−Fetichismo sexual.
ナディ、ナディ。
なーにー?
てんきよほうだって。
へぇ、天気予報ねぇ…て。
あしたははれ。
つか、なにテレビなんか見てんのよ。
おもしろいよ?
タダじゃないんだから。
ほら、消した消した。
おもしろいのに。
そんな余裕、あたしたちにはありません。
とまるだけ?
屋根があるだけでもありがたい。
あめがふってるときはとくにね。
そ。
で、どんだけ見たの。
すこし。
少しって?
てんきよほうだけ。
だから、どれくらいなのよ。
んー……
つか、はよ消せ。
頼むから。
うん。
あーあ、もう。
ナディ。
なに?
あしたははれだって。
ああ、そう。
じゃ、晴れてもらいましょうかね。
お金、使ってることだし。
ね。
エリス、もうテレビなんかつけちゃだめよ。
絶対。
はぁい。
よし。
ねぇ、ナディ。
うん?
せくしー?
…は?
せくしー。
や、つか何やってんの?
かた、だしてるとせくしー。
…いや、別に。
ナディげんてい?
…どんな限定だ。
め、そらした。
それはたまたま。
…。
ほら、ちゃんと服着て。
つかなんで今更…。
…。
…風邪、ひいても知らないわよ。
…。
たく、イキナリ何を言い出すかと思えば。
大体、あんたがセクシーならあたしだってだな
ナディもせくしーだよ。
…はいはい、ありがと。
たく…。
……。
…て、なにまたつけてんだ。
せくしーなんだって。
はぁ?
このひと。
んなのはどーでも
ほら。
…ああ、確かに。
て、違うから。
こーいうの、すき?
は、なに言ってんの。
…。
ほら、消して。
…はーい。
そもそも、凹凸があればセクシーだと思ったら大間違いだ。
…。
そもそも天気予報でなんであんな格好…うぉ。
…。
……エリス。
ナディはここらへんがせくしー。
…まだ言うか。
……さこつ。
て、こら…。
…。
ん…。
…いいこえ?
…。
…。
…ばか。
ほら、とっとと離れて。
……。
つか、鎖骨って。
どんだけ……て、触るなって。
あと、ついちゃったね?
つけたんでしょーが。
わざと。
おいしそうだったから。
お…。
ん?
…頼むからそれ以上、変なコト、覚えないで。
……。
……あーもぅ。
ナディはどこがすき?
…どこがって?
エリスの。
……。
…どこが、すき?
あのねぇ…いいかげんにしてよ。
…ほんき。
だから、たちが悪いんだって…。
…おうとつ、ないと。
は…?
だめ?
……や、もう、勘弁してって。
…。
言ったでしょ、あればいいってもんじゃないの。
…ふぅん。
エリス、ほら…。
…。
…エリスってば。
…。
……。
……。
……しいて言えば、背中。
せなか?
…ぅ。
せなかがすきなの?
…好き、と言うか。
きれい、と言うか…。
せなかだけ…?
だけって…。
おしえて。
…。
…からだで。
か…。
……ほんきだよ。
…。
ナディ…あ。
……。
…ナ、ディ。
……この影とラインが。
ん…。
…好き、なのよ。
あ…。
……。
んん…。
……。
は…。
……教えたわよ、躰に。
もっと…。
…だめ。
…あと、つけて。
…。
ナディの…。
……だーめ。
−Noche tierna.
エリス。
…?
なに?
おいで。
うん。
…。
えへへ。
…何がおかしいの。
ナディがよんでくれたから。
いつもよんでる。
そうだけど、そうじゃないの。
…分からない。
ん…。
……。
…きょうのナディはあまえんぼ。
…うるさい。
うれしいから。
…あ、そ。
……くすぐったい。
…。
ふふ。
…笑うな。
だって。
…。
…くすくす。
だから。
だって、ほんとうにあまえんぼ…。
…。
…こんなふうなの、あまりないから。
…。
してるときは…あ、ん。
…。
ナディ…。
……あんたは、やわらかい。
…。
やわらかい…。
…かたいほうがいい?
