…っく、…ひっく。 おい、こんなところでちびが泣いてるぜ。 ひ…。 なんだ、お前。 一人か? …、……。 母ちゃんはどうした? もしかして、迷子か? ……ぅう。 聞こえてんのか。 …あ、う…。 おい、喋れねぇのかよ。 …。 おい、どうするか。 親は傍にいないみたいだぜ。 …。 お前、こんなとこで一人で泣いてたら連れていかれっちまうぞ。 …。 そうそう、俺達みたいなヤツらによ。 …ぁ。 結構、可愛い顔してんじゃねぇか。 なぁ。 ああ。 ちびのくせに、なかなかだ。 …っ、…ッ! 俺達と行こうぜ。 …! なに、心配するなよ。 終わったら、 見つけたぁ!!! …! あ? は? …トッ! たく。 町に来たら一人でどっか行くなって、いっつも、言ってんだろーが。 うー! なんだ、お前。 あ? お前たちこそ、なんだ。 なんだ、このガキ! やかましいな。 ガキで悪いか。 あぁ? お前たちの相手をしてるヒマ、ないから。 ほら、行くよ。 っさ! おい、待てよ。 って、言われて、誰が待つか。 よ、と。 にゃう。 おい、こら。 うるさいな。 あたしはこの子の姉ちゃんだ、文句あるか。 は、姉ちゃんだと? 全力で突っ走るから、よーくつかまってろ。 っさ!! て、おい… あんたがいなくなったら、怒られるのはあたしなんだからな! うーー! ……。 ……。 …なんだ、あのガキ。 はえぇ…。 ここまで来ればいいだろ。 ロント、ロント。 たく、あまり手をかけさせんな。 面倒なんだから。 ロント! それからあんまりぴーぴー泣くな。 あんたはあたしと同じ名前なんだから。 だっこ、だっこ。 あーはいはい。 とりあえず、怪我はしてないな。 …。 痛いとこもないな? ん! いいか?もう、手を離すなよ。 もっかい言うけど、怒られるのはあたしなんだからな。 いえっさ! …。 ふふ。 …まぁ、いっか。 じゃ、二人がいるとこに行く …ロント。 うん? ? お前、か? う…? ……。 ロント? …気のせいだな。 よ、と。 だっこ、だっこ。 二人は今夜の宿を探してる。 どこら辺にいるか、大体、分かってるから ロント…。 ……。 …。 …誰だ。 あたしたちの名前を呼ぶのは。 …あっち。 ん? あっち。 きこえる。 ……。 ロント、あっち。 あっち。 …どうするかな。 これ以上の面倒はいやなんだけど。 ロント、ロント! …しょーがない、な。 行ってみるか。 あー。 なんだ、ここ。 やけに涼しいな。 ……。 どっちから聞こえる? うー…。 あたしにはもう、聞こえない。 だから。 …。 右か?左か?それとも真っ直ぐか? …まっすぐ。 そっか。 分かった。 ……。 にしても、町ん中にこんなとこ…と言うか、なんか知ってるような気がすんだけど。 …。 …ま、気のせいだな。 ロント。 うん? ここ。 ここ? うん、ここ。 て、何もないけど。 …こえ、ここ。 きこえる。 まぁ、あんたが言うなら。 ……。 わたしを…みつけて。 …む。 こえ! 分かってる、あたしにも聞こえた。 あと、大きな声は出すな。 あたしはあんたと違って、耳が良くないから。 いえっ し。 …さ。 ……。 ……。 …見つけろって、言われても。 あたしの目はあんまり良くないから、何も見えない。 ……。 あたしたちは、ここに来た。 いるなら、姿を現せ。 ……ト。 ……。 …。 …本当にここで、いいんだな? …う。 見えるか。 ……。 …よぉく、目をこらせ。 ……。 …あたしの目と耳が、もう少し、よければな。 あ。 …見えたか。 エリス! …は、エリス? エリス、エリス。 て、勝手に行くな。 ママ…! だから…あーもう。 ほんと、面倒だな…。 ……。 どした? …ううん。 疲れた? …大丈夫。 …。 ん……。 …少し、疲れた顔してる。 …。 …ここで休んでて。 外よりかは涼しいから。 行くの…? いや。 …行って、あげて。 あいつが行ったから。 …でも。 大丈夫…心配は要らない。 あいつに任せておけば…さ。 …。 横になっていた方が良い。 …ねぇ。 ん…。 …微かに、だけど。 うん。 あの子の気配を、感じたの…。 …それは。 でも、少しだけ違うの…。 …。 …混ざって、いるの。 そっか…。 ……ねぇ、大丈夫かな。 大丈夫。 今頃、見つけてるよ。 あいつは、あれで。 …ん。 結構、妹思いだからね。 ぶつくさ、は、言うけど。 …ふふ。 ……。 ん…。 …唇、少し熱を帯びてる。 少し、疲れちゃったみたい…。 あの子達が戻ってくるまで、お休み。 …ここに、いるの? あたしはね。 …。 あの子に任せておけば、大丈夫。 それでも。 …。 …何か、感じたら。 直ぐに。 ……。 で、今はどう? …ねぇ。 うん。 …気配を、感じないの。 …。 でも、あの子の気配は直ぐ近くにあるの…。 …混ざってるって、言ったけど。 それは。 …多分。 ……。 ね…行って。 …。 …お願い。 分かった。 少し、行ってくる。 …。 …直ぐに、戻ってくるよ。 うん…待ってる。 ……。 ん……。 …行ってくる。 行って、らっしゃい…。 ……。 …で。 どこにエリスが? ……。 ロンティタ。 …ないてる。 あ? ママ、ないてる…。 だから、どこにエリスが…つ。 ロント? …頭、痛い。 あ。 …なんだ、これ。 ロント、ロント…。 …大丈夫だ。 つぅ…。 う…。 …泣くな。 これぐらい、なんともない…。 