四 季















  春








   今年も咲きましたね。


   …。


   加賀さん。


   …ええ、然うですね。
   見事なものです。


   はい、とても。


   …赤城さん、お茶が冷めないうちに。


   有難う御座います、加賀さん。


   …どういたしまして。


   お茶請けはお団子、ですね。


   はい。


   加賀さんと買ってきた…


   赤城さんと、買ってきた…。


   …。


   …。


   屹度、とても美味しいと思います。


   …お茶に合えば良いですけど。


   合いますよ、屹度。


   …赤城さんが言うのなら、然うですね。


   加賀さんも言って下さい。


   私も、ですか。


   然うです。
   そもそも二人で選んで買ったものです。
   合わない筈が無いのですよ。


   …。


   だから、言って下さい。


   …分かりました。
   屹度、合うでしょう。
   貴女が


   貴女と私が。


   …貴女と私で、選んだのですから。


   はい。


   …どうぞ、赤城さん。


   はい、頂きます。
   加賀さんもどうぞ。


   …はい、頂きます。


   ……。


   ……。


   …うん、美味しい。


   …ですね。


   ……ふふ。


   …嬉しいのですか?


   はい、とても。
   加賀さんはどうですか。


   …私も、嬉しいです。


   ふふ…。


   …ふふ。


   ……。


   ……。


   …綺麗ですね。


   はい…とても。


   …今年もまた、一緒に見られましたね。


   はい…今年も一緒に。


   ……。


   ……赤城さん。


   …来年も、一緒に見ましょう。


   ……。


   ……来年も、屹度。


   …はい、屹度。


   ……。


   …桜は、綺麗な花ですね。


   …少しだけ、切ないけれど。


   だからこそ…美しいと思えるのかも知れません。


   …加賀さん。


   はい…え。


   ……。


   あかぎ、さん……。


   ……餡子が、付いてました。


   ……。


   …冗談です。


   ……冗談、ですか。


   はい…一寸した戯れです。


   ……。


   …お茶も、お団子も。
   とても、美味しいです…。


   …はい。


   ……でも、加賀さん。


   …。


   …桜が綺麗だと思うのも。
   お茶やお団子が美味しいと思えるのも。
   全て、貴女が私の隣に居てくれるからこそ。


   ……。


   …だから。


   ……赤城さん。


   …私の存在が貴女にとっても、然うだったら。
   幸福な事はありませんね…。


   ……この世の事、全て。


   ん…加賀さん。


   ……貴女が居るから。


   ……。


   …全ては赤城さん、貴女が私の隣に居てくれるからこそ。


   ……


   …どうか。
   どうか、ずっと隣に…。


   ……貴女が私の隣にずっと、居てくれるならば。


   …。


   ……その願いは必ず、叶います。
   そして、私の願いも…。


   …はい。


   ……。


   ……。


   ……ところで。


   …はい、何ですか。


   ……餡子、付いてませんか。


   え…。


   ……私、の。


   ……。


   ……鈍いですね。


   …すみません。


   ……良いです、そういうところも好きですから。


   …。


   …。


   …赤城さん。


   …何ですか、加賀さん。


   ……唇に餡子が付いてますよ。


   ……。


   ……。


   ……取れ、ましたか。


   ……はい。








  









   ……暑い。


   …。


   …加賀さん、暑いです。


   ……すみません。


   加賀さんの事では無くて……夏、夏だからです。


   …それだけでは無いと思います。


   そもそも字が違います。


   …字が、ですか。


   然うです。
   手を貸して下さい。


   …はい。


   ……私が言っているのは。


   …。


   そして…加賀さんが言っているのは。


   …。


   分かりましたか。


   ……どちらにせよ、大した違いは無いように思えます。


   違います。


   …。


   違いますよ、加賀さん。


   …分かりました、赤城さん。


   ……。


   …あの。


   ……何ですか。


   手…そろそろ、お返し願いたいのですが。


   嫌です。


   …赤城さん。


   ……。


   …けれど、熱くは無いですか。


   ……。


   あの、赤城さん…?


