−The Treasure Which Cannot be Stolen …あッ。 ……はぁ。 は…あん。 …。 あ、ああ…。 …っ。 はぁっ、あ、あっ……やぁっ。 ……、な。 あっ、あああ……あっ。 ……。 ……さ、…ま。 …、な。 ……ねぇ、さま。 …はる、な。 ねぇさま………。 はるなを、いじめるなぁぁぁぁぁぁ……………ッ!!!!! ねえさま…ねえさま……。 …はるな。 ごめんなさい…ごめんなさい…。 はるな、いたいところはないですか…? ……。 よかった…。 …ごめんなさい、ねえさま。 ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……。 …あやまらないで、はるな。 はるなはなにも、わるくない。 でも、でも……。 わたしは、だいじょうぶ、です。 でも、ねえさま、はるなのせいで…。 はるなのせいじゃないです。 わるいのは、はるなをいじめた…。 はるなが、よわいこだから…。 だから…。 …ちがいますよ、はるな。 はるなは、やさしいんです…だから。 …ねえさま…ねえさま…。 だから、わたしが、はるなをまもります。 …ッ。 ……はるな、なかないでください。 …。 …なかないで、はるな。 なかないで……。 ……はるな、つよくなりたい、です。 …つよく。 つよくなって、ねえさまに、まもってもらわないでも、いいように…。 はるなが、ねえさまを、まもれるように…。 ……はるな。 …はるなは。 ……じゃあ、まずは。 う…。 …なきむしを、なおさないといけないですね。 …。 ……なんて。 はるなはいまのままで、いいんですよ…。 だめ、です……だめ、なんです…。 わたしは、だいじょうぶだから……はるなのためなら、どんなことでも、がんばれるから。 ひえい、ねえさま…。 …いいんだよ、はるな。 わたしは…おねえちゃんなのだから。 おねえちゃんがいもうとをまもるのは、あたりまえのことなのだから。 …いもうと、は。 …。 いもうとはねえさまのために、なにも、できないのでしょうか…。 まもられているばかり、なのでしょうか…。 …そんなこと、ない。 あ…。 …ごめんね、はるな。 よごしてしまうけど、すこしだけ、ゆるしてくださいね…。 ……ねえさま。 …ね、はるな。 はい……。 …はるながいるから、わたしはつよくなろうと、おもうんです。 いてくれるから、おもえるんです…。 …。 …はるながいなければ、わたしは、きっと。 そんな、の…。 …。 …やっぱり、はるながよわいこだから。 ねえさまに、なにもしてあげられないから…。 だから、だから…。 …そんなこと、ない。 はるなは…わたしのために、ないてくれる。 …。 ……はるなは、わたしに、やさしくしてくれる。 わたしは…そんなあなたが、すきだから。 だいすきで、だいじで、たいせつだから…。 …。 だから、まもりたいと…おもうんだ。 ……。 …ほんとうは、なかせたくないんだけど。 だめだなぁ…。 ………はる、な。 …ありがとう、はるな。 てあて、してくれて…。 はるなは……はるなは……。 …だいすきです、はるな。 ………もう、なきません、から。 だから………。 ごめん、榛名………ごめん。 …心から、好きなのでしょう? …。 比叡の事が。 ……だと、しても。 想いを告げ合って、漸く、叶ったと言うのに。 …。 …榛名。 ………どうすれば、良いのでしょう。 どうすれば…? …私は、姉さまの事が好きです。 誰よりも、誰よりも……。 …ええ、知っているわ。 貴女も、比叡も、お互い不器用で…見ていて本当に、やきもきしたもの。 ……。 …比叡は子供の頃から、貴女を守ろうとして。 そんな比叡の事を想って、貴女は泣いて。 ……。 それで…強くなりたい、と、貴女は思うようになったと。 …私、は。 想いが叶って。 求めて、求められて。 …。 …愛して、愛されて。 愛したくて、愛されたくて。 ただ、ただ、懸命に応えて。 …。 其処には…求める女が、居るだけ。 求め合うふたりが、居るだけ…。 ………私は。 …求められたのでしょう? …! …だけれど、応える事が出来なかった。 そんなつもり、なかったんです…。 …ええ、然うでしょうね。 分かっているわ…榛名。 でも、だけど……。 …怖かった? ……。 …最初は皆、屹度、然うよ。 ……嬉しかった、のに。 なのに……。 ……弱い自分。 許せない自分…大切な人を傷つけてしまう自分…。 ……。 …けれどね、榛名。 比叡は…そんな榛名ですら、愛しいと思っていると。 私は、思うの。 だけど…ッ。 …。 だけど…私は……。 …榛名。 ………私で本当に良いのでしょうか。 …どうして? 泣き虫で、弱虫で…拒んで……逃げ、出して。 ……似ているわね、本当に。 きっと…ううん、本当は全然、姉さまに相応しくなんか…なくて…。 然うかしら。 ……。 それは、貴女が思う事であって。 比叡はそんな事、思っていないわ。 寧ろ。 ……陸奥さん。 …比叡は、貴女でなければ、屹度。 ……。 …これ以上は私が言うべき事では無いから、言わないけれど。 でもね、榛名…。 ……。 …愛と言うものは、巡るものだと思うの。 ……めぐる、もの。 然う…通じ合った誰かが居て、初めて、愛は巡るの。 …ひとりだけでは、駄目なのよ。 …。 比叡が貴女を求めて…貴女が比叡に応えて。 貴女が比叡を求めて…比叡が、貴女に応えて。 そうして、ふたりの愛は巡るの。 …。 …貴女が応えた愛は比叡へと巡り。 比叡が応えた愛は…貴女の中に戻ってくる。 それを、繰り返して…何度でも、繰り返して。 ……。 …幾度でも、ふたりは「ひとつ」になれる。 躰と心は「ふたつ」でも、だけど……愛を通して「ひとつ」になれる、と。 ……。 …それでも、終わってしまう者達も居るわ。 悲しい事だけれど、気持ちは移ろうものだから…でもね、榛名。 ……。 …比叡は本当に貴女の事を愛していると思うから。 だから……怖がらないで。 …あぁ。 ……比叡は心から、貴女を求めているわ。 わたし、は…。 …榛名は? 榛名は…比叡の事、求めてる…? …榛名。 ……。 あの……昨日は、ごめん。 …。 …許して貰えないかも知れないけれど。 でも……ごめん。 ……思い出したんです。 思い出す…? …いえ、いつだって、それは私の中にあったんです。 …。 小さい頃…いつも、私は、姉さまに守られて。 姉さまは、いつも、私のせいで…怪我をして血を流す事だって。 ……榛名。 …姉さまの事を、好きになって。 姉さまも私の事を…好きになって下さって。 …。 …でも、だけど。 私は、泣き虫で、弱虫で…そんな自分が嫌で、強くなりたいと、願ったのに。 ……。 …結局、私は。 私は…弱虫で、泣き虫のままです…。 ……私は、榛名。 …。 …そんな貴女が、好きです。 でも、私は…。 …分かっている、つもりだったんです。 …。 だけど、だけど…私は、榛名が。 榛名のすべてが、好きで…すべての榛名が、好きで。 …。 貴女が、好きで……欲しくて、堪らないんです。 ……姉さま。 …待って、いるから。 …。 待って、いるから。 だから…榛名。 ……。 …私を、嫌いにならないで。 ずっと、待っているから…だから。 ……嬉しかったんです。 え…。 嬉しかったんです…本当は。 姉さまが私を抱きしめて呉れて、体温がいつもよりも高くて……ああ、求められているんだって。 姉さまが私を求めて呉れているんだって、分かった時。 本当に、嬉しくて、嬉しくて…。 ……。 …だけど、同時に。 私が、私でなくなってしまう、ようで……ううん、違う。 弱い私を、曝け出してしまう、ようで……。 …榛名。 ……弱い自分が、そんな自分が、嫌で。 本当は、私なんか、姉さまに相応しくない…て。 榛名。 ……比叡姉さま。 勝手に決めないで、榛名。 …あ。 ……私には榛名しか、居ないんです。 …。 榛名しか、居ないの…。 ……ねえ、さま。 …相応しくないなんて、言わないで。 私には榛名しか居ないのに…他なんて、要らないのに。 ……あぁ。 …榛名。 ねえさま……。 ……榛名が、好きなんだ。 …。 貴女しか、要らないんだ……。 …。 …榛名、私は。 ………。 …はる、な。 ………榛名の事、嫌いにならないで。 …ならないよ。 なるわけ、ない…。 …弱い榛名でも。 榛名は…弱くなんて、ないよ。 ……。 …相応しくないと、言うのなら。 私の方こそ、榛名に相応しく……。 ………。 ………はるな。 …私には、貴女しか、居ないの。 居ない、から…。 あぁ……。 比叡姉さまが…私は、貴女が、好きです。 …。 好きで、好きで、好きで…大好き、で。 だから、だから。 …。 ……私は、貴女の求めに、応えたい。 榛名……でも。 …貴女は、応えて、呉れますか。 ………私は。 ……屹度、私は。 私は……見せたくないと、思っている姿を、貴女に見せてしまうかも知れない……それでも、私の、榛名の。 …。 ……私の、求めに、応えて、下さい。 榛名……榛名。 …ぅ。 ………。 …ねえさま。 ……。 ねえ、さま……。 ……はぁ。 ん……。 はるな……。 …つっ。 あ……。 ねえさま…そんなに、強く、にぎったら。 ご、ご、ごめん……。 …。 ……ごめん、榛名。 …ううん、いいんです。 ……でも。 ぶきようなあなたも、榛名は、すきです…。 ……。 …そういえば。 ……え。 はじめてのキスの時のこと、おぼえていますか…? ……。 …歯を、ぶつけてしまって。 ……憶えて、います。 おなじこと…また、しちゃいましたね。 ……ごめん。 気持ちが、どうしても、逸ってしまって…。 いいえ…私も、ですから。 ……。 …比叡姉さま。 ………本当に、良いの。 …。 …本当、に。 ……良いんです。 …今、だったら。 ……いいえ。 …。 もう、決めたんです……貴女を、もっと、欲しがってみようって。 直ぐには無理でも…少しずつでも、貴女を、素直に求めてみようって。 仮令、それが…私の弱さを曝け出す事になるとしても。 …ッ。 榛名…。 ……若しも、貴女が、そんな榛名を見て。 若しも……。 ……もっと、欲しがって欲しい。 もっと、求めて欲しい…。 …。 …榛名は、やっぱり、弱くなんかない。 ………比叡、ん。 …。 ……姉さま。 …応えて。 求めて、榛名。 ……は、い。 …。 ……あいは、めぐるもの。 …? ……はるなのあいが、あなたのなかへ。 あなたのあいが、はるなのなかへ…。 …。 …あいはめぐって、そして、ひとつに、なるんです。 ………それは。 …ねえさま。 ……。 ………あなたと、ひとつに、なりたい。 …はるな。 ………して、ください。 …。 ……ぁ。 …いたく、ないですか。 ……だいじょうぶ、です。 いたかったら…ん。 ……。 はるな…。 ……もう、いわないで。 …。 …ぁっ。 ……榛名の事が、好きです。 ……。 …ん。 ……榛名。 …ねえさま。 ………。 ん…。 …榛名。 ……頭、から。 …? 手の指の先……足のつま先、まで。 全身、で…。 ……。 …貴女を、感じて。 …。 貴女の想いが…私の中に、流れ込んで、きました。 ……私も、です。 …。 私の中にも…榛名の想いが、流れ込んできて。 ……然うだったら、嬉しい。 …。 ……しあわせって、こういう事なのでしょうか。 …屹度、然うだと。 ……。 ん…榛名。 ……好き、です。 …私も、好きだよ。 大好きだ…。 ……。 ……ん。 …そうやって、あの時も、貴女は。 …あの時? ……貴女に告白されるなんて、夢にも思わなかったから。 …あ。 ………夢だと、思ったんですよ。 だって、姉さまが私を、私なんかを…。 …必死、だったんです。 それなのに、これは夢でしょうか…って、真顔で言われて。 思えば……顔、真っ赤でしたね。 ……必死、だったんだよ。 なけなしの勇気、振り絞って……。 …今も。 ………榛名、だって。 …はい。 ……。 あぁ…好き。 貴女が、大好き…。 ……貴女が、応えて呉れて。 どんなに、嬉しかったか……。 …泣いてましたね。 ……ああ、もう。 言わないで下さい…。 …榛名も、ですから。 ……。 ……ああ、然うなんですね。 …何が、ですか。 姉さまも…泣くんですよね。 そ、それは……然うです、よ。 …ふふ。 榛名。 ……ん。 …。 ……比叡姉さま。 …好き、です。 私も…。 ………。 ん…ん。 ……はるな。 ひえい、ねえ…さま………。 ……。 ねえさま…ねえさま……。 ……泣き過ぎだよ、榛名。 …泣き虫、だから。 うん…。 ……。 …そんなところも、好きだよ。 あぁ……。 わたしと、ずっと、いっしょに、いてください。 …え? ……。 はるな…なに? …。 はるな? ね、ねえさま。 はい。 は、はるなが、つよいこに、なって、なきむしで、なくなったら…。 …。 は、はるな、と…いっしょに、いて、ください。 おとなになっても、ずっと…。 …。 あ。 …いますよ、ずっと。 …。 …つよいこに、ならなくても。 なきむしのまま、でも。 わたしは、はるなと、ずっと、いっしょにいます。 だ、だめです。 はるな、つよくなって、ねえさまを…。 どんなはるなでも、わたしはすきです。 …。 わたしは、はるなが、だいすきですから。 ……ねえさま。 やくそく。 …やくそく。 ずっといっしょにいる、やくそく。 …。 ……はるな、わたしと、ずっと、いっしょにいよう。 …。 はるな…。 ……。 …なきすぎだよ、はるな。 ……うぅ。 でも…。 ……。 そんなところも…だいすき、ですから。 −Happy Invaders …あぁッ! ……。 ッ、…っ、……ぁ…っ、……ッ。 ……。 ……、…、……。 …こ、え。 ……ぅ、…っ…、……。 …がまん、しないで、ください。 …! ……ッ。 ……きかせて、ください。 …は…、ぁっ。 ……きかせて、ねえさま。 …や、……はる、……。 ……もっと。 …ぁ、あッ! ………はるなに、きかせて。 ん…っ、……ぁ、ぁ、ぁ…っ。 ………ひえいねえさま。 はる、な…はるな……はるな……はるな…。 ……はぁ。 …あ、…や、だ……ぁ、あぁッ。 ………すき。 …ッ、……あぁぁ、ぁ。 ねえさま……。 あ、…ぁ、……あ…。 ……だいすき。 ………。 ……。 ……。 …あの。 ……。 あの、比叡姉さま…。 ………。 姉さま……。 …。 …姉さま。 …。 榛名……。 ……。 ……。 ……きこえて、ます。 あ…。 ………から。 …。 …あ、はるな。 ………ねえさま。 え、と……えと。 …? ねえさま…? いまは、あの…あまり、くっつかないでほしい、です。 …え。 ……くっつかれる、と。 その…えと。 ………。 や、いやだと、いうことでは、なくて。 だから、その……え、と……。 …ごめんなさい、ねえさま。 あ、や、ち、ちがくて……。 ……ごめん、なさい。 は、はるな…。 ごめんなさい……。 ちがう、ちがうんです…。 ……いや、だったんですよね。 そ、そうじゃなくて…。 ……だから、はるなのかお、みてくれないんですよね。 