遺言があったら…どうぞ。


   ……だいすきだよ、ナディ。









   こーーーら。


   …。


   まぁた、さぼって。


   …ナディ?


   いつものハンモックで寝てるかと思えば、いないし。


   …。


   洗濯、途中。


   …。


   さっさと干しちゃって、そんで店番を手伝う。
   ニーナとロベルト、出かけていないの、あんたも知ってるでしょーが。


   …。


   オーケイ?


   ……。


   て、こら。
   そっぽ向くな。


   …ねぇ、ナディ。


   なに。


   …さがした?


   うん?


   いなくて。


   そりゃあ、ね。


   …さがしてくれた?


   だから、そうだって。


   …。


   ほら、エリス。
   ちゃっちゃっとやって、店に来てよ。
   一人じゃつまんなくて。


   …。


   あ、いや、客が来ないからとかじゃなくてだな。


   …なにもいってないよ?


   あー…。


   …それに。


   それに?


   ペドロ、よくくるよ。


   ああ、ペドロね。


   ……。


   ま、それはどうでもいいや。


   …いいんだ。


   冷たいレモネード。


   …?


   特別に作ってあげるから。
   さっさと終わらせてくんのよ。


   …ミートパイは?


   そこまではサービスしない。


   ……。


   エリス。


   …。


   空、届かないわよ。


   …そうだね。


   …。


   …。


   …じゃ、待ってるか


   ナディ。


   うん?


   ……。


   なに、エリス。


   …。


   エリス?


   ……すき。


   え?


   …だいすきだよ、ナディ。


   ……。


   ……。


   …うん、ありがと。


   ……。


   …。


   ……とどかない。


   え…?


   ……。


   エリス、どこに


   …しごと。


   仕事…?


   …せんたく、ほさないと。


   あ、ああ。
   じゃ、待ってるから。


   ……うん。


   …。


   …。


   …あのさ、エリス。


   ん…。


   …。


   ……なに、ナディ。


   いや、どしてこっち向かないのかな…て。


   …べつに。


   …。


   ……。


   …あたし、何かした?


   ……なにか?


   エリスを怒らせるようなコト…とか。


   …なにもしないよ。


   ほんとに?


   …つめたいレモネード。


   え。


   …たのしみ、だから。


   あ、うん。
   でも今回は特別だからね。


   ……。


   …まぁ、いっか。
   それじゃエリス、また後で。


   ……。


   在庫確認は…エリスが来てからでいっか。


   ……。


   ニーナ、今頃楽しんでるかなぁ。


   ……なにも、してくれない。
   なにも…いってくれない。


   映画、何見るって言ってったっけ…。


   ……なに、も。















  Y o  a l c a n z o  p a r a  e l  
s o l .















   あなたが、すき。


   それはおおきくなっていくばかりで。








   ねぇ、エリスさ。


   …なに。


   リリオに会う前に、遊園地にでも行こうか。


   ……ゆうえんち?


   そう、遊園地。
   ほら、ニーナと話してたじゃない?


   ……。


   あんた、行ったコトないって言ってたから。


   ……。


   ま、あたしも行ったこと、ないんだけどね。


   …。


   て、エリス聞いてる?


   …。


   朝からずぅっと、ぼーっとしてる。
   て、いつもか。


   ……ナディ。


   うん?


   …すき。


   え?


   すき…。


   …ん、ありがと。


   ナディは…?


   うん?


   わたしのこと、すき…?


   …。


   すき…?


   …まぁ、好きかな。


   …。


   て、こらこら。
   今は運転中だって。


   ナディが、すきなの…。


   分かったから、離れなさい?


   ……。


   こーら。


   ナディは、わたしのこと…。


   エリス、危ないから。


   …すき、じゃないの。


   エリス。


   すき…すき…。


   分かったって。


   …。


   あんたの気持ちは…その、嬉しいから。


   …。


   ほらエリス、いいかげんに…


   ……はぁ。


   エリス?


   ……ナ、ディ。


   あ…。


   はぁ……。


   あんた…。


   …すき…だいすき、なの…。








   わたしのなかで、それはあばれる。

   わたしのなかで、どうしようもないくらいに。

   かなえて、かなえてと…なきながら。








   ……。


   ……ん、んん。


   …気が付いた?