   蝉の声。


   …はい?


   加賀さんはどの声が好きですか。


   え、えと…。


   私は…蜩のはあまり好きではありません。


   蜩、ですか…。


   …どこか物悲しい、そんな気がするから。


   ……。


   …加賀さんはどうですか。


   然うですね…蝉の声はそもそも、やかましいのであまり好きではありません。


   …誰かを思い出す?


   誰か…?


   …貴女のお気に入りの子。


   そんな子、居ません。


   …そうかしら。


   然うです。


   …ならば、然ういう事にしておきましょうか。


   しておく、では無く、然うなのです。


   …はい、分かりました。


   ……。


   …加賀さんの手、好きですよ。


   ……私は赤城さんの手が好きです。


   …。


   ……すみません、一層熱くなったかも知れません。


   …然うですね。
   とても熱いです…。


   …離して頂けますか。


   いいえ…離しません。


   ……。


   …ねぇ、加賀さん。
   私、良い事を思いつきました。


   …それはどんな事でしょうか。


   かき氷を、食べに行きましょう。


   かき氷ですか。
   良いですね、行きましょうか。








  









   …ふぅ。


   …大丈夫ですか。


   大丈夫です。
   これくらいなら、私でも。


   …大分、涼しくなってきましたね。


   はい、大分過ごしやすくなりました。


   こういう時に人の子は体調を崩します。
   どうかご自愛下さい。


   有難う。
   加賀さんも。


   …はい。


   ……人の躰と言うのものは。


   …。


   兎角、脆いものですね。


   …然うですね。


   心と言うものも…なかなか厄介だと思います。


   …はい。


   ですが。


   …。


   人で無ければ、分からなかった事も沢山有ります。
   例えば、このお酒の味。


   …上手く浸かりましたね。


   はい、とても。


   杏が沢山採れました。


   蒼龍や飛龍にも手伝って貰いました。
   お礼に分けたものはもう、飲み干されてしまったでしょうか。


   かも知れません。


   ふふ…。


   …飲み過ぎにはくれぐれも気を付けてください。


   大丈夫よ…だって、加賀さんが居るもの。


   …然ういう問題では。


   然ういう問題なんです…。


   …赤城さん。


   ……。


   …。


   …夜風はすっかり、冷たいですね。


   …何か羽織るものを。


   要らないわ…だって、言ったでしょう?


   …赤城さん?


   加賀さんが居るって。


   ……。


   …加賀さんとこうしていれば、羽織るものなんて要らないの。


   ……赤城さん。


   ねぇ、加賀さん…。


   …はい。


   ……月、綺麗ですね。


   然うですね…とても、綺麗です。
   流石は中秋の名月と呼ばれるだけありますね。


   …貴女なら、知っていると思ったのだけど。


   はい…?


   ……もう一つの意味。


   もう一つの意味…ですか。


   …然う。


   ……。


   加賀さん。


   …。


   月が、綺麗ね……。


   ……あ。


   ……。


   ……すみません。


   …分かりましたか?


   ……はい。


   …。


   …赤城さん。


   はい…加賀さん。


   月が、綺麗ですね…。


   ……はい、とても。


   ……。


   ……少し、酔ってしまいました。


   あかぎさん…。


   …かがさん。


   ……。


   かがさん……かがさん…。


   …あかぎ、さん。
   今、布団を…。


   ……このままでも、構いません。


   いけません…躰を冷やしてしまいます。


   …大丈夫よ。


   駄目です…幾ら私が居ると言っても。
   これだけは、譲れません。


   ……かがさん。


   …そんな声を出しても、駄目なものは駄目です。


   ……。


   ……直ぐに、済ませます。


   …。


   …あ。


   ……待てないわ。


   あかぎさん…。


   ……今直ぐに。


   …風邪を、召してしまいます。


   ……二度目からは、お布団で。
   それならば、良いでしょう…?