はるな、ちがう…ちがうんです。 ……。 そ、その、だから……。 ……しません、から。 はるな、あの、わたしは…。 …もう、しませんから。 もう、しないから……だから。 あぁ、そうじゃなくて……。 ……はるなの、こと。 きらい、に……。 ……ああ、もう。 …。 ……はぁ。 …ねえさま。 ねえさま……。 ……はるな! え。 …そっち、むくから。 ……。 むく、から。 は、はい……。 ……きあい、いれろ、ひえい。 そんなばあいじゃ、ないんだから…。 …。 …よし。 ……。 ………榛名。 …姉さま。 榛名。 …姉さま! わ……。 ………。 …え、と。 榛名…? ……好き。 へ…。 ……好き、です。 あ、うん……私も、好きです。 ……榛名の、こと。 …大好きだよ、榛名。 ……あぁぁ。 …あのね、榛名。 もう、しません。 しませんから。 や…そうじゃなくてね。 …? ……は、恥ずかしいなぁって。 …え? ……だって。 姉さま…? ………あぁぁ、やっぱり、恥ずかしい。 ……。 …榛名の気持ち、少し、分かった気が、します。 ………もしかして。 …突っ込まないで呉れると、嬉しい、です。 ………姉さま。 …。 ……かわいい。 ひぇ。 …かわいいです、姉さま。 や、止めて、恥ずかしいから…。 かわいい、姉さま…。 ほ、ほんとに、止めて下さい…。 お顔、もっと、榛名に見せてください…。 は、榛名、ちかい、近いですから…。 ああ…かわいい、かわいいです、ねえさま…。 わ、わ……。 …かわいい。 …! ああああ、もう! …きゃ。 かわいいのは、榛名です…! え、え? だから、可愛いのは榛名なの! ね、姉さまだって、かわいいです…ッ。 私じゃないの、可愛いのは榛名なの! さっきまでの姉さまは本当に…んん!! ……。 ……ず、ずるいです、姉さま! そうですよ、ず、ずるいんです、私は! 姉さまの声、かわい、あんッ。 …それ以上は、言わせません! ず、ずる…あ、やぁ…ッ。 ……。 ね、ねえさま、だめ、だめ、です…んッ。 …ほら、やっぱり、榛名の方がかわいい。 や、ぁん……。 ……かわいい。 ずるい…ずる、い……。 …ごめん、いいですか。 だ、だめ、です……。 …。 だめ……。 ………榛名。 …ん。 榛名……。 ……。 …榛名が、欲しい、です。 ………あぁ。 いい、ですか…。 ………ほんとうに、ずるい。 ……。 ……。 …あの、榛名。 …。 榛名……。 ……だめ、です。 う。 …いまは、くっつかないで、ください。 …。 …。 ……はい。 …。 …。 …だからって、あっさり、ひきさがらないでください。 ………はい。 …。 …あの、榛名? 私、どうすれば…。 ……かわいかったんです。 へ…? ……ねえさま、かわいかったんです。 は、榛名…。 …。 ………ありがとう、榛名。 …。 でも……恥ずかしい、ね? …はるなのきもち、わかりましたか? は、はい……。 …。 ………榛名。 …からだ、へんじゃないですか。 からだ…? ……はるな、はじめてだったから。 あ…あー。 ……。 えと…変では、ない、です。 …いたく、ないですか。 ……はい、だいじょうぶです。 …。 …その、はじめて、でした、けど。 よ、よかった……です。 …。 …はるなをより、かんじることが、できて。 …。 だ、だれかを…わたしのばあいは、はるな、ですけど…その、じぶんのなか、に……。 …。 ひえぇ…はずかしい……。 ……ねえさまが、いつも。 わ、わたしが、いつも…? …はるなに、してくれること、なんです。 ……。 ねえさまが……はるなのなかに、はいって、きて。 はるなのこと、たくさん、あいしてくれるよう、に…。 はるなも、ねえさまに…。 …。 ……ねえさまに、おかえし、したかったんです。 はるな、いつも、もらってばかりだから…だから。 ……うん。 …。 ありがとう…榛名。 ……だけど、ねえさまは、ずるいです。 あう…。 ……おまけに、いじわる、です。 …はい、ごめんなさい。 ………。 はる…わ。 ……。 は、榛名…? ……ぎゅうって、してください。 え…? ……いっぱい、してください。 …。 …いっぱい、いっぱい、して。 うん…榛名。 ………。 …どうでしょう、か。 …。 …ッ。 ひぇ…ッ。 ………比叡、姉さま。 は、はる、な…? …お返し、です。 え、や、ちょ…え? ……。 う、わ…。 …いいですよね? や、ま、待って。 いやです、まちません。 そ、そろそろ、起きないと。 ほら、もう、こんな時間…。 …知りません。 で、でも、明るくなって…。 カーテン、してますから。 そ、そうですけど…でも、ひかりがもれてます、し。 ……榛名、こんな日があっても良いと思います。 …えぇぇ。 比叡姉さま…。 …あ。 ……。 は、はるな……。 ……かわいい。 ……、…ぁ。 もっと…もっと、はるなに、みせてください……。 −A Modest Reques〜ささやかなる願いを。 ……。 ……。 ん…。 ……姉さま。 …なに? ……。 …くすぐったいよ、榛名。 ……背中。 …。 ……。 …硬くなった? ……はい。 そっか…。 …姉さま。 榛名の事、守れるかな。 …。 …無理かな。 榛名は。 …。 …榛名は。 ……。 …どうか、お体にはお気をつけて。 うん…。 ……お手紙、また書きます。 うん…待ってる。 …。 …楽しみにしてるんだ、榛名からの手紙。 何よりも、どんな事よりも…。 …。 …返事、なかなか書けなくてごめんね。 良いんです…。 …良くないよ。 ん…。 …榛名に寂しい思いは、させたくないんだ。 ……その、お気持ちだけで。 …。 榛名は……十分、ですから。 榛名…。 …姉さまが榛名の事を想って下さっているだけで。 榛名は…十分に、しあわせですから。 …。 …。 ……ねぇ、榛名。 ……はい。 …思い切り、甘えてよ。 …。 ……逢えない分、だけ。 ……。 ……榛名。 …姉さま。 ……。 …榛名は、もう。 甘えて欲しいんだよ…榛名。 …。 …多分、それが私の甘えでもあるのだから。 ……。 ……どんな事でも、聞くよ。 然う、どんな事でも……。 ………私は。 …。 比叡姉さま……姉さま…。 …ん。 ………思い切り、抱き締めて下さい。 …。 …この躰が壊れてしまうくらい強く、抱き締めて下さい。 ……壊すなんて、出来ない。 …どんな事でも、と、仰いました。 それは……。 …私に、貴女の熱を。 ……。 決して冷めない熱をください…姉さま。 ……榛名。 …どんなに遠く離れていても。 どんなに長い時間逢えなくても…姉さまはここにいると、いてくれると…いつも、思っていられるように。 いつも、感じていられるように…。 …。 …榛名の躰と、心を。 どうか、どうか、あなたのねつでうめて…いっぱいに、して。 ……。 …ん。 ……うめられた、かな。 …はい。 私の躰と心も……榛名の熱で、いっぱいになったよ。 …うれしい。 はるな……。 ………そろそろ、ですね。 …。 …お躰には、お気をつけて。 どうか、どうか、ご無理だけはしないで下さい…。 ありがとう…榛名も、大事にしてください。 はい…姉さま。 …。 ……。 ……背中、硬い? …昔よりも。 訓練、しているから。 榛名を…榛名を一生、守れるように。 …貴女はいつか、国の為に。 …。 ………いや、はなれたくない。 ずっと、はるなのそばに…。 ……榛名。 どうか、どうか………。 …必ず、帰ってくる。 帰ってくるよ…榛名。 ……待っています。 ずっと、ずっと、待っています…。 ……そしたら、また、熱を。 …。 きっと、分け合おう…榛名。 はい、姉さま……きっと、きっと。 約束です…榛名。 比叡、姉さま…。 −Fly Me To The Moon …姉さま。 ん…? …飲み過ぎです。 そうかな…。 …然うです。 でも、未だ酔ってはいないし…。 …もう、お仕舞いにして下さい。 んん…。 ……。 …榛名、若しかして、退屈? ……いいえ。 榛名はあまり飲めないですものねぇ…。 …飲めますよ。 味醂の匂いで酔ってしまったの、誰でしたっけ…? …。 ん…。 …酔ったのではなくて、気分が悪くなってしまっただけです。 それも酔ったと言うんですけどねぇ…。 …違います。 ふふ、榛名は頑固だなぁ…。 …や。 お…。 …酔った姉さまは、好きじゃありません。 ……。 …お酒、もうお仕舞いにして下さい。 酔ってないのに…。 …酔ってます。 その証拠に…。 …証拠に? 話し方が、いつもより、ゆったりしてます。 んー…変わらないと思うけど。 …榛名には、分かるんです。 榛名には、分かるの…? …そうやって、鸚鵡返しするのも。 ふむ…。 ……それに。 それに…? …指の先が、いつも以上に、熱くなってます。 元々、あったかいし…。 …。 榛名…? …勝手は、榛名が、許しません。 と…。 兎に角、今夜もうお仕舞いです。 はぁい…。 ……。 んー…良い気分…。 …そんなに美味しいのですか。 たまに飲むとねぇ…。 …榛名は、好きじゃありません。 榛名は強くないからねぇ…。 …美味しくありません。 甘いのもあるよ…榛名は甘いの、好きでしょう…? …然うだったとしても。 でも榛名が酔うと…色々、大変だからなぁ? …む。 と、言うより。 普段隠してる甘えんぼさんが前面に出てくるんだよねぇ…。 …そんな事、ありません。 熱くなった躰を摺り寄せてきてねぇ…。 瞳は情を湛えているかのように、潤んでいてねぇ…。 …。 榛名はねぇ、普段ももう少し、甘えんぼさんになっても良いと思うんだよねぇ…。 ……。 私はね、もっと榛名を甘やかしたいと思ってるんですよ…。 ……榛名、酔ってる姉さまは嫌いです。 酔ってませんよ……比叡は、酔ってません。 酔ってます。 …素面なんだけどなぁ。 飲んでいるのに、素面なわけがありません。 …信用、ありませんねぇ。 …。 榛名…。 ……だめ、です。 …本当に酔ってないですよ。 本当に酔っていなかったら、何度も、言いません。 うーん…伝えるのは、難しいですねぇ。 ……。 …ともあれ、今日はもう、お仕舞いにしましょう。 これ以上、榛名が不貞腐れてしまうのは本意ではありません…。 榛名は、不貞腐れてなんか、いません。 …はは。 何が可笑しいのですか。 榛名は、可愛いなぁ。 …やっぱり、酔っていらっしゃいます。 ごめんなさい、許して下さい。 …認めましたね。 まぁ、少しは酔っていると思うので…。 …。 んーー……。 …お休みになりますか。 いや、もう少し、榛名とこうしていたい。 …。 …榛名は月に行ってみたいと、思いますか? 月? ええ、月です。 空にぽっかりと浮かんでる…。 …。 今夜の月は綺麗ですねぇ…。 ……姉さまが行くと、言うのなら。 その時は榛名、ついてゆきます。 …榛名自身は? 行ってみたいとは、思っていませんか…? ……真っ暗、だから。 うん、真っ暗…? …宇宙は真っ暗だから。 ああ…でも、そのおかげで。 ん…姉さま。 …この地球(ほし)が綺麗に見えるんだよ。 青く、輝いて…。 …。 …榛名と一緒に、見たいな。 あの月から…。 ……榛名は。 ん、なぁに…? …この地球(ほし)から見上げるお月さまが好きです。 比叡姉さまと一緒に見る…あの、お月さまが。 ……。 …だから、榛名は。 連れて行ってあげようか…。 …え。 ……月に。 …。 …酔っ払いの戯言じゃないですよ。 私は、あくまでも、本気です…。 ………姉さま。 一緒に、行ってみませんか…? …一緒なら。 では、早速…。 ……。 …とりあえずは、ベッドまで。 ……そういう事、ですか。 はい、そういう事です…。 …酔った勢いは、嫌です。 酔った勢いなんかじゃあ、ありません…。 お酒のにおいは…ん。 ……。 ………あまい。 でしょう…? 今夜飲んでいたのは…榛名が好きな甘い甘い、果実酒ですから。 ……。 …行きませんか? …比叡姉さま。 はい…榛名。 ……榛名は一人では、あの月に行きたいとは思いません。 真っ暗な場所に、一人は嫌です…。 はい、私も同じです…。 …でも、姉さまと一緒なら。 ……。 ……此処では、いやです。 …では、ベッドに。 参りましょうか…。 ……。 …榛名が望むのなら、抱き上げて。 ……言わないで下さい、そういう事は。 ああ、それは失礼しました…。 …。 …私の可愛い榛名。 どうぞ、私の首に腕を…。 ……姉さまは一歩、間違えれば。 うん…? ……たらしに、なってたと思います。 たらし……たらし、ですか。 ……。 …なりませんよ。 と言うより、なってます…。 …私には、榛名だけですから。 貴女が生まれて…私を好いて呉れた時から。 いいえ、貴女が私を好いて呉れる前から…。 ……やっぱり、なってます。 …私には、榛名だけです。 ん…姉さま。 ……心の中に居るのは、榛名だけ。 …。 ああ、でも、そういう意味では…私は榛名限定で、たらしかも知れませんね。 ……もう。 違いましたか…? …恥ずかしいから止めて下さい、姉さま。 ふふ、榛名から言ったのに…。 ……姉さまはお酒が入ると、本当に。 口説きたくなってしまいました…榛名があんまりにも、可愛いから。 …榛名はもう、疾っくの昔に、貴女だけの。 それでも…ですよ。 …。 ……榛名、さぁ。 …それが、本当なら。 ん……。 ……榛名だけ、なら。 …はい。 ……ずっと、変わらないで下さい。 …。 ……ずっと、榛名だけを。 ええ…勿論です。 そもそも、変わりようが無い…。 …。 …だから、榛名も変わらないで下さいね。 変わらずずっと、私だけを…。 ……榛名が、恋い慕うのは。 …。 ………ずっと、貴女だけです。 …榛名。 ………連れて行って。 …。 …姉さまの、貴女の月に。 ……違いますよ、榛名。 貴女と私、二人の月……です。 …ん。 ……。 ……躰、熱い。 …決して、お酒の力だけはありませんから。 …。 …………この心の中で絶え間なく生まれてくる歌、その全ては、貴女の為に。 …つまり、どういう事ですか。 ……つまり、ですね。 …。 ……私は心底、榛名に惚れているって事ですよ。 …。 ……愛してると言う意味です。 …最初から然う言って下さい。 ふふ……。 ………姉さま。 では、改めて参りましょうか……私の、榛名。 ……はい、姉さま。 私の、と、付けて欲しいな…。 …。 どんな果実酒よりも甘く、囁いて………榛名。 …恥ずかしいから、嫌です。 ……。 ……だから、一度だけです。 ん……。 …キスをして、私を連れて行って。 私の、姉さま………。 ………貴女が望んで呉れるのなら、喜んで。 −Beneath the snow …ふぅ。 比叡さん。 …榛名さん。 雪、今宵は止みそうにありませんね…。 …ええ、本当に。 昼のうちに掻いておいたので、大丈夫だとは思うのですが…。 …お茶をお淹れました。 有難う御座います、榛名さん。 …今年の冬は長引きそうですね。 蓄え、保って呉れるでしょうか…。 …見越しては、いたのですが。 明日、湖に舟を出して魚でも獲ってきましょう。 …。 …ん、榛名さん。 間違っても。 …。 …間違っても、氷の上を歩こうなどとは。 ……思いもしませんよ。 …。 …大丈夫です、榛名さん。 私が寒いのが苦手なのは、貴女も知っているでしょう…? ……はい。 雪深い所で育ったと言うのに。 我ながら、呆れてしまいます。 …。 …こんな雪深い里に嫁がされてしまって。 貴女の方こそ、大変でしょう…。 ……私の里も冬になると雪は降りましたから。 …それでもここまででは無かったのではないですか。 ……ええ、然うかも知れません。 …。 …此処では雪の音しか、しません。 里の皆が息を顰めて生きているようで…。 …貴女のお里とは違いますか。 ……はい。 …どう、違いますか。 私の里は……もう少し、人の声が聞こえていたように思います。 …貴女のお里の人達は屹度、温かいのでしょうね。 温かい…ですか。 …ええ。 けれど、この里の人達も私に良くして呉れました。 貴女に嫁いでくる日も…温かく迎えて下さった。 …この里はいずれ、消えてなくなるかも知れません。 …。 …若い者が里を出てしまったと言うのもありますが。 それよりも、子が、産まれないのです。 …。 …気付けばほぼ、年老いた者ばかりになってしまいました。 そんな里に貴女は…ましてや、女である私などの元に。 …。 …今でも良く分かりません。 貴女の様な人が何故、私に嫁いで来て呉れたのか…。 …。 …こうして貴女と過ごすようになってから何月か経った今でも、私には勿体無いとしか言いようがないのです。 ……。 …。 …貴女こそ何故、私を貰って下さったのですか。 女である私を…。 ……里の長が、突然、縁談の話を持ってきた時に。 ああ、来たるべきが来たのだと…。 …。 相手が女である事を知り、その時は確かに驚きましたけれど……不思議と、断ろうとは思わなかったのです。 寧ろ、すっと腑に落ちたような…そんな感覚すら、ありました。 …貴女が、私を受け入れて下さった時。 …。 私は……これまでに感じた事もない幸福感を、覚えたのです。 …。 …貴女の腕の中で眠る時。 ああ、私はこれからこの人と生きてゆくのだと……生きてゆけるのだと。 この人なら屹度、私をひとりにしないで居て下さると…。 ……。 ……私には姉が二人、居たそうです。 …はい、聞いております。 一人の姉は…私が幼き頃に嫁に出されました。 山を二つほど越えた里で、相手の方は姉よりも二十も上だったそうです。 ただ、お家の方は確りしていた…と。 …。 姉からの便りは何度か来たそうですが…私が物心がついた頃には絶えていました。 …もう一人の方は。 …。 …榛名さん。 ……。 …すみません。 言い辛い事でしたら…。 ……湖に落ちて亡くなったそうです。 …。 …薄氷の上に雪が積もっていて。 誤って、その上を…。 …ああ。 ……私は姉の事が好きでした。 …。 温かくて…優しくて。 躰が丈夫ではなかった私の事をいつだって気に掛けて呉れて…。 私は本当に…姉さまの事が、好きだった。 ……一つ、良いですか。 …はい。 断定では…ありませんでしたね。 …。 …すみません。 ……見つからなかったのです。 …。 父だけでなく、里の者皆で手を尽くして捜したそうです。 けれど、姉は……纏っていた衣、すら。 ……。 …姉は、私の元に帰ってきて呉れなかったのです。 ……榛名さん。 …。 辛い事を思い出させてしまって…すみません。 …良いのです、私が切り出したのですから。 それに…貴女には、知っていて欲しかったから。 …。 …私の方こそ、申し訳ありません。 いいえ…話して下さって、有難う御座います。 …。 …榛名さん。 ……呼び捨てに。 …。 呼び捨てで…呼んで呉れませんか。 私達は…夫婦、なのですから。 …。 …閨の中だけでも、構いませんから。 どうか…。 ……。 …すみません、我儘な事を。 …榛名。 あ…。 ……暫くは慣れないと思いますが。 それでも……。 …構いません。 …。 ……雪、明日まで降り続けるでしょうか。 …恐らく、は。 恐いですか…? …いいえ、大丈夫です。 貴女と一緒なら…。 …。 …。 ……私はもう、耐えられぬかも知れません。 …。 いいえ……耐えられぬでしょう。 ……比叡さん。 この場所で、貴女は…。 養親が逝ってからはずっとそれが当たり前だったのですが……。 …。 ……榛名さん。 …はい。 貴女に話さなければならない事が、あります。 貴女の話を聞いて、強く、話すべきだと。 …。 ……私はこの里の子では無いのです。 …。 私は…拾われてきて、そして養親である父に育てられました。 母は…私が引き取られた頃には既に床に臥せっていて…直ぐに、亡くなりました。 けれど…優しく微笑みかけて下さった、その時の母の顔は今でもはっきりと思い出せるのです。 …お優しい方だったのですね。 ええ…とても。 …。 ……引き取られる以前の記憶は、ありません。 失って…今でも、それは取り戻せていないのです。 …。 …私は酷い凍傷を負っていました。 