……。


   ……。


   ………ええ、と。


   …ん。


   ひぇ…。


   ……。


   …え、えと。
   えぇぇ、と…。


   …ぅ。


   わ。


   ……。


   …とりあえず。
   とりあえず、深呼吸しよう…そうしよう。
   うん、うん…。


   ……、さま。


   …。


   …んん。


   ……起こさないように。
   起こさないよう、に………。


   ……。


   …すぅ。
   はぁぁぁ……。


   ……ひえい、さん。


   …っ。


   ……。


   ……ひぇぇぇ。


   …ぅ、ん。


   ……とりあえず、考えよう。
   この状況を、どうして榛名も私も何も着てないのか……。


   うぅん…。


   ……あ。


   …。


   ……あー。
   あーーーー……。


   …。


   ……記憶が、全然、ない。
   ないけど…ない、けど。


   ……。


   ……そういうことなの、かなぁ。
   そう、なの、かなぁ……。


   ん…。


   ……。


   …おねえ、さま。


   ……そう、だよね。


   …。


   …だとしたら。
   わたしは…


   …ひえいおねえさま。


   榛名、私は


   …?
   お姉さま…?


   …へ。


   どうされたので、あ。


   え、えと。
   は、榛名、おはよう。
   うん、おはよう。


   ………。


   は、榛名…?


   …ッ!?
   ……ッ?!


   き、気持ちは、分かるよ。
   とりあえず、落ち着こう。
   ね?


   ……ッ!!!!!


   おわぁ…ッ。


   な、なんで、なんで…ッ?!


   榛名、布団、あの、私にも…。


   ……なんで、どうして、なんで。


   榛名、あの、だから、そのぉ…。


   ……きのう、きのうは。
   おねえさまが、酔ってしまわれて…だから、外の空気を……。


   …そう、そうなの。
   そこまでは、なんとか覚えてるの…。


   ……それから。
   それか、ら………。


   ……。


   …ひえいさん、と、わた、し、は。


   …はるな、と、わたしは?


   ……。


   …。


   …おねえさまの、て、は。
   とて、も……あつく、て


   ……やっぱり、そう、ですか…ね。
   そうなります、かね…。


   …。


   ……ごめんなさい!


   …え。


   その、私、覚えてません…!!


   え。


   い、言い訳はしません…ッ!
   その、ごめんなさい…ッ。


   お、お姉さま…。


   ひ、酷い事だと思います、本当に酷いと思います…!
   本当に、本当に、ごめんなさい…!


   お、お姉さま、頭をあげて下さい…!


   あ、あげられませんん…ッ。


   は、榛名も!
   榛名も、あまり、覚えてません…!


   ……え?


   だ、だから、その……よく、は、覚えてません。


   …。


   …。


   …そう、なの?


   ……すこし、だけ。


   …。


   ……。


   …え、えぇと。


   …あ、あの。





   Good morning!
   比叡、榛名!
   昨夜は良く眠れマシタカー?


   お早う御座います。
   比叡姉さん、榛名。
   姉さんは昨日、少し飲み過ぎのようにも見えましたが、大丈夫でしたか。





   …あ。


   …あ。


   Ah?


   あ。


   こ、こここここ金剛お姉さま…!


   き、霧島…っ。


   Oh…どうやら、お邪魔のようデスネー。


   そのようですね、金剛お姉さま。


   あ、いや、これは、その…ッ!


   その、だから、その…。


   良いのデスヨ。
   二人は晴れて夫婦になったのデスカラ。
   ねぇ、霧島?


   はい、その通りです。
   これからは思う存分、艦娘としての責は果たせる程度に、好きにすれば良いかと。
   では行きましょうか、お姉さま。


   ま、待って、待って下さい、お姉さま…!


   霧島、これは、その…あの!