   ……な、でぃ。


   …声、掠れちゃってる。


   あ…。


   ……あんたのそんな声、初めて聞いた。


   なでぃ…。


   なんか変だとは思ってたんだけど…。


   …へん。


   言ってくれればいいのに。
   何も言わないから。


   …いってたよ。


   …。


   いってた…。


   いつ?


   …。


   …エリス。


   ずっと…。


   …ずっと?


   ずっと、いってた……。


   …そっか。


   ナディ…。


   …ごめん、エリス。
   気が付けなくて。


   ……いいよ。


   エリス…。


   うれしい…。


   …うん。


   ナディ…ナディ……。


   それで朝から調子、悪かったの?


   え……。


   それとも昨日から?


   …。


   あんたの平熱、少し低いから。
   辛いと思うんだけど…いや、辛いね。


   …。


   と言っても解熱剤、持ってないから。
   こうやってるしかないんだけど…。


   …。


   …町まで、もう少しだけど。
   今日はもう、休もうか。


   ……。


   水、あまりないけど…ま、あんたの分くらいなら、なんとかなる。


   ……こまってるの。


   まぁ、少しね。


   …わたしの、せい?


   違うよ。


   …。


   これは誰のせいでもない。
   いや、解熱剤持ってなかったのはあたしの失敗か。


   …。


   ごめんね、エリス。


   …ちがう。


   それにしても。
   熱なんて、出したコトなかったのにね。
   風邪だって…


   ……。


   …今日はここで休もう。
   それで明日の朝下がってればいいし、下がらなければ……その時、考える。


   ……ナディ。


   うん?
   喉、渇いた…?


   ナディ…。


   …ん。


   ……。


   ……エリス?


   すき…。


   ……。


   すき、だいすき……。


   …ん、ありがと。


   ……。


   水、飲む?


   ……すきなの。


   ……。


   すき…すき……。


   …エリス。
   それはもう、分かったから。


   ……わかっ、た?


   …ありがとう。
   あたしを好きになってくれて。


   …ナディ。


   嬉しい。


   ナディ……。


   …けど。


   ……。


   今は、そんなコトよりも…。


   そんな、コト……。


   体を休ませて…?


   ……。


   エ、エリス?


   はぁ……。


   苦しいの?


   ……。


   …待ってて。
   今、水で…。


   ……じゃ、ない…のに。


   今、替えてあげるから、そしたら……あ。


   ……。


   さっきより熱が上がってる…。


   ……はぁ。


   エリス……。








   んー…明日はシャワー、浴びたいなぁ。
   ねぇ、エリス。


   …。


   エリスー?


   ……あつい、


   え?


   こいのほのおがもえあがるのだった…。


   …。


   …。


   …それ。


   ……。


   まだ、覚えてたの。


   …うん。


   そんなの、覚えてなくてもいいから。


   …どうして?


   どうしても。


   …なまえ、にてるから。


   だから、それがいやなんだって。


   …でも、ちがうよ。


   そうなんだけど。


   …ミゲル、はおなじ。


   ……だから。


   ねぇ、ナディ…。


   …なに。


   キス、したの…。


   …は?


   ミゲルと…。


   て、いつ…?!


   …いつ?


   まさか、ホテルから連れ出された時に…?!


   …。


   …あの野郎。
   エリスにまで


   …ナディア。


   あ?


   ナディとにてる、なまえ。


   ……。


   ……。


   …なんだ。
   脅かせないでよ、もう。


   …ナディは、したの。


   ナディア、ね。
   はいはい。


   …ちがう。


   あ?


   ミゲルと…ナディ。


   だから、


   セックス。


   …ぶ。


   ……してたよ。


   エ、エリス!


   ミゲルと…ナディアは。


   あ、あんたねぇ…!


   ……すきだったんでしょ。


   だから、ミゲルとは


   ……。


   何度も言ってるけど、そういうの、ないから。


   …おとこと、おんな。


   ないから。


   …じゃあ。


   エリス、しつこ


   わたしと、して。


   ……は?