…。
かたいほうが
なんでそうなる。
…。
…柔らかい方がいいに決まってるでしょ、ばか。
でも…。
…。
…むね、あまりないよ。
…。
ない…。
…あるとか、ないとか。
そんなの、関係ない。
…。
やわらかいのは変わらない…。
…そうなんだ。
…。
ナディも…やわらかいね。
…なら、いいな。
やわらかいよ…すごく。
…ん。
……きもちいい。
うん…。
ずっと、こうして…。
−Tanze einen Walzer mit mir.
その日、賞金稼ぎに襲われた。
彼女はいつものように、私を守ってくれた。
赤い血を、流しながら。
い、たぁ。
…。
…あー、これは痕になりそうだなぁ。
顔だってのに…あーやだやだ。
…。
エリス、薬取って。
…。
エリスー。
…。
て、聞いてる?
…ち。
あ?
でてる。
ああ。
怪我、したからね。
いたい?
勿論、痛いわよ。
…。
ところで薬。
…はい。
ありが…と?
…。
離してくれないと取れないんだけど。
…ぬってあげる。
良いわよ、自分でやるから。
…。
エリ
ぬるの。
…。
…。
…自分でやった方が加減が分かるんだけど。
…。
ま、いっか。
じゃあ、お願い。
うん。
その代わり、そっとやってね。
そっとよ?
わかった。
そっとやる。
うん。
んじゃ、ここ。
……。
…ん?
…。
やっぱ自分でやろうか?
ううん。
…そ。
…いたそうだね。
まぁね。
…。
つ…。
…いたい?
まぁ、これくらいは予想通りだから。
…。
薄く、伸ばして。
ん。
…つぅぅ。
ナディ…。
大丈夫。
……。
…しっかし。
女の子一人によってたかって。
そんなに金が欲しいのかね。
…。
どうせ、後で揉めるくせ。
ゲス野郎も混じってるから余計、胸糞が悪い。
…ナディだって。
あ?
おかね、ほしいんでしょ。
…。
…だからエリスのこと、まもってくれる。
…エリス。
そんなにおかねがほしいの?
…くれるものならね。
おかねのためなら、けがしてもいいの?
出来ればしたくないわよ。
…。
ありがとう、エリス。
もう、大丈夫。
…ナディは。
うん?
どうしてわたしのこと、まもってくれるの。
自分で言ってたじゃない。
お金が欲しいからだって。
…。
あともう少しずれてたら、死んでたかな。
…!
ま、生きてるけど。
…。
もう、来なきゃ良いけど。
ま、暫くどころか一生歩くのもままらないだろうから…?
……。
なに…。
…しんじゃうよ。
…。
エリスといっしょにいたら、しんじゃう。
…ま、確かに危ないけどね。
だからもう
一緒に行くって決めたから。
…。
そう、決めたから。
変えない。
…そんなにおかねがほしいの。
なくて困る事はあるけど、あって困る事はないから。
多分。
…。
それに、ばあちゃんとの約束もあるからね。
…。
心配はいらない。
あたし、は…。
…。
……エリス。
しんじゃう…。
だから、あたしは
ナディもはかせみたいに…。
…!
…しんじゃう、しんじゃうよ。
エリス…。
……エリスのせい、で。
それは違う。
ちがわないよ。
エリスがはかせをころしたみたいに、ナディも
エリス。
…ころしちゃうよ。
エリス!
