−Feriz San Varentín!2012
エリス。
なに?
フェリスサンバレンティン。
…これ、なに?
ま、開けてみ。
…。
…。
…えほん?
そう、絵本。
今更かな、とも思ったんだけどね。
…。
いらない?
…いる。
ありがとう、ナディ。
どういたしまして。
これ、あたらしいね。
そりゃ、奮発したから。
…。
ん?
わたし、なにもない。
なにも?
ハッピーバレンタイン?
ああ。
いいわよ、あたしだって気が向いただけだし。
そうなんだ。
そ。
だから気にせず貰っておいて。
いえっさ。
うん。
…バレンタイン。
そう、バレンタイン。
バレンタインはほんがもらえるの?
いや、本じゃなくてもいいんだけどね。
じゃあ、なに?
まぁ、花とか。
でもあんたは本の方がいいかな、て思ったから。
そっか。
花のほうがよかった?
ううん。
でしょ?
ナディがくれるものなら、なんでもうれしいから。
…。
えへへ。
…なんでも、ね。
ねぇ、ナディ。
ん?
よんで。
…は?
さいしょは、ナディ。
最初はって。
なんだそりゃ。
そういうものなの。
もう、一人で読めるでしょーが。
いいの。
そりゃ、あんたはいいだろうけど。
ナディもいいの。
あのなぁ。
だっこして、よんで。
…。
…よんで。
…どんだけ貰う気だ。
ナディがくれるもの、ぜんぶ。
それを欲張りって言うの。
エリスはよくばり?
大概にね。
…あった。
あ?
あげるもの。
…えと?
わたしをあげる。
……。
ナディに。
…つか、なに言ってんの。
もらって。
いや、だから
…バレンタイン、だから。
……。
だめ?
…意味、分かって言ってる?
いみ?
…とにかく。
あたしは…その、もう貰ってるから。
…?
あげてないよ?
とにかくいいから。
それ読むの、今夜でいいんでしょ?
…うん。
…。
…ナディ。
…なに。
…。
え…。
……ハッピーバレンタイン。
……。
…。
…貰ってるって言ったのに。
ん、きいた…。
…。
…でも。
…でも、なに。
すき、だから。
…。
…すき、だから。
…。
もっと、あげたいの…。
……エリス。
……。
…ありがと。
……ん。
−Zärtliches Zubeißen.
…ナディ。
あ?
それ…。
どれ。
…。
何よ、ブルーアイズ。
…まぁ、貴女達がそれで良いのなら、何も言わないけれど。
言ってると思うけど。
…。
それで、何。
…エリス、は何をしているの。
エリス?
ええ。
何してるって…まぁ、見た通りだけど。
…見た通り、ね。
言っておくけど、いつもじゃないわよ。
…それは人のいる前でも?
大抵は二人だけの夜に、だけど。
と言っても夜はいつだって二人だけど。
…ああ、然う。
それだけ?
以前はしていなかったわよね、そんな事。
……まぁね。
いつから?
…さぁ。
……。
……。
…痛くないの、それ。
最初は痛かったけど。
今は?
加減、覚えたみたいだから。
くすぐったいくらい。
…。
満足すれば、言わなくても離すから。
…つまり、嫌では無いのね?
どうして。
…。
確かに、エリスじゃなければ嫌だけど。
…ああ、然う。
良かったね、エリス。
ここはブルーアイズの奢りだって。
……それは、良いけれど。
何、未だ何かあるの。
…甘噛み、とでも言うのかしらね。
と言うより、あたしとしては齧られてるようだけど。
…かじってない。
あんたに齧られた痕ってなかなか消えてくれない。
同じ場所、齧るから。
かじってない…し、きえなくてもいい。
まぁ、あんたはそれで良いだろうけどね。
…いいの。
で、もう良い?
…まだ。
そ。
……。
それで、あんたは何してるの。
…いいえ。
頭の中の歯車でもずれた?
…ええ、然うかも知れないわ。
ま、どうでも良いけど。
……ナディ。
ん?
