−Love is... ……。 ……。 ……。 …あの、比叡さん。 なに? …あまり見られていると、その、落ち着きません。 ああ、気にしないで。 …でも。 気にしない、気にしない。 ……はい。 …。 …。 …。 ……あの、やっぱり。 睫毛、長いなぁって。 …え? 眉毛の形も整ってて綺麗だし。 あ、ありがとう、ございます…。 榛名さんは綺麗だ。 形も、心も。 …ッ。 本当に、綺麗。 私には勿体無いくらい。 は、榛名は…。 勿体無いかも知れないけど、誰にも譲る気は無いからね。 は、はい……あ、いえ。 え? 比叡さんだって…榛名には勿体無い、です。 あはは。 私はそんな良いものでは無いよ。 よ、良いものです…ッ。 お…。 ……もっと、自覚して下さい。 自覚、ですか…。 …比叡さんは、ご自分で思っているよりも、ずっと。 ずっと……。 …うん。 有難う。 ……比叡さん。 ん? …比叡さんは榛名の、掛け替えのない人です。 ……。 だから…あ。 ……榛名さんも私の、掛け替えのない人だよ。 …。 …いつまでも、見ていたい。 ……だめ、です。 と…。 …榛名の心臓が、もちません。 もたない、から…。 ……でも、許して欲しい。 ぅ…。 …どうしても、止められそうにないから。 ……比叡、さん。 …あぁ、本当に勿体無い、な。 …。 こんなに綺麗なひとが…私のお嫁さんなんて。 …榛名、は。 ……でも、離さない。 …。 離さない。 全てが終わる時が来たとしても。 …榛名は、貴女の為に。 …。 ……貴女の為に、私は在るのだと。 …。 私は、貴女と共に。 ……愛は、確かに、此処に在る。 …。 …綺麗だね、榛名。 ……はい、貴女もとても。 −Secrets …。 …榛名、眠い? ……。 榛名? ……はるなは、だいじょうぶです。 んー……。 …。 …うん、やっぱり眠たそうだよ。 ベッドに…。 ……おねえさまは? 私はもう少し起きてないと。 おやすみに、ならないのですか…。 ええと…報告書、未だ終わってないんだ。 …終わらせないと、霧島の小言を喰らうはめになるし。 ……だったら、はるなもおきてます。 榛名は先に寝てて良いよ。 …いやです。 わ…。 …おねえさまが、ねないなら。 はるなも、ねません…。 いや、でも。 ……はるな、もうすこしこうしてたいです。 終わらせたら、私も直ぐに寝るから。 ね? …おねえさまと、こうしてたいです。 …。 ……してたい、です。 …ううん、どうしたものかな。 うう……。 …榛名、どうしても? ………。 …そっか。 じゃあ…一寸待ってて。 …おねえさま? とりあえず、ね。 まって、おねえさま…ねるなら、はるなも。 いや、未だ寝ないよ。 と言うか、寝たら明日が怖い。 …? …よし。 榛名。 ……わ。 眠ってしまっても良いように。 一応、ね。 …はるな、ねむくありません。 はは…。 ……だから、もうふもいりません。 はーるな。 …ぅ。 ほっぺた、ふにふにしちゃうぞ? ……うぅぅ。 やらかい。 …ぅー。 ね、榛名。 直ぐに終わらせるから。 …。 待ってて呉れる? …はい、はるなはまってます。 いつまでも…まってます。 …。 …はるなは、おねえさまの、おそばに。 …。 …。 ……うん。 ん…。 気合、入れて、終わらせます。 …。 …榛名。 …。 んん…。 …榛名、終わったよ。 ひえい、おねえさま…。 …待たせてしまって、ごめんね。 はるな…。 …一緒に居て呉れて、ありがとう。 ……ごめんなさい、おねえさま。 うん…どうして? …はるな、けっきょく。 ねぇ、榛名。 …ん。 私、夜は苦手なんだ。 と言うより…竦んでしまうくらい、怖い。 …。 …だから榛名が傍に居て呉れると、とっても安心するの。 榛名の温もりを感じていると…心の底から、私はひとりではないって思えるの。 ん、おねえさま…。 …これは榛名と私だけの、秘密だよ。 ひみつ…。 …誰にも、言わないでね。 金剛お姉さまにも、霧島にも…誰にも。 …はるな、おやくそくいたします。 だれにも……ん。 …。 …おねえ、さま。 終わった事だし、寝ようか…一緒に。 …はい、おねえさま。 じゃあ…抱っこ、してあげる。 あ…。 …貴女と束の間のランデヴーを。 はるな、じぶんで…。 …私がしたいんだよ、榛名。 …。 …良いですか、私の可愛いお姫さま。 ……おひめさまでは、ないです。 