…っ。
莫迦な事、言わないで。
…。
あたしは死なないし、ましてやあんたに殺されなんかしない。
…でもひとはしぬよ。
死ぬよ。
でも、あたしは死なない。
…うそ。
ナディだって
いつかは死ぬけど。
でもそれはエリスのせいじゃない。
…。
あんたは気にしなくても良いの。
あんたをウィニャイマルカに連れて行く、それはあたしが決めた事だから。
…でも。
言ったでしょ、変えないって。
……。
…それに。
死ぬ事は怖くない。
…。
あたしは。
…なんで。
さぁ、なんでだろうね。
…昔の事があるからかもね。
むかし…?
ま、あたしにも色々とあってね。
あんたほどじゃないにしても。
…。
あーあ、血だらけになっちゃった。
これはもう、洗っても落ちないな…。
……ぁ。
ま、仕方ない。
これは捨てて…?
…。
エリス…?
…いや。
どうしたの?
いや、いやぁ…っ!
エリス…!
…はぁ、はぁ、はぁ。
!
ナディも、しんじゃ…ぅ…はかせ、みたい、に…!
だめ、エリス!
エリスが…エリス、が…!
エリスッ!
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…ッ。
…大丈夫だから。
あたしは、
ぁぁ…ッ!
つ…ッ!!
…ぁぁ…ぁッ!
……くぅ。
はぁ、はぁ、はぁ…。
エリス…エリス…。
ぁ…。
大丈夫、大丈夫だから…。
…ナ、…ディ…。
……エリス、あんたのせいじゃない。
博士の事は分からないけど、でも…。
……、で。
…。
……しなない、で。
あ…。
…しんじゃ、いや。
…。
はか、せ、みた…いに……。
…。
やだ…やだ…。
……エリス。
ナディ…ナディ…。
……ごめん、エリス。
ぁ…。
…本当は、金の為なんかじゃない。
……ナ、ディ。
金なんか、もう、どうでもいい。
あたしは、た…
…?
…だ、あんた…を…。
ナディ…?
……まもり、たい…だけ、だか…ら…。
あ…あぁ。
……。
ナディ、ナディ…!
……きこえて、るって。
ナディ!
だか、ら…。
……。
…ちから、だめ。
オー…ライ?
ぅ…。
…だいじょう、ぶ。
たいしたこと、ない…。
…。
ま…ちょっとは、あつかった…けど。
…ごめん、ごめんなさい…。
……ん。
……。
…はぁ。
…。
…でも、さ。
…。
……ちょっと、うれしいかな。
うれし…?
…エリスが心配、してくれて。
……。
ほら、あんたってあまり…ね。
……ばか。
お…。
うすらタコス。
……いたい、んだけど。
…うすら、タコス。
こら…。
……。
…ぉ。
はぁ…。
……。
……ナディの、ばか。
…もう、分かったって。
……。
たく、使うなって言ったのに。
…。
治ったから良いけど。
ありがとう、エリス。
…エリスがやったから。
うん、そうだった。
…。
でも半分はあたしのせいだから。
チャラって事で。
ね?
…。
よしよし。
……ナディ。
んー?
…。
…もう、熱いのは勘弁してほしんだけどな?
うん…もう、しない。
うん、よろしい。
ナディ…。
くっつき虫。
血、ついちゃうわよ。
いいよ。
汚れるって。
いいの。
ナディのだから。
おいおい。
…いいの。
…。
…
…やれやれ。
……。
−La Mandarina.
エリス。
なに、ナディ。
とりあえず、ここに座って。
すわってるよ?
…そうか。
そうだよ。
あー…こほん。
エリス。
なぁに?
エリスに言いたい事があります。
うん、いいよ。
…。
…。
…え、と。
ナディ?
あんまりやきもちをやかない。
…やいてないよ?
昔の知り合いに会って、ちょこっと話したくらいで、不貞腐れない。
ふてくされてないよ。
リカルドに対してが特にひどい。
…。
あいつには一度たりともそんな感情を持ったコトはない。
…でも、にてるから。
似・て・ま・せ・ん。
…。
それから朝…その、キスで、起こすのも止めよう。
おはようのキス?
