日記
2026年・10月
9月後 9月前 8月後 8月前 7月後 7月前 6月後 6月前 5月後 5月前 4月後 4月前 3月後 3月前
2日
んー……。
……ふ。
穏やかで、良い天気だ……。
……ユゥ。
メル。
……。
目が覚めたかい……?
……うん、覚めた。
良く眠っていたよ。
……今日は、眠らないつもりだったのに。
まぁ、良いじゃないか。
……アミとマコトは。
傍に居るよ。
……傍に。
今、お茶会の続きの支度をして呉れている。
……お茶会の続き?
未だ未だ、お祝いは終わらないと言う事さ。
……お茶だけ?
さぁて、其れはどうかな。
……何か、仕込んでおいたのね。
見てからの、お楽しみだ。
……恐らくは、焼き菓子。
とは、限らない。
……矢張り、何かあるのね。
あるかも知れない。
……あなたは、隠す事も苦手よね。
メルが敏感過ぎるだけさ。
……マコトだって、気付くと思うわ。
また、明日に……。
1日
……アミちゃん。
……。
かか様は……。
……今は、お昼寝をしているわ。
そっか……じゃあ、声を抑えた方が良いね。
……ん、お願い。
うん、分かった。
……。
お茶、飲んでいたんだね。
……一息つく為に、淹れたの。
たくさん、お話したのかい?
……うん。
呼吸は、大丈夫だった?
……途中から。
……。
……マコちゃん?
かか様ってさ……こんなに、細かったっけ。
……元々、細身ではあったけれど。
歳星に来てから……とと様のごはんを食べるようになってから、丸くなったって言っていたよね。
……肉付きが、良くなったのだろうと思う。
其れまでは……今くらい、細かったのかな。
……多分。
……。
……食に、興味がなかったみたいだから。
辰星の民は、食べる事に興味がない者が多いって言ってた。
……必要な栄養素さえ、摂取出来れば良い。
簡略化、だっけ。
……味にも、拘りがないんだって。
考えられないな……食べるのなら、美味しい方が良いよ。
……私も、然う思う。
辰星に行ったら、ごはんの材料は手に入るのかな……。
……全く、手に入らない事はないと思う。
けど、歳星のようにはいかないよね。
……管理されているだろうから。
狩りは、しても良いのかな……やっぱり、駄目かな。
……交渉すれば、或いは。
交渉かぁ……あたしが特に苦手なやつだ。
……其れは、私に任せて。
うん……アミちゃんに任せる。
……でも、傍に居て。
うん……直ぐ傍に居る。
……出来れば、にこにこしていて。
分かった……出来る限り、にこにこしてる。
……ごめんね。
ん、どうしてだい……?
……私がもう少し、社交的だったら。
アミちゃんは十分に社交的だよ……交渉だって、出来るんだからさ。
……愛想笑いが、どうしても出来ないの。
そんなの、アミちゃんはしなくても良い。
……私、怖い?
え?
……私の、作り笑顔。
あー……怖くはないけど、ちょっと不自然かな。
……然うよね。
でも、素敵だから。
……不自然なのに?
不自然でなければ、とっても素敵なんだ。
……今は、作り笑顔の話をしているのだけれど。
怖いとは……あたしは、思わないよ。
……多分、然う思うのはマコちゃんだけ。
とと様とかか様だって、思わないさ。
……かか様に、言われたの。
かか様に……?
……かか様に言われるのから、相当。
んー……。
……まぁ、気にしないけれど。
かか様が言った事は、あくまでも、客観的なものだと思う。
……主観的ではないと?
かか様は多分、不自然でも……ううん、不自然なところも可愛いと思っているんじゃないかな。
……。
だって、子供の頃からずっと然うだからさ……ずっと、可愛い可愛いって。
何回、言われてるかなぁ……とと様と合わせると、四桁は言われてる気がする。
……私の何処が可愛いのかしら。
何処がって、アミちゃんの全部が可愛いよ。
……其れは、マコちゃんの意見。
かか様も、同じようなものだと思うけどなぁ。
……親の、贔屓目。
ひいきめ……?
……ないとは、言えない。
あっては、いけない?
