……。
…ロント?
どうしたの?
う?
…。
えへへ。
…なんでもない?
エリス、あそぼあそぼ。
…ごめんね。
今日は駄目みたい…。
じゃあ、なにかおはなししてー。
ん…じゃあ、何話そうかな。
えへへー。
ふふ。
……。
ロント。
…。
ロント、今日も良い天気だよ。
…。
起きて?
……ぅ。
ナディ、もう行っちゃったよ?
ごはん、一緒に食べられなかったね。
……。
今日はね、私の躰も少し良いから。
ごはん食べたら、一緒にお散歩しよう?
……。
…?
ロント?
……。
どうしたの?
……ぅー。
…なぁに?
……。
ロント、ロント?
……。
……あ。
……。
ロント…ッ!!
L a C o c h i t a
エリス。
……。
エリス。
…ナ、ディ。
ロントの様子は?
…寝てる。
そっか。
……やっと、眠ってくれたの。
……。
すごく、熱くて…苦しそう、で。
…そっか。
ごはんは?
食べられた?
…少し。
でも…。
でも?
…吐い、ちゃった。
分かった。
…。
で、あんたは?
…。
食べないと良くない。
…でも、食べたくない。
……。
…欲しく、ないの。
……。
ナディ…。
…あんたも少し、熱い。
……良かった、の。
…。
今日は、良かったの…。
…知ってる。
朝は顔色が随分と良かったから。
……。
あんたがそんなんでどうする?
…う。
とりあえず、様子を見るから。
…。
大丈夫、だ。
…で、も。
さっきも言ったけど。
あんたがそんなんで、どうするんだ?
ナ、ディ…。
あんたがその調子だと、不安がる。
子供にとって、母親はそういう存在。
…。
ほーら、エリス。
……。
大丈夫。
…う、ん。
んー…。
…ロント。
……。
…確かに、熱いかな。
ナディ、ロントは…
このまま寝かせて…食欲があるようなら、消化の良いものを食べさせよう。
…。
エリス、あんたも何か食べなさい。
あんたの事だから、朝から何も食べてないでしょ。
…。
時間ぎりぎりまで、ここにいるから。
…いや。
エリス。
…行かないで。
ここに、いて。
……。
…ナディが、いないと。
…エリス。
ねぇ、大丈夫だよね…?
ロント、大丈夫だよね…?
…大丈夫。
こいつはそんなにやわじゃない。
…。
だから、あんたも。
ん…。
…。
ナディ…ナディ…。
…よしよし。
…ぁー……。
ロント。
……ぃ、だー…。
ただいま。
ぅ……。
ロンティタ…。
…すー。
ロント、ロント……。
…へ、へ。
ロント…。
エリス、はい。
…え。
果物のシロップ漬け。
の、缶詰。
…。
あんたの分もあるから。
ロント、これ食べる?
うーー…。
オーケイ。
じゃ、ちょっと待ってな。
ナディ、それどうしたの…?
勿論、買ってきた。
でも、
今日は特別、
ん。
だ。
…ナディ。
自分の子供が熱出したなんて聞いて、心配しない親はいないって。
……。
でしょ、エリス。
…うん。
うん…。
あんたは?
食べる?
…うん、食べる。
オーケイ、エリス。
うーー…。
美味しい?
…!
それは良かった。
…あー。
まだ口の中に残ってる。
急いで食べようとするな、ゆっくり食べろ。
弱ってる胃に…
…?
お腹に、負担が掛からないように。
ぅー……。
エリス。
…ナディ。
あんたのスプーン、貸してみ。
…?
早く。
…うん。
ありがと。
…どうするの?
進まないようだから。
え…?
ほれ、あんたも。
…え。
口。
開けろ?
……。
ほら、早く。
……。
もっと大きく。
…。
うん、そんなもんかな。
じゃ、そのままで。
……、ん。
美味しい?
…うん、甘い。
買ってきた甲斐、あったかな。
…えへへ。
…ぃ、…ぃ。
あーはいはい。
ちゃんと食べた?
口、開けてみ。
あーー…。
良し。
じゃあ、ほれ。
……ぇへへ。
早く治せ?
エリスが心配してるから。
…?