   霧島、二人にはbreakfastよりbrunchの方が良さそうネ。


   然うですね、金剛お姉さま。
   今日だけは恐らく、誰も、何も言わないでしょうから。


   あ、いや、朝ごはんにはちゃんと…


   ちゃんと参りますから、だから…。


   比叡、部屋の外に出る時はちゃんと身嗜みを整えてくるのヨ?
   榛名、貴女の肌はとても白くてソレが目立ってしまうから、気を付けてネ?


   ではごゆっくり、二人とも。


   あ、あーー…。


   ……あぁ。








   ……。


   ……。


   …くしょいッ!


   …!


   うー…。


   お、お姉さま…。


   えと、榛名…?
   とりあえず、お布団に入れて呉れると嬉しいなぁ…なんて。


   …。


   …だめ?


   ………。


   ……おぉ、あったか。


   …ごめんなさい、お姉さま。
   榛名、お布団を取ってしまって…。


   あ、いや…うん、まぁ、仕方無いかなぁって。
   吃驚、しただろうし…。


   …。


   …え、と。
   そんなに離れると今度は榛名がはみ出しちゃうんだけど…。


   ……。


   榛名。


   …榛名、その、恥ずかしいです。


   あ…うん。


   ……。


   …あのね、榛名。


   …はい。


   その…覚えてなくて、ごめんね。


   ……。


   でも、でも…ね。
   いい加減な気持ちでは無いから。
   説得力は無いと思うけど、でも、私は…その、榛名と。


   …比叡お姉さま。


   あ、はい。


   …榛名、躰が、その。


   え。


   その…あの、ね。


   何処か痛いの?!


   あ、いや、然うではなくて…


   ごめん、ごめんね、榛名。
   私、その、こういう事した事無いから、あの、若しかしたら無理をさせたかも知れない。


   ち、違うんです、榛名、何処も痛くありません。


   けど、躰がって。


   …覚えて、いるんです。


   え…?


   …お姉さまが呉れた、熱。


   私が…榛名にあげた、熱?


   ……躰の芯、に。


   しん……。


   ……じんわりと、残っているような。
   そんな……。


   ……。


   ……。


   …わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。


   ………うぅぅ。


   …。


   …。


   ……あの、榛名。


   …はい、お姉さま。


   その……これ、凄く恥ずかしいです。


   ……はい、とても恥ずかしいです。


   …。


   …。


   …赤城さんと加賀さんは、


   どう、だったのでしょうね…。


   …でも、覚えてないってのは、


   無い、と思います…。


   …ですよね。


   ……。


   あの、榛名…。


   …はい。


   あの、あのね…。


   はい…。


   私は、榛名の顔が、見たい、です。


   …。


   で、出来れば…で、良いんだけど。


   ……。


   …榛名。


   恥ずかしい、です…。


   …うん、私も。


   榛名、どんな顔して良いか、分かりません…。


   …いつもの顔が、見たい、です。


   いつもの顔なんて、出来ません…。


   …榛名の顔が、見たいんだ。


   私の、顔…。


   ……凄く、見たい。


   …。


   …お願い、榛名。
   顔を、見せて…。


   ……。


   ……。


   ……おねえ、さま。


   …榛名。


   う……。


   ……お早う、榛名。


   あ……。


   …言って、なかった、から。


   ……お姉さま。


   わ……。


   …好き、大好き。


   ……榛名、これじゃ顔が見えないよ。


   …。


   ……まぁ、いっか。
   あったかい、し……やわらかい、し。


   …あの。


   はい。


   …お早う御座います、比叡さん。


   ……。


   ……。


   …ちょっと、ムラっとしたかも。


   …ッ!


   あ、いや、その…すみません。


   …謝らないで下さい。


   はい…。


   …榛名、嬉しいんですから。


   そ、然うなの…?