私にとってはそれぐらい愛しいって事だよ…榛名は。 …。 ……だっこして眠っても良いですか? …ひみつ、ですよ。 うん…? …おねえさまと、はるな、だけの。 はい…秘密、です。 −Pray …比叡さんは。 んー…。 …若しも。 若しも、ですよ…。 …うん。 この戦いが、終わったら。 どうしたいですか。 ……。 …どうしたいですか。 んーー……そう、だなぁ。 …。 んー………。 …榛名は。 ん…。 ……どこまでも、比叡さんに付いてゆきます。 …。 …どこまでも、貴女と。 ……考えて、なかった。 え…? この戦いが、終わる事…。 ……。 …少なくとも自分の代で終わる事は。 ……。 だから、今から考える……時間、少し呉れるかな。 …はい、榛名は待ってます。 戦いが、終わったら…かぁ。 そしたらもう、「いくさぶね」として生きなくても良くなるんだよなぁ…。 …。 ふねである事には、変わりないけど……でも、戦わなくても良いんだ。 …だけど。 ……。 そしたら…私達の存在価値はどうなるんだろう。 人の子は、私達をどう扱うだろう。 どう、見るだろう。 …あ。 ……人の子はいつの時代も、争ってる。 この戦いが終わったら…また新しい諍いが始まるかも知れない。 いや、もう既に…。 …。 ……そうしたら、私達は。 また、あの頃のような戦に……。 …。 ……私は、榛名さん。 …はい。 貴女と、静かに暮らしたい。 ……。 …人の子を殺す為に戦うのはもう、嫌です。 人の子を殺す為に沈むのは、もう……嫌だ。 …。 …戦う事が存在意義かも知れない、いえ、存在意義だとしても。 それでも私は……もう、殺せない。 …。 ……一緒に、何処かで、静かに暮らしませんか。 …榛名は。 なんて…駄目、かなぁ。 戦が始まったら、私達は…ん。 榛名は、どこまでも貴女に付いてゆくと。 …。 …それが榛名のしたい事、だから。 ……本当にそれでも良いのですか。 …それが、良いんです。 ……。 …屹度、金剛お姉さまも霧島も。 分かって呉れると……思うから。 …然うだと、良いなぁ。 屹度……。 ん…榛名。 ……何処で、暮らしましょうか。 然うだなぁ…人の子があまり居ない所が良いか。 それとも…人の子に紛れて暮らす為には多い方が良いか。 …。 でも、あまり多いのは苦手かも知れない…ほら、此処はあまり居ないから。 …然うですね。 榛名も苦手かも知れません…。 …大きい鎮守府の私達は、どうだろう? どうでしょう…でも、若しかしたら。 ……うん。 …でも、私達は。 ………多分、だけど。 はい…。 …人の子に紛れるのは、難しいでしょうね。 私達は…やっぱり、艦娘だから。 ……。 …いつか、戦いが終わったら。 榛名さん、私と一緒に。 …はい、喜んで。 −Lovers & Sisters …。 …。 ……ん、んん。 …おねえさま? あ…いや、照れるなって。 …。 あ、でも、嫌とかじゃないから。 …はい。 んーー…。 …お姉さま、頬が赤いです。 ひぇ。 …ふふ。 は、榛名こそ。 …あ。 ほっぺた、赤いよ。 それに耳も。 …。 …それに、すごく熱い。 ……お姉さまも。 …。 …。 …あ、あのさ、榛名。 …はい、お姉さま。 その…もう一度、良いかな。 …。 ……キス、しても。 …はい、榛名は何度でも。 な、何度でも…? ……。 …ひぇぇ。 ふふ…お姉さま、可愛いです。 か、かわいいって。 …とても、とても。 …ッ。 え…。 ……。 …おねえさま。 ……キス、しても良いですか。 はい…。 …その、何度でも? ……はい。 …。 おねえさ…ん。 ……。 ……ひえいさん。 …何度でも、しちゃうよ。 本当に…。 ……はい、して下さい。 …。 ん……。 ……榛名。 …比叡さん。 ……。 ……。 いい加減、良いですか。 …! き、霧島…? そろそろ、演習の時間ですけど。 い、いつから、其処に? の、ノックくらい…。 したわよ、何度も。 でも夢中だったみたいだから。 …。 …。 と、言うわけだから。 時間厳守でお願いします。 遅れたらどうなるか…まぁ、分かっていますよね。 お姉さま方? …はい。 …はい。 −I feel a smell of the sun. 榛名? 一寸、良い? …。 榛名? 居ないのかしら。 …霧島? 榛名? 居るの? うん。 どうしたの? 今、一寸良いかしら? うん、良いけど。 じゃあ、入るわね。 ふふ、変な霧島。 