つか、鼻抓んでされると死にそうになるから。
マジで。
そっか。
それから、当たり前のように人の上に乗っかって寝るのも止めよう。
だっこしてくれるよ?
それは仕方なくだな…。
でも、おちつく?
…。
ん?
…こほん。
それから、ごはんはおいしい。
ありがとう。
どういたしまして。
あと…え、と、あまり町中ではくっつかない。
暑いから。
あつくなければいいの?
…人目があるトコでいきなりキスをねだるのも止めよう。
ひとめがないところにつれていかれるよ?
……。
……。
…エリス。
ナディ。
これからも、あたしも隣にいること。
絶対に、離れてはいけない。
…ずっと?
…。
…。
…そう、ずっと。
いえっさ!
ま、あれね。
…。
絶対、無理ね。
…うるせ。
そもそもヘタレなんだから。
んだとこのやろう。
ねぇ、エリス。
うん。
…て、エリス。
でもそこがナディのいいところ。
…褒められてる気がしねー。
すきってことだよ?
…。
ね。
…あー、うん。
尻に敷かれちゃってるわね、完全に。
うるせっつの。
ま、頑張りなさい。
だから、
ナディ。
…なに、エリス。
わたしはずっと、ナディだけだから。
……。
ナディだけ。
……うん。
ま、貴女が優位に立つ事は一生無理ね。
そもそもそんな関係でも無いんだから。
……ちくしょ。
−La blanca.
はぁぁぁぁ。
…何してるの?
いや、吐く息がさ。
白いな、て。
息?
はぁ。
ほら、真っ白。
そうだね。
うぅぅ、寒い寒い寒い。
宿、早く探さないとね?
南の寒さはいいけど北のは苦手だなぁ、あたし。
そうなの?
空気が違うような気がする。
そうなんだ。
エリスはこっちの方がいい?
私?
雪とかさ、積もるし。
南も積もるところ、あるよ?
まぁ、そうなんだけどね。
でもこっちとは違うのよ。
ふぅん。
空が白い。
なんか重たい。
私はどっちでもいいよ。
うん?
ナディと一緒なら。
…。
どこでも。
…そ。
宿、探そう?
ん、そだね。
雪が降る前に。
やっぱり降るかな。
うん、降るよ。
分かる?
匂いがするから。
におい?
雪の?
うん。
匂い、ねぇ。
分からない?
んー…雨が降る前の匂いなら分かるけど。
土の匂い?
それと水の、ね。
それとは違うよ。
だろうね。
ナディにも知らないコト、あるんだ。
今となっちゃエリスの方が物知りかもよ。
えへん。
はいはい、調子に乗らな…くしょッ。
くしゃみ?
…まずい、本気で寒い。
風邪、ひいちゃう。
早いトコ宿、探さないと。
……。
エリス、
…降ってきた。
へ。
白。
………わお。
積もるね。
え、積もるの?
うん、積もる。
どれくらい?
それなり。
それなりって、どれくらいよ。
明日になれば分かるよ。
おーい…。
今は宿探しの方が大事。
…そうなんだけどさぁ。
冷たい。
…あんたの手がね。
えへへ。
エリスー。
…。
エリスーー。
…。
エリス。
…わ。
まぁだ見てるんかい。
うん。
ナディも見る?
見てるだけで寒くなる。
外よりはあったかいよ?
寒かったら凍え死んじゃう。
大丈夫、その時はエリスがあっためてあげるから。
魔女の力で?
ううん、肌の温もりで。
肌の温もり、ね。
本気。
体温、奪われたらそんな事も言ってらんないけどね。
その時は、これ。
やっぱり使うんかい。
少しだけ。
…だめ?
ま、その力には何度も助けられたからねぇ。
…。
あたしが今エリスとこうしてられるのも…さ。
…ナディ。
雪、降ってるねぇ。
うん…。
あんたが言ったとおり、積もるかな。
…。
…あんたのほっぺた、冷たい。
ナディのはあったかい…。
あっためてくれるんじゃなかったっけ?