   すき…だから。


   ちょ、エリス…。


   セックス……


   え、え…。


   ……して。


   い、


   ……して、ほしい。


   いやいやいやいや、なに言ってんの?!


   ……だめ、なの。


   だめと言うか!
   どうしてそうなるの?!


   ……すき、だから。


   あ。


   だいすき、だから……。


   ……。


   …すきなひとと、したい。


   ……エリス。


   ナディアと、ミゲルは……してたよ。


   それは……別にいい。
   どうでもいい。


   ……だから。


   エリス。


   ……。


   …そーいうこと、簡単に言うな。


   どうして…?
   すきなのに…どうして、だめなの。


   だめじゃない。
   だめじゃないけど…。


   …けど、なに。


   ……。


   ナディ…。


   ……好き、ってね。
   ひとつだけじゃないのよ。


   …。


   …そう。
   あんたがあたしを好きって言ってくれるのは嬉しい。
   けど、それは……その話のそれとは違うから。


   …ちがわないよ。


   違うの。


   ……どうして。


   ……。


   ふうふは、おとことおんなだから…?
   だから…。


   …さ、エリス。
   もう、寝なさい。


   ナディ…。


   …つ。


   ……すき。
   だいすきだよ…。


   …エリス。


   キス、して……。


   …。


   …したいの。


   ……。


   ナディ……。


   …もう、寝るよ。


   あ……。


   ……エリス。


   …。


   …あたしも、あんたのこと、好きだけど。


   じゃあ…。


   …でも、そういうのじゃない。


   ……。


   キス、とか…セックスとか。
   エリスがいつか、本当に好きになった人とするものだから。


   …ほんとう、に。


   そう…。


   ……。


   …だから、簡単に言っちゃだめ。


   ……ない。


   ……。


   いって、ない…。


   ……。


   …いってない、のに。


   ……きっと。


   …。


   後悔する。


   …しないよ。
   だから…。


   ……そもそも。


   …。


   あたしは……あんたを、そういう風に見たコト、ないから。


   ……。


   …好き、だけど。
   でも、エリス……。


   ……。


   …あ。


   ……。


   ……エリス。


   …。


   エリス、あたしは…。


   ……。


   ……ごめん。


   ………。








   ……エリス。


   …。


   気分は、どう…?


   …こ、こ。


   ……。


   ……ま、ち?


   の、病院…かな。


   ……。


   …過労、だって。


   か、ろう…。


   …疲れがたまってたって言うのかな。


   ……。


   考えてもいなかったから…びっくりした。


   ん、なでぃ…。


   …とにかく、ゆっくりしよう。
   一晩だけだったら、ベッド、貸してくれるって言うから。


   …。


   …エリス。


   いや…。


   …え。


   ひとり、は、いや…。


   …なに言ってるの。
   ひとりになんて…


   …い、す。


   え……。


   いっしょ、に…。


   …でも、あたしは。


   す、き…。


   …ッ!


   だいすき、だから……。


   …。


   ……はなれたく、ない。


   ……エリス。


   くるしいよ…ナディ。


   …あ。


   ……くるしい、の。


   エリス……。


   ………。


   …ごめん。


   ……。


   だけど……あたしじゃ、ない。
   あんたの…


   …。


   ……。


   …だめ、なんだ。


   ……。


   すきだけ、じゃ…。


   ……エリス、あたしは


   ……わたしは、おんなだから。


   ……。


   ふうふは、おとことおんなだから…だから。


   …エリス。


   …こい、は。


   …。


   くるしいもの…。


   ……。


   ……こんなに、くるしいのに。


   ……。


   こんなに、すきなのに…。


   ……。


   すきだけじゃだめ、なんだ…。


   ……エリス。


   ナディ…。


   ……。


   だいすきだよ…ナディ。


   ……あたしも、好きよ。


   …うそ。


   ……。


   あたしは、あんたが好きだから…だから。


   …しい。


   え…。


   …くるしい。


   エリス……。


   くるしいよ……ナディ。








   はかせといっしょにいたころ。

   わたしはあのひとがすきだった。

   わたしをなんども、“じっけん”した、あのひと。

   いたかった、くるしかった、けど。

   あのばしょにはあのひとしか、いなかったから。

   だから、わたしは。

   すき、だった。

   すきに、なった。








   ん…。


   …。


   …エリス?