もう良いの?
…うん。
そっか。
……嘘のようだわ。
何が。
…いいえ、こっちの事よ。
ああ、然う。
でも、然うね…人は変わるものよね。
……。
…甘噛み、か。
……。
ねぇ、エリス。
…なに。
何故、あいつの前で噛んだりしたの?
…。
…つ。
…。
こら…あまり強く噛んだら、痛いって。
…。
それとも、いよいよ食べてしまうつもり?
…たべない。
ま、美味しくないしね。
…ううん、おいしいよ。
うん?
おいしい。
やっぱり食べる気か。
…いまはたべない。
今は、ね。
…えへへ。
こいつめ。
…ん。
そんな事言うとまた、食べちゃうわよ…?
…。
ん…?
…ナディは、くいしんぼ。
そりゃ…こんなご馳走が目の前に居たらね。
…わたし、たべられてばかりだね。
嫌?
…ずるい。
人の指、散々噛んでるクセに?
…。
お…。
…ここ。
…。
かんで、いい…?
…。
だめ…?
んー…まぁ、良いわよ。
…やった。
でもね、エリス。
…?
力の加減、間違えたら。
一寸、やばいかな。
…。
…分かってるでしょ?
…うん、しってる。
なら…良し。
…。
……ん。
…いたい?
くすぐったい。
…よかった。
…。
…。
……なんだか子犬みたい。
…こいぬじゃないよ。
みたいって言ったのよ。
…。
あんたは…あくまでもあたしのエリスなんだから。
ナディ……。
じゃなきゃこんな事…させない。
……うん。
エリス…そろそろ、あたしにも。
……ん。
…。
…く、ぅん。
……犬、苦手だって言わなかった?
……。
…ん?
いじわる…。
…知らなかったとは、言わせない。
……。
…エリス。
……あと、つけて。
…もう、残してる。
もっと……あ、ぅ。
……痛かった?
ううん……。
……。
…あのひと、に。
……誰よ、それ。
めのあおい、どっかのえらいひと…。
……。
……みせる、の。
良いよ、見せなくて…。
…いや。
……。
わたしはナディのもので…ナディはわたしのものだって。
おしえないと、いけないの…。
…。
…ほんとうは、かんでほしい。
あいつの前で?
う、ん……。
……。
…ん、ん、ん。
……ばぁか。
……え、と。
何。
…いいえ。
……。
…ナディ。
だから、何。
…もう少し、考えた方が良いわよ。
人前で、とかは。
……ふ。
何よ。
何でもない。
エリス、もう良いでしょ。
…もっと。
エリス、もう行くから。
……いえっさ。
……。
それじゃあ、ブルーアイズ。
また何処かで。
…ばいばい、ブルーアイズ。
……ええ。
−Hemisferio.
Por qué estoy yo aquí.
わたしはどうしてここにいるのだろう。
Por qué vivo yo.
わたしはどうしていきているのだろう。
Por quó nací yo.
わたしはどうしてうまれたのだろう。
A dònde voy a ir.
わたしはどこへ、いくのだろう。
Cuándo me muero.
わたしはいつ、しぬのだろう。
Yo.
わたしは。
…わたしは。
エリス。
…。
Qué estás haciendo, Ellis?
エリス、なにしてんの?
…。
また空?
…。
あんたも飽きないわねー。
…。
まぁ確かに空は毎日違う表情(カオ)、してるしね。
…。
あんた以上に豊富かもしんない。
なんて、さ?
…。
エリス?
…。
Qué te pasa, Ellis?
エリス、どうしたの?
Me oye...
あたしの声、聞こえ…
…。
…わ。
…。
あー、びっくりした。
なんだ、ちゃんと聞こえてるんじゃない。
…。
ん、どうしたの?
…ナディ。
え……あがッ!
…。
い、たたたたたた……。
…。
…いきなり何すんだ!!
…。
エリス!