   そういうもんだい、では……。


   ……。


   …はぁ。


   ……溜息。
   それとも…。


   ……私から、離れないで下さい。


   …なら、離さないで下さい。


   ……。


   ……離さないで下さい、加賀さん。


   …勿論です。
   決して、離したりはしません…。


   ……。


   ……。


   ……あ。


   …辛かったら、言って下さい。


   ……だいじょうぶ、です。


   ……。


   …は、…あぁ。


   ……あかぎさん。
   あかぎさん…。


   ……ね、ぇ。


   はい……。


   ……つき、きれいですね。


   …はい、とてもきれいです。








  









   ……加賀さん。


   …。


   …朝ですよ、加賀さん。


   ……う。


   起きて下さい、加賀さん…。


   ……。


   …お早う御座います、加賀さん。


   ………おはよう、ございます。


   …。


   ……すみません、今は何時(ナンドキ)でしょうか。


   遅くはありませんよ。


   ……そう、ですか。
   はぁ……。


   …二度寝は駄目ですよ、加賀さん。


   ……分かっています。
   ですが……。


   …出たくはありませんよね。


   ……はい、出来れば。


   ならばもう暫し、こうしていませんか…?


   …していたいのはやまやまですが、身支度をしませんと。


   ……大丈夫ですよ。


   …?
   赤城さん…?


   …皆、未だ眠っている時分ですから。


   ……はい?


   すみません…いつもより未だ、早いんです。


   ……。


   …外が明るく思えるのは、雪です。


   雪……ああ、積もったんですね。


   …はい。


   ……。


   …怒っていますか。


   どうしてですか…?


   …起こしてしまって。


   いいえ…。


   ……本当に?


   本当ですよ…。


   ……。


   …何か理由があったのでしょうから。
   例えば…目が覚めてしまったとか。


   ……。


   …違いますか。


   ……違います。
   わざと、早く起きたんです。


   …わざと、ですか。
   けれど、昨夜は……ん。


   ……。


   …あかぎさん。
   まさかとは、思いますが…。


   …そのまさかと言ったら。
   加賀さんはどうしますか……。


   ……。


   …。


   ……赤城さんは元気ですね。


   …然う、なりますか。


   いえ……え、と。
   本当に然うなのですか…。


   ……。


   …若しも、然うならば。
   その……


   …応えて、呉れますか。


   ………はい。


   …ふふ。
   加賀さんも、元気ですね…?


   …頭が付いて行けてませんが。


   あ……。


   …それでも、躰が覚えているようです。


   ……。


   ……お応え、しようと思います。


   だめ。


   ……え。


   …。


   あ、あの…?


   ……本当は話がしたかっただけです。


   話…ですか。


   …昨夜はあまり、話せなかったから。
   いつもだったら、少し話をしてから眠るでしょう…?


   あ、あー……然ういう事、ですか。


   …。


   …すみません。
   昨夜は…えと、眠気が勝ってしまって。


   …その割にはきちんと、する事はしましたけど。


   う。


   ……ふふ。


   …赤城さん。


   ……雪、本当に積もっているのならば。
   小さい子達の喜ぶ声が、いずれ、聞こえてくるでしょう…。


   …騒がしくなります。


   嫌いではないくせに。


   ……けれど、人が本を読んでいる時は勘弁して欲しいですね。


   …加賀さんが一度(ひとたび)本を読み始めると、私すらも見えなくなりますよね。


   ……。


   …否定は、しませんね。


   ……すみません。


   …良いですよ。
   ただ、少しだけ寂しいだけですから…。


   ……赤城さん。


   …駄目です。
   私は話がしたいんです…。


   ……。


   …加賀さん、私ね。


   ……はい。


   人の躰を得て…最も嬉しかった事は加賀さんに触れられるようになった事です。


   …私に。


   そして…触れて貰う事も出来る。
   然う、こうやって…。


   ……。


   …加賀さんの手がこんなに熱い事、鉄の塊だった頃の私には。


   ……それは私も同じです。


   かがさん…。


   ……この躰はとても脆いですが。
   けれど……こうやって、貴女を抱きしめる事が出来る……抱き締めて、そして。


   ……そして?