   …。


   エリス、どこ?


   ……。


   エリス…!








   あなたが、すき。

   だいすき。

   やさしいあなた。

   いつだってわたしをまもってくれたあなた。

   あなたがいれば、なにもいらない。





   でも。





   くるしい。

   いたい。

   かなしい。

   つらい。

   あなたをおもえば、おもうほど。

   あのばしょにいたときより、ずっと。





   …ねぇ。





   どうしていいか、わからない。


   わからないよ…ナディ。








   ……。


   エリス。


   ……。


   ベッドにいないから。
   たく、いつ抜け出したのよ?


   ……。


   ここは風が冷たいから、中に戻ろ?


   …。


   つか熱があるんだから。
   大人しく寝てなきゃだめでしょーが。


   ……。


   ほら、エリ…?


   ……。


   エリス、なにやって…。


   ……。


   ちょ、何やってんのよ…!


   …。


   止めなさい!!


   …どうして?


   どうしてって!


   …。


   エリス!


   …あ。


   ナイフ
〈こんなもの〉で!
   一体、何考えてんのよ!


   ……。


   エリス!
   あんた今、自分で何しようとしてたか分かってるの!?


   …わかってるよ。


   はぁ?!


   わかってる、っていった…。


   分かってるって。
   あんたね…!


   ……うるさい。


   は?


   うるさい…。


   うるさいって、あんた…!


   ……。


   …とにかく。
   こんなこと、もう二度としないで。


   なんで…。


   なんで、じゃない。


   どうして、いけないの…。


   当たり前でしょうが!


   ……なのに。


   は、何。


   わたしのからだなのに…。


   そうよ。
   でも


   どうして、じゆうにしてはいけないの…。


   そんなの、自由って言わない。


   でも、ナディにはかんけいない…。


   …!


   だってナディは、わたしのこと、すきじゃないから…。


   ……。


   かんけいない、のに…。


   ……エリス。


   …。


   それ以上言ったら、本気で怒るよ。


   …もう、おこってるよ。


   ……。


   …あ。


   …。


   ……。


   …エリス。
   まだ、こんなに熱いのに…。


   ……どうして、おこるの。


   どうして、こんな事をするの。


   …だって。


   どうして!


   ……。


   …。


   …わたしは、まじょだから。


   …だから、なに。


   だから…


   自分で自分を傷つけるなんて、あたしは絶対に許さない。


   ……。


   魔女だから?
   だから、なんなのよ。


   …ナディ。


   あたしには…


   あ…。


   ……あたしにとっては、あんたはただの小さな女の子でしかない。


   …でも、わたしはにんげんじゃない。


   そんなこと、ない。


   …けど、つくられたんだよ。


   だから、何。
   そんなの、あたしには関係ない。


   …だから、


   あんたはエリス。
   それ以外のなんでもない。


   …。


   エリス。


   ……でも、魔女
〈わたし〉がいるから


   あたしは守るって決めた。


   …。


   魔女だとか関係ない、どうでもいい。
   エリス、あたしはあんたを守るって、ずっと傍にいるって決めたの。
   だから…


   …でも。


   ……。


   キス、したい…。


   …エリス。


   ……でも、できない。
   して、くれない…。


   それは…。


   ……。


   …とにかく。
   お願いだからもう、しないで。


   ……ナディ。


   …エリス。


   ナディ…わたし、わたしは…


   …もう、してはだめよ。


   ……。


   …オーケイ?
   相棒。


   ……じゃ、いや。


   …。


   いや、なの…。


   …。


   あいぼう、じゃ…


   …エリス。
   約束、して。


   …いや。


   もう二度と…しないって。
   して、してよ。


   …。


   …エリス。


   ……ナディ、は。


   …。


   わたしを、まもってくれる…。


   …うん。


   ずっと、そばにいてくれる…。


   …いるよ。


   …。


   …だからエリス、あんたは何も心配しなくてもいい。
   何があってもずっと傍にいて…あんたを守るから。
   そしてあんたが誰かを本当に好きになった時、その時は…


   …ききたくない。


   エリス…。


   …どうして。


   …。


   どうして、わたしに…。


   …。


   …やさしく、してくれたの。


   どうしてって…。


   わたしが、ちいさいから…?