熱。
……。
風邪。
ぃ…っさ。
良し、良い子だ。
エリス。
…なぁに?
大丈夫?
…。
ん?
……すこし。
少し、ね…。
…ナディ。
……。
……。
…しょーがない、な。
…。
……。
…水、新しく汲んできた。
……。
…様子はどうだ。
かわらないよ…。
…。
熱が…熱が、全然下がってくれない…。
…そうか。
どうしよう…。
…。
このまま…このまま、熱が下がらなかったら…。
…大丈夫だ。
でも…。
…。
…苦しそうなの。
辛そうなの…。
…熱が下がれば。
代わって、あげられたら良いのに…。
…。
…全部、私が。
何か食べたか。
……。
何か食べた方が良い。
何か食べたいものがあれば、あたしが作ろう。
…いらない。
それだと、お前の躰が保たない。
…いい。
食べたくないの…。
駄目だ。
…だっ、て。
…。
だって…。
…お前が寝込んだら。
それで、この子が元気になるならそれでも構わない。
駄目だ…!
…ぅ。
……。
……ちからを、つかえば。
……。
つかえば、この子は…。
…。
ねぇ、お願い…使うのを、ゆるして。
……。
ねぇ…ねぇ…。
…人間には。
…。
自分で治す力が備わっている。
でも、全然治らない…治ってくれない!
……。
…ごはんも、食べない。
水だって…飲んだと思ったら、すぐに戻してしまう…。
…。
このままだと…このままだと……。
…幼子は神から預かっている存在だ。
だから、
そんな神さま、いらない…ッ!
……。
この子は…あなたと、私の大切な子供なの…。
…。
神さまのものじゃない。
……何か作ってくる。
待って。
…。
…お願い、ゆるして。
お願い……。
……。
…どうして、なの。
どうして、ゆるしてくれないの…。
…。
ねぇ、本当はいらなかったの…?
私が、私が我侭を言ったから、だから…。
…それ以上は、言うな。
子供なんて、いらなかった…私との子供なんて。
だから、貴女は…
…。
……。
…お前は少し、思い詰めている。
……もし、も。
…。
この子が、死んでしまったら…。
…そんな事、言うな。
私も…生きて、いられない。
……。
わたしの、大事な…。
一人には、しないから…。
……。
ママも、一緒にいってあげるね…。
…。
……。
…あたしを独りにするのか。
……。
するのか。
…だって、この子は貴女の子供だか、んん。
……。
…い、や。
……。
やだ…やめて。
……。
あ、ぁ…。
……お前が。
…。
お前が、あたしを独りにさせなかった。
…。
独りにしてくれれば良かった。
家族なんか、あたしは持っては…望んではいけない存在だったのに。
……。
…一緒に、滅ぶべきだった。
……。
お前が…あたし、を。
…あいしてる、の。
……。
貴女も…この子も。
この子を貰う前は、貴女しか見えなかったのに…。
……。
…もう。
二人じゃ、ない…。
……。
…ねぇ、あいしてるの。
あぁ…。
……たすけて。
この子を、たすけて…。
……あたしだって。
う……。
…こんな感情、知らなかった。
……あぁ。
お前が、あたしに与えたんだ…お前が、いなかったら。
こんな感情、知らないままだったのに…。
…あなたが、教えてくれた。
……。
愛……この子は、私たちの愛の形そのもの。
……。
…力、使うね。
……。
…。
…だったら、尚更だ。
え…。
何か食べないと。
躰が保つわけが無い。
でも…
この子を助けるのだろう。
助けたら、その後の事はどうでも良いのか。
…。
この子はお前を探す。必ず。
そして、気付く。お前が居ない事に。
その時、この子がどれだけ悲しむか、傷つくか。
お前は考えているのか。
……あ、ぁぁ。
何か作る。
残しても良い。
……う、ん。
……ぁー。
……。
あ…。
……、…。
苦しいね、辛いね…でも、あともう少しの辛抱だから。
必ず、ママ達が貴女を助けてあげるから…だから。
……。
大丈夫…大丈夫だよ。
…直ぐに戻ってくる。
それまで、頼む。
う、ん……。
……鼻、また垂らしてる。
……。
拭いても、拭いても…きりが、ない。
…。
詰まって、ぴーぴー言ってるし。
ま、しょーがないけど。
…。
それでも寝てるから、たいしたもんだ。
…。
今夜はあたしが見てるから。
…おしごと。
…。
もどらなかった…。
…行かないでって言ったのは誰だ。
……。
言ってきたから。
…いって?