……そんな事は、言わない。
なら、良いんじゃないかな。
……良いのかしら。
良いんだよ、だってアミちゃんは本当に可愛いんだから。
……不自然な作り笑顔でも?
うん、可愛いよ。
……然う。
口元が強張っているところも、ほっぺたが引き攣っているようなところも、目が笑えてないところも……全部、愛しいと思う。
……完全に、贔屓目。
然うだよ……だって、あたしはアミちゃんが事が大好きだからね。
……仕方無いの?
うん、仕方無いんだ。
……。
お。
……なに。
薄く笑うアミちゃんは、きれいだ。
……あぁ、然う。
うん、然うなんだ。
……。
あは。
……マコちゃんの言う通り、かか様が言った事は客観的な視点だと思う。
かか様が然ういう事を言う時は、客観的である事が多いんだ。
……つまり、城の者には怖いと見えていると。
アミちゃんの事を知らないのだから、仕方無いさ。
……。
知らなければ、分からない。
然うだろう?
……マコちゃんって時々、とても達観的よね。
ん、然うかな。
あたしは思っている事を言ってるだけだけど。
……そんなマコちゃんだからこそ、傍に居て欲しいと思う。
あ。
……私には、マコちゃん以上のひとは居ないのだわ。
アミちゃん……。
……聞いて呉れて有難う、マコちゃん。
ど、どう、いたまして。
……どう、いたしまして?
どう、いたし、まして。
……ふふ。
未だに、苦手なんだよなぁ……どう、いたしまして。
……私に対しては、苦手なままで良いわ。
アミちゃんに対しては……?
……だって、可愛いから。
ん……。
……此れは、番の贔屓目。
あ、あぁ……。
……でも、浮付いた言動は許さない。
え、えと……。
……私以外の者に対して。
し、しないよ、浮付いた言動なんて……。
……約束よ?
うん、約束だ……。
……若しも、破ったら。
破らない。
……若しもの話なのだけれど。
若しも、なんて、ない。
……。
ないんだ。
……誰彼構わず、可愛いと。
今はもう、言わない。
……今は?
あの頃は、まぁ、子供だったし。
……今も、子供よ。
子供だけど、あの頃とはもう違う。
……信じているから。
うん、信じていて。
……。
ん。
……あの頃よりも、精悍になったと思う。
格好良い……?
其れは……どうかしら。
……可愛いよりも、格好良くなりたいんだ。
私は……可愛いマコちゃんも、好きだから。
……。
頼りにしているわ……マコト。
……う。
ふふ……。
……ア、ア。
うん?
……。
どうしたの?
……未だ、無理だった。
何が?
……何でもない。
然う?
……元服の儀を終えたら、屹度。
呼べるようになる?
……え。
アミ、と。
……。
でも、今のままでも構わないの。
……あたしは、呼んでみたい。
ならば……いつか、ね。
……絶対に、呼べるようになる。
無理はしなくても良い。
……無理はしないけど、少しはする。
無理をしてまでも、呼びたいの……?
……どっちがしっくり来るから、試してみたい。
……。
試してみないと、分からないから。
……其れは、然うね。
だ、だろ……?
……。
……アミちゃん?
かか様は初め、とと様の事をユピテル様と呼んでいたのよね。
……ユピテル様。
とと様に、愛称で呼んで欲しいとお願いされて……時間を掛けて、然う呼べるようになった。
……なんだか、むずむずする。
むずむず?
なんとなく、他人行儀みたいだし。
……まさに、他人行儀だったのよ。
やっぱり、然うだよね。
番にと、請われたけれど……だからと言って、直ぐに馴染めるわけではないもの。
……とと様と、かか様でも。
とと様とかか様は、私達とは違って、お互いの事を知らないところから始まっているから。
あまり、知らない……他人。
然う……初めは、他人同士。
もっと言えば……他星の者同士。
……アミちゃんとあたしが、若しも、然うだったら。
屹度、私もかか様のようになっていたと思う……。
……。
……其の前に、見初められるかどうか。
見初めるよ、
……。
一目で、絶対に。
……然うだと、良いけれど。
然うだよ。
……。
誰にも譲らない、譲れない。
……そもそも、出逢えるかどうかも分からないのよね。
なんとかして、出逢うんだ。
……お互いの事をほとんど知らないのに、どうやって?