今はナディの番なの。
あたしの?
そう、ナディの。
夫婦は一方通行じゃだめなんだよ。
…通じ合ってこその夫婦?
そう、仲良し夫婦…。
…なるほど。
……ナディ。
…。
…雪、きれいだね。
そうかな…。
…ナディと見てるから。
…。
だから…。
…あんたと見れば、なんでもきれいに見えるから不思議。
…。
色、褪せない。
…ナディじゃないみたい。
あたしだってそれくらいは言えるっつの。
雪、降るね。
もう、降ってる。
そうだった。
ね、ナディ。
んー。
もっとぎゅっとして。
もっと?
風邪、ひかないように。
ベッドに入れば良いと思うけど?
…。
…エリス。
あつい…。
…寒いよりかは良いと思うけど。
ふふ…。
…なに。
ううん…。
……。
…ベッドに、いこう?
……白い。
ん…。
…ほんと、きれい。
……。
……分かんなくなるかも。
分からない…?
あんたが雪の中にいたら。
…。
溶け合っちゃってさ…。
…溶けないよ?
本当に溶けるんじゃなくて…。
…あ、ん。
……この色が溶けるのよ。
色…。
その点、あたしは…白を汚す色だからすぐに分かる。
…。
あたしは、混ざらない…。
…それを言うなら。
ん…?
ナディは大地の色。
汚い色なんかじゃないの。
…。
だから…ちょっとでも目を離すと、分からなくなってしまうの。
…ならないって。
そうだけど…そうなの。
なんじゃそりゃ…。
…背中。
うん…。
……広い、大地。
そんなに広くないわよ。
褐色の大地と、燃える太陽…。
…あたしはどんだけでっかいんだ。
私の全て、だから。
……こら、しがみつくな。
…大好き、だから。
たくもぅ…。
…ねぇ、ナディ。
ん…?
もしも私が溶けちゃったら…どうする?
…雪と?
そう…。
…。
…また探してくれる?
いや、探さない。
…。
……話は最後まで聞け?
…うん。
よし。
…探さないで、どうするの?
そうはさせない。
…させない?
溶けないように。
…どうするの?
こうする…。
……ぁ。
……赤に染めれば、白に溶けるコトはない。
ナ、ディ…。
ほら…これであんたはもう、白じゃない。
……。
エリスは、あたしのもの…。
あ、あ…。
……ずっと、ね。
…。
……はぁ。
…ねぇ。
ん…。
やっぱり、とけちゃうの…。
…そうはさせないって言った。
ちがうよ…。
…じゃあ、何に溶けるの。
ナディに…。
…。
…ナディも溶けて、今だけ混ざり合うの。
今だけ、ね…。
…二つだから、いいんだよ?
…。
夫婦は二つじゃないと、夫婦じゃないから…。
…でも、一つなんでしょ?
うん、一つ…。
…。
二つだから…一つになれる。
二つじゃないと、一つになれないの…。
ややこしいなぁ、もう…。
…ふふ。
…。
ナディ…。
……ああ。
…。
…くらくらする。
好きすぎて…?
…ばーか。
ん…ッ。
…。
あ…、あ…。
…。
や、だめ…、そこ…ぁ…あッ。
−Schild des Sandes.
それが、私達の全て。
…。
…ナディ。
…。
ナディ…。
……どした。
…。
エリス。
…おきてた。
起こされた。
…うそ。
…。
…ねむれないの?
あんたこそ。
…ナディがさきにいって。
なんだそれ。
…いいの。
…。
はやく。
…勝手なんだからなぁ。
ん…。
…。
……ナディ。
寝るのが、勿体ない。
…。
そんな気がした。
…だから、ねないの?
さぁ。
…。
落ち着かないのかもしれない。
…おちつかない?
そ。
…どうして?
それより。
あ。
あんたは?
…わたし?