前は勝手に入ってきてたのに。 わざわざ気を使ってあげているのよ。 何しろ、新婚の部屋に入るのだから。 新婚…。 まぁ、比叡姉さんは遠征で居ないからバツが悪い事も無いでしょうけど…あら? ……。 榛名、貴女そんなパーカー持っていた? …え。 そのパーカー。 あ、これは…。 ふむ……それ、比叡姉さんのじゃない? え、えと…然う、だけど。 ……。 な、なに。 …ふぅん。 なに、霧島。 いいえ、別に。 別にって顔、してない。 突っ込んで欲しいなら、突っ込むけれど? う…。 淋しいんでしょう、比叡姉さんが居ないから。 だから、比叡姉さんのパーカーを勝手に引っ張り出して 勝手にじゃない。 …。 これは…その、お姉さまが榛名に着ても良いって。 …居ない時に? い、いつでも良いと仰って呉れたから、だから。 寧ろ、最初は着せられたんじゃないの? …なんで。 なんとなく。 ……。 それ、確か比叡姉さんのお気に入りだったわよね。 …うん。 榛名にはサイズ、少し合ってないみたいだけど。 …でも、着られないわけではないから。 それで淋しさを紛らわす為に着ていると? …だって。 それで、少しは紛れた? …霧島は意地悪だよね。 別にそんなつもりはないけれど。 …。 予定なら明日だったわね。 帰ってくるのは。 ……うん。 …。 …。 ねぇ、榛名。 今度の比叡姉さんの誕生日には新しいパーカーでも贈ったら? え。 屹度、いえ絶対、喜ぶと思うわよ。 …。 …。 …ふふ。 うん、然うしようかな…。 ごちそうさま。 …あれ、霧島? ん? 用事があったんじゃないの? あったけど、もう、済んだわ。 え? じゃあね。 霧島? とりあえず、大丈夫そうだから。 …? 大丈夫? そうそう、比叡姉さん、明後日は非番だから。 思い切り、甘えてみたら? ……おもいきり、なんて。 榛名……。 向こうから思い切り甘えてくるかも知れないけど。 ……。 じゃあ、また後で。 あ、うん…また後で。 ……。 …ふふ。 ねぇ、榛名。 はい、お姉さま。 良ければ、さ。 そのパーカー、あげようか。 え。 いや、良ければなんだけどね。 サイズ合わないから、要らないとは思 良いのですか!? あ、うん。 榛名が良ければ、だけど。 ……。 え、と…要る? …でもこのパーカーはお姉さまのお気に入りなのに。 榛名が頂いてしまっても良いのでしょうか…。 うん、榛名なら良いよ。 …。 ……。 ……有難う御座います、お姉さま。 榛名、大事に致します…。 …うん。 ……。 あー…えと、榛名。 …はい。 明日、さ。 私、非番なんだ。 …はい、知っています。 榛名は…。 …榛名もお休みです。 じゃあ…。 ……。 …ここのところ、二人でゆっくりする事が出来なかったから。 良ければ明日は……。 …。 あ、いや、榛名に希望があるなら……ん。 …。 はる、な……。 ……お姉さま。 う、うん…。 …榛名は。 お姉さま、と…。 ……。 ……比叡お姉さまと、二人で。 …ねぇ、榛名。 ………はい。 その……私は、会いたかったんだけ、ど。 …。 榛名は…どうだったかなぁって。 …お姉さまは一日千秋と言う言葉をご存知ですか。 いちじつせんしゅう? ……。 …うん、知ってる。 ん……おねえさま。 …知ってるよ、榛名。 ……はい。 ……。 …おねえさま。 ん…。 …。 …なに、はるな。 ……。 はるな…? …おねえさまのにおいがします。 え、と……くさい、かな。 くさいだなんて…。 …あせ、かいたし。 はるなはおねえさまのにおいが、だいすきです。 …ん、と。 だいすきです……。 ……そんないいにおいではないと、おもうけど。 …。 ん、はるな…。 ……おちつくんです。 とても、とても…。 ……そういうもの、なのかな。 はい…はるなにとっては、そういうものなんです。 …でも、いわれてみれば。 ぁ…。 ……わたしもはるなのにおい、すきです。 いつも、いいにおいがして…。 …いいにおいだなんて。 いまも…とてもいいにおいがする。 ……はるな、あせかきました。 それはおたがいさま、だよ…。 あ、おねえさま……そんな、くすぐったいです…。 …ふふ、いいにおい。 んん……。 ……そういえば、こんなはなしをきいたことがあります。 …? どんなおはなしですか…? なんでも、においであいしょうがわかるとか。 …あいしょう? うん、あいしょう。 …それは、どんな。 