…。
怪我、するでしょうが。
なおせるから。
そういう問題じゃない。
いきなり押し倒されたら受身も満足に取れない。
…できてたよ。
そういう問題でもない。
…。
エリス。
…おこってる。
そりゃ、怒るわ。
…。
ごめんなさい、は?
今言えば許してあげる。
…どうして?
は?
どうして、ゆるしてくれるの。
…あ?
どうして?
謝ればって言ったんだけど。
…。
あんたは確かに治せる力を持っている。
生き返らせる力だって。
でも、そういう問題じゃないの。
分かる?
…。
今のあんたになら…。
……ごめんなさい。
う…んん?
…。
……エ、エリス。
ねぇ、ナディ。
う…。
....Qué soy yo?
…わたしは、なに?
な、に…て。
....A dónde vas a ir?
…あなたは、どこへいくの?
どこって…。
…。
ちょ、エリス、やめ…。
……わたしは、なに。
エリスは…、
なに……。
…エリスでしょう、が!
…。
No me gusta nada esto.
こういうのは、好きじゃない。
…そとだから?
それもある。
けど、それ以上に。
…。
No está tu corazón.
あんたの気持ちが、ない。
…あるよ。
いや、ない。
あるよ。
ない。
Pero dónde está?
じゃあ、どこにあるの。
Yo estoy aquí,
わたしはここにいるよ。
Dónde está?Dónde hay?
どこにいるの。どこにあるの。
Dónde estoy yo?
わたしは、どこにいるの。
エリス、
Por qué vivo yo?
わたしはなんで、いきているの。
…。
ナディ、おしえて。
わたしは、なんなの。
Ellis es Ellis.
エリスは、エリスよ。
わたしはほんとうにエリスなの。
エリスってなに?
あんたはエリスだし、エリスはエリス以外のなんでもない。
…。
なんで生きているのかなんて。
あんたの中に命があるからよ。
…どうして、あるの。
つくりものなのに、ほんとうにあるの。
…。
ナ…。
少し温いけど、確かにあったかい。
それに…
ぁ…。
…鼓動が、する。
…ぅ。
これがあんたの命の音。
今、それは確かにここにある。
…。
あんたは、エリスとして確かに生きているし、ここにいる。
あたしの中に。
…。
…分かる?
……どこにいくの。
ん…?
Yo voy...
わたしは…
Nosotras, verdad?
わたしたちは、でしょ?
…。
どこにだって行ける。
どこだって、良いの。
…。
Como somos libres.
自由、だから。
…じゆう。
…行きたいところに、行けば良いのよ。
二人で。
…ふたり。
そう、二人。
…。
…あんたは。
…。
Si naciste para verme.
あたしに逢うために、もしも生まれてきたのなら。
…ナディ、に。
そう、思っていいのなら。
あたしが生まれて、生きてきた事に意味が生まれるような気がする。
…。
……大袈裟かもしんないけど、さ。
でもあたしは…ん。
…おもって。
…エリス。
おもって…。
…。
ナディ…。
ん…。
……だいて。
…。
だいて、ナディ…。
…あんたはたまにどうしようもなく不安定になる。
けど…。
…はぁ。
……エリス。
…はやく、おしえて。
…。
わたしが、あなたのエリスなら…。
…。
はやく…はやく…。
…エリス、次の町に着いたら。
いや、だめ…うあぁ。
…。
おかしくなっちゃう…。
はやく、しないと……。
エリス。
わたしが、わたしがナディのわたしじゃなくなっちゃう…!
エリ
だから…!!
く…。
........Asesíname.
……わたしを、ころして。
Rápido, rápido, rápido....!
はやく、はやく、はやく…!
…。
ナ、ディ…。
………わかった。
あぁ…。
あんたは、あたしのもの。
それ以外のものになるなんて、赦さない。
…。
赦さない。
……う、ん。
……。
ん、ちがう…そこじゃない…。
…分かってる。
はやく…はやく…ぁ。
……入るよ。
ん……。
……。
あ、あぁぁ…。
……エリス。
ナ、…ィ……。
−La perrita Mameshiba.