   …。


   …おかねが、ほしかったら?


   ……最初は。
   でもそんなのは…。


   …。


   …あんただってもう、知ってるでしょ。
   あたしは…。


   …しらないよ。


   エリス…。


   まじょのちからなんて、かんけいない…。
   だったらわたしは、ナディになにもできない…。


   何もって、そんなこと…。


   …こんなに、すきなのに。


   エリス…。


   …わたしは、ナディになにもしてあげられない。
   ただ、くるしめるだけ…。


   …そんなこと、ない。


   …。


   あんたが傍にいてくれるだけで、あたしは…。


   …でも、ちがう。


   エリス。


   ……。


   あたしはただ、エリスがいてくれるだけでいいの…。


   ……。


   それだけで、あたしは…。


   …ナディ、は。


   …。


   …わたしのこと、すき?


   …。


   ねぇ、すき…?


   あ、あたしは…。


   …。


   あたしは、エリスが……


   ……い。


   …え。


   ……いたい。


   いた、い…?


   …。


   エリス、どこが痛いの…?


   …いたい…いたい。


   まさかどこか…。


   ……。


   あ…。


   ……ナ、ディ。


   エ、エリス…。


   たすけて、ナディ…。


   う…。


   ここが……あつい…いたい……。


   エリス、だめ…はなして。


   …くるしいよ。


   お願いだから…。


   くるしいよ…ナディ…。


   …冗談は、やめて。


   ……。


   ……。


   …じょうだんって、なに。


   …。


   こんなに…こんなに、いたいのに…くるしいのに…。


   ……エリス。


   ナディが、すきなの…。


   …。


   まもって、くれるんでしょ…。


   …守る、守るよ。
   でも…


   …じゃあ、たすけて。


   け、けど、あたしは…


   このいたみから、たすけて…ナディ…。


   …。


   たすけて…たすけて、ナディ…。


   …。


   ナディ…。


   …。


   …ナディ。


   …。


   ……すき。


   …ッ。


   すき…。


   ……だめッ!


   ……。


   …だめよ、エリス。


   なんで…。


   …だって、あたしは女なのよ。


   …。


   あんたは…あたしじゃない誰かと、しあわせになるの。
   なって、欲しいの。


   どうしてナディじゃだめなの…。


   だから


   おんなだから?


   …。


   おんなどうしじゃ、だめなの…?
   なんで、だめなの…?


   …駄目じゃない。


   じゃあ…。


   …でも!


   あ…。


   …あんたが好きになるのは、あたしじゃない。


   すきだよ…。
   わたしはナディが、ナディだけが…すき。


   …そんなの、ただの勘違いよ。


   かんちがい…。


   今はあたしと二人だけだから。
   これからもっと


   ちがうよ。


   …。


   ちがう…。


   …エリス。


   かんちがいで…どうして、こんなにくるしいの。
   かんちがいなのに、なんで、こんなに…。


   …。


   こんなに、いたいの…。


   …。


   ……どうして、なみだがでてくるの。


   …。


   まもって…わたしを、まもって。


   …守るよ、ずっと。
   でも、いつか…


   ……わたしのからだ。


   あ…。


   じゆうにできるのは…して、ほしいのは。


   ……やめて、エリス。


   …あなただけなんだよ、ナディ。


   …お願いだから。
   あたしなんかに…


   …なんか、じゃない。


   ……。


   …わたしのこと、きらい?


   そんなわけ…。


   …でも、すきじゃない。


   エリス、あたしは


   だって。
   ナディがすきなのはリカルドだから。


   …え。


   …しってるよ。


   つかなんでそうなるの。
   どこからアイツが


   …よく、にてるから。


   あたしは、んん。


   …。


   ……エ、エリス。


   …それでも。


   あ…。


   ……それでも、いいの。


   …。


   いいから…。


   ……わけ、ない。


   …。


   いいわけ、ない!


