌って。
−なかよしふうふ。(聖蓉)
…「夫」ってさ。
…。
「ふ」、だよね。
読み方。
…若しくは「おっと」、ね。
でも「夫婦」だと「ふうふ」。
じゃあ「婦」二つで「ふうふ」でも良いと思うんだけど。
…字面にすると、どうかしらね。
じゃあ、日々の後の字でも良いよ。
…「婦々」?
いまいち?
…何とも。
良いと思うんだけどな…。
…聖は。
ん?
…なりたいの?
……どうかな。
…。
…蓉子。
…なに。
肩、寄り掛かっても良いよ。
…今は良いわ。
いつなら良い?
…さぁ?
教えない。
教えてよ。
教えない。
お・し・え・て。
お・し・え・な・い。
…けち。
聖。
…んー。
寄り掛かっても良いわよ。
…。
たまには。
…たまには、ね。
早くしないと気が変わるかも知れないわよ。
やだ。
…なら早くなさい。
…。
…。
…へへ。
重い。
…ひど。
…満足?
見える?
…。
仲良し夫婦。
…夫と言う字で良いのかしら?
……平仮名にすれば良いんじゃない?
平仮名…ね。
…。
…。
…たまには、良いかも。
…重い、けど。
……ひど。
…冗談よ。
……本当かなぁ。
聖。
…ん。
心地が良いのね。
…?
重み。
……。
貴女は…どうだった?
…教えて欲しい?
やっぱり、良い。
教えて、って言って欲しいなぁ。
…いや。
…自分で言っておいて。
良いの。
…良いの?
そう、良いの。
…じゃ、後で強制的に教えてあげる。
…。
…NOは却下。
…強制って言ったのに?
念の為。
…あ、そ。
……蓉子。
…ん。
仲良しに。
見える、かな。
…さぁ、ね。
少なくとも私は…。
私は…?
……貴女と同じ気持ちなら良いなって、思ってるわ。
−仲良し夫婦(俺屍版聖蓉)
…ふうふ。
聖。
…んお?
間抜けな受け答えは止めなさいと言った筈よ。
…何ですか、蓉子さん。
わざとらしい。
…なに?
この箱、何。
んー……でっかい箱?
どうしたの。
イツ花が持ってきた。
イツ花が?
内緒ですよって。
あと今回だけとも言ってたっけ。
…で。
うん。
なんで人が中に居るの?
どうやって入っているの?
分かんない。
でもこの人たち、髪とか瞳の色がうちみたい。
…。
ねぇ、蓉子。
…なに。
ふうふ、だってさ。
……だから?
この二人、夫婦に見える?
…女同士じゃない。
私たちもだけど。
……。
仲良し夫婦、ねぇ。
……で。
んー…。
面白いの、これ。
それが分かんないんだよねぇ。
…はぁ?
知らん言葉やら何だかやらでさっぱり。
…でも見てるの?
仲良し夫婦、だから。
……。
蓉子。
…だめ。
未だ何も言ってないよ。
…先に言っておくの。
…。
だめ。
……よいしょ。
て、聖。
蓉子。
だからだめって
……。
………だめだって言ってるでしょ。
肩、寄り掛かって欲しかっただけ。
…。
それだけ。
…。
…。
……本当に?
肩も抱きたかった。
…。
…。
…聖。
……もっと寄り掛かって。
…。
……もっと。
……重いって言うクセに。
言わないよ。
言うわよ。
言わない。
蓉子の重みは愛しい。
ほら、言った。
…いつ。
重みって。
…そりゃ、違うよ。
違わない。
違う。
全然、違う。
…さぁ、どうかしら。
屁理屈屋。
…それ、そのまんま返してあげるわ。
…ねぇ、蓉子。
……なに。
…見える、かな?
…知らない。
…。
…我が妹〈イモ〉は素直じゃない。
…言ってなさい。
…。
……我が背〈セ〉は。
…。
……甘えてばかり。
…良いの。
…良くない。
良いの。
良くない。
仲良しだから。
…。
間違ってない。
……一生、言ってなさい。
−わるいむし。(聖蓉)
…あ。
お?