最初から、戻るつもりなんてなかったよ。
…さいしょから?
まぁ、ね…。
…いってくれれば、いいのに。
察しろ…。
…わからない。
……。
ちゃんと、いって…おしえて。
…良いよって。
…。
言われなくて、良かった。
……いわない。
…。
…そばにいてくれて、うれしい。
うん…。
…ロント、も。
だと、良いけど。
…すぐ、そうやっていう。
…。
…。
…仕事して金を貰ってるのは確か。
けど…仕事は大事じゃない。
…。
あたしは、家族の方が大事。
あんたとロントの方が大事。
…。
…それで養ってるだろ、って言われたら。
そうだけど、だからって仕事の方が大事なんて、言えない。
思えない。
ナディ…。
…家族を犠牲にして、仕事して、金を貰っても。
失ったら、なんにもならない。
……。
…大袈裟、かもしれないけど。
ううん……。
…。
…。
…食べるもん、食べて。
…。
あったかくして、いっぱい寝れば。
風邪なんて、すぐに良くなるよ。
…うん。
……。
…。
…今まで、こういう事が無かったのは。
……。
…あんたの免疫がこの子の中で頑張ってたからだと思う。
わたしの…?
……母乳。
…。
そう、らしいよ。
…そう、なんだ。
あんたが、ずっと飲ませてたから…。
…。
…乳離れ、なかなかしなくてさ。
……ナディは、今でも。
…。
…。
…半分は、あんたのせい。
しないで、欲しいから…。
…。
…。
…これからは風邪をひいたり。
風邪だけじゃない、他の…
…だいじょうぶ。
…。
…ふたり、だから。
…。
この子には…あなたと、わたしがいるから。
だったら…。
…ん。
あんたももう、寝なさい。
で明日、この子にいつもの笑顔を見せてやって。
…。
…オーケイ?
……。
…て、聞いてんのか。
きいてる…。
…本当かぁ。
……。
エリ
きょうの、ナディ。
…。
……いつもと、ちょっとちがう。
違わないと思うけど。
…ナディは、やさしい
いつだって…。
…。
それは、かわらない…のに。
なにか、ちがう……。
…。
…なに?
何って、言われてもなぁ。
あんたが分からないのに、分かる気がしない。
……。
…て、こらこら。
なに…。
…寝なさいって。
……。
……エリス。
……。
せめて、横になれ。
……わかった。
…何が。
やっぱり、わからない……。
…おいおい。
……。
……。
…水、汲んできた。
ん……。
…様子は?
ねつ、さがってくれた…。
…そうか。
よかった…よかった…。
…まだ、分からない。
え…。
ぶり返すかも知れない。
まだ、油断は出来ない。
…そうしたらまた、つかうだけだから。
…。
わたしはけっして、このこをしなせない…。
しなせたく、ない…。
…ああ。
……ねぇ。
なんだ。
…ごはん、あじ、しなかった。
……。
しっぱい…?
…そんな筈は無い。
でも、しなかったよ…?
…それは、お前が。
わたし、が…?
この子の事ばかり、考えていたからだ。
…。
…疲れたろう。
後はあたしが看ていよう。
ううん…。
…。
…さいごまで、わたしが。
……。
…そんなかお、しないで?
この顔は生まれ持ったものだ。
変わるものではない。
…もう、そうじゃなくて。
……。
わたしは…あなたのものだから。
もう、違う。
…ん。
この子が、お前の腹に宿った時から。
お前はこの子の母親になったのだから。
……やきもち?
?
やきもち?
…て、いうんだって。
良く分からない。
…ね。
…。
だいすきよ…。
…。
…あなたのちをうけついだ、このこは、わたしのたからもの。
だったら。
…?
なぁに…?
…あたしは、お前のなんだ。
…。
…。
…うれしい。
?
何が?
…それが、やきもち。
……。
そんなあなたが、だいすき…。
…意味が分からない。
……。
……。
…少し、熱い。
うん……。
…だるくない?