いかなくちゃ。
いかなくちゃ、はやく。
あなたがわたしをのなまえをよんでいるから。
はやく、はやく。
せなかに、つばさがあればいいのに。
でもわたしはとりじゃないから。
だから、はしる。
とりよりも、はやく。
あなたがにがてないぬよりも、はやく。
あなたのもとへ。
いくから、だから。
わたしのなまえをおおきなこえで、よんで。
元気そうね、ナディ。
あんたこそ。
エリスは?
お昼寝中。
ねぼすけなのは逢った頃からずっと、変わらないんで。
本当は気持ち良さそうに寝ているから、起こすのが可哀想だったんじゃない?
うっせ。
ふふ。
でも一人にしておいて大丈夫なの?
まぁ、少しだし。
無用心じゃない?
鍵、あるわよ。
なら、良いけれど。
で、支部長様はなんでこっちへ?
貴女がちゃんと、やれているかどうか。
簡単に言えば視察ね。
あ、そ。
エリスは元気?
元気。
そう。
良かったわね。
…。
戻るの?
仕事、がありますので。
ねぇ、ナディ。
あー?
行っても良いかしら。
どこに?
貴女たちの…
ナディ!!
…ん?
エリス…て。
ちょ、ま、待っ…ぁッ。
………。
……え、と。
見つけた、ナディ。
……。
…ナディ、大丈夫?
……これ、が。
ナディ。
だいじょ…ぶ、に、みえるんかい……。
…受身、全く取れていなかったものね。
…エリス。
なに?
なに、じゃない。
いきなり飛びつくなっていっつも言ってるでしょうが。
言ってるね。
しかも今回は助走付き。
死ぬかと思ったっつの。
死なないで。
つか、あんたが体当たりを喰らわせてくれなきゃ良いだけの話なの。
今回は今までの当たりの中で一番だったわよ、もう。
…体当たりと言うより、犬が飼い主を見つけた時のような感じだったと思うけど。
あ?
なに、ブルーアイズ。
いいえ、続けて。
…約束、したでしょ。
うん、した。
なのになんで、簡単に破るの。
だって、いなかったから。
そうだけど。
でも書置きをしておいたでしょ。
そうなの?
そうなの。
それに今はあまり…。
……。
…あー、えと。
あまり、なに?
兎に角、だめなもんはだめ。
見ろ、怪我しちゃったじゃないの。
血、出てるね。
どうしてくれるんだ。
かすり傷?
それでも痛いものは痛いの!
…でもあの勢いで押し倒されて、かすり傷で済むナディもナディだわ。
あ、なんか言った?
いいえ、何も。
どうぞ、痴話喧嘩を続けて。
痴話喧嘩じゃないから!
…ちわげんか。
あーもう、あんたは
ナディ。
あ、なに?!
呼んでくれた。
は?
名前。
そりゃ呼ぶわよ。
つか、今はそうじゃなくて!
えへへ。
て、こら、人の話を…。
…ごめんなさい。
……。
ごめんね?
……もう、するんじゃないわよ。
いえっさ。
ナディもいなくならないでね。
なるかい。
うん。
…これを痴話喧嘩と言わずして、なんと言うのかしらね。
−Hemisphäre.
胎内に居る時から、愛を欲するそうよ。
…。
生まれてからじゃない。
人は胎内に居る時から、自分の全てを受け入れてくれる誰かを必要としている。
…。
エリスは…確かに愛されていたと思うわ。
だけど
…ローゼンバーグ。
けれど、断片的に覚えている。
それもあの子の心を不安定にさせている。
…覚えていなければ、全部忘れていれば。
…。
エリスは…男に、愛されていたんだ。
…男と言っても。
それが男女のものだったのか、父子のようなものだったのかは…今となってはもう、分からないわ。
…同じよ。
あたしにとっては。
…。
全部、忘れてしまえば良かったのに。
忘れていれば、
…貴女のものに、なった?