   ……。


   いいわけ、ないでしょうが…。


   …やっぱり、だめなの。


   …。


   わたしじゃ、だめなの…。


   …リカルドなんか、関係ない。


   うそ。


   嘘じゃない。
   だって、あいつはただの…。


   …ナディは、やさしいから。


   エリス。


   でも、そのせいでくるしくなるんだよ…。


   あんたは分かってない。


   …。


   あたしなんかが、あんたに触っていいはずない。
   ないのよ。


   …そんなの、しらない。
   わたしは…ナディにさわって、ほしい。


   エリス、どうして


   …わからずや。


   な…。


   すきに、なって。


   …。


   …わたしを。
   リカルドのところになんて、いかないで…。


   …行くわけ、ないでしょうが。


   やっぱり、いや…。


   …。


   …わたしのことだけ、すきになって。
   わたしだけ…。


   ……ばか。


   …。


   ばかよ、あんたは…。


   ……。


   …あたしは。


   …。


   あんたが、好きなのよ。


   …うそだ。


   て、なんでよ。


   ……。


   …エリス。
   あたしは、あんたが…。


   …リカル


   あたしが好きなのは!


   ……。


   …あいつじゃない。
   あたしは…エリスが好きなの。


   ナディ…。


   ……だから。


   …。


   だから、エリス。
   あたしは


   …でも、ちがう。


   ちがう…?


   …。


   …何が違うのよ。


   …。


   エリス。


   だって、さわってくれない。


   …きっと、後悔する。


   こうかい…?


   これから先、本当に好きな人が出来たら。
   いや、出来るのよ。


   …。


   その時が来たら。
   あたしが好きだなんて、そんなの、ただの


   ナディ。


   …。


   わたしは…わたしは、ナディがすき。


   …エリス。


   すき、だいすきなの…。


   …。


   だからナディにも…わたしとおなじになってほしい。


   同じ…。


   …なってほしいの。


   ……。


   こうかいなんて、しない。
   しないよ…ナディ。


   …それでも、あたしは。


   …。


   出来ない…。


   …。


   していいはず、ない…。


   …そんなの。


   あ。


   きめるのは、わたしだよ…。


   …。


   して。


   …もう、言わないで。


   してほしいの。


   …お願いだから。


   ナディ。


   あたしは、あんたが好きだから…!


   …。


   だからこそしたくない、したくないのよ…。


   ……ナディ。


   エリス…お願い、もう言わないで。


   …。


   …お願いよ、エリス。


   ……。


   エリス…?


   ……ごめんなさい。


   あ…。


   すきになって…ごめんなさい。


   エリス…。


   ……もう、いいよ。
   わたしを、はなしても…。


   な、なにを…。


   もう、いいの…。


   エリス、待って。


   …もう、おしまいにしないと。


   待って、エリス。


   わたしは、わるいまじょだから。
   ナディを、くるしめてしまうから。


   違う、あんたは悪くない。
   悪いはず


   おはなしにでてくるまじょはね…ナディ。


   …え。


   わるいひと、ばかりなんだよ…。


   何を言ってるのよ。


   わるい…から。
   だから…


   エリス…!


   ……やっぱり、きえないといけないの。


   莫迦なこと、言わないで…!


   …。


   エリス…!


   …わたしのしあわせって、なに。


   …。


   わたしのしあわせは……ナディといること、だった。


   だったら


   でもナディはそうじゃない。


   …!


   そのせいで、ナディをこまらせて。


   勝手に決めないでよ!


   …さいしょにきめたのは、ナディだよ。


   決めたわけじゃない…わけじゃ、ないわよ。
   どうして分かってくれないのよ…。


   ……すきになって、ほしいなんて。


   …行かないでよ。


   すきになってもらえるはず、ないのに…。


   エリス!


   ……わたしは、ひとりでだいじょうぶだから。


   大丈夫なわけ、ない!


   …はなして、ナディ。


   大丈夫なわけ…


   まじょ、だから。


   違う!
   違う、違う、違う…!


   …ちがわない。


   …ッ!


