…ねぇ、杏子。 今日、何が食べたい…? んー…カレー。 えぇ。 それならそうと早く言ってよ。 カレーは一晩寝かせた方がおいしいんだから。 じゃあ、カレーうどん。 …えぇ。 なんだよ、聞いたのはさやかだろ。 …そうだけど。 でもなんで、カレーうどん…。 食いたいから。 …カレーが? さやかのカレーは…うまいからな。 …。 まぁ、カレーで失敗するヤツは早々いないらしいからな。 …もう、何よそれ。 さやかのカレーうどんが食いたい。 …むぅ。 さやかは? …? さやかは、何が食いたいんだよ。 …言えば、作ってくれるの? それはない。 …言い切らないでよ。 あたしはさやかの作った飯がいいんだ。 …。 …なんだよ。 ううん…じゃあ、さ。 あん? …洗いもの、して。 はぁ? 今までどおり、ごはんはあたしが作るから。 洗いものは、これからは杏子がして。 なんであたしが …ちゃんと言えって言ったのは、杏子。 あぁ? …。 …。 ……して? やだ。 …。 …。 …して。 しつこい。 …じゃあカレーうどん、作ってあげない。 …。 …食べたいんでしょ? あたしのカレーうどん。 ……。 約束してくれなきゃ、ずっと、作ってあげない。 カレーうどんだけじゃなくて、カレー全部。 …ずっと、か? そう、ずっと。 …。 ああ、杏子ちゃんはこれからはレトルトのカレーしか食べらないのだった。 ……。 …それでも、いいの? …。 …。 …分かった、やる。 ほんと? カレーが食えなくなるのは困る。 死活問題もいいところだ。 …大袈裟。 なんだよ。 んーん。 じゃあ、約束。 …しょーがねぇな。 背に腹は代えられねぇし…。 えへへ…。 ……。 …? なに…? …別に。 なんでもね。 ほんとに? ほんとだよ。 …ふーん。 …。 …。 …機嫌、直ったか。 …。 …さやか。 杏子。 …なんだい。 ちゃんと…聞いてね。 …。 …あたしの、言うコト。 ああ、聞くよ。 約束、したからな。 …うん。 …。 …。 …そうだ、さやか。 たいやき、食わないか? え? たいやき。 …カレーうどんの前に? いいだろ。 帰り、寄っていこうぜ。 …。 さやか。 …もう、しょうがないなぁ。 それで、今日の中身は何にするの? そんなの、決まってるだろ。 定番のあんこ? 違う。 じゃあ、カスタード? それも違う。 じゃあ…チーズ? それはマミんとこのちびだろ。 じゃあ…。 今日はなんの日だよ、さやか。 なんの…? 貰ってばかりじゃ、あたしの気が済まないからな。 だから今日は…その、奢ってやる。 ……。 分かんないのかよ。 …んーん、分かっちゃった。 だったら、行くぞ。 …ん、行こ。 おう。 買い物も、忘れないでね? 分かってるよ。 荷物、持てばいいんだろ。 ん…。 にゃーん…。 …。 ……。 …おい、こら。 あたしの腹はあんたの寝床じゃねーぞ。 他行け、猫。 ……。 …どこの猫だよ。 がっこの敷地に入ってくるなんて、変わったヤツだな。 …にゃぁ。 …。 …。 …たく、しょーがねぇなぁ。 今だけ、だぞ。 にゃ…。 ……。 随分と、懐かれたものね。 …こいつが勝手に寄ってきただけだ。 …。 …。 …あの子は? 珍しく、姿が見えないようだけれど。 …いわく、花を摘みに。 あんたこそ、一人なんて珍しいじゃねーか。 職員室に。 へぇ、あいつが。 珍しい事も 貴女達と一緒にしないで。 …言っとくけど、日直の用事以外では呼ばれた事ねーぞ。 …。 …。 …随分と、懐かれたものね。 寝心地はいいもんじゃねーと思うんだけどな。 …。 …。 …恋慕。 …。 それから、自棄。 …何が言いたい。 貴女の中には何が残っているのかと思って。 何の話だよ。 …さぁ。 ……。 あの子は、さぞかし重たいでしょうね。 それこそ、自分を棄てなければ付き合いきれないような気がするわ。 …あたしの中、は。 …。 別に何も残っちゃいねーよ。 …そう。 それは、良かったわ。 もう、行けよ。 さやかが戻ってくる。 …ええ、そのつもりよ。 まどかも戻ってくるでしょうから。 …。 …。 …おい、ほむら。 