ん…。
…でも、無理はするな。
してない…。
…。
…だいじょうぶ、わかってるよ。
…。
…。
……手、熱い。
ナディのからだも、あつい…。
…熱はないけど。
あるよ…。
…。
…あるの。
……エリス。
いのちの、ねつ…。
…。
あつい…あつい、わたしのたいよう。
わたしはいつも、あなたのねつにうかされてるの…。
…。
……。
…こら。
ナディ…。
…。
ね……はかって。
…。
…わたしの、ねつ。
さっき…
…わかってる、くせに。
……。
…ナディ。
子供が熱出してるのに。
…。
…なに、考えてんだ。
……。
…。
…ナディ。
……エリス。
ナ……んん。
……。
…ん、…は、…ん、ぅ。
……。
……ナ、ディ。
…熱い。
……。
…さ、おやすみ。
ロントは、あたしが見てるから。
…やっぱり、ちがう。
エリス。
…ちがう。
う……。
…はぁ。
……エリス、これ以上は。
わかってる……わかってる、から。
…。
…こんや、は。
……。
……だから、やくそくして。
…。
だいて、くれるって…。
…そんなの。
して…。
…しなくたって、あたしは。
……でも、ほしいの。
……。
ことばが、やくそくが、ほしい…。
…抱くよ。
…。
……強く。
こわす、ように…。
…。
…わたしのぜんぶ、こわして。
ばか…そんなこと、出来るか。
しってる…。
……。
……。
……。
……。
ぁー……。
……。
……。
…ゅー…し…るぅー。
……あー。
……。
へ、へ……。
…エリス、横に。
……いえっさ。
…?
ロント、喉は?
乾いた?
…ぅ。
そ。
じゃ、
…ナディ。
うん?
…わたしも、のみたい。
分かった。
じゃあ、ロントの
…あとで、いい。
…。
……あとで、いいから。
…分かった。
ロント、起こすよ。
……ぃの?
あ、何?
…ちゅー、し…ぃの?
…。
ふ、ふ…。
莫迦。
あぅー。
ほら、お茶。
……ぬるぃ…。
冷たいのは、腹に良くない。
腹の調子、良くないんだから。
…うぅ。
……。
…もぅ、いぃ。
じゃもう一度、おやすみ。
……。
ん、何。
…、ぃよ?
良い?
何が?
……ゅー。
……。
ちゅー……。
莫迦、早く寝ろ。
…ぁー。
たく。
エ、リ…。
…なぁに、ロント。
ナ、ディと、ちゅー……?
……うん。
エリス。
…。
ちゅー…ちゅー…ぅ。
良いから早く寝なさい。
……。
…いいこ。
……。
いいこ…いいこ…。
…いい加減、お前も休んだ方が良い。
ずっと、付きっ切りだろう。
だいじょうぶ…。
…。
あ…。
休めと、言っている。
……。
…次に、お前が倒れたら。
どうする気だ。
……。
…あたしが看ている。
だから
どうして、くれる…?
……。
ねぇ、どうしてくれる…?
…。
どうも、してくれないの…?
…あたしの事ではない。
お前がどうするか、と言う話だ。
どうも、できなかったら…。
…。
…どうも、できなかったら。
あなたは……。
…だからこそ、休めと言っている。
……。
…。
…ねぇ。
……。
わたしのこと、すき…?
…何を言い出す。
ねぇ、わたしのこと、すき…?
……。
…あなたは、いってくれないから。
だから…ふあんになるときが、あるんだよ…。
…不安?
いま、だって…こんなに、ちかくにいるのに。
あなたがかんがえてること、わからない…。
…子供が寝込んでいる。
それ以外に、…。
……。
……止せ。
わたしは、こんなに、あなたがすきなのに…。
…。
…すきで、すきで。
ふれてもらうだけで、あたまが、おかしくなってしまうそう…。
……今は、それどころではない。
……。
…。
……それでも、のぞんだのはわたし、だから。
…。
すきになったのも、わたしがさき…だから。
ううん…もしかしたら、いまでも、あなたは。
……。
…すべて、すてても。
あなた、と…ぁ。
……。
…ん…ふ……ぁ…んん。
……。
……。
…もう、それ以上言うな。
いや…。
……。
…いや…いや…。
……。
…だいて、つよく。
あなたがここに、ちゃんといること…あいされていること…わたしに、おしえて。
……。
おしえて……。
…この子は。
……。
お前が、産み落とした。
……。
…あたしと、交わった事で。
……。
お前は、全てを捨てたと言う。
そうさせたのは…紛れも無く、あたしなのだろう。
……。
…すまない。
うまく、言葉にする事が出来ない…。
…あのときでさえ、いってくれない。
あの時…?