眠れない?
…ううん。
じゃあ、寝なさい。
…いや。
なんで。
…なんとなく。
なんとなく、ねぇ。
…ナディとおなじ。
あたしと?
そう。
落ち着かないって?
…おなじ。
…。
…。
…いっそ、別々に寝てみる?
前のように。
いや。
…あ、そ。
いや…。
…分かったって。
…。
そんなにくっつかなくても、居なくならないわよ。
…。
…エリス。
……いや。
…。
…。
…あのさ、エリス。
…なに。
やっぱり少し勿体ないような気がする。
…。
…寝るのが。
そうなの?
…む。
……どうして?
そこまでは言わない。
…いってもいいとおもう。
あんたも同じなんでしょ、あたしと。
…。
それは、どうして?
……だって。
だって?
すきだから。
…。
…こうしてるの、すきだから。
ねたら、あさになっちゃうから…。
…まぁ、なるね。
ならないと困る。
…わたしは、こまらない。
あんたは困らなくても、他の人が困る。
…ナディも?
まぁ、ね。
ずっと夜なのはねぇ。
…たいようは、ここにあるのに。
あんたの太陽は全てを照らせない。
…。
…あんたしか。
いや、あんたすらも…。
ううん…。
…首元にうずめるなって。
くすぐったい。
ナディがうずめる?
…あんたに?
わたしいがいのひとがいいの?
…この期に及んで、そんな返ししないでよ。
……。
…あたしはこれで良い。
ナディのおもみ、すきだよ?
…重くて悪かったな。
そんなこと、いってない…。
…。
いってない。
…知ってるわよ。
だから、そんな顔しない。
…ナディのせい。
…。
…。
…で、どうしろって?
キス。
…やっぱりか。
…。
…。
…あ。
……。
…ナディ。
あたしの重み、好きなんでしょ。
…うん、すき。
だいすき…。
……。
……。
…やっぱり、落ち着かない。
……。
あんたの匂いがこんなに近くにあるのに、落ち着ける筈がない…。
…いいよ。
良くない。
…いい。
……。
いい、から…。
−Veintidós de noviembre.
え、なに?
今日。
今日がどうしたって?
11月22日。
ああ。
それがどした?
いい夫婦の日なんだって。
へ?
いい夫婦。
…なんで?
なんでも。
意味が分からないんだけど。
分からなくてもそうなんだよ。
ふぅん…。
…。
で、それがどしたって?
…。
エリス?
うすらタコス。
は、なんでよ。
…。
ちょ、な、何。
…何でもない。
何でもないって顔じゃないでしょうが。
…。
エリス。
…。
エリスってば。
…。
…まぁ、いいや。
…!
エリス、それより
ばか。
はぁ?
…。
なにそれ。
…。
そもそもなんでむくれてんのよ。
…もう、いい。
良くないでしょ。
うすらタコスだのばかだの、一体なんだって言うの。
…。
いきなり日にちを言ったと思ったら、良い夫婦の日って言ってみたりしてさ。
だからなんだって言うのよ。
……。
え。
…ばか!
ちょ、エリ
……。
待って、待ってって。
いや。
なんでよ。
はなして。
離したら部屋にこもりそうなイキオイじゃない。
て、そうじゃなくて。
…。
だから…。
……遅刻、するよ。
…。
知らないよ。
…それ、なんだけど。
実はさ、エリス。
…なに。
今日、仕事休みなのよ。
あたし。
…え?
いや、だから休みなの。
…きいてない。
うん、言ってなかったから。
…なんで。
昨日、いきなりあいつが来て明日は休みって言われたのよ。
昨日、言ってなかった。
…それは。
…。
どうせだから黙っておいて驚かせてあげれば良いって言うのよ。
…誰が?
リリオ。
これくらいで、あんたが驚くとは思わないけど。
……。
そういうわけだからさ。
今日一日、あんたと
私と?