ロント、ロント、ねぇたん…。 ……ああ、くそぅ。 ナディ…。 …今度は、ナディかい。 ナディ、ナディ、たすけて…! …ああ、そっちか。 ナディ…! …ロンティタ。 あ、う…。 泣くな? …っく、…ひっく。 泣くな。 あんたはあたしの妹なんだから。 …、…っ、……。 ああ、鼻水が…しょうがないな。 …うぅぅ。 なんでこんなに、泣き虫な きて、くれた…。 …。 …! エリ…! ロント…。 エリス…いや、違う。 あ、う…。 みつけに、きてくれた…。 …悪いけど。 見つけたのはこっちのロントだ…。 …う、ぅ。 ロント…ロント…。 …ロンティタ、あたしの後に隠れてろ。 う…。 …早く。 ……。 ロント……。 …で、なんであたしたちを呼んだ? なんか、よう? ……。 呼んだんだから、なに…か。 ……。 …て、何これ。 ……うう。 なんで、ひっつく あぁぁぁぁ…。 …て、おいおい。 ……ッ、…。 あんたも、泣き虫なのかよ…つ。 ああ、ああぁ…。 …勘弁、してくれ。 ……。 と言うか、何この状況… …ひっく、ロン…っく、…あぁ。 頭に、響く…泣くな。 ……。 …ああもう、なんだこれ。 ……。 …とりあえず。 ここを、出よう。 ロンティタ。 …ロント、だいじょぶ? なんとか。 帰り路、分かるな。 ……。 …まじか。 ……わた、し。 あ…? …わかり、ます。 あ、そ…じゃあ、行こうか。 で、でも…。 悪いけど、あんたの言い分を聞くのはここを出てから。 …。 いえっさ? い…えっさ。 よし。 じゃあ、行こう。 …あ、あの。 全部、あと。 いえっさ? ……いえっさ。 ロンティタ、手。 …いえっさ。 …ああ、しんどい。 あの…。 ……。 だいじょうぶ、ですか…。 …見たとおりだよ。 …。 …動けてるから。 心配はいらない。 ……はい。 来なきゃ、よかったんだけど…。 …。 まぁ、しょうがない。 自分で決めたんだし。 …ロン、ト。 で、どっち行けば? え…? このまま? まっすぐ、です…。 …ああ、そ。 ……。 ……。 …あの。 あとでって、言ったけど。 …ごめん、なさい。 なんで。 …わたしが、よんだから。 …。 よばなかったら…。 …後悔は、先に立たないもんだよ。 …。 だから、気にしないでいい。 ……。 …て。 だからなんで、しがみつくかな…。 ……ロント。 あと、泣くなって。 あたしが苛めてるみたいじゃんか。 ……。 あんた、名前は? …なま、え? そう、名前。 こっちの名前は知ってんだろ。 う、うん…。 じゃあ、そっちの名前。 教えてよ。 …わたし、は。 ……。 わたしは…。 ……。 ……。 …まぁ、いいけど。 言いたくなきゃ。 あ…。 ロンティタ。 …。 まだ、分からないか? …ナディ。 ナディ…ね。 ナディ、きた。 きた! あん? ナディーー! あ、こら。 …でぐち、です。 あ? ロント、ロンティタ。 ……。 ロント? あ。 何、見てるの? おねえちゃん! …そう。 エリスとナディも! ……。 ねぇねぇ。 …なぁに? おねえちゃん、いま、どこにいるの? …。 いつ、かえってくるの? …ロント。 ロント、おねえちゃんとあそびたい。 …そうだね、遊びたいよね。 うん! あの子は…とても、優しい子だったから。 屹度、貴女とたくさん遊んでくれる。 ほんと!? ん、本当…。 そっか、たのしみ! …。 ねぇ、いつかえってくるの? ……。 ねぇ、エリス。 …あの子、は。 れ…。 …あの子は、もう。 エリス、どうしたの? おなか、いたいの? …あのね、ロント。 ナディ、エリスが ロントは今、ウィニャイマルカにいるの。 ロント? 貴女のお姉ちゃんである、ロント。 …うにゃい? ウィニャイ、マルカ。 …。 永遠の場所と言う意味。 貴女の名前と同じ言葉。 じゃあ、うにゃにゃにいけばおねえちゃんとあそべる? …ん。 じゃ、いこ! …ううん、私達は行けないの。 なんで? 二人の、場所だから。 ふたり? …そう、あの子とあの人だけの。 エリス、ロント。 あ、ナディだー! …ナディ。 呼ばれた気がしたから。 どした? ナディ、あそんで、あそんで! こらこら、あたしはまだ仕事中だ。 むー! 分かった分かった。 じゃあ、後で。 うー。 エリス、どした? …ロント。 ロント? う? あの子の帰る家はここにある…あった。 今は、もう…。 …ああ。 エリス、ロント、ここにいるよ? …。 エリス。 …ん、そうだね。 ロントはここにいるね…。 …わ。 ……。 えへへ。 ロント。 ?なに? あんたのお姉ちゃんは、優しかった。 うん。 それに、とても働き者だった。 …。 だから、手伝え。 えー…。 ちゃんと手伝ったら、あたしと遊ぼう。 む…。 さ、どうする? …うー。 エリス。 …ナディ。 帰れる場所は、今でも、ここにある。 …。 屹度、必ず。 会えない事なんて、無い。 …うん。 ねぇねぇ、ナディ。 手伝う気になったか? うにゃうにゃ、どこにあるの? そうだなぁ。 ロントもいきたい。 おねえちゃんと、あそびたい。 ウィニャイマルカは……。 ……。 目、覚めた? …ナディ。 あまり驚かせんな? ……あー。 あんた達を見つけたのは、良いけどさ。 あんたがいきなり、目の前で倒れて。 ま、覚えてないだろうけど。 …どうでも、いいけど。 どうでも、良くない。 エリスの事も考えろ。 …好きで、倒れたんじゃないんだけど。 