   …然うです。


   そ、そっか…。


   …でももう、朝だから駄目です。


   ……はい。


   …。


   ……まぁ、良いか。


   あの…比叡さん。


   …なぁに、榛名。


   榛名を貰って頂いて…有難う、御座います。


   …。


   不束者ですが…どうぞ末永く、宜しくお願い致します…。


   …榛名は私には勿体無いくらいです。
   こちらこそ、こんな私ですが…見捨てないで呉れると、嬉しいです…。


   ……決して、見捨てたりなんてしません。
   決して………。








   ……。


   …ふふ。


   ……う。


   …可愛い。


   ……あかぎ、さん。


   …お早う御座います、加賀さん。


   ……?


   ふふ…寝惚けてる。


   …。


   …朝ですよ、加賀さん。


   ……あさ。


   はい…朝です。


   でもまだ、くらいわ…。


   …もう、暗くないですよ。


   ……もう、すこし。


   …駄目です。


   ……。


   …かーがさん。


   あまい…。


   …甘い?
   何か美味しいものでも食べている夢でも見ているのですか…?


   ……ゆめ。


   …一人で、ずるいです。


   ……。


   …私も。


   ……ゆめでは、ないわ。


   違うのですか…?


   ……。


   あ…。


   ……あかぎさん。


   やっぱり…きれいな、め。


   …とても、あまい。


   かがさん…?


   ……いくらたべても、あきたらないの。


   ん……ん。


   …。


   ……もう。


   む…。


   …だめ、ですよ?


   ……うぅ。


   あ…珍しい。


   ……。


   …仕方の無い人、ですね?
   そんな聞き分けの無い人は…。


   う…。


   …鼻をこうしてあげます。



   うーー…。


   …ふふ、かわいい。


   ……。


   …そろそろ、起きて下さい。
   ね…?


   ……いや、です。


   え…あ。


   …ここは、ゆずれません。


   か、加賀さん…。


   …だから、もうすこし。


   あ、ん……。


   …。


   そんなに吸い付いて……赤子みたい、ですよ。


   …かまいません。


   ……そんなに好き、なのですか。


   …すきだわ。


   ……喋ったり、含んだり。
   忙しい人…。


   …。


   ……ねぇ、加賀さん。


   …なに。


   あの二人は、どうしたでしょうね…?


   ……ふたり?


   …比叡さんと、榛名さん。
   契りを、ちゃんと交わせたでしょうか…?


   …?


   …やっぱり、寝惚けていますね。


   ……なんにせよ。


   なんにせよ…?


   ここは、ゆずれません。


   ……。


   う……。


   …かわいい、ですけど。
   いい加減、起きて下さい…ね?


   ……。


   あ…。


   …ゆずれない、の。


   ……もぅ。








   ……。


   ……。


   …金剛お姉さま達、ごはんに行っちゃったかなぁ…行っちゃったよなぁ。


   …。


   ねぇ、榛名。
   今日の朝ごはん、なんだろうね。


   …お姉さま、お腹空いたんですか?


   うん…空いた、かな。


   …。


   …榛名、そろそろ起きよっか。


   ……はい。


   よし。
   じゃあ…。


   ……。


   …。


   …榛名、このままだと起きられません。


   うん…だよね。


   …お姉さまが、その、離して呉れないと。


   ……然う、なんだけど。


   …。


   …その、榛名の感触が、気持ち良くて。


   ………。


   あ、榛名…。


   …榛名、起きられなくなっちゃいます。


   う、わ…。


   ……なっちゃいます。


   …。


   ……あ。


   …あの、榛名?