何かしら、杏子。 こいつ、どっかに連れて行ってくれ。 このままじゃ、いつかれちまう。 あの子みたいに? …。 …。 …寧ろ、いついてるのはあたしだよ。 だったら。 …あぁ? さっさと事を、先に進めて。 これ以上、まどかの手を煩わせない為に。 …事ってなんだよ。 事は事よ。 …。 それから。 その猫はどうやら、貴女のお腹の上が気に入ったようだから。 …。 …それに、首輪も付いてるようだから。 …。 ……貴女にも、付いてるようだけれど。 は? …。 おい、ほむ それじゃあごきげんよう、杏子。 はぁ? ………。 …にゃぁん。 ……結局何しに来たんだよ、あいつ。 …こ。 ……。 杏子。 …ん? 何、ぼうっとしちゃって。 もしかして食べ過ぎちゃった? いや、そうでもない。 あたしの分も食べておいて? うまかった。 ごちそうさん。 満足? ああ、満足だ。 だけど、さやか。 なに? あんまり食べなかったけど、寝る時になって腹すかないか? たいやき、食べたから。 杏子みたいには食べられないよ。 …食、ほせーのな。 だーかーら、杏子が太いだけなの。 …そうかい。 ……。 …なんだ。 ……たいやき、ありがと。 …。 …すごく、おいしかった。 いつもよりずっと、おいしかった…。 …。 でもバレンタインにチョコのたいやきって…杏子らしいね。 おまけに夕ご飯のリクエストにカレーうどんだし…。 …なぁ、さやか。 なぁに…。 …そろそろ、さやかのくれよ。 まだ食べられるの…? …別腹だ。 ……。 ……。 …ちょっと、待ってて。 うん。 ……。 ……。 …杏子。 …おう。 はい…ハッピーバレンタイン。 …。 …受け取って、くれる? 当たり前だろ。 …。 開けて、いいか? …ん、開けてみて。 …。 …。 これ、手作りなのか…? …ん、一応。 マミさんに教えてもらったの…。 マミにか。 ね…食べてみて? …今、食おうと思ってたとこだ。 ……。 ……。 …どう、かな。 …。 …杏子。 ん、うまいな。 …ほんと? ああ、うまいよ。 …良かった。 なぁ、さやか。 …ん? その…ありがとな。 …どういたしまして。 …。 …。 …洗いもの、あたしがするんだったな。 ちゃんと覚えてた…? …忘れたなんて言ったら。 カレー、作ってもらえなくなっちゃうだろ? …そのとおり、です。 しょうがねぇ、ちゃっちゃっとやっちゃうかな。 ねぇ、もうチョコいらないの…? 終わったら、食うよ。 すぐに食っちまったら…その、勿体ないだろ。 …。 …さて、やるかな。 ……。 ……ん? …。 …さやか? ……あの、ね。 おう…。 …あたしの話、ちゃんと聞いてくれるんだよね。 今か? …うん。 …。 あたしの…なけなしの勇気が、萎んでなくなってしまう前に。 …。 …だから。 …分かった。 …。 さやか。 …杏子。 ……。 ……。 …後に、するか。 ううん、今がいい…今が、いいの。 …。 …あの、ね。 うん…。 …あたしは、杏子が。 ……。 あなたが…ずっと、好きだった。 …この無情、あたしだけならば。 …。 あたしだけ、求めてくれるなら。 …。 この無情、あたしだけならば。 …。 あたしだけならば、受けようぞ。 …。 …あたしだけならば、受けようぞ。 …やっぱ、すごいな。 そう…? …相変わらず、首の辺りがぞわぞわする。 昔もそんな事、言ってたね…? …多分、さやかの声だからだ。 ……。 CDの声もすごかったけど。 でも、それ以上に…クるんだ。 …あたしの声、そんなにクる? ああ…ぞわぞわする。 その歌は特に。 …。 さやかの…なんて言うんだろな、こういうの。 …情念。 …。 なんて、さ…。 ……。 …杏子。 ん…? ハッピーバレンタイン…。 …おう。 今年はね、初心に返ってトリュフチョコしてみたの。 最初にもらったヤツか。 …うん、そう。 開けて良いか? 勿論。 …。 …。 …なんか、懐かしいな。 でしょ…? 食って、良いか? …どうぞ、めしあがれ。 じゃあ、頂きます。 …。 …。 …どう? うまい。 …。 …うまいよ、さやか。 ん…良かった。 ……。 