そりゃ、そうだ。 で、何。 …この状況、何。 何がどうして、あたしはこんなことになってんの。 離れなくってさ。 …ちびはまぁ、分かる。 で、こっちは? それはこちらが知りたいところだ。 …あたしだって、知らないよ。 あんたが倒れて、一番、取り乱したのはその子なんだけど。 意味が分からない。 ナンパでもしたかぁ? その方がまだマシだった。 こいつ、生意気なコト言いやがるな。 ……エリス、は? 休んでるよ。 あんたに付いてるって言って、聞かなかったんだけど。 …後に、いるんだけど。 うん? お。 ……。 エリス。 …ロント。 あたしは大丈夫だよ、エリス。 なんてこと、ない。 …本当に? 少し、頭が痛くなっただけ。 今はもう、なんでもない。 ……。 エリス、あんたも疲れてるんだから。 いや。 …一度言い出したら、ほんと、聞かないんだよなぁ。 昔から。 どうでも、いいけど。 うん? …なに? 重い。 二人、どけて。 出来るなら、そうしてやろうと思ったんだけど。 あ? …離れない、の。 ちびロントは兎も角、こっちの子もね。 なんでだよ。 だから、こっちが知りたいって言ってる。 …この子、誰なの? 知らない。 知らない、ねぇ。 それで、この状況? あんた、どんだけもてるんだって話だな。 ナディ。 …はいはい、ただの冗談だって。 だから、ナンパの方がマシだって言ったんだ。 ああ、なるほど。 ナディ、ロント。 『…はい。』 この子はね、ロント。 …うん。 とても、心配していたんだよ。 ……。 涙を流して、貴女の事、心配していたの。 私のせいだって。 …て、言われても。 本当に知らないんだよ、エリス。 じゃあ、どこで会ったの? 町の中、には違いないんだろうけど? …呼ばれたんだよ。 名前。 呼ばれ? 名前を? 前からもたまーに、あることだったんだけど。 でも、いつもは遠くて、掠れてて、よく聞き取れなかったんだ。 あたし、耳、よくないから。 …前から、ね。 …。 でも、今回は…ちびがいたせいか、はっきりと聞こえた。 あたしは途中で聞こえなくなったんだけど、ちびが聞こえてて。 …声。 …ロンティタ、も。 で、声がするとこに行ったら、いきなり頭が痛くなって。 それでも進んだら、この子がいた。 一人でめそめそ泣いてたんだ。 …これは、つまり。 あぁ…。 にしても、重い。 いいかげん、起きたいんだけど。 しばらく、そのままでいてあげな。 どうせ、だから。 は? なんで? もう少し、休んで。 ロント。 もう、大丈夫なんだけど。 それにこの状況じゃ、休むに休めないんだけど。 よく寝てるのに、起しちゃ可哀想。 そう、思っとけ。 ひとごとだと思って。 まぁ、他人事だし。 自分で連れてきたんだから、それくらい、良いんじゃないの。 それでも親か。 勿論。 あんたもちびも、ちゃんと、あたしの子。 あー…やっぱ、行かなきゃよかった。 それは、出来ないと思うよ。 …は? 言ったろう? あんたはあたしの子だから、こういう子は、放っておけないんだよ。 エリスの子供でもあるんだけどー。 当然。 あんたとちびはあたしとエリスの子供です。 う。 さ、もうちょっと寝てな。 エリス。 …ナディ。 あんたも。 あんたにはあたしが添い寝してあげるからさ。 …ばか。 本気なんだけど。 …ロント。 あー…なんだ、これ。 意味が、分からない。 なんにせよ、寝て起きたらごはん食べに行くよ。 お腹、へってるから。 ナディ。 なに? やっぱり、添い寝? ばか。 この子も、連れて行くの? そりゃ、その時次第かなぁ。 多分、そうなりそうだけど。 …。 エリス? …いえっさ。 あー、あたしもおなかへったー…。 ……。 …何が、見える? あ。 うん? あのね、あのね。 うん。 ママ! そっか。 わたしも見ようかな。 あのね、あのね…。 ん? おひざ、すわっていい? ああ。 もちろん、おいで。 ありがとう! …。 ふふ、ふふ。 …ママ、きれいだね。 うん。 お前によく、似てるよ。 ほんと? 本当。 ねぇ、タタ。 ん? ママのこと、すき? 勿論。 大好きだよ。 わたしもだいすき! タタもだいすき! そっか、嬉しいな。 えへへ。 ……。 ママ、ママ。 …わたしにはね。 ? なに? 妹が、いるんだ。 いもうと? そう、妹。 お前と…いや、お前よりもう少し大きいかな。 …。 妹は…わたしの母に良く似ている。 わたしよりも、ずっと。 タタのママ? お前から見たらおばちゃんになるね。 おばあちゃん! ……。 おばあちゃん、どんなひと? とても強くて…とても、優しい。 じゃあ、タタみたいだね。 …。 ね、あえる? いつか、会えるよ。 必ず。 わ。 ……。 えへへ。 ……。 なぁに? …妹はきっと、お前を守ってくれる。 …? なんて、勝手に決めたら。 怒られちゃうかなぁ。 …う。 ……。 ロン、ト……。 ……。 ロント…ロント…。 目、覚めたみたいだね。 …! あたしはその子の親だけど。 言わなくても、分かるか。 …。 何か飲む? と言っても大したの、無いけど。 ……。 声、聞こえてる? それとも話したくないだけとか? ……。 まぁ、良いや。 で、ロントは元気にしてる? …え。 そこの二人の事じゃない。 あ…あぁ…。 これでも、少しは混じってるからね。 と言っても、若い頃は全く、だったけど。 ……。 言わなくても、分かるのよ。 あたしは、兎も角。 …あなたは、誰。 あ……。 あたしの嫁さんには、さ。 どうして、私達の子供達を呼んだの…? …ごめん、なさい。 ん、なんで? …。 わたし…わたし…。 …ロントは、元気なの? …! その顔は…あんまり、良い言葉は聞けなそうだ。 ……。 ロントは…ううん、二人はどこにいるの? どうして、いるの?どうして、貴女は一人なの? …。 貴女からは確かに、あの子の気配がするの。 だから、そうなんでしょう? …。 ね、あの子達は今、どこにいるの? 元気なの? ……。 エリス、あまり矢継ぎ早に言っても、追いつかない。 …ナディ。 ゆっくり、一つずつで良い、話せる事から話してごらん。 ……わたし、は。 うん。 ……。 …わたしは、ふたりの。 おなか、へったーーー…。 …あ。 お、起きたか。 お腹、へったんだけどー…。 ……。 あんたも起きたみたいだね。 あ、は、はい…。 だったら、どいてくれない? 重い。 ご、ごめんなさい…。 こら、ロント。 重いとか言うな。 重いもんは重い。 あたしはエリスに乗っかられて喜んでる、ナディとは違うんでね。 このやろ。 ロ、ロント。 こら、ちび。 あんたもいいかげん、起きやがれ。 …ぅ。 でもって、どけ。 うぅぅ…。 ナディ、ごはんどうすんの。 食べたいものでも? 腹がふくらめば、なんでも。 でも出来れば、エリスのごはんがいい。 それはあたしも同意見。 でも難しいかな。 ……。 あんたは? あんたは何が食べたい? …え、わたし? そう、あんた。 いいでしょ、ナディ、エリス。 勿論。 で、でも、わたしは…。 エリス、そういうコトだから。 …いえっさ。 て、ことだから。 ちびロント、ごはんに行くよ。 ごはん?エリス、ごはん? そう、ごはん。 行こう、ロンティタ。 ! ナディ、だっこー! はいはい、いえっさ。 ……。 ねぇねぇ、おねえちゃんもいっしょ? わ、わたし… ほら、行くよ。 ぐずぐずしてたら、置いてくぞ。 ロ、ロント…。 何。 なに? あ、え、と…。 ははは、やっぱり紛らわしいか。 当たり前だ。 まぁ、良いじゃない。 エリス、行こうか。 いえっさ、ナディ。 たく、適当な親だよ。 …。 そういや、あんたさ。 は、はい。 名前は? まだ、聞いてない。 …わたしは。 うん。 ……。 言いたくないのか。 だったら、 …ウィニャイ、マルカ。 は? …。 …。 ごはん、ごはんー。 ロ、ロント…! だから、何。 わたしを、ウィニャイマルカにつれていって…! …は? おいしいねー? ね、おいしいね。 うん、なかなか。 でも、エリスのごはんの方がおいしい。 もう、ナディは。 ナディはー! はは。 ……。 ロント、食べないなら、あたしが 食べる。 じゃ、さっさと食べな。 冷めちゃうぞ。 ……。 …あ、あの。 …。 ご、ごめんなさい。 別に。 新しいなぁって、思ってただけだし。 あ、新しい…? ナンパ。 ……。 こいつさ、なんだか知らないけど、もてるんだ。 しかも女に。 …。 いつだったかはちゃっかり、アイス、買ってもらってたし。 でも男は寄ってこないんだ、これが。 野郎は来なくていい。 うざい。 て、こんなヤツなんだけど。 あんたは良いの? はい…? ウィニャイマルカ、連れて行って貰うの。 あ、そ、それは… ……。 …あ、あの、聞かなかったことに。 ならない。 ロ、ロントさん…。 は? なんでいきなり呼び方変わってんの? …ごめんなさい。 あのさ。 は、はい。 いちいち、謝らなくていいから。 こっちは怒ってるわけでも、責めてるわけじゃない。 は、はい…ご あ? …なんでもない、です。 と言うか、ロント。 あんたの言い方が悪い。 どうしてそういう言い方するかな。 普通に言ってんだけど。 この子は大抵の事は許容してくれる年上の女じゃないの。 もう少し、考えて言え。 別にあたしは 少し、良い? …。 なに、エリス。 ウィニャイマルカにどうして行きたいの? …それは。 そこに、何があるの。 誰か、いるの。 ……。 教えて。 …わたしの、りょうしんが、います。 …。 いる、ハズ…なんです。 だから 二人はどうして、そんなとこに? …わかりません。 わからない…! …と。 ……。 …あいたいんです。 ふたりに、あいたいんです…。 そこに行って、本当に会えるなら。 …? 仕方ない、連れて行ってやる。 え、え…? ロント、簡単に言うな。 言ってない。 ロント。 あたしは本気だよ、エリス。 で、でも、 あたしに連れて行って欲しんだろ。 じゃあ、連れて行ってやる。 …! あ、ありがとう…! でも、一つ。 は、はい。 すぐ泣く女は嫌いだ。 …え? 涙が苦手なだけって言えば良いのに。 素直じゃない。 泣いて済んだら、苦労しない。 たく、誰に似たんだか。 ……。 エリス。 …ロントはまだ、13だから。 だから。 もう、13だよ。 …! ナディとエリスが出逢ったのは… 17。 でも、それまでは一人でやってきた。 あたしはね。 だから、 だめ…! ……。 ……。 …貴女はまだ、子供だから。 まぁ…子供、だけど。 だから、まだ…。 んー……。 …ごめんなさい。 わたし…。 とりあえず、こうしようか。 …? 暫くはあたし達と一緒に行こう。 あ…。 ロント、あんたもそれで。 …いえっさ。 それで、あたし達があんた達だけで大丈夫だって判断したら、二人で行けば良い。 ナディ…。 …エリス。 …。 