   お、お姉さま…。


   ……ごめん、ムラっとした。


   だ、だめです、もう、起きるんです…。


   …然う、なんだけど。
   然う、なんだけどさ…。


   比叡お…んん。


   ……。


   ……だめ、です。


   可愛い過ぎる榛名が、悪い…。


   …え。


   ……ごめん、止められそうにない。


   あ、や……。


   …。


   …やだ、明るい、のに。


   うん……。


   …今日は、演習、が。


   ……午前中じゃ、なかった、よね。


   で、でも…あ、あ。


   ……ああ、無理。
   もう、無理…。


   おねえ、さま…。


   …なまえで、よんで。


   いや、です…。


   …なんで。


   よんだら、だって、とまらなくなっちゃう…。


   …どっちみち、とまらないよ。
   だから…よんで。


   …ん、……ん。


   …かわいい。
   かわいい、はるな…。


   …は、ぁ。


   ……。


   …ひえい、


   ん…。


   …ひえい、さん。
   ひえい、さん……。


   ……はるな。
   はるな…。


   ぁ……。


   ……。


   ……。


   …。


   …?
   ひえいさん…?


   ……え、と。


   …。


   ……お腹、空きました。


   ……。


   …起きようか、榛名。


   …。


   あ、いや……その、すみません。


   …止まらないって言ったのは誰ですか。


   うぐ……。


   …ばか。
   比叡さんの、ばか。


   ひゃ、ひゃるな……。


   ……ばか。








   赤城さん。


   …。


   赤城さん。


   …。


   赤城さ


   加賀さんなんか、知りません。


   …。


   …。


   …私、何かしてしまったでしょうか。


   だから、知りません。


   …。


   …。


   …困りました。


   はい、困って下さい。








   榛名。


   …。


   榛名ー。


   …。


   榛名さん。


   …お姉さまなんか、知りません。


   ええ…。


   …知らない。


   ごめん、榛名。
   然うだ、朝ごはんのおかず、一つあげる。
   ね?


   …榛名はおかずには釣られません。


   榛名ぁ。


   ……。








   赤城さん、お早う御座います。


   榛名さん。
   はい、お早う御座います。


   …加賀さん、お早う御座います。


   …お早う御座います、比叡さん。


   今朝は少し、遅いですね。


   ええ、少し。


   …加賀さん、助けて下さい。


   …無理です、それどころではありません。


   赤城さん、あの、少し言い辛いのですが。


   榛名さん、私も少し言い辛いのですが、良いでしょうか。


   …加賀さんは朝に致そうとしちゃって、その気にさせておきながら、台無しにした事ってありますか。


   …何を言っているのですか、貴女は。


   気を付けていなければ分からないのですが…首の付け根、右の辺りに。


   割と分かり易いところ…鎖骨の下辺り、と。


   …あと、覚えてない事ってありますか。


   …だから何を…覚えていない?


   赤城さん、なんだか楽しそうですね。


   榛名さんは…少し、不機嫌そうですね。


   ……私、よりにもよって、覚えてないんです。


   ……朝。


   私は…大丈夫、です。


   私は…ふふ、楽しいです。


   …はーるーなーー。


   …赤城さん。


   ……。


   ……。


   榛名、あの、あのさ?


   赤城さん、若しかしたら私は今朝…。


   比叡、お姉さま。


   加賀さん。


   あ、はい…。


   …はい。


   榛名は、知りません。


   私も、知りません。


   ひ、ひええええ……。


   …然うですか、分かりました。


   そんな声、出しても駄目です。


   榛名、ごめん。
   もう、しないから、ね?
   ね?


   加賀さん?
   分かったって、何がです?


   私は今朝、恐らく、貴女に何かをしたのだと思います。


   だ、め、で、す。


   榛名ぁ……。


   …ふふ。


   赤城さん。


   ……。


   榛名…。


   加賀さん……困りました?


   …少し。


   ………。


   榛名、私は…。


   今朝、私にした事。
   覚えていない加賀さんが悪いんですからね?


   …すみません。


   赤城さん…若しかして加賀さんでも覚えていない事って、あるんですか?


   え、然うなの?


   ああ、ありますよ。
   今朝とか。
   ね、加賀さん。


   ……。


   加賀さんも…。


   然う、なん、ですか!?


   比叡さん?