…。
どったの、渋い顔して。
…食われた。
くわれた?
…て、何に?!
…わ。
何に食われたの?!
と言うかどこのどいつだ、私の蓉子に…!!!
……。
ぶっとばぐえ。
ばか?
…く、苦しいです、蓉子さん。
…。
え、と、まじですみません、ほんとすみません。
…。
…それで何の話でしょうか。
蚊に食われたって話。
蚊に?
どれ?
…。
いや、見るだけです、ほんと見るだけ。
……ここ。
あらら、ばっちし食われちゃったねぇ。
こりゃ痒いでしょ。
…ええ、痒いの。
だから虫刺されの薬を…。
舐めると良いんだよ。
…は?
舐めると痒くなくなるんだよ。
…そんなの、聞いた事無いんだけど。
うん、私も最近聞いたの。
…と言うか作った?
そんなコトないよ。
…。
と言うわけだから、貸して。
は?
舐めてあげる。
……。
食われたのはここだけ?
て、一寸待ちなさい!
うん?
良いから、舐めなくても良いから!
いやいや、痒いでしょ?
痒いけど舐めなくて良いの!
なんでー?
なんでもへったくれも無いでしょ!
私は蓉子のコトを想いまくって
良いから、本気で良いから!
まぁまぁ。
いや、本当に止めて…止めてって!
んー…。
…!
せ、聖…!!
がッ
…。
……よ、蓉子さん、首、首がやばい、です。
誰のせいよ…!
ばか…!!!
−Wiñaymarka(以下放浪記)
チチカカ湖って知ってる?
聞いた事はあるわよ。
なら、良いや。
そこに行こうかと思ってたんだ。
私は付いて行くだけだから。
行きたいとこがあったら遠慮無く言ってよ。
多分、貴女の方が詳しいと思うから。
ガイドブックなんて無粋なものは持ってないよ。
地図くらいはあるんでしょ。
なら、大丈夫。
まぁね、一度行ってるし。
問題は無いよ。
…。
ん?
…何でも無い。
チチカカ湖にはさ、葦で作った浮島に住んでる人たちがいるんだよ。
知ってる?
葦で?
確か…えーと、トトラって言ったかな。
沈まないの?
うん、沈まない。
面白い感覚だよ。
乗ったこと、あるの?
うん。
だから蓉子にもって思った。
…。
大丈夫。
もし水の中に落ちたら助けてあげるから。
沈まないんでしょ?
うん、沈まない。
…意地悪な人ね。
助けてあげるって言ってるのに。
沈まないのなら、平気よ。
あはは、ムキになってる。
なってません。
じゃ、私が落ちたら助けてね。
…。
よろしく?
…調子が良いんだから。
でさ、チチカカ湖って大きい湖と小さい湖に分かれてるんだけど。
うん。
小さい湖の方はさ、ウィニャイマルカ湖とも言うんだってさ。
ウィニャ…?
ウィニャイマルカ。
ウィニャィマルカ…聞きなれない言葉ね。
まぁ、ケチュア語だし。
意味は…永遠の場所、だっけかな。
永遠の場所…。
その昔はチチカカ湖そのものがウィニャイマルカって呼ばれてたらしいよ。
神話だったかな。
この辺だと…。
太陽の国、だね。
…スペインに滅ばされた国よね、確か。
ま、歴史の教科書には載らないけどね。
…聖。
んー?
大分、日に焼けたわね。
かな。
ええ、日本に居た時より。
健康的、でしょ?
…染み、残るわね。
大丈夫、蓉子さんも一緒だから。
…。
ね?
…貴女に付いていくと言う事は、然う言う事だもの。
うん?
こっちの話。
さ、行くんでしょ。
じゃ、お手をどうぞ。
はい。
お、素直?
悪い?
いいえ、全然?
