−鮭のムニエル さっやかー! おかえり、杏子。 今日の晩飯、なんだ? いいにおいがするなー? 教えてあげても良いけど。 おう! その前に。 帰ってきたら、言う事があったわよね? 晩飯を聞くことだな! 違います。 おかえりって、言われたら? ただいま、さやか! と言うか、言われる前に言え…て。 …へへ。 いや、それは別に良いから。 なんでだ? 帰ってきたらただいまのキスをするって、マミが言ってたぞ? ……マミさん、杏子に変な事を教えないで下さい。 と言うか杏子、若しかしてマミさんにしてたの? ? してないぞ。 本当に? ああ、だってコイビトにするもんだって言ってたからな! さやかは、あたしのコイビトだろ? …うん、まぁ。 ただいま、さやか。 はいはい、おかえり。 で、今日の晩飯はなんだ? 今日は魚。 魚か! でもあたし、肉がよかったなー。 じゃあ、食べなくても良いわよ。 食うぞ! さやかの飯は魚でもうまいからな! …そう、かな。 おう、さやかの飯が一番だ! …手洗いうがいして、リビングで待ってて。 もうちょっとで出来るから。 おおー! …。 うまそうだなー、さやか! 分かったから、身を乗り出さない。 これ、鮭か?鮭だろ? 本日のメインは鮭のムニエルでございます。 どうぞ、召し上がれ。 おー、いっただきまーす!! ごはん、お代わりあるからね。 お味噌汁も。 うん! ……。 …うまい! うまいぞ、さやか! そう、良かったね。 あと、ごはんを口に入れたまま喋らないでね。 へへ、やっぱさやかの飯はうまいな。 ねぇ、杏子。 んー、なんだ? あと、これ。 …おー! 鶏肉が残ってたから。 ソテーにしてみた。 これも食っていいのか? どうぞ。 でも、さやかの分は あたしはこれだけでいっぱいだから。 それに、杏子の為に作ったんだから。 だからね、食べて。杏子。 ! さやか! んー? ありがとな! …どういたまして。 ……。 杏子…? …あたし、さやかと一緒にいられてしあわせだ。 あ…。 な、なーんてな。 さやか、食おうぜ! …ん、食べよう。 杏子…。 −かぼちゃと鶏肉の煮物 んーー……。 聖。 んー? レジュメ、捗ってる? まぁ、ぼちぼちかなぁ。 正直、飽きてきたから気晴らしがしたいところ。 気晴らし、ね。 そうそ、気晴らし。 ところで煮物を作ろうと思うのだけど、何か食べたいものある? お、今夜は煮物? いいえ、明日。 その方が味が染み込むから。 前から思っていたんだけどさ、それってカレーと同じようなもの? 一晩寝かせると美味しくなるとかってあれ。 うーん、一寸違うかしらね。 煮物の場合、冷ましている時に味が染み込むと言われているのよ。 だから出来立てより、一度冷ました方が美味しくなるんですって。 へぇ、そんなもんなんだ。 でも言われてみれば確かに、時間が経ってからの方が美味しいな。 それで何か希望の煮物はあるかしら? うーん、そうだなぁ。 蓉子の煮物は何でも美味しいからなぁ。 因みに蓉子。 うん? 今の旬と言えば? 今の? 然うね、今うちにある中で言うのなら…南瓜、かしらね。 じゃあ、南瓜の煮物で。 本当にそれで良いの? 甘くておかずにならないなんて、後で言われても困るのだけど。 やっぱあれでしょや?旬な物は日本人として頂いておかないと。 と言うわけで、南瓜が入った煮物で一つ。 分かったわ。 じゃあ………鶏肉、鶏肉も入れましょうか。 お出汁も出るし。 お、チキン、 良いねぇ、チキン。 それじゃあ、決まりね。 決まったところで、ちょいと気晴らししようかな。 と言うわけで何かお手伝いましょうか、蓉子さん。 それじゃあ、南瓜のワタと種を取り除いて、皮をところどころ削って貰っても良いかしら。 聖さん。 はい、承知致しました。 但し気が晴れたらまた、元の作業に戻る事。 良いかしら? 晴れたら良いねぇ。 聖? 分かってますって。 さーてと、南瓜のワタと種の取り除き、張り切ってやっちゃおうかねー。 はい、どうぞ。 おー、美味しいそうだねぇ。 一晩待った甲斐があるってとこだね。 あれば良いけれど? はは、じゃあいただきます。 はい、召し上がれ。 ……んー、南瓜に鶏肉の味が染みててうまい! それは良かった。 じゃあ、私もいただきます。 −ソーセージのトマトソースパスタ ナディ、ナディ。 うん、どした? トマト。 うん?トマト? トマトがどしたって? サルサ、つくって。 サルサ? だめ? いいけど…ああ、今夜のごはん? これ。 お。 あと、これ。 おお。 ひさしぶり? だねぇ。 いや、それは楽しみだ。 つくってくれる? いえっさ、エリス。 にんにく、いれる? どっちがいい? ナディがすきなほうでいい。 