…ゆっくりしても良いし。
なんだったら、体に負担をかけない程度にどこかに出掛けても良いかな、と。
……。
だからさ、エリス。
あんたがそんな調子だと困るのよ。
…どうして困るの?
どうしてって。
…。
…つまんないじゃない。
…つまんない?
うん、つまんない。
…。
折角の休みなのに、あんたがそんな顔してたらつまんない。
……。
ほら、エリス。
……ナディ。
うん?
私達は
仲良し夫婦?
……。
違った?
…違わない!
お、と。
…。
…こら。
えへへ。
飛びつくなって。
あんだたけの体じゃないって何度言わせるつもり?
…ごめん。
たく。
で、結局なんだったの?
良いの、もう。
あ?
良いの。
人のコト、散々言っておいて。
だって私達はいつも、仲良し夫婦だから。
…。
…だから、良いの。
そ。
じゃあ、良いや。
あんたの機嫌も直ったようだしね。
…ねぇ、ナディ。
うん?
あのね…。
−Se llama “Picknick”.
ピクニック、ねぇ。
ナディ、出来たよ。
お、どれどれ。
美味しそう?
うん、とっても。
えへへ。
まぁ、食材買って外でごはんを作るって言われた時は吃驚したけど。
思うほど、悪くない?
うん、悪くない。
良かったね?
うん、良かった。
エリス、食べても良い?
うん、良いよ。
じゃ、いただきまーす。
あーー……ん。
ん!
…美味しい?
うん、美味しい。
こういうの、本当に悪くないかも。
それはチーズとハムとトマトだよ。
あれ、他にも買わなかったっけ?
きゅうり。
それは?
こっち。
うん?
こっちはトマトときゅうりとチーズ。
おーそっちも美味しそう。
食べる?
もちろん。
じゃあ、あげるね。
エリスは?
あるから大丈夫だよ。
そう?
ナディに先に食べてもらいたいから。
…。
食べてほしいの。
あー…うん。
ナディ?
…妙に照れくさい。
慣れないね?
…ねぇ。
ナディらしいね。
…ま、良いけどさ。
けど、エリス。
ん?
良くこんなコト、思いついたわね?
もしかして前から考えてたとか?
…。
エリス?
…うん。
そうなんだ。
なんだ、早く言ってくれれば良いのに。
だってナディ、お仕事で忙しいから。
けど、休みだってあるでしょ?
今日みたいにさ?
…。
こういう休みも悪くないって。
これはこれでゆっくり出来るしね。
…本当?
うん、ほんとほんと。
…えへへ。
うん
ねぇ、ナディ。
なに、エリス。
楽しい。
ん、あたしも。
ピクニックなんて初めてだし。
そうなんだ。
あんたはあるの?
…。
ん?
…うん、あるよ。
楽しかった?
…うん。
その時もこうやってごはん、作ったの?
…作ってない、と思う。
そっか。
でも、良かったね。
…。
楽しかったんなら、さ。
ナディ…。
そうだ。
ねぇ、エリス。
…なぁに。
これからもたまにしよっか。
二人でさ。
…二人で?
まぁそのうち、三人になるけど。
いや?
じゃない。
ん、それは良かった。
よし、そうと決まれば食べよ食べよ。
ナディ。
んー?
はい。
…ん?
あーん。
え?
あーん?
いや、それは…。
…だめ?
…。
…。
……あーー
…。
…ん。
こっちもおいしい?
…うん、おいしい。
ふふ、良かった。
−Sign
エリス、今夜もよく見える?
…?
星。
…うん、みえるよ。
そっか。
ま、いつもどおりだけどね。
…うん。
…。
…ナディもみるの?
見飽きてるけど、ね。
…。
でも、いつ見ても降ってきそうでさ。
…ふってこないよ?
流れ星、は知らない?
…しってる。
あれね、たまに本当に落ちてくるのよ。
…そうなの?