よし。 じゃあごはん、食べ…あ? おなか、いっぱいー。 こら、ちびロント。 あんた、なんであたしの分まで食べてんだ。 たべないのが、わるいの? こいつ。 確かに。 食べないのが、悪い。 …こいつらは。 しょうがない、もう一つ頼むか。 あの、わたしの分、よかったら…。 それはあんたの分。 食べられる時にちゃんと食べておかないと、旅は出来ない。 は、はい…。 ……。 ほら、エリスも。 ちゃんと食べる。 ……いえっさ。 あんなんで、足りるのかい? …え。 ごはん。 あんまり食べないんだな。 ……。 それは? …え? さっきからずっといじってる、その赤い石。 あ、ああ。 これはインカローズの欠片です。 へぇ。 あ。 聞いたことは、あるけど。 こんななのか。 …あ、あの。 でもなんで欠片なんだい? ……。 言いたくなきゃ、言わなくていい。 …砕けて、しまったから。 砕けて? …はい。 ふぅん。 …あ、また。 これと同じの、エリスも持ってた。 …。 姉ちゃんにあげちゃったから、もう、ないけど。 …お姉ちゃん。 あたしには姉ちゃんがいたんだ。 …その人は いないよ、旅に出たから。 そう、あたしが生まれる前に。 …た、び。 一度も帰ってきたこと、ない。 じゃあ…。 姿は一応、知ってるよ。写真があるから。 エリスが凄く大切にしてる。 ……。 でも一度だけ、どっかで会ったことあるような気がするんだけど。 ま、それも曖昧でね。現実だったかどうか、分からない。 あ、あの。 うん? お姉ちゃんと会えたら、どうしますか…? 別に。 …え。 別にどうもしない。 話、聞くぐらいかな。 …怒って、ないんですか。 は、なんで? だって一度も…。 怒る理由なんて、一つもない。 …。 意味が分からない。 …ロント、は。 と言うか、あんたさ。 は、はい。 名前。 いい加減、知りたいんだけど。 あ、ああ。 ごめんなさい。 で? わたしは…エウレカ。 エウレカ? 聞いたことない音だな。 この国の言葉じゃないから…。 ふぅん。 じゃあ、エウレカ。 は、はい…。 あたしは、ロント・カサドール。 名前はまだ、幼名しか貰ってない。 ようみょう…? 一人前になったら、大人の名前を貰うんだよ。 なんでか知らないけど、それがうちの決まりでね。 面倒な話だよ。 …。 よろしく。 …? 手、出せ。 手…あ。 ……。 …! …そのままで、聞け。 で、でも…。 …ナディは無駄に耳がいいんだ。 でもって、エリスは勘がすごくいい。 だから、あまり大きな声は出すな。 ……。 …ウィニャイマルカ、行きたいんだろ。 は…い…。 …面倒だけど、連れて行ってやる。 ありがとう、ございます…。 …機会を見つけたら。 抜け出す。 え…。 今夜でもいいけど…あの二人に気付かれないようにするのは、骨が折れるんだよ。 だから、もう少し待ってろ。 …。 抜け出すなら、ナディがエリスに夢中になってる時がいい。 ばかになるから。 ば、ばか…。 大抵の人間はばかになるんだよ。 ヤってる時は。 や、やって…。 問題はエリスだけど。 まぁ、エリスも大抵ナディに溺れてるから、多分、すぐには反応出来ない。 し、終わった直後なら、尚のこと、動けない。 たく、どんだけ仲良し夫婦なんだ。いい歳して。 …歳は多分、関係ないと思います。 だろうね。 じゃなきゃ、ちびは生まれなかったよ。 で、でも、小さいロントはどうするんですか…? ナ、ナディさんたちが、その…そういうコト、してる、なら…その、 それはその時、考える。 そ、その時って…。 なんとかなるよ。 と言うか、する。 で、でも、ナディさんはしばらくは一緒にって… だから、しばらくは一緒に行く。 しばらくたったら、抜け出す。 …。 エル・カザド。 …エル・カザド。 ナディはエリスと旅をした。 姉ちゃんも。 ……。 だから、あたしもする。 …そんな理由で。 こんな理由でも、ないよりかはいい。 …。 して、みたかったんだ。 だから、丁度いい。 ……。 …ナディたちの友達でさ、エル・カザドの話をやたらしてくれる人がいてね。 飽きるくらい、聞かされたんだ。 …。 ウィニャイマルカ。 話の中に出てくる言葉。 エル・カザドと魔女が目指した場所。 魔女…。 意味、知ってるかい? …えいえんの、ばしょ。 そう、永遠の場所。 …もしも。 うん? わたしが魔女だと言ったら。 言っても、わたしと行ってくれますか。 魔女? はい。 行くよ。 なんで? ……。 魔女だから、なに? そんなの、関係ないだろう? でも、魔女は得体の知れない力を持ってて… それで、あんたが得体の知れないヤツになるって? そんなわけ、ないだろ。 …人間でも、ないかもしれないのに。 エウレカはエウレカだ。 …あ。 魔女とか、どうとか、そんなのはどうでもいい。 ……タタ。 あんたはあんただろ。 ママ…。 違うのか。 違わないだろ。 …あなた、は。 ん? …話のとおりの、人だった。 話のとおり? ロント…! あ? …好き。 は? 好き…。 ……。 …大好き。 あー。 ……あ。 まぁ、いいけど。 ご、ごめんなさい…。 別に。 あ。 …でもまだ、子供だな。 や、やだ…。 ……。 …まぁ、いいや。 ロ、ロン…んん。 ……。 ……。 …初めて? ……。 じゃ、これでおしまいだ。 …ば。 ん? ばかぁぁ……ッ! 莫迦か、あんたは。 …。 たく。 …納得、いかない。 は? …。 