じゃあ…ほんの少し入れちゃうかな。 いえっさ、ナディ。 んじゃ、早速取りかかるとするかぁ。 うん、さっそくとりかかって? こいつ。 えへへ。 ふふ。 そうだ。 玉ねぎ、あったっけ。 たまねぎ? だって、それのサルサでしょ? …? エリスが持ってるレシピ本に書いてあったからねぇ。 たまには、そういうのもいいと思って。 …いつものでもいいよ? まぁ、いいじゃない。 たまには、さ。 …。 それとも、やだ? …ううん、やじゃない。 じゃあ、決まり。 ん、きまり。 エリス、そっちは頼んだ。 まかせて、ナディ。 わお、おいしそう。 どうぞ、めしあがれ? いっただきまーす。 ……。 ……うん、おいしい。 よかったね? うん、よかった。 やっぱりエリスはパスタ茹でるの、上手だよね。 ナディがへた? やかましいわ。 …えへへ。 ほら、エリスも食べなよ。 冷める前にさ。 ん……ナディのサルサも、おいしいね。 はは、それはよかった。 −びーふすとろがのふ (……簡単レシピ)。 …あれ、夕歩? …。 うちの台所で何してんの? 今からそっち、行こうと思ってたんだけど。 今日、おっかないおばたま、いないでしょ? ……。 なになに、どったの? あ、小腹でもへったとか? でもうちの台所、そんないいものは… ……。 て、なんで睨まれるのかな…あたし。 …順。 はい、なんでしょうか。 ……。 夕歩?夕歩さん? …ここに牛肉があるわ。 へ、牛肉? ああ、あるねぇ。何々、牛肩ロース? うん、なかなか美味しそうな肉…て、なかなかのお値段で。 でも、なんでそんな豪華なものがうちに? …。 夕歩ー?姫ー? 姫言うな。 はい。 で、それがどうした? ……のふ。 うん、なに? …びーふすとがのふ。 びーふすとろがのふ…? ああ、ビーフストロガノフね。一回食べたことがあるけど美味しいよね、あれ。 ごはんにのっけて食べると、絶品でさぁ。順ちゃん、大好きよ。 ……。 でも、それが……。 ばか順。 え、なんで? ……。 ……。 ……。 …え、と。 もしかしてそれ、レシピとか? ……。 えと、もしかして作ってくれたりなんか、しちゃったり…? なんで「もしかして」なの。 …ああ、はい。すみません。 ……。 …それ、レシピ? ……。 えーと……その、夕歩? 作ってくれたりなんか、しちゃうのかしら? …いらないなら、いい。 いります!超、いります!超、食べたいですー!! ……。 いや、夕歩が作ってくれるなんてマジでか! やだもう、順ちゃん、超幸せ者なんで うざい。 …はい、ごめんなさい。 調子に乗りました。 ……。 ええ、と。 なんか手伝いましょう、か? …敬語。 何か手伝う? …いい。 いいの? いい、一人でやる。 だから、入ってこないで、出て行って。 んー…。 順。 分かった。 じゃあ、おとなしく待ってるから。 …おじさまも、好きでしょ。 うん、好きだよ。 父さんは白いごはんに合うものなら、大抵のものはすきだからさ。 ……。 夕歩。 …なに。 楽しみです。 ……。 ……。 …食べたくないなら、食べるな。 いやいや、食べますよ。 ではでは、いっただきまーす。 …。 …うん、おいし 嘘つくな。 …夕歩、夕歩、箸で目つぶしを狙ってはいけないですよ? お行儀、すこぶる悪いですよ? 正直に言って。 …まぁ、少し焦げてるけど。 味も少し、濃い目だけど。 あたしとしては、とてもおいしいです。 …正直に 言ってるよー。 味が濃い目なあたり、ごはんが進むんだよねー。 ……。 夕歩、ありがと。 …何が。 ごはん、作ってくれて。 でねでね、出来れば一生 うるさい。 …えぇ、最後まで言わせてよー。 ……。 …でもさ、本当においしいよ。 ……どこが。 これは、これで。 …今度は。 はい? なんでもない、ばか順。 −長芋と帆立のグラタン。 ……。 暁美さん。 …何、巴マミ。 包丁、その持ち方では危ないわ。 …。 あと、肩に力が入り過ぎよ。 ほら、リラックスリラックス。 ……。 やっぱり、私がむきましょうか。 長芋は滑るから、 いいえ、結構よ。 そう。 ……。 でね、暁美さん。 …話しかけないで、巴マミ。 包丁の代わりに、こんなものもあるのだけれど。 ……。 ピーラー。 暁美さんにはこっちの方が良いかも。 …そんなものがあるのなら、早く言って。 だって暁美さん、包丁でむく気満々だったんですもの。 水を差すのも悪いかなぁって。 ……。 使う? …ええ。 じゃあはい、どうぞ。 でも気を付けてね?長芋は滑るから… ………。 あ、暁美さん! ちょっと待ってて、今治してあげるから! …それには及ばないわ。 及ぶでしょう?! ほら、手を出して。 ……。 …やっぱり、皮は私がむくわ。 