なら、結構。
−El poncho
…蓉子、さ。
…。
いや、やっぱり良いや。
…何よ。
ううん、止めた。
言いなさいよ。
気になるでしょう。
…。
聖。
…いや、さ。
なかなかだなぁ、と。
…。
…それ。
…お世辞は良いわよ。
いや、お世辞じゃないけど。
…。
見立てが良かったのかな。
私の。
…言ってなさい。
お土産、それの方が良かったかな。
…少なくともどくろよりは。
あっちじゃ、あまり着てる人いないからねぇ。
…お洒落としてのものなら、あるけど。
私はこっちの方が好き。
…でしょうね。
…。
…ねぇ、聖。
ん?
お揃い、ね。
…。
……。
…蓉子さん。
……何。
かわいいね。
…うるさい。
恥ずかしいのなら、言わなきゃ良いのに。
…良いでしょ、別に。
うん、悪くないよ。
悪い気、しないし。
…!
だから貴女は
…。
…?
……いや、本当に少し恥ずかしいや、と。
…。
まさか、こんなとこでお揃いするとは思わなかったなぁ。
…。
ほんとに。
…聖。
んー?
…耳。
日に焼けたから。
…だけ?
だけ。
…恥ずかしいって言ったクセに。
うん、言った。
でも、それだけ。
…意地っ張り。
蓉子には敵わない。
…。
…本当、に。
あ…。
……一生、敵わない。
……。
…肌もそのうち、お揃い。
…!
…なんて、ね。
……ばか。
−Taco taco tacos.
食べたいなぁ。
…いきなり?
唐突に食べたくなった。
でもこの辺じゃ食べられないでしょ。
北上しようか?
…着く頃には食べたくなくなっているんじゃない?
かなぁ。
恐らく。
…じゃ、仕方ない。
サンドイッチ、食べる?
お、グラシアス。
流石蓉子さん、用意が良い。
チキンとソーセージ、どっちが良い?
流石にマスタードタラモは無いか。
無いわね。
ふふ。
で、どっちにする?
どうせならどっちも。
…私の分も食べるつもり?
いや、はんぶんこにしようかな、と。
…はんぶんこ、ね。
両方の味が楽しめて良いじゃない。
貴女はそんなに食に関心があったかしら。
蓉子と一緒だから、と言う事にしておいて。
…。
おし、どうせだからあっちで食べよう。
良いでしょ?
良いわよ、どこでも。
本当にどこでも?
勿論、常識の範囲で。
その常識には私も含まれてる?
…。
ん?
含まれてる。
…。
さ、行きましょう。
…なんだか素直すぎて怖い、かも。
何か言った?
はい。
素直な蓉子はかわいいな、と。
うそつき。
でもそれも本心だから。
…どうせ素直じゃないわよ。
そういうとこも蓉子の魅力だけど?
…うるさい、ばか。
−Inca rose
…。
何見てるの?
ん、大したもんじゃないよ。
…石?
大したもんじゃなかったでしょ。
珍しいわね。
目に入っただけ。
それだけで?
うん、それだけで。
こういうの、全然興味無いのに?
ま、そんな時もあるさ。
…。
ん?
なんか思うこと、ある?
…無いけど。
贈ってもらえるの、期待した?
最初から期待してない。
蓉子はこういうの、興味ある?
あまり。
そっか。
じゃ、良いや。
…何かおかしくない?
おかしい?
どこが?
…引っ掛かる。
気のせい気のせい。
…やっぱり、引っ掛かる。
ふむ、仕方無いなぁ。
…。
あの石はインカローズと言うそうな。
知ってる。
知ってるの?
名前くらいは。
ほんとは興味あったり?
きれい、だとは思うわよ。
思うんだ。
思うわよ。
誰かさんと一緒しないで。
いやいや、誰かさんもそれぐらいは思ってるらしいよ。
ふぅん。
だからその誰かさんは考えた。
…?
でも、なぁ。
と、誰かさんは思いました。
柄じゃない、とも。
…それは違う誰かさんの事?
うんにゃ。
…。
ま、ね。
今更だし。
…次の目的地は?