   …だから何なの。


   ……。


   なんだぁ、加賀さんもあるんだぁ…なんだぁ。


   ですって、加賀さん。
   ふふ。


   …赤城さん。


   けれど、お姉さま。


   あ、はい。


   行きましょうか、加賀さん。
   お腹、空きましたし…ね?


   …。


   加賀さんと、お姉さまは、違います。


   …はい、ごめんなさい。


   …?
   あ…。


   …行きましょうか、赤城さん。


   ……でももう、朝の事は良いです。
   覚えていないのも、お互い様ですし…。


   !
   榛名!!


   ……加賀さん、手。


   いけませんでしたか?


   …ごめんなさい、お姉さま。
   榛名、駄々っ子みたいに…。


   ううん、良いんだ。
   行こう、榛名。


   …もう、加賀さんったら。


   朝餉、楽しみですね。








   有難う、漣。
   お蔭で片付きました。


   …いーえ。


   流石、初期艦だねぇ。
   手際が大変、宜しい事で。


   それで。


   間宮さんの券、何枚欲しい?


   綾波型全員分。


   うん、分かった。


   かける、に。


   お。


   妥当だと思いますけど。


   ですかね。


   祝宴、出たかったんですヨ?
   それなのに、どっかのご主人さまが、ねぇ?


   誰だろうねぇ、それ。


   ぶっとばせば、分かりますかね?


   分かるだろうけど、そうなる前に分かってるから。


   職権乱用は、だめ、ですからね。
   ご主人さま。


   分かってるよ、漣。
   ちゃんと私のお財布から出す。


   なら、良いですけど。


   なんだかんだ言っても、やっぱり、遣り易かった。


   ま、最初は二人でしたし。


   最初、ご主人さまって言われた時は引いたけど。


   で?
   ご主人さま。


   今日の昼までには渡すから、少々、お待ちを。


   絶対、ですからね。


   まぁ、ぶっとばされたくないし。


   分かっていれば、良いですけど。


   漣。


   なんですか。


   どう、思う?


   何がですか。


   赤城さんと、加賀さん。
   比叡と、榛名。


   別に、どうとも。


   ああ、然う。


   ま、いいんじゃないの。
   艦隊全体の士気に関わってこなければ、それで。


   へぇ?


   つまりは、そうなんでしょ、ね。


   まぁ、そうなるな。


   日向さんの真似?


   いや。


   一回、瑞雲にぶっとばれた方が良いんじゃないですかね。


   とりあえず、ぶっとばそうとするよね。


   いらっとするので。


   はは。


   もう、行っても良いですか。


   漣。


   なんですか、ご主人さま。


   なかなか、君は分かってるね。


   まぁ、無駄に長いですし。


   あの二組には然う、なって欲しくないものだよ。
   そして、これから結ばれるかも知れない二人にも。


   …。


   くっつこうが、くっつくまいが、それは任せる。
   けど、拗れて、爛れて、簡単に言えば、浮気だの不倫だのに走って。
   士気全体に、大いに、関わってきたら。


   つぶす。
   それだけでしょ。


   …。


   ご主人さまは、人の機微に、疎いですから。


   興味が無いだけでしょや。


   眺めてるのは好きなくせに。


   しあわせな様を眺めてるのはね。


   とりあえず、うちは大丈夫なんじゃないですかね。
   多分、ですけど。


   然う、願うよ。
   折角の力、無駄にしたくないからね。


   ご主人さまは、一人くらい、居なかったんですか。
   ああ、居ないですね、性格、悪いんですもんね。


   相変わらず、歯に布着せぬ物言いをするね、漣は。


   鳳翔さんの前では猫被ってる人には言われたくないですけど。


   別に、分かるつもりも無い。


   …。


   特に色恋沙汰。
   面倒。


   …それ、どうなんですかね。


   さぁ、どうだろうね。
   病気とは、言われた事あるけどね。


   ああ、そ。


   無味乾燥。


   で、行ってもいいですか。
   漣、いい加減、お腹が空いてきたんですけど。


   とりあえず。


   まだ、あるの。


   比叡と榛名にはおめでとうって、言おうかな。


   …。


   ん?