暁美さんは皮がむけるまで、帆立に塩と胡椒をふっておいて。 …分かったわ。 むいた長芋をすりこぎで叩いて細かく砕くのは、暁美さんにやって……て、暁美さん。 …何。 ふるって、かけるって意味よ。 ……。 …え、と。 あまり多くふりすぎてしまうと、塩辛くなってしまうから気を付けてね。 …了解したわ。 ……。 ……。 …暁美さん。 何…。 そんなに慎重にならなくても良いから。 こう、さっとふって?ね? ……。 ……。 ……出来たわ、巴マミ。 そう、良かったわ。 こちらもむき終わったから え、もう? …え、もう? ……いいえ、何でも無いわ。 ポリ袋、取ってくれる? …ええ。 ありがとう。 長芋をこの中に入れて、すりこぎで叩くの。 丈夫な袋だから……? …。 暁美さん、そんな獲物を狙うような目をしないで。 いくら丈夫な袋でも切れてしまうわ。 …してないわ、失礼ね。 ……。 ……。 …じゃあ、お願いね。 ええ……。 その間に、私はオーブンを温めておくわね。 ……。 …凄い真剣な顔。 ……。 …ねぇ、暁美さん。 ……何。 私、嬉しかったの。 …え? 暁美さんが料理、教えて欲しいって言ってくれた時。 とても嬉しかったの。 ……。 だから、ね…その、私で良かったらまた、一緒に作りましょうね。 ……。 …。 …巴マミ。 うん…? ……良かったらまた、教えてくれると助かるわ。 ! ええ、喜んで! ……。 それじゃあとびきり美味しいの、一緒に作りましょうか! わぁ…! ……。 このグラタン、ほむらちゃんが作ったの? ……うん。 鹿目さん。 暁美さん、凄く頑張ったのよ。 そうなんだ…ありがとう、ほむらちゃん。 とてもうれしい。 …まどか。 さぁ、冷めないうちに食べましょうか。 でも、熱いから気を付けてね。 はい! ほむらちゃんも食べよう? うん、まどか。 じゃあ…いただきます! …いただきます。 いただきます。 ………。 …まどか、その…どう、かしら。 うん、おいしいよ。 すっごく、おいしい! ……まどか。 …良かったわね、暁美さん。 −はちみつのパンケーキ さやかちゃんは所望する。 …あ? お腹がすいた。 何かおいしいの、作って。 は、なんであたしが。 いいじゃん、たまには。 意味が分からねーよ、ばか。 いいじゃん、た、ま、に、は。 うぜぇ。 と言うか、いきなり何言い出してんだよ。 お腹がすいたと言いました。 …いや、だからだな。 なんか作ってー、杏子ー。 作ってくれなきゃ飢え死にするー。 はぁぁ? 杏子、杏子、杏子。 食うもの、何かあるんだろ? それ、食っとけよ。 あたしは杏子が作ってくれたのを食べたいの。 なんでだよ。 なんでも。 あたしは食うの専門なんだよ。 作るのは やだー。 あぁ? たまには、作って。 そして、あたしに食べさせて。 ……あぁ、めんどくせーな。 ねぇ、杏子。 …やだ。 ……。 …て、おい。 くっつくな、よりかかるな、重い。 ……食べてみたいの、杏子が作ったの。 ……。 …あと、重くて悪かったわねぇ? ……ひゃひゃか(さやか)。 ね、作って? なんでもいいから。 …作れねーよ、何も。 ……。 あたしは、何も作れないんだよ。 だから、食わせられない。 …。 ……。 …そっか。 うん、ごめん。 …。 ね、杏子は何か食べたくない? …食いたい。 じゃあ、あたしが何か作ってあげる。 確か、パンケーキの元があったから パンケーキ? うん、食べる? ……。 …杏子? さやか。 え。 キッチンに入ってこないって、約束出来るか。 え、え? 出来るか。 あ、うん、出来るけど…なんで。 何があってもこの部屋から、出るなよ。 …うん、分かったけど。 何があっても…て。 絶対、だからな。 ……。 ……。 …これ。 ……。 パンケーキ、だよね。 …。 えと、食べてもいいのかな? …腹、へってんだろ。 ! わぁい、杏子のパンケーキ! ……。 ここはやっぱり、定番のはちみつ…と、あれ? それはそのまま、食うんだよ。 え、そうなの? そうだ。 バターは? 最初の一口はそのままだ。 嫌なら食うな、全部、あたしが食う。 うん、分かった。 じゃあ、いただきます。 …。 ………ん、んん? ほんのり、甘い…。 ……。 ……。 …混ぜてあるんだよ。 はちみつを? …ああ。 へぇ…へぇ! ……。 杏子、あたしこれ好きかも。 …かも、かよ。 ううん、好き。 なんか優しい味がするもん! …優しい。 これならいくらでも 太るぞ。 …う。 でも…その、うまいか? うん、うまい。 あたし、好きだよ。 …そう、か。 えへへ…杏子も食べよ? ……おう。 ……。 …なぁ、さやか。 なに…? ……昔、あたしがまだ小さかった頃に。 |