はるなとわたしはあいしょうがいいかもしれない。 え。 …いいにおい、だと、かんじるから。 ……。 においでほんのうてきに、わかるそうです。 あいしょうがいいか、わるいか。 だからもしも、あいてのにおいが……いいにおいだと、かんじなかったら。 …かんじなかったら。 あいしょうはよくない、かもしれない。 ……。 …ふねであるわたしたちに、それがあてはまるかどうかはわからない。 けど……あてはまるのなら、わたしは。 …。 ……うれしい、と。 …はるな、も。 …。 …はるなも、うれしいです そうだったら、うれしい……。 ……うん。 …。 …。 ……おねえさま。 なに…? …パーカー、やっぱりいただくわけにはいきません。 え…なんで。 …。 …やっぱり、いらない? いいえ、いいえ…。 …じゃあ、どうして。 ……。 …はるな。 ……おねえさまのにおいがする、あのパーカーがすきなんです。 …。 だから、はるながいただいてしまったら……。 …。 ………おねえさまがきて、おねえさまのにおいがしみこんだ、それが。 …。 …はるなは、すきなんです。 だから、だから…。 ……はるな。 は、はい…。 ……じゃあ、あげない。 …。 …それで、いい? ………はい。 うん…わかった。 …あの、おねえさま。 ん? ……はるな、うれしかったです。 …ん。 おねえさま……。 …なまえで。 …。 …。 …ひえい、さん。 ……もういちど、よいですか。 …は、い。 −NINELIE〜葉月六日 その日、その光は地上にあるもの全てを焼き払い、破壊し尽くしました。 大地も、木も、建物も、空も、そして、人の子らも。 ……ッ! …。 ……ぁ、……ぁッ。 …。 ……は、ぁっ……ぁ、あぁ。 ……。 …ぅ、……ぁ、……うッ。 ……はるな。 ……っ、…ッ。 榛名。 ……だ、め。 …。 ……みないで、ください。 どう、か……ぅ。 ………。 …ッ、……ッッ。 …ごめん、聞けない。 ……い、や。 放っておく事なんか、出来ない。 ……きた、ない…か、ら。 汚くない。 …や、……や、で…す。 ぉ、ね…ぇ、さま……。 …。 …みない、で。 ……布団、とりあえず退かすよ。 ぁ……。 …大丈夫、鳳翔さんなら。 誰よりも、分かって呉れると思うから。 …ぁ……や……。 …。 ひぇ…い…ねぇ、さま…。 …全部、出してしまえば。 いや…無いか、もう。 …う、ぅ。 ……そもそもあまり食べてなかったから。 この日が近くなるにつれ、榛名は食欲が落ちてゆくから…。 …。 …大丈夫、榛名。 汚くないから、だから…。 ……ぁ。 …大丈夫、です。 ………。 …お姉さまも、霧島も。 今の榛名には…居るよ。 ……ひ、ぇい……。 ん…一応、私もね。 ……。 ……榛名。 …まもれ、なかった。 …。 …はるな、まもれませんでした。 うん…。 ……そらを、うばわれて。 …うん。 はるなたちが、そらに、むかって、いくら、うっても……それは、ほとん、ど。 …。 …さいご、は、みてるしか、なく、て。 …。 …………ぜん、ぶ。 …。 ぜんぶ、ぜんぶ……こわれて、しまった。 そこに、そこで、いきていた、のに…。 …。 …いきて、いたん、です。 いとなみが、あったん、です……。 …。 …はるなたちは、それを、まもるために、いたのに。 なのに…なのに…。 ……うん。 どう、して……。 ……落ち着くまで、こうしているから。 …。 …落ち着いたら、着替えよう。 ………。 …その前に、顔を拭きたいですよね。 もう少ししたら、持ってきましょう…。 ……おねえさま。 …私は、榛名。 …。 ……この姿になって初めて、自分が沈んだ後の事を知りました。 この姿にならなければ知る事は無かった事を…。 …。 …お姉さまや、霧島。 そして、榛名の事も…。 …。 ……霧島が私の後に沈んだ事。 お姉さまが…私の進水日に、沈んでいった事。 そして、榛名…。 …。 ……結果的に、貴女をひとりぼっちにしてしまった事。 …っ。 ……榛名。 …。 …私には、私達には貴女の痛み、辛さは分かりません。 分かってあげる事は、分かりたいとどんなに願っても、出来ない……けれど。 …。 ……今の榛名は、ひとりぼっちじゃないから。 …ぅ。 ……その痛みを一人で背負うしか、無いとしても。 私が……私達が、貴女を支えるから。 ……おねえさま。 …だから。 …。 だから……。 …。 ……その、だからね。 ひえいおねえさま…。 …あまえて、よ。 …。 …あまえて、ほしいんです。 ……。 つらかったら、つらいと。 いたかったら、いたいと。 くるしかったら、くるしいと。 いって、ほしいんです。 …。 …分かる事は、出来ないかも知れないけど。 でも、支える事なら…屹度、出来るから。 私、頑張るから。 …。 だか、ら……。 ………。 ……榛名。 …あのひ、たくさんのひとのこがしにました。 うん…。 …くろいあめが、ふって。 すべてを、ぬりつぶして、ゆきました…。 …うん。 はるなは、みていることしか、できませんでした……。 …。 ……はるなは、いきのこって、しまいました。 はるなだけ、いきのこって…。 …良かった、と。 …。 ……榛名が、沈まないで、良かったと。 …。 私は…思ってはいけないのかも知れないけれど…でも、然う思ってしまったんです。 多くの人の子が、死んでいったと言うのに…。 …。 …大事な、妹。 貴女が、海の底に…あの、冷たさや暗さ、怖さを知る事、なく。 私は……とても身勝手な話ですが、それが嬉しかった。 ……。 …生き残ってしまった榛名が負った傷の深さも、知らずに。 比叡お姉さま…。 ……あの日はもう、戻らない。 あの日にはもう、帰れない…。 起こってしまった事は絶対に変える事は出来ない…。 …。 ……これからも、貴女はその傷を抱えて生きてゆかなければいけないのでしょう。 簡単に捨てられる痛みなら……いや、屹度、そんなものは無いのでしょう。 …。 ……榛名、私はそんな貴女を支えたいと。 心の底から…思って、いるんです。 それは勿論、私だけでなく…。 ……。 ……ごめんなさい、何を言っているのか良く分からないですね。 …いい、え。 いいえ……。 …。 ……お願いが、あります。 …はい、何でも。 榛名の、傍に。 …。 …榛名の傍に、居て下さい。 榛名を…抱き締めて、下さい。 ……もっと、言っても良いんだよ。 …。 …私は、何でも出来る。 出来ると、思っ、て………。 ……。 ……はるな。 …ごめんなさい。 …。 ……はるな、きたないのに。 …言ったよね。 …。 汚くないって……言ったよ。 …ん。 ……。 ……。 ……汚くなんか、ない。 …あぁ。 ………。 ……す、き。 …。 …すき、です。 だから、そばに、いて…。 ……。 …はるなを、ささえて、ください。 ……うん、私の力の限り。 …。 ……着替える前に、顔、拭く? …。 ん……じゃあ、用意するから。 ……ありがとう、ございます。 でも…。 …。 ……いまは、もうすこし、だけ。 …うん、榛名。 ………。 『榛名。』 …。 どう? 顔色は…あまり悪くは無いようだな。 伊勢、日向。 比叡は? 一緒じゃないの? 伊勢、お前はまた。 …お姉さまなら、榛名の直ぐ傍に居て下さいます。 うん?何処? 見当たらないけど。 伊勢。 ……。 …。 …。 …伊勢、日向。 んー。 …なんだ。 榛名達には未だ、やれる事があるんですね。 然うね。 …あぁ、然うだ。 この姿で、生まれて。 榛名達が、なすべき事を。 ま、あれらが生まれなければ、私達も生まれなかっただろうけどね。 …何にせよ、私達は此処に居る。 だったら、なすべき事をするだけだ。 …。 …。 …。 …榛名は、大丈夫です。 ところで、榛名? 比叡とはどうなの?どうなの? …伊勢。 どう…て。 上手くいってる? 赤加賀さんちみたいにさ? 伊勢、どうしてお前は然うなんだ。 赤加賀さんちってなんだ。 ……。 あれあれぇ、顔が赤くなってるねぇ。 ほら日向、見て見て。 耳まで真っ赤。 伊勢、もう良いだろう。 行くぞ。 ……いってると、思います。 昨日も…その、お姉さまが傍に居て下さったから、榛名は。 おぉ、それでそれで? …て、痛い、痛いよ、日向。 やかましい。 榛名、すまない。 あ…いえ、榛名は大丈夫です。 あーん、もう。 日向、痛いって。 うるさい。 …ふふ。 ひゅーがーー。 …全く。 ……。 …榛名。 ……。 伊勢と日向、相変わらずだね。 …はい。 …。 ……比叡お姉さま。 …ん。 ……手を、繋いで呉れませんか。 …勿論、良いですよ。 有難う御座います…。 …。 …。 …大丈夫ですか。 ……はい、榛名は大丈夫です。 そう…そっか。 …でももう、一人では大丈夫ではありません。 …。 だから……比叡さん。 …うん、任せて。 ……。 …お姉さまと霧島が、待ってる。 行こっか。 …はい。 うん。 じゃあ、行こう。 −そして、僕に出来る事。 ……。 …はるな? ……。 どうしたの? ……。 榛名。 ……。 …どうして、泣いているの? …。 榛名、どうしたの。 ねぇ、榛名。 ……。 …どうして、泣いて。 …。 …………あぁ、然うか。 …。 私が…。 …。 私が………沈んだから。 ………。 …。 ………沈んで、ない。 …。 手…ある。 足……は、多分、ある。 頭……ある。 …。 とりあえず……全部、ある。 …けど。 ……、………。 手、動かない。 目、ぼやけてる。 耳、壊れてる。 …、……ッ! うーん…これは、参った、な。 どうしたもの、か……。 …? ……、……!! 口は……お、動かせるかも。 じゃあ、とりあえず……こう、しよう…か。 …、……、……、………、………………。 比叡、生きて、ます。 …ッ!! でも、声は出てない、かな。 …………。 けど……うん、伝わったみたい。 良かっ、た……? ……。 …。 ………。 …やっぱり、あまり良くないですね。 これは、良くない……。 ……。 …手を、動かせれば。 声を、出せれば。 名を、呼ぶ事が出来れば。 …。 …はるな。 …。 は、る、な。 ……? は、る、な。 ……… …はるな。 …、…、…、…、…。 ん…? …、 …ひ、 …、 え…、 …、 い、 …、 さ、 …。 ん。 ………。 …うん、聞こえた。 聞こえたよ、榛名。 ……………。 ちゃんと、聞こえてる。 榛名の、声。 私の名を、呼ぶ、声が。 ……。 ごめん、榛名。 有難う、榛名。 …。 …あぁ。 動けるように、なったら。 …。 抱き締めたい。 抱き締めて、確かめたい。 良いですか。 …、……。 ん…あれ? 伝わった? ……。 …ん、参りました。 …。 ねぇ、榛名…榛名さん。 …? 抱き締めても、良いですか。 …。 駄目、ですか。 ……。 榛名。 ……、……………。 …。 ……、……。 …はい、分かりました。 比叡、気合、入れて、直します。 早く、抱き締めて下さい。 一秒でも…、早く。 −Voices …。 んー…。 …。 …んん。 ……あの、お姉さま。 んー? …先程からずっと、このままなのですが。 うん。 その…動かれないのでしょうか。 …。 このままでも、その、良いですけれど…でも…。 それは…先へのおねだりですか? …。 それとも、お誘いでしょうか。 …お姉さま。 はい。 ……お好きですね。 はい、お好きです。 …本当に。 はい、本当に。 ……意地悪では、無いのですよね。 それは少し、あるかも知れません。 …。 その顔、可愛いですね。 …比叡さん。 と。 ……もう駄目です、と言いますよ。 それは困ります。 …。 とても。 …困っているように、見えません。 困っている人は笑ったり、しません。 寧ろ、楽しんでいるように見えます。 そんな事は…。 …。 …はい、楽しんでます。 本当に言いますよ。 言わないで下さい。 ん…。 こうするのが…好きなんです。 …知っています。 榛名さん。 …はい。 好きです。 …。 …貴女の心音(おと)を、聞くのが。 ……。 ……。 …榛名にも聞かせて下さい。 はい…勿論です。 …。 …榛名さん。 はい…。 ……しよう、か。 …。 …榛名。 ………その前に。 ん…? ……くちづけ、を。 …。 ……未だ、して下さっていません。 したと思ったけど……服を、未だ着ている時に。 …。 ん…。 ……もう。 もう…? ……時間が、経ってしまいました。 …。 ……だから。 …。 だから、もう一度……。 ……。 ……。 …これで、良いですか。 ……。 …もっと、欲しいですか。 ………もう。 もう…? ……焦らさないで、下さい。 …は、ぁ。 はぁ……あ、ん……ぁッ。 ……榛名。 ん、んん……ッ。 ……。 …ん……ふ、……ひ……んん! ………。 …ひぇいさん…ひえぃさん……。 ……はるな。 …ぁあッ! はるな。 ……ひぇい、さん。 …。 ……もっ、と。 …。 …もっと、よんで、ください。 はるなのなを、わたしのなまえ、だけを…。 ……そんなに好き? …そのこえ、で。 …。 あなたの、こえで…よばれる、のが。 よんで、もらえるのが……。 …。 ……すき、です。 だいすき、です……だから。 …榛名。 あ…。 ………こんな声で、良いのなら。 