貴女だけのものに。
…。
…ストックホルム症候群。
……なに、それ。
犯罪被害者が犯人と一時的に時間と場所を共有する事で過度の同情、更には好意等の特別な依存感情を抱く事。
恐怖と生存本能に基づく自己欺瞞的心理操作(セルフ・マインドコントロール)。
…それが、なに。
ストックホルムと言う場所で起こった銀行強盗人質立てこもり事件が由来なのだけれど、それはどうでも良いわね。
…。
若しかしたらそれに似た状況だったのかも知れない。
憶測、だけれど。
…。
当の事件では人質となった人間が犯人をかばったり、中には犯人に愛の告白をして結婚したらしいわ。
普通の感覚だったら考えられないでしょう。
…。
けれで恐怖に支配された状況におかれた場合、犯人に対して反抗や嫌悪で対応するよりも、
協力や信頼、或いは好意で対応するほうが生存確率が高くなる。
防衛本能が働いた心理的…然う、勘違いであっても、その時だけは本物の愛となる。
…ふぅん。
あの子に行われていた実験。
それがどういうものだったのか詳しく明かされてはいないけれど…人間として扱われていなかったとしたら。
マウス、とまでは行かなくても、それでもある程度の苦痛を伴うものだったには違いないでしょうね。
……。
…憎い?
……少なくとも。
…。
あたしの手で殺してやりたい、と思うくらいには。
…然う。
…。
それと、もうひとつ。
ストックホルム症候群とは逆の症状であるリマ症候群と呼ばれるものがあるわ。
それは監禁者が被監禁者に親近感を持って攻撃的態度が和らぐ現象の事よ。
……。
それらが重なり合えば、或いは…そこに愛情と言うものが成立するでしょうね。
他者から見れば、有り得ないものだとしても。
……。
…なんにせよ。
今のあの子は貴女だけを必要としている。
それは確かよ。
…。
あとは…然うね。
自我を形成させる為に必要な事なのかも知れないわ。
人は…所謂、思春期と呼ばれる時期に心が不安定に陥りやすい。
…。
…貴女は。
あの子の全てを受け入れている。然う、全てを。
私の目から見ても、それは分かる。
…あたしは、愛を知らない。
…。
親に愛された記憶もない。
あたしは…エリスが愛しいと思っているけれど、それがホンモノなのかも分からない。
その、なんちゃら症候群のように。
…いいえ、違うわね。
…。
少なくとも貴女はエリスを傷つけてはいないし、エリスを
ブルーアイズ。
…。
…。
…ナディ。
全部受け入れて欲しいのは…あたしの方。
…。
それがたまたま、エリスだっただけ。
エリスじゃなくてもあたしの全てを必要としてくれるのなら
それは、本心なの。
…。
貴女は。
エリスに受け入れて欲しいのでは無いの。
…そんなの。
エリスは…確かに、貴女を必要としているのよ。
子供が親の愛を、人が誰かの温もりを糧にして生きていくように、エリスもまた貴女の
そんなの!
…。
…そんなの、あたしには重すぎる。
…ナディ。
あたしには…。
…受け入れる、とは。
…。
自分の方へ引き寄せる、が元々の意味だそうよ。
…自分の方へ。
貴女は…エリスを自分の方に引き寄せたいだけ。
エリスもまた、貴女を自分の方へ引き寄せたがってる。
まるでそれが自分の存在意義かのように。
…。
貴女達は、似ている。
…全然、似てないわよ。
貴女はあの子に触りたい?
…。
触りたい?
……。
触ることを…あの子は拒絶する?
…。
逆に、貴女は拒絶する?
…。
言葉に出来ないのならば…その躰を抱きしめるだけで良いの。
そうすれば、抱き締め返してくれる。
あの子は…貴女を拒まない。
…どうして、分かるのよ。
現に、然うでしょうから。
それに。
…。
言ったでしょう?