   ぁ…。


   …。


   ……ナディ。


   …あたしが、大丈夫じゃないの…よ。


   ……。


   ひとりに、なりたくない…。
   もう、なりたくない…。


   …。


   …しないで……しないでよぉ。


   …………ナディ。


   …好きよ。


   …。


   好き、だから…だから。


   ……さわらないで。


   え…。


   …きえて、しまいそうだから。


   エ、エリス…。


   …でも、きえてしまえばいいのに。
   このまま、ナディのなかで…。


   …消えるなんて、言わないでよ。


   …。


   エリ


   ナディ。


   ……。


   あなたが、だいすき…だから。


   …あたしも、好きよ。


   ……。


   …離さない。


   ……。


   あたしは…あんたが好き。


   うそ…ん。


   ……。


   ……ナ、ディ。


   ……嘘じゃ、ない。


   ナディ…。


   ……キス、したい。
   それ以上の事だって、本当は…。


   …うそ、


   じゃないって、言ってる。


   ……。


   …あたしはあんたが、好き。
   自分で思っていた以上に…あたしは、あんたが。


   ……。


   ……さ、エリス。
   部屋に帰ろう…?


   …でも。


   心配、させないでよ。


   ……。


   …あたしが、好きなら。


   ……。


   …さぁ、行こ?


   ……いっしょに。


   うん…?


   ねて…。


   ……。


   …だきしめて、ナディ。
   うそじゃないって、おしえて…。


   ……。


   ……。


   …分かった。


   …。


   ……ずっと、教えてあげるから。


   …。


   だから……。


   ……いえ、っさ。








   ……。


   …ナディ。


   ん…。


   あのね…。


   ……うん。


   うまれ、かわりたかった…。


   …うまれ?


   いまのわたしを、まじょのわたしをなくして…。
   あなたのわたしに、なりたかった…。


   ……それで、あんなことを。


   あなただけの、わたしに…。


   …ばか。


   なりたかったの…。


   …エリス。


   ん……。


   …もう、なってるから。
   もう、とっくにあんたは…


   …なって、いいの。


   だからもう、なってるんだって…。


   …でも、わたし、まじょだよ。


   勝手なコトばかり言って…。


   …そうだよ。
   だって、まじょだから…。


   ばか。


   …。


   なんでも魔女だからって言わないでよ…。


   …。


   あたしがいつ、あんたを魔女だからって言ったことがあるの…?


   ……。


   あたしは、あたしは…あんたを魔女だなんて見てない。
   見たことも、ない…。


   ……。


   あたしは…ただ、エリスに。
   エリスのそばにいたいだけ…。


   ……。


   …エリス、あんたにいてほしい。


   ……。


   ずっと、あたしの隣に…。


   ……。


   エリス…。


   ……ナディの、こころ。


   う…。


   …それが、ほんとうなら。


   …。


   …わたしに、くれる?


   …。


   ほしい…。


   ……あんたになら。


   …。


   あんたになら…だから。


   …。


   生まれ変わりなんてしなくていい。
   あたしは、今のあんたが好きだから…。


   ……ほんとう?


   …そうだって言ってる。


   いまのままでも、いいの…?


   ……ばぁか。


   ん…。


   …今のあんたが、好きなのよ。
   生まれ変わったら、今のあんたじゃなくなっちゃうでしょうが…。


   …。


   …今のあんたがいいのよ。
   今のあんたじゃなきゃ、だめなのよ…。


   ………ナディ。


   …好きよ、エリス。


   もういちど、いって…。


   …好きよ。


   もっと…。


   あんたが、好き…。


   もっと…ん。


   ……。


   ……ナ、ディ。


   …何度、言わせる気だ。


   なんどだって…いって、ほしい。


   …。


   なんどだって…ききたいから。


   ……。


   ナディ、ほんとうにわたしのこと…。


   …愛してる。


   あ……。


   ……エリス。


   ナ…ディ……。


   ……。


   ……。


   ……愛してる。


   …ほんとう?