何度でも…何度でも…呼ぶよ。 …あなたのこえで、なければ。 …。 わたしは……わたしのここは、みたされないから。 ………榛名。 ぁ……。 …好きだよ、榛名。 誰よりも…貴女が。 ……ぁあ。 …。 …。 ……んー。 …ひえいさん。 はい…はるなさん。 ……おすき、ですね。 はい…おすきです。 …。 …はるなさんも、すきでしょう? ……はい、すきですよ。 うん…。 ……ひえいさん。 なぁに…? …これからも、ずっと。 これからも、ずっと…? ……はるなのおとを。 はるなの、おとだけを……。 …。 ……きいて、ください。 …。 すきで…いてください。 …。 え…あっ、ん…。 ……きあい、いれて。 ひえいさん…。 …ちかいます、から。 −A Lover's Concerto ねぇねぇ、比叡さん。 はい、何ですか? 比叡さんは誰が一番好きっぽい? はい? 誰?誰? 一番、ですか? そう、っぽい! 榛名です。 え? 榛名ですよ。 ……。 榛名が一番、好きですよ。 誰よりも、愛していますから。 …て、真顔で言ったっぽい! わぁ…。 ラブラブじゃない! は、恥ずかしいのです…。 夕立は駆逐艦の子達の中でって聞いたつもりだったんでしょ? と言うか、その質問もどうかと思うんだけど…。 比叡さんは榛名さんが一番なんだね。 と言うかそれ、今更じゃない? …。 あれ、どったの? ああ、この子比叡さんのファンだったから。 だから今更だって。 まぁ、仕方ないよねー。 相手は榛名さん、だしねー。 お似合いだよねー。 ねぇ。 榛名さんの一番も比叡さんだよね、屹度。 絶対、然うでしょ。 ……。 あ、こっちも凹んでるし。 まぁ、格好良いし、無駄に怒らないし、面倒見良いし、穏やかだし、でもって、とっても優しいし。 違う違う、この子は榛名さんのファン。 あー、なるほど。 分からないでもない、かなぁ。 榛名さんもすっごく優しいし。 でもやっぱり、比叡さんと榛名さんはお似合いだよ。 ふたり並んでいると、絵になるもの。 けどそれを言うなら、赤城さんと加賀さんだって……。 ………。 …。 ……。 …大丈夫、とは聞かないわよ。 ……霧島。 まぁ、比叡姉さんらしいわね。 あの人、そういうことしれっと言うから。 と言うより、言えるから。 …。 あーはいはい。 嬉しいんでしょ、どうせ。 …霧島。 部屋に戻るなら、どうぞ。 比叡姉さんも戻ってると思うし。 …。 今頃、演習結果の報告書でも書いてるんじゃないの。 ……。 言っておくけれど。 今更、よ? ……。 …。 …え、と。 榛名? ……。 どうしましたか…? …どうも、しません。 ですが…。 …榛名、邪魔ですよね。 いや、邪魔とは言いませんが…。 …。 うーん…。 …。 …やっぱり、何かありましたか。 ……。 …。 ……。 …まぁ、良いか。 …! ……。 ……比叡さん。 …。 比叡さん…。 …言いたくなりましたか? ……。 …なぁに、榛名。 ……恥ずかしくて。 うん…? …恥ずかし過ぎて、死んでしまいそうになりました。 え…? …比叡さんのせい、です。 私の…私、何かしてしまいましたか? …しました。 えと、何を…。 …。 …榛名? ………早く、終わらせて下さい。 わ…。 …報告書。 えと…然うしたいのは、山々なんですが…。 ……。 …その、手に付かないと言いますか。 ……どうしてですか。 どうしてって…。 …。 ……背中に、榛名の躰の柔らかさが。 …。 …その、気になってしまうと言うか。 …。 ……然う言えば、榛名。 …なんですか。 今日、誰が一番好きかと聞かれたんです。 …ッ! だから…むむ? …言わないで、良いですから。 む、むむ…? ……お願いですから、今は言わないで下さい。 …。 ……。 ……榛名。 …。 …て、言いました。 ……言わないでって、言ったのに。 …ちゃんと、言わないと。 伝えたい時に、ちゃんと。 ……どうして、そうなんですか。 悪い事ですか…? …。 ……一番好きです、榛名。 …あぁ、もう。 榛名…離して呉れませんか。 …嫌です、離しません。 でも、これだと…。 …良いんです、これで。 ……。 …。 …抱き締めたいんです、が。 ………駄目です、報告書が終わってからです。 …。 …。 …では。 気合、入れて、終わらせます。 ………はやく、おわらせてください。 …。 …。 よし。 気合、入れて、いきます。 ……。 −Yue Liang 比叡さん、雲が。 ああ、晴れてきましたね。 今日はずっと曇っていたからどうかと思っていたのですが。 見られないかと思っていました。 ええ、本当に。 …。 ん? …榛名、嬉しいです。 …。 …比叡さんとお月見が出来て。 …うん、私も嬉しいです。 榛名とお月見が出来て。 金剛お姉さまと霧島も、見ているでしょうか。 さぁ、どうだろう…海の上だから、大分難しいかも知れない。 …。 榛名…そんな顔、しない。 …はい、比叡さん。 若しかしたらふたりも、見ているかも知れない。 ほんの僅かな時間だけだったとしても。 …然うだと、良いのに。 ……。 …来年はよにんで出来たら良いですね。 ん…然うですね。 …ん。 ……。 …比叡さん。 榛名。 …はい。 月が、綺麗ですね。 …はい、とても。 …。 …本当に綺麗です。 比叡さんと一緒に見られて…榛名は、しあわせです。 ……。 …? 比叡さん…? …榛名。 はい。 …月が綺麗ですねって、英語で何て言うか知っていますか? 英語で、ですか…? …はい、然うです。 ええと……。 …。 ....The moon is beautiful. …。 …あの、間違っていましたか? いえ…合っていますよ。 でも…。 …ぁ。 ……榛名、耳を少し拝借します。 は、い…。 ……榛名。 ん…。 ……。 ……え。 …聞こえましたか? あ、あの…。 …それとも、もう一度言いましょうか。 …。 ……もう、言わなくても良いですか。 い、いえ…。 …。 …もう一度、お聞かせ下さい。 ……うん、分かった。 …。 榛名…。 ……はい。 ...........I love you. ……。 …今度はちゃんと、聞こえた? はい…ちゃんと、聞こえました。 うん…良かった。 ……。 …風情がありますよね。 はい…とても。 …。 …。 比叡さん…。 …なに、榛名。 月が…んん。 ……。 ……、…ん。 …。 ………ひえ、…さ…。 …。 ……ん、…は…ん…。 …。 ……はぁ。 …月が綺麗だね、榛名。 ……。 …。 …ひえいさん。 綺麗です…本当に。 −Die unendliche Geschichte 比叡さん。 なに、榛名。 比叡さん。 なに、榛名。 …比叡さん。 なに…榛名。 ……。 …どうしたの、榛名。 比叡さん……。 …なぁに、榛名。 榛名は、榛名は…貴女が、好きです。 …うん、知ってる。 大好き、なんです…。 ……知ってるよ、榛名。 だから、だから……ずっと、貴女と一緒に居たいです。 ずっと、ずっと、一緒に…。 …榛名。 ん…。 …ずっと、一緒に居よう。 ……ずっと、ですよ。 ずっと、ずっと、ですよ…。 うん…ずっと。 それが意味する事、分かっていますか…。 分かってる。 榛名こそ、分かってる? …榛名は。 私、結構頑固だったんだ。 一度決めたら変えない。 特に、榛名に関する事は。 と言うより、榛名の事だけは。 …そう、なんですか。 うん…そう、だよ。 だから…ね。 ぁ…。 …今が最後の機会。 この機会を逃してしまったら…榛名はもう、私から離れる事は出来ない。 何故なら、私が離さないから。 …。 厄介でしょう…? …頑固さなら榛名も、負けていません。 うん…? …私も離れるつもりはありませんから。 決して…貴女から、離れない。 離れたく、ない…離したく、ない…。 …。 …もう、二度と。 置いてゆかない。 …一緒に。 連れて、ゆくよ。 だから、榛名も。 …。 …私を、ひとりにしないでね。 ……しません。 …約束。 はい……約束、です。 …絶対に、離さない。 どんな時でも、離れない…。 …好きだよ、榛名。 榛名も、好きです……大好き、です。 …。 …貴女だけが、私の。 榛名。 …ん。 私の、大切なひと。 愛しい、ひと。 あぁ、比叡さん…。 …どれほど、愛しても。 愛し足りない……。 …私も。 足りる日なんて、屹度、来ない…。 …来ないで。 ……。 ずっと私を、私だけを求めていて欲しい…。 …貴女も、私を。 …。 榛名。 …はい。 榛名。 はい…。 ……変わらぬものを、貴女に。 変わらぬものを、私に…。 …変わらぬものを、私に。 変わらぬものを…貴女に。 私のすべてを、貴女に…。 …貴女のすべてを、私に。 貴女のすべてを、私に下さい。 …私のすべてを、受け入れて。 榛名。 比叡さん。 沈む時も、一緒に。 |