隕石って名前、変えちゃうけど。
…ながれぼしのほうがいい。
でしょ。
…。
普通は、空で燃え尽きちゃうらしいんだけど。
でも中には根性のあるヤツがいてねぇ。
そいつは燃え尽きずに、大地に降ってくる。
…。
欲しい?
…うん。
そんなにきれいなもんじゃないらしいけど。
それでも、欲しい?
…。
じゃあ、いつか。
あたしがあんたにあげる。
…ナディが?
そう、あたしが。
…うそは、だめ。
嘘のつもりじゃないんだけど。
…ふってこないよ。
分からないじゃない。
人生、長いんだからさ。
…。
そんな長い人生を、ずっと一緒にいるんだから。
一度や二度、そんな機会があるかもしんない。
…ないとおもう。
エリス。
ふ。
夢が、ない。
…ゆめ?
叶わないかもしんないけど。
だからって叶わないって思っちゃったら、そこでおしまいでしょ。
…。
だから、決め付けない。
分かる?
……うん。
うんうん。
わ…。
ふふ。
…ナディ。
笑って。
…え。
笑ってよ、エリス。
…。
嬉しいなら。
……。
それとも、星より花束の方がいい?
…。
ん?
…にあわない。
でしょ?
ほしも。
そっちも?
うん、そっちも。
あはは、やっぱり。
…ふふ。
でも、本気。
…。
あたしはさ、エリス。
あんたが欲しいの、全部あげたいのよ。
…ナディ。
星も、花も、空も、
ナディも?
…ん?
……。
欲しいなら、いくらでも。
…。
ふふ。
…わらわないで。
なんで?
…。
エリスと一緒にいて、笑うなってほうが難しい。
……。
エリス。
…なに。
いつだってあたしは。
…!
…あんたのこと、考えてる。
な、ナディ…。
あんたのこと、ばかり。
…。
おいで、エリス。
…ナディ。
もっと近くに。
おいで。
……。
来ないなら、行っちゃえ。
あ、だめ…。
逃がさない。
…。
…捕まえた。
……。
…エリス。
…いき、あつい。
冷えてるから、丁度いいでしょ?
顔、見えないのは残念だけど。
…。
…流れ星、今は無理だけどさ。
…。
これなら、今すぐあげられる。
…?
エリス、見て。
…。
あたしの指で作った窓から。
……。
星、見える?
…うん。
ここだけ切り取って、あんたに。
え…。
これでここから見える星はあんただけのもの。
今だけ、だけどね。
…。
…ん?
……わたしだけじゃ、いや。
…。
ナディ、も…。
…じゃあ、こうしよ。
…。
あたしは右手。
あんたは左手。
はい。
…ん。
親指と、人差指。
…そうそう、そんな感じ。
…ナディのて、やっぱりおおきい。
そう、だからあんたを捕まえる時に役に立つの。
…。
ほら、エリス。
これで二人のもの。
……いまだけ、だけど。
でもこれならいつだって出来る。
欲しくなったら、いつでも。
……うん。
お。
あ。
流れ星。
…ん、ながれぼし。
相変わらず、せっかちなヤツだ。
ナディ。
んー?
…ありがとう。
え、なに?
なんでもない。
何か言わなかった?
そらみみ。
ふぅん。
ま、いいや。
…。
…エリス、寄りかかってもいいわよ。
あ…。
……ふふ。
ナディ、くるしい…。
…ごめん。
でも離したら逃げられちゃうから。
…。
……慣れなくても、いいけど。
…ほし。
腕、疲れちゃったから。
今夜はおしまい。
……はなさないくせに。
…当然。
……にげないよ。
…知ってる。
でも、離さない…離したくない。
…。
…。
…ねぇ、ナディ。
ん…。
……わたしも、いつか。
エリスでいいよ。
…。
…エリスが、一番欲しい。
…。
……また、足りない。
…。
ぜんぜん…。
……よくばり。
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