   白々しいですね、ご主人さま。


   しあわせな様を眺めてるのは好きだって、言ったでしょや。


   どうでも、いいけど。
   間宮券、早くしてくださいね。








   ねぇ、榛名。


   …何ですか、お姉さま。


   加賀さんでも覚えてない事って、あるんだね。


   …然うですね。


   全部、覚えてるもんだと思ってた。
   加賀さん、真面目だし。


   榛名も、です。


   うん。


   赤城さんは楽しそうでした。
   知らないって言っているのに、顔は笑っていて。


   うん、然うだった。
   赤城さん、凄く楽しそうだったね。


   はい、とても。


   色々、あるんだね。
   夫婦でも。


   色々、あるみたいですね。
   夫婦だから。


   ね、榛名。


   はい。


   今でもあの二人が、羨ましい?


   …。


   どう?


   …はい、羨ましいです。


   そっか。


   でも。


   うん?


   榛名は…比叡さんと。


   …お。


   赤城さんと加賀さんみたいな夫婦では無くて……私達二人だけの夫婦になれたら、それで。


   ……。


   …しあわせ、だから。


   でも、羨ましいままなの?


   …。


   まぁ、確かにね、分かる。
   うん、分かる。


   …お姉さまは羨ましいと思いますか?


   私は…正直、榛名に告白されるまで考えた事無かった、かな。


   …。


   だからさ、榛名?


   …あ。


   私達は、私達なりの、夫婦になろう。
   榛名が言った通りに、さ。


   ……。


   榛名を、しあわせにしたい。


   …比叡さん。


   でもって、いつか。
   あの二人が羨ましいなんて、思わないようにしてあげたい。


   ……。


   なんて、さ?


   …。


   わ……。


   …私も。


   うん…。


   …比叡さんの事、しあわせにしたいです。


   ……。


   …私も、貴女を。


   ……うん、榛名。


   …。


   榛名。


   はい。


   しあわせに、なろうね。
   今以上、もっと!


   はい…!








   ねぇ、加賀さん。


   …。


   ねぇ。


   …。


   …拗ねて、しまったの?


   …拗ねる?
   私が?


   返事、呉れないから。


   …いえ。
   少し、考え事をしていただけです。


   何を考えていたのですか。


   …些細な事です。


   私には言えない事なの?


   …。


   …私の事では無いから?


   ……赤城さん。


   …私と一緒に居るのに。
   私以外の事を、考えて…ん。


   ……。


   …加賀さん。


   ……何。


   …それは、ずるいです。


   …。


   …言葉、返して下さい。


   赤城さん。


   …なに。


   比叡さんと榛名さん、ですが。


   …あの二人がどうかしましたか。


   夫婦に、なったのですね。


   …然う、だけれど。


   私達とは違いますね。


   …はい?


   違います。


   ……。


   それを少し、考えていました。


   …どうして、また。


   夫婦とは。


   …。


   面白いものですね。


   ……面白い、ですか。


   はい。


   …。


   …?
   あか……ん。


   ……。


   ……赤城さん。


   意趣返し、です。
   さっきの。


   …意趣返し、ですか。


   加賀さんばかりでは、ずるいので。


   …然うですか。


   はい、然うです…。


   …。


   …ふふ。


   …楽しい、ですか。


   さぁ…どうでしょう。
   ああ、でもね。


   はい。


   加賀さんを困らせるのは、少し、楽しかった。


   …少し、ですか?


   はい、少しです…。


   …。


   …だって、嫌われたくないもの。


   在り得ません。


   …。


   在り得ない。


   …もう、加賀さんは。
   いつも、真面目な顔で私を口説くんだから…。


   …口説く?