ん…、きょうこ…。 ……。 ……。 …な? ……もう。 貴女にあげたのに、返さないでよ…。 うまいものは、分かち合えば良い。 二人、なんだからな。 …。 …ありがとう、さやか。 あたし、こそ。 …ん、さやか。 チョコのたいやき…嬉しかった。 …。 …杏子はやっぱり、杏子だね。 どんなに時間が流れても。 …あたしは、あたしだよ。 変わらない。 …そんなあなたが、好き。 …。 大好き。 …ありがとう。 …。 …そんなさやかが、好きだ。 うん…うれしい。 …。 …でも、忘れないで良いね。 うん…? …告白、記念日。 ……。 ほら、なんでもない日だったら…杏子、忘れちゃいそうじゃない? お前なぁ…。 …忘れない自信、ある? …。 ある…? ……少しくらいは。 ほら、やっぱり…。 …なんでもかんでも記念日にしてたら、毎日がそれになっちゃうだろう。 だめ…? …だめ、じゃないけど。 でも、毎日じゃ…それが普通になっちゃうだろ。 そしたら、記念日って言えるのかどうか…。 …。 ん…。 …失恋記念日にならなくて、良かった。 …。 ……ありがとう、杏子。 ばか。 …あ、ぅ。 失恋した日なんか、記念日にならねぇよ。 …そうならなかったから、言えるのよ。 …。 …ならなかった、から。 ……。 …にぶちん杏子。 うるせ。 …ふふ。 あ…。 ……さやか。 きょうこ…チョコ、は…。 …いっぺんに食ったら、勿体無いだろ。 それよりも、今は…。 これは…いっぺんに食べても、いいの。 …分けて食うのは、難しいんだよ。 これは…。 …ん、……んぅ。 ……。 ……きょうこのなか、あまい。 …だから、何度も食うんだ。 ……。 そう、何度も……。 …その度、いっぺんに? ああ…そうだよ、さやか。 ……。 …くっていいか、さやか。 ……なんど、でも。 …。 ……どうぞ、めしあがれ。 Song... “無情” 笹川美和 BGM... “Conturbatio” from Puella Magica Madoka Magica 梶浦由記 “Decretum” from Puella Magica Madoka Magica 梶浦由記 “Feliciter” from 魔法少女まどか☆マギカポータブル ……。 ……。 …おはよう、さやか。 おはよう…杏子。 …腹、へった。 そう言うと、思った…。 …今日の朝飯は、なんだ。 茄子のお味噌汁と…あと、杏子の好きなベーコンエッグを作るつもり。 それから、ハネムーンサラダ。 …ハネムーン? なんだ、それ…? レタスだけのサラダの事なんだって…。 …へぇ。 でも、なんでだ…? レタスオンリー…レットアスオンリー。 …。 …どうせ、あたしは発音が悪いですよ。 ああ、「Let us only」か。 言われてみれば…音、似てるな。 …ごはんは、炊けているハズだから。 さやか。 …なに? 聞いたら、余計に腹がへった。 …しょうがないなぁ。 特別に玉子、二つにしてあげる。 おう。 …。 顔、先に洗ってこいよ。 うん…。 ……。 …ねぇ、杏子。 うん…? ……。 …さやか? ……夢じゃ、ないよね。 …。 夢じゃ…ないんだよね。 …ああ、夢じゃないよ。 あたしは…杏子の、なに? …朝から言わせるのかよ。 だって、確かめないと…不安なんだもん。 …。 …ねぇ。 ……恋人、だよ。 …。 さやかは、あたしの恋人だ。 昨日から、そうなったんだ。 ……。 …遅刻、しちまうぞ。 朝飯抜きなんて、あたしは絶対嫌だからな。 …分かってる。 ……。 ……ね、杏子。 …。 …やっぱり、後にする。 ごはん抜きなんて事になったら、一大事だもんね。 分かってるじゃねぇか。 ずっと、見てきたから。 …。 …そう、ずっと。 ……。 さて、今朝も腕によりをかけて さやか。 …? なに…? 好きだ。 …。 好き、だから。 …うん! ごちそうさんでした。 今朝もうまかった。 はい。 よし。 じゃあ歯磨きして、学校に行くか。 その前に洗いもの。 帰ってきてから だーーめ。 …時間が まだ、大丈夫。 だからよろしくね、杏子? …分かったよ。 ふふ。 ……。 ……。 …そういやさー。 なに? さっき、言いかけたこと、あったろ? なんだ? …。 さやか? …え、とね。 おう。 …途中までで、いいからね。 ? うん。 …手、繋いで行きたいなって。 は? と、途中まででいいから。 途中までって。 ちょ、ちょっとだけでもいいの。 …。 マンション、出るまでとかでもいいから。 …さやか。 だ、だめ…? 髪、はねてる。 …え? 右、後。 少し、だけど。 マジで? おう、マジ。 …さっき直したのに! はは。 笑い事じゃない…! 短いと、洗うのはラクだけど寝癖が目立つよなー。 長くても目立つじゃない! あたしのは元々、はねてるんだ。 知ってるだろ? あーもう…。 …。 …結局、はぐらかされちゃうし。 さやか。 …なに。 マンション、出るまでだからな。 …え。 手。 …! まぁ、マンションから出ても…その、少しくらいならな。 杏子! …うぉ。 約束、だからね。 絶対、だからね。 ああ、分かった分かった。 ほれ、早く歯ぁ磨いて髪、直してこい。 うん! ……。 んーー♪ …よし、これで終わりだ。 あたしも…と。 …。 さやか。 帰りも。 …。 …繋いでね。 それ、今言わなくてもいいだろ。 いいの、言っておくの。 …あぁ、そうかい。 繋いで…くれる? ああ…繋いでやる。 だから髪、早く直した方がいいぞ。 言われなくても。 …。 杏子。 今度はなんだい? リボン、曲がってる。 …。 杏子ちゃんはしょうがないなぁ。 いつも、曲がってて。 …苦手、なんだよ。 知ってる。 後で直してあげるねー。 …うん、頼んだ。 ふふ、頼まれたー。 …さやか、まだかぁ。 焦らないの。 …。 はい、これでよし。 うん、完璧。 …動いていいか。 うん、いいよ。 で、あたしは? 髪、どう? ああ、ちゃんと直ってるよ。 …あ。 ん? …。 さやか、どうした? …いきなり、触るなんて。 不意打ちだよ…。 ? いつもしてるじゃないか。 そう、だけど! でももう、昨日までとは違うの! …お。 恋人、なんだから…だから、意味が違うの。 …そういうものなのか? そうなの! お、おう、分かった。 とにかく、違うんだな? …。 じゃあ、あまり触んないように だめー! …は? むしろ、触って。 触ってくれないと、いや。 …えーと。 つまるところ、あたしはどうすればいいんだ…? …。 さやか…? …触って。 …。 触って…たくさん。 今まで以上に…触って、欲しい。 ……。 …特別、なんだから。 ……うん。 だ、だから杏子の髪もいっぱい触らせてね。 お、おう、分かった。 …ん。 とりあえず、今までとは違うってことなんだよな? …そうだよ。 なんかよく分かんねーけど、でも、分かった。 …うん、今はそれでいいよ。 …。 …。 …よし。 じゃ、今日も学校に行くか。 うん。 じゃあ杏子、今日のお弁当。 おう、ありがとな。 さやか。 どういたしまして。 …。 …。 …さやか、手。 うん…。 …。 …。 …なんか、あれだな。 あれって…? …やっぱ、なんでもね。 照れてる? …そんなんじゃねーよ。 ふふ、図星だ…。 …うっせ。 ほら、行くぞ。 うん、行こ。 …。 …。 『行ってきます!』 それで、どうするの? …。 …あ? 貰ったバレンタインのチョコレート。 勿論、お返ししないとね? …。 …しないと、駄目なのか。 受け取ったなら、そうね。 味、どうかしら?今回は趣向を変えてブラウニーにしてみたのだけれど。 アイスクリームと合っていてとってもおいしいです、マミさん。 ね、ほむらちゃん。 …そうね、美味しいわね。 マミの作るケーキは大抵、おいしいのです。 大抵って何かしら、なぎさ。 チーズのならもっとおいしいって意味なのです。 もう、なぎさは本当にチーズが好きよねぇ。 たまには違うのも食べないと駄目よ? …。 …さ、さやか。 それで、佐倉さん。 勿論、ホワイトディにお返しするのでしょう? こうして、食べてしまっているのだし。 …。 やる。 うん? あたしは食わない、みんなにやる。 なぎさ、あたしの分も食っていいぞ。 