思いついたまま。
これと言って定めないのまた、良し。
……。
そんなに見つめないでよ。
照れちゃう。
気色悪い。
にべもないなぁ。
…。
…さて。
…。
ほい。
…え。
わ…。
誰かさんがあげるってさ。
仕方無いから。
…。
指のサイズ、知らないんだって。
…教えて無いもの。
耳に穴空けるのも何だかなぁ、だってさ。
……だから、ネックレス〈コレ〉?
一番、てっとり早そうだったから。
…。
要らないなら返して。
返さない。
さようですか。
そもそも仕方ないって何よ。
仕方無いは仕方無いさ。
…いつ?
さてね。
……。
ま、安いもんさってさ。
…聖。
あー今日も良い天気だ。
空が青い。
本当はこっちだったんでしょう。
何の話かな。
どくろのお土産。
いや、それは私からのお土産だから。
…全く、貴女は。
ま、付けてくれたらそれなりに嬉しいと誰かさんが言ってました。
じゃ、その誰かさんに伝えて。
宝物にする、と。
……うわ、かわいい事言ってくれる。
貴女に言ったわけじゃないのだけど。
−corredores de tiempo
…。
…聖。
んー…?
…やっぱり何でも無い。
何?
言ってよ。
…物思いに耽っていたようだから。
それでもそれを壊したかった。
違う?
…。
別に、そんなんじゃないさ。
所詮、日本人である私にその思いを知ることは叶わない。
…知りたいと思うの?
いや…。
…。
たださ、色んなことが、たくさんあったと思うんだ。
ここで…いやここら辺で、か。
…。
それが簡単に壊れる、壊されちゃった。
今じゃもう、何も。
…人々が居るわ。
けど彼らはもう“純粋”じゃない。
…。
望んだ者は未だ良いかも知れない。
けど望まなかった者は?
…多く、居たでしょうね。
あっちでは英雄。
こっちではただの破壊者。
この違いはでかい。
…。
…うーん、しかし良い風だ。
…以前。
うん?
その”英雄”の像がある都の建都何周年かの記念に“英雄”の故郷から贈られたらしいわ。
…ほぅ。
それは最初、大聖堂の前に置かれた。
けど。
…。
市民の反対運動である広場の片隅に移され、最後には撤去されたと言う話。
…そっか。
ちなみにその都はその“破壊者”が築いたそうよ。
だからこそ、贈ったんだろうけどね。
時が経っても、それは消えない。
仮令、血が混ざったとしても。
…。
想いは。
…ところで、蓉子さん。
うん?
良く、知ってますね?
だって私は貴女の親友だもの。
…。
知ってる?
類は友を呼ぶと言うのよ。
この場合はどっちが類かな。
貴女でしょ、勿論。
あら、そう?
じゃなきゃ、わざわざ調べたりしてないわ。
−La quena
よっこ、見て見て。
うん?
ふえー。
……買うの?
どれが良い?
嵩張らない?
そこが問題だ。
…でも買うの?
うん、どれが良い?
貴女の好きなので。
私は蓉子の好みを聞いております。
…と言われても。
分からないわよ。
見た目で良いよ。
なら尚更、自分の好みの方が良いでしょうが。
だってほら、蓉子さんってば面食いだし。
…喧嘩、売ってる?
いいえ、売ってません。
私の顔が蓉子好みで良かったと言ってるだけです。
…顔だけじゃないわよ、ばか。
はは。
で、どれが良い?
うーん、そうねぇ…。
…。
…じゃあ、これは?
これ?
本当に?
…見た目で良いんでしょ。
うん、良い。
だから、これ。
なるほど。
じゃこれちょうだい、じいちゃん。
て、一寸。
グラシアス。
聖。
んー?
本当にそれで良かったの?
うん。
ちゃんと音出るかなー。
…。
……んー。
出ない、わねぇ。
ふむ、これはむずかしい。
リコーダーとは違う。
そりゃそうでしょ…。
…。
折角買ったのだし、練習したら?