あの子は貴女を必要としている。
必要としている人に…優しく触れられたら、拒む人は先ずいない。
貴女を含めて。
…。
…そろそろ、ちゃんと自覚なさい。
ナディ。
……。
誰でも良いわけなんか、無いの。
無いのよ。
…。
エリスも。
そして、貴女も
…。
…あの子の心が不安定ならば、貴女が安定させれば良い。
そんなの、あたしに
出来る、出来ないじゃない。
するのよ。
…。
一生、傍に居なさい。
貴女にはあの子が必要だわ。
…。
貴女の心は、あの子だけが安定させる事が出来る。
傷の舐め合いだろうが、構わないじゃない。
…あんたね。
貴女達は、離れてはいけない。
他人が勝手に決め付ける事では無いけれど、貴女達に限ってはそれは当て嵌まらない。
当て嵌まらないのよ。
…どこまでもお節介な女。
ええ、然うよ。
だけれど、貴女達だけよ。
私がこうなるのは。
…。
だから、私は。
一生、貴女達に干渉する、し続けるわ。
…最悪としか、言えない。
だって、私は。
貴女達を、愛しているから。
…。
理由は、それだけよ。
…おかえり、ナディ。
……ただいま。
…。
…。
…ブルーアイズ、は。
…。
…なんでもない。
…。
…。
…エリス。
……なに。
…こっち、どうして見ないの。
…。
見なさいよ。
…いまは、いや。
どうしてよ。
…。
エリス。
…。
…。
…ぁ。
……見なさいよ、あたしを。
……いや。
じゃあなんで、逃げないのよ。
…。
…見たくないくらい嫌なら、逃げなさいよ。
…いや。
…!
あ……。
………。
……ナディ。
…抱き締めてよ、エリス。
…。
あたしを…。
……。
……お願い、抱き締めて。
…。
エリス…エリス……。
……もっと。
…。
つよく、だきしめて…わたしを。
…。
…そしたら。
…。
…あいして、いるの。
…。
あなたを…あいして、いるから。
……だったら。
…わたしは、ここにいるよ。
どこにもいかない……いけない。
……。
ずっと、ナディのとなりに…いさせて。
……。
…ナディ。
……あたしを、愛してくれるの。
もう、あいしてる…。
……あたしなんか、を。
わたしのナディ…。
……。
…わたしにはあなただけなんだよ。
……。
…だからわたしを、あいして。
わたしがいなければ、いきていけないくらいに…あいして。
……。
…あなたがあいしてくれないなら。
わたしは……いきていたくない。
……ああ。
ナディ……わたしを、あいして。
わたしを、もっと………。
…愛してる。
愛してる……。
……うれしい。
…エリス。
ナ、ん…。
………エリス。
…うれしい。
うれしい……。
………。
ナディ………。
−Traum vom Glas.
人の心は脆い。
どうしようもなく。
…ただいま。
おかえりなさい、ナディ。
…うん。
ロント、ナディがかえってきたよ。
…。
ナディ、ロントがおかえりって。
…ただいま、ロント。
よかったね、ロント。
……。
だっこ、してあげて?
…だっこ?
ナディとあそびたいんだって。
…そっか。
おとしちゃ、だめだよ?
…分かってる。
ふふ。
じゃあ、ごはんにするね。
……。
ナディ…?
…。
…どうしたの、ナディ。
ロントとあそんであげて…?
……。
ねぇ、ナディ……あ。
……エリス。
…なんでそんなこと、するの。
それは…。
ロント、ロント…。
…それは、ロントなんかじゃない。
なにを、いっているの…?
それは……ただの、人形だから。
ちがうよ。
…。
…ちがうよ。
このこは…あなたのあかちゃんなんだよ。
……。
あなたと、わたしの…やっと、きてくれた…。
…エリス。
ロント、びっくりしたね…ごめんね。
エリス。
ナディ、すこしつかれてるんだって…だから。
エリス…!
…ッ!
……エリス。
ナ、ディ……。
…あたしは、あんたを。
……。
守って、あげられなかった…。
…なに、いってるの。
あんたの心を守ってあげられなかった…
……。
…あたしの子供を欲しがるあんたを。
あんたの望みを、叶えてあげられなかった…。
…ううん。
そんなこと、ない…。
…。
だって、ほら……。
…!