…ぶきよう、で。
…。
ぼくねんじん、で…。
……。
いつも、とおくばかりみていて…どんなにちかくにいても、みてくれなくて。
…。
でも…そんなあなたを、すきになった。
あなたのこどもじゃなければ、いやだとおもった…。
…。
あなたのあかちゃんが、ほしかった…。
…。
…だからこれいじょうのことを、のぞむのは。
わたしの、わがまま…なのですね。
……。
…すこし、ねむります。
ねむっているあいだのこと、
…マ…。
あ…。
……。
ごめんね…せっかく、ねむっていたのにね…。
……。
…ごめんね。
ママもいっしょにねむってあげるからね…。
……。
…え。
……。
あ、あぁ…。
……。
…うれしい。
……。
うれしい…。
…それから。
今更、敬語に戻るな。
……うん。
…じゃあ、ゆっくりと眠れ。
何も心配しなくて良い。
あたしは此処に居る。
うん…!
……。
………ナディ。
……。
……ナディ。
……。
…おこって、るの。
……なんで?
…ちがう、から。
違わないよ。
それから怒ってもいない。
理由、無いし。
…。
…あんたが良く言ってた事。
…わたしが。
ナディはナディだから。
……。
…何も違わないよ。
……。
さっき、さ。
少し、本気になりかけた。
…ほん、き。
子供が熱出して寝てるって言うのに。
……ナディ、だけじゃない。
…。
じゃ、ないから…だから。
…あたし、さ。
…?
うん…。
…これくらい、いやもう少し小さい時、かな。
風邪をこじらせて、酷い熱を出したらしいんだ。
…ナディが。
あたしは良く、覚えていないんだけどね。
…。
ばあちゃんが一度だけ、話してくれてさ。
…うん。
なんでも、死にかけたらしいよ。
……。
…まぁ、結果を言えば死ななかったんだけど。
……。
エリス…。
…よかった。
……で、さ。
ん…。
ぼんやり、と、だけど。
その時の父さんと母さんのこと、思い出したような気がして。
…。
いや、それが本当に熱出した時の記憶かは、分からないんだけど。
…どんなこと、はなしてたの?
詳しくは、分からない。
…。
…でも、母さんはずっとそばにいてくれたと思う。
……。
で、これもばあちゃんが言ってたんだけど。
あたしの風邪が治った時、入れ替わるようにして母さんが熱を出してしまったんだってさ。
……。
ばあちゃん曰く、無理が祟ったって。
…おかあさん、だから。
父さんも、それなりに、頑張ったらしいけどね。
……ぶきよう、だから。
父さんはどっちかと言うと、器用だったと思うけど。
あたしと違って。
……。
だから、じゃないけど。
ん、ナディ…。
…あんたは、そうならないで欲しい。
……。
夫婦は、その為に二人なんだからさ。
…ん、いえっさ。
よし。
……。
……。
…ナディ。
そう、言えば。
ん…。
…まだ、飲ませてなかったね。
……。
……。
…ナ、ディ。
……。
…ん……ふ…ぅ…。
……。
…はぁ。
……零すな。
あ…ぅ。
……もう、一度。
う、ん……。
……。
…ん……ん……ぅ。
……。
……は、ぁ。
……。
…ナ…ディ、も…ぅ……。
……。
……。
…おやすみ、エリス。
今夜は抱いてあげられないけど、あたしは、ここにいるから。
……。
…何も、心配しなくて良い。
……また、のませて。
…。
のど、かわいたら…そのときは、また。
…あんたも、ロントも。
…。
あたしが、ちゃんと飲ませる。
…おなじは、だめ。
同じ?