蓉子、はい。
…何。
やってみて。
…なんで私が。
蓉子なら出来る。
…出来ないわよ。
蓉子は歌がうまいから。
関係無いでしょ。
ささ、蓉子さま。
多分、出来ないわよ。
人間、何事もやってみないと分かりませんから。
……もぅ。
…。
…。
…あ。
……出た、わね。
流石です。
たまたまよ。
はい。
どうやったの?
まぁ、普通にく…あ。
ん?
……な、なんでもない。
なに?
何でも無いから。
……。
……。
間接キス?
…!
勿論、分かってやったけど?
せ、聖…!!
あはは。
……あぁ、もう!!
−Inca rose, segundo
蓉子、指のサイズいくつ?
…唐突ね。
何となく。
誰かさんに頼まれたのかしら?
まぁ、そんなところ。
じゃあ誰かさんに伝えて。
ちゃんと自分で聞きに来て、て。
自分で、か。
そう自分で。
分かった、伝えておく。
お願いね。
うん。
…。
…。
…。
蓉子。
…うん?
蓉子とこんな風に旅してるなんて、思わなかったよ。
…。
勝手に来ちゃったから。
…本当に勝手だったわよね。
でも一言も残さなかったわけじゃないし?
けど事後。
たまにオミヤゲ送りつけて?
本人は帰ってこなくて。
はは。
……でも。
でも?
…いつかはこうなるって、どこかで思ってた。
そっか。
…だから。
私は蓉子を少し、甘く見てたかもしれない。
…。
ごめん?
…謝れば許してもらえると思ってる?
うん。
だって蓉子は私に優しい。
自惚れないで下さる?
厳しいけど…最後は優しい。
……。
…蓉子。
…。
……む。
ばか。
……やっぱり、だめだったか。
流されると思ったら大間違い。
…いけると思ったんだけどな。
…。
でもま、ぁ…。
…ばぁか。
………え、と。
何かご不満でも?
いや、無いよ。
そう。
…どうせなら、唇が良かったけど。
するわけ、ないでしょ。
それは残念だ。
…。
しばらくは帰らないよ。
…分かってるわ。
それでも
ついていく。
…そっか。
…。
蓉子。
…なによ。
好きだよ。
……。
さ、行こうか。
…ええ。
−La pareja muy bonita.
…。
聖、コーヒー。
…ん、Gracias。
ふふ。
…ん?
なに?
もう、普通になっちゃってる。
何が?
Gracias。
…あぁ。
日本に居た頃じゃ考えられないわね?
あんまり身近じゃなかったからねぇ。
世界では英語と中国語に次ぐ言語なのにね。
らしいね。
普通に喋ってるし。
まぁ、ちょっとした会話だけどね。
それでも凄いと思うわ。
蓉子もね。
私?
普通に喋れてる。
…日常会話程度だけど。
十分さ、それだけで。
…。
…。
…さっきから何を見てるの?
あれ。
…あれ?
…いや、かわいいなぁ、と思って。
ほら、赤髪と金髪の…ね。
…。
…やきもちはやかなくて良いよ?
…やいてませんから。
ふたり。
…?
…多分、そうだよ。
……雰囲気が?
うん。
…かわいいね。
…出歯亀?
こんな街中でも?
…。
良いなぁ。
…羨ましいの?
でも、無いけど。
…何それ。
だって私はされないから。
…誰にされたいの。
私と一緒にいるのは誰?
……。
ま、良いけどね。
蓉子はあの子のようなタイプじゃないし。
…どれだけ眺めてたのよ。
コーヒーが来る間?
…飲み終わったらさっさと行きましょう。
−Te he querido siemple.
蓉子。
ん?
こっちこっち。
何よ?
はい、ここ。
…何で?
決めようと思って。
今夜はひとつしか無いから。
…。
どうする?
私は別にどっちでも良いよ。
…選択肢は?
私が寝る、か。
蓉子が寝る、か。
あとは。
…あとは?
一緒に寝る、か。
…。
三番目は無いでしょ?