   …貴女の命を確かめる事が出来ます。


   ……ああ。


   …心は時に厄介なものです。
   けれど…心はこんなにも。


   ……かがさん。


   …赤城さん、雪が融けると何になるか知っていますか?


   雪が融けると…ですか。


   はい。


   ……水、と言う答えでは無さそうですね。


   …はい。


   少し、考えてみても…?


   …勿論です。


   ではその間、私をずっと抱いていて下さいね…。


   …その間で無くても。


   ……。


   …。


   ……。


   …。


   ……春。


   …。


   …春ですね、加賀さん。


   ……その通りです。


   …ふふ。


   …なんでしょうか。


   加賀さんって…やっぱり。


   …私がやっぱりって。


   ……可愛い人です。


   …。


   ……本当に、可愛い人。
   私の加賀さん…。


   ……可愛いのは、貴女です。


   …。


   …え、と。


   ……私は貴女のでは無いのですか?


   ……。


   …。


   ……私の赤城さん。


   はい…。


   ……に、なって呉れますか。


   ……。


   …う。


   ……今更です、加賀さん。


   すみません…つい。


   …では、もう一度。
   今度は、許しませんからね…。


   …。


   ……。


   …私の赤城さん。
   私の…誰よりも、愛しい人…ん。


   ……。


   ……あかぎさん。


   …私の加賀、愛しい加賀。


   ……私の赤城、愛しい赤城。


   …これからも、ずっと。


   ……ずっと、お傍に居ます。


   季節が幾度、廻ろうと。


   …私は、私達は二人で。








  巡って、









   加賀さん。


   はい、なんでしょうか。
   赤城さん。


   綺麗ね。


   はい、とても。


   本当に。


   ええ、本当に。


   空も、花も。


   何より、貴女が。


   …。


   …。


   …加賀さん。


   …はい、赤城さん。


   桜はいずれ、散ってしまうでしょう。
   空はいつも、晴れ渡っているとは限りません。


   …はい。


   けれど、貴女の赤城は。


   …。


   …貴女の赤城は、貴女に想われる程に。


   ……私のどうしようもない心は。


   …。


   いつだって、貴女で満たされています。
   私の心を満たせるのは貴女以外、居ない。


   …加賀さん。


   だから、貴女の加賀も。


   …ん。


   ……ずっと、貴女に想って頂けるよう。
   日々の努力、を……。


   ……。


   ……赤城さん、未だ途中なのですが。


   …いけませんでしたか。


   ……出来れば最後まで言わせて貰いたかったです。


   ねぇ、加賀さん。


   …はい。


   抱き締めて、下さい。


   …喜んで。


   ……。


   ……熱くは無いですか。


   …心地好いです。


   ……ずっと、言おうと思っていた事があります。


   …?
   なんですか…?


   ……赤城さんの体温は、とても心地好いです。
   私より少し、低くて……ずっと抱き締めていたくなります。


   ……。


   ……今更かも知れませんが。


   本当ですよ……もう。


   …。


   ……ねぇ。


   はい…。


   ……春が過ぎればまた、あの夏が来ますね。


   …少しばかり、気が早く無いですか?


   ああ、その前に梅雨が来るわ…加賀さんが苦手な。


   …赤城さんも、でしょう?


   はい…私も。


   ……赤城。


   ん…。


   ……いつも、貴女の加賀は貴女の傍に。


   ……。


   …仮令、この躰を失ったとしても。


   ……改めて約束、ですね。


   …はい、改めて約束致します。


   ……では、私もしましょう。


   …。


   …貴女の赤城は、貴女だけを愛します。


   ……。


   いつかこの躰が沈む、その日が来るまで。
   いえ、沈んだその先も。
   この心は貴女の傍に居ます。


   …有難う御座います。


   ……もう、加賀さんったら。
   泣かない下さい…。


   …泣いてなんか、いません。
   と言うより、赤城さん。


   はい?