   しつこい…。


   …だって。


   ……。


   だっ、て……。


   …ごめん。


   いや、あやまらないで…。


   …。


   …こわい。
   こわいから…。


   …怖がらなくも、いい。
   もう、大丈夫だから…。


   ……。


   …エリス、愛してるよ。
   リカルドなんて、どうでもいい。
   あたしは、この世界で、あんただけを…。


   ………ほ


   本当、はもう、なし。


   …。


   ……キス、したい。


   …あ。


   したい……。


   …して。


   ……。


   ……して、ナディ。


   エリス……。


   …あぁ、ナディ。


   ……。


   ……。


   …いつか。


   ……。


   これ以上のことも…。


   …いま、して。


   ……。


   いま…。


   …ばか。
   今は躰を休めるのが先だ…。


   でも…。


   …エリス。


   ……。


   ありがとう…。


   …ナディ。


   ……あたしを、好きになってくれて。


   ……。


   あたしを好きになってくれる人なんて、ずっと、いないと思ってた…。


   …。


   だから、ありがとう……エリス。


   ……ナディ。


   ……。


   …すき、だいすき。


   うん……。


   わたしのねつが、


   いつか、きっと。


   …。


   ……あたしは、あんたを抱くと思う。


   …いつか、きっと。


   そんなに遠くない…と思う。


   ……。


   …好きだから、ね。


   いつか、なの…。


   …今、は。


   ん……。


   …。


   …ナディ。


   …これだけで、いっぱいいっぱいだから。


   ……。


   …その、嬉しすぎて。


   ナディ……。


   ……だから、その。


   わかった…。


   ……。


   …ナディは、わたしがすきだから。


   …。


   …すき、だよね。


   ばか、聞くな…。


   ……だから、いまはこれだけ。


   ん……。


   ……えへへ。


   ……ふふ。


   まってるね…。


   …うん。


   まってるから…きっと、だいて。


   ……うん。


   ……わたしの、たいよう。


   え…?


   ……いつか、きっと。


   エリス……。


   きっと…だいて。








   あなたが、すき。

   だいすき。








   さーて。
   行こっか、相棒。


   ちがう。


   うん?


   …。


   エリス?


   …エリスは、ナディのこいびと。


   あ。


   …ナディは、エリスのこいびと。


   ……。


   …だから。


   ……つか、さ。


   …。


   …こういう場合は相棒でよくない?


   よくない。


   えー…。


   …ナディ、どんかんだから。


   いや、それは関係ないと思うんだけど…。


   …ある。


   なんでだ。


   …わすれちゃう。


   忘れるか。


   ……。


   …そこまで莫迦じゃないっつの。


   だったら。


   …なに。


   ……。


   …え、ここで?


   ……。


   エ、エリス…。


   ……。


   ……あーもう。
   しょーがない…。


   ……ん。


   ……。


   ……。


   …わ、わかった?


   ……。


   な、なに…。


   …キス、した。


   だ、だってあんたが…


   してっていってないのに。


   な…。


   ……ふふ。


   ……。


   いこう、ナディ。


   …ちくしょ。


   いわないの?


   な、なにを?


   …あいぼうって。


   ……。


   ……。


   …行こっか、相棒。


   いえっさ、あいぼう。








   んー…。


   …ねぇ、ナディ。


   うん?


   …。


   エリス?


   …いつか。


   うん。


   …だいても、いい?


   え?


   …わたしが、ナディを。


   ……え。


   だいても、いい…?


   え、ええ…。


   …だめ?


   だ、だめじゃないけど…。


   ……。


   あー……。


   …どんかん?


   つか、考えてなかった…。


   ……ナディもおんなのこだから。


   ……。


   …だから、わたしもだきたい。


   ……まぁ。


   だから、いつか。


   …うん。


   ……。


   なんていうか…こんなあたしでいいなら、さ。


   こんなじゃないよ…。


   …。


   ナディは、エリスのだいすきなナディだから…。


   ……うん。


   ……。


   …え、と。


   ……。


   その…だいて、やってよ。


   …いいの?


   聞くか…。


   ……。


   …ねぇ、エリス。


   ……なぁに。


   いつか、さ……。


   ……ん。















  Y o  a l c a n z o  p a r a  m i  s o l .















   ……遺言があったら、どうぞ?


   好き…大好きだよ、ナディ…。