本当に莫迦か、あんたは。 あの子はあんたを可愛がってくれるような年上の女とは全然、違う。 …。 キス。ましてや、初めての。 当然の結果。 …好きって、言われた。 だから。 あんたにしてみれば、大した事じゃないかも知れない。 けど、あの子にしてみればそうじゃない。 …あたしだってそうなんだけど。 のわりには、慣れすぎている。 そんなんで「初めてです」なんて言って、誰が信じるんだ。 …。 まぁ、良い。 しちゃったものは、どうしようもない。 こうなったら、謝るしかない。 …そんなに大事なものとは思えない。 ロント。 ……。 あんたがどんなヤツを好きになっても構わないし、手を出したって構わない。 但し、ちゃんと自分で責任が取れるようになってからの話だ。 …。 出来ないなら、それはただの最低なヤツだ。 覚えておきなさい。 …。 それから。 あの子には手を出すな。 …? あの子は駄目だ。 …別に、そんなつもりじゃ キスしておいて、そんな気は無いなんて言ったら。 あたしはあんたを思い切り、ぶん殴る。 ……。 女は泣かすもんじゃない。 …あたしたちも女なんだけど。 そう、だけど。 兎に角、泣かすな。 …自分はエリスを泣かしてるくせに。 それは悲しませて泣かせてるわけじゃない。 …。 泣き虫が嫌いなら、泣かすな。 涙に責任が取れないなら、悲しませるな。 …いえっさ。 許して貰えるかは分からないけど、それでもちゃんと謝る事。 分かった? …。 よし。 じゃあ、 ナディ。 うん? …すごい、痛かった。 と言うか、今も痛い。 当たり前だ。 そもそもあんたは女に甘やかされ過ぎなんだ。 …。 と言うか、なんでそんなにもてるかな。 …知らない。 これで少しは分かれば良いけど。 主に節操と言う意味で。 ……謝ってくる。 うん、そうしなさい。 でも間違ってもまた、しようとするな。 …しないよ、もう。 ……。 …ごめんね。 ……。 …。 ……ごめん、なさい。 …どうして? ……。 貴女は悪い事、何もしていない。 …でも。 あの子が…間違っちゃっただけ。 だから、謝らなくて良いんだよ。 でも…でも…ほっぺた、おもいきりたたいちゃって…。 …。 きっと…ううん、ぜったい、いたかったとおもうんです…。 …あの子はね。 …。 ナディに似て、少し鈍感なところがあるの。 …。 …それから、私にも似て。 あまり人間を知らないから。 …。 …ウィニャイマルカ。 もう、あの子とは行きたくない…? …。 …そう。 そうだったら良いなって、思ったんだけど…。 …ごめんなさい。 それでも、わたし…。 …良いの。 私も、そうだったから。 貴女の気持ち、分かるから。 …。 …でも、ダメだよ。 貴女とあの子は…結ばれてはいけない。 …。 私達は…人間、だから。 …わかって、ます。 …。 ……わたしは、ただ。 …。 あって、おはなし、してみたかった…。 あのひとだけじゃない、ナディさんやエリスさん、それからちいさなロンティタとも…。 ……。 …タタがよく、はなしてくれたんです。 ……どんな事? …ナディさんのこと、エリスさんのこと、それからロントのこと。 ちいさなロントのことは、しらなかったみたいだけど…。 …うん。 かぞくのこと、はなしてくれているときのタタは…とても、やさしいこえをしてました。 いつも、やさしくておだやかだったけど…。 …。 …ふたりが、いなくなって。 わたし、ひとりになって…。 ……。 …でもわたしは、ひとりじゃないって。 おもいたかった…。 …うん。 ねぇ、エリスさん…わたしは、ひとりじゃないですよね…? …うん、独りじゃない。 ナディも私も、ロントもいるから…。 よかった……。 ……。 …わたし、ひとりじゃない。 もう、さみしくない…。 …。 もう、さむくない…。 …名前、聞いてなかったね。 …。 貴女の、名前は… エウレカ。 …あ。 エウレカ…? エウレカ。 ロ、ロント…。 悪かった。 キス、して。 …え。 怒ってると、思う。 でも…えと、ふざけた気持ちでしたわけじゃない。 ……。 あたしもするのは初めて、だから。 だから…あー、なんて言うか。 …。 …とにかく、悪かった。 ごめん。 わ、わたしこそ…。 …お。 たたいてしまって、ごめんなさい…。 ばかって、いって、ごめんなさい…。 いや、それはいいんだけど。 でも、いたかったでしょう…? …。 …ごめんなさい。 ごめんなさい、ロント…。 泣くな、エウレカ。 …。 あんたは悪くない。 だから、泣くな。 で エウレカ。 …は、い。 ……ロント。 エリス。 …反省、した? ナディに思い切り、怒られた。 …怒られただけ? …。 ロント? したよ…反省。 ん…良い子。 …うー。 ……。 エウレカ。 …? 貴女も。 え…。 …良い子。 あ……。 私達は、家族だから。 …! 家族? これから一緒に旅をするから。 ああ。 ね、エウレカ。 …はい。 はい…。 ところでさ、エウレカ。 …? はい…? あたしのこと、まだ好き? …え。 嫌いになった? え…えぇ…。 どっち? あ、あの……。 キスはしないよ、もう。 ……。 ん? ……すき、です。 そっか、良かった。 …あ。 ……。 エウレカ、ちょっと散歩しよう。 喉、乾いた。 え、で、でも…あ。 エリス、ちょっと行ってくる。 …すぐに戻ってくる? すぐ、じゃないけど、遅くはならないよ。 日、暮れるしね。 …ん。 じゃあ、行ってらっしゃい。 うん。 じゃあ行こうか、エウレカ。 は、はい…。 ん、二人は? …散歩、だって。 散歩? …うん。 あいつは。 あんな事、しておいて。 …エウレカ、嫌じゃなかったみたいだから。 エウレカ? あの子の、名前。 へぇ、エウレカって言うんだ。 それはまた、聞いた事が無い音だ。 …ナディに良く似てる。 あん? ロント。 …どんなところが? …魔女、誑かすところ。 誑かす、ねぇ。 …でも、あの子の方がもっと強力だった。 ……。 …どうしよう、ナディ。 釘は刺しておいたんだけど。 …駄目、かも。 うーん…。 ……。 とりあえず、あたし達が一緒に居るから。 何かあっても、 …ナディ。 ん? …ナディの子だから。 …。 ……。 …それは手が早いとでも言いたいの、か? うん…。 そんな事、言うと。 キス、するけど。 …それくらいなら、良い。 ああ、そう。 じゃあ、遠慮なく。 ……。 ……。 …これくらいなら。 言っとくけど、あたしは誰彼構わずじゃない。 …じゃなきゃ、嫌。 いえっさ…。 …もう、だめ。 エウレカはこういう町、初めて? …? なんとなく、そう思ったんだけど。 …と言うより、人が多い所は初めてです。 そっか。 …。 旅していれば、色々な町に行く事になる。 …。 人が多いところ、そんなにいないところ。 色々なものを見るし、色々なものを食べる。 …。 寝るのは、星の下だったり、たまには宿だったり。 時には小銭を稼がないといけない時だってあるんだ。 …。 あたしはさ、エウレカ。 はい。 それでもいつか、一人で旅をしたいと思ってる。 …一人、で。 ウィニャイマルカに着いたら、あんたはどうする? …。 そこで、あんたの旅は終わり? …分かりません。 だって、その先のことなんて考えてもいなかったから。 じゃあ、今考えてみなよ。 …今? そ、今。 ……。 ナディだったら、そのまま一緒にいたいって言っても拒まない。 エリスも屹度、そうだ。 ちびは寧ろ、喜ぶと思う。 ……。 あんたがそうしたいと少しでも思うなら、そうすれば良い。 …わたし、は。 うん。 …ロントと、一緒にいます。 それは? ……。 うちには大中小がいるんだ。 と言っても、大は旅に出て行方知れずだけど。 …。 どれ? …中ロント、です。 じゃあ、あたしか。 ……。 一人旅は、無しか。 …え? ナディがその昔、エリスに言った言葉。 昔話聞いてると、プロポーズの連続でさ、あの二人。 それで当時はそう思ってなかったって言うんだから、どうかしてる。 …その言葉。 ん? わたしのタタが、ママに贈った言葉です…。 へぇ。 …一人旅は、なし。 どんなことがあっても。 ……。 …わたし、あなたと一緒にいたいです。 分かった。 じゃ、そうしよう。 …。 なに、その顔。 …い、いえ。 あ、そ。 …。 そろそろ、戻るかな。 …一人じゃなくて、いいんですか? あ? 一人で旅がしたいって…さっき。 ああ。 気が変わった。 …そんな簡単に。 変わったものは変わったんだ。 それでいい。 ……。 ウィニャイマルカ。 ちゃんと連れて行ってやる。 …。 あたしが、さ。 …はい。 いっそこのまま、二人で旅に出ちゃうか。 …ナディさんにつかまると思います。 エリスさんにも。 かな、やっぱり。 はい、やっぱりそうだと思います。 ちぇー。 いつまで経っても、ガキ扱いだ。 …。 ん? …いいえ。 あの、ロント。 何? ……。 エウレカ? ……その。 うん。 …いやじゃ、なかったです。 …? 何が? ……キ。 き? …やっぱり、なんでもありません。 …。 なんでもない。 そ。 じゃ、戻るか。 は いえっさ? …いえっさ。 それにしても。 …。 ウィニャイマルカ、ね。 まさかまた、目指す事になるとはなぁ。 …。 まぁ、最後までは行ってやるつもりは無いけど。 …ナディ。 いつまでも、親が手を引っ張ってはやれないからね。 ……。 そんな顔、するな? …子供って。 うん。 …どうして、離れて行ってしまうの。 そういうものだから、かなぁ。 …この子も、いつか。 だと思うよ。 ……。 エリス。 …アリス。 ん。 …とても、似てる。 そうだね。 …あの子は。 何をやってるんだか、知らないけど。 子供を迷子にさせるのは感心しないなぁ。 ……。 まぁ、止む得ない事情があるのかも知れないけど。 ……ねぇ。 うん? …。 あたしはずっと、一緒に居るんだけど。 …知ってる。 そ。 なら、良し。 …。 …エリス。 ……やっぱり、心配。 え? …ロント。 どの? …貴女にそっくりだから。 うーん? …魔女は、恋に落ちてしまう。 ……。 …もう、エウレカは。 そうねぇ…でも正直、そういうのは口で言ってどうにかなるもんじゃないしなぁ。 ……。 しかし、ちびロントは起きない。 …お腹いっぱいだから。 幸せそうだ。 ……。 …よしよし。 ナディ…。 …大丈夫、淋しい思いはさせない。 一生。 ……。 …だから、子供なんて望まなければ良かったなんて。 思うな? ……ナディ。 どの子も、あんたを母親として慕ってる。 それだけは、流石のあたしでも分かる。 ……。 だから、さ。 ……。 そろそろ、戻ってくるかな。 暗くなってきた。 …うん。 ……。 ……。 …ス。 ……。 …わたしの声、聞こえる? ……。 …わたしたちの、宝物は。 ……。 …もう、大丈夫だよ。 ……。 …分かってる。 ……ぅぅ。 本当は、離したくなかった…。 …。 …命を、削って。 命を、分けた。 ……。 …今になって、本当の意味で、分かった。 ……。 …わたしを、わたしの手を離した、あの人の気持ちを。 ……。 …でも、卵はいつか孵化する。 生まれた雛は大きくなって、巣立つものだから。 ……ぅ。 …そう、大きな愛に包まれて。 ……。 …本当はもっと、傍に居てあげたかった。 ……。 …だけど。 ……、ト。 心配しないで。 …。 …わたしは、此処に居るよ。 ずっと、居る…。 ……。 …泣かないで。 ……っと。 …。 …に、いた…かった……。 うん…。 …もっ…と。 ……わたし達が出来なかった、ううん。 …。 …それでもわたし達は、あの子を。 ……。 …精一杯、愛した。 そして今も、ずっと。 ……。 …妹は。 ……。 母に、良く似ているから。 ……。 …ずっと、傍に居てくれるだろう。 ずっと、寄り添ってくれるだろう…。 ……。 …無責任かな。 ……ン、ト。 …ん、アリス。 ……。 …うん。 また、眠ろうか…。 ……。 …また、目覚める時まで。 それまで、おやすみ…。 ……。 ……タタ、ママ。 …良し。 ……。 行くか、エウレカ。 …。 行くぞ。 …。 おい。 …え。 行くぞ、エウレカ。 …。 どした、ぼうっとして。 …ううん、なんでもない。 …。 ……空、高いなって。 届かないぞ。 手、伸ばしたって。 …うん。 ほら。 …? あたしには、届く。 …。 何笑ってんだよ。 …ううん。 そうだなって。 …。 ねぇ。 あー? 今日から、二人なんだね。 ああ、そうだ。 やっと、だ。 …。 結局、二人が最初の旅をしてた頃と同じ歳になったよ。 うん。 あんたは違うけど。 …。 まぁ、いい。 これからは二人だ。 …ん。 エウレカ。 …はい。 あたしについてこい。 必ず、連れて行ってやる。 …。 返事。 …いえっさ。 良し。 …。 じゃあ、行こうか。 ね。 うん? 名前…どうしたらいい? 好きにしたらいい。 …。 卵でも、月でも。 あんたが呼びやすい方で呼べばいいさ。 …じゃあ、たまごで。 あ、そ。 …ん。 ……。 …? ロ…ん。 ……。 …だめ。 手。 …。 出すなって、言われてたけど。 これからは二人だから。 ……。 …うるさく言うのは、もう、いない。 ……。 嫌だったら、戻ってもいい。 …戻らない。 そ。 …楽しそうだね。 そりゃあ、さ。 ……。 ウィニャイマルカ。 …。 必ず、連れて行ってやる。 …うん。 ……。 あ、だめ…んぅ。 ……。 ……ロン、ト。 暫くは、キスだけにしとくけど。 ……。 …どこまで保てるかは、分からない。 ばか。 …子供は作らなければいい、さ。 ……。 エウレカ。 …。 行こうか。 ウィニャイマルカに。 ……はい。 エリス。 …。 エリスー。 …。 エ、リ、ス。 …ロント。 二人、行っちゃったー。 うん、そうだね…。 さびし?さびし? …と、言うより。 なになに? …心配の方、が。 あの子、エウレカに… 姉ちゃん、エウレカ姉ちゃんのこと、気に入ってるからなー。 …はぁ。 わぁ、でっかいタメイキだ。 エリス、ロント。 あ、ナディ。 ……ナディ。 エリス、凄い顔してる。 …ナディのばか。 ばかー。 はいはい、ごめんねぇ。 あたし、エリスの事になると馬鹿になっちゃうの。 昔っから。 …そうじゃない。 ばか、ばかー。 あんたにもそういう人が出来たら、そうなるぞー。 なんと言っても、あたしの子だからねー。 いえっさ! …私の子供でもあるもん。 エリスも、ばかじゃない? む。 あたしの事になると。 …! ばか! あはは。 …。 ねぇ、エリス。 …。 心配しても、どうにもならない。 …でも。 にしても、あの子の時とは違うね。 …。 アクリャ。 ……あの子は、だって。 最初の子、だからかなぁ。 …違うよ。 そんなんじゃない。 …。 …。 会えると、良い。 …ナディ。 でしょう、エリス。 ……うん。 ねぇねぇ、私も会いたいー。 そうだなぁ。 旅してれば、そのうちね。 会えるー? と、思うけど。 ……キジャ。 ん、何? …ナディじゃなくて、 しかし、ナディと同じ名前か。 …でも。 でも? そうだなって。 何が。 …ナディより、手は早いけど。 あたしはヘタレじゃない。 欲しいものは欲しいんだ。 …ナディもヘタレじゃ、 確かに十代で子供、作ったけど。 でも、エリスには頭上がらない。 …。 ん、何。 …ロントの、ばか。 は? なんで? ばかは、ばかなの。 なんだ、それ。 うすらタコス。 おい、エウレカ。 ……。 さて、あたし達も行こうか。 …。 エリス。 …ねぇ、ナディ。 なに? あの子の名前。 ああ。 ちゃんと考えたの? 勿論。 …なら、良い。 なんと言うかなぁ。 …。 そんな気がして 考えてない。 いや、考えたって。 …。 真剣に、且つ、真面目に。 …笑ってる。 それはエリスが不貞腐れてるから。 …不貞腐れてなんかないもん。 何年も一緒にいるけど、変わらない可愛さ。 ナディのばか。 はは。 ばか、うすらタコ…… ……。 あ、また仲良しふーふしてるー。 …行こうか、エリス。 もう何度目かの旅に、さ。 ……ばか。 それ、もう何度言われたかなぁ。 いっぱい! ははは。 ……もう。 さぁ。 行くよ、エリス。 行くぞ、エウレカ。 行こう、アリス。 …いえっさ、 |