わーい、いただくのです。 おう、食え。 だとしても。 一口は、食べたわよねぇ。 …う。 ねぇ、美樹さん。 美樹さんだったら、どうする? 受け取った以上、お返しはするべきよね? ……。 マミ、止めろ。 あら、何をかしら? 鹿目さん、暁美さん、二人ともお茶のお代わりが欲しかったら言ってね? はい、ありがとうございます。 お取込み中のようだから、勝手に頂くわ。 これで良いのでしょう。 ええ、じゃあ暁美さんに任せるわ。 …あたしは。 うん? 返すべきだと、思います。 さやか。 うん、それで? …でも。 さやか、あたしは あたしは、 今は色んなチョコがあるよね。 …まどか? 鹿目さん、と言うと? 義理チョコは前からありますけど…友チョコとか、自分へのチョコとか。 想いを伝える手段としては聊か古いような気がするわね。 絶滅したわけではないでしょうけど。 …。 …。 だからね、そんなに難しく考えないでいいんじゃないかなぁ? むしろ、考えすぎだと思うのです。 なぎさもチョコもらったけど、ぜんぜん、そんなのなかったです。 …。 …。 それで、どうするの? 返す?返さない? …杏子。 お、おう…。 …いつも見てますって言ったヤツ以外なら、返していいよ。 え…。 …そいつは、なんか、いや。 と言われても…。 …なに。 実は覚えてないと言うか…。 …は? 名前、知らねーし…顔も、今となっちゃ覚えてない。 あ、あんたね…。 だってよ…興味、ないし。 じゃあなんで、チョコ受け取るかなぁ…! も、もう、貰わないよ。 そういう問題じゃない…! さやか、近い、顔が近い。 はぁ。 やっぱり、佐倉さんは佐倉さんね。 …杏子ちゃん。 安定の美樹さやかばか。 納得、なのです。 て、おい、誰だ美樹さやかばかって言ったの。 間違ってはいないものねぇ。 ねぇ、みんな? …そう、ですね。 全く、間違ってはいないわ。 全然、間違ってないのです。 おい、ほむら。 あんただろ、言ったの。 さぁ? しれっとした顔で、髪、ふぁさぁってやってんじゃねぇ。 まどか、お茶を淹れるわ。 ありがとう、ほむらちゃん。 なぎさちゃんもいる? はい、なぎさも欲しいのです。 ほむらちゃん、お願い。 ええ、分かったわ。 まどか。 それにしても、さやかと杏子。 やっと、くっつきやがってよかったのです。 本当にねぇ。 おめでとう、二人とも。 しあわせにね、さやかちゃん。 杏子ちゃん。 くっついたらくっついたで、新たな問題が待ってそうだけれど。 今は祝福しておくわ。 末永く爆発しろ!なのです。 ……。 …なんだ、この流れ。 ブラウニーはお熱いうちに。 二人の仲のように、ね。 …。 …あたしは食わな やっぱり、マミさんが作ったのはおいしいな…。 さやか? だから…杏子も、食べなよ。 でも 一緒に食べよ…? いいのか。 …今回だけだから。 次は、ないから。 …うん、分かった。 ……ね、おいしいでしょ? ああ、うまいな。 流石はマミだ。 …。 でも、さやか。 …なに。 さやかに貰ったのが一番だからな。 …。 …一番、だからな。 …。 …。 …もう、貰わないでね。 うん…。 …やれやれ。 この様子だとまた、ひと悶着もふた悶着もありそうねぇ。 …ですね。 面倒な二人ね。 それと巴マミ、表現が古いわ。 江戸時代? マミはわりと時代劇が好きなのです。 再放送、見てるくらいなのです。 なぎさ? マミのケーキはやっぱり、おいしいのです。 ありがとう。 …杏子。 …うん? おいしいね。 …マミが作ったから、な。 …。 でも…あたしには、さやかのが一番だ。 それ、さっきも聞いたよ…。 …。 …でも、うれしい。 すごく、うれしい…。 さやか…。 …杏子。 はいはい、そこのお二人さん。 お茶のお代わりは如何かしら…て、そうね、飲んでる暇なかったものね。 勝手に二人の世界に入るのは構わないけれど。 浸るのならば、二人きりになってからの方が良いと思うわ。 ちゅーしやがれ、なのです。 え、と。 杏子ちゃん、さやかちゃん、わたしたちのこと、忘れないでね? …。 …。 …うまいな。 うん…。 |