   貴女が沈む日など、来ません。
   この加賀がお傍に居る限り。


   ……。


   …。


   …では、貴女も。
   私が居る限り、貴女が沈む日など来させません。


   ……はい。


   ……。


   ……。


   加賀さん。


   赤城さん。


   皆が屹度、呼んでいます。


   はい、参りましょう。


   ……。


   ……。


   加賀。


   赤城。


   大好きよ。
   誰よりも。


   お慕いしております。
   貴女だけを。
















 四 季 了















  番外・二代目の梅雨








   …。


   …。


   …雨、止みそうにありませんね。


   …今日はもう、止まないかも知れません。


   …。


   …赤城さん。


   …折角。


   …。


   折角、貴女と非番の日が重なったのに…。


   …仕方がありません。
   今は梅雨ですから…。


   …加賀さんは残念では無いのですか。


   …。


   …私一人で残念がっているのですが。


   …二人で。


   …。


   出掛けたかったです、私も。


   …ねぇ、だったら。


   …。


   …降っていても、構わないわ。
   だから……。


   …いけません。
   躰に障ります。


   …悪いところなんて何処もありません。


   けれど…風邪でもお召しになったら大変ですから。


   …加賀さんは心配性だわ、小さい頃から。
   少しくらい濡れたって…平気なのに。


   …赤城さん。


   ねぇ…約束、したでしょう?
   今度の休みは二人で出掛けようって…。


   …雨が降らなかったら、とも言いましたよ。


   ……。


   赤城さん…むくれないで下さい。
   その…困ってしまいます。


   …だったら、連れて行って。


   それも…困ります。


   …困らせたいわけでは無いのよ。


   ……知っています。
   だからこそ、困っているのです…。


   …。


   …赤城さん。


   …二人で朝寝坊をして。


   …。


   二人で、お出掛けして…。


   …。


   ……私だって、女の子です。


   女の子、ですか。


   …何ですか、何か文句でもあるのですか。


   ありません。


   …ん。


   今の赤城さんは…その、可愛い女の子です。


   …今、は?


   え、と…いつも、その、艦娘として凛としていらっしゃるので。


   …今は、違います。
   艦娘である事には違いありませんけど…。


   …。


   …二人だけで居る時は加賀さんの赤城、です。


   う…。


   ……加賀さんの、ばか。


   その…すみません。
   鼻は許して下さい…。


   …嫌です。
   ここまで言わせる加賀さんが悪いんです。


   …すみません。


   ……謝って欲しいわけではありません。


   ……。


   ……。


   …赤城さん、その、遠くには行けませんけど。


   …。


   …間宮さんになら、行けます。
   一緒に、行きませんか?


   …答え、聞きたいですか。


   出来れば…。


   …加賀さん。


   あ、はい。


   傘は、一本で良いですから。


   え。


   …大きい傘、一本で。


   で、ですが…。


   …加賀さんが私の躰を抱き寄せて呉れれば良いだけです。


   だ、抱き寄せ、る…。


   …言わせないで下さい、ばか。


   や、その…え、と、す、すみま、せん……。


   ……。


   あかぎ、さん…?


   …ちっとも、慣れない。
   そんなところ、好きですから…。


   …う。


   ……でももう少し、頑張って下さい。
   私と貴女は…恋仲、で……貴女は私のたった一人の愛しい人、なのですから。


   …は、い。
   精進、します…。


   じゃあ……契りの証をください。


   え…え?


   ……言わせるのですか?


   あ……その、じゃあ。
   目を、瞑って下さい…。


   ……。


   ……。


   ……加賀さん。


   …赤城さん。


   ……もっと。


   え……。


   ……。


   で、でも、間宮さん、に……ん。


   ……未だ、今日の日は残ってます。


   け、けれど…。


   …責任を取って。


   あ……。


   ……。


   …ッ。
   わ、分かりました…!


   ……お布団、敷かないと。


   ま、任せて下さい。
   す、直ぐに敷きます。


   ……。


   …。


   ……ふふ。


   あ、赤城さん…?


   …私、このなんとも言えない間抜けな時間が好きなの。


   ま、間抜け…?


   …雨の日の非番も悪くないわ。
   いつもだと、嫌だけれど…。


   ……。


   …加賀、早く。
   ね…。


   は、い……。