…ロントは、あなたのこども。
…。
だから…だめ。
…ばぁか。
あんな飲ませ方、あんたにしかしないっつの…。
……。
……。
……、…。
…心配するなと言ったろう。
……。
あの子はもう、大丈夫だ。
……、た。
…。
ぅ…。
…だから、言ったろう。
……。
…今更、お前が居ないのは考えられない。
ん……。
…早く、良くなれ。
……。
消化に良い物を作ろう。
食べないと良くなるものも、ならない。
……。
…が、もう暫くは共に居よう。
だから…何も、心配するな。
……、を。
……。
……き……って、……った…。
げん、きーーー!
こら、ロント。
熱が下がったばかりなんだから、あまりはしゃぐな。
げんき、げんき。
ロンティタ。
エリスー。
…。
ロント、げんき。
…ん、良かった。
えへへ。
…ふふ。
エリスは?
げんき?
…ん、元気だよ。
じゃおさんぽ、いこ。
いこ。
うん、行こう。
駄目、だ。
…あう。
エリスも。
…ナディ。
ぶり返したらどうするんだ。
うー。
…ナディも。
うん?
一緒に、行こう?
ナディと一緒なら、
行くけど。
今は行かない。
ナディはこなくていいよ?
やかましい。
ほら、もう暫く大人しく寝てろ。
えー。
えーじゃない。
うー、エリスー。
…もう少し、寝てる?
えー…。
ナディの言うこと、聞いて?
ね…?
…もうすこしって、どれくらい?
今日一日。
えーー!
エリス、分かった?
…いえっさ、ナディ。
ロント。
そと、いくー。
いーきーたーいー。
駄目。
やだー、いくー!
あんたの気持ちは、分かる。
でも。
むー。
今日、大人しく寝てて明日から外でいっぱい遊ぶのと。
今日、遊んで、明日からまた暫く寝るのと。
あんたはどっちが良い?
……。
あんたは…エリス曰く、良い子だから。
ねぇ、エリス。
…ん、ロンティタはいいこだよ。
ね、ロンティタ?
……うー。
それにあんたがまた熱を出せば、エリスがまたいっぱい心配する。
あたしはそうさせたくない。
うー…。
…ナディ。
何、エリス。
私、熱い…?
……。
…あつい?
……少し。
そっか…。
あんたもロントと一緒に休んでた方が良い。
あたしも今日は家にいるから。
おしごと…?
休みの申請は昨日、しておいた。
…。
じゃないと、青目がうるさいから。
…ナディ。
だから…何も、心配いらない。
いえっさ…ナディ。
じー………。
…何、ロント。
なぁに?
ちゅー?
……。
……。
ちゅーってして、ぎゅーっとするの。
…あー。
ロント、しってるよ。
ロント、ねてるとき、してたもん。
してない。
なかよしふーふ!
だから、
…うん、してた。
……。
なかよし、なかよしー。
…元気になると、やかましい。
でも、良かった。
ね?
まだ、分からない。
…。
…でもまぁ、良かった。
ん…よかった。
まぁ、大丈夫だって、言ったし。
…ナディ。
あんたも。
……。
ん?
…手、繋いでてくれた。
…。
…ずっと、じゃないけど。
でも…。
…寝てる、と思ったんだけどな。
……ねぇ。
ん…?
…今夜は。
…。
ぎゅうって、して。
…明日の夜、なら。
…。
ロント、あまりはしゃぐな。
ぶりか…え。
……。
エリ、ん。
……。
ちゅー、してるーー。
……エリス。
続き…。
…。
…ちゃんと、してね。
……。
約束…。
…約束、ね。
ナディ、かおまっかー。
まっかー。
うるさい。
大人しく寝てろ。
あはは。
こいつ。
……あなたを。
きゃー。
こら、ちゃんと寝てろって。
やー!
ロント…!
…すきになって、よかった。
余談。
……ぅー。
…。
…たく。
だから、言ったんだ。
……。
…ナディ。
子供の熱は朝になると下がってることが多い。
でも夜になると…治りきってないと、また上がってくる。
そう、ばあちゃんに聞いたと思う。
…スー。
……ナディ。
大丈夫。
でもまぁ、それはちゃんと寝てたら、の話だけど。
…。
ちゃんと寝てよう、ロント。
……さ。
エリス、あんたもね。
…いえっさ。
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