……ロント、はここにいる。
あなたがわたしにくれた…あなたの、あかちゃん。
……エリス。
だから、ね…?
…。
あ…。
……。
…や、だめ。
……どうして。
ロントが…ロントが、みてるよ。
…見てたって、構わない。
だめ…。
……。
あ、ナディ…。
……あたし、を。
あ、あぁぁ…。
……あたしの躰を、変えて。
や…いや。
…あんたの膣に、挿入れさせて。
だ、め……だめ…。
……。
…やだ…はずかしい、よ…。
……そんなもの。
あ…ッ!
…すぐに、感じなくなるくせに。
ナ、ディ…。
…自分から腰を振って。
強請り出すくせに。
やだ、いわないで…。
……ほら。
もう、こんなに…。
あ、いやぁ…。
……まだ、キスもしていないのに。
どうしたの、ナディ…。
どうして、そんなこと、いうの…。
……。
……ナ、ディ。
…入りたい。
……。
あんたの胎内に、還りたい。
…ナディ。
……。
……ロント。
……。
わたしを、わたしたちをみないで…ロント。
……エリス。
あ…ッ、あ、あ、あ…。
……早く、あたしを変えて。
…。
早く……じゃないと。
……。
…あの子がいるこの場所で、あんたを犯すから。
も、う……。
……。
……はいってる、くせ…に。
…もっと酷い事、するよ。
……。
…エリス、早く。
……そっ、か。
……?
きょう、だい……。
……。
……くれる、んだ。
姉妹……。
ナディ……。
……う。
…ナディ。
もうひとり、わたしに…。
…あぁぁ、あぁぁぁ。
…あなた、を。
……あぁぁぁぁァァぁぁあぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!
……。
あ、ぁ……ァ……。
……はぁ。
……。
はぁ……ナ、ディ…。
……エリ、す。
…つれて、いって。
……。
ロントからみえない……ぁ。
えリス…。
だめ、ここじゃ……。
えりス…えりす…ゥ…!!
あぁ…ァッ!
……はぁ、…はぁ…エリッ、はぁ…ッ。
あぁ、あぁ、ぁぁっ、ぁぁ…ッ!
…あつ、い…あ…つい……ッ。
そ、んな…に、つよ、く…しな、ぃ…で…。
は…っ…。
ダめ…だメ……あ…。
…はァ……。
も、ゥ………。
エリス…エリ、ス………。
………ぁ。
………う。
あぁぁ…っ、ぁぁぁ……っ……ッ…。
…うぅぅぅぅ。
……ぁ……はぁ…。
……ま、ダ。
…ま、…て。
………。
ま、って………ぁん!
……ウんで、なィ。
すこ、シ…スこし、ダけ……おねガ、ぃ……。
は……は……ハ……。
あぁ…、あ……あ……アァァ…。
……ぅ、ぁぁあァァあァ…!
……ナ……ぃ……。
……。
……ロん、と。
……。
ろんと……ろんと……。
……えり、す。
…。
……ッ。
……ろん、と…。
……ごめん。
…。
ごめん……。
……ねぇ。
…。
できた、かな……。
…エリス。
……ろんと、の。
…。
いもうと……。
……う。
…できたら、いいな…。
あぁぁぁぁぁ…。
…なでぃ?
エリス、エリス……。
…どうしたの。
ごめん、エリス……ごめんなさい…。
……なかないで。
あぁぁ…。
なかないで、ナディ…。
……。
……わたし、しあわせだよ。
…エリ、ス。
ナディとつながって……ナディのあかちゃんが、いて。
………。
…いまも、つながってる。
うれしい……
……。
……ありがとう、ナディ。
…!
だいすき……。
………あぁぁ。
心は、脆い。
どうしようもなく。
……ナディ。
エリス……。
ナディ…わたし、の。
それでも壊れた心を寄せ集めて。
あたし達は、今、この時を。
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