…。
それとも、あり?
…。
あはは、そんなに神妙な顔しなくても良いって。
私はあっちで寝るから。
…椅子?
うん。
結構、寝られるもんだからね。
…。
じゃ、決まりね。
聖。
ん?
…。
なぁに、一人じゃ寝られない?
いいえ。
…。
…違うのよ。
…そ。
…。
シャワー、先に
聖。
……。
……。
…蓉子。
きゃ…。
…手荒で、ごめんね?
聖…。
…でもさ、そんな顔されるとその気になっちゃうんだよ。
私はダメな人間だからね…。
…ぁ。
…ねぇ、蓉子。
…。
こんなとこまで追いかけてきてくれたんだから…。
…。
……勘違いしても、仕方が無いと思うんだ。
…嘘。
嘘…?
私相手じゃそんな気、起きないくせに…。
…じゃあ、試してみようか?
あ…。
……ねぇ。
…せ、い。
…。
ん…ッ
…声、我慢しないで良いよ。
……せぃ。
…。
せぃ……。
……ふ。
…え。
冗談だよ。
…少し痕つけちゃったけど。
………。
よ、と。
シャワー、お先にどうぞ?
…ッ
聖…ッ
ん……わ。
…。
…蓉子、苦しい。
…。
蓉子、死んじゃうって。
……ばか。
じゃ、蓉子がベッドでって事で。
おやすみ。
…。
明日はどこ行こうか。
…聖。
何にせよ、良く寝ないとね。
ほら、お肌にも悪いし?
聖。
てわけだから、おやす
聖!
なに?
…。
なに、椅子の方が良かった?
…その態度、腹が立つのよ。
なんで?
…。
そんなに怒らないでよ。
さっきので怒ってるのなら謝るからさ?
…。
蓉子、折角の綺麗な顔が
こっちに来なさい。
お…。
早く。
行かないよ。
来なさい。
やだ。
早く。
いやだ。
聖。
ベッドは蓉子。
椅子が私。
…ッ
聖…ッ
なぁに?
…お願いだから、こっちに来て。
誘ってる?
……どうして。
ん?
そんなに私が嫌?
…。
そんなに…。
蓉子。
……。
そんな事、私は一言も言って無いよ。
……だったら。
狭いじゃない?
二人で寝たら。
…。
くっつかないと眠れない。
…だから。
だから。
…。
一度くっついたら……ね。
…。
だから、今はこれで良い。
……。
さ、蓉子。
おやすみ。
…聖。
…蓉子はあったかいから。
…。
……私は蓉子のそれに、弱いんだ。
…。
だか、ら…。
……それでも、いい。
…。
……だから、お願い。
……。
……。
…。
…。
…蓉子。
…なに。
狭くない?
…聖は?
教えない。
…じゃあ私も教えない。
けち。
人の事、言えない。
…。
…。
…蓉子。
…なに。
躰、動かしても良い?
…どうぞ。
本当に?
本当に。
…。
…。
…蓉子。
…なに。
……何でも無い。
……そう。
…。
…。
…。
…聖。
…なに?
あったかいわ。
ん、そうだね。
…。
…。
…聖。
…蓉子の手、あったかい。
……。
…おなかも。
……。
…また、明日。
……ええ、また明日。
…。
おはよう。
……おはよ。
起きてる?
……ふぁぁ。
顔、洗ってきなさい。
んー…。
…こら。
…もうちょっとねてたい。
聖。
…。
聖ってば。
…いそぐたびじゃないし。
…。
…ようこも、おいで。
あのねぇ…。
……。
聖、本当に…わ。
…つかまえた。
……あのねぇ。
……いいから。
…何が。
いいから…きぶんが。
……言葉がおかしくなってる。
……。
…とりあえず、はなしてくれないかしら。
……あと30分だけ。
…長いわよ、それ。
……。
聖。
…ひさびさ、だった。
…?
久々…?
……ねた、ってかんじなのは。
………。
…だれかのおかげ。
……だれかってだれ?