頑張って、探す。
……知らないのに、どうやって探すの?
勘。
……勘。
なんとなくだけど、分かると思うんだ。
……残念だけど、分からないと思う。
分からない?
……だって、知らないんだもの。
直感的に、このひとだっていうのがあると思うんだよ。
……マコちゃんには、あるかも知れないけれど。
アミちゃんには、ない?
本当に、ない?
然う言われると……分からない。
じゃあ、分かるかも知れないね。
……前向き。
分からないよりも、分かると思っていた方が良いんだ。
……はいはい、然うね。
此の場合のはいは、二回でも良い?
……良い。
そっか。
……。
あは。
.……私達は、最初から知ってた。
あたし達は、生まれた時から一緒だったから。
……私は、あなたがお腹に居る頃から。
然うだった。
自分以外の者は、基本的に他人だけれど……マコちゃんの事は、他人とは思えなかった。
……良かった、他人じゃなくて。
とても身近過ぎて……他人と呼んだら薄情だわ。
……でも、とと様とかか様は他人同士から始まった。
他人から、真の番になって……今のふたりが居る。
数十年前の今日、真の番になったんだ。
……二十年。
あたし達も、ふたりのように。
かか様は……もう。
え。
……。
かか様は、なに?
もう、なに?
……なんでもない。
……。
……なんでも、ないの。
大丈夫だよ。
……マコちゃん。
大丈夫だ、約束したから。
……かか様と。
とと様と。
……とと様とでは。
とと様との約束は、かか様との約束でもあるんだ。
……其れは、無理矢理過ぎるわ。
無理矢理じゃない。
幾ら、とと様と約束しても……ううん、約束したところで。
辰星から帰って来たら、出迎えて呉れる。
……そんな先の事。
約束は、信じる事からだ。
其れから、出来る事をするんだ。
……。
あたしはするし、とと様とかか様もして呉れる。
……私も。
しよう、アミちゃん。
……。
己に出来る事を、精一杯。
……うん、分かった。
うん。
……。
かか様、起きないね。
……もう、暫しの間。
かか様、とても楽しそうにしていたと思う。
……とと様も。
良かった、アミちゃんが傍に居て呉れて。
……マコちゃんだって、気付いたのでしょう。
あたしは、とと様とお茶を飲んでいたから。
……其れでも。
とと様は、少しだけ、躰力が落ちたと思う。
……。
と言っても、少しだけだけど。
……疲れていた?
朝から、張り切っていたからだと思う。
……以前の、とと様なら。
……。
ううん……お茶は、美味しかった?
とと様が淹れて呉れるお茶は、一度だって、不味かった事なんてないんだ。
……。
アミちゃんも、然う思うだろ?
……然うね、私も然う思う。
今日はさ、柔らかい味だったよ。
……私も飲みたいわ。
言ったら、直ぐに淹れて呉れると思う。
ううん、絶対に淹れて呉れる。
……なら、後で言ってみる。
とと様の事だから、喜ぶに決まってるんだ。
ふふ……うん。
アミちゃんが淹れて呉れたお茶は、花の香りが甘やかで、とても美味しかったよ。
……有難う。
お代わりのお茶は、アミちゃんが?
……うん。
同じお茶……其れとも、違うお茶?
……皆で飲んだお茶よりも、甘やかなものを。
甘やかな……じゃあ、美味しかっただろうな。
……美味しいとは、言って呉れたわ。
其れは、本当に美味しかったんだよ。
……然うだと、良いけれど。
然うだよ。
……然うよね。
うん、然うなんだ。
……。
かか様、良く眠っているね。
……浅い眠りだとは思うの。
お昼寝だから……?
……若しも。
其の時は、あたしが連れて行くよ。
……とと様が、譲らないと思うわ。
其れは、確かに。
……然う言えば、とと様は。
後から来るって。
……後から?
だから、楽しみにしてて。
……どういう事?
来れば、分かるよ。
……若しかして、お菓子が未だ。
さて、其れはどうかなぁ。
……分かり易い。
とと様が来たら、あたしがお茶を淹れるからさ。
……うん、分かった。
かか様、起きるかな。
……とと様が来たら、起きるかも知れない。