   ……でもそんな貴女が好き。


   …。


   …何か、言って。


   ……貴女を。


   …。


   …とても、愛おしく思います


   ……。


   …赤城さん。


   ……良い夫婦に、なれるでしょうか。


   それは…。


   …比叡さんと榛名さんだけでなく、私達も。


   ……。


   …なれない?


   ……その為に。


   …。


   …やれる事は全て、やろうと思います。


   全て…。


   …はい、全てです。


   加賀さん…。


   ……だから、離れないで下さい。
   どうか…私から。


   だったら…離さないで下さい。


   …。


   ……私から、離れないように。
   二度と、離れないように…。


   ……はい。


   ……。


   …夏祭り。


   え…。


   約束、してましたね。


   …はい、してました。
   でも、なんだか。


   なんだか?


   遠い約束のように、感じます。
   何故でしょうね…?


   …然うかしら。


   なんとなく、ですけど…。


   …。


   ……楽しみに、してますから。
   熱、出さないで下さいね…。


   ……はい。








   榛名は、比叡さんの事が、大好きです。
   大好きです。








   んー…。


   …。


   もう、夏の空かな。
   朝晩は未だ、冷えるけど…。


   お姉さま。


   うん、なに?
   榛名。


   …。


   榛名?


   …お姉さまの手、大きいです。


   ああ。
   でしょ。


   榛名よりも。


   榛名の手はやっぱり、可愛いね。
   まぁ、あの頃よりかは、大きくなったけど。


   ……。


   守るよ、ずっと。


   …いいえ。


   ?


   榛名も、お守りします。
   この手を、榛名が大好きなこの手を。
   守りたいんです。


   …。


   お姉さまが守って呉れたように。
   榛名も。


   …うん、分かった。
   じゃあ…頼むね、榛名。


   はい…どうぞ、榛名にお任せください。


   うん…任せます。


   ……。


   夏、もっと長ければ良いのに。


   …でも暑いのは。


   熱帯夜…だっけ?
   寝られないぐらい暑いの、は……。


   …?
   お姉さま…?


   …あ、いや、なんでもない。
   なんでもない、です…。


   でも、お顔が…。


   ……。


   ま、真っ赤ですよ。
   まさか、お熱が…。


   や、本当に、なんでもないから。
   ないです、ないですから。


   けど…加賀さんみたいに、若しかしてお熱が躰に籠って。


   …ッ。


   …え。


   ………。


   お、お姉さま……。


   …熱かったなぁって。


   え…?


   ………ほんの少し、思い出したような。


   ……。


   熱帯夜って、あんな感じなのかなぁって…。


   …!


   ………赤城さんと加賀さん、も。


   …お姉さま!


   は、はい…!


   …。


   は、榛名…?


   …榛名、先に行きます!


   え、え?


   …。


   待って、待ってよ、榛名…!


   いやです、待ちません…ッ。








   …Love will grow。


   …。


   二人の愛が今後どうなってゆくのか…楽しみネ。


   …はい、金剛お姉さま。


   私達も負けてられないデスヨ?


   …?


   必ず、巡り合えるモノなのデスカラ。


   ……然ういうものなのでしょうか。


   Yes、そういうモノなのデース!!


   はぁ…。


   霧島!
   気合!入れて!行きマスヨー!!


   お姉さま、それは比叡姉さんの。


   一度、言ってみたかったのデース。
   なかなかgoodネ。


   …。


   愛は育つモノ、育てるモノ。


   …ラブ、ウィル、グロウ。


   Yes!


   とりあえず、榛名を泣かせたりしたら許しませんが。


   霧島は榛名が大好きネ。


   好きですが、大好きと言うわけでは


   そして、霧島は比叡の事も大好きネ?


   …。


   私は良い妹達を持ってvery happyデス。


   金剛お姉さま。


   この時間がずっと続くように、続いてゆくように。
   気合、入れて、行きまショウ。
   霧島。


   …はい、お姉さま。