だれかは…だれか、だよ…。
…。
…だから。
…ちゃんと、おしえて。
…。
教えてくれなきゃ…いや。
……。
…。
……おしえてあげるから、おいで。
…。
…じゃなきゃ、おしえてあげない。
…。
…。
……ずるい、ひと。
…。
…それで?
…なにが?
教えてくれるのでしょう?
…そうだっけ?
…。
うそ…おしえるよ。
…耳元はやめて。
いや…?
…いや。
そっか…ざんねんだなぁ。
それで、だれなの?
…そのまえに。
…。
にげないで…?
…逃げないわよ。
言ったでしょう?
…どこまでも、ついてくる。
けど…。
…。
わたしがいっているのは…いまのことだよ。
…どうして逃げる必要があるの。
……。
…。
…キス、してもいい?
…だめ。
どうして?
ちゃんと聞かせてもらってないから。
…どうしてもききたい?
…ききたい。
じゃあ、キスして…
…。
…あ、おこった。
……聖。
にげる?
…にげない。
けど、なぐりたい。
はは…それはかんべん…。
……はぐらかしてばかり。
…。
ばか。
…うん、しってる。
…。
…蓉子。
ん…。
……もう、だめだよ。
…。
もう、もどれない。
…。
……温もり無しに、私は。
……。
眠ることも、ままならない。
……聖。
全部、蓉子のせいだ…。
…。
蓉子が…。
…。
……。
……戻る、必要なんて。
−corridors of time
若しも、分岐点に戻れるのなら。
…。
貴女はどうしたいかしらね。
…同じ道を歩むと思います。
それはどうして?
…そうしなければ。
今の私にはなれません。
なる必要なんて、あるのかしら。
…。
違う道を選んだとしても、それでも自分以外の者にはなれないわ。
…なりたいのですか。
なれたら…どんな気分かしら?
分かりません。
至極真っ当な答えね…退屈だわ。
面白い答えを言ったつもりもありませんから。
…私達も。
…。
どこか、行ってみようかしら。
誰と行くのですか。
…ん?
私達と仰ったので。
…さぁ、誰が良いかしらね。
妹、孫…曾孫も良いかもしれないわね。
互いをあまり知らないだけに楽しめそう…。
…離しませんよ、屹度。
それに…。
…それに?
向こうはある程度の事なら知っていると思います。
へぇ…?
…話していましたから。
でも私は知らないわ。
聞いてないから。
……。
…どこが良いかしら。
どこが良いと思う?
お好きなところへ…。
…ふむ。
……。
あいつらが居る場所は…面白く無いわね。
真似事のようで。
…寧ろ、その行動自体が既に真似事のようですが。
ええ、然うね。
その通りだわ。
…。
……で。
…はい。
戻れたら、貴女はどうしたい?
戻りたいと思いません。
…。
それは貴女も、l屹度。
貴女が望むのは…。
…。
…先だけだと、思いますから。
先…つまり、未来?
…分岐点は。
過ぎてから気付く事ばかりだと思うのです。
…。
けれどそれを…貴女は屹度、自分の望んだようにしか進まない。
だから、後悔をしようが無い。
…そこまでの人間じゃないわよ、私だって。
少なくともお姉さまや蓉子さまとは違うでしょう?
…聖や、蓉子ね。
…過去は取り戻せません。
あるのは所詮、今だけです。
未来は?
いつかは今になり、そして過去になります。
思った形に掴む事なんて出来ません。
…然うなのだけど。
…だから、私は。
今しか要りません。
…。
…私にとって。
今は…。
…莫迦な子ね。
お姉さまが…莫迦、と呼ばれているお方ですから。
あれは…いえ、然うね。
莫迦だわ、とても。
…。
…今頃、その莫迦さ加減が酷いものになってると思うわよ?
ふふ…でしょうね。
…。
…。
……ねぇ。
…はい。
…貴女の体温は低いわね。
良く言われます。
…温いわ。
はい…。
……。
……。
エル・カザド祭真っ只中でした。
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