そのせいで……手足の指を何本か、失いました。 それでも生きていた…それは奇跡とも言えたそうです。 ……。 …私が何処の生まれなのか、私は覚えていません。 何一つ……思い出せないまま、ここまで、この里の者として生きてきたのです。 ……はい。 …。 …。 ……榛名、若しかしたら、私は。 …言わないで、下さい。 ……。 ……どうか。 …榛名。 ……。 ……。 …私は、姉の事が好きでした。 誰よりも…誰よりも、お慕いしていたのです。 …。 …恋い慕って、いたのです。 ………榛名。 けれど、私は…今の私は、貴女をお慕いしています。 誰よりも、貴女の事を…貴女だけの事を。 …。 貴女が誰であろうと…私がお慕いしている方には間違い無いのです。 …。 ……どうぞ、ずっとお傍に置いて下さい。 離れぬよう……ずっと、その腕の中に。 …。 私を……榛名を。 ……約束、しましょう。 …。 …どんな事があろうと、離さぬと。 ………比叡さん。 …この命に懸けて。 ………有難う、御座います。 ……。 ……。 …榛名さん。 はい…比叡さん。 …榛名さんが繕って呉れた半纏、本当にとても暖かいです。 綿も新しいものにして下さったから…。 …良かったです。 とても草臥れてしまっていたから…羽織っていても、あまり暖かくなくて。 繕おうにも私のこの手では…どうにも、上手く出来ずに…。 …貴女のお役に立てて、私は嬉しく思います。 …。 ……。 …貴女のような心優しい方が嫁いで来て呉れて。 私は…果報者です。 …。 私程の果報者は屹度、居ない…然う、思ってしまっているくらいに。 ………嬉しい。 榛名さん…榛名。 ……。 ……良ければ、今宵。 ………はい。 ……。 ……どうぞ、その腕の中に。 …私を温めて呉れますか。 ……私の熱で、良ければ。 …。 …。 …休みましょうか、榛名。 はい……比叡さん。 −Day off …んん。 ……。 榛名ぁ…。 …何でしょう、姉さま。 なに、してるんですか…? …本を、読んでいました。 ほん…。 ……ん。 面白い、ですか…? はい…姉さまがお勧めして下さったものなので。 ふむ…。 …これ、です。 ……それは。 榛名が未だ、幼かった頃…姉さまが榛名の六つのお誕生日に贈って呉れたものです。 …ほしのおうじさま。 あの頃の榛名には難しかったですけれど…。 …。 この本は榛名の…大事な宝物の一つです。 …ふむ。 ふふ…。 ? なんでしょう…? …髪が、跳ねています。 もとから、ですけど…。 いいえ…これは寝癖です。 ……。 …よく、眠っていましたから。 ああ……うん。 …。 …退屈だった? いいえ…本を読んでいたので。 榛名は大丈夫です。 むぅ。 …? 姉さま? …。 きゃ。 ……榛名。 比叡姉さま…。 …今日はずっとこうしてるって。 朝、決めましたよね…? ……はい、決めました。 ですから…これはもう、おしまいです。 じゃあ、しおりを…あ。 …だめです。 姉さ…んん。 ……そんなもの、必要ないでしょう? 何度も、読んでいるのだから…。 ……その栞も。 …。 姉さまが、贈って呉れたものだから…だから。 ……しかたない、ですね。 …。 ……いいですか。 …姉さまが、眠ってしまったから。 む…。 …榛名を、置いて。 だから、榛名は…。 ……。 ……こうしていようと言ったのは、姉さまなのに。 …ごめん? ……だめです、ゆるしません。 どうしたらいいですか…? …ひとりで、眠らない下さい。 じゃあ、一緒に眠るのだったらどうですか…? …。 ……榛名? …本当は。 …? …姉さまと一緒に眠ろうとしたんです。 姉さまの胸に耳を当てて…姉さまの音を聞きながら。 うん…。 …でも、眠ってしまうのが勿体無くて。 …。 …だって、折角の休日なのに。 眠ってしまったら…あっという間に終わってしまう。 榛名は…榛名はもっと、姉さまと…。 …ごめん、榛名。 ………。 榛名の言うとおりだ…。 折角の休日なのに…だからこそ私はふたりでこうしてたいと、思ったのに。 私ばかり、寝てしまって…。 …。 榛名…。 ……若しも。 若しもまた、ひとりで眠ってしまったら…。 ……暫く、口を利いて貰えなくなりそう、かな。 それだけじゃ、済ませません…。 …と、言いますと。 キスも……しばらく、こうすることも禁止にします。 …ひえぇ、それはきつい。 あと、ねえさまがおすきなごはんも作ってあげません。 …うぅ、それもきつい。 だから……ねえさま。 …。 ………もう、ねてはいやですよ。 うん……勝手は、もう、しない。 …きっと、ですからね。 うん、きっと……かならず。 ……ねえさま。 ………しようか、榛名。 …。 …ゆっくり、しよう。 はるなにわたしのおとが、よく、きこえるように…。 ん……ねえさま。 だから…はるなのおとも、きかせてね。 だいすきなんだ、はるなのおと…。 …ねむらないでくださいね。 はは……はい、わかっています。 ……ん、…。 はるな……